特許第6918554号(P6918554)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6918554
(24)【登録日】2021年7月27日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】可動体構造及び成膜装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/52 20060101AFI20210729BHJP
   C23C 14/34 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   C23C14/52
   C23C14/34 L
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-75868(P2017-75868)
(22)【出願日】2017年4月6日
(65)【公開番号】特開2018-178163(P2018-178163A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中川西 学
【審査官】 神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−244449(JP,A)
【文献】 特開2006−206969(JP,A)
【文献】 特開2016−053202(JP,A)
【文献】 特開2009−174044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/52
C23C 14/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空環境下での処理を可能に構成された処理容器と、
前記処理容器内に配置された固定部と、
前記固定部に対して移動可能に設けられた可動部と、
前記固定部に設けられた送受信モジュールであり該送受信モジュールを構成する部材が一体として真空封止された気密封止構造を有する送受信モジュールと、
前記可動部に設けられたセンサモジュールであり該センサモジュールを構成する部材が一体として真空封止された気密封止構造を有するセンサモジュールと、
を備え、
前記送受信モジュールと前記センサモジュールとは非接触で信号の送受信を行う、
可動体構造。
【請求項2】
真空環境下での処理を可能に構成された処理容器と、
前記処理容器内に配置された固定部と、
前記固定部に対して移動可能に設けられた可動部と、
前記固定部に設けられ、気密封止構造を有する送受信モジュールと、
前記可動部に設けられ、気密封止構造を有するセンサモジュールと、
を備え、
前記可動部は、基板を載置する載置台であり、
前記載置台は、静電チャックを含み、
前記センサモジュールへの電力は、前記静電チャックの電極から非接触で給電され、
前記送受信モジュールと前記センサモジュールとは非接触で信号の送受信を行う、
可動体構造。
【請求項3】
前記可動部は、基板を載置する載置台である、
請求項に記載の可動体構造。
【請求項4】
前記載置台は、静電チャックを含み、
前記センサモジュールへの電力は、前記静電チャックの電極から非接触で給電される、
請求項3に記載の可動体構造。
【請求項5】
前記固定部は、前記載置台を冷却する冷却機構を含む、
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の可動体構造。
【請求項6】
前記冷却機構は、前記載置台を極低温の温度に冷却する、
請求項5に記載の可動体構造。
【請求項7】
前記冷却機構は、前記載置台の回転中心である中心軸にその中心が一致するように配置されている、
請求項5又は6に記載の可動体構造。
【請求項8】
前記冷却機構は、冷凍機と、前記冷凍機の上に設けられた冷凍伝熱体と、を含み、
前記冷凍伝熱体の上面と前記載置台の下面との間には、冷却ガスが供給される冷却ガス通路が設けられている、
請求項5乃至7のいずれか一項に記載の可動体構造。
【請求項9】
前記センサモジュールは、前記可動部の温度を測定する温度センサを含む、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の可動体構造。
【請求項10】
前記温度センサは、ダイオードセンサである、
請求項9に記載の可動体構造。
【請求項11】
前記温度センサは、熱電対である、
請求項9に記載の可動体構造。
【請求項12】
前記固定部には、1つの前記送受信モジュールが設けられており、
前記可動部には、複数の前記センサモジュールが設けられており、
