特許第6917961号(P6917961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6917961半導体デバイスの製造中に窒化チタンに対して窒化タンタルを選択的に除去するためのエッチング液
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6917961
(24)【登録日】2021年7月26日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】半導体デバイスの製造中に窒化チタンに対して窒化タンタルを選択的に除去するためのエッチング液
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/308 20060101AFI20210729BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   H01L21/308 F
   H01L21/306 F
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-157713(P2018-157713)
(22)【出願日】2018年8月24日
(65)【公開番号】特開2019-75546(P2019-75546A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2018年11月19日
(31)【優先権主張番号】62/550,474
(32)【優先日】2017年8月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】16/108,529
(32)【優先日】2018年8月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100210686
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 直樹
(72)【発明者】
【氏名】リウ ウェン ダー
(72)【発明者】
【氏名】リ イ−チア
【審査官】 鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−073871(JP,A)
【文献】 米国特許第08389418(US,B2)
【文献】 特表2004−534377(JP,A)
【文献】 特表2005−522031(JP,A)
【文献】 特開2006−057130(JP,A)
【文献】 特開2001−249465(JP,A)
【文献】 特表2016−535819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306−21/3063
H01L 21/308
H01L 21/465−21/467
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、
約0.5〜約50wt%のリン含有無機酸又はその塩(原液)、
約0.01〜約20wt%のフッ化物イオン源(原液)、及び
約1〜約30wt%の水混和性有機溶媒であって、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール、1,4−ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、アルコール、スルホキシド、又はそれらの混合物からなる群より選択される水混和性有機溶媒を含む、窒化チタンに対して窒化タンタルを選択的に除去するためのエッチング組成物
【請求項2】
前記水混和性溶媒が、ブチルジグリコール、グリセロール、プロピレングリコール、又はそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載のエッチング組成物。
【請求項3】
前記フッ化物イオン源が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、4級フッ化アンモニウム、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、六フッ化アルミニウム、及び、式:R1NR234Fであって、式中、R1、R2、R3及びR4が独立して、H又は(C1〜C4)アルキル基を示す式を有する脂肪族1級、2級又は3級アミンのフッ化物塩からなる群より選択される、請求項1に記載のエッチング組成物。
【請求項4】
前記フッ化物イオン源が、フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項に記載のエッチング組成物。
【請求項5】
前記フッ化物イオン源が、フッ化アンモニウムを含む、請求項に記載のエッチング組成物。
【請求項6】
前記リン含有無機酸が、リン酸(H3PO4)、次亜リン酸(H3PO2)、亜リン酸(H3PO3)、次リン酸(H426)、メタリン酸(HPO3)、ペルオキソリン酸(H3PO5)、ピロリン酸(H427)、トリポリリン酸(H5310)、テトラポリリン酸(H6413)、トリメタリン酸(H339)、無水リン酸(P410)、それらの塩、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載のエッチング組成物。
【請求項7】
前記リン含有無機酸がリン酸(H3PO4)を含む、請求項1に記載のエッチング組成物。
【請求項8】
前記リン含有無機酸、その塩及び前記フッ化物イオン源以外の酸化剤を含まない、請求項1に記載のエッチング組成物。
【請求項9】
約0.5〜約35wt%の前記リン含有無機酸(原液)、及び
約0.01〜約10wt%のフッ化物イオン源(原液)を含む、請求項1に記載のエッチング組成物。
【請求項10】
約1〜約25wt%の前記リン含有無機酸(原液)、及び
約0.1〜約10wt%のフッ化物イオン源(原液)を含む、請求項1に記載のエッチング組成物。
【請求項11】
5以上38.2以下の窒化チタンに対する窒化タンタルのエッチ選択性を提供する、請求項1に記載のエッチング組成物。
【請求項12】
窒化タンタル及び窒化チタンを含むマイクロ電子デバイス上での窒化チタンに対する窒化タンタルのエッチ速度を選択的に向上させる方法であって、
窒化タンタル及び窒化チタンを含むマイクロ電子デバイスを、水、リン含有無機酸、フッ化物イオン源、及び水混和性有機溶媒を含む組成物に接触させる接触工程と、
窒化タンタルが少なくとも部分的に除去された後に前記マイクロ電子デバイスをリンスする工程とを含み、前記リンス工程の後に測定された窒化チタンに対する窒化タンタルのエッチ選択性が3超38.2以下である、方法。
【請求項13】
