(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記所定の下降位置は、前記弾性膜の前記圧力室への加圧流体の供給時において、前記弾性膜が前記研磨テーブルに支持された研磨パッドに接触する位置であることを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
前記所定の下降位置は、前記弾性膜の前記圧力室への加圧流体の供給時において、前記弾性膜が前記研磨テーブルに支持された研磨パッドに接触する位置であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
前記所定の下降位置は、前記弾性膜の前記圧力室への加圧流体の供給時において、前記弾性膜が前記研磨パッドに接触する位置であることを特徴とする請求項10に記載の研磨装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メンテナンスなどの必要に応じて基板保持装置の弾性膜を交換した場合、交換された新たな弾性膜は十分な伸縮性(柔軟性)を有していないため、弾性膜の圧力室への加圧流体の供給および該圧力室の大気開放を行って、交換された新たな弾性膜の伸縮性を向上させる。
【0006】
弾性膜の圧力室への加圧流体の供給および圧力室の大気開放を行うために、ウェハに対する処理を実行するプログラム(レシピ)を作成し、作成されたレシピに従ってダミーウェハ(Non Product Wafer)を自動的に搬送して、ダミーウェハに対する処理を実行する。弾性膜の圧力室への加圧流体の供給および圧力室の大気開放は、この処理中に行われる。
【0007】
しかしながら、ダミーウェハの使用回数は制限されているため、ダミーウェハに対する処理を実行することにより、新たな弾性膜の伸縮性を向上させるためには、大量のダミーウェハを消費しなければならず、結果として、コストが増大する。
【0008】
さらには、レシピに従ったダミーウェハの処理中に圧力室への加圧流体の供給および圧力室の大気開放を行う場合、ダミーウェハは一連の工程(少なくとも、研磨工程、洗浄工程、および乾燥工程を含む)を経なければならないため、時間が掛かってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、ダミーウェハを使用することなく、短時間で、弾性膜の伸縮性を向上させることができる弾性膜のストレッチ動作プログラムを提供することを目的とする。本発明は、弾性膜のストレッチ動作方法を提供することを目的とする。本発明は、弾性膜のストレッチ動作を行う研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様は、基板保持装置の弾性膜のストレッチ動作プログラムであって、コンピュータに、研磨装置の待機運転中に、前記基板保持装置が研磨テーブルの上方にある状態で、前記弾性膜の圧力室への加圧流体の供給および該圧力室の大気開放を行うストレッチ動作を所定の回数、圧力調整装置に実行させることを特徴とする。
【0011】
好ましい態様は、前記プログラムは、前記コンピュータに、旋回可能なヘッドアームに連結された前記基板保持装置を待機位置から前記研磨テーブルの上方に移動させる動作を旋回装置に実行させ、上下動可能なヘッドシャフトに取り付けられた前記基板保持装置を所定の下降位置まで下降させる動作を上下動装置に実行させ、前記ストレッチ動作を前記圧力調整装置に実行させ、前記ストレッチ動作が終了した後、前記基板保持装置を上昇させる動作を前記上下動装置に実行させ、前記基板保持装置を前記待機位置に移動させる動作を前記旋回装置に実行させることを特徴とする。
好ましい態様は、前記所定の下降位置は、前記弾性膜の前記圧力室への加圧流体の供給時において、前記弾性膜が前記研磨テーブルに支持された研磨パッドに接触する位置であることを特徴とする。
好ましい態様は、前記プログラムは、前記コンピュータに、処理液供給ラインを洗浄する洗浄処理をフラッシング装置に実行させ、前記洗浄処理の前後の少なくとも一方において、前記ストレッチ動作を前記圧力調整装置に実行させることを特徴とする。
【0012】
他の態様は、基板保持装置の弾性膜のストレッチ動作方法であって、研磨装置の待機運転中に、前記基板保持装置が研磨テーブルの上方にある状態で、前記弾性膜の圧力室への加圧流体の供給および該圧力室の大気開放を行うストレッチ動作を所定の回数、実行することを特徴とする。
【0013】
好ましい態様は、旋回可能なヘッドアームに連結された前記基板保持装置を待機位置から前記研磨テーブルの上方に移動させ、上下動可能なヘッドシャフトに取り付けられた前記基板保持装置を所定の下降位置まで下降させ、前記ストレッチ動作を実行し、前記ストレッチ動作が終了した後、前記ヘッドシャフトによって前記基板保持装置を上昇させ、前記ヘッドアームによって前記基板保持装置を前記待機位置に移動させることを特徴とする。
好ましい態様は、前記所定の下降位置は、前記弾性膜の前記圧力室への加圧流体の供給時において、前記弾性膜が前記研磨テーブルに支持された研磨パッドに接触する位置であることを特徴とする。
