特許第6919063号(P6919063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6919063
(24)【登録日】2021年7月27日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】荷電粒子線応用装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/05 20060101AFI20210729BHJP
   H01J 37/147 20060101ALI20210729BHJP
   H01J 37/244 20060101ALI20210729BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20210729BHJP
   H01J 37/29 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   H01J37/05
   H01J37/147 B
   H01J37/244
   H01J37/28 B
   H01J37/29
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-508885(P2020-508885)
(86)(22)【出願日】2018年3月30日
(86)【国際出願番号】JP2018013901
(87)【国際公開番号】WO2019187118
(87)【国際公開日】20191003
【審査請求日】2020年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】特許業務法人藤央特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白崎 保宏
(72)【発明者】
【氏名】土橋 高志
(72)【発明者】
【氏名】圓山 百代
(72)【発明者】
【氏名】池上 明
(72)【発明者】
【氏名】川本 雄太
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−124713(JP,A)
【文献】 特開平11−233062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/05
H01J 37/147
H01J 37/244
H01J 37/28
H01J 37/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子の一次ビームを試料に照射することによって発生する荷電粒子の二次ビームを検出する、荷電粒子線応用装置であって、
前記試料に照射する前記一次ビームを出力する一次ビーム源と、
前記一次ビームが直進し、前記一次ビームの軌道と前記二次ビームの軌道とが分離されるように、内部電磁場を生成する、ビームセパレータと、
前記ビームセパレータの内部電磁場を生成する電極及びコイルに印加する電圧及び電流を制御する制御部と、
前記ビームセパレータからの前記二次ビームを検出する検出器と、を含み、
前記ビームセパレータは、
第1の磁極と、
前記第1の磁極と対向する、第2の磁極と、
前記第1の磁極の前記第2の磁極に対向する第1の面において、前記一次ビームの光軸に沿って延び、前記光軸と垂直な第1の方向に配列された第1の電極及び第2の電極と、
前記第2の磁極の前記第1の磁極に対向する第2の面において、前記光軸に沿って延び、前記第1の電極及び前記第2の電極にそれぞれ対向している、第3の電極及び第4の電極、を含む、
荷電粒子線応用装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記第2の電極に与えられる電位は、前記第1の電極に与えられる電位よりも高く、
前記第4の電極に与えられる電位は、前記第3の電極に与えられる電位よりも高い、
荷電粒子線応用装置。
【請求項3】
請求項1に記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記ビームセパレータは、前記二次ビームの軌道に沿って前記第1の磁極と前記検出器との間に配置されている、第3の磁極と、
前記第3の磁極と対向する第4の磁極と、をさらに含み、
前記第3の磁極と前記第4の磁極とは、前記内部電磁場の磁場と同一方向であって、前記第1の磁極と前記第2の磁極との間の空間からた前記二次ビームを偏向する内部磁場、を形成する、荷電粒子線応用装置。
【請求項4】
請求項3に記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記第1の磁極の前記第3の磁極の側の端から前記光軸までの前記第1の方向に沿った距離は、前記第1の磁極の前記第1の面と前記第2の磁極の前記第2の面との間の距離の半分以上である、荷電粒子線応用装置。
【請求項5】
請求項1に記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記第1の面において、前記光軸に沿って延び、前記第1の電極と前記第2の電極との間に前記第1の方向に配列された、第5の電極及び第6の電極と、
前記第2の面において、前記光軸に沿って延び、前記第5の電極及び前記第6の電極にそれぞれ対向している、第7の電極及び第8の電極、をさらに含む、荷電粒子線応用装置。
【請求項6】
請求項5に記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記第6の電極に与えられる電位は、前記第5の電極に与えられる電位よりも高く、前記第2の電極に与えられる電位より低く、
前記第5の電極に与えられる電位は、前記第1の電極に与えられる電位よりも高く、
前記第8の電極に与えられる電位は、前記第7の電極に与えられる電位よりも高く、前記第4の電極に与えられる電位より低く、
前記第7の電極に与えられる電位は、前記第3の電極に与えられる電位よりも高い、
荷電粒子線応用装置。
【請求項7】
請求項1に記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記第1の面に前記第1の方向において配列され、前記第1の電極及び前記第2の電極を含む前記光軸に沿って延びる複数の電極からなり、隣接する電極が抵抗で連結されている、第1の電極群と、
前記第2の面に前記第1の方向において配列され、前記第3の電極及び前記第4の電極を含み、前記第1の電極群のそれぞれと対向する複数の電極からなり、隣接する電極が抵抗で連結されている、第2の電極群と、をさらに含み、
前記第1の電極群及び前記第2の電極群それぞれの両端の電極に電圧が与えられている、荷電粒子線応用装置。
【請求項8】
請求項1に記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記第1の電極と前記第2の電極との間を連結し、前記第1の電極及び前記第2の電極よりも抵抗値が大きい材料で形成されたシート状の第1のボディ部と、
前記第3の電極と前記第4の電極との間を連結し、前記第3の電極及び前記第4の電極よりも抵抗値が大きい材料で形成されたシート状の第2のボディ部と、をさらに含み、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が与えられ、前記第3の電極と前記第4の電極との間に電圧が与えられる、荷電粒子線応用装置。
【請求項9】
請求項1に記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記試料と前記ビームセパレータとの間に配置されたイメージシフト偏向器と、