前記マイクロ電子デバイスを乾燥する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
窒化チタンに対する窒化タンタルのエッチ選択性が約9〜38.2である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記接触工程が、約25〜約150℃の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記水混和性溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール、1,4−ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、アルコール、スルホキシド、又はそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記フッ化物イオン源が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、4級フッ化アンモニウム、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、六フッ化アルミニウム、及び、式:R1NR234Fであって、式中、R1、R2、R3及びR4が独立して、H又は(C1〜C4)アルキル基を示す式を有する脂肪族1級、2級又は3級アミンのフッ化物塩からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記フッ化物イオン源が、フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウム、及びフッ化テトラブチルアンモニウムからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記リン含有無機酸が、次亜リン酸(H3PO2)、亜リン酸(H3PO3)、次リン酸(H426)、メタリン酸(HPO3)、ペルオキソリン酸(H3PO5)、ピロリン酸(H427)、トリポリリン酸(H5310)、テトラポリリン酸(H6413)、トリメタリン酸(H339)、無水リン酸(P410)、それらの塩、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年8月25日に出願された米国仮特許出願第62/550,474号の優先権を主張し、その内容全体は、全ての許容される目的のために、その出願を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、半導体デバイスの製造で使用される水性エッチング液に関する。より具体的には、本発明は、複合半導体デバイスにおいて、窒化チタン膜に対する窒化タンタル膜の増加したエッチ選択性を示す水性エッチング液を提供する。
【0003】
半導体産業が、より高いデバイス密度、より高い性能、及びより低いコストを求めてナノメートル技術プロセスノードへ進んでいくにつれ、製造及び設計の両方の問題から生じる挑戦により、FinFETのような3次元設計の開発がもたらされた。FinFETデバイスは1種のマルチゲート構造であり、これは、典型的に高いアスペクト比を持つ半導体フィンを含み、その中に半導体トランジスタデバイスのチャネル領域及びソース/ドレイン領域が形成されている。チャネル領域及びソース/ドレイン領域の増加した表面積を利用して(例えば、覆って)、ゲートをフィン構造の側面上に及び側面に沿って形成して、より早く、より信頼性があり、より良好に制御された半導体トランジスタデバイスが製造される。幾つかのデバイスにおいて、FinFETデバイスのソース/ドレイン領域のひずみ材料は、例えば、リンドープシリコン含有エピタキシャル積層を用いる。
【0004】
ゲート積層体は、典型的に、ゲート誘電体層の上面に形成された非ドープの非晶質シリコン又は多結晶シリコン(一般的にポリシリコンとして知られる)の第1の層と、当該非ドープポリシリコン又は非晶質シリコン層の上面に形成されたn型のポリシリコン又は非晶質シリコンの第2の層であって、ゲートで所望の仕事関数を構築するための第2の層と、当該第2のポリシリコン又は非晶質シリコン層の上面に形成された圧縮応力下にある金属層と、当該金属層の上面に形成されたポリシリコン又は非晶質シリコンの第3の層であって、後の金属ケイ化物の形成のためのシリコン表面を提供するための第3の層とを含む。圧縮応力下の金属は、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、又は、NMOSトランジスタのチャネル領域で引張応力を生成し、ポリシリコン又は非晶質シリコンの下層とポリシリコン又は非晶質シリコンの上層との間でドーパントの拡散を低減し、そしてICの製造で使用されるアニールプロセスに適合する別の金属であることができる。NMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタの両方を含む相補型金属酸化物半導体(CMOS)ICにおいて、n型ポリシリコン層及び金属層は、NMOSトランジスタ領域でパターン化され、ポリシリコン又は非晶質シリコンの第1の層及びポリシリコン又は非晶質シリコンの第3の層は、NMOSトランジスタ領域及びPMOSトランジスタ領域の両方でパターン化される。典型的に、NMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタのゲート積層体間の高さの違いを低減し、ゲートパターンフォトリソグラフィ処理を容易にするためにエッチングプロセスが用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
FinFET金属ゲート構造が幾つかの機能性を達成するためにTaN及びTiNの両方を用いる場合、しばしば、一方の材料に対して他方の材料をエッチングすることが要求される。例えば、幾つかのNMOSデバイスの製造中に、TaNをエッチングして、TiNで停止することが必要となるが、従来のウェットエッチ組成物を使用してTiN上で停止するのは極めて難しい。典型的に、酸化剤の組成物を増やすと、例えば、TaNのエッチ速度が増加するだけでなく、TiNのエッチ速度も増加し、そして層にダメージを与える。したがって、当技術分野において、TiNに対してTaNを選択的にエッチングすることができるウェットエッチ化学についてのニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様において、本発明は、マイクロ電子デバイスから、TiNに対してTaNを選択的に除去するのに適したエッチング液であって、水、リン含有無機酸又はその塩、フッ化物イオン源、及び水混和性有機溶媒を含むエッチング液を提供する。
