特許第6917775号(P6917775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6917775
(24)【登録日】2021年7月26日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】ガス溶解液製造装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 1/00 20060101AFI20210729BHJP
   B01F 15/02 20060101ALI20210729BHJP
   C02F 1/78 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   B01F1/00 A
   B01F1/00 B
   B01F15/02 C
   C02F1/78
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-99561(P2017-99561)
(22)【出願日】2017年5月19日
(65)【公開番号】特開2018-192439(P2018-192439A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】中川 洋一
【審査官】 山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−064386(JP,A)
【文献】 特開2009−136822(JP,A)
【文献】 特開2008−078322(JP,A)
【文献】 特開2001−025655(JP,A)
【文献】 特開平10−220564(JP,A)
【文献】 特開平07−136478(JP,A)
【文献】 米国特許第04322226(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F
C02F 1/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1原料の液体に第2原料の気体を溶解させてガス溶解液を生成する気体溶解部と、
前記気体溶解部により生成された混合液体を、ユースポイントに供給されるガス溶解液と、排気口から排出される排出気体とに気液分離する気液分離部と、
を備え、
前記気液分離部は、当該気液分離部の内部空間の容積を変える容積可変部を備えたガス溶解液製造装置において、
前記容積可変部は、前記気液分離部の内部空間に収納される容積可変体であり、
前記ガス溶解液製造装置の立ち上げ時に、前記容積可変体の内部に気体を供給することにより前記容積可変体の体積を増大させて前記気液分離部の内部空間の容積が減少され、
前記ガス溶解液製造装置の稼働時に、前記容積可変体の内部から気体を排出することにより前記容積可変体の体積を減少させて前記気液分離部の内部空間の容積が増大される、ガス溶解液製造装置。
【請求項2】
第1原料の液体に第2原料の気体を溶解させてガス溶解液を生成する気体溶解部と、
前記気体溶解部により生成された混合液体を、ユースポイントに供給されるガス溶解液と、排気口から排出される排出気体とに気液分離する気液分離部と、
を備え、
前記気液分離部は、当該気液分離部の内部空間の容積を変える容積可変部を備えたガス溶解液製造装置において、
前記容積可変部は、前記気液分離部に設けられる伸縮可変構造であり、
前記ガス溶解液製造装置の立ち上げ時に、前記伸縮可変構造を短縮させることにより前記気液分離部の内部空間の容積が減少され、
前記ガス溶解液製造装置の稼働時に、前記伸縮可変構造を伸長させることにより前記気液分離部の内部空間の容積が増大される、ガス溶解液製造装置。
【請求項3】
前記気液分離部は、前記気液分離部の荷重を測定する荷重測定部を備える、請求項1または請求項2に記載のガス溶解液製造装置。
【請求項4】
前記気液分離部は、前記荷重測定部で測定した前記気液分離部の荷重から、前記気液分離部の内部の前記ガス溶解液の液面高さを算出する液面高さ算出部を備える、請求項3に記載のガス溶解液製造装置。
【請求項5】
前記第1原料の液体は、純水または硫酸であり、前記第2原料の気体は、オゾン、水素、窒素、二酸化炭素、酸素、アルゴン、キセノンのいずれかまたはこれらの組み合わせからなる気体である、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のガス溶解液製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1原料の液体と第2原料の気体を混合してガス溶解液を製造するガス溶解液製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイス工場や液晶などの電子部品製造工場における製品の洗浄は、製造プロセスの複雑化、回路パターンの微細化に伴ってますます高度化している。例えば、機能水(超純水など)に高純度のガスまたは高純度ガスと薬品とを溶解した特殊な液体(洗浄液と呼ばれる)を使用して、シリコンウエハに付着した微粒子、金属、有機物などを除去している。
