(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0005】
本開示の実装形態は、ウエハの極縁領域における特徴プロフィールの傾斜を低減するように構成されたエッジリングアセンブリを提供する。縁領域における特徴プロフィールの傾斜を低減することによって、ウエハの有用面積が更に広く利用可能になり、その結果、製作される例えばMEMS Siジャイロスコープなどのデバイスの歩留まりが向上する。本開示の実装形態では、RF電力が(底部電極としての)静電チャック(ESC)に供給されたときにESCへの容量結合を見せる受動通電式のエッジリング電極が提供される。エッジリングの受動通電は、別途のRF電源による費用の増加又は更なる複雑性を必要とせず、それでも尚、ウエハ縁にエッチングされる特徴のプロフィールの傾斜を改善することができる。
【0006】
本開示の実施形態は、縁に限局されたイオン軌道の制御を促すために、半径方向に最も外側の5〜15mmを網羅している(例えば、150mmウエハの場合は半径に沿っておおよそ60〜75mm、200mmウエハの場合は半径に沿っておおよそ85〜100mm、300mmウエハの場合は半径に沿っておおよそ135〜150mm等、及びこれを超える範囲(約1〜5mmの範囲を縁除外領域とする))のが一般的であるウエハの極縁におけるプラズマシース境界の制御を可能にして掌握し、それによってウエハの極縁におけるウエハプロフィールの調整を提供するための、方法、装置、並びにシステムを提供する。イオン軌道の制御を実現し、ウエハの縁近くにおけるシースの湾曲が原因で引き起こされるイオン集束効果を最小限に抑えることで、ウエハに向かうイオン軌道のみならず、イオン束対中性束の比率も制御することができる。
【0007】
ウエハ極縁付近におけるプラズマシース境界は、エッジリングアセンブリにわたってシースの連続性を可能にすることによって修正することができる。受動通電式のエッジリング電極ゆえの、修正されたシース境界の存在は、ウエハの縁におけるイオン傾斜及びイオン集束を低減する。
【0008】
一実装形態では、プラズマ処理チャンバのためのエッジリングアセンブリが提供される。このエッジリングアセンブリは、RF電源への電気的接続のために構成された静電チャック(ESC)を取り巻くように構成される上方エッジリングであって、ESCは、基板を支えるための上面と、該上面を取り巻く環状段差とを有し、環状段差は、上面よりも低い環状棚を画定し、上方エッジリングは、環状棚の上方に配置され、電気絶縁材料で形成される、上方エッジリングと、環状段差の中で上方エッジリングの下方に配置され、環状棚の上に配置される下方内側エッジリングであって、導電性材料で形成され、ESCから電気的に絶縁される下方内側エッジリングと、内側エッジリングを取り巻く下方外側エッジリングであって、環状段差の中で上方エッジリングの下方に配置され、環状棚の上に配置され、電気絶縁材料で形成される下方外側エッジリングと、を含む。
【0009】
一実装形態では、下方内側エッジリングとESCとの間の誘電体分離が、既定の静電容量を提供するように構成され、RF電源からESCに伝達される電力は、既定の静電容量によって決定される既定の相対量で下方内側エッジリングに伝達される。
【0010】
一実装形態では、上方エッジリングは、石英材料で形成される。
【0011】
一実装形態では、下方外側エッジリングは、石英材料で形成される。
【0012】
一実装形態では、下方内側エッジリングは、アルミニウム材料で形成される。
【0013】
一実装形態では、下方内側エッジリングは、ESCからの電気的絶縁を提供する陽極酸化アルミニウム表面を有する。
【0014】
一実装形態では、下方内側エッジリング及び下方外側エッジリングは、ESCの環状棚の上に直接配置される。
【0015】
一実装形態では、プラズマ処理時におけるRF電源からESCへのRF電力の供給が、ESCへの下方内側エッジリングの容量結合を提供する。
【0016】
一実装形態では、プラズマ処理時における容量結合は、プラズマ処理時に画定されるプラズマシースを、上方エッジリングを実質的に覆うように画定される空間領域内で半径方向に広がらせる。
【0017】
一実装形態では、プラズマ処理時における容量結合は、基板の縁領域におけるイオン集束を低減する。
【0018】
一実装形態では、プラズマ処理時における容量結合は、基板の縁領域におけるイオン軌道の、基板の上面に垂直な方向からの傾斜を低減する。
【0019】
一実装形態では、上方エッジリングは、環状に成形され、内径と外径との間で約190〜230mmの範囲で広がり、約15〜25mmの半径方向厚さ/幅と、約2〜5mmの高さとを有する。
【0020】
一実装形態では、下方内側エッジリングは、環状に成形され、内径と外径との間で約190〜225mmの範囲で広がり、約15〜20mmの半径方向厚さ/幅と、約8〜15mmの高さとを有する。
【0021】
一実装形態では、下方内側エッジリングの内径は、ESCの環状段差によって画定される側壁と、下方内側エッジリングとの間に環状の隙間を画定するために、側壁の直径を約0.5〜1mm上回る。
【0022】
一実装形態では、下方外側エッジリングは、環状に成形され、内径と外径との間で約220〜245mmの範囲で広がり、約10〜15mmの半径方向厚さ/幅と、約8〜15mmの高さとを有する。
【0023】
一実装形態では、上方エッジリングは、上面を有し、上方エッジリングの上面は、上方エッジリングの内径に画定される段差縁を有し、この段差縁の下部は、基板が存在するときにその基板が段差縁の下部の上に広がるように、ESCの上面よりも低い高さに位置するように構成される。
【0024】
一実装形態では、下方内側エッジリングは、イットリアの外側被覆を含む。
【0025】
一実装形態では、プラズマ処理のためのシステムが提供される。このシステムは、プロセスチャンバと、プロセスチャンバ内に配置される静電チャック(ESC)であって、ESCは、プラズマ処理時に基板を支えるように構成される上面を有し、更に、上面を取り巻く環状段差を含み、環状段差は、上面よりも低い高さに環状棚を画定する、ESCと、環状棚の上方に配置される上方エッジリングであって、電気絶縁材料で形成される上方エッジリングと、環状段差の中で上方エッジリングの下方に配置され、環状棚の上に配置される下方内側エッジリングであって、導電性材料で形成され、ESCから電気的に絶縁される下方内側エッジリングと、内側エッジリングを取り巻く下方外側エッジリングであって、環状段差の中で上方エッジリングの下方に配置され、環状棚の上に配置され、電気絶縁材料で形成される下方外側エッジリングと、ESC内に配置されるバイアス電極であって、基板にかかるバイアス電圧を生成するために第1のRF電源からRF電力を受け取るように構成されるバイアス電極と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】本発明の一実施形態にしたがった、エッチング動作のためのプラズマ処理システム100の構造図である。