【0007】
別の態様において、本発明は、マイクロ電子デバイスから、TiNに対してTaNを選択的に除去するのに適したエッチング液であって、水、リン酸又はその塩、フッ化物イオン源、及び水混和性有機溶媒を含むエッチング液を提供する。
【0008】
別の態様において、水、約0.5〜約50wt%の前記リン含有無機酸(原液)、約0.01〜約20wt%のフッ化物イオン源(原液)、及び約1〜約50wt%の水混和性有機溶媒を含むエッチング組成物が提供される。
【0009】
別の態様において、水、約0.5〜約35wt%又は約1〜約25wt%の前記リン含有無機酸(原液)、約0.01〜約10wt%又は約0.1〜約10wt%のフッ化物イオン源(原液)、及び約1〜約40wt%又は約1〜約30wt%の水混和性有機溶媒を含むエッチング組成物が提供される。代替的に、本発明の組成物は、以下で説明する量の任意の組み合わせで、以下で説明する量のいずれかで、これらの成分及び他の成分を含むことができる。
【0010】
別の態様において、本発明は、TaN及びTiNを含むマイクロ電子デバイス上でのTiNに対するTaNのエッチ速度を選択的に向上させる方法であって、TaN及びTiNを含むマイクロ電子デバイスを、水、リン含有無機酸若しくはその塩又はリン酸若しくはその塩、フッ化物イオン源、及び水混和性有機溶媒を含む水性組成物に接触させる接触工程と、窒化タンタルが少なくとも部分的に除去された後にマイクロ電子デバイスをリンスする工程とを含み、窒化チタンに対する窒化タンタルのエッチ選択性が3超、又は5超、又は8超、又は10超、又は15超、又は20超、又は25超、又は30超である方法を提供する。本発明の組成物のいずれも本発明の方法で使用することができる。幾つかの実施形態において、1Å/分未満、又は0.8Å/分未満、又は0.6Å/分未満、又は0.4Å/分未満、又は0.2Å/分未満のTiNエッチ速度を提供することが望まれることがある。
【0011】
本発明の実施形態は、単独で又は互いに組み合わせて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の組成物が40℃で3分経過後にTaN層の多くを除去したことを示すXPS分析のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で引用された刊行物、特許出願及び特許を含む全ての参考文献は、それぞれの参考文献が個別及び具体的に示されてその参照により組み込まれ、全体として本明細書に記載されているのと同じ程度に、その参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
本発明を説明する範囲の中での(特に以下の特許請求の範囲の中での)「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」という用語並びに同様の指示語の使用は、本明細書で別段の指摘がないか又は文脈によって明確に否定されない限り、単数及び複数の両方を包含すると解されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」という用語は、特に断りのない限り、制限のない用語(すなわち、「含むが、限定されない」ことを意味する)として解されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で別段の指摘がない限り、単に範囲内に入っているそれぞれ独立した値を個々に言及することの省略方法として機能することを意図しており、それぞれの独立した値は、まるでそれが本明細書で個々に列挙されたかのように本明細書中に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書で別段の指摘がないか又は文脈によって明確に否定されない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提供される任意の及び全ての例又は例示的な語(例えば、「のような(such as)」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特許請求の範囲に別段の記載がない限り、本発明の範囲に関する限定をもたらすものではない。本明細書中の如何なる言語も、特許請求の範囲に記載されていない任意の要素を本発明の実施に必須であるものとして示すと解されるべきではない。本明細書及び特許請求の範囲における「含む(comprising)」という用語の使用は、より狭い語の「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」を含む。
【0015】
本発明を実施するために、発明者らが知っている最良の形態を含めて、本発明の実施形態が本明細書において記載される。それらの実施形態の変形態様は、前述の説明を読めば当業者には明らかになるであろう。発明者らは、当業者がそのような変形態様を適宜利用すると予期しており、発明者らは本明細書に具体的に記載したのと別の方法で、本発明が実施されることを意図している。したがって、本発明は、準拠法によって容認されているように、特許請求の範囲に記載される対象の全ての改良及びそれと同等なものを含む。さらに、それらの全ての可能な変形態様における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書で別段の指摘がないか又は文脈によって明確に否定されない限り、本発明によって包含される。
【0016】
本発明は、概して、製造中に、TiNに対してTaNを、デバイス上にそのような1つ又は複数の材料を有するマイクロ電子デバイスから選択的に除去するのに有用な組成物に関する。
【0017】
マイクロ電子デバイス上の材料として堆積される「シリコン」という用語は、ポリシリコンを含むと理解される。
【0018】
参照を簡単にするため、「マイクロ電子デバイス」又は「半導体デバイス」は、半導体基材(例えば、ウエハ)、フラットパネルディスプレイ、相変化メモリデバイス、ソーラーパネル及びソーラー基材を含む他の製品、太陽光発電装置、並びに、マイクロ電子機械システム(MEMS)に対応し、マイクロ電子、集積回路、又はコンピュータチップ用途で使用されるために製造される。ソーラー基材としては、限定されないが、シリコン、非晶質シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、CdTe、セレン化銅インジウム、硫化銅インジウム、及びガリウム上ガリウムヒ素が挙げられる。ソーラー基材はドープされていてもよく又はドープされていなくてもよい。「マイクロ電子デバイス」という用語は何らかの形で制限されることを意図せず、マイクロ電子デバイス又はマイクロ電子アセンブリに最終的になるあらゆる基材を含むことが理解されるべきである。