好ましい態様は、処理液供給ラインを洗浄する洗浄処理を実行し、前記洗浄処理の前後の少なくとも一方において、前記ストレッチ動作を実行することを特徴とする。
【0014】
さらに他の態様は、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、基板を保持して前記研磨テーブル上の前記研磨パッドに押圧する基板保持装置と、前記基板保持装置の弾性膜の圧力室への加圧流体の供給および該圧力室の大気開放を行うストレッチ動作を実行する圧力調整装置と、研磨装置の待機運転中に、前記基板保持装置が前記研磨テーブルの上方にある状態で、前記ストレッチ動作を所定の回数、前記圧力調整装置に実行させる制御装置とを備えていることを特徴とする研磨装置である。
【0015】
好ましい態様は、旋回可能なヘッドアームに連結された前記基板保持装置を旋回させる旋回装置と、上下動可能なヘッドシャフトに取り付けられた前記基板保持装置を上下動させる上下動装置とを備え、前記制御装置は、前記基板保持装置を待機位置から前記研磨テーブルの上方に移動させる動作を前記旋回装置に実行させ、前記基板保持装置を所定の下降位置まで下降させる動作を前記上下動装置に実行させ、前記ストレッチ動作を前記圧力調整装置に実行させ、前記ストレッチ動作が終了した後、前記基板保持装置を上昇させる動作を前記上下動装置に実行させ、前記基板保持装置を前記待機位置に移動させる動作を前記旋回装置に実行させることを特徴とする。
好ましい態様は、前記所定の下降位置は、前記弾性膜の前記圧力室への加圧流体の供給時において、前記弾性膜が前記研磨パッドに接触する位置であることを特徴とする。
好ましい態様は、前記研磨パッド上に処理液を供給する処理液供給ノズルが接続された処理液供給ラインを洗浄する洗浄処理を実行するフラッシング装置を備え、前記制御装置は、前記洗浄処理を前記フラッシング装置に実行させ、前記洗浄処理の前後の少なくとも一方において、前記ストレッチ動作を前記圧力調整装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ウェハ(またはダミーウェハ)に対する処理中に弾性膜のストレッチ動作を実行する必要はないため、ウェハ(またはダミーウェハ)の消費に起因するコストを削減することができ、かつ短時間で弾性膜の伸縮性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、研磨装置の一実施形態を示す図である。
図1に示すように、研磨装置は、研磨パッド19を支持する研磨テーブル18と、研磨対象物である基板の一例としてのウェハWを保持して研磨テーブル18上の研磨パッド19に押圧する研磨ヘッド(基板保持装置)1とを備えている。
【0019】
研磨テーブル18は、テーブル軸18aを介してその下方に配置されるテーブルモータ29に連結されており、そのテーブル軸18a周りに回転可能になっている。研磨パッド19は研磨テーブル18の上面に貼付されており、研磨パッド19の表面19aがウェハWを研磨する研磨面を構成している。研磨パッド19は研磨テーブル18に支持されている。
【0020】
研磨テーブル18の上方には処理液供給ノズル25が設置されており、この処理液供給ノズル25によって研磨テーブル18上の研磨パッド19上に研磨液または洗浄液(例えば、純水)または他の液体からなる処理液が供給されるようになっている。
【0021】
研磨ヘッド1は、ウェハWを研磨面19aに対して押圧するヘッド本体2と、ウェハWを保持してウェハWが研磨ヘッド1から飛び出さないようにするリテーナリング3とを備えている。研磨ヘッド1は、ヘッドシャフト27に接続されており、このヘッドシャフト27は、上下動装置81によりヘッドアーム64に対して上下動するようになっている。このヘッドシャフト27の上下動により、ヘッドアーム64に対して研磨ヘッド1の全体を昇降させ位置決めするようになっている。ヘッドシャフト27の上端にはロータリージョイント82が取り付けられている。
【0022】
ヘッドシャフト27および研磨ヘッド1を上下動させる上下動装置81は、軸受83を介してヘッドシャフト27を回転可能に支持するブリッジ84と、ブリッジ84に取り付けられたボールねじ88と、支柱86により支持された支持台85と、支持台85上に設けられたサーボモータ90とを備えている。サーボモータ90を支持する支持台85は、支柱86を介してヘッドアーム64に固定されている。
【0023】
ボールねじ88は、サーボモータ90に連結されたねじ軸88aと、このねじ軸88aが螺合するナット88bとを備えている。ヘッドシャフト27は、ブリッジ84と一体となって上下動するようになっている。したがって、サーボモータ90を駆動すると、ボールねじ88を介してブリッジ84が上下動し、これによりヘッドシャフト27および研磨ヘッド1が上下動する。
【0024】