【0027】
【
図1B】本発明の一実施形態にしたがった、プラズマ処理システム100の設計図である。
【0028】
【
図2】何枚かの走査型電子顕微鏡(SEM)画像であり、ウエハの縁領域にエッチングされた特徴の傾斜を示している。
【0029】
【
図3】特徴プロフィールの傾斜度を、ウエハの縁からの距離に対して示したグラフである。
【0030】
【
図4A】本開示の実装形態にしたがった、Lam Research Corporationによって製造されたTCP(登録商標)9400DSiE(商標)(ディープシリコンエッチング)ツールの切開斜視図である。
【0031】
【
図4B】既存のエッジリングアセンブリ400を含むツールの一部分を大写しにした断面図である。
【0032】
【0033】
【
図5】本開示の実装形態にしたがった、ウエハの縁における特徴プロフィールの傾斜を低減するように構成されたエッジリングアセンブリの図である。
【0034】
【
図6】本開示の実装形態にしたがった、エッジリングアセンブリの図である。
【0035】
【
図7A】本開示の実装形態にしたがった、エッジリングアセンブリの断面図である。
【0036】
【
図7B】本開示の実装形態にしたがった、
図7Aと比べて電極リング702の幅が増した一実装形態の図である。
【0037】
【
図8A】本開示の実装形態にしたがった、エッジリングアセンブリの断面図であり、ESCへの容量結合を概念的に示している。
【0038】
【
図8B】本開示の実装形態にしたがった、
図8Aの構成と相関させて半径方向位置の関数として電力を示したグラフである。
【0039】
【
図9】本開示の実装形態にしたがった、エッジリングアセンブリの断面図である。
【0040】
【
図10】本開示の実装形態にしたがった、エッジリングアセンブリの図である。
【0041】
【
図11】酸化物突破プロセス、堆積プロセス、及びエッチングプロセスを含む基本プロセスの実施後におけるテストウエハを半径方向に切り開いた斜視図を示したSEM画像である。
【0042】
【
図12A】ウエハの縁からの様々な距離における特徴の傾斜角度を示した表であり、標準設定(「STD」)からの結果と、イットリアで被覆されたHAA電極リングを用いた設定(「HAA Y」)からの結果とを比較している。
【
図12B】
図12で示されたデータをグラフにしたものであり、近似曲線を含む。
【0043】
【
図13A】標準設定を使用して処理された、ウエハの縁からおおよそ0.5mmにある特徴の断面を示したSEM画像である。
【
図13B】標準設定を使用して処理された、ウエハの縁からおおよそ0.7mmにある特徴の断面を示したSEM画像である。
【
図13C】標準設定を使用して処理された、ウエハの縁からおおよそ1.2mmにある特徴の断面を示したSEM画像である。
【
図13D】イットリアで被覆されたHAA電極リングを用いた設定を使用して処理された、ウエハの縁からおおよそ0.5mmにある特徴の断面を示した対応するSEM画像である。
【
図13E】イットリアで被覆されたHAA電極リングを用いた設定を使用して処理された、ウエハの縁からおおよそ0.7mmにある特徴の断面を示した対応するSEM画像である。
【
図13F】イットリアで被覆されたHAA電極リングを用いた設定を使用して処理された、ウエハの縁からおおよそ1.2mmにある特徴の断面を示した対応するSEM画像である。
【0044】
【
図14A】標準設定を使用して処理された、ウエハの縁からおおよそ1.7mmにある特徴の断面を示したSEM画像である。
【
図14B】標準設定を使用して処理された、ウエハの縁からおおよそ2.2mmにある特徴の断面を示したSEM画像である。
【
図14C】標準設定を使用して処理された、ウエハの縁からおおよそ2.7mmにある特徴の断面を示したSEM画像である。
【
図14D】イットリアで被覆されたHAA電極リングを用いた設定を使用して処理された、ウエハの縁からおおよそ1.7mmにある特徴の断面を示した対応するSEM画像である。
【
図14E】イットリアで被覆されたHAA電極リングを用いた設定を使用して処理された、ウエハの縁からおおよそ2.2mmにある特徴の断面を示した対応するSEM画像である。
【
図14F】イットリアで被覆されたHAA電極リングを用いた設定を使用して処理された、ウエハの縁からおおよそ2.7mmにある特徴の断面を示した対応するSEM画像である。
【0045】
【
図15】本開示のシステムを制御するための制御モジュールの図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本開示の実施形態は、縁に限局されたイオン軌道制御と、プラズマ動作とを通じて、極縁におけるシース及びウエハプロフィールの調整を可能にするための、方法、装置、並びにシステムを提供する。本実施形態は、プロセス、装置、システム、デバイス、材料、又は方法などの、数々のやり方で実現可能であることがわかる。幾つかの実施形態を、以下説明する。
【0047】
一部の実装形態では、受動通電式のエッジリングアセンブリを通じて、ウエハ極縁におけるイオン束及びイオン軌道の制御が実現される。このとき、静電チャック(ESC)を取り巻くエッジリングアセンブリには、容量結合エッジリング電極が含められる。
【0048】
ESCへのエッジリング電極の容量結合を通じて、エッジリングアセンブリにわたってシースの連続性を可能にすることによって、ウエハの極縁付近におけるプラズマシース境界を修正することができる。受動通電式のエッジリング電極によって修正されたシース境界の存在は、ウエハの縁におけるイオン傾斜及びイオン集束を低減する。
【0049】
受動通電式のエッジリングアセンブリは、ウエハの縁における及びウエハの縁の近くにおけるプラズマに影響を及ぼすことができるように、メインチャックの周囲の領域に配置される。プラズマに及ぼされる影響は、縁除外領域の近くの領域及びウエハの物理的な縁の外に及ぶ領域におけるプラズマシースの均一性及び連続性の提供を助けることができる。除外領域に至るまで及び除外領域を含むところまで均一性を提供することによる利点は、ウエハごとに画定可能な有用デバイスが増えることであり、これは、製作歩留まりを向上させる。
【0050】
図1Aは、本発明の一実施形態にしたがった、エッチング動作のためのプラズマ処理システム100の構造図を示している。