【0019】
「複合半導体デバイス」又は「複合マイクロ電子デバイス」は、デバイスが非導電性基材上に存在する2つ以上の材料及び/又は層及び/又は層の一部を有することを意味する。材料は、高k誘電体及び/又は低k誘電体及び/又はバリア材料及び/又はキャッピング材料及び/又は金属層及び/又は当業者に公知の他のものを含むことができる。
【0020】
本明細書で規定される場合、「低k誘電体材料」は、層状マイクロ電子デバイスで誘電体材料として使用される任意の材料に対応し、材料は約3.5未満の誘電率を有する。好ましくは、低k誘電体材料としては、低極性材料、例えば、シリコン含有有機ポリマー、シリコン含有有機/無機ハイブリッド材料、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)、TEOS、フッ素ケイ酸塩ガラス(FSG)、二酸化シリコン、及び炭素ドープ酸化物(CDO)ガラスが挙げられる。低k誘電体材料は、様々な密度及び様々な多孔度を有することができることが理解されるべきである。
【0021】
本明細書で規定される場合、「高k誘電体材料」は、(二酸化シリコンと比較した場合に)高い誘電率kを持つ材料を言い表す。高k誘電体は、マイクロ電子デバイスの二酸化シリコンゲート誘電体又は他の誘電体の層を置き換えるために使用することができる。高k材料は、二酸化ハフニウム(HfO2)、酸窒化ハフニウム(HfON)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸窒化ジルコニウム(ZrON)、酸化アルミニウム(Al23)、酸窒化アルミニウム(AlON)、酸化ハフニウムシリコン(HfSiO2)、酸化ハフニウムアルミニウム(HfAlO)、酸化ジルコニウムシリコン(ZrSiO2)、二酸化タンタル(Ta25)、酸化アルミニウム、Y23、La23、酸化チタン(TiO2)、アルミニウムドープ二酸化ハフニウム、ビスマスストロンチウムチタン(BST)、又は白金ジルコニウムチタン(PZT)であることができる。
【0022】
本明細書で規定される場合、「バリア材料」という用語は、金属ライン、例えば、銅相互接続をシールして、前記金属、例えば銅の誘電体材料中への拡散を最小限にするために当技術分野で使用される任意の材料に対応する。好ましいバリア層材料としては、タンタル、チタン、ルテニウム、ハフニウム、並びに他の耐熱金属及びそれらの窒化物及びケイ化物が挙げられる。
【0023】
「実質的に含まない」は、本明細書では0.001wt%未満として規定される。「実質的に含まない」はまた、0.000wt%を含む。「含まない」という用語は、0.000wt%を意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「約」は、述べられた値の±5%に相当することが意図される。組成物の特定の成分がゼロの下限値を含む重量パーセントの範囲に関連して議論される全てのそのような組成物において、組成物の様々な特定の実施形態では、そのような成分は存在することができるか又は存在しないことができること、及び、例えば、そのような成分が存在する場合は、それらの成分が、そのような成分が用いられる組成物の全体重量に対して0.001wt%程度の濃度で存在することができることが理解される。組成物の全てのパーセンテージは重量パーセントであり、組成物の全体重量、すなわち100%に対するものであることを留意されたい。
【0025】
本態様の広い実施において、本発明のエッチング液は、水、リン酸溶液(水性)、フッ化物イオン源、及び水混和性有機溶媒を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0026】
幾つかの実施形態において、本明細書で開示されるエッチング液組成物は、例えば過酸化物のような酸化剤を実質的に含まないように配合される。したがって、幾つかの実施形態において、エッチング液組成物は過酸化水素を含まない。
【0027】
本明細書で用いられる見出しは、限定することを意図するものでなく、むしろ、それらは組織的な目的のみのために含まれる。
【0028】

本発明のエッチング組成物は水系であり、したがって水を含む。本発明において、水は様々に機能し、例えば、組成物の1つ又は複数の成分を溶解するため、成分のキャリアとして、残留物の除去の助剤として、組成物の粘度改質剤として、及び希釈液として機能する。好ましくは、洗浄組成物中で用いられる水は脱イオン(DI)水である。水を、単独で組成物中に加えてもよく、又は組成物に加えられる他の成分、例えば、組成物に加えられる水性リン酸及び/又は水性フッ化物イオン源の水溶液の一部として加えてもよい。次の段落で説明する水の範囲は、あらゆる源由来の組成物中の全ての水を含む。
【0029】
多くの用途について、組成物中の水の重量パーセントは、以下の数字群:0.5、1、5、10、15、20、25、30、40、45、48、50、55、58、60、62、65、68、70、75、80、85、90及び95から選択される始点及び終点を有する範囲に存在すると考えられる。組成物中で使用することができる水の範囲の例としては、例えば、約0.5〜約60wt%又は約1〜約60wt%;又は約0.5〜約40wt%又は約1〜約25wt%又は約1〜約20wt%又は約1〜約15wt%;又は約5〜約20wt%;又は約5〜約15wt%;又は約40〜約70wt%又は約45〜約75wt%;又は約40〜約60wt%又は約45〜約65wt%又は約50〜約70wt%又は約50〜約65wt%又は約40〜約75wt%又は約30〜約75wt%の水が挙げられる。本発明のまた他の好ましい実施形態では、他の成分の所望の重量パーセントを達成するための量で水を含むことができる。
【0030】
リン含有無機酸
本発明のエッチング組成物は、リン含有無機酸又はその塩を含む。リン含有無機酸は、窒化タンタル(TaN)をエッチングするために主に機能する。リン含有無機酸の例としては、例えば、リン酸(H3PO4)、次亜リン酸(H3PO2)、亜リン酸(H3PO3)、次リン酸(H426)、メタリン酸(HPO3)、ペルオキソリン酸(H3PO5)、及びそれらの塩が挙げられる。塩の例としては、リン酸のナトリウム塩、例えば、NaH2PO4、Na2HPO4が挙げられる。リン含有無機酸としてはまた、例えば、水の除去によってより大きな分子に縮合されることで2つ以上のオルソリン酸分子が結合するものが挙げられる。したがって、一連のポリリン酸を得ることができ、その例としては、ピロリン酸(H427)、トリポリリン酸(H5310)、テトラポリリン酸(H6413)、トリメタリン酸(H339)、及び無水リン酸(P410)が挙げられる。