前記イメージシフト偏向器と前記ビームセパレータとの間に配置され、前記イメージシフト偏向器によるイメージシフトに連動して前記二次ビームを前記ビームセパレータへ振り戻す、振り戻し偏向器と、をさらに含む荷電粒子線応用装置。
【請求項10】
請求項1に記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記ビームセパレータと前記検出器との間の二次光学系をさらに含み、
前記検出器は複数のセンサを含み、前記試料からの複数の二次ビームを同時に検出可能である、荷電粒子線応用装置。
【請求項11】
請求項10に記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記一次ビーム源と前記ビームセパレータとの間に配置され、前記一次ビーム源からの一次ビームを複数の一次ビームに分割する分割器をさらに含む、荷電粒子線応用装置。
【請求項12】
荷電粒子の一次ビームを試料に照射することによって発生する荷電粒子の二次ビームを検出する、荷電粒子線応用装置であって、
前記試料に照射する前記一次ビームを出力する一次ビーム源と、
互いに対向する第1の電磁極ユニットと第2の電磁極ユニットとを含み、前記一次ビームが直進し、前記一次ビームの軌道と前記二次ビームの軌道と分離が分離されるように、内部電磁場を生成する、ビームセパレータと、
前記ビームセパレータからの前記二次ビームを検出する検出器と、を含み、
前記第1の電磁極ユニットは、磁性体からなり、前記一次ビームの光軸に沿って延びる第1の板を含み、
前記第2の電磁極ユニットは、前記光軸に垂直な第2の方向において前記第1の板に対向し、磁性体からなり、前記光軸に沿って延びる第2の板を含み、
前記光軸の前記第2の方向における位置は、前記第1の板及び前記第2の板の前記第2の方向における位置の間にあり、
前記第1の板は、前記第2の板に対向する面に第1及び第2の磁極を含み、
前記第2の板は、前記第1及び第2の磁極に対向する第3及び第4の磁極を含み、
前記第1及び第2の磁極は、前記光軸に沿って延び、前記光軸及び前記第2の方向に垂直な第1の方向に配列され、
前記第3及び第4の磁極は、前記光軸に沿って延び、前記第1の方向に配列され、前記第1及び第2の磁極に対してそれぞれ磁界を生じさせ、
前記第2の磁極に与えられる電位は、前記第1の磁極に与えられる電位よりも高く、
前記第4の磁極に与えられる電位は、前記第3の磁極に与えられる電位よりも高い、
荷電粒子線応用装置。
【請求項13】
請求項12に記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記試料と前記ビームセパレータとの間に配置されたイメージシフト偏向器と、
前記イメージシフト偏向器と前記ビームセパレータとの間に配置され、前記イメージシフト偏向器によるイメージシフトに連動して前記二次ビームを前記ビームセパレータへ振り戻す、振り戻し偏向器と、をさらに含む荷電粒子線応用装置。
【請求項14】
請求項12に記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記ビームセパレータと前記検出器との間の二次光学系をさらに含み、
前記検出器は複数のセンサを含み、前記試料からの複数の二次ビームを同時に検出可能である、荷電粒子線応用装置。
【請求項15】
請求項14に記載の荷電粒子線応用装置であって、
前記一次ビーム源と前記ビームセパレータとの間に配置され、前記一次ビーム源からの一次ビームを複数の一次ビームに分割する分割器をさらに含む、荷電粒子線応用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は荷電粒子線応用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微細な構造を観察するために荷電粒子線応用装置が使われている。半導体製造プロセスにおいては、半導体デバイスの寸法や形状の計測または検査に電子ビーム等の荷電粒子線を利用する荷電粒子線応用装置が使用されている。その一例にScanning Electron Microscope(SEM)がある。SEMは電子源から発生する電子ビーム(以下、一次ビーム)を観察したい試料に照射し、それにより発生する二次電子を検出器で検出して電気信号に変換し、画像を生成する。
【0003】
二次電子を検出するには、二次電子の軌道(以下、二次ビーム)を一次ビームから分離するビームセパレータが必要とされる。ビームセパレータとして、広い磁場領域でビームを偏向する磁場セクタと、局所的な領域に発生する電磁場でビームを偏向するExBが知られている。また、例えば特許文献1は、電場と磁場によるビームセパレータを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−187730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
SEMは、その取得する画像のコントラストを向上のために、二次ビームの直接検出及び信号弁別を行う検出光学系を必要とする。検出光学系を一次ビームに干渉させることなく配置するためには、二次ビームを大角偏向できるビームセパレータが望まれる。
【0006】
しかし、従来の磁場セクタは、二次ビームを大角偏向(90度)させることができるが、一次ビームを偏向させるため、つまり、一次ビームが曲線光学系であるため、光軸調整が困難である。また、従来の磁場セクタは、その背が高く、他の光学素子と干渉しやすい。ExBは、一次ビームの制御が比較的に簡便であるが、原理的に二次ビームの偏向角度が小さい。そのため、二次ビームを検出光学系へ導くための二次光学系や一次ビームにとってExBの上流に配置する光学素子を、ExBから距離をおいて配置する必要がある。これは、光学条件に対する制約が大きいだけではなく、SEMのカラム長を長くし、外部からの振動の影響を受けやすくなり、一次ビームの分解能劣化を及ぼす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例は、荷電粒子の一次ビームを試料に照射することによって発生する荷電粒子の二次ビームを検出する、荷電粒子線応用装置であって、試料に照射する一次ビームを出力する一次ビーム源と、前記一次ビームが直進し、前記一次ビームの軌道と前記二次ビームの軌道とが分離されるように、内部電磁場を生成する、ビームセパレータと、前記ビームセパレータの内部電磁場を生成する電極及びコイルに印加する電圧及び電流を制御する制御部と、前記ビームセパレータからの前記二次ビームを検出する検出器と、を含み、前記ビームセパレータは、第1の磁極と、前記第1の磁極と対向する、第2の磁極と、前記第1の磁極の前記第2の磁極に対向する第1の面において、前記一次ビームの光軸に沿って延び、前記光軸と垂直な第1の方向に配列された第1の電極及び第2の電極と、前記第2の磁極の前記第1の磁極に対向する第2の面において、前記光軸に沿って延び、前記第1の電極及び前記第2の電極にそれぞれ対向している、第3の電極及び第4の電極、を含む。
【0008】