ヘッドシャフト27はキー(図示せず)を介して回転筒66に連結されている。この回転筒66はその外周部にタイミングプーリ67を備えている。ヘッドアーム64にはヘッドモータ68が固定されており、上記タイミングプーリ67は、タイミングベルト69を介してヘッドモータ68に設けられたタイミングプーリ70に接続されている。したがって、ヘッドモータ68を回転駆動することによってタイミングプーリ70、タイミングベルト69、およびタイミングプーリ67を介して回転筒66およびヘッドシャフト27が一体に回転し、研磨ヘッド1が回転する。ヘッドアーム64は、フレーム(図示せず)に回転可能に支持されたアームシャフト80によって支持されている。研磨装置は、ヘッドモータ68、サーボモータ90、および上下動装置81を含む装置内の各機器を制御する制御装置40を備えている。
【0025】
研磨ヘッド1は、その下面にウェハWを保持できるように構成されている。ヘッドアーム64は、アームシャフト80を介してその下方に配置されるアームモータ89に連結されており、アームシャフト80周りに回転可能になっている。制御装置40は、アームモータ89に電気的に接続されており、研磨ヘッド1を旋回させる旋回装置としてのアームモータ89を制御するように構成されている。
【0026】
ヘッドアーム64はアームシャフト80を中心として旋回可能に構成されており、下面にウェハWを保持した研磨ヘッド1は、ヘッドアーム64の旋回によりウェハWの受取位置(待機位置)から研磨パッド19の上方に移動される。
【0027】
処理液供給ノズル25は、ノズル旋回軸51に固定されており、ノズル旋回軸51を中心として旋回可能に構成されている。ノズル旋回軸51は、ノズルモータ52に連結されており、このノズルモータ52によって、処理液供給ノズル25は、研磨パッド19の外側の待避位置と研磨パッド19の上方の処理位置との間を移動可能に構成されている。制御装置40はノズルモータ52に電気的に接続されており、ノズルモータ52の動作は制御装置40によって制御される。
【0028】
処理液供給ノズル25は処理液供給ライン53に接続されており、処理液供給ライン53には処理液供給バルブ54が取り付けられている。処理液供給バルブ54は制御装置40に電気的に接続されており、処理液供給バルブ54の開閉動作は制御装置40によって制御される。
【0029】
処理液供給バルブ54が開かれると、処理液(洗浄液または研磨液)は、処理液供給ライン53および処理液供給ノズル25を通じて研磨パッド19の表面19a上に供給される。処理液供給バルブ54が閉じられると、処理液の供給は停止される。
【0030】
処理液供給ライン53および処理液供給ノズル25を洗浄する処理はフラッシング装置によって行われる。フラッシング装置は、処理液供給ライン53および処理液供給ノズル25を洗浄する洗浄装置である。このフラッシング装置は、ノズルモータ52と、処理液供給バルブ54とを備えている。フラッシング装置は、制御装置40の指令に従って処理液供給バルブ54を開き、処理液供給ライン53および処理液供給ノズル25に処理液を流して、処理液供給ライン53および処理液供給ノズル25を洗浄する処理を実行する。
【0031】
ウェハWの研磨は次のようにして行われる。研磨ヘッド1および研磨テーブル18をそれぞれ回転させ、研磨テーブル18の上方に設けられた処理液供給ノズル25から研磨パッド19上に研磨液を供給する。この状態で、研磨ヘッド1を所定の位置(所定の高さ)まで下降させ、この所定の位置でウェハWを研磨パッド19の研磨面19aに押圧する。ウェハWは研磨パッド19の研磨面19aに摺接され、これによりウェハWの表面が研磨される。
【0032】
次に、
図1に示す研磨装置に備えられている研磨ヘッド(基板保持装置)1について、
図2を参照して詳細に説明する。
図2は研磨ヘッド1を示す断面図である。
図2に示すように、研磨ヘッド1は、ヘッドシャフト27の下端に固定されたヘッド本体2と、研磨面19aを直接押圧するリテーナリング3と、ウェハWを研磨面19aに対して押圧する弾性膜(メンブレン)10とから基本的に構成される。リテーナリング3はウェハWおよび弾性膜10を囲むように配置されており、ヘッド本体2に連結されている。弾性膜10は、ヘッド本体2の下面を覆うようにヘッド本体2に取り付けられている。
【0033】
弾性膜10は、同心状に配置された複数(図示では8つ)の環状の周壁10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10hを有している。これら複数の周壁10a〜10hによって、弾性膜10の上面とヘッド本体2の下面との間に、中央に位置する円形状の中央圧力室12、最外周に位置する環状のエッジ圧力室14a,14b、および中央圧力室12とエッジ圧力室14a,14bとの間に位置する環状の5つ(この例では)の中間圧力室(第1〜第5中間圧力室)16a,16b,16c,16d,16eが形成されている。本実施形態では、弾性膜10に形成される圧力室の数は8であるが、圧力室の数は本実施形態には限定されない。圧力室の数は弾性膜10の構造に応じて増減されてもよい。
【0034】