図1Bは、本発明の一実施形態にしたがった、プラズマ処理システム100の設計図を示している。システムは、チャック103を含むチャンバ101と、誘電体窓107とを含む。チャック103は、プラズマ処理動作時に基板105を支えるように定められる。本明細書で言う基板は、半導体デバイス製作時に存在する原則あらゆるタイプの基板のうち、半導体ウエハ、ハードドライブディスク、光ディスク、ガラス基板、フラットパネルディスプレイ表面、液晶ディスプレイ表面を指し、ただし、これらに限定はされない。一実施形態では、チャック103は、基板105を支える及び保持するための静電チャックである。別の一実施形態では、チャック103は、物理的拘束によって基板105を保持するように定められる。チャック103は、バイアス整合回路113及びイオンエネルギ・角度分布関数(IEADF)制御回路115によってバイアスRF電源111から高周波数(RF)電力を受け取るために接続された1つ以上のバイアス電極104(以下、バイアス電極104)を含む。バイアスRF電源111は、電気接続119A及び119Bによって示したように、基準地電位117とバイアス整合回路113との間に接続される。バイアス整合回路113は、IEADF制御回路115に電気的に接続され、IEADF制御回路115は、電気接続119Cによって示したように、バイアス電極104に電気的に接続される。
【0051】
チャック103が静電チャックとして定められる一実施形態では、チャック103は、基板105の把持及び解放を可能にするために、クランプ電極(不図示)を含む。また、この実施形態では、クランプ電極によるチャック103への基板105の静電把持をもたらすために、フィルタ・直流(DC)クランプ電源が提供される。また、チャック103は、基板105を受け取る、基板105を下降させてチャック103に載せる、及び基板105を持ち上げてチャック103から離すための、リフトピンなどといったその他の制御システムを含むことができる。また、図には示されていないが、チャンバ101内の圧力の制御を提供するために、及びプラズマ処理動作時にチャンバ101からガス副生成物を排出させるために、ポンプがチャンバ101に接続される。
【0052】
様々な実施形態において、誘電体材料で誘電体窓107が形成され、誘電体材料としては、特に、セラミック材料又は石英が挙げられる。その他の実施形態では、誘電体窓107は、チャンバ101内でプラズマ処理動作時に曝される条件に耐えられる限り、その他の誘電体材料でも形成できると理解される。一部のプラズマ処理動作では、チャンバ101は、摂氏約50度から約130度の温度範囲内の昇温で動作する。総じて、チャンバ101内の温度は、実施する具体的なエッチングプロセスに依存する。また、チャンバ101は、約10ミリトール(mT)から約500mTの圧力範囲内の減圧条件でも動作できる。
【0053】
システム100は、また、チャンバ101の外側の誘電体窓107の上に配置されたTCP(トランス結合プラズマ)コイル109を含む。TCPコイル109は、TCP整合回路123によってTCP RF電源121からRF電力を受け取るように接続される。具体的には、TCP RF電源121は、電気接続127A及び127Bによって示したように、基準地電位125とTCP整合回路123との間に電気的に接続される。TCP整合回路123は、電気接続127B及び127Cによって示したように、TCP RF電源121とTCPコイル109との間に電気的に接続される。TCP整合回路123は、TCPコイル109への効率的なRF電力伝送を提供するために、TCPコイル109に到るRF電力伝送経路のインピーダンスを制御するように定められる。
【0054】
プラズマ処理動作時には、チャンバ101にプロセスガスが流し込まれ、TCP RF電源121からTCPコイル109にRF電力が供給される。TCPコイル109を流れるRF電力は、チャンバ101内へ電磁電流を誘導し、該電流は、プロセスガスに作用してプラズマ129を発生させる。このようにして、TCPコイル109は、変圧器の一次コイルとして振る舞い、プラズマ129は、変圧器の二次コイルとして振る舞う。プラズマ129は、ラジカル及びイオン(陽と陰)などの反応性成分を含み、これらは、基板105との接触の際に基板105から材料を除去する、即ちエッチングする働きをする。
【0055】
チャンバ101は、製造施設内に設置されるときは、チャンバ101へのプロセスガスの供給、チャンバ101からのプロセスガス及び副生成物の排出、チャンバ101内の圧力の監視及び制御、チャンバ101内の温度の監視及び制御、並びに環境粒子の制御を提供するシステムに接続されることが理解されるべきである。また、チャンバ101は、ロボットによるチャンバ101への基板105の移送及びチャンバ101からの基板105の取り出しを提供するように定められた移送チャンバにも接続可能であることが理解されるべきである。
【0056】
動作中は、基板105上に存在する直流(DC)バイアス電圧を生成及び制御するために、バイアス整合回路113及びIEADF制御回路115によってバイアスRF電源111からバイアス電極104にRF電力が伝送され、これは、ひいては、基板105の上方に生成されるプラズマ129内に存在するイオン集団に作用する力を制御する。バイアス電極104に伝送されるRF電力は、バイアス電極104に印加されるRFバイアス電圧に相当する。基板105上に蓄積するDCバイアス電圧及びバイアス電極104に印加されるRFバイアス電圧は、ともに、バイアス整合回路113及びIEADF制御回路115によってバイアスRF電源111からバイアス電極104にRF電力を供給する結果として同時に発生する。したがって、バイアスRF電源内のIEADF制御回路115は、基板105にかかるDCバイアス電圧及びバイアス電極104にかかるRFバイアス電圧の両方に作用する。
【0057】
DCバイアス電圧は、基板105上の特定の地点における平均イオンエネルギの表れである。DCバイアス電圧は、基板105の充電が起きるのに伴って、基板105上に蓄積する。IEDAF制御回路115は、パルスバイアスRF電力供給モードでは、DCバイアス電圧が発達する速度を制御する。連続波(CW)バイアスRF電源モードでは、基板105にかかるDCバイアス電圧は、定常状態に到達することを許される。したがって、CWバイアスRF電源モードでは、基板105にかかるDCバイアス電圧にIEADF制御回路115が及ぼす影響は、無関係である。また、プラズマ129シースの縁で(バイアス整合回路113、及びチャック103内の全ての容量層を経た後に)見られるRF波は、IEADF制御回路115によって制御されることが理解されるべきである。また、イオンは、基板105に向かって加速するにつれて、プラズマ129シースの縁でRF波に応答し、それに相応してIEADFを満たす。
【0058】
様々な実施形態において、RF電源111は、1つのRF発生器又は複数のRF発生器のいずれかを含むように定めることができる。また、RF電源111は、1つ以上の周波数でRF電力を生成するように定めることができる。また、複数のRF発生器の場合、RF電源111は、複数の周波数で同時にRF電力を生成できる。バイアス整合回路113は、バイアス電極104への効率的なRF電力伝送を提供するために、バイアス電極に到るRF電力伝送経路のインピーダンスを制御するように定められる。