【0031】
幾つかの実施形態において、リン酸が用いられる。商業グレードのリン酸を使用することができる。典型的に、商業的に入手可能なリン酸は、80〜85%水溶液として利用可能である。好ましい実施形態において、電子グレードのリン酸溶液が用いられ、そのような電子グレード溶液は典型的に100粒子/ml未満の粒子数を有し、その粒子のサイズは0.5ミクロン以下であり、金属イオンが1リットルあたり低百万分率〜十億分率レベル、例えば1ppm以下で酸中に存在する。フッ化水素酸の可能性のある追加を除き、本発明の組成物には、硝酸又は硫酸又はそれらの混合物のような他の酸は加えられない。幾つかの実施形態において、HFをフッ化物イオン源として加えることができる。
【0032】
本発明の組成物は、例えば過酸化物のような他の酸化剤を実質的に含まないか又は含まない。したがって、本発明の組成物は、過酸化物、例えば、過酸化水素、過硫酸塩(例えば、モノ過硫酸塩及びジ過硫酸塩)、過炭酸塩、それらの酸、それらの塩、及びそれらの混合物を実質的に含まないか又は含まない。
【0033】
本発明の組成物はまた、好ましくは、他の酸化剤、例えば、酸化ハライド(例えば、ヨウ化物、過ヨウ化物、それらの酸、及びそれらの混合物など)、過ホウ酸、過ホウ酸塩、過炭酸塩、ペルオキシ酸(例えば、過酢酸、過安息香酸、それらの塩及びそれらの混合物など)、過マンガン酸、セリウム化合物、フェリシアン化物(例えば、フェリシアン化カリウム)、並びにそれらの混合物などを実質的に含まないか又は含まない。
【0034】
幾つかの実施形態において、(原液組成物に基づく)リン含有無機酸又はその塩の重量パーセントは、以下の数字群:0.5、1、4、5、6、8、10、15、20、25、30、35、40、45、48、50、55、58、60、62、65、68、70、75及び80から選択される始点及び終点を有する範囲である。組成物中のリン含有無機酸の範囲の例は、約5〜約80wt%、又は約10〜約80wt%、又は約0.5〜約35wt%又は約20〜約70wt%、又は約30〜約60wt%、又は35〜約50wt%、又は約1〜約40wt%、又は約1〜約25wt%、又は約1〜約20wt%、又は約5〜約20wt%、又は約5〜約15wt%である。幾つかの実施形態において、リン含有無機酸の量は、組成物の約10〜約50wt%を含む。
【0035】
フッ化物イオン源
本発明のエッチング組成物はまた、1つ又は複数のフッ化物イオン源を含む。フッ化物イオンは、TaNの除去を補助するために主に機能する。本発明に係るフッ化物イオン源を提供する典型的な化合物は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、4級フッ化アンモニウム、例えば、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、六フッ化アルミニウム、並びに、以下の式:R1NR234Fであって、式中、R1、R2、R3及びR4が独立して、H又は(C1〜C4)アルキル基を示す式を有する脂肪族1級、2級又は3級アミンのフッ化物塩である。典型的に、R1、R2、R3及びR4基中の炭素原子の総数は12個以下の炭素原子である。脂肪族1級、2級又は3級アミンのフッ化物塩の例としては、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウム、及びフッ化テトラブチルアンモニウムが挙げられる。
【0036】
フッ化物イオン源を選択するうえで、その源が洗浄される表面に悪影響を与えるイオンを発するかどうかについて考慮すべきである。例えば、半導体部材の洗浄において、洗浄組成物中にナトリウムイオン又はカルシウムイオンが存在すると、部材の表面上に悪影響を及ぼす場合がある。好ましい実施形態において、フッ化物イオン源は、フッ化アンモニウムである。
【0037】
多くの用途について、洗浄組成物中でフッ化物イオン源として使用される化合物の量は、約0.01〜約8wt%又は約0.01〜約7wt%のフッ化アンモニウム溶液(40%)、又はその化学量論的当量を含むと考えられる。好ましくは、組成物は、約0.02〜約8wt%、より好ましくは約0.02〜約6wt%、さらにより好ましくは約1〜約8wt%、最も好ましくは約0.025〜約5wt%の約40%のフッ化アンモニウムの溶液を含む。幾つかの実施形態において、組成物は、40%フッ化アンモニウム溶液により提供されることができる、約0.01〜約8wt%又は約0.01〜約7wt%のフッ化物イオン源を含む。好ましくは、組成物は、約0.02〜約6wt%の不化物イオン源、最も好ましくは約0.025〜約5wt%又は約0.04〜約2.5wt%のフッ化物イオン源、又は約0.05〜約15wt%の40%フッ化アンモニウムの溶液、最も好ましくは約0.0625〜約12.5wt%又は約0.1〜約6.25wt%の40%フッ化アンモニウム溶液を含む。しかしながら、使用されるフッ化物イオンの量は、典型的に、洗浄される特定の基材によって決まることが理解されるべきである。例えば、幾つかの洗浄用途において、フッ化物エッチングに高い耐性を有する誘電体材料を含む基材を洗浄する際は、フッ化物イオンの量を比較的高くすることができる。反対に、他の用途において、例えば、フッ化物エッチングに低い耐性を有する誘電体材料を含む基材を洗浄する際は、フッ化物イオンの量を比較的低くすべきである。
【0038】
明確にするために、洗浄組成物中のフッ化物イオン源の量は、フッ化物イオン源のみ(原液)の追加に基づいて、以下の重量パーセントのリスト:0.001、0.0016、0.002、0.0025、0.004、0.008、0.01、0.04、0.05、0.1、0.4、0.6、1、2、2.4、2.8、3、3.2、5、6、10、12、15、及び20から選択される始点及び終点を有する範囲の重量パーセントを含むことができる。例えば、組成物中のフッ化物イオン源(原液)の量は、約0.004〜約3.2wt%又は約0.004〜約2.8wt%であることができる。組成物は、約0.008〜約3.2wt%、又は約0.008〜約2.4wt%、又は約0.4〜約3.2wt%、又は約0.01%〜約2wt%、又は0.01%〜約10wt%、又は0.01%〜約5wt%のフッ化物イオン源を含むことができる。幾つかの実施形態において、組成物は、約0.004〜約3.2wt%のフッ化物イオン源を含む。組成物は、約0.001〜約2wt%、又は約0.0016〜約1wt%のフッ化物イオン源、又は約0.002〜約6wt%又は約0.0025〜約5wt%又は約0.04〜約0.025wt%のフッ化物イオン源を含むことができる。また別の実施形態において、組成物は、原液のフッ化物イオン源の追加に基づいて、約0.05〜約20wt%又は約0.1〜約15wt%、又は約0.1〜約20wt%、又は約0.01〜約20wt%、又は約0.1〜約10wt%又は約0.1〜約5wt%、又は約0.6〜約12wt%又は約1〜約20wt%又は約1〜約15wt%又は約1〜約10wt%のフッ化物イオン源を含むことができる。
