【文献】
高超 他,Efficient Collection Using Constructive-Interference Flooding in Wireless Sensor Networks,電子情報通信学会2011年通信ソサイエティ大会講演論文集2 B-19-10,2011年 8月30日,p.428
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通信制御部は、受信したデータに含まれる、データの送信時刻に対応するタイムスタンプ情報と、前記中継ノードがデータを送信するサブスロットに対応するタイミング情報とに基づいて、時刻同期を行うことを特徴とする請求項2または3に記載の中継ノード。
複数のサブスロットを含むフラッディングスロットにおいてフラッディング方式を用いて通信する、送信ノードと中継ノードとを含む、同時送信ネットワークに使用する通信システムであって、
前記送信ノードは、
送信すべきデータを取得し、
前記フラッディングスロット内の第1のキャリアセンス期間においてキャリアセンスを行い、
前記第1のキャリアセンス期間において閾値以上の信号を検出しなかった場合に、前記複数のサブスロットのうちの第1のサブスロットにおいて、前記データを送信し、
複数の前記中継ノードは、
前記第1のサブスロットにおいて前記送信ノードからのデータを受信し、
前記フラッディングスロット内の第2のキャリアセンス期間においてキャリアセンスを行い、
前記第2のキャリアセンス期間において閾値以上の信号を検出しなかった場合に、前記第1のサブスロットに続く第2のサブスロットにおいて、前記複数の中継ノード間で同期されたタイミングで前記データを送信し、
受信したデータに含まれる、データの送信時刻に対応するタイムスタンプ情報と、前記中継ノードがデータを送信するサブスロットに対応するタイミング情報とに基づいて、時刻同期を行う、
ことを特徴とする通信システム。
前記第1のキャリアセンス期間は前記第1のサブスロットに含まれ、前記第2のキャリアセンス期間は前記第2のサブスロットに含まれることを特徴とする請求項10に記載の通信システム。
前記第1のキャリアセンス期間および前記第2のキャリアセンス期間は、前記第1のサブスロットより前の期間であることを特徴とする請求項10に記載の通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る中継ノードを含む無線通信システム100を示すブロック図である。
【0014】
無線通信システム100は、送信ノード110、中継ノード120、シンクノード130を含む。
【0015】
本実施形態に係る無線通信システムは、センサデータなどを含むパケットを送信するためのフラッディングスロットを各無線通信ノードに割り当てる。また、各無線通信ノードは、自己に割当てられたフラッディングスロット内でセンサデータなどを含むパケットの送信を行い、そのパケットを受信した他のノードが直ちに同じパケットをフラッディング方式を用いてブロードキャスト送信するという動作を繰り返す。これにより、送信ノード110から送信されたセンサデータをシンクノード130が収集することができる。フラッディングスロットとは、1つの無線通信ノードから別の少なくとも1つの無線通信ノードへ、パケットを送信するために、フラッディング方式を用いるブロードキャスト送信を繰り返す1つのサイクルを指す。なお、フラッディングスロット内において、各ノードが送信または受信を行うためのタイムスロットはサブスロットと呼ぶ。
【0016】
なお、
図1では、1台の送信ノード110、複数の中継ノード120、および1台のシンクノード130を含む無線通信システムを例に説明を行うが、無線通信システムは複数の送信ノード110およびシンクノード130を含んでもよい。
【0017】
また、本実施形態では、送信ノード110と中継ノード120とは別の無線通信ノードであるものとして説明を行うが、無線通信ノードが、後述するスケジュールに応じて、送信ノード110または中継ノード120として動作してもよい。本実施形態に係る無線通信システムの無線通信ノードとは、送信ノード110、中継ノード120、およびシンクノード130の何れかのノードを示す。
【0018】
図2は、上記送信ノード110の構成を示すブロック図である。この送信ノード110は、無線通信部201と、通信制御部202と、スケジュール管理部203と、時刻生成部204と、データ保持部205と、センサ入力部207とを備える。通信制御部202は、送信処理部2021と、転送処理部2022と、信号検出部2023を備える。この例ではセンサ206は送信ノード110のセンサ入力部207に接続されているが、送信ノード110は、センサ206を備えてもよい。
【0019】