【0003】
洗浄処理方式としては、複数のシリコンウエハを同時に浸漬及び洗浄操作を繰り返す“バッチ処理方式”のほかに、多品種少量生産の製品に対応して1枚のウエハごとに薬品洗浄及び超純水洗浄を行う“枚葉処理方式”が採用される。枚葉処理方式は、バッチ処理方式と比べて、ウエハ1枚当たりの洗浄工程時間(タクトタイム)が長く、洗浄液の使用量が多くなるために、タクトタイムの短縮及び洗浄液使用量の低減が求められている。現状、短時間での効果的な洗浄及び洗浄液使用量を低減するために、複数の機能水並びに薬品を単独または同時に使用して、短時間で洗浄工程を切り替える高度な洗浄プロセスが行われている。
【0004】
機能水としては、超純水にオゾンガスを溶解したオゾン水が用いられる。オゾン水は、一般的にオゾン水製造装置で製造される。洗浄プロセスの高度化及び複雑化に伴い、短時間での洗浄装置へのオゾン水の供給及び停止が要求されるが、従来の装置は一旦オゾン水の製造を停止すると、再度、要求オゾン濃度及び要求流量のオゾン水の供給が可能となるまでに一定の時間(立ち上がり時間)を要する。そこで、洗浄装置へのオゾン水の供給要求に応じるために、ユースポイントで必要とされる分だけオゾン水を製造することのできるオゾン水製造装置が提案されていた(例えば特許文献1参照)。従来のオゾン水製造装置では、気液分離タンクで、ユースポイントへ供給されるオゾン水と、排気口から排出されるガスとが分離されていた。また、この気液分離タンクには、オゾン水の水位を測定するために水位センサが設けられていた。
【0005】
また近年、気液分離タンクの上部のガスを排出するリリーフ弁を設けて、気液分離タンク内の圧力を調整することで、ユースポイントに供給するガス溶解水の圧力や流量を調整する手法が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−64386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のガス溶解液製造装置においては、気液分離タンクの内部空間の容積は一定であった。したがって、気液分離タンクの容積を大きく設計すると、装置の立ち上げ時などに、気液分離タンクの内部空間を液体(オゾン水)と気体(ガス)で満たすのに、大量の液体(オゾン水)と気体(ガス)を気液分離タンク内に供給する必要があった。一方、気液分離タンクの容積を小さく設計すると、装置の稼働時などに、気液分離タンクの内部の液体(オゾン水)の量の変動を許容できなくなくなる。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、気液分離部の内部空間の容積を変えることができ、装置の使用状況にあわせて気液分離部の内部空間の容積を適切に調整することのできるガス溶解液製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のガス溶解液製造装置は、第1原料の液体第2原料の気体溶解させて混合液体を生成する気体溶解部と、前記気体溶解部により生成された前記混合液体を、ユースポイントに供給されるガス溶解液と、排気口から排出される排出気体とに気液分離する気液分離部と、を備え、前記気液分離部は、当該気液分離部の内部空間の容積を変える容積可変部を備えている。
【0010】
この構成によれば、容積可変部を作動させることによって、気液分離部の内部空間の容積を変えることができるので、装置の使用状況にあわせて気液分離部の内部空間の容積を適切に調整することが可能になる。例えば、装置の立ち上げ時などには、気液分離部の内部空間を液体(ガス溶解液)と気体(排出気体)で満たす必要がある。そのようなときに、容積可変部を作動させて気液分離部の内部空間の容積を小さくする。これにより、装置の立ち上げ時に要する液体や気体の量が少なくて済む。また、装置の稼働時などには、気液分離部の内部から排出されユースポイントへと供給されるガス溶解液(供給液体)の量を安定化させるためには、気液分離部の内部空間が十分な容積を有することが望ましい。容積可変部を作動させて気液分離部の内部空間の容積を大きくすることにより、気液分離部の内部の気体の量を確保して、ガス圧力の変動を吸収しやすくすることができる。
【0011】
また、本発明のガス溶解液製造装置では、前記容積可変部は、前記気液分離部の内部空間に収納される容積可変体であり、前記容積可変体の内部に気体を供給することにより前記容積可変体の体積が増大して前記気液分離部の内部空間の容積が減少し、前記容積可変体の内部から気体を排出することにより前記容積可変体の体積が減少して前記気液分離部の内部空間の容積が増大してもよい。
【0012】
この構成によれば、容積可変体の内部の気体の量を調整することによって、気液分離部の内部空間の容積を変えることができる。例えば、装置の立ち上げ時などには、容積可変体の内部に気体を供給することにより、容積可変体の体積を増大させ、気液分離部の内部空間の容積を減少させることができる。また、装置の稼働時などには、容積可変体の内部から気体を排出することにより、容積可変体の体積を減少させ、気液分離部の内部空間の容積を増大させることができる。
【0013】