【0059】
プラズマ処理チャンバ101は、プラズマ処理動作時に基板105の露出表面に到達するエネルギイオン集団を生成及び制御するために、RF電源111によって様々な周波数で生成されるRFバイアス電力を利用する。実施されている具体的なエッチング用途に応じて、基板105に到達する各種エネルギのイオン集団の割合及びそれに関連付けられたイオンエネルギ・角度分布関数(IEADF)を制御することが重要だろう。基板105におけるIEADFを生成するためには、バイアスRF電源111のパルシング、即ちバイアスパルシングを利用できる。バイアスパルシング動作は、供給されるバイアスRF電力のパルス繰り返し周波数(PRF)及びパルスデューティサイクル(DC)に関係付けられた期間にわたり、様々なエネルギからのイオン集団の、基板105への移動を引き起こす。しかしながら、基板105に対して特定のプラズマ処理結果を得るためには、バイアスパルシング動作時に、基板105が曝されるIEADFを制御することも必要である。本発明の様々な実施形態にしたがうと、IEADF回路115は、基板105が曝される低エネルギイオン及び高エネルギイオンの集団を制御するために、バイアスパルシング動作時にIEADFを制御するように定められて動作される。
【0060】
上記のように、バイアスRF電力は、バイアスRF電源111からバイアス整合回路113及びIEADF回路115を経てバイアス電極104に供給される。バイアス電極104からは、バイアスRF電力は、プラズマ129を経て、電気的に接地されたチャンバ101の周辺構造へ伝送される。バイアス整合回路113内の回路コンポーネントが、プラズマ129を通じたバイアスRF電力の効率的な伝送を可能にするためのインピーダンス整合を提供する。バイアスRF供給回路は、連続波バイアスRF電源モード又はパルスバイアスRF電源モードのいずれかで動作させ得る。
【0061】
図2は、何枚かの走査型電子顕微鏡(SEM)画像であり、ウエハの縁領域にエッチングされた特徴の傾斜を示している。SEM画像200は、ウエハの縁における切開部分の斜視図を示している。SEM画像202は、ウエハの縁から約0.5mmにある150ミクロン(μ)のトレンチの斜視図を示している。SEM画像204は、ウエハの縁から約0.7mmに位置する幾本かの0.6μのトレンチの断面を示している。特徴の傾斜は、極めて目立っており、おおよそ9.96度である。SEM画像206は、ウエハの縁から約1.2mmにある幾本かの1.0μのトレンチの断面を示している。特徴の傾斜は、おおよそ6.47度である。SEM画像208は、ウエハの縁からおおよそ1.7mmにある幾本かの2μのトレンチの断面を示しており、これらは、約3.81度の傾斜を見せている。SEM画像210は、ウエハの縁から約2.2mmにある幾本かの5μのトレンチの断面を示しており、これらは、約2.4度の傾斜を見せている。SEM画像212は、ウエハの縁から約2.7mmにある幾本かの10μのトレンチの断面を示しており、これらは、約1.13度の傾斜を見せている。SEM画像214は、ウエハの縁から約3.2mmにある30μのトレンチの断面を示しており、これは、約0.51度の傾斜を見せている。SEM画像216は、ウエハの縁から約4.2mmにある50μのトレンチの断面を示している。SEM画像218は、ウエハの縁から約5.2mmにある80μのトレンチの断面を示している。
【0062】
図3は、特徴プロフィールの傾斜度を、ウエハの縁からの距離に対して示したグラフである。グラフからわかるように、ウエハの縁からの距離の減少に伴って、傾斜の量が指数関数的に増加する。ウエハの縁から3.2mmのところでは、0.37度の傾斜が観測され、これは、上記のように、SiジャイロスコープなどのMEMSデバイスには適さないと考えられる。
【0063】
図4Aは、本開示の実装形態にしたがった、Lam Research Corporationによって製造されたTCP(登録商標)9400DSiE(商標)(ディープシリコンエッチング)ツールの切開斜視図を示している。
図4Bは、既存のエッジリングアセンブリ400を含むツールの一部分を大写しにした断面図を示している。
図4Cは、
図4Bと同様の部分を大写しにした切開図を示している。図に示したように、静電チャック(ESC)103は、セラミックトップ131を有していてよい。更に、ESC103は、環状棚134を画定する環状段差132を有する。環状棚134の高さは、ESC103の上面130の高さよりも低い。環状段差132によって画定された環状棚134の上に、エッジリングアセンブリ400が少なくとも部分的に位置決めされる。
【0064】
エッジリングアセンブリ400は、ESC103の上面130を取り巻く石英エッジリング402を含み、このエッジリングは、環状段差132の中で環状棚134の上方に配置される。環状段差132中で石英エッジリングの下方には、アルミナエッジリング404が配置される。アルミナエッジリング404を取り巻くように、アルミナスペーサ408が画定される。石英エッジリング402及びアルミナスペーサを取り巻くように、陽極酸化アルミニウム(Al)接地リング406が画定される。接地リング406は、チャンバ壁に接地される。
【0065】
また、プラズマシース129も、概念的に示されている。プラズマシース129は、おおよそウエハ105の縁領域まで広がり、ただし、この地点で、電気絶縁性の石英エッジリング402が原因で崩れる。その結果、シースは、ウエハ104の周縁とその周縁を超えたところとで連続しておらず、これは、イオン軌道をウエハ上面に垂直な方向から傾斜させ、それによって、エッチング特徴の傾斜をもたらす。
【0066】
図5は、本開示の実装形態にしたがった、ウエハの縁における特徴プロフィールの傾斜を低減するように構成されたエッジリングアセンブリを示している。エッジリングアセンブリは、ESC103の上面を取り巻くトップエッジリング500を含む。様々な実施形態において、トップエッジリング500は、石英又は酸化イットリウム(イットリア)などの絶縁材料で形成される。トップエッジリング500は、環状段差132の環状棚134の上方に配置される。トップエッジリング500の下方は、受動通電式の電極リング502である。
【0067】
一部の実装形態では、電極リング502は、電極リング502の表面上の陽極酸化層が電極リング502をESC103から電気的に絶縁するように、硬質陽極酸化アルミニウムで形成される。一部の実装形態では、ESCと電極リングとを電気的に絶縁するために、側壁136及び環状棚134など電極リング502に接触する又は隣接するESCの外表面も陽極酸化されてよい。更に他の実装形態では、ESCと電極リングとの間に、別途の絶縁体(不図示)が画定される。電極リング502は、環状段差の中で環状棚134の上に配置され、環状段差132によって画定されたESCの側壁136を取り巻く。