【0039】
水混和性溶媒
本発明のエッチング組成物は、水混和性溶媒を含む。用いることができる水混和性有機溶媒の例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール、1,4−ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル(例えば、販売名Dowanol DBの下で商業的に入手可能)、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、アルコール、スルホキシド、又はそれらの混合物である。好ましい溶媒は、アルコール、ジオール、又はそれらの混合物である。最も好ましい溶媒はジオール、例えば、プロピレングリコールである。
【0040】
本発明の幾つかの実施形態において、水混和性有機溶媒はグリコールエーテルを含むことができる。グリコールエーテルの例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、モノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレンモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−ブタノール、2−メトキシ−1−ブタノール、2−メトキシ−2−メチルブタノール、1,1−ジメトキシエタン、及び2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールが挙げられる。
【0041】
多くの用途について、組成物中の水混和性有機溶媒の量は、以下の重量パーセントのリスト:0.5、1、5、7、12、15、20、30、35、40、50、59.5、65、68及び70から選択される始点及び終点を有する範囲であることができると考えられる。溶媒のそのような範囲の例としては、組成物の約0.5〜約59.5wt%;又は約1〜約50wt%;又は約1〜約40wt%;又は約0.5〜約30wt%;又は約1〜約30wt%;又は約5〜約30wt%;又は約5〜約15wt%;又は約7〜約12wt%が挙げられる。
【0042】
任意成分
本発明のエッチング組成物はまた、以下の添加剤:キレート剤、界面活性剤、化学改質剤、染料、殺生物剤、及び他の添加剤のうち1つ又は複数を含むことができる。1つ又は複数の添加剤は、それらが組成物の性能に悪影響を与えない範囲で加えることができる。
【0043】
エッチング組成物中で使用することができる別の任意成分は金属キレート剤であり、それは、溶解している金属を保持するための組成物の能力を増加させ、かつ、金属残留物の溶解を向上するために機能することができる。この目的に有用なキレート剤の典型的な例は、以下の有機酸、並びのそれらの異性体及び塩である:エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ブチレンジアミンテトラ酢酸、(1,2−シクロへキシレンジアミン)テトラ酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DETPA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、(ヒドロキシエチル)エチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、N,N,N’,N’−エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン)酸(EDTMP)、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸(TTHA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−N,N,N’,N’−テトラ酢酸(DHPTA)、メチルイミノジ酢酸、プロピレンジアミンテトラ酢酸、ニトロトリ酢酸(NTA)、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、糖酸、グリセリン酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸、マンデル酸、マロン酸、乳酸、サリチル酸、没食子酸プロピル、ピロガロール、8−ヒドロキシキノリン、及びシステイン。好ましいキレート剤は、アミノカルボン酸、例えば、EDTA、CyDTA、及びアミノホスホン酸、例えば、EDTMPである。
【0044】
存在する場合、キレート剤は、組成物の約0.1〜約10wt%の量、好ましくは約0.5〜約5wt%の量で組成物中に存在すると考えられる。
【0045】
幾つかの好ましい実施形態において、本発明の組成物は、組成物に加えられる上述のキレート剤のいずれか又は全てを含まないか、又は実質的に含まない。
【0046】
染料、界面活性剤、殺生物剤のような他の一般的に知られる成分を、従来の量、例えば、合計で組成物の約5wt%以下の量で組成物中に含めることができる。
【0047】
幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、染料、界面活性剤、及び/又は殺生物剤のいずれか又は全てを含まないか又は実質的に含まない。
【0048】
幾つかの実施形態において、本明細書で開示されるエッチング液組成物は、無機酸及び/又は4級水酸化アンモニウムを実質的に含まないか又は含まないように配合され、例えば、組成物は、以下:水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化メチルトリエチルアンモニウム、及び/又は水酸化テトラブチルアンモニウムのうち1つ又は複数を実質的に含まないか又は含まないことができる。幾つかの実施形態において、組成物は、以下:水酸化物、金属水酸化物、例えば、KOH又はLiOH又はNaOHのうち1つ又は複数を実質的に含まないか又は含まないことができる。他の実施形態において、組成物は、1つ又は複数のフッ素含有化合物以外のハライド含有化合物を実質的に含まないか又は含まないことができ、例えば、組成物は、以下:臭素含有化合物、塩素含有化合物又はヨウ素含有化合物のうち1つ又は複数を実質的に含まないか又は含まないことができる。他の実施形態において、組成物は、スルホン酸及び/又は硫酸及び/又は硝酸及び/又は塩酸を実質的に含まないか又は含まないことができる。