上記センサ206は、設置個所における所定のセンシングを行い、センシングしたデータを送信ノード110へ送信する。無線通信部201は、無線通信の送受信部として動作するモジュールであり、他の中継ノード120との間で無線通信部201が備えるアンテナまたは外部のアンテナ(不図示)を介して無線によりデータの送受信を行う。上記通信制御部202は、無線通信部201の通信状態を管理し、決められたシーケンスに従って送信・転送処理を実行させる。
【0020】
ここで、通信制御部202の転送処理部2022は、他の無線通信ノードからのパケットを受信すると共に、他の無線ノードからのデータを解析して、受信したパケットをブロードキャスト送信する中継処理を担当する。また、転送処理部2022は、中継処理において、後述するタイミング情報を変更する。送信処理部2021は、必要なセンサデータを無線通信部201へ送出する。送出するデータは、
図6を参照して後述する。信号検出部2023は所定の信号の信号強度を検出する。
【0021】
上記データ保持部205は、センサ206のセンサデータを時刻と対応させて保持するメモリを備える。上記センサ入力部207は、センサ206からの送信データを受け取ってデータ保持部205に送る。上記スケジュール管理部203は、サブスロットを含む送信ノード110の送受信タイミングの管理を行う。また、スケジュール管理部203は、フラッディングスロット長や、サブスロット長、フラッディングスロットにおける最大送信回数などの、フラッディング方式の通信に必要なパラメータを保持する。上記時刻生成部204は、時計であり、各処理部の制御タイミング設定に用いられる。
【0022】
図3は、上記中継ノード120の構成を示すブロック図である。この中継ノード120は、無線通信部301と、通信制御部302と、スケジュール管理部303と、時刻生成部304とを備える。通信制御部302は、転送処理部3022と、信号検出部3023とを備える。
【0023】
中継ノード120の無線通信部301、スケジュール管理部303、および時刻生成部304は、それぞれ送信ノード110の無線通信部201、スケジュール管理部203、および時刻生成部204と同様の機能を有するため、説明を省略する。中継ノードの通信制御部302は、送信処理部を有していないこと以外は送信ノードの通信制御部202と同様の機能を有するため説明を省略する。なお、中継ノード120は随意に送信ノード110と同様の構成を備えてもよく、センサノードとしての機能を持っていてもよい。
【0024】
図4に、シンクノード130の構成例を示す。シンクノード130は、無線通信部401と、通信制御部402と、データ収集部403と、スケジュール管理部404と、時刻生成部405と、を備える。通信制御部402は、受信処理部4021と、再送処理部4022と、同期処理部4023と、信号検出部4024とを備える。
【0025】
無線通信部401は、無線通信の送受信部として動作するモジュールであり、無線通信部401が備えるアンテナまたは外部のアンテナ(不図示)を介して無線によりデータの送受信を行う。受信処理部4021は、受信データをデータ収集部403に格納する。同期処理部4023は、系全体のスケジュールを作成管理する。スケジュール管理部404は、自己のサブスロットの管理を行う。また、スケジュール管理部404は、フラッディングスロット長や、サブスロット長、フラッディングスロットにおける最大送信回数などの、フラッディング方式の通信に必要なパラメータを保持する。時刻生成部405は、時計である。
【0026】
同期処理部4023は、系全体のスケジュールを作成管理するため、各送信ノード110および中継ノード120に対して、定期的に時刻同期パケットを送信する。シンクノード130が自己のサブスロットに送出するパケットを用いて他の送信ノード110および中継ノード120に同期を促す。時刻同期パケットは、他の通信と同様に、フラッディング方式でリレーされる。信号検出部4024は、無線通信部が所定の信号強度以上の信号を検出する。
【0027】
一例では、シンクノード130は、収集したデータを、外部装置に送信するための通信部またはそのような通信装置に接続するインタフェースを随意に有してもよい。通信部は、セルラ通信などの広域無線通信ネットワーク、Wi−Fiなどの無線ローカルエリアネットワーク、および有線ネットワークの少なくとも何れかを含む通信ネットワークと通信を行う。
【0028】
次に、
図5を参照して、
図1の構成の無線通信システムが行うフラッディング方式による通信の一例を説明する。
【0029】
図5は、
図1のノード構成において、各無線ノードのサブスロットの使用例を示している。なお、
図5に示すフラッディング方式では、無線通信ノードが1つのフラッディングスロット内で送信を行う回数を規定する、最大送信回数は2回であるものとして説明を行う。
【0030】
まず、最初のサブスロット501において、送信ノード110は、パケットを送信する。送信ノード110からのパケットは、中継ノード120aおよび120bが受信するものとする。
【0031】
ここで、