また、本発明のガス溶解液製造装置では、前記容積可変部は、前記気液分離部に設けられる伸縮可変構造であり、前記伸縮可変構造を短縮させることにより前記気液分離部の内部空間の容積が減少し、前記伸縮可変構造を伸長させることにより前記気液分離部の内部空間の容積が増大してもよい。
【0014】
この構成によれば、伸縮可変構造を伸縮させることによって、気液分離部の内部空間の容積を変えることができる。例えば、装置の立ち上げ時などには、伸縮可変構造を短縮させることにより、気液分離部の内部空間の容積を減少させることができる。また、装置の稼働時などには、伸縮可変構造を伸長させることにより、気液分離部の内部空間の容積を増大させることができる。
【0015】
また、本発明のガス溶解液製造装置は、前記気液分離部は、前記気液分離部の荷重を測定する荷重測定部を備えてもよい。
【0016】
さらに、本発明のガス溶解液製造装置は、前記荷重測定部で測定した前記気液分離部の荷重から、前記気液分離部の内部の前記ガス溶解液の液面高さを算出する液面高さ算出部を備えてもよい。
【0017】
この構成によれば、荷重測定部で測定した気液分離部の荷重から、気液分離部の内部の液体(ガス溶解液)の液面高さが求められる。気液分離部に容積可変部が備えられている場合には、一般的な液面センサでは、気液分離部の内部の液体(ガス溶解液)の液面高さを正確に測定するのが困難であることがある。例えば、容積可変体の構成によっては容積可変体が液面に接触して液面高さが変わると、気液分離部の内部の液体(供給液体)の液面高さを正確に測定するのが困難になることもありうる。
【0018】
また、容積可変部が気液分離部に設けられる伸縮可変構造である場合には、伸縮可変構造の伸縮時に生じる振動により液面が変動してしまうと、気液分離部の内部の液体(ガス溶解液)の液面高さを正確に測定するのが困難になる。そのような場合であっても、気液分離部の荷重から内部の液体(ガス溶解液)の液面高さを求めることにより、液面高さを正確に測定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、気液分離部の内部空間の容積を変えることができ、装置の使用状況にあわせて気液分離部の内部空間の容積を適切に調整することが可能になる。また、本発明によれば、例えば、ユースポイントにおける送水圧力を安定化させつつ、ガス溶解液製造装置の稼働(立ち上げ)を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施の形態におけるガス溶解液製造装置の構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施の形態における気液分離部(内部空間の容積減少時)を示す説明図である。
図3】第1の実施の形態における気液分離部(内部空間の容積増大時)を示す説明図である。
図4】第1の実施の形態における装置立ち上げ時の動作を説明するフロー図である。
図5】第2の実施の形態における気液分離部(内部空間の容積減少時)を示す説明図である。
図6】第2の実施の形態における気液分離部(内部空間の容積増大時)を示す説明図である。
図7】第2の実施の形態における装置立ち上げ時の動作を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態のガス溶解液製造装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、半導体デバイスや液晶などの電子部品の洗浄に用いられるオゾン水製造装置の場合を例示する。
【0022】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態のガス溶解液製造装置の構成を、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態のガス溶解液製造装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、ガス溶解液製造装置1は、第1原料の液体(純水)の供給源である水供給部2と、第2原料の気体(オゾンガス)の供給源であるオゾンガス供給部3と、第1原料の液体(純水)に第2原料の気体(オゾンガス)を溶解させて混合液体(オゾン水)を生成する気体溶解部4を備えている。また、このガス溶解液製造装置1は、気体溶解部4により生成された混合液体を、ユースポイント5に供給されるガス溶解液(オゾン水)と、排気口6から排出される排出気体(ガス)とに気液分離する気液分離部7を備えている。気液分離部7は、例えばフッ素樹脂塗装が内面に施されたタンクで構成されている。
【0023】
図2および図3は、本実施の形態の気液分離部7の構成を示す説明図である。図2および図3に示すように、第1の実施の形態の気液分離部7は、気液分離部7の内部空間の容積を変える容積可変部として、気液分離部7の内部空間に収納される容積可変体8を備えている。容積可変体8の内部に気体を供給すると、容積可変体8の体積が増大して、気液分離部7の内部空間の容積が減少する(図2参照)。一方、容積可変体8の内部から気体を排出すると、容積可変体8の体積が減少して、気液分離部7の内部空間の容積が増大する(図3参照)。容積可変体8は、例えばフッ素樹脂製のバルーンなどで構成されている。また、好適には、気液分離部7と排気口6を連結する排気管11にリリーフ弁12を設けて、その開度を調整することにより、気液分離部7の上部空間の内部圧力を調整するように構成されている。
