(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の横軸ポンプにおける摩耗状態の確認方法には、以下のような問題点がある。すなわち、
(1)摩耗状態を確認するには、上部ケーシングを取り外す必要があるため、特に大型ポンプの場合には、作業人員や時間がかかり、維持管理コストが高くなる。
(2)横軸ポンプでは下部ケーシングが基礎(コンクリート)に埋まっているため、軸受異常による振動検知が難しい。検出できるくらいの大きな振動が発生した場合は、ポンプ自体が大きなダメージを受けている可能性が高く、言い換えれば、振動検知では初期異常を検出できない。
(3)ポンプ運転中の軸受状態を聴診棒などを用いて音で判断する場合、わずかな異常を判断するには熟練したスキルが必要であり、機場に設置された全てのポンプを診断することは難しい。
【0007】
特許文献1〜3では、立軸ポンプにおける水中軸受の摩耗状態を確認する方法が提案されているが、横軸ポンプに特有の軸受条件、すなわち回転軸の下方荷重やスラリーの堆積し易さに対しては何ら考慮されていない。そのため、特許文献1〜3の方法では、横軸ポンプにおける水中軸受の摩耗量を正確に計測することが難しい。
【0008】
また、特に特許文献1および2の方法では、圧縮空気を水中軸受に供給して測定を行うため、空気圧縮機、エアタンク、配管、バルブなどを新たに設置する必要があり、維持管理コストが高くなる。また、圧縮空気を水中軸受に供給して測定を行うことから、ポンプ運転中の軸変位を確認することはできない。特許文献3の方法では、一定量の摩耗の進行による導通によって摩耗状態を確認するため、運転中の軸変位をリアルタイムで確認することができない。
【0009】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものである。本発明の目的は、ポンプケーシングを分解せずに水中軸受における摩耗量を正確に計測できる横軸ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様に係る横軸ポンプは、
水平方向に延びる回転軸と、
前記回転軸に固定された羽根車と、
前記羽根車が収容されるポンプケーシングと、
前記ポンプケーシング内に配置され前記回転軸の先端部が収容される軸受ケーシングと、
前記軸受ケーシング内に配置され前記回転軸を回転可能に支持する水中軸受と、
前記軸受ケーシング内において前記回転軸の上面に対向して配置され前記回転軸との間の間隔を測定する変位センサと、
を備える。
【0011】
このような態様によれば、回転軸が水平方向に延びているため、水中軸受は回転軸からの下方荷重を受けながら摺動し、軸受下側が摩耗することになり、摩耗分だけ回転軸が下方に変位することになるが、変位センサが回転軸の上面に対向して配置されているため、ポンプ運転停止時に回転軸が水中軸受に密着した状態において、回転軸の下方変位(すなわち水中軸受の摩耗量)を正確に計測することができる。
【0012】
本発明の第2の態様に係る横軸ポンプは、第1の態様に係る横軸ポンプであって、
前記回転軸は、前記水中軸受よりも前記羽根車とは反対側に突出しており、
前記変位センサは、前記回転軸の前記突出した部分に対向するように配置されている。
【0013】
このような態様によれば、水中軸受の摩耗が進行するにつれて、回転軸が先端側ほど大きく変位するように徐々に斜めに傾いていく場合に、変位センサが回転軸の突出した部分、すなわち、より先端側の部分に対向するように配置されているため、回転軸の微小な変位を増幅してより正確に計測することができる。
【0014】
本発明の第3の態様に係る横軸ポンプは、第1または2の態様に係る横軸ポンプであって、
前記変位センサは、前記軸受ケーシング内に配置され前記水中軸受を保持する水中軸受ケースに保持されている。
【0015】
このような態様によれば、軸受ケーシング内において、変位センサを保持するために新たに部材を設置する必要がなく、装置構成が単純である。
【0016】
本発明の第4の態様に係る横軸ポンプは、第1〜3のいずれかの態様に係る横軸ポンプであって、
前記軸受ケーシング内において前記水中軸受と前記羽根車との間の前記回転軸に設けられ、前記回転軸と一体に回転して前記軸受ケーシング内に水流を発生させるツバ部をさらに備える。
【0017】