前記1つの前記送受信モジュールは、前記複数の前記センサモジュールとの間で信号を送受信可能に配置されている、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の可動体構造。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の可動体構造と、
前記処理容器内に設けられたターゲットと、
を備える、
成膜装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体構造及び成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回転体の温度を測定する方法として、回転体に熱電対を取り付け、スリップリングを介して熱電対の信号を固定体へ伝達する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−6832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スリップリングを介して熱電対の信号を伝達する場合、回転体と固定体との間に温度差が生じると、熱起電力の差から測定誤差が生じる。そのため、回転体の温度を精度よく測定することができない。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、回転体の温度を精度よく測定することが可能な可動体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る可動体構造は、真空環境下での処理を可能に構成された処理容器と、前記処理容器内に配置された固定部と、前記固定部に対して移動可能に設けられた可動部と、前記固定部に設けられた送受信モジュールであり該送受信モジュールを構成する部材が一体として真空封止された気密封止構造を有する送受信モジュールと、前記可動部に設けられたセンサモジュールであり該センサモジュールを構成する部材が一体として真空封止された気密封止構造を有するセンサモジュールと、を備え、前記送受信モジュールと前記センサモジュールとは非接触で信号の送受信を行う。
【発明の効果】
【0007】
開示の可動体構造によれば、回転体の温度を精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る成膜装置の一例を示す概略断面図
図2】本発明の実施形態に係る可動体構造の第1構成例を示す概略断面図
図3】センサモジュールの一例を示す図
図4】本発明の実施形態に係る可動体構造の第2構成例を示す概略断面図
図5】本発明の実施形態に係る可動体構造の第3構成例を示す概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0010】
最初に、本発明の実施形態に係る可動体構造が適用可能な成膜装置について説明する。以下では、成膜装置の一例として、極低温下(例えば50ケルビン(K)以下)、且つ超高真空環境下(例えば10−9Pa以下)での処理を可能に構成された処理容器内において、基板に対し所定の膜を形成することが可能なPVD(Physical Vapor Deposition)装置を例に挙げて説明する。PVD装置は、例えばHDD(Hard Disk Drive)の読み込みヘッド部、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)等に用いられる磁性膜を形成する際に好適に利用することができる。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る成膜装置の一例を示す概略断面図である。
【0012】
図1に示されるように、成膜装置は、処理容器1を有する。処理容器1内には、回転可能に構成された載置台2と、載置台2に固定された静電チャック3とが配置される。静電チャック3上には、半導体ウエハ等の基板Wが載置される。基板Wは、図示しない搬送機構によって、ゲートバルブGVを介して互いに接続された処理容器1と搬送室4との間で搬送される。
【0013】
処理容器1は、下部に位置する底板1aと、底板1aの外周を取り囲む筒状部1bと、筒状部1bの上部に設けられ、筒状部1bを封止する天板1cとを備えている。なお、底板1aと筒状部1bとは一体構造であってもよく、筒状部1bと天板1cとは一体構造であってもよい。
【0014】
天板1cには、ターゲットホルダ13が固定されている。ターゲットホルダ13には、爪部材14が固定されている。ターゲットホルダ13と爪部材14との間に、ターゲット12の周縁部が挟まれることにより、ターゲット12がターゲットホルダ13に保持される。
【0015】