【0068】
更に以下で論じられるように、電極リング502とESC103との間には隙間がある。電極リング502は、ESCにRF電力が供給されるときに隙間によって所望レベルのESCへの容量結合が提供されるように構成できる。容量結合は、プラズマシースをウエハの縁の外へ、即ちウエハの縁を超えて広がらせ、ウエハの縁におけるプロフィールの傾斜を改善するために、RF電力を電極リング502に提供する。
【0069】
例示の実装形態では、トップエッジリング500及び電極リング502の両方を、石英外側リング504が取り巻く。石英外側リング504は、電極リング502を接地リング506から隔てる。スペーサ508(例えば、アルミナ)が、ESCを接地リング506から隔てる。
【0070】
一部の実装形態では、トップ/上方エッジリング500は、環状に成形され、内径と外径との間で約190〜230mmの範囲で広がる。一部の実装形態では、トップエッジリング500の高さは、約2〜5mmである。一部の実装形態では、トップエッジリング500の高さは、約2〜4mmである。一部の実装形態では、トップエッジリング500の高さは、約3mmである。一部の実装形態では、トップエッジリング500の高さは、約3.2mmである。一部の実装形態では、トップエッジリング500の半径方向厚さ/幅は、約10〜25mmである。一部の実装形態では、トップエッジリング500の半径方向厚さ/幅は、約15〜25mmである。一部の実装形態では、トップエッジリング500の半径方向厚さ/幅は、約11〜14mmである。一部の実装形態では、トップエッジリング500の半径方向厚さ/幅は、約12〜13mmである。
【0071】
一部の実装形態では、下方内側エッジリングは、環状に成形され、内径と外径との間で約190〜225mmの範囲で広がる。一部の実装形態では、電極リング502の高さは、約8〜15mmである。一部の実装形態では、電極リング502の高さは、約9〜12mmである。一部の実装形態では、電極リング502の高さは、約9.7mmである。一部の実装形態では、電極リング502の半径方向厚さ/幅は、約15〜20mmである。一部の実装形態では、電極リング502の半径方向厚さ/幅は、約10〜15mmである。一部の実装形態では、電極リング502の幅は、約11〜14mmである。一部の実装形態では、電極リング502の幅は、約12〜13mmである。
【0072】
図6は、本開示の実装形態にしたがった、エッジリングアセンブリを示している。
図6の例示の実装形態は、トップエッジリングが排除され、電極リング502の高さがトップエッジリング502の高さにおおよそ等しい分だけ増加されたことを除き、
図5のそれと同様である。この構成は、上を覆うトップエッジリングなどの追加の絶縁層が不在であるゆえに、電気的性能を向上させる。しかしながら、電極リングの露出表面(例えば、陽極酸化アルミニウム表面)は、スパッタリングされる恐れがあり、ウエハの縁における歩留まりの喪失を招くことがある。
【0073】
一部の実装形態では、電極リング502の高さは、約10〜16mmである。一部の実装形態では、電極リング502の高さは、約12〜14mmである。一部の実装形態では、電極リング502の高さは、約12.9mmである。一部の実装形態では、電極リング502の幅は、約11〜14mmである。一部の実装形態では、電極リング502の幅は、約12〜13mmである。一部の実装形態では、電極リング502の幅は、約12.5mmである。
【0074】
図7Aは、本開示の実装形態にしたがった、エッジリングアセンブリの断面を示している。例示の実装形態では、ESCの上面を取り巻くように、石英上方エッジリング700が画定される。取り扱いの目的に適した耐性を尚も提供しつつも電気的性能を向上させるために、上方エッジリング700は、その他の実施形態と比べて厚さが低減されている。一部の実装形態では、上方エッジリング700の厚さは、約2〜3mmである。一部の実装形態では、上方エッジリング700の厚さは、約2.5mmである。
【0075】
上方エッジリングの下方には、環状段差132の中で環状棚134の上に、受動通電式の硬質陽極酸化アルミニウム電極リング702が配置される。電極リング702は、環状段差132によって画定された側壁136を取り巻く(尚且つ側壁136に半径方向に隣接する)。石英下方外側リング704が、電極リング702を取り巻き(尚且つ半径方向に隣接し)、やはり、環状段差132の中で上方エッジリング700の下方に配置され、環状棚134の上に配置される。セラミック/アルミナスペーサ708が、下方外側リング704の下部を取り巻く(尚且つ半径方向に隣接する)。接地リング706が、上方エッジリング700、下方外側リング704、及びスペーサ708を取り巻く(尚且つ半径方向に隣接する)。
【0076】
一部の実装形態では、電極リング702の高さは、約9〜12mmである。一部の実装形態では、電極リング702の高さは、約10〜11mmである。一部の実装形態では、電極リング702の高さは、約10.4mmである。
【0077】
様々な実装形態において、電極リング702の幅は、可変であってよい。
図7Bに示された実装形態では、電極リング702の幅は、
図7Aのそれと比べて増加している。一部の実装形態では、電極リング702の幅は、約10〜20mmである。一部の実装形態では、電極リング702の幅は、約15〜18mmである。一部の実装形態では、電極リング702の幅は、約16mmである。より幅広の電極リングを提供することによる利点は、より広い面積にわたって更に大きい容量結合及びESCへの更に多くの電力移送を可能にすることであり、これは、プラズマシースを更に上方エッジリングの領域の上まで広げられるだろう。
【0078】
図8Aは、本開示の実装形態にしたがった、エッジリングアセンブリの断面であり、ESCへの容量結合を概念的に示している。下方内側エッジリングを画定している電極リング702は、導電性材料で形成することができ、外側の絶縁層800を含んでいてよい。一部の実装形態では、電極リング702は、硬質陽極酸化アルミニウムリングであり、この場合、外側の絶縁層800は、Al
2O
3の陽極酸化層によって画定される。一部の実装形態では、ESC103は、電極リング702に隣接する側壁136及び環状棚134の外表面上に画定された絶縁層802を含んでいてよい。一部の実装形態では、ESCの絶縁層802は、(例えば、アルミニウムの)陽極酸化層である。
【0079】
電極リング702は、環状の隙間804によって側壁136から隔てられ、この隙間804は、プラズマ処理時にESCの熱膨張を提供するように構成される。更に、隙間804は、側壁136と電極リング702の内表面との間であるガス/空気の別の絶縁層を画定する。こうして、電極リング702の内表面の面積、対応する側壁136の面積、及びこれらの領域に沿って電極リングの導電性部分とESCの導電性部分とを隔てる距離(誘電体分離を形成する)にしたがって、第1の静電容量C