このような態様によれば、ツバ部が回転軸と一体に回転して軸受ケーシング内に水流を発生させることで、軸受ケーシング内に滞留する泥やスラリーなどが水流によって攪拌される。これにより、変位センサの検知面に泥やスラリーなどの異物が堆積または付着することが防止され、測定の信頼性が向上する。また、水中軸受の周りの水が効果的に攪拌されるため、水中軸受の冷却効率が向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、横軸ポンプにおいて、ポンプケーシングを分解せずに水中軸受における摩耗量を正確に計測できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る横軸ポンプの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る横軸ポンプの吐出部を拡大して示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る横軸ポンプの水中軸受部分の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る横軸ポンプの水中軸受部分を横方向から見た断面図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る横軸ポンプの水中軸受部分を軸方向から見た断面図である。
【
図6】
図6は、ポンプ運転中の回転軸と水中軸受とを軸方向から見た図である。
【
図7】
図7は、ポンプ運転停止時の回転軸と水中軸受とを軸方向から見た図である。
【
図8】
図8は、ポンプ運転停止時の回転軸と水中軸受とを横方向から見た図である。
【
図9】
図9は、変位センサの設置位置を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態の第1変形例に係る横軸ポンプの水中軸受部分を横方向から見た断面図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態の第2変形例に係る横軸ポンプの水中軸受部分を横方向から見た断面図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態の第3変形例に係る横軸ポンプの水中軸受部分を横方向から見た断面図である。
【
図13】
図13は、第1の実施形態の第4変形例に係る横軸ポンプの水中軸受部分を横方向から見た断面図である。
【
図14】
図14は、
図13に示す水中軸受部分に関して摩耗量の測定原理を説明するための図である。
【
図15】
図15は、第2の実施形態に係る横軸ポンプの吐出部を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、添付の図面を参照して、実施の形態を詳細に説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示の理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る横軸ポンプ10の概略構成を示す図である。
図1に示すように、横軸ポンプ10は、水平方向に延びる回転軸11と、回転軸11に固定された羽根車12と、羽根車12が収容されるポンプケーシング13と、を有している。
【0022】
ポンプケーシング13は、湾曲した流路を画定する筒形状を有しており、下向きに開口する吸込口13aと水平方向に開口する吐出口13bとを有している。ポンプケーシング13内に収容された羽根車12は、吐出口13bの近くに吐出口13bの中心軸線と同軸状に配置されている。
【0023】
図2は、横軸ポンプ10の吐出部を拡大して示す図である。
図2に示すように、ポンプケーシング13内において羽根車12と吐出口13bとの間には、軸受ケーシング14が配置されている。軸受ケーシング14は、略半球形状を有しており、ポンプケーシング13の内面から径方向に延びる複数のリブ13cによって、ポンプケーシング13の内面から離間した位置に支持されている。
【0024】
軸受ケーシング14内には、水中軸受ケース16に保持された水中軸受15が、吐出口13bの中心軸線と同軸状に配置されている。
【0025】
図3は、横軸ポンプ10の水中軸受部分の分解斜視図であり、
図4は、横軸ポンプ10の水中軸受部分を横方向から見た断面図であり、
図5は、横軸ポンプ10の水中軸受部分を軸方向から見た断面図である。
【0026】
図3〜
図5に示すように、水中軸受ケース16は、たとえば箱形状を有しており、その中心部には水平方向に延びる貫通孔16bが形成されている。水中軸受15は、円筒形状を有するすべり軸受であり、水中軸受ケース16の貫通孔16bに嵌挿されて保持されている。
【0027】
水中軸受15の材質としては、たとえば、潤滑剤として給脂(グリース)を使用しなくても運転可能な樹脂(例えばPEEK)が好適に用いられる。運転時の給脂が不要な樹脂軸受は、給脂作業や使用済み油の処理が不要であり、維持管理性が高い。一方で、樹脂軸受は、給脂が必要な軸受に比べて摩耗が大きい特性があるが、本実施の形態では、後述する変位センサ17により摩耗状況の定期的な把握が可能である。