本開示の他の一例は、荷電粒子の一次ビームを試料に照射することによって発生する荷電粒子の二次ビームを検出する、荷電粒子線応用装置であって、試料に照射する一次ビームを出力する一次ビーム源と、互いに対向する第1の電磁極ユニットと第2の電磁極ユニットとを含み、前記一次ビームが直進し、前記一次ビームの軌道と前記二次ビームの軌道と分離が分離されるように、内部電磁場を生成する、ビームセパレータと、前記ビームセパレータからの前記二次ビームを検出する検出器と、を含み、前記第1の電磁極ユニットは、磁性体からなり、前記一次ビームの光軸に沿って延びる第1の板を含み、前記第2の電磁極ユニットは、前記光軸に垂直な第2の方向において前記第1の板に対向し、磁性体からなり、前記光軸に沿って延びる第2の板を含み、前記光軸の前記第2の方向における位置は、前記第1の板及び前記第2の板の前記第2の方向における位置の間にあり、前記第1の板は、前記第2の板に対向する面に第1及び第2の磁極を含み、前記第2の板は、前記第1及び第2の磁極に対向する第3及び第4の磁極を含み、前記第1及び第2の磁極は、前記光軸に沿って延び、前記光軸及び前記第2の方向に垂直な第1の方向に配列され、前記第3及び第4の磁極は、前記光軸に沿って延び、前記第1の方向に配列され、前記第1及び第2の磁極に対してそれぞれ磁界を生じさせ、前記第2の磁極に与えられる電位は、前記第1の磁極に与えられる電位よりも高く、前記第4の磁極に与えられる電位は、前記第3の磁極に与えられる電位よりも高い、荷電粒子線応用装置。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、一次ビームの制御が簡便であり、二次ビームを大角偏向させることで二次ビームの直接検出及び信号弁別を行う、荷電粒子線応用装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係る電子ビーム観察装置の概略構成を示す図である。
図2A】実施例1に係るビームセパレータを、一次ビームの光軸に垂直な方向において見た、正面図を示す。
図2B図2AにおけるIIB−IIB切断線での断面図を示す。
図2C】ビームセパレータにおける、磁極のサイズの例を示す。
図2D】二次ビームの信号弁別を行うための二次光学系及び検出器の具体的な構成例を示す。
図3A】実施例2に係るビームセパレータを、一次ビームの光軸に垂直な方向において見た、正面図を示す。
図3B図3AにおけるIIIB−IIIB切断線での断面図を示す。
図4】実施例2に係るビームセパレータにおいて、抵抗により連結された電極の構成例を示す。
図5A】実施例2に係るビームセパレータにおいて、電場を形成する他の構成例を示す。
図5B図5Aに示す構成例の上面図を示す。
図6A】実施例3に係るビームセパレータを、一次ビームの光軸に垂直な方向において見た、正面図を示す。
図6B】実施例3に係るビームセパレータを光軸に沿ってみた上面図を示す。
図7】実施例4に係る電子ビーム観察装置の構成例の一部を示す。
図8】実施例5に係るマルチビーム型電子ビーム観察装置の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて実施例を説明する。なお、実施例を説明するための全図において、同一の要素には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略される。以下において、荷電粒子線応用装置の例として、電子ビームを使用した試料の観察装置(電子顕微鏡)を示すが、イオンビームを使用する装置の他、計測装置や検査装置においても、本開示の特徴の効果は失われない。
【実施例1】
【0012】
図1は、荷電粒子線応用装置の一例である、実施例1に係る電子線観察装置の概略構成を示す図である。まず、装置構成について説明する。電子源101(一次ビーム源)から試料106へ向けて引き出された一次ビーム102の軌道上に、ビームセパレータ103、走査用偏向器104、対物レンズ105が配置されている。
【0013】
試料106は、試料搬送ステージ107の上に配置されている。試料106に照射された一次ビーム102は、試料106の表面付近の物質と相互に作用し、二次ビーム109を生成する。二次ビーム109に作用する光学素子として、二次ビームを検出器へ導く二次光学系111及び検出器113が配置されている。二次光学系111及び検出器113は、ビームセパレータ103外に配置されている。二次光学系111及び検出器113の構成は二次ビームの信号弁別の有無や、弁別する場合はその信号の種類に依存し、具体的な構成例は後ほど説明する。
【0014】
電子ビームの電流や軸を調整するために、絞り、レンズ、アライナ、スティグメーター等も付加されてもよい(図示せず)。なお本明細書において、電子源、レンズ、アライナ、検出器等の荷電粒子線に作用を及ぼす素子を光学素子と総称する。
【0015】
本実施例における走査用偏向器104、対物レンズ105、二次光学系111は、各光学素子が有するコイルに印加された励磁電流によって磁場を生成し、一次ビーム102又は二次ビーム109(電子ビーム)に対して作用を及ぼす。これら光学素子は、電場又は磁場及び電場の複合を生成し、電子ビームに対して作用を及ぼしてもよい。
【0016】
上記の全ての光学素子は、システム制御部114によって制御される。例えば、システム制御部114は各光学素子へ与える電流量や電圧を制御する。ユーザは、ユーザターミナル115を用いて、各光学素子の設定を確認及び変更することができる。ユーザターミナル115は、入出力デバイスを伴う計算機である。
【0017】
本装置構成を用いた試料の画像の取得方法を説明する。電子源101から放出された一次ビーム(電子ビーム)102は、ビームセパレータ103の出入口110Aからビームセパレータ103に入射する。ビームセパレータ103の構造及び電子ビームに対する作用の詳細は後述する。
【0018】
一次ビーム102は、ビームセパレータ103内を直進し、ビームセパレータ103の出入口110Bから出射する。ビームセパレータ103から出射した一次ビーム102は、走査用偏向器104、対物レンズ105を通過した後に、試料106上の位置112で集束される。走査用偏向器104の励磁電流は、一次ビーム102が試料106上を走査するように、システム制御部114により制御される。
【0019】
試料106にはリターディング電圧源108により負電圧が印加されているため、一次ビーム102は減速された後、試料106に照射される。本例においてはリターディング電圧源108で試料106に負電圧を印加するが、印加電圧に制限はなく、0kVでもよい。試料106に照射された一次ビーム102は表面付近の物質と相互に作用し、試料の形状や材料に応じて反射電子やそれ以外の二次電子が発生する。本実施例では、これらの電子をまとめて二次電子と呼ぶ。
【0020】
試料106にリターディング電圧源108による負電圧が掛かっているため、位置112から発生した二次電子は、加速されつつ一次ビーム102の軌道を逆戻りする二次ビーム109となる。二次ビーム109は、対物レンズ105及び走査用偏向器104を通過した後、ビームセパレータ103の出入口110Bからビームセパレータ103に入射する。
【0021】
ビームセパレータ103は、入射した二次ビーム109が所定角度偏向するように、システム制御部114によって制御されている。
【0022】
二次ビーム109は、ビームセパレータ103の出入口110Cからビームセパレータ103を出射する。ビームセパレータ103を出射した二次ビーム109は、二次光学系111を介して、検出器113に入射する。検出器113は、二次ビーム109を検出し、検出信号に変換する。検出信号の値は、一次ビーム102が照射する位置112での試料106の形状や材質に応じて変化する。システム制御部114は、検出信号の値それぞれを輝度に変換して、SEM画像を生成する。ユーザターミナル115は、生成されたSEM画像を表示する。
【0023】
次に、本実施例におけるビームセパレータ103の構成例を、図2A及び図2Bを用いて説明する。図2Aは、ビームセパレータ103を一次ビーム102の光軸(進行方向)に垂直な方向において、紙面手前側から見た、正面図を示す。図2Aにおいて、ビームセパレータ103の内部構造の一部は破線で示されている。図2Bは、図2AにおけるIIB−IIB切断線での断面図を示す。
【0024】