図6を参照して、送信ノード110が送信するパケットフォーマットの一例を説明する。
【0032】
送信元601は、送信ノード110の識別子を示す情報である。宛先602は、シンクノード130の識別子を示す情報である。センサデータ603は、送信ノード110のセンサ206が取得したセンサデータに基づいて生成される情報である。パケットタイプ604は、時刻同期パケット、データパケット、またはスリープパケットなどの、送信ノード110が送信するセンサのパケットタイプを示す情報である。認証コード605は、送信ノード110が無線通信システム内の正当な送信ノード110であることを検証するために用いられる情報である。タイミング情報606は、パケットが送信されるタイミングを示すサブスロット番号に対応する情報である。
【0033】
中継ノード120は、
図5に示すように、パケットを中継する場合に、少なくとも送信元601、宛先602、センサデータ603、およびパケットタイプ604を変更することなく送信する。一方で、少なくともタイミング情報606を変更して送信する。
【0034】
例えば、サブスロット501において、送信ノード110は、タイミング情報606が「1」を示す情報を設定してパケットを送信する。送信ノード110から送信されたパケットは、中継ノード120aおよび120bに受信される。
【0035】
サブスロット501の次のサブスロット502において、中継ノード120aおよび120bは、受信したパケットを転送する。1つのサブスロット内で、複数の無線ノードが送信したパケットは、データが同一であり、および送信時刻が同期されているため、衝突しても問題なく復号される。このため、中継ノード120cは、中継ノード120aおよび120bから同時送信されたパケットを1つのパケットとして受信する。ここで、中継ノード120aおよび120bは、タイミング情報606を「2」に増やしてパケットの送信を行う。中継ノード120aおよび120bからのパケットは、送信ノード110ならびに中継ノード120cおよび120dが受信するものとする。
【0036】
続いて、サブスロット502の次のサブスロット503において、中継ノード120aおよび120bからのパケットを受信した送信ノード110ならびに中継ノード120cおよび120dは、タイミング情報606を「3」に設定して受信したパケットを転送する。送信ノード110ならびに中継ノード120cおよび120dからのパケットは、中継ノード120a、120b、120e、および120f、ならびにシンクノード130が受信するものとする。送信ノード110は、最大送信回数である2回送信を行ったため、以降のサブスロットでは受信も送信も行わない。
【0037】
続いて、サブスロット503の次のサブスロット504において、送信ノード110ならびに中継ノード120cおよび120dからのパケットを受信した中継ノード120a、120b、120eおよび120fは、タイミング情報606を「4」に設定して受信したパケットを転送する。中継ノード120eおよび120fからのパケットは、中継ノード120cおよび120d、並びにシンクノード130が受信する。中継ノード120a、120bは、2回送信を行ったため、以降のスロットでは受信も送信も行わない。
【0038】
続いて、サブスロット504の次のサブスロット505において、中継ノード120a、120b、120eおよび120fからのパケットを受信した中継ノード120cおよび120dは、タイミング情報606を「5」に設定して受信したパケットを転送する。中継ノード120cおよび120dは、2回送信を行ったため、以降のサブスロットでは受信も送信も行わない。中継ノード120cおよび120dからのパケットは、中継ノード120eおよび120fならびにシンクノード130が受信する。
【0039】
続いて、サブスロット505の次のサブスロット506において、中継ノード120cおよび120dからのパケットを受信した中継ノード120eおよび120fは、タイミング情報606を「6」に設定して受信したパケットを転送する。中継ノード120eおよび120fからのパケットは、シンクノード130が受信する。
【0040】
なお、シンクノード130が、後述する時刻同期などのために時刻同期パケット(時刻同期信号)を送信する場合も、
図5に示すようなフラッディング方式の通信と同様に無線通信システム内の無線ノードに送信される。
【0041】
また、この例では、サブスロット501では中継ノード120c〜120fおよびシンクノード130はパケットを検出しなくても受信を行っている。また、サブスロット502でも、中継ノード120e〜120fおよびシンクノード130は受信を行っている。すなわち、フラッディングスロットが始まってから、中継ノード120a〜120fおよびシンクノード130はパケットを受信するために受信を行っている。
【0042】
次に、
図7を参照して、本実施形態に係る無線通信システムが実行する処理の一例を説明する。