なお、ターゲットホルダ13は導電体であるが、天板1cとの間には絶縁体が介在しており、プラズマ発生用電源15からの電圧が与えられる。天板1cを含む処理容器1の電位はグランド電位である一方、ターゲットホルダ13及びターゲット12にはプラズマ発生用電源15からの高周波の電位が与えられる。
【0016】
プラズマ発生用電源15は、処理容器1内においてプラズマを発生させ、希ガス等をイオン化し、イオン化した希ガス元素等によって、ターゲット12をスパッタリングするために用いられる。また、プラズマを発生するために、処理容器1の内部には、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、ネオン(Ne)等の希ガスや窒素(N)ガスが充填される。
【0017】
プラズマ発生用電源15は、高周波等の交流電源15a及び整合器15bを備えている。プラズマ発生用電源15は、ターゲット12とグランド電位との間に交流電圧を印加する。プラズマ発生用電源15からターゲット12へ交流電圧が印加されると、ターゲット12の近傍にプラズマが発生し、ターゲット12がスパッタリングされ、スパッタリングされた原子又は分子がターゲット12に対向する基板Wの表面上に堆積する。例えば、磁性膜(Ni,Fe,Co等の強磁性体を含む膜)を堆積する場合、ターゲット12の材料としては、例えばCoFe、FeNi、NiFeCoを用いることができる。また、ターゲット材料として、これらの材料に、別の元素を混入させることもできる。
【0018】
また、プラズマ発生用電源15は、交流電源15aに対し並列に直流電源15cを備えていてもよい。直流電源15cにより、ターゲット12に与えられる電位の振幅中心電位を変更することができる。プラズマ発生には、一般的には13.56MHz等の高周波が用いられるが、その他の周波数(直流電源を含む)を用いることも可能である。なお、ターゲット12の近傍に磁石を配置し、ターゲット12の表面に磁界を印加して、マグネトロンスパッタを行うこともできる。
【0019】
静電チャック3は、誘電体膜3aと、電極3bとを備えている。電極3bは、誘電体膜3a内に埋設されている。図示しない直流電源から配線L1を介して電極3bに対し所定の電位が与えられることにより、基板Wを静電チャック3に固定することができる。配線L1と、配線L1に電力を供給する直流電源とは、スリップリング16を介して電気的に接続されている。これにより、配線L1は、静電チャック3と共に回転することができる。また、静電チャック3には、基板Wとの界面にヘリウム(He)等の冷却ガス(熱伝達ガス)を供給する通路を設けることができる。
【0020】
処理容器1には、真空ポンプ10が連通している。真空ポンプ10により処理容器1の内部のガスを排気することで、処理容器1内の圧力は、プラズマが発生可能な程度に減圧される。即ち、処理容器1は、真空環境下での処理を可能に構成されている。
【0021】
載置台2の下方には、載置台2の下面2aと隙間G1を介して冷却機構5が設けられている。載置台2は、冷却機構5によって、例えば50K以下の温度域である極低温に冷却される。これにより、載置台2に載置された基板Wも、50K以下の極低温に冷却される。スパッタリングによる磁性膜の形成においては、極低温で形成することで、結晶粒径、膜応力等の薄膜特性を制御することができる。
【0022】
載置台2の下面2aには、冷却機構5の外周面と隙間G2を介して冷却機構5の外周面を覆うように設けられ、上下方向に延びた回転部17が固定されている。回転部17は、ダイレクトドライブモータ等の駆動機構18に接続されている。駆動機構18は、回転部17を回転させることができ、これにより、回転部17に固定された載置台2が、載置台2の中心軸Cを回転中心として回転する。また、回転部17とその周囲との間には磁性流体シール19が設けられており、回転部17は気密性を維持した状態で回転可能に構成されている。
【0023】
次に、本発明の実施形態に係る可動体構造の第1構成例について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る可動体構造の第1構成例を示す概略断面図である。
【0024】
図2に示されるように、可動体構造は、処理容器1と、冷却機構5と、載置台2と、送受信モジュール51と、センサモジュール21とを備える。
【0025】
処理容器1は、極低温下、且つ真空環境下での処理が可能に構成されている。
【0026】