ヘッド本体2内には、中央圧力室12に連通する流路20、エッジ圧力室14aに連通する流路22、エッジ圧力室14bに連通する流路24f、および中間圧力室16a,16b,16c,16d,16eにそれぞれ連通する流路24a,24b,24c,24d,24eがそれぞれ形成されている。そして、流路20,22,24a,24b,24c,24d,24e,24fは、それぞれ流体ライン26,28,30a,30b,30c,30d,30e,30fに接続され、これら流体ラインはロータリージョイント82を介して圧力調整装置65に接続されている。圧力調整装置65は制御装置40に電気的に接続されており、制御装置40は圧力調整装置65を制御することができる。
【0035】
リテーナリング3の直上にはリテーナ室34が形成されており、リテーナ室34は、ヘッド本体2内に形成された流路36および流体ライン38を介して圧力調整装置65に接続されている。
【0036】
図2に示すように構成された研磨ヘッド1によれば、ウェハWを研磨ヘッド1で保持した状態で、各圧力室12,14a,14b,16a〜16eに供給される圧力流体の圧力をそれぞれ制御することで、ウェハWの半径方向に沿った弾性膜10上の複数のエリア毎に異なった圧力でウェハWを押圧することができる。このように、研磨ヘッド1においては、ヘッド本体2と弾性膜10との間に形成される各圧力室12,14a,14b,16a〜16eに供給する流体の圧力を調整することにより、ウェハWに加えられる押圧力をウェハWの領域毎に調整できる。同時に、リテーナ室34に供給する圧力流体の圧力を制御することで、リテーナリング3が研磨パッド19を押圧する押圧力を調整できる。
【0037】
ヘッド本体2は、例えばエンジニアリングプラスティック(例えば、PEEK)などの樹脂により形成され、弾性膜10は、例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコンゴム等の強度および耐久性に優れたゴム材によって形成されている。
【0038】
圧力調整装置65の詳細について
図3を参照しつつ説明する。
図3は圧力調整装置65を示す模式図である。
図3に示すように、流体ライン26,28,30a〜30f,38には、開閉バルブV1,V2,V3,V4,V5,V6,V7,V8,V9と圧力レギュレータR1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9がそれぞれ設けられている。
【0039】
図2に示すように、各圧力室に連通している流路20,22,24a,24b,24c,24d,24e,24f,36は、それぞれ流体ライン26,28,30a,30b,30c,30d,30e,30f,38に接続されている。
図3に示すように、流体ライン26,28,30a,30b,30c,30d,30e,30f,38は、流体供給源32に接続されている。
【0040】
流体ライン26,30a〜30f,28,38には、大気開放ライン91〜99が接続されている。これら大気開放ライン91〜99には、大気開放バルブL1〜L9がそれぞれ取り付けられている。
【0041】
圧力レギュレータR1〜R9は、それぞれ流体供給源32から圧力室12,14a,14b,16a〜16eおよびリテーナ室34に供給する加圧流体の圧力を調整する圧力調整機能を有している。圧力レギュレータR1〜R9、開閉バルブV1〜V9、および大気開放バルブL1〜L9は、制御装置40に接続されていて、それらの作動が制御装置40で制御されるようになっている。大気開放バルブL1〜L9が作動されると、各室12,14a,14b,16a〜16e,34は、大気開放され、大気圧状態になる。
【0042】
図示しないが、流体ライン26,28,30a,30b,30c,30d,30e,30f,38には、真空ラインがそれぞれ接続されており、これら真空ラインを通じて各室12,14a,14b,16a〜16e,34には負圧が形成される。このように、各室12,14a,14b,16a〜16e,34は、圧力調整装置65によって加圧状態、負圧状態、大気圧状態のいずれかの圧力状態に調整される。
【0043】
弾性膜10の下面にウェハWが接触した状態で中間圧力室16cに真空が形成されると、ウェハWが研磨ヘッド1に真空吸引により保持される。さらに、ウェハWが研磨パッド19から離れた状態で中間圧力室16cに加圧流体を供給すると、ウェハWが研磨ヘッド1からリリースされる。
【0044】
メンテナンスなどの必要に応じて弾性膜10を交換した場合、交換された新たな弾性膜10は十分な伸縮性(柔軟性)を有していないため、弾性膜10の各圧力室12,14a,14b,16a〜16eへの加圧流体の供給および該圧力室の大気開放を行って、弾性膜10の伸縮性を向上させる必要がある。以下、本明細書中において、ウェハ(ダミーウェハを含む)が研磨ヘッド1に保持されていない状態、すなわちウェハが弾性膜10に接触していない状態で、各圧力室12,14a,14b,16a〜16eへの加圧流体の供給および大気開放を行う動作をストレッチ動作(慣らし動作)と云う。この弾性膜10のストレッチ動作を行うことにより、弾性膜10の伸縮性(柔軟性)を向上することができ、ウェハWに対する押圧力を均一化することができる。結果として、ウェハWの表面を安定的に研磨することができる。