1が定められる。環状の隙間は、電極リングに受動的に伝達されると予想されるESCにかかるRF電力を修正するために調整できる。電極リングにおけるRF電力は、ESCに伝達される電力が既定の相対量で電極リングに伝達されるように、電極リングとESCとの間の距離によって設定される静電容量の値を設定することによって受動的に且つ動的に設定される。こうして、結果として電極リングに伝わる電力が、隣り合うESCの導電性部分と電極リングの導電性部分との物理的な隔たり、即ち誘電体分離に基づいて事前に定められ、この誘電体分離の量が、電極リングに伝わる電力をスロットル調整して設定する静電容量の量を定めるように、ESCに供給される電力と電極リングに受動的に伝わる電力との間に、相関性が実現される。
【0080】
例示の実施形態では、電極リング702の底面は、環状棚134に接する。第1の静電容量と同様なやり方及び作用によって、第2の静電容量C
2が、電極リング702の底面の面積、及びこの領域に沿って電極リングの導電性部分とESCの導電性部分とを隔てる距離にしたがって定められる。電極リング702とESC103との間の総静電容量は、静電容量C
1及びC
2の両方によって定められる。
【0081】
静電容量C
1及びC
2は、所望の効果を実現するために調整可能であることがわかる。例えば、これらの静電容量は、容量結合を通じてESCから電極リング702に伝達される電力を既定の量だけ降下させるように調整することが望ましいかもしれない。
図8Bは、本開示の実装形態にしたがった、
図8Aの構成と相関させて半径方向位置の関数として電力を示したグラフである。基板の上面に、ESCを通じて提供される電力P
1が生じる。上方エッジリングの上面には、電力P
2が生じる。電力P
2は、ESCへの電極リングの容量結合を通じて生成されるので、この容量結合に作用するパラメータは、P
2をP
1の既定の割合/パーセンテージにするために特別に調整できる。一部の実装形態では、電力P
2は、電力P
1の約50%から100%未満であるように設定される。一部の実装形態では、電力P
2は、電力P
1の約60〜90%であるように設定される。一部の実装形態では、電力P
2は、電力P
1の約70〜80%であるように設定される。
【0082】
図9は、本開示の実装形態にしたがった、エッジリングアセンブリの断面を示している。図に示したように、上方エッジリング700は、高さH
1と、半径方向幅W
1とを有する環状構造である。半径方向幅W
1は、上方エッジリングの内径から上方エッジリングの外径に至る。上方エッジリングは、上面904を有し、この上方エッジリング700の上面904は、上方エッジリングの内径に画定された段差縁906を有する。段差縁906の下部908は、基板がこの段差縁の下部の上に広がるように、ESCの上面130よりも低い高さに位置するように構成される。上方エッジリングは、石英又はイットリアなどの絶縁材料で形成される。
【0083】
環状電極リング702が、下方内側エッジリングを画定し、ESC103に容量結合される。この電極リングは、環状段差132の中で上方エッジリングの下方に配置され、環状棚134の上に直接配置される。電極リング702は、環状の隙間804によって側壁136から隔てられた内表面900を有する。環状の隙間804は、内表面900と側壁136との間の半径方向距離を定め、これは、既定の静電容量を提供するように構成できる。一部の実装形態では、環状の隙間804は、約0.5〜1mmの半径方向分離距離を定める。電極リング702の底面902は、環状棚134の上に座している。電極リング702は、高さH
2と、半径方向幅W
2とを有する。電極リング702は、導電性材料で形成され、絶縁表面材料を含んでいてよい。一実装形態では、電極リング702は、アルミニウムの芯と、陽極酸化された表面とを有する陽極酸化アルミニウム材料で形成される。
【0084】
下方外側エッジリング704が、電極リング702を取り巻く。下方外側エッジリング704は、高さH
3と、半径方向幅W
3とを有する環状構造である。下方外側エッジリング704は、上方エッジリング700の下方で、環状棚134の上に直接配置される。下方外側エッジリング704は、石英などの絶縁材料で形成される。
【0085】
第1の誘電体分離S
1が、環状段差132の側壁136及び対応する電極リング702の内表面900に沿って、ESC103の導電性部分と電極リング702の導電性部分とを隔てる。第2の誘電体分離S
2が、環状棚134及び対応する電極リング702の底面902に沿って、ESC103の導電性部分と電極リング702の導電性部分とを隔てる。誘電体分離S
1及びS
2は、設定可能であり、(陽極酸化層にできる)絶縁層800及び802の厚さ、並びに(誘電体分離S
1に影響を及ぼす)環状の隙間の半径方向幅に基づいて定められる。
【0086】
上述した寸法及びパラメータは、いずれも、基板の縁領域におけるエッチング特徴の傾斜の減少を実現するように調整されてよいことがわかり、このような調整は、ESC103から電極リング702への電力の受動的伝達を通じて実現される。
【0087】
図10は、本開示の実装形態にしたがった、エッジリングアセンブリを示している。
図10の実装形態は、電極リング502をスパッタリングから保護するために、電極リングの陽極酸化アルミニウム表面の上にイットリア誘電体被覆1000が提供されていることを除き、
図6の実装形態と同様である。様々な実装形態において、イットリア被覆は、約50〜400μmの範囲の厚さを有していてよい。
【0088】
イットリアで被覆された硬質陽極酸化アルミニウム(HAA)電極リングの効果が、Lam Research Corporationによって製造された9400DSiE IIツールを使用し、200mmの格子状テストウエハを用いて標準ハードウェア設定と対比してテストされた。
図11は、酸化物突破プロセス、堆積プロセス、及びエッチングプロセスを含む基本プロセスの実施後におけるテストウエハを半径方向に切り開いた斜視図を示したSEM画像である。図に示したように、ウエハの縁からおおよそ0.5mmのところから始まって、一連のエッチング特徴がある。
【0089】
図12Aは、ウエハの縁からの様々な距離における特徴の傾斜角度を示した表であり、標準設定(「STD」)からの結果と、イットリアで被覆されたHAA電極リングを用いた設定(「HAA Y」)からの結果とを比較している。
図12Bは、