冷却機構5は、冷凍機5aと、冷凍伝熱体5bとを有する。冷凍伝熱体5bは、冷凍機5aの上に設けられており、その上部が処理容器1内に配置されている。冷凍伝熱体5bは、例えば銅(Cu)等の熱伝導率の高い材料により形成されており、略円柱形状を有している。また、冷凍伝熱体5bは、載置台2の中心軸Cにその中心が一致するように配置されている。載置台2の下面2aと冷凍伝熱体5bの上面との隙間G1は、例えばHe等の冷却ガス(熱伝達ガス)が供給される冷却ガス通路として機能する。そして、冷凍機5aは、冷凍伝熱体5b、及び冷却ガス通路に供給される冷却ガスを介して載置台2を冷却する。
【0027】
載置台2は、冷凍伝熱体5bに対して回転可能に設けられている。
【0028】
送受信モジュール51は、冷凍伝熱体5bに設けられている。送受信モジュール51には、配線L2が接続されており、配線L2を介してセンサ信号、電力信号等の各種の信号が処理容器1の外部との間で送受信される。配線L2は、送受信モジュール51の内部から、例えば極細線径のハーメチックシールを介して外部に引き出されている。送受信モジュール51は、非接触(ワイヤレス)でセンサモジュール21とセンサ信号、電力信号等の各種の信号を送受信可能に構成されている。送受信モジュール51は、高周波、共鳴、マイクロ波等によって各種の信号を送受信するコイルを有する。具体的には、送受信モジュール51は、コイルを介して、センサモジュール21の温度センサ22が計測した温度を非接触で取得する。また、送受信モジュール51は、コイルを介して、センサモジュール21に対し、非接触で電力信号を供給する。送受信モジュール51は、送受信モジュール51を構成するコイル等の部材が、一体として真空封止された気密封止構造を有する。
【0029】
センサモジュール21は、載置台2に設けられている。センサモジュール21は、非接触で送受信モジュール51とセンサ信号、電力信号等の各種の信号を送受信可能に構成されている。図3は、センサモジュール21の一例を示す図である。図3に示されるように、センサモジュール21は、温度センサ22と、回路基板23と、コイル24と、フェライトコア25と、外装体26とを有する真空管二重構造である。温度センサ22は、載置台2の温度を計測するセンサであり、例えばダイオードセンサ、熱電対であってよい。回路基板23は、各種の信号を送受信するための回路やキャパシタ(コンデンサ)等のコンポーネントを含み、温度センサ22と電気的に接続されている。コイル24は、送受信モジュール51のコイルとの間で、高周波、共鳴、マイクロ波等によって各種の信号の送受信を行うものであり、回路基板23と電気的に接続されている。コイル24及びフェライトコア25は、例えば温度センサ22により計測されたセンサ信号を送受信モジュール51に送信したり、送受信モジュール51のコイルから供給される電力信号を受信したりする。外装体26は、電磁誘導作用を抑制しない非金属、例えばガラス等によって構成されている。また、センサモジュール21は、センサモジュール21を構成する温度センサ22、回路基板23、コイル24及びフェライトコア25等の部材が、外装体26により一体として真空封止された気密封止構造を有する。このように、センサモジュール21が気密封止構造を有するので、基板等への極低温入熱による基板の反り・ハンダ接合部へのダメージを抑制することや外部静電影響を抑制するための接地効果を一体として得ることができる。また、センサモジュール21の外装体26に機能性の金属薄膜を付与させることが好ましい。これにより、処理容器1内で発生する電磁界や静電等のノイズ影響を抑制することができる。機能性の金属薄膜は、磁気シールド、静電シールド、帯電防止等の機能を有する膜であり、例えばニッケル合金系の膜であってよい。
【0030】
以上に説明したように、第1構成例に係る可動体構造では、回転可能に構成された載置台2に設けられたセンサモジュール21の温度センサ22で測定される温度を、非接触で冷凍伝熱体5bに設けられた送受信モジュール51に伝達することができる。そのため、載置台2と冷凍伝熱体5bとの間に温度差が生じた場合であっても、熱起電力の差から測定誤差が生じることがない。その結果、回転体である載置台2の温度を精度よく測定することができる。
【0031】
また、本発明の実施形態に係る可動体構造は、センサモジュール21及び送受信モジュール51が気密封止構造を有する。そのため、基板等への極低温入熱・基板の反り・ハンダ接合部へのダメージを抑制することや外部静電影響を抑制するための接地効果や静電シールド、または帯電防止を付与させることで、処理容器1内で発生する電磁界や静電等のノイズ影響を抑制することができる。その結果、測定誤差を低減し、回転体である載置台2の温度を精度よく測定することができる。
【0032】