【0045】
弾性膜10のストレッチ動作は、制御装置40によって制御される。本実施形態では、制御装置40は、専用のコンピュータまたは汎用のコンピュータから構成される。
図4は、制御装置40の構成を示す模式図である。制御装置40は、プログラムやデータなどが格納される記憶装置110と、記憶装置110に格納されているプログラムに従って演算を行うCPU(中央処理装置)などの処理装置120と、データ、プログラム、および各種情報を記憶装置110に入力するための入力装置130と、処理結果や処理されたデータを出力するための出力装置140と、インターネットなどのネットワークに接続するための通信装置150を備えている。
【0046】
記憶装置110は、処理装置120がアクセス可能な主記憶装置111と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置112を備えている。主記憶装置111は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)であり、補助記憶装置112は、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)などのストレージ装置である。
【0047】
入力装置130は、キーボード、マウスを備えており、さらに、記録媒体からデータを読み込むための記録媒体読み込み装置132と、記録媒体が接続される記録媒体ポート134を備えている。記録媒体は、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、光ディスク(例えば、CD−ROM、DVD−ROM)や、半導体メモリー(例えば、USBフラッシュドライブ、メモリーカード)である。記録媒体読み込み装置132の例としては、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブなどの光学ドライブや、カードリーダーが挙げられる。記録媒体ポート134の例としては、USBポートが挙げられる。記録媒体に記憶されているプログラムおよび/またはデータは、入力装置130を介して制御装置40に導入され、記憶装置110の補助記憶装置112に格納される。出力装置140は、ディスプレイ装置141、印刷装置142を備えている。制御装置40は、記憶装置110に電気的に格納されたプログラムに従って動作する。
【0048】
図5は弾性膜10のストレッチ動作の動作条件を設定するための設定画像を示す図である。
図6は弾性膜10のストレッチ動作プログラムに従って動作する制御装置40の処理フローを示す図である。
図7は制御装置40によって制御される研磨装置の動作を示す図である。
【0049】
図5に示すように、ストレッチ動作の動作条件を設定するための設定画像はディスプレイ装置141の表示画面上に表示される。この設定画像の上部には、ストレッチ動作の対象となる圧力室を示す欄250、対象となる圧力室に供給される加圧流体の圧力値を示す欄251、加圧流体の供給時間を示す欄252、大気開放時間を示す欄253、ストレッチ動作の繰り返し回数を示す欄254、メンブレンハイトの数値を示す欄255を含む設定値表示欄が表示されている。なお、
図5では、上記欄には、具体的な数値は表示されていない。
【0050】
作業者は、入力装置130を介してストレッチ動作の動作条件を設定することができる。ストレッチ動作の動作条件を設定するための設定値入力項目は設定画像の下部に表示されている。ストレッチ動作の対象となる圧力室を新たに追加する場合、作業者は、入力装置130を介して設定画像に表示されている追加ボタン260を選択する。ストレッチ動作の対象となる圧力室を削除する場合、作業者は、入力装置130を介して削除対象となる圧力室を決定し、設定画像に表示されている削除ボタン261を選択する。このようにして、作業者は、ストレッチ動作の対象となる圧力室の追加および削除を行うことができる。
【0051】
設定画像の最上部には、ストレッチ動作を開始するスタートボタン270と、ストレッチ動作を中断する中断ボタン271とが表示されている。作業者は、入力装置130を介してスタートボタン270を選択することにより、ストレッチ動作が開始される。このように、作業者の操作に従って開始されるストレッチ動作はマニュアルモードによるストレッチ動作である。作業者が入力装置130を介して中断ボタン271を選択することにより、ストレッチ動作は中断される。
【0052】
図6はスタートボタン270の選択によって動作する制御装置40の処理フローを示す図である。
図6のステップS101に示すように、制御装置40は、マニュアルモードによるストレッチ動作の開始条件を満たしているか否かを判定する。例えば、制御装置40は、ストレッチ動作を実行するために必要な機器が動作可能であるか否か、および研磨装置が待機運転中であるか否か、すなわち、実際にウェハWを処理中でないか否かなどの条件をチェックする。
【0053】
制御装置40は、ストレッチ動作の開始条件を満たしていると判定した場合(
図6のステップS101の「YES」参照)、記憶装置110に格納されたストレッチ動作プログラムに従って、