【0028】
なお、水中軸受15の材質は、運転時の給脂が不要な樹脂に限定されるものではなく、ゴム、セラミックスなどの一般的にすべり軸受として使用されるものであってもよい。
【0029】
図1に戻って、ポンプケーシング13のうち湾曲方向外周側には、ポンプケーシング13の壁面を貫通する軸封装置18が設けられている。軸封装置18は、吐出口13bの中心軸線と同軸状に設けられている。回転軸11は、軸封装置18を介してポンプケーシング13の内部に挿設されている。
【0030】
水平方向に延びる回転軸11の先端部は、ポンプケーシング13内に配置された軸受ケーシング14内に収容され、軸受ケーシング14内に配置された水中軸受15により回転可能に支持されている。
【0031】
一方、回転軸11の基端部は、ポンプケーシング13の外部に配置された外軸受19により回転可能に支持されている。外軸受19には、たとえば転がり軸受が用いられる。
【0032】
回転軸11のうち外軸受19より更に基端側には、カップリング22を介して原動機(図示しない)が接続されている。原動機から出力される駆動力によって回転軸11と羽根車12とが一体に回転されるようになっている。ここで、水中軸受15は、回転軸11からの下方荷重を受けながら摺動するため、ポンプの使用を続けると軸受下側が摩耗することになる。一方、外軸受19は、回転軸11からの下方荷重を転がり軸受で受けるため、摩耗はほとんど生じない。
【0033】
図1および
図2に示すように、軸受ケーシング14内には、回転軸11との間の間隔を測定する変位センサ17が、回転軸11の上面に対向して配置されている。変位センサ17が回転軸11の上面に対向して配置されていることで、ポンプ運転停止時に回転軸11が水中軸受15に密着した状態において、回転軸11の下方変位(すなわち水中軸受15の摩耗量)を正確に計測することができる。
【0034】
より詳しくは、
図9に示すように、回転軸11を軸方向先端側から見て、吐出口13bの中心軸線の位置を基点Oとし、反時計回りに、右方向を0°、上方向を90°、左方向を180°、下方向を270°としたときに、仮に変位センサ17が回転軸11の横方向、すなわち0°または180°の位置に配置されている場合、軸受下側の摩耗に対して変位センサ17と回転軸11との間の間隔はほとんど変化しないため、変位センサ17によって回転軸11の変位を正確に計測することができない。
【0035】
これに対し、本実施の形態のように、変位センサ17が回転軸11の上面に対向して配置されていれば、軸受下側が摩耗するのに比例して変位センサ17と回転軸11との間の間隔が広がっていくため、回転軸11の変位(すなわち水中軸受15の摩耗量)を正確に計測することができる。具体的には、たとえば、変位センサ17は、0°より大きく180°未満の角度範囲に配置されているのが好ましく、45°〜135°の角度範囲に配置されているのがより好ましく、60°〜120°の角度範囲に配置されているのが更に好ましい。
【0036】
変位センサ17には、水中でも計測可能な非接触式センサ(たとえば渦電流損式センサ)が用いられる。渦電流損式センサは、対象物とセンサとの間の距離により変化する渦電流損を検知することで、高精度でリニアな測定が可能である。また、渦電流損式センサは、温度変化に強いという特性もある。
【0037】
本実施の形態では、
図1および
図2に示すように、回転軸11は、水中軸受15よりも羽根車12とは反対側(すなわち吐出口13b側)に突出しており、変位センサ17は、回転軸11の突出した部分に対向するように、水中軸受15に対して羽根車12とは反対側に配置されている。
【0038】
図示された例では、変位センサ17は、水中軸受15を保持する水中軸受ケース16に保持されている。より詳しくは、
図3および
図4に示すように、水中軸受ケース16の天井部分には、羽根車12とは反対側に突出した板状部分16aが設けられており、当該板状部分16aに上下方向に貫通する貫通孔16cが形成されており、変位センサ17は、当該貫通孔16cに嵌挿されて保持されている。
【0039】
上述したように、ポンプの使用を続けると、水中軸受15は軸受下側が摩耗するのに対し、外軸受19はほとんど摩耗しないため、
図8に示すように、回転軸11は先端側ほど大きく変位するように徐々に斜めに傾いていく。このような状況に対し、本実施の形態では、変位センサ17が回転軸11の突出した部分に対向するように配置されているため、回転軸11の微小な変位を増幅してより正確に計測することが可能である。
【0040】
図2に示すように、変位センサ17には、演算処理装置20が通信接続されている。演算処理装置20は、変位センサ17から計測値を受け取るととともに、原動機などからポンプ運転信号を受け取り、変位センサ17の計測値をポンプの運転状態(「ポンプ運転中」または「運転停止中」など)とともに端末装置21に表示するようになっている。