ビームセパレータ103は、互いに対向し、平行な、2枚の板251及び252を含む。板251及び252は、磁性体であり、例えば、鉄、ニッケル、又はこれらの合金等で形成されている。本例において、板251及び252の形状は鏡面対称である。
【0025】
板251及び252の対向面には、磁極201〜204それぞれを画定する環状溝(例えば矩形環状)が形成されている。環状溝内には、それぞれ、コイル231〜234が埋め込まれており、板251及び252の一部が磁極を構成する。
【0026】
具体的には、図2Bに示すように、板251の板252に対向する面には、コイル231及び233が埋め込まれている。コイル231が囲む(画定する)板251の部分は磁極201を構成している。コイル233が囲む(画定する)板251の部分は磁極203を構成している。
【0027】
図2Aに示すように、磁極201及び磁極203は、板251の面上、一次ビーム102の光軸に沿って延びており、磁極201は一次ビーム102及び二次ビーム109に、磁極203は二次ビーム109のみに作用する構成となっている。
【0028】
図2Bに示すように、板252の板251に対向する面には、コイル232及び234が埋め込まれている。コイル232が囲む(画定する)板252の部分は磁極202を構成している。コイル234が囲む(画定する)板252の部分は磁極204を構成している。
【0029】
図2Aに示すように、磁極202及び磁極204は、板252の面上、一次ビーム102の光軸に沿って延びており、磁極202は一次ビーム102及び二次ビーム109に、磁極204は二次ビーム109のみに作用する構成となっている。
【0030】
図2Bに示すように、磁極201及び202は、互いに対向している。磁極201及び202の対向面は平行である。磁極201及び202の対向面の形状は鏡面対称である。さらに、磁極203及び204は、互いに対向している。磁極203及び204の対向面は平行である。磁極203及び204の対向面の形状は鏡面対称である。
【0031】
本実施例において、磁極201〜204の正面図における形状は矩形であるが、形状は特に限定されず、例えば、平面視において矩形以外の形状を有することができる。
【0032】
ビームセパレータ103には、一次ビーム102を直進させ、二次ビーム109を大角偏向するための磁場と電場が形成されている。ビームセパレータ103内の磁場について説明する。コイル231〜232に電流を流すことによって磁極201及び202の間に磁場が形成される。図2Bの例において、その磁場(の磁束)は、磁極202から磁極201に向かっている。さらに、コイル233〜234に電流を流すことによって磁極203及び204の間に磁場が形成される。図2Bの例において、その磁場(の磁束)は、磁極204から磁極203に向かっている。システム制御部114は、図2Bに示す磁場を形成するように、コイル231〜234に励磁電流を与える。システム制御部114は、磁極202と磁極201との間の磁場と、磁極204と磁極203との間の磁場とを、独立に制御することができる。
【0033】
次に、ビームセパレータ103内の電場について説明する。磁極201上には、電極221及び222が配置されている。電極221及び222と磁極201との間には、不図示の絶縁層が存在し、磁極201を電極221及び222から絶縁している。図2Aに示すように、電極221及び222は、磁極201の面上、一次ビーム102の光軸に沿って延びた帯状であり、一次ビーム102の光軸と垂直な方向に配列されている。図2Aにおいて、電極221及び222は、左右方向に配列されている。
【0034】
磁極202上には、電極223及び224が配置されている。電極223及び224と磁極202との間には、不図示の絶縁層が存在し、磁極202を電極223及び224から絶縁している。図2Aに示すように、電極223及び224は、磁極202の面上、一次ビーム102の光軸に沿って延びた帯状であり、一次ビーム102の光軸と垂直な方向に配列されている。図2Aにおいて、電極223及び224は、左右方向に配列されている。
【0035】
本実施例において、電極221及び223は互いに対向しており、それらの形状は鏡面対称である。また、電極222及び224は互いに対向しており、それらの形状は鏡面対称である。
【0036】
電極221〜224に電圧を印加することによって、磁極201及び202の間に電場が形成される。図2Bの例において、電場(の電束)は、電極222及び224から電極221及び223に向かう。つまり、電極222及び224の電位は、電極221及び223の電位に対して、相対的にプラスである。この結果、磁極201及び202の間の一次ビーム102付近の空間において、直交した磁場と電場が形成される。なお、電極221〜224に磁性体を用いることで磁極201及び202の間の磁気抵抗を減らし、コイル231及び232に必要な励磁電流を軽減することができる。
【0037】
システム制御部114は、図2Bに示す電場が形成されるように、電極222〜224に電位を与える。例えば、電極222及び224に与える電位は同一であり、電極221及び223に与える電位は同一である。なお、電極222及び224並びに電極221及び223に与える電位が異なっていてもよい。
【0038】
図2Aに示すように、一次ビーム102は、ビームセパレータ103内の磁極201、磁極202、電極221〜224で囲まれている空間を通過する。磁極201及び磁極202の間に形成されている一次ビーム102付近の電場と磁場は直交しており、それぞれが一次ビーム102に及ぼす偏向作用の方向は逆方向である。偏向作用の強度は同一となるようにコイル231及び232に印加されている電流と電極221〜224に印加されている電圧がシステム制御部114によって制御されている。すなわち、ウィーン条件が成立しており、一次ビーム102は、ビームセパレータ103内を直進する。これは、従来の一次ビームも偏向する磁場セクタより一次ビームの制御が簡便であることを意味する。
【0039】
具体的には、一次ビームが受ける電場による偏向作用は、図2Bにおける左から右に向かい、磁場による偏向作用は、図2Bにおける右から左に向かう。電場による力は、一次ビーム102の光軸と垂直であって、磁極201及び202の対向面に沿った方向(面内方向)であり、磁極201/202から、磁極203/204に向かう。磁場による力は、一次ビーム102の光軸と垂直であって、磁極201及び202の対向面に沿った方向であり、磁極203/204から、磁極201/202に向かう。
【0040】
ビームセパレータ103内に入射した二次ビーム109は、磁極201、磁極202、電極221〜224で囲まれている空間に入る。二次ビーム109の進行方向は、一次ビーム102と逆方向の成分を含む。したがって、二次ビーム109は、磁極201、磁極202、電極221〜224で囲まれている空間において、電場及び磁場から同一方向の力を受ける。
【0041】
具体的には、二次ビーム109は、図2Bにおける左から右に向かう電場による偏向作用及び磁場による偏向作用を受ける。電場及び磁場は、二次ビーム109を、磁極201及び202の面に沿った方向において、検出器113に向かって偏向する。このように、磁極201、磁極202、電極221〜224による電磁界は、二次ビーム109を一次ビーム102から分離する。
【0042】
電磁場によって偏向された二次ビーム109は、磁極201及び202の間の空間を出て、磁極203及び204の間の空間に入る。磁極203及び204は、磁極201及び202が生成する磁場と同一方向の磁場を生成している。なお、図2Aにおいては、電極222及び224の間の空間を二次ビーム109が通過し、二次ビーム109は磁極201/202及び磁極203/204の領域で連続的に偏向される場合を示す。