図6のステップS102〜S107を実行する。弾性膜10のストレッチ動作は、ウェハWが研磨ヘッド1に保持されていない状態、すなわちウェハWが弾性膜10に接触していない状態で行われる。
【0054】
制御装置40は、ストレッチ動作の開始条件を満たしていないと判定した場合(
図6のステップS101の「NO」参照)、ストレッチ動作の中断(ストレッチ動作の不実行)を決定し(
図6のステップS108参照)、エンド処理を実行する(
図6のステップS109参照)。
【0055】
図6および
図7に示すように、制御装置40は、旋回可能なヘッドアーム64に連結された研磨ヘッド1を待機位置から研磨パッド19の上方の研磨位置に移動させる動作をアームモータ89(旋回装置)に実行させるステップ(
図6のステップS102参照)を実行する。結果として、研磨ヘッド1は、研磨テーブル18の外側の待機位置から研磨テーブル18の上方の研磨位置まで移動する。
【0056】
図6のステップS102の後、すなわち、研磨ヘッド1が研磨位置に移動した後、制御装置40は、上下動可能なヘッドシャフト27に取り付けられた研磨ヘッド1を研磨パッド19の上方位置から所定の下降位置まで下降させる動作を上下動装置81に実行させるステップ(
図6のステップS103参照)を実行する。結果として、研磨ヘッド1は上方位置から所定の下降位置まで下降する。
【0057】
所定の下降位置は、研磨パッド19の表面19aと弾性膜10の下面との間の距離として定義されるメンブレンハイトによって決定される。メンブレンハイトは、圧力室を負圧状態にした状態で測定された弾性膜の下面の位置(基準位置)から研磨パッド表面までの高さである。基準位置が決定されれば、メンブレンハイトはボールねじ88の回転によって制御されるため、メンブレンハイトは、圧力室の状態に依存することなく、基準位置に基づいて決定される。
【0058】
所定の下降位置は、弾性膜10の圧力室への加圧流体の供給時において、弾性膜10が研磨テーブル18に支持された研磨パッド19に接触する位置であってもよい。一実施形態では、所定の下降位置はメンブレンハイトが0mm、すなわち、研磨パッド19の表面19aと圧力室を負圧状態にした状態での弾性膜10の下面とが接触する位置であってもよい。他の実施形態では、所定の下降位置は、圧力室を負圧状態にした状態での弾性膜10の下面が研磨パッド19の表面19aから離間している位置(すなわち、研磨テーブル18の上方の位置、より具体的には、研磨パッド19の上方の位置)であってもよい。例えば、メンブレンハイトは、ウェハWの厚さを考慮した高さに決定されてもよい。この場合、研磨パッド19の表面19aと圧力室を負圧状態にした状態での弾性膜10の下面との間の距離は、ウェハWの厚さに相当する。
【0059】
図6のステップS103の後、制御装置40は、弾性膜10のストレッチ動作を所定の回数、圧力調整装置65に実行させるステップ(
図6のステップS104参照)を実行する。
【0060】
圧力調整装置65は、制御装置40の指令に従って、ストレッチ動作の対象となる圧力室に対応する圧力レギュレータおよび開閉バルブを操作して、圧力室に加圧流体を供給する。圧力室は加圧流体の供給によって加圧状態になり、弾性膜10は伸張する。所定時間の経過後、圧力調整装置65は、制御装置40の指令に従って、加圧流体の供給を停止しつつ、ストレッチ動作の対象となる圧力室に対応する大気開放バルブを操作して圧力室を大気開放状態にする。このように、弾性膜10のストレッチ動作を行うことにより、弾性膜10は柔軟になり、弾性膜10の伸縮性を向上させることができる。
【0061】
図7に示す実施形態では、ストレッチ動作の回数は1回である(すなわち、圧力室に加圧流体が供給された回数は1回であり、圧力室が大気開放された回数は1回である)。弾性膜10のストレッチ動作は、弾性膜10が所望の伸縮性(柔軟性)を確保するまで、繰り返されてもよい。
【0062】
ストレッチ動作時において、研磨パッド19の乾燥を防止するために、処理液供給バルブ54を開いて洗浄液を研磨パッド19上に供給してもよい。
【0063】
ストレッチ動作時において、圧力室に供給される加圧流体の圧力は図示しない圧力検出器(例えば、圧力センサ)によって検出され、圧力検出器による圧力検出値は制御装置40に送られる。制御装置40は、この圧力検出値に基づいて圧力室に供給される加圧流体の圧力の異常を監視し、加圧流体の圧力に異常がある場合には、エラーを発報する。中間圧力室16cを形成する弾性膜10の下面には、ウェハWを真空吸引するための小孔が形成されている。したがって、中間圧力室16cに供給された加圧流体は小孔を通じて外部に僅かに漏れるため、制御装置40は中間圧力室16cの圧力エラー監視は行わない。
【0064】
制御装置40は、弾性膜10のストレッチ動作が終了(完了)したか否かを判定し(
図6のステップS105参照)、ストレッチ動作の終了を判定した後(
図6のステップS105の「YES」参照)、研磨ヘッド1を上昇させる動作を上下動装置81に実行させるステップ(