【0043】
図7は、シンクノード130が無線通信システム内の時刻同期を実行させ、送信ノード110からデータを収集するまでの処理のシーケンス図を示す。
【0044】
各フラッディングスロットは、フラッディングによるデータ転送の期間を表す。1つのフラッディングスロットは、シンクノード130から、送信ノード110および中継ノード120のうちの少なくとも1台のノードを宛先とした送信(ダウンリンク)、または送信ノード110および中継ノード120のうちの少なくとも1台の無線通信ノードからシンクノード130への送信(アップリンク)に割当てられる期間を表す。
【0045】
なお、アップリンクおよびダウンリンクの両方において、
図5で説明したようなフラッディング方式の通信が用いられる。
【0046】
まず、フラッディングスロット701は、シンクノード130が時刻同期パケットを送信し、フラッディング方式でネットワーク内の各ノードに時刻同期に必要な情報、例えばタイムスタンプ情報、を無線通信システム内の無線ノードに通知するためのフラッディングスロットである。
【0047】
続いて、フラッディングスロット702において、シンクノード130に送信すべきデータを有している送信ノード110は、シンクノード130を宛先に、送信すべきデータの送信を希望する送信要求パケットを送信する。
【0048】
一例では、フラッディングスロット702では、送信すべきデータを有している送信ノード110が、疑似ランダム関数を用いて生成したランダム時間またはランダム数のサブスロットだけ待機し、送信要求パケット(送信要求信号)を送信する、ランダムバックオフベースのフラッディング方式の通信を行う。この場合、送信すべきデータを有している送信ノード110であって、送信要求パケットを送信する前に他の送信ノードから送信要求パケットを受信した送信ノード110は、当該他の通信ノードからの送信要求パケットを中継し、自身の送信要求パケットは送信しない。このように、フラッディングスロット702において、シンクノード130はデータの送信を許可するノードを把握することができる。
【0049】
続いて、フラッディングスロット703において、シンクノード130は、所定の送信ノード110を宛先602に設定し、次のフラッディングスロット704における送信を許可する送信許可パケットを送信する。
【0050】
続いて、フラッディングスロット704において、送信許可パケットで指定された送信ノード110は、当該スロットで送信を開始する。すなわち、送信元601をその送信ノード110の識別子に設定し、宛先602をシンクノード130に設定し、センサデータを送信する。
【0051】
続いて、フラッディングスロット704においてセンサデータを正常に受信したと判断したシンクノード130は、フラッディングスロット705において他の送信ノード110にも、送信許可を送信する。フラッディングスロット706以降は、シンクノード130によって送信を許可された送信ノード110の数に対応するフラッディングスロット数だけセンサデータのアップリンク送信が行われる。その後、フラッディングスロットNにおいて、全ての送信ノード110からのデータ収集が完了したと判定したシンクノード130は、スリープを指示するスリープパケット(スリープ信号)を送信する。スリープパケットを受信した無線通信システム内の無線通信ノードは、フラッディングスロットNの終了後、所定の時刻までスリープ状態に遷移する。所定の時刻とは、1000ミリ秒などの無線通信ノードで共通の時刻であってもよいし、スリープパケットに含まれる情報に基づいて特定されてもよい。
【0052】
<衝突回避>
続いて、
図8を参照して、他システムとの干渉を抑制する、フラッディング方式を用いる無線通信システムを説明する。
【0053】
図8は、
図1の構成の無線通信システムにおける、1つのデータ送信フラッディングスロット内での各無線ノードのサブスロットの使用例を示している。なお、
図8に示すフラッディング方式では、
図1と同様のノード配置であり、フラッディングスロット内の最大送信回数は2回であるものとして説明を行う。
【0054】
図8に示すように、送信ノード110、中継ノード120、およびシンクノード130は、各自が送信を行うサブスロットにおいて、送信前にキャリアセンスを行う。
【0055】
まず、最初のサブスロット801において、シンクノードからセンサデータの送信を許可された送信ノード110はキャリアセンス期間8011においてキャリアセンスを行う。すなわち、信号検出部2023が閾値以上の信号を検出したか否かを判定する。そして、キャリアセンス期間8011において閾値以上の信号を検出しない場合、キャリアセンス期間8011に続く送信期間8012でパケットを送信する。送信ノード110からのパケットは、中継ノード120aおよび120bが受信するものとする。
【0056】