【0041】
次に、このような構成からなる横軸ポンプ10の動作を説明する。
【0042】
ポンプ運転時には、原動機から出力される駆動力によって羽根車12と回転軸11とが一体に回転される。羽根車12の回転によりポンプケーシング13内の液体が流動されることで、吐出口13bから液体が吐き出されるとともに、吸込口13aから新たな液体が吸い込まれる。
【0043】
図6に示すように、ポンプ運転中は、水中軸受15内に液体の潤滑膜が形成され、回転軸11が水中軸受15の内面から浮いた状態となる。このとき、変位センサ17は、変位センサ17と回転軸11との間の間隔を測定する。これにより、ポンプ運転中の回転軸11の軸変位(回転中の平均値、最小値、最大値)をリアルタイムで計測することができる。
【0044】
変位センサ17は、回転軸11が一回転する間に4箇所以上計測する周期、すなわち回転軸11の回転周期の4分の1以下の短い周期で測定することが望ましい。
【0045】
演算処理装置20は、変位センサ17の計測値を「ポンプ運転中」の表示とともに端末装置21に表示する。端末装置21の表示を確認するユーザは、「ポンプ運転中」の表示を見ることで、端末装置21に表示された変位センサ17の計測値が、水中軸受15の摩耗量ではなく回転軸11の軸変位を表していると判断することができる。
【0046】
一方、
図7に示すように、ポンプ運転停止時には、回転軸11は重力の影響により水中軸受15の下側部分に密着して静止する。変位センサ17は、回転軸11の上面に対向して配置されているため、回転軸11が水中軸受15に密着した状態における回転軸11の下方変位(すなわち摩耗量)を正確に計測することができる。
【0047】
また、上述したように、ポンプの使用を続けると、水中軸受15は軸受下側が摩耗するのに対し、外軸受19はほとんど摩耗しないため、水中軸受15の摩耗が進行するにつれて、回転軸11は先端側ほど大きく変位するように徐々に斜めに傾いていくが、変位センサ17が回転軸11の突出した部分に対向するように配置されているため、回転軸11の微小な変位を増幅してより正確に計測することが可能である。
【0048】
また、たとえばポンプケーシング13の外側に配置されるカップリング22などに、回転方向における軸位置の基準点(マーク)を予め設けておき、ポンプ運転停止時に、基準点がどの位置(角度)にあるのかを推定し、推定した軸位置(角度)に基づいて、変位センサ17の計測値に対する補正値を算出するようにしてもよい。
【0049】
演算処理装置20は、変位センサ17の計測値を「ポンプ運転停止中」の表示とともに端末装置21に表示する。端末装置21の表示を確認するユーザは、「ポンプ運転停止中」の表示を見ることで、端末装置21に表示された変位センサ17の計測値が、回転軸11の軸変位ではなく水中軸受15の摩耗量を表していると判断することができる。
【0050】
以上のような本実施の形態によれば、回転軸11が水平方向に延びているため、水中軸受15は回転軸11からの下方荷重を受けながら摺動し、軸受下側が摩耗することになり、摩耗分だけ回転軸11が下方に変位することになるが、変位センサ17が回転軸11の上面に対向して配置されているため、ポンプ運転停止時に回転軸111が水中軸受15に密着した状態において、回転軸11の最大変位(すなわち水中軸受15の摩耗量)を正確に計測することができる。また、泥やスラリーなどの異物が変位センサ17の検知面に堆積、付着することも防止できる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、水中軸受15の摩耗が進行するにつれて、回転軸11が先端側ほど大きく変位するように徐々に斜めに傾いていく場合に、変位センサ17が回転軸11の突出した部分、すなわち、より先端側の部分に対向するように配置されているため、回転軸11の微小な変位を増幅してより正確に計測することができる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、変位センサ17が水中軸受15を保持する水中軸受ケース16に保持されているため、軸受ケーシング14内において、変位センサ17を保持するために新たに部材を設置する必要がなく、装置構成が単純である。
【0053】
なお、上述した実施の形態では、変位センサ17が水中軸受15に対して羽根車12とは反対側に配置されていたが、これに限定されるものではない。レイアウトや軸受ケーシング14内のスペースの制約により、変位センサ17を水中軸受15に対して羽根車12とは反対側に配置できない場合には、
図10に示すように、変位センサ17を水中軸受15の途中に配置してもよいし、