他の実施形態において、組成物は、硫酸塩及び/又は硝酸塩及び/又は亜硫酸塩及び/又は亜硝酸塩を実質的に含まないか又は含まないことができる。他の実施形態において、組成物は、水酸化アンモニウム及び/又はエチルジアミンを実質的に含まないか又は含まないことができる。他の実施形態において、組成物は、ナトリウム含有化合物及び/又はカルシウム含有化合物及び/又はマンガン含有化合物及び/又はマグネシウム含有化合物及び/又はクロム含有化合物及び/又は硫黄含有化合物及び/又はモリブデン含有化合物を実質的に含まないか又は含まないことができる。他の実施形態において、組成物は、過酸化物、すなわち、少なくとも1つのペルオキシ基(−O−O−)を含む化合物、例えば、過酸化物及び/又は過硫酸塩、及び/又は過炭酸塩、及び/又はそれらの酸、及び/又はそれらの塩、及び/又はそれらの混合物を実質的に含まないか又は含まないことができる。他の実施形態において、組成物は、(単独で又はこの段落の他の成分のいずれかと組み合わせて)以下:ヨウ化物、過ヨウ化物、過ホウ酸、過ホウ酸塩、ペルオキシ酸(例えば、過酢酸、過安息香酸)、過マンガン酸塩、セリウム化合物、フェリシアン化物(例えば、フェリシアン化カリウム)、又はそれらの塩、又はそれらの混合物などのうち1つ又は複数を実質的に含まないか又は含まないことができる。本発明のエッチング液組成物は、典型的に、全ての固形物が水系媒体中で溶解するまで、室温においてベッセル中で成分を共に混合することで調製される。
【0049】
方法
別の態様において、リン酸及び水混和性溶媒を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる組成物中で選択的にエッチングすることにより、窒化タンタル及び窒化チタンを含む複合半導体デバイスにおいて、窒化チタンに対する窒化タンタルのエッチ速度を選択的に向上させるための方法が提供される。方法は、窒化タンタル及び窒化チタンを含む複合マイクロ電子(半導体)デバイスを、リン酸及び水混和性有機溶媒を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる組成物と接触させる接触工程と、窒化タンタルが少なくとも部分的に除去された後に複合半導体デバイスをリンスする工程とを含む。追加の乾燥工程をまた、本方法に含めることができる。「少なくとも部分的に除去」とは、材料の少なくとも50%の除去、好ましくは材料の少なくとも70%の除去を意味する。最も好ましくは、本発明の組成物を使用して、少なくとも80%除去が達成される。
【0050】
接触工程は、任意の適切な手段、例えば、浸漬、スプレー、又はシングルウエハプロセスにより行うことができる。接触工程中の組成物の温度は、好ましくは、約25〜約150℃又は約25〜約100℃、より好ましくは約30〜約60℃である。接触工程は、30秒間〜60分間又は1〜60分間又は1〜30分間であることができる。プロセス時間は、エッチングされるべき1つ又は複数のTaN層及び/又は保存されるべき半導体デバイス上にある1つ又は複数のTiN層の厚さに応じて、調整することができる。
【0051】
好ましい実施形態において、本発明の組成物を用いて観測される窒化チタンに対する窒化タンタルのエッチ選択性は、約2以上又は約5以上である。好ましくは、本発明の組成物を用いて観測されるエッチ選択性は約5〜約125以上、より好ましくは約5〜約80以上、又は約9以上、又は約9〜125以上、又は約20〜125以上又は30〜125以上である。
【0052】
接触工程の後は任意選択のリンス工程である。リンス工程は、任意の適切な手段で行うことができ、例えば、浸漬又はスプレー技術により脱イオン水で基材をリンスすることができる。好ましい実施形態において、リンス工程は、脱イオン水と、イソプロピルアルコールのような有機溶媒との混合物を用いて行うことができる。
【0053】
接触工程及び任意選択のリンス工程の後は、任意選択の乾燥工程であり、それは、任意の適切な手段、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)蒸気乾燥、熱、又は遠心力により行われる。
【0054】
特徴及び利点は、以下で説明される例示の例により完全に示される。
【実施例】
【0055】
洗浄組成物を調製するための一般手順
本例の対象である全ての組成物を、1”テフロン(登録商標)コーティング撹拌棒を用いて250mLビーカー中で成分を混合することで調製した。典型的に、ビーカーに加えた第1の材料は脱イオン(DI)水であった。典型的に、リン酸を次に加えて、その後、水混和性溶媒とフッ化物イオン源とを加えた。
【0056】
基材の組成
試験クーポンは、1000ÅのTaNを有するシリコンウエハ及び1000ÅのTiNを有するシリコンウエハであった。
【0057】
処理条件
400rpmに設定した1/2”円形テフロン(登録商標)撹拌棒を用いて250mLビーカー中で100gのエッチング組成物を使用してエッチング試験を行った。エッチング組成物をホットプレート上で約40℃の温度に加熱した。試験クーポンを約20分間撹拌しながら組成物中に浸漬した。
【0058】
TaNウエハについては2分間、TiNウエハについては10分間、35〜45℃でエッチ速度を測定した。エッチ速度を、処理前後の厚さの差を浸漬時間で割ることで算出した。
【0059】
次いで、断片をDI水浴又はスプレーで3分間リンスして、その後濾過窒素を使用して乾燥した。窒化タンタル及び窒化チタンのエッチ速度を、エッチング前後の厚さの変化から見積り、CDE172の4点抵抗率測定装置(resmap)により測定した。典型的な初期層厚さは、窒化タンタルについては1000Å、窒化チタンについては1000Åであった。
【0060】
比較例
表1及び2の組成物は、高アルカリ環境の配合物中でTaNをH22によってエッチングすることができたことを示している。しかしながら、それはTiN膜をエッチングすることに関してより攻撃的であった。TiNに対するTaNの選択性は、NH4OH/H22溶液中において1より低かった。BOE(HF/NH4F)も試験したが、BOEはNH4OH/H22プラットフォームほど攻撃的ではなかった。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
例1
表3で評価した組成物により、フッ化アンモニウムの存在下でTiNに対してTaNを選択的にエッチングすることができることが示された。
【0064】
【表3】
【0065】
例2
表4で評価した組成物により、H3PO4がTaNのエッチングに有効であることが示された。
【0066】
【表4】
【0067】
例3