【0043】
しかし、二次ビーム109は電極222及び224の間の空間を通過しなくてもよい。また、磁極203及び204を分割し、磁場が無い領域をビームセパレータ103内に設けることによって二次ビーム109を連続的に偏向しない場合においても本発明は効果を失わない。なお、ビームセパレータ103付近の光学素子に対する制約の緩和や、SEMのカラム長さが原因となる振動起因の分解能劣化を低減するためには、二次ビーム109を大角偏向するビームセパレータ103をコンパクトにし、一次ビームの光軸沿いの長さを短くすることが重要である。
【0044】
コンパクトなビームセパレータ103における二次ビーム109の大角偏向には、二次ビーム109が電極222及び224の間の空間を通過し、一次ビーム102より分離された直後に磁極203及び204の間の磁場で二次ビーム109をさらに偏向する方法が有効である。そのためには、磁極201/203及び磁極203/204を備えた一体型の板251/252を用いる。
【0045】
二次ビーム109は、磁極203及び204の間の空間において、図2Bにおける左から右に向かう偏向作用を受ける。磁場は、二次ビーム109を、磁極203及び204の面に沿った方向において、検出器113に向かって大角偏向された後ビームセパレータ103を出射する。
【0046】
図2Cは、ビームセパレータ103における、磁極のサイズの例を示す。図2Cにおいて、磁極201と磁極202との間の距離、より具体的には、磁極201と磁極202の対向面の間の距離は、L1で表わされている。さらに、一次ビーム102の光軸と、磁極201又は磁極202、磁極203又は磁極204の側の端との間の距離は、L2で表わされている。
【0047】
一例において、距離L2は、距離L1の半分以上である。この関係を満たすことで、磁極203と磁極204との間で形成される磁場の一次ビーム102への影響を効果的に低減することができる。
【0048】
なお、図2B及び2Cにおいて、磁極201と磁極202との間の距離(対向面間の距離)と、磁極203と磁極204との間の距離は、同一であるが、異なっている場合でも本発明の効果は失われない。例えば、磁極203と磁極204との間の距離は、磁極201と磁極202との間の距離よりも大きくてもよい。また、磁極201と磁極202との間の磁場の強さと、磁極203と磁極204との間の磁場の強さは、同一又は異なる。例えば、磁極203と磁極204との間の磁場は、磁極201と磁極202との間の磁場よりも強い。なお、磁極203及び204は、省略されていてもよい。
【0049】
ビームセパレータ103を出射した二次ビーム109は、二次光学系111を通った後、検出器113により検出される。なお、ビームセパレータ103は二次ビームを大角偏向するために、一次ビーム102の光軸上の光学素子と干渉しないことから二次光学系111の配置自由度が高い。ビームセパレータ103の二次ビーム偏向角度が90度の場合、二次光学系111をビームセパレータ103の出入口110C付近に配置することが可能である。
【0050】
SEM画像のコントラストを向上するために二次ビームの直接検出及び信号弁別を行う方法について図2Dに示す二次光学系111及び検出器113の具体的な構成例を用いて説明する。二次光学系111は偏向器262及びレンズ263から構成されており、検出器113は複数の検出器264A〜264Cから構成されている。
【0051】
本実施例においては、試料106から発生した二次電子を、その放出角度に応じて異なる検出器で検出することによって二次電子の放出角度信号弁別を行った例について説明する。ビームセパレータ103を出射した二次ビーム109は有限の広がりを持ち、その空間的分布は試料106から放出された二次電子のエネルギー及び角度分布に依存する。図2Dに示す二次ビーム109は、試料106から図2Aにおいて左(図示せず)、上、右(図示せず)に放出された二次ビーム261A〜261Cから構成されている。
【0052】
二次ビーム261A〜261Cは偏向器262によって検出器113に向けて偏向された後、レンズ263によって二次ビーム261A〜261Cがそれぞれ異なる検出器264A〜264Cへ向かって偏向される。二次ビーム261A〜261Cをそれぞれ異なる検出器264A〜264Cで検出することによって二次ビームの信号弁別を行う。検出器264A〜264Cの検出信号をそれぞれ変換して生成されたSEM画像は、ユーザターミナル115に表示される。
【0053】
ユーザターミナル115は、検出器264A〜264Cの検出信号から生成した全てのSEM画像、又はユーザが選択したSEM画像を表示する。二次ビームの信号弁別を行うことによって、試料106から放出される二次電子の放出角度起因のコントラストを向上することが可能となった。
【0054】
なお、二次光学系111には、非点補正器、多段レンズ、その他の光学素子が含まれていてもよい。また、光学素子がなくてもよい。また、本実施例では二次電子の放出角度に応じた信号弁別を行ったが、二次光学系111にウィーンフィルタ等の光学素子を含めることによって二次電子の放出エネルギーに応じた信号弁別が可能である。
【0055】
図2Dに示す検出器113は、3つの検出器264A〜264Cから構成されるが、検出器の数は3つ以上でも3つ以下の場合であっても本発明の効果は失われない。また、検出器の配列は一次元でも二次元でもよい。検出器の数が多い方が二次電子の信号弁別を高精度化できることは言うまでもない。以上により、二次ビームの直接検出及び信号弁別が可能な電子線観察装置を実現することができた。
【実施例2】
【0056】
実施例1においては、1対の磁極201及び磁極202と、2対の電極221及び電極222と電極223及び電極224を用いることで一次ビーム102は直進し二次ビーム109は偏向する電磁場領域をビームセパレータ103内に形成した。この場合、一次ビーム102の光軸付近の電場が均一な領域が狭い。
【0057】
電場が不均一な領域を一次ビーム102が通過すると、一次ビーム102はビームセパレータ103内を直進しないため、一次ビーム102の制御が困難である。また、一次ビーム102に対して収差を発生し、SEM画像の分解能劣化を及ぼす。そのため、電場が均一な領域が狭いと一次ビーム102の光軸調整が困難である。そこで、本実施例においては、ビームセパレータ103内の電場の均一性を高め、一次ビーム102の光軸調整精度を緩和した電子線観察装置について説明する。
【0058】
図3A〜5Bを参照して、実施例2を説明する。図3A及び3Bは、ビームセパレータ103の他の構成例を示す。装置構成は、ビームセパレータ103以外は実施例1の装置構成と同様であるため、説明を割愛する。図3Aは、ビームセパレータ103を一次ビーム102の光軸に垂直な方向において、紙面手前側から見た、正面図を示す。図3Bは、図3AにおけるIIIB−IIIB切断線での断面図を示す。本実施例のビームセパレータ103は、実施例1の構成に加えて、電極225〜228を含む。電極225〜228により、より均一な電場を生成することができる。
【0059】
電極225及び226が、磁極201上に配置されている。電極225及び226と磁極201との間には、不図示の絶縁層が存在し、磁極201を電極225及び226から絶縁している。図3Aに示すように、電極225及び226は、磁極201の面上、一次ビーム102の光軸に沿って延びており、一次ビーム102の光軸と垂直な方向に配列されている。図3Aにおいて、電極225及び226は、電極221及び222の間に配置されている。電極221、225、226及び222は、この順で、左右方向、又は、一次ビーム102の光軸から検出器113に向かう方向に配列されている。