図11に示すように、変位センサ17を水中軸受15に対して羽根車12と同じ側に配置してもよい。これらの場合であっても、水中軸受15の摩耗を正確に検出することは可能である。また、これらの場合には、回転軸11を水中軸受15よりも羽根車12とは反対側に突出させる必要がないので、既設ポンプの改造時などにおいて、回転軸11の取替などの大掛かりな改造をせずに変位検知が可能となる。
【0054】
また、上述した実施の形態では、変位センサ17が回転軸11の上面に対向する位置にのみ設けられていたが、これに限定されるものではなく、たとえば
図12に示すように、回転軸11の上面に対向する位置に設けられた変位センサ17(以下、第1の変位センサともいう)に対して所定角度(たとえば90°)離れた位置に、第2の変位センサ171が更に設けられていてもよい。第1の変位センサ17の計測値と第2の変位センサ171の計測値とを比較、分析することにより、回転中の回転軸11の軸変位の変化量を推定することができる。
【0055】
また、
図13に示すように、第1の変位センサ17に加えて、回転軸11の下面に対向する位置に、第3の変位センサ172が更に設けられていてもよい。この場合、
図14に示すように、ポンプ運転停止時において、第1の変位センサ17の初期値(または設計値)をa、計測値をa+Δaとし、第2の変位センサ173の初期値(または設計値)をb、計測値をb−Δbとすると、水中軸受15の摩耗量がΔbとなり、回転軸11の外周面に設けられた軸スリーブ(図示しない)の摩耗量がΔa−Δbとなる。したがって、水中軸受15の摩耗量と軸スリーブの摩耗量の両方を精度よく計測することができる。
【0056】
また、
図13に示すように、第1の変位センサ17に加えて、回転軸11の下面に対向する位置に、第3の変位センサ172が更に設けられている場合には、水中軸受15の下側部分がある程度摩耗しても、水中軸受15を水中軸受ケース16および変位センサ17、172ごと上下反転させて再利用することで、水中軸受15の寿命を2倍に延ばすことができる。また、この場合、変位センサ17、172による摩耗量の監視により、上下反転に適切な時期をユーザに報知するように構成してもよい。
【0057】
(第2の実施形態)
図15は、第2の実施形態に係る横軸ポンプ10の吐出部を拡大して示す図である。第2の実施の形態において、上述した第1の実施形態と同様に構成され得る部分について、第1の実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0058】
第2の実施の形態では、
図15に示すように、軸受ケーシング14内において、水中軸受15と羽根車12との間の回転軸11には、ツバ部31が設けられている。ツバ部31は、回転軸11と一体に回転することで軸受ケーシング14内に水流を発生させるようになっている。
【0059】
図16は、ツバ部31の第1例を横方向から見た図(
図16の左図)および軸方向から見た図(
図16の右図)である。
図16に示す例では、ツバ部31は、回転軸11の外周面に固定されるリング部31aと、リング部31aの外周面に周方向に等間隔に設けられた複数の羽根31bとを有している。リング部31aと羽根31bとが回転軸11と一体に回転される場合、各羽根31bに対して回転方向前方に位置する液体が各羽根31bによって押されることで、軸受ケーシング14内に水流が発生する。
【0060】
図17は、ツバ部31の第2例を横方向から見た図(
図17の左図)および軸方向から見た図(
図17の右図)である。
図17に示す例では、ツバ部31は、回転軸11の外周を取り囲む円板部31cと、円板部31cの水中軸受15側の表面に周方向に等間隔に設けられた複数のフィン31dとを有している。円板部31cとフィン31dとが回転軸11と一体に回転される場合、各フィン31dに対して回転方向前方に位置する液体が各フィン31dによって押されることで、軸受ケーシング14内に水流が発生する。
【0061】
このような第2の実施形態によれば、ツバ部31が回転軸11と一体に回転して軸受ケーシング14内に水流を発生させることで、軸受ケーシング14内に滞留する泥やスラリーなどが水流によって攪拌される。これにより、変位センサ17の検知面に泥やスラリーなどの異物が堆積または付着することが防止され、変位センサ17による測定の信頼性が向上する。また、水中軸受15の周りの水が効果的に攪拌されるため、水中軸受15の冷却効率が向上する。
【0062】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。また、各実施の形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。