図6のステップS106参照)を実行する。結果として、
図7に示すように、研磨ヘッド1は、所定の下降位置から所定の上方位置まで移動する。制御装置40は、弾性膜10のストレッチ動作が終了していない場合には、ストレッチ動作が終了していないことを判定する(
図6のステップS105の「NO」参照)。
【0065】
弾性膜10のストレッチ動作が終了し、研磨ヘッド1が上昇した後は、制御装置40は、研磨ヘッド1を待機位置に移動させる動作をアームモータ89(旋回装置)に実行させるステップ(
図6のステップS107参照)を実行する。結果として、
図7に示すように、研磨ヘッド1は、研磨位置から待機位置まで移動する。
【0066】
これらステップを制御装置40に実行させるためのプログラムは、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶され、記録媒体を介して制御装置40に提供される。または、プログラムは、インターネットなどの通信ネットワークを介して制御装置40に提供されてもよい。
【0067】
複数の圧力室に対してストレッチ動作を実行する場合、一実施形態では、制御装置40は、これら複数の圧力室に対して同時にストレッチ動作を実行してもよい。この場合、制御装置40は、ストレッチ動作の対象となるすべての圧力室に対するストレッチ動作が実行された後に、ストレッチ動作が終了したか否かを判定する。
【0068】
他の実施形態では、複数の圧力室に対して連続的にストレッチ動作を実行してもよい。複数の圧力室に対して連続的にストレッチ動作を実行する場合、制御装置40は、ストレッチ動作の対象となるすべての圧力室のうちの1つの圧力室に対するストレッチ動作が実行された後に、この圧力室に対するストレッチ動作が終了したか否かを判定し、ストレッチ動作の終了を判定した後に、次の圧力室に対するストレッチ動作を実行する。つまり、制御装置40は、複数の圧力室に対して、ストレッチ動作が終了したか否かを個別的に判定する。
【0069】
上述した実施形態では、制御装置40は、研磨ヘッド1を所定の下降位置まで下降させた状態で、弾性膜10のストレッチ動作を実行する。このストレッチ動作による効果は次の通りである。実際のウェハWに対する処理では、弾性膜10は、ウェハWが研磨ヘッド1に保持された状態、すなわち、ウェハWが弾性膜10に接触した状態で伸縮する。したがって、研磨ヘッド1を研磨パッド19に接触させた状態で、弾性膜10の圧力室に加圧流体を供給することにより弾性膜10を研磨パッド19に接触させ、所定時間の経過後、圧力室の大気開放を行うストレッチ動作を行うことにより、実際のウェハWの処理条件に近い条件で弾性膜10を伸縮させることができる。
【0070】
本実施形態によれば、制御装置40が作業者による操作を介してストレッチ動作の開始を決定すると、制御装置40は、記憶装置110に電気的に格納されたストレッチ動作プログラムに従って、自動的にストレッチ動作を実行する。したがって、ウェハW(またはダミーウェハ)に対する処理中にストレッチ動作を実行する必要はないため、ウェハW(またはダミーウェハ)の消費に起因するコストを削減することができ、かつ短時間で効率よく弾性膜10の伸縮性を向上させることができる。
【0071】
研磨装置の待機運転中に行われる操作として、ダミーディスペンス(DDSP)と呼ばれる操作を挙げることができる。このダミーディスペンスは、研磨装置の待機運転中において、処理液供給バルブ54を開き、処理液供給ライン53および処理液供給ノズル25に定期的に処理液(洗浄液または研磨液)を流すことにより、処理液供給ライン53および処理液供給ノズル25の内部の清浄度を保つための洗浄処理である。本実施形態では、弾性膜10のストレッチ動作はダミーディスペンスに組み込まれてもよい。したがって、本実施形態では、ダミーディスペンスは、処理液供給ノズル25および処理液供給ライン53を洗浄する洗浄処理と、弾性膜10のストレッチ動作とを含む。
【0072】
ダミーディスペンスに含まれるストレッチ動作の動作条件(例えば、ストレッチ動作の回数や継続時間)は、予め制御装置40に導入される。
図8は制御装置40に導入される弾性膜10のストレッチ動作の動作条件に関するダミーディスペンス設定画像を示す図である。
【0073】
図8に示すダミーディスペンス設定画像は、制御装置40のディスプレイ装置141の表示画面上に表示可能である。このダミーディスペンス設定画像には、圧力流体の供給、メンブレンハイト、圧力室の大気開放時間、およびストレッチ動作の対象となる圧力室が表示される項目を示す欄200、欄200に表示された項目に対する設定項目(例えば、ストレッチ動作の非動作時間(インターバルタイム)、設定値、ストレッチ動作の繰り返し回数)が表示される列項目を示す欄201、設定値の小数点以下の桁数を示す欄202、初期値を示す欄203、最大設定値を示す欄204、最小設定値を示す欄205が表示されている。
【0074】
作業者は、入力装置130を介してディスプレイ装置141の表示画面上に表示されるダミーディスペンス設定画像の設定項目の値を設定することができる。なお、