また、本発明の実施形態に係る可動体構造は、センサモジュール21及び送受信モジュール51が非接触で各種の信号の送受信を行う。そのため、従来のスリップリング方式の課題であった集電環とブラシとの接触により生じる汚染(コンタミ)がなく、且つ寿命が長くなる。また、構成部品の分解又は組立が容易であるので、分解や組立に要する時間を短縮することができる。さらに、熱による膨張又は収縮により冷凍伝熱体5bの上面と載置台2の下面との隙間G1(冷却ガス通路)の距離が変化した場合であっても、断線等の影響を気にする必要がなく、コイルの巻き数や大きさを調整することで容易に対応することができる。
【0033】
次に、本発明の実施形態に係る可動体構造の第2構成例について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る可動体構造の第2構成例を示す概略断面図である。
【0034】
図4に示されるように、第2構成例の可動体構造は、冷却機構5の冷凍伝熱体5bに1つの送受信モジュール51が設けられており、載置台2に複数のセンサモジュール21が設けられている点で、図2で示した第1構成例の可動体構造と異なる。
【0035】
センサモジュール21は、載置台2における複数の位置に設けられている。図示の例では、載置台2には、複数のセンサモジュール21a,21b,21c,21d,21eが設けられている。これにより、載置台2の面内における複数の位置の温度を計測することができる。そのため、載置台2の面内における複数の位置の温度に基づいて、載置台2の温度を制御することが可能となり、温度の面内均一性を向上させることができる。
【0036】
送受信モジュール51は、複数のセンサモジュール21a,21b,21c,21d,21eとセンサ信号や電力信号等の各種の信号を送受信可能に配置されている。図示の例では、送受信モジュール51は、冷凍伝熱体5bの径方向に沿って中心から外方に延びるように、例えば矩形状に形成されている。送受信モジュール51は、載置台2が回転することに伴い、順次、複数のセンサモジュール21a,21b,21c,21d,21eと各種の信号を送受信する。図示の例では、送受信モジュール51とセンサモジュール21c,21d,21eとの間でセンサ信号や電力信号を送受信し得る状態に位置しているときのセンサモジュール21と送受信モジュール51との位置関係を示している。
【0037】
次に、本発明の実施形態に係る可動体構造の第3構成例について説明する。図5は、本発明の実施形態に係る可動体構造の第3構成例を示す概略断面図である。
【0038】
図5に示されるように、第3構成例の可動体構造は、静電チャック3の電極3bが、センサモジュール21に対し非接触で電力信号を送信する点で、第2構成例の可動体構造と異なる。
【0039】
センサモジュール21は、静電チャック3の電極3bから非接触で電力信号を受信することが可能なコイルを有している。これにより、センサモジュール21は、送受信モジュール51から電力信号を受信できない、又は電力信号の受信が不安定な場合であっても、静電チャック3の電極3bから非接触で給電されるので、安定的に電力を確保することができる。
【0040】
なお、上記の実施形態において、載置台2は可動部の一例であり、冷凍伝熱体5bは固定部の一例である。
【0041】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【0042】
なお、上記の実施形態では、センサモジュール21が温度センサ22を含む場合を例に挙げて説明したが、これに限定されず、例えば変位センサ等の別のセンサを含んでいてもよい。センサモジュール21が変位センサを含む場合、回転体の位置情報を変位センサにより非接触で精度よく測定することが可能となる。また、別のセンサの例としては、物体の有無(在荷)、位置(ポジションメーター)・変位(差動変圧器)・寸法(エンコーダ)、圧力・応力・歪み・トルク・重量(歪みゲージ、感圧ダイオード、ロードセル、ダイヤフラム、ブルドン管、ベローズ)、角度(レゾルバ、エンコーダ)、速度・回転数(超音波、レーザードップラなど)、加速度・振動(圧電素子、加速度センサ)、温度(バイメタル、熱電対、抵抗測温体、サーミスタや光高温計)、磁気(磁針、ホール素子、MRセンサなど)や光(フォトダイオード・サイリスタ、光電子増倍管、CCDイメージセンサなど)等のセンサが挙げられる。
【符号の説明】
【0043】
1 処理容器
2 載置台
21 センサモジュール(真空管二重構造)
22 温度センサ
23 回路基板
24 コイル
25 フェライトコア
26 外装体
3 静電チャック
3a 誘電体膜
3b 電極
5 冷却機構
5a 冷凍機
5b 冷凍伝熱体
51 送受信モジュール
12 ターゲット
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5