図12で示されたデータをグラフにしたものであり、近似曲線を含む。曲線1200は、標準設定の場合について、特徴プロフィールの傾斜を縁からの距離の関数として示している。グラフに示したように、特徴プロフィールの傾斜は、ウエハの縁に近づくときに指数関数的に増加する。曲線1202は、本開示の実装形態にしたがった、イットリアで被覆されたHAA電極リングを用いた設定の場合について、特徴プロフィールの傾斜を縁からの距離の関数で示している。グラフに示したように、特徴プロフィールの傾斜は、標準設定の場合と比べて激減している。
【0090】
図13A、
図13B、及び
図13Cは、標準設定を使用して処理された、ウエハの縁からそれぞれおおよそ0.5mm、0.7mm、及び1.2mmにある特徴の断面を示したSEM画像である。
図13D、
図13E、及び
図13Fは、イットリアで被覆されたHAA電極リングを用いた設定を使用して処理された、ウエハの縁からそれぞれおおよそ0.5mm、0.7mm、及び1.2mmにある特徴の断面を示した対応するSEM画像である。
【0091】
図14A、
図14B、及び
図14Cは、標準設定を使用して処理された、ウエハの縁からそれぞれおおよそ1.7mm、2.2mm、及び2.7mmにある特徴の断面を示したSEM画像である。
図14D、
図14E、及び
図14Fは、イットリアで被覆されたHAA電極リングを用いた設定を使用して処理された、ウエハの縁からそれぞれおおよそ1.7mm、2.2mm、及び2.7にある特徴の断面を示した対応するSEM画像である。
【0092】
SEM画像に示したように、イットリアで被覆されたHAA電極リングを用いた設定は、標準設定と比べて大幅な特徴プロフィール傾斜の減少を見せている。
【0093】
図15は、上述したシステムを制御するための制御モジュール1500を示している。例えば、制御モジュール1500は、プロセッサ、メモリ、及び1つ以上のインターフェースを含んでいてよい。制御モジュール1500は、システム内のデバイスを一部には検知値に基づいて制御するために用いられてよい。例えば、制御モジュール1500は、検知値及びその他の制御パラメータに基づいて、バルブ1502、フィルタヒータ1504、ポンプ1506、及びその他のデバイス1508の1つ以上を制御してよい。制御モジュール1500は、例えば圧力計1510、流量計1512、温度センサ1514、及び/又はその他のセンサ1516からの検知値を受信する。制御モジュール1500は、前駆体供給時及びプラズマ処理時におけるプロセス条件を制御するために用いられてもよい。制御モジュール1500は、通常は、1つ以上のメモリデバイスと、1つ以上のプロセッサとを含む。
【0094】
制御モジュール1500は、前駆体供給システム及びプラズマ処理装置の活動を制御してよい。制御モジュール1500は、特定のプロセスの、プロセスタイミング、供給システム温度、フィルタ間の圧力差、バルブの位置、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、ウエハ温度、RF電力レベル、ウエハチャック又は台座の位置、及びその他のパラメータを制御するための命令一式を含むコンピュータプログラムを実行する。制御モジュール1500は、また、圧力差を監視し、1本以上の経路から1本以上の他の経路へ蒸気前駆体の供給を自動的に切り替えてもよい。実施形態によっては、制御モジュール1500に関係付けられたメモリデバイスに格納されたその他のコンピュータプログラムが用いられてもよい。
【0095】
通常は、制御モジュール1500にユーザインターフェースが関連付けられている。ユーザインターフェースとしては、ディスプレイ1518(例えば、装置及び/又はプロセス条件の、ディスプレイ画面及び/又はグラフィックソフトウェアディスプレイ)や、ポインティングデバイス、キーボード、タッチ画面、マイクロフォン等のユーザ入力デバイス1520が挙げられる。
【0096】
前駆体供給、プラズマ処理、及びプロセス手順におけるその他のプロセスを制御するためのコンピュータプログラムは、例えば、アセンブリ言語、C、C++、Pascal、Fortranなどの、従来の任意のコンピュータ読み取り可能プログラミング言語で記述できる。プログラムに指定されたタスクを実施するために、コンパイル済みのオブジェクトコード又はスクリプトがプロセッサによって実行される。
【0097】
制御モジュールパラメータは、例えば、フィルタ圧力差、プロセスガスの組成及び流量、温度、圧力、RF電力レベル及び低周波RF周波数などのプラズマ条件、冷却ガス圧力、並びにチャンバ壁温度などの、プロセス条件に関する。
【0098】
システムソフトウェアは、様々に設計又は構成されてよい。例えば、本発明の堆積プロセスを実施するために必要とされるチャンバコンポーネントの動作を制御するために、様々なチャンバコンポーネントサブルーチン又は制御オブジェクトが記述されてよい。これを目的としたプログラム又はプログラム部分の例として、基板位置決めコード、プロセスガス制御コード、圧力制御コード、ヒータ制御コード、及びプラズマ制御コードが挙げられる。
【0099】
基板位置決めプログラムは、基板を台座又はチャックに載せるために使用される並びに基板とガス入口及び/又は標的などのチャンバのその他の部品との間の間隔を制御するために使用されるチャンバコンポーネントを制御するための、プログラムコードを含んでいてよい。プロセスガス制御プログラムは、ガスの組成及び流量を制御するための、並びに随意としてチャンバ内の圧力を安定化させるために堆積に先立ってチャンバにガスを流し込むための、コードを含んでいてよい。フィルタモニタリングプログラムは、(1つ以上の)測定された差を(1つ以上の)所定の値と比較するためのコード、及び/又は経路を切り替えるためのコードを含む。圧力制御プログラムは、チャンバの排気システムにおける例えばスロットルバルブを調節することによってチャンバ内の圧力を制御するためのコードを含んでいてよい。ヒータ制御プログラムは、前駆体供給システム内のコンポーネント、基板、及び/又はシステムのその他の部分を加熱するための加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含んでいてよい。或いは、ヒータ制御プログラムは、ウエハチャックへの、ヘリウムなどの伝熱ガスの供給を制御してよい。
【0100】
処理の際に監視可能なセンサの非限定的な例として、質量流量制御モジュール、圧力計1510などの圧力センサ、供給システム内に位置付けられる熱電対、台座、又はチャック(例えば温度センサ1514)が挙げられる。これらのセンサからのデータと併せて、適切にプログラムされたフィードバック・制御アルゴリズムが、所望のプロセス条件を維持するために使用されてよい。以上は、単独チャンバ又は複数チャンバを含む半導体処理ツールにおける発明の実施形態の実装形態を説明している。
【0101】