図8では、上記欄202〜205には、具体的な数値は表示されていない。
【0075】
図9は弾性膜10のストレッチ動作が組み込まれたダミーディスペンスを示す図である。
図9において、第1圧力室〜第3圧力室は、それぞれ異なる圧力室であり、これら第1圧力室〜第3圧力室は、それぞれ、上記圧力室12,14a,14b,16a〜16eから選択される。なお、
図9では、3つの圧力室を対象とするストレッチ動作について説明するが、ストレッチ動作の対象となる圧力室の数は
図9に示す実施形態に限定されない。
【0076】
図9に示すように、洗浄処理およびストレッチ動作を含むダミーディスペンスは、研磨装置の一定のアイドル時間経過後に自動的に開始される。このように、一定のアイドル時間経過後に自動的に開始されるストレッチ動作はオートモードによるストレッチ動作である。アイドル時間が長時間であると、弾性膜10は硬化し、圧力室を加圧した際の弾性膜10の膨張具合が変わるため、ウェハWの研磨プロファイルが変化してしまう。すなわち、ウェハWの表面を安定的に研磨することができない。したがって、このアイドル時間は、ウェハWの研磨プロファイルに変化が生じないように、決定される。
【0077】
研磨装置のアイドル時間中、研磨テーブル18の回転は継続され、研磨ヘッド1は待機位置にある。一定のアイドル時間経過後、制御装置40は、ストレッチ動作を除くダミーディスペンスを実行する。より具体的には、制御装置40は、処理液供給ライン53および処理液供給ノズル25を洗浄する洗浄処理をフラッシング装置に実行させる。言い換えれば、制御装置40は、処理液供給バルブ54を作動させて洗浄処理を実行する。この洗浄処理はストレッチ動作の非動作時間(インターバルタイム)の間に行われる。ストレッチ動作の目的は、弾性膜10の硬化を防ぐことをも含む。したがって、弾性膜10が硬化することなく、弾性膜10の適度な弾性を保てる時間間隔を考慮して、インターバルタイムは決定される。仮に、インターバルタイムが設けられていないと、ストレッチ動作が長時間、継続的に行われて、ストレッチ動作の時間が長くなると、弾性膜10が必要以上に伸びてしまい、弾性膜10の寿命が短くなってしまう。したがって、弾性膜10の弾性を適度に維持することができるように、インターバルタイムを設けて、ストレッチ動作の時間間隔を決定する。
【0078】
洗浄処理で使用された処理液(洗浄液または研磨液)は研磨パッド19上に供給されてもよく、または研磨パッド19の外部に配置されたドレイン(図示しない)に供給されてもよい。
【0079】
図9に示すように、洗浄処理が終了した後、制御装置40は、研磨テーブル18の回転を停止させる動作をテーブルモータ29に実行させつつ、アームモータ89によって研磨ヘッド1を待機位置から研磨パッド19の上方の研磨位置まで移動させる。研磨ヘッド1が研磨位置への移動を開始すると同時に、処理液供給ノズル25は、ノズルモータ52によって待避位置から研磨パッド19の上方の処理位置まで移動を開始する。処理液供給ノズル25が処理位置まで移動したら、制御装置40は、研磨パッド19の乾燥を防止するために、処理液供給バルブ54を開く制御を行い、処理液供給ノズル25から洗浄液を研磨パッド19上に供給する。
【0080】
研磨ヘッド1は、上下動装置81によって研磨パッド19の上方の所定の上方位置から所定の下降位置まで下降し、その後、弾性膜10のストレッチ動作が開始される。洗浄液の研磨パッド19上への供給は、このストレッチ動作が行われている間、継続される。
【0081】
図9に示す実施形態では、第1圧力室および第3圧力室に対するストレッチ動作は、それぞれ1回だけ行われており、第2圧力室に対するストレッチ動作は2回繰り返して行われている。ストレッチ動作が2回以上繰り返される場合、圧力室が大気開放される時間は共通化されてもよく、または異なってもよい。
【0082】
第1圧力室〜第3圧力室に対するストレッチ動作は、同時に並列的に開始される。すべての圧力室に対するストレッチ動作が終了した後、処理液供給バルブ54は閉じられ、研磨ヘッド1は下降位置から上方位置まで移動し、これと同時に、処理液供給ノズル25は処理位置から待避位置まで移動する。
【0083】
研磨ヘッド1は、アームモータ89によって研磨位置から研磨テーブル18の外側の待機位置まで移動する。研磨ヘッド1の待機位置への移動を開始すると、研磨テーブル18の回転が再開される。その後、再び、洗浄処理が開始される。すなわち、ストレッチ動作の非動作時間がカウントされる。このようにして、洗浄処理およびストレッチ動作は交互に繰り返される。本実施形態では、ストレッチ動作は、洗浄処理の後に行われているが、洗浄処理の前に行われてもよい。ストレッチ動作は洗浄処理の前後の少なくとも一方において行われる。
【0084】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。例えば、制御装置は、研磨ヘッドが待機位置にある状態で、圧力調整装置を操作して弾性膜のストレッチ動作を実行してもよい。本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。