【0060】
電極227及び228が、磁極202上に配置されている。電極227及び228と磁極202との間には、不図示の絶縁層が存在し、磁極202を電極227及び228から絶縁している。図3Aに示すように、電極227及び228は、磁極202の面上、一次ビーム102の光軸に沿って延びており、一次ビーム102の光軸と垂直な方向に配列されている。図3Aにおいて、電極227及び228は、電極223及び224の間に配置されている。図3Aにおいて、電極223、227、228及び224は、この順で、左右方向、又は、一次ビーム102の光軸から検出器113に向かう方向に配列されている。
【0061】
本実施例において、電極225及び227は互いに対向しており、それらの形状は鏡面対称である。電極226及び228は互いに対向しており、それらの形状は鏡面対称である。本実施例において、電極221〜228の形状は同一である。電極221〜228の形状は異なっていてもよく、電極225及び227並びに電極226及び228の図2Bにおける左右方向における位置は異なっていてもよい。
【0062】
電極221〜228によって、電場が形成される。図3Bの例において、電場は電極222及び224から電極221及び223の方向に向かう。電極226に与えられる電位は、電極222に与えられる電位より小さく、電極225に与えられる電位は、電極226に与えられる電位より小さく、電極221に与えられる電位は、電極225に与えられる電位より小さい。
【0063】
電極228に与えられる電位は、電極224に与えられる電位より小さく、電極227に与えられる電位は、電極228に与えられる電位より小さく、電極223に与えられる電位は、電極227に与えられる電位より小さい。
【0064】
本実施例において、電極221及び223に与えられる電位は同一であり、電極225及び227に与えられる電位は同一であり、電極226及び228に与えられる電位は同一であり、電極222及び224に与えられる電位は同一である。これら各電極ペアの電極に与えられる電位は異なっていてもよい。
【0065】
本構成例においても、一次ビーム102が通過する領域において、電極221〜228によって形成される電場と磁極201及び202によって形成される磁場とは直交し、さらに、ウィーン条件を満たす。磁極上に配列される電極の数を増やし、各電極に印加する電圧を調整することで、一次ビーム102に対するウィーン条件を満たすと同時にビームセパレータ103内に形成される電場の均一性を上げることができる。
【0066】
なお、本実施例においては、電極221、225、226、及び222と、それに対向する電極223、227、228、及び224から構成される4対の電極で磁極201及び202の間の磁場に直交する均一な電場を形成した。電極対の数をさらに増やし、各電極の電圧を調整することによって電場の均一な領域を広げることによって一次ビーム102の光軸調整精度がさらに緩和できる。
【0067】
各電極221〜228に、システム制御部114の電源回路によって所定の電圧を印加した。そのため、電極の数と同一の数の電圧電源が必要となる。これと異なり、同一の磁極上に配置されている電極を抵抗により連結し、両端の電極のみに電圧を印加する構成でもよい。図4は、抵抗により連結された電極221〜228の構成例を示す。電極221、225、226、及び222の隣接する電極は、抵抗401〜403により連結されている。電極223、227、228、及び224の隣接する電極は、抵抗404〜406により連結されている。
【0068】
システム制御部114は、電極221及び222に電源回路から所定の電圧を与え、さらに、電極223及び224に電源回路から所定の電圧を与える。電極221、225、226、及び222の電圧は、電極221及び222と抵抗401〜403の抵抗値によって定まる。同様に、電極223、227、228、及び224の電圧は、電極223及び224と抵抗404〜406の抵抗値によって定まる。抵抗401〜406の抵抗値を調整することによって電極225〜228の電圧を調整し、磁極201及び202の間に均一な電場を形成する。
【0069】
例えば、抵抗401、402、及び403の抵抗値は、それぞれ、抵抗404、405及び406の抵抗値と同一である。システム制御部114は、電極221及び223に同一の電位を与え、電極222及び224に同一の電位を与える。以上より、抵抗401〜406を用いることによって電極の数より少ない数の電圧電源で均一な電場を生成することができた。
【0070】
図5A及び5Bは、電場を生成する他の構成例を示す。ビームセパレータ103は、図2A及び2Bを参照して説明した実施例1の構成に加え、電極221及び222を連結する抵抗値の高いシート状の半導電性物質、例えばシリコン等の半導体や半導電性碍子、からなるボディ部501、並びに、電極223及び224を連結するシート状の半導電性物質からなるボディ部502を含む。
【0071】
電極221〜224に電圧を印加するとボディ部501及び502に電流が流れる。電極221及び222の間、又は電極223及び224の間に1000V以上の電圧差がある場合、システム制御部114内の電源の負荷を低減するために抵抗値が1Mohm以上のボディ部501及び502を用いることによって流れる電流を低減することが望ましい。
【0072】
図5Aは、磁極201及び202上の配置されている構造体を、一次ビーム102の光軸から当該光軸に垂直な方向において見た平面図を示す。図5Bは、磁極201及び202上の配置されている構造体を光軸に沿った方向において見た、当該構造体の上面図を示す。
【0073】
ボディ部501及び502は、シート状であって、磁極201及び202それぞれの面に沿って、一次ビーム102の光軸と垂直な方向及び平行な方向に広がっている。図5A及び5Bに示す例において、ボディ部501及び502の光軸に平行な方向の長さは、電極221〜224と同一である。電極221及び222は、ボディ部501と磁極201との間において、ボディ部501の両端部に接触している。電極223及び224は、ボディ部502と磁極202との間において、ボディ部502の両端部に接触している。
【0074】
システム制御部114は、実施例1と同様に、電極221〜224それぞれに所定の電位を与える。ボディ部501の電位は、電極221及び222の間で連続的に変化する。具体的には、電極222から電極221に向かって、電極222に与えられている電位から電極221に与えられている電位まで低下する。同様に、ボディ部502の電位は、電極224から電極223に向かって、電極224に与えられている電位から電極223に与えられている電位まで低下する。
【0075】
このように、ボディ部501及び502の電位が連続的に変化することで、より均一性の高い電場を生成することができる。上記例においては、ボディ部と磁極の面との間に電極が配置されているが、電極と磁極の面との間にボディ部が配置されていてもよい。なお、電場の均一性を高めるための図4図5A及びBに示す抵抗またはボディ部を用いた電極構成は、ビームセパレータに限定された使い方ではない。上記に示した電極構成は、電場で荷電粒子線を偏向する偏向器に用いることができる。
【0076】
例えば、ボディ部501及び502を用いた偏向器の電極構成の場合、ボディ部501及び502の間の空間において、電極221/223及び222/224の間の電圧差に応じて一次ビーム102の光軸と垂直な方向及びボディ部501/502に平行な方向に電場が生成される。また、電極221/222及び223/224の間の電圧差に応じて一次ビーム102の光軸と垂直な方向及びボディ部501/502に垂直な方向に電場が生成される。したがって、電極221〜224の電圧を調整することによって一次ビーム102を偏向できる。