【0024】
また、図2および図3に示すように、気液分離部7は、気液分離部7の荷重を測定する荷重測定部9と、荷重測定部9で測定した気液分離部7の荷重から気液分離部7の内部のガス溶解液の液面高さを算出する液面高さ算出部10を備えている。荷重測定部9は、例えばロードセルなどで構成される。液面高さ算出部10は、例えば、気液分離部7の構造データや設計データに基づいて、荷重測定部9で測定した気液分離部7の荷重から気液分離部7の内部のガス溶解液の液量を算出し、ガス溶解液の液量から液面高さを算出する。
【0025】
なお、上記の例では、気液分離部7の内部のガス溶解液の液面高さで管理を行う例について説明したが、気液分離部7の荷重で管理を行ってもよい。その場合、気液分離部7は、荷重測定部9を備えていればよく、液面高さ算出部10を必ずしも備えていなくてもよい。
【0026】
以上のように構成されたガス溶解液製造装置1について、図面を参照してその動作を説明する。図4は、第1の実施の形態のガス溶解液製造装置1の立ち上げ時の動作を説明するフロー図である。
【0027】
図4に示すように、ガス溶解液製造装置1を立ち上げる場合には、まず、容積可変体8の内部に第1圧力値(例えば0.6MPa)で空気を供給して(S10)、容積可変体8の体積を増大させ、気液分離部7の内部空間の容積を減少させる(S11)。つぎに、気液分離部7の内部に、あらかじめ水供給部2からの純水とオゾンガス供給部3からのオゾンガスとが混合されているガス溶解液の供給を第2圧力値(第1圧力値より小さい圧力値、例えば0.3MPa)で開始する(S12)。そして、気液分離部7の内部がオゾン水とガスで満たされると、気液分離部7の内部のガス圧を調整する(S13)。気液分離部7の内部のガス圧の調整は、例えば、水供給部2からの純水の供給圧力とオゾンガス供給部3からのオゾンガスの供給圧力を調整することにより、行うことができる。
【0028】
ユースポイントに供給されるガス溶解水の吐出圧は気液分離部7の内部のガス圧と見込まれるので、気液分離部7の内部のガス圧およびユースポイントに供給されるガス溶解水のオゾン濃度が所定の値となると、ユースポイント5へのオゾン水の供給が可能となる。これらの後、ガス溶解液製造装置1で、容積可変体8の内部の空気圧を第3圧力値(第2圧力値より小さい圧力値、例えば0.25MPa)まで下げると(S14)、容積可変体8の体積が減少し、気液分離部7の内部空間の容積が増大する(S15)。
【0029】
このような第1の実施の形態のガス溶解液製造装置1によれば、容積可変体8の内部のガス(空気)の量を調整することによって、気液分離部7の内部空間の容積を変えることができるので、装置の使用状況にあわせて気液分離部7の内部空間の容積を適切に調整することが可能になる。例えば、装置の立ち上げ時などには、気液分離部7の内部空間をオゾン水(ガス溶解液)とガス(排出気体)で満たす必要がある。そのようなときには、図2に示すように、容積可変体8の内部にガス(空気)を供給して気液分離部7の内部空間の容積を小さくする。これにより、装置の立ち上げ時に要するオゾン水やガスの量が少なくて済む。また、装置の稼働時などには、気液分離部7の内部のオゾン水(ガス溶解液)の量の変動を許容するためには、気液分離部7の内部空間が十分な容積を有することが望ましい。そのようなときには、図3に示すように、容積可変体8の内部からガス(空気)を排出して気液分離部7の内部空間の容積を大きくすることにより、気液分離部7の内部のオゾン水(ガス溶解液)の量の変動を許容することができる。
【0030】
また、本実施の形態では、荷重測定部9で測定した気液分離部7の荷重から、気液分離部7の内部のオゾン水(ガス溶解液)の液面高さが求められる。気液分離部7に容積可変部が備えられている場合には、一般的な液面センサでは、気液分離部7の内部のオゾン水(ガス溶解液)の液面高さを正確に測定するのが困難であることがある。例えば、容積可変部が気液分離部7の内部空間に収納される容積可変体8である場合には、気液分離部7の内周面と容積可変体8の外周面との間の隙間に気液分離部7の内部のオゾン水(ガス溶解液)が毛細管現象などで入り込んで液面が上昇してしまうと、一般的な液面センサでは、気液分離部7の内部のオゾン水(ガス溶解液)の液面高さを正確に測定するのが困難になる。本実施の形態では、そのような場合であっても、気液分離部7の荷重から内部のオゾン水(ガス溶解液)の液面高さを求めることにより、液面高さを正確に測定することができる。
【0031】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態のガス溶解液製造装置1について説明する。ここでは、第2の実施の形態のガス溶解液製造装置1が、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0032】