サブスロット801の次のサブスロット802において、中継ノード120aおよび120bは、受信したパケットを転送する。すなわち、中継ノード120aおよび120bは、キャリアセンス期間8021においてキャリアセンスを行い、所定の強度以上の信号を検出しない場合に、続く送信期間8022でパケットを送信する。ここで、サブスロット802で送信を試行する中継ノードは、同じタイミングでキャリアセンスを行うため、無線通信システム100内のノードは信号を送信しておらず、システム外の信号を検出することができる。中継ノード120aおよび120bからのパケットは、送信ノード110ならびに中継ノード120cおよび120dが受信するものとする。
【0057】
続いて、サブスロット802の次のサブスロット803において、中継ノード120aおよび120bからのパケットを受信した送信ノード110ならびに中継ノード120cおよび120dは、受信したパケットを転送しようとする。
【0058】
ここで、中継ノード120dがキャリアセンス期間8031においてキャリアセンスを行った結果、閾値以上の信号を検出したと仮定する。この場合、中継ノード120dは、キャリアセンス期間8031の次の送信期間8032ではパケットを送信しない。これによって、中継ノード120dの周辺に、無線通信システム100が通信で使用する周波数と同じ周波数を用いて通信を行うシステムが存在する場合であっても、システム間の干渉を抑制することができる。
【0059】
サブスロット803で送信される、送信ノード110および中継ノード120cからのパケットは、中継ノード120a、120b、および120e、ならびにシンクノード130が受信する。
【0060】
続いて、サブスロット803の次のサブスロット804において、中継ノード120a、120b、120eおよび中継ノード120dは、受信したパケットを転送する。すなわち、中継ノード120dは、サブスロット803で送信を中止したパケットを、その次のサブスロット804のキャリアセンス期間8041でキャリアセンスを行い、閾値以上の信号を検出しない場合に、続く送信期間8042においてパケットを送信する。なお、この場合、中継ノード120dは、タイミング情報606を「4」に設定する。これによって、中継ノード120dは、同じサブスロット804で送信する中継ノード120a、120b、および120eと同じパケットを送信する。中継ノード120a、120b、120eおよび120dからのパケットは、中継ノード120cおよび120f、並びにシンクノード130が受信する。
【0061】
次に、
図9を参照して、本実施形態に係る中継ノード120が実行する処理を説明する。
図9の処理は、データ収集フラッディングスロット開始時に、中継ノード120の通信制御部302が実行する。
【0062】
まず、S901で、通信制御部302は、送信すべきデータがあるか否かを判定する。一例では、通信制御部302は、直前のサブスロットでパケットを受信した場合に、送信すべきデータがあると判定する。送信すべきデータがあると判定した場合(S901でYes)は処理をS902に進め、送信すべきデータがないと判定した場合(S901でNo)はS901の処理を繰り返す。
【0063】
S902では、通信制御部302は、信号検出部3023にキャリアセンスを実行させる。続いて、S903に処理を進め、通信制御部302は、キャリアセンス期間において、信号検出部3023が閾値以上の信号を検出したか否かを判定する。キャリアセンス期間に閾値以上の信号を検出したと判定した場合(S903でYes)、通信制御部302は処理をS904に進め、他システムとの干渉を抑制するために送信すべきデータの送信を行わないと判定する。続いて、通信制御部302は処理をS905に進め、まだ送信サブスロットがあり、送信の試行が可能か否かを判定する。一例では、フラッディングスロットの最後である場合には、送信サブスロットがないと判定する。送信の試行が可能であると判定すると(S905でYes)、処理をS902に戻し、送信の試行が可能ではないと判定すると(S905でNo)、
図9の処理を終了する。キャリアセンス期間に閾値以上の信号を検出しなかったと判定した場合(S903でNo)、通信制御部302は処理をS906に進め、送信すべきデータの送信を行い、処理をS907に進める。
【0064】
S907では、通信制御部302は、パケットの送信回数がフラッディングスロットにおける最大送信回数以上であるか否かを判定する。パケットの送信回数が最大送信回数未満であると判定した場合(S907でNo)、通信制御部302は処理をS901に戻す。パケットの送信回数が最大送信回数以上であると判定した場合(S907でYes)、通信制御部302は
図9の処理を終了する。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る無線通信ノードによれば、送信前にキャリアセンスを行い、キャリアセンスで閾値以上の信号を検出した場合には送信を行わないことで、他システムとの干渉を抑制することができる。