【0077】
以上により、ビームセパレータ103内の電場の均一性を高め、一次ビーム102の光軸調整精度が緩和された電子線観察装置を実現することができた。
【実施例3】
【0078】
実施例1においては、磁極201及び磁極202と、電極221〜224を用いることで一次ビーム102は直進し二次ビーム109は偏向する電磁場領域をビームセパレータ103内に形成した。この場合、磁極201及び磁極202上に精度よく電極221〜224を配置する必要がある。そこで、本実施例においては、磁極それぞれに所定電圧を印加し、電極としても機能させることで磁極上の電極の配置を不要とする電子線観察装置について説明する。
【0079】
図6A及び6Bを参照して、ビームセパレータ103の他の構成例を説明する。装置構成は、ビームセパレータ103以外は実施例1の装置構成と同様であるため、説明を割愛する。図6Aは、ビームセパレータ103を一次ビーム102の光軸に垂直な方向において、紙面手前側から見た、正面図を示す。図6Bは、ビームセパレータ103を光軸に沿ってみた上面図を示す。ビームセパレータ103は、一次ビーム102の光軸に垂直な方向において、互いに対向する平行な板601及び603、並びに、互いに対向する平行な板602及び604を含む。板601〜604は磁性体である。
【0080】
板601及び602は、一次ビーム102の光軸に垂直であって、板601及び603又は板602及び604が互いに対向する方向と垂直な方向において、離間して配列されている。板603及び604は、板601及び602の配列方向と同一方向において、離間して配列されている。
【0081】
板601及び603の互いの対向面には、不図示のコイルが埋め込まれており、板601及び603それぞれの一部が磁極を構成している。同様に、板602及び604の互いの対向面には、不図示のコイルが埋め込まれており、板602及び604それぞれの一部が磁極を構成している。例えば、板の外周に沿って、矩形環状のコイルが埋め込まれている。板601及び602は絶縁体からなる板621によって固定されている。同様に、板603及び604は絶縁体からなる板622によって固定されている。
【0082】
板601及び603は、磁場の戻り磁路の役割を果たすピラー611及び612により連結されている。ピラー611及び612は、板601及び603の外側の上下コーナ部に結合しており、光軸に沿った方向において離間している。同様に、板602及び604は、ピラー613及び614により連結されている。ピラー613及び614は、板602及び604の外側の上下コーナ部に結合しており、光軸に沿った方向において離間している。
【0083】
図6Bに示すように、ビームセパレータ103は、その内部において、板603から板601に向かう磁場と、板604から板602に向かう磁場と、を形成する。四つの板601〜604で囲まれている空間においても、板603から板601に向かう磁場と、板604から板602に向かう磁場を含む磁場が形成される。
【0084】
板604から板602に向かった磁場は、ピラー613及び614を通って板604に戻る。同様に、板603から板601に向かった磁場は、ピラー611及び612を通って板603に戻る。なお、他の実施例のビームセパレータ103においても、対向する板はピラーにより連結されていてよい。
【0085】
システム制御部114は、板601〜604それぞれに所定電位を与え、電極として機能させる。図6A及び6Bに示す例において、板601及び603に同電位が与えられ、板602及び604に同電位が与えられる。板601及び603の電位は、板602及び604の電位よりも低い。したがって、ビームセパレータ103内において、板602及び604から板601及び603に向かう電場が形成される。
【0086】
図6Bに示すように、四つの板601〜604で囲まれている空間において、互いに直交する電場及び磁場が形成される。システム制御部114は、ビームセパレータ103内の一次ビーム102が通過する領域においてウィーン条件が成立するように板601〜604に電圧を印加し板601〜604に埋め込まれているコイルに電流を流す。したがって、一次ビーム102は、ビームセパレータ103内を直進することができる。
【0087】
二次ビーム109は、四つの板601〜604で囲まれている空間に入り、磁場及び電場からの力を受けて偏向する。具体的には、二次ビーム109は、図6A及び6Bにおける左から右への方向に偏向し、板602及び604で挟まれている空間に入る。二次ビーム109は、当該空間における磁場による力を受けて、さらに同方向に大きく偏向する。二次ビーム109は、板602及び604で挟まれている空間から外へ出て、検出器113に向かう。なお、本実施例におけるビームセパレータ103は、二次ビーム109のみに作用する磁極を配備していないが、実施例1と同様に配備されていてもよい。また、図3Bに8本の電極を設けたように、8本の磁極で電子線を制御してもよい。
【0088】
以上により、磁極上に電極の配置を必要としないビームセパレータ103を用いて二次ビーム109を一次ビーム102から大角分離する電子線観察装置を実現することができた。
【実施例4】
【0089】
実施例1においては、走査用偏向器104によって一次ビーム102が試料106上で走査された領域がSEM画像の視野となる。一方、観察視野の移動には、一次ビームを電場または磁場を用いた偏向器で偏向し、試料上の照射位置を移動すること(以下、イメージシフト)が有効である。
【0090】
しかし、その結果、二次ビーム109の軌道が変わり、ビームセパレータ103への入射条件が変わる。二次ビーム109の大角偏向を行うビームセパレータ103においては、ビームセパレータ内の飛距離が長いため、入射条件が変わると二次ビームがビームセパレータ103内の磁極及び電極に衝突してしまう。そこで、本実施例においては、磁極及び電極に衝突しないようにイメージシフトに連動して二次ビーム109の軌道を補正する電子線観察装置について説明する。
【0091】
図7を参照して、実施例4を説明する。図7は、電子ビーム観察装置の構成例の一部を示す。本実施例の電子ビーム観察装置は、図2A及び2Bを参照して説明した構成に加え、イメージシフト偏向器701と、二次ビーム振り戻し偏向器702とをさらに含む。
【0092】
イメージシフト偏向器701は、ビームセパレータ103と走査用偏向器104との間に配置されている。イメージシフト偏向器701は、一次ビーム102を偏向させて、一次ビーム102の試料106の照射位置112を変える。これにより、試料搬送ステージ107を移動することなく、試料106の観察領域を変化させることができる。
【0093】
二次ビーム振り戻し偏向器702は、イメージシフト偏向器701とビームセパレータ103との間に配置されている。二次ビーム振り戻し偏向器702は、二次ビーム109から見てビームセパレータ103より上流に配置され、イメージシフトに連動して二次ビーム109をビームセパレータ103へ振り戻す。これにより、イメージシフト量に拠らず、適切に二次ビーム109を検出器113で検出することができる。なお、イメージシフト701及び二次ビーム振り戻し偏向器702の配置関係は逆でもよい。
【0094】
以下において、荷電粒子線応用装置の動作を説明する。主に実施例1との相違点を説明する。一次ビーム102は、ビームセパレータ103から出射して、二次ビーム振り戻し偏向器702及びイメージシフト偏向器701を通過する。イメージシフト偏向器701の励磁電流は、一次ビーム102が所定の角度で偏向するように、システム制御部114により制御されている。