図5および図6は、本実施の形態の気液分離部7の構成を示す説明図である。図5および図6に示すように、第2の実施の形態の気液分離部7は、気液分離部7の内部空間の容積を変える容積可変部として、気液分離部7に伸縮可変構造20が設けられている。伸縮可変構造20は、例えば蛇腹構造である。この伸縮可変構造20を短縮させると、気液分離部7の内部空間の容積が減少する(図5参照)。一方、伸縮可変構造20を伸長させると、気液分離部7の内部空間の容積が増大する(図6参照)。
【0033】
以上のように構成されたガス溶解液製造装置1について、図面を参照してその動作を説明する。図7は、第2の実施の形態のガス溶解液製造装置1の立ち上げ時の動作を説明するフロー図である。
【0034】
図7に示すように、ガス溶解液製造装置1を立ち上げる場合には、まず、伸縮可変構造20を短縮させて(S20)、気液分離部7の内部空間の容積を減少させる(S21)。つぎに、気液分離部7の内部に、水供給部2からの純水の供給とオゾンガス供給部3からのオゾンガスの供給を開始する(S22)。そして、気液分離部7の内部がオゾン水とガスで満たされると、気液分離部7の内部のガス圧を調整する(S23)。
【0035】
気液分離部7の内部のガス圧の調整が完了すると、ユースポイント5へのオゾン水の供給が可能となる。その後、ガス溶解液製造装置1で、伸縮可変構造20を伸長させて(S24)、気液分離部7の内部空間の容積を増大させる(S25)。
【0036】
このような第2の実施の形態のガス溶解液製造装置1によっても、第1の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0037】
本実施の形態では、伸縮可変構造20を伸縮させることによって、気液分離部7の内部空間の容積を変えることができるので、装置の使用状況にあわせて気液分離部7の内部空間の容積を適切に調整することが可能になる。例えば、装置の立ち上げ時などには、気液分離部7の内部空間をオゾン水(ガス溶解液)とガス(排出気体)で満たす必要がある。そのようなときには、図5に示すように、伸縮可変構造20を短縮させて、気液分離部7の内部空間の容積を小さくする。これにより、装置の立ち上げ時に要するオゾン水やガスの量が少なくて済む。また、装置の稼働時などには、気液分離部7の内部のオゾン水(ガス溶解液)の量の変動を許容するためには、気液分離部7の内部空間が十分な容積を有することが望ましい。そのようなときには、図6に示すように、伸縮可変構造20を伸長させて、気液分離部7の内部空間の容積を大きくすることにより、気液分離部7の内部のオゾン水(ガス溶解液)の量の変動を許容することができる。
【0038】
また、本実施の形態でも、荷重測定部9で測定した気液分離部7の荷重から、気液分離部7の内部のオゾン水(ガス溶解液)の液面高さが求められる。気液分離部7に容積可変部が備えられている場合には、一般的な液面センサでは、気液分離部7の内部のオゾン水(ガス溶解液)の液面高さを正確に測定するのが困難であることがある。例えば、容積可変部が気液分離部7に設けられる伸縮可変構造20である場合には、伸縮可変構造20の伸縮時に生じる振動により液面が変動してしまうと、一般的な液面センサでは、気液分離部7の内部のオゾン水(ガス溶解液)の液面高さを正確に測定するのが困難になる。本実施の形態では、そのような場合であっても、気液分離部7の荷重から内部のオゾン水(供給液体)の液面高さを求めることにより、液面高さを正確に測定することができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0040】
例えば、以上の説明では、第1原料の液体が純水であり、第2原料の気体がオゾンガスである場合について説明したが、第1原料の液体として純水以外の液体(例えば、硫酸など)を用いたり、第2原料の気体としてオゾンガス以外の気体(例えば、水素、窒素、二酸化炭素、酸素、アルゴン、キセノンなど)を用いても同様に実施可能である。あるいは、たとえば、1つのユースポイントに対して、複数のガス溶解液を供給するように、複数のガス溶解液製造装置を1つのサイトに設置してもよい。これにより、たとえば、浮遊金属と有機微粒子を基板上から除去するため、オゾン添加水と水素添加水を同じユースポイントで用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように、本発明にかかるガス溶解液製造装置は、気液分離部の内部空間の容積を変えることができ、装置の使用状況にあわせて気液分離部の内部空間の容積を適切に調整することが可能になるという効果を有し、オゾン水製造装置等として有用である。
【符号の説明】
【0042】
1 ガス溶解液製造装置
2 水供給部
3 オゾンガス供給部
4 気体溶解部
5 ユースポイント
6 排気口
7 気液分離部
8 容積可変体(容積可変部)
9 荷重測定部
10 液面高さ算出部
11 排気管
12 リリーフ弁
20 伸縮可変構造(容積可変部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7