表5で評価した組成物により、グリセロールがTiNに対するTaNエッチ選択性を促進するための良好な能力を示していることが示された。
【0068】
【表5】
【0069】
例4
上記の実験に基づき、最適化した配合物(257N)(表6)をTaN/TiNの2層ウエハ上に適用した。XPSを行って上部のTaNが完全に除去されたかどうかを確認し、TEM断面を使用して下部のTiN膜がダメージを受けているかどうかを確認した。
【0070】
【表6】
【0071】
図1を参照すると、TaN層の多くが40℃/3分間で配合物257Nにより除去されたことがXPS信号により示されている。
【0072】
前述の説明は、例示の目的を主に意図している。本発明は、本発明の例示の実施形態に対して示され説明されてきたが、当業者は、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、形態及びその詳細部における前述及び様々な他の変更、省略、及び追加することができることを理解すべきである。
本開示は以下も包含する。
[1]
水、
リン含有無機酸、
フッ化物イオン源、及び
水混和性有機溶媒
を含み、マイクロ電子デバイスから、窒化チタンに対して窒化タンタルを選択的に除去するのに適したエッチング液。
[2]
前記水混和性溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール、1,4−ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、アルコール、スルホキシド、又はそれらの混合物からなる群より選択される、[1]に記載のエッチング組成物。
[3]
前記水混和性溶媒が、ブチルジグリコール、グリセロール、プロピレングリコール、又はそれらの混合物からなる群より選択される、[1]に記載のエッチング組成物。
[4]
前記フッ化物イオン源が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、4級フッ化アンモニウム、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、六フッ化アルミニウム、及び、式:R1NR234Fであって、式中、R1、R2、R3及びR4が独立して、H又は(C1〜C4)アルキル基を示す式を有する脂肪族1級、2級又は3級アミンのフッ化物塩からなる群より選択される、[1]に記載のエッチング組成物。
[5]
前記フッ化物イオン源が、フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、及びそれらの混合物からなる群より選択される、[4]に記載のエッチング組成物。
[6]
前記フッ化物イオン源が、フッ化アンモニウムを含む、[5]に記載のエッチング組成物。
[7]
前記リン含有無機酸が、リン酸(H3PO4)、次亜リン酸(H3PO2)、亜リン酸(H3PO3)、次リン酸(H426)、メタリン酸(HPO3)、ペルオキソリン酸(H3PO5)、ピロリン酸(H427)、トリポリリン酸(H5310)、テトラポリリン酸(H6413)、トリメタリン酸(H339)、無水リン酸(P410)、それらの塩、及びそれらの混合物からなる群より選択される、[1]に記載のエッチング組成物。
[8]
前記リン含有無機酸がリン酸(H3PO4)を含む、[1]に記載のエッチング組成物。
[9]
酸化剤を実質的に含まない、[1]に記載のエッチング組成物。
[10]
約0.5〜約50wt%の前記リン含有無機酸(原液)、
約0.01〜約20wt%のフッ化物イオン源(原液)、及び
約1〜約50wt%の水混和性有機溶媒を含む、[1]に記載のエッチング組成物。
[11]
約0.5〜約35wt%の前記リン含有無機酸(原液)、
約0.01〜約10wt%のフッ化物イオン源(原液)、及び
約1〜約40wt%の水混和性有機溶媒を含む、[1]に記載のエッチング組成物。
[12]
約1〜約25wt%の前記リン含有無機酸(原液)、
約0.1〜約10wt%のフッ化物イオン源(原液)、及び
約1〜約30wt%の水混和性有機溶媒を含む、[1]に記載のエッチング組成物。
[13]
5以上の窒化チタンに対する窒化タンタルのエッチ選択性を提供する、[1]に記載のエッチング組成物。
[14]
窒化タンタル及び窒化チタンを含むマイクロ電子デバイス上での窒化チタンに対する窒化タンタルのエッチ速度を選択的に向上させる方法であって、
窒化タンタル及び窒化チタンを含むマイクロ電子デバイスを、水、リン含有無機酸、フッ化物イオン源、及び水混和性有機溶媒を含む組成物に接触させる接触工程と、
窒化タンタルが少なくとも部分的に除去された後に前記マイクロ電子デバイスをリンスする工程とを含み、窒化チタンに対する窒化タンタルのエッチ選択性が3超である、方法。
[15]
前記マイクロ電子デバイスを乾燥する工程をさらに含む、[14]に記載の方法。
[16]
窒化チタンに対する窒化タンタルのエッチ選択性が約9〜約125である、[14]に記載の方法。
[17]
前記接触工程が、約25〜約150℃の温度で行われる、[14]に記載の方法。
[18]
前記水混和性溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルジグリコール、1,4−ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、アルコール、スルホキシド、又はそれらの混合物からなる群より選択される、[14]に記載の方法。
[19]
前記フッ化物イオン源が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、4級フッ化アンモニウム、フルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、六フッ化アルミニウム、及び、式:R1NR234Fであって、式中、R1、R2、R3及びR4が独立して、H又は(C1〜C4)アルキル基を示す式を有する脂肪族1級、2級又は3級アミンのフッ化物塩からなる群より選択される、[14]に記載の方法。
[20]
前記フッ化物イオン源が、フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウム、及びフッ化テトラブチルアンモニウムからなる群より選択される、[14]に記載の方法。
[21]
前記リン含有無機酸が、次亜リン酸(H3PO2)、亜リン酸(H3PO3)、次リン酸(H426)、メタリン酸(HPO3)、ペルオキソリン酸(H3PO5)、ピロリン酸(H427)、トリポリリン酸(H5310)、テトラポリリン酸(H6413)、トリメタリン酸(H339)、無水リン酸(P410)、それらの塩、及びそれらの混合物からなる群より選択される、[14]に記載の方法。
図1