【0095】
一次ビーム102は、走査用偏向器104及び対物レンズ105を通過した後に試料106上で集束される。走査用偏向器104の励磁電流は、スキャニングのために一次ビーム102を試料106上で移動するように、システム制御部114により制御される。また、試料106にはリターディング電圧源108により負電圧が印加されているため、一次ビーム102は、減速した後試料106に照射される。
【0096】
試料106における一次ビーム102の照射位置から発生した二次電子は、リターディング電圧源108による負電圧により加速されて二次ビーム109を形成する。二次ビーム109は、対物レンズ105、走査用偏向器104及びイメージシフト偏向器701を通過する。二次ビーム109は、二次ビーム振り戻し偏向器702を通過する際に、偏向される。二次ビーム109は、ビームセパレータ103の出入口110Bから入射し、出入口110Cから出射して、二次光学系111を通過して、検出器113に検出される。
【0097】
二次ビーム振り戻し偏向器702は、例えば、二次ビーム109のビームセパレータ103への入射位置が、イメージシフト偏向器701がオフの場合の入射位置に近づくように、システム制御部114によって制御される。例えば、二次ビーム振り戻し偏向器702は、上記二つの入射位置が一致するように、二次ビーム109を偏向する。
【0098】
このように、二次ビーム振り戻し偏向器702は、イメージシフト偏向器701がオフの場合のビームセパレータ103への入射条件に近づくように、二次ビーム109を偏向する。二次ビーム振り戻し偏向器702による偏向量(振り戻し量)はベクトル量であり、イメージシフト偏向器701による偏向量(イメージシフト量)に依存する。
【0099】
二次ビーム振り戻し偏向器702は、イメージシフト偏向器701がオンの場合に、さらにビームセパレータ103への入射位置以外の入射条件の値が、イメージシフト偏向器701がオフの場合の入射条件の値に近づくように、二次ビーム109を偏向してもよい。例えば、二次ビーム振り戻し偏向器702は、イメージシフト偏向器701がオンの場合に、ビームセパレータ103への入射角度が、イメージシフト偏向器701がオンの場合と一致するように、二次ビーム109を偏向してもよい。
【0100】
イメージシフト偏向器701がオンの場合とオフの場合とで、二次ビームのビームセパレータ103への入射条件の差異が小さくなるように、二次ビーム振り戻し偏向器702を制御することで、イメージシフトによる二次ビームの検出への悪影響を低減できる。
【0101】
検出器113は、二次ビーム109を検出する。したがって、電子ビーム観察装置は、システム制御部114で、イメージシフト偏向器701での偏向量に応じて二次ビーム振り戻し偏向器702での偏向量を制御することによって、いずれのイメージシフト量においても、二次電子信号を検出器113で適切に検出することができる。
【0102】
以上により、ビームセパレータ103の磁極に衝突しないようにイメージシフトに連動して二次ビーム109の軌道を補正する電子線観察装置を実現することができた。
【実施例5】
【0103】
実施例1〜4においては、試料106に照射する一次ビームは1本であり、広い視野での観察には時間が掛かる。この場合、複数の一次ビームで同時に試料106を観察することで観察時間を一次ビームの数だけ短縮できる。そこで、本実施例においては、試料に2本以上の一次ビームを照射するマルチビーム型電子ビーム観察装置について説明する。 図8を参照して、実施例5を説明する。図8は、電子ビーム観察装置の構成例を示す。本開示のビームセパレータ103は、マルチビーム型電子ビーム観察装置にも適用することができる。図8において、一部の構成要素、例えば対物レンズは、説明の容易化のために省略されている。
【0104】
マルチビーム型電子ビーム観察装置の一例について説明する。電子源101とビームセパレータ103との間に、コンデンサーレンズ803、アパーチャーアレイ804及びレンズアレイ805が配置されている。コンデンサーレンズ803は電子源101からの一次ビームを略平行にする。アパーチャーアレイ804は、1次元または2次元に配列されたに開口を有する基板であり、コンデンサーレンズ803からの一次ビームを、複数の一次ビームに分割する。アパーチャーアレイ804及びレンズアレイ805は、一次ビームを分割する分割器である。
【0105】
図8の例において、アパーチャーアレイ804は5つの開口を有し、電子源101からの一次ビームは5本の一次ビーム102A〜102Eに分割される。なお、本実施例においては一次ビームの本数が5本である例を示したが、ビームの本数はこれ以上であってもこれ以下であっても本発明の効果は失われない。また、本実施例においては、単一の電子源101が発生する一次ビーム102を分割することによって一次ビーム102A〜102Eを発生する方式について示したが、複数の電子源を用いて一次ビーム102A〜102Eを発生する場合においても本発明は効果を失わない。
【0106】
分割された一次ビーム102A〜102Eは、レンズアレイ805によって個別に集束される。レンズアレイ805により個別に集束された一次ビーム102A〜102Eは、ビームセパレータ103内を通過する。本実施例においては、一次ビーム102A〜102Eが直進するようにビームセパレータ103内の電磁場が設定されている。
【0107】
一次ビーム101A〜101Eはビームセパレータ103を出射した後、システム制御部114が制御する走査用偏向器104によって偏向され、試料106上を走査する。
【0108】
試料106における一次ビーム102A〜102Eの照射位置から発生した二次電子は、二次ビーム109A〜109Eを形成する。
【0109】
ビームセパレータ103は、二次ビーム109A〜109Eを偏向させて、それらの軌道を一次ビーム102A〜102Eの軌道から分離させる。ビームセパレータ103の構成及び一次ビーム102A〜102Eと二次ビーム109A〜109Eに対する作用は、上記他の実施例で説明した通りである。静電レンズ806は、二次ビーム109A〜109Eが互いに混ざり合うことなく検出器808に到達し、独立に検出されるように、二次ビーム109A〜109Eをそれぞれ集束させる。
【0110】
振り戻し偏向器807は、静電レンズ806からの二次ビーム109A〜109Eを偏向する。試料106上で二次ビームが発生する位置は走査と同期して変化し、走査用偏向器104の偏向作用を受ける。システム制御部114は、各一次ビームによって発生する各二次ビームが、その一次ビームの走査に依らず、検出器808の一定の位置に到達するように、振り戻し偏向器807を走査用偏向器104と同期して制御する。
【0111】
以上より、広い視野での観察時間を短縮するマルチビーム型電子ビーム観察装置を実現することができた。
【0112】
なお、本開示のビームセパレータは、SEMと異なる種類の電子ビーム観察装置に適用することができる。例えば、ビームセパレータは、低エネルギー電子顕微(LEEM)に適用することができる。
【0113】
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0114】
また、上記の各構成・機能・処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード等の記録媒体に置くことができる。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆どすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8