【0066】
また、以上説明したように、本実施形態に係る無線通信システムによれば、送信前にキャリアセンスを行い、キャリアセンスで閾値以上の信号を検出した場合には送信を行わないことで、ノードのパケット転送の同時性を保ちつつ、他システムとの干渉を抑制することができる。
【0067】
<変形例>
第1の実施形態では、各無線通信ノードは、全ての送信前にキャリアセンスを行う。しかしながら、一例では、無線通信ノードは、フラッディングスロットの開始時に1回キャリアセンスを行うだけであってもよい。
図10に、フラッディングスロットの開始時に全ての無線通信ノードがキャリアセンスを行う無線通信システムのタイミング図を示す。
【0068】
図10において、全てのノードがフラッディングスロット開始時にキャリアセンスを行った結果、中継ノード120dが閾値以上の信号を検出したとする。この場合、中継ノード120dは信号を検出したフラッディングスロット内では送受信を行わない。一例では、キャリアセンスで閾値以上の信号を検出した中継ノード120dは、送信のみを行わず、受信は行ってもよい。
【0069】
また、第1の実施形態では、キャリアセンスで閾値以上の信号を検出した中継ノードは、次のサブスロットで送信を再度試行するものとして説明を行った。しかしながら、送信を再度試行するまでの時間は、スケジュール管理部303によって決定されたサブスロットであればよい。一例では、通信制御部302は、信号検出部3023が閾値以上の信号を検出したサブスロットから所定の数のサブスロット後のサブスロットで送信を再度試行してもよい。
【0070】
または、通信制御部302は、ランダム数に対応する分だけ後のサブスロットで送信を再度試行してもよい。例えば、スケジュール管理部303は、疑似ランダム数生成部を備え、キャリアセンス期間の長さまたは送信を再度試行するまでに待機するサブスロット数を疑似ランダム数生成部が生成した疑似ランダム変数に基づいて決定してもよい。
【0071】
例えば、疑似ランダム数生成部が1〜100のうちの1つの疑似ランダム変数をスケジュール管理部303に提供し、スケジュール管理部303は、受け取った疑似ランダム変数に基づいて送信を再度試行するスケジュールを決定してもよい。この場合、スケジュール管理部303は、疑似ランダム変数が1以上40未満であれば1つ、40以上70未満であれば2つ、70以上90未満であれば3つ、90以上100以下であれば4つのサブスロット後に送信を試行するようスケジュールを決定してもよい。
【0072】
なお、疑似ランダム数生成部が生成する疑似ランダム変数は、ノード間で同期した疑似ランダム変数であってもよい。すなわち、疑似ランダム変数を生成するために用いるランダム関数や、シードなどのパラメータは、無線通信システム100内の無線通信ノードで共通であってもよい。このようなパラメータは、あらかじめ中継ノード120を制御するためのプログラムに設定されていてもよく、シンクノード130から各無線通信ノードに通知されてもよい。この場合、無線通信システム100は、ノード間で同期した疑似ランダム変数に基づくキャリアセンス(ランダムバックオフ)を行うことができる。
【0073】
また、本実施形態において、シンクノード130は受信のみを行うものとして説明を行った。しかしながら、一例では、シンクノード130も中継ノード120と同様に受信したパケットを送信する転送処理を行ってもよい。その場合は、シンクノード130も
図9に示すものと同様の処理を行ってもよい。
【0074】
また、本実施形態では、中継ノード120は、受信したパケットを送信した後は、再度パケットを受信するまで待機し、再度パケットを受信してから再度送信を行う。一例では、中継ノード120はパケットを受信すると、そのフラッディングスロット内で送信を繰り返してもよい。
図5の例では、サブスロット501でパケットを受信した中継ノード120aは、以降のサブスロット502〜506の全てでパケットのタイミング情報606を変更しながら送信してもよい。
【0075】
また、本実施形態では、フラッディングスロット704の前に各ノードがサブスロット長に関する情報を持っているものとして説明を行ったが、一例では、各ノードは、フラッディングスロット704においてパケットを受信するまでサブスロット長に関する情報を持たなくてもよい。この場合、送信ノード110は、任意のパケット長のパケットを送信し、パケットを受信した中継ノード120は、受信したパケットのパケット長に基づいて、サブスロット長を判定する。すなわち、中継ノード120は、フラッディングスロット701の開始後、受信処理を開始した後、パケットを検出した後にサブスロット長を判定してもよい。このため、例えば
図8において、中継ノード120c、120d、120e、および120fはサブスロット801を認識しなくてもよいし、中継ノード120eおよび120fはサブスロット802を認識しなくてもよい。