実施形態に関する以上の説明は、例示及び説明を目的として提供されたものであり、包括的であること又は発明を制限することを意図していない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は、総じて、その特定の実施形態に制限されず、たとえ具体的に図示又は説明されていなくても、該当するところでは代替可能であり、選択された実施形態に使用し得る。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は、また、様々なヴァリエーションをとってもよい。このようなヴァリエーションは、発明からの逸脱とは見なされず、このような変更形態も、全て、発明の範囲内に含まれることを意図される。
【0102】
以上の実施形態は、理解を明瞭にする目的で幾らか詳細に説明されてきたが、添付の特許請求の範囲内で、特定の変更及び修正が加えられることが明らかである。したがって、これらの実施形態は、例示的であって限定的ではないと見なされ、本明細書で与えられる詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内で変更されてよい。
例えば、以下の適用例としても実施可能である。
[適用例1]
プラズマ処理チャンバのためのエッジリングアセンブリであって、
RF電源への電気的接続のために構成された静電チャック(ESC)を取り巻くように構成される上方エッジリングであって、前記ESCは、基板を支えるための上面と、前記上面を取り巻く環状段差とを有し、前記環状段差は、前記上面よりも低い環状棚を画定し、かつ前記環状棚の上方に配置され、電気絶縁材料で形成される、上方エッジリングと、
前記環状段差の中で前記上方エッジリングの下方に配置され、前記環状棚の上に配置される下方内側エッジリングであって、導電性材料で形成され、前記ESCから電気的に絶縁される下方内側エッジリングと、
前記下方内側エッジリングを取り巻く下方外側エッジリングであって、前記環状段差の中で前記上方エッジリングの下方に配置され、前記環状棚の上に配置され、電気絶縁材料で形成される下方外側エッジリングと、
を備えるエッジリングアセンブリ。
[適用例2]
適用例1に記載のエッジリングアセンブリであって、
前記下方内側エッジリングと前記ESCとの間の誘電体分離が、既定の静電容量を提供するように構成され、前記RF電源から前記ESCに伝達される電力は、前記既定の静電容量によって決定される既定の相対量で前記下方内側エッジリングに伝達されるエッジリングアセンブリ。
[適用例3]
適用例1に記載のエッジリングアセンブリであって、
前記上方エッジリングは、石英材料で形成されるエッジリングアセンブリ。
[適用例4]
適用例1に記載のエッジリングアセンブリであって、
前記下方外側エッジリングは、石英材料で形成されるエッジリングアセンブリ。
[適用例5]
適用例1に記載のエッジリングアセンブリであって、
前記下方内側エッジリングは、アルミニウム材料で形成されるエッジリングアセンブリ。
[適用例6]
適用例1に記載のエッジリングアセンブリであって、
前記下方内側エッジリングは、前記ESCからの電気的絶縁を提供する陽極酸化アルミニウム表面を有するエッジリングアセンブリ。
[適用例7]
適用例1に記載のエッジリングアセンブリであって、
前記下方内側エッジリング及び前記下方外側エッジリングは、前記ESCの前記環状棚の上に直接配置されるエッジリングアセンブリ。
[適用例8]
適用例1に記載のエッジリングアセンブリであって、
プラズマ処理時における前記RF電源から前記ESCへのRF電力の供給が、前記ESCへの前記下方内側エッジリングの容量結合を提供するエッジリングアセンブリ。
[適用例9]
適用例1に記載のエッジリングアセンブリであって、
プラズマ処理時における前記容量結合は、前記プラズマ処理時に画定されるプラズマシースを、前記上方エッジリングを実質的に覆うように画定される空間領域内で半径方向に広がらせるエッジリングアセンブリ。
[適用例10]
適用例9に記載のエッジリングアセンブリであって、
プラズマ処理時における前記容量結合は、前記基板の縁領域におけるイオン集束を低減するエッジリングアセンブリ。
[適用例11]
適用例10に記載のエッジリングアセンブリであって、
プラズマ処理時における前記容量結合は、前記基板の前記縁領域におけるイオン軌道の、前記基板の上面に垂直な方向からの傾斜を低減するエッジリングアセンブリ。
[適用例12]
適用例1に記載のエッジリングアセンブリであって、
前記上方エッジリングは、環状に成形され、約15〜24mmの半径方向厚さと、約2〜5mmの高さとを有するエッジリングアセンブリ。
[適用例13]
適用例1に記載のエッジリングアセンブリであって、
前記下方内側エッジリングは、環状に成形され、約15〜20mmの半径方向厚さと、約8〜15mmの高さとを有するエッジリングアセンブリ。
[適用例14]
適用例13に記載のエッジリングアセンブリであって、
前記下方内側エッジリングの内径は、前記ESCの前記環状段差によって画定される側壁と、前記下方内側エッジリングとの間に環状の隙間を画定するために、前記側壁の直径を約0.5〜1mm上回るエッジリングアセンブリ。
[適用例15]
適用例1に記載のエッジリングアセンブリであって、
前記下方外側エッジリングは、環状に成形され、約10〜15mmの半径方向厚さと、約8〜15mmの高さとを有するエッジリングアセンブリ。
[適用例16]
適用例1に記載のエッジリングアセンブリであって、
前記上方エッジリングは、上面を有し、前記上方エッジリングの前記上面は、前記上方エッジリングの内径に画定される段差縁を有し、前記段差縁の下部は、前記基板が存在するときに前記基板が前記段差縁の前記下部の上に広がるように、前記ESCの前記上面よりも低い高さに位置するように構成されるエッジリングアセンブリ。
[適用例17]
適用例1に記載のエッジリングアセンブリであって、
前記下方内側エッジリングは、イットリアの外側被覆を含むエッジリングアセンブリ。
[適用例18]
プラズマ処理のためのシステムであって、
プロセスチャンバと、
前記プロセスチャンバ内に配置される静電チャック(ESC)であって、前記ESCは、プラズマ処理時に基板を支えるように構成される上面を有し、更に、前記上面を取り巻く環状段差を含み、前記環状段差は、前記上面よりも低い高さに環状棚を画定する、ESCと、
環状棚の上方に配置される上方エッジリングであって、電気絶縁材料で形成される上方エッジリングと、
前記環状段差の中で前記上方エッジリングの下方に配置され、前記環状棚の上に配置される下方内側エッジリングであって、導電性材料で形成され、前記ESCから電気的に絶縁される下方内側エッジリングと、
前記下方内側エッジリングを取り巻く下方外側エッジリングであって、前記環状段差の中で前記上方エッジリングの下方に配置され、前記環状棚の上に配置され、電気絶縁材料で形成される下方外側エッジリングと、
前記ESC内に配置されるバイアス電極であって、前記基板にかかるバイアス電圧を生成するために第1のRF電源からRF電力を受け取るように構成されるバイアス電極と、
を備えるシステム。