(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記衝撃吸収層が、メタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルとのブロック共重合体、並びに、イソプレン及び/又はブテンとスチレンとのブロック共重合体から選択される少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載の光学積層体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の光学積層体の好ましい実施形態について説明する。
[光学積層体]
本発明の光学積層体は、厚みが120μm以下の薄ガラスと、薄ガラスの一方の側に配置される、厚み5μm以上(好ましくは厚み10μm超え)の衝撃吸収層とを備える。より詳細には、本発明の光学積層体を画像表示装置の前面板として用いた際に、薄ガラス表面のうち非視認側(画像表示素子が配置される側)の面上に、上記衝撃吸収層を備える。上記衝撃吸収層は、25℃において10
1〜10
15Hzの範囲にtanδの極大値を有する。
本発明の光学積層体は、薄ガラスを備えるため、硬度が高い。また、薄ガラスの一方の面上に、所定の厚みを有し、所定の特性を有する衝撃吸収層を備えるため、薄ガラスが破損し難く、より高い耐衝撃性を実現できる。
本発明の光学積層体は、その他の層をさらに備えてもよい。その他の層としては、反射防止層、防眩層、帯電防止層、保護層等が挙げられる。また、薄ガラスと衝撃吸収層とが、接着層を介して積層されてもよい。
本発明の光学積層体の光透過率は、好ましくは90%以上である。光透過率は、島津製作所(株)製の紫外可視近赤外分光光度計UV3150を用いて、測定できる。
【0012】
以下、本発明の光学積層体について、詳細に説明する。
図1は、本発明の光学積層体の一実施形態の断面を模式的に示す図である。光学積層体4Aは、薄ガラス1Aと、この薄ガラス1Aの片面に配された衝撃吸収層2Aとを有する2層構成の光学積層体である。本発明の光学積層体は、薄ガラス1Aと衝撃吸収層2Aとの間に接着層を有する構成とすることもできる。また、薄ガラス1Aの、衝撃吸収層2Aの側とは反対側(
図1の上側)に反射防止層、保護層等を有してもよい。また、衝撃吸収層2Aの、薄ガラス1Aの側とは反対側(
図1の下側)にも、保護層等を設けることができる。
【0013】
<薄ガラス>
本発明の光学積層体が備える薄ガラスとしては、形状が板状のものであれば、その材料は特に限定されない。組成による分類によれば、たとえば、ソーダ石灰ガラス、ホウ酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、石英ガラス等が挙げられる。また、アルカリ成分による分類によれば、無アルカリガラス、低アルカリガラスが挙げられる。ガラスのアルカリ金属成分(例えば、Na
2O、K
2O、Li
2O)の含有量は、好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0014】
薄ガラスの厚みは120μm以下であり、100μm以下が好ましい。また、薄ガラスの厚みは80μm以下でもよく、50μm以下でもよく、40μm以下でもよく、35μm以下としてもよい。薄ガラスの厚みの下限は、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは20μm以上であり、さらに好ましくは30μm以上である。
【0015】
薄ガラスの波長550nmにおける光透過率は、好ましくは85%以上である。薄ガラスの波長550nmにおける屈折率は、好ましくは1.4〜1.65である。
【0016】
薄ガラスの密度は、好ましくは2.3g/cm
3〜3.0g/cm
3であり、さらに好ましくは2.3g/cm
3〜2.7g/cm
3である。上記範囲の薄ガラスであれば、軽量の光学積層体が得られる。
【0017】
薄ガラスの作製方法は、特に限定されず、たとえば、シリカやアルミナ等の主原料と、芒硝や酸化アンチモン等の消泡剤と、カーボン等の還元剤とを含む混合物を、1400℃〜1600℃で溶融し、薄板状に成形した後、冷却して作製される。また、薄ガラスの成形方法としては、例えば、スロットダウンドロー法、フュージョン法、フロート法等が挙げられる。これらの方法によって、板状に成形された薄ガラスは、薄板化したり、平滑性を高めたりするために、必要に応じて、フッ酸等の溶剤により化学研磨されてもよい。
【0018】
薄ガラスは、市販のものをそのまま用いてもよく、あるいは、市販の薄ガラスを所望の厚みになるように研磨して用いてもよい。市販の薄ガラスとしては、例えば、コーニング社製「7059」、「1737」または「EAGLE2000」、旭硝子社製「AN100」、NHテクノグラス社製「NA−35」、日本電気硝子社製「OA−10」、ショット社製「D263」または「AF45」等が挙げられる。
【0019】
<衝撃吸収層>
本発明の光学積層体が備える衝撃吸収層は、光学積層体を画像表示装置の前面板として用いた際に、表示内容の視認性を確保できる透明性を有し、かつ、前面板への押さえ付けや衝突等に由来する薄ガラスの破損を効果的に防ぐ。本発明に用いる衝撃吸収層は厚みが5μm以上であり、薄ガラスに負荷される衝撃を十分に緩和する観点からは10μm以上が好ましく、10μm超えがより好ましく、20μm以上がさらに好ましい。また、衝撃吸収層の厚みは薄ガラスに負荷が加わった際の変形を防ぐ観点からは100μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましい。
【0020】
また、衝撃吸収層は、25℃において10
1〜10
15Hzの範囲にtanδの極大値を有する。本発明の光学積層体を、例えば、タッチパネル等の前面板として用いる場合、指圧やスタイラスペンによっては通常、薄ガラスに割れは生じない。他方、コンクリート等への落下、硬い物体による打撃等の、より強い衝撃が加わった場合には、薄ガラスには割れが生じやすい。このように硬い物体との衝突等の衝撃が生じた場合、この衝撃の振動数は通常、10
4Hz程度を中心とした一定の振動数幅の範囲にある。本発明に用いる衝撃吸収層は、25℃において10
1〜10
15Hzの範囲にtanδの極大値を有し、このような衝撃から薄ガラスを効果的に保護することができる。衝撃吸収層は、25℃において、10
2〜10
12Hzの範囲にtanδの極大値を有することが好ましく、10
2〜10
10Hzの範囲にtanδの極大値を有することがより好ましく、10
2〜10
8Hzの範囲にtanδの極大値を有することがさらに好ましく、10
3〜5×10
7Hzの範囲にtanδの極大値を有することが特に好ましい。この場合、25℃において、10
1〜10
15Hz(好ましくは10
2〜10
12Hz、より好ましくは10
2〜10
10Hz、さらに好ましくは10
2〜10
8Hz、特に好ましくは10
3〜5×10
7Hz)の範囲にtanδの極大値を少なくとも1つ有していればよく、上記の範囲にtanδの極大値を2つ以上有していてもよい。また、上記範囲以外の周波数の範囲に更にtanδの極大値を有していてもよく、この極大値が最大値であってもよい。
【0021】
衝撃吸収層の、25℃において10
1〜10
15Hz(好ましくは10
2〜10
12Hz、より好ましくは10
2〜10
10Hz、さらに好ましくは10
2〜10
8Hz、特に好ましくは10
3〜5×10
7Hz)の範囲内にあるtanδの極大値は、衝撃吸収の観点から、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましい。また、硬度の観点から、この極大値は、3.0以下であることが好ましい。
【0022】
本発明では、衝撃吸収層の25℃における周波数とtanδの関係について、下記の方法で周波数−tanδのグラフを作成し、tanδの極大値及び極大値を示す周波数を求める。tanδは貯蔵弾性率に対する損失弾性率の比の値である。
【0023】
−試料(試験片)作製方法−
衝撃吸収層の構成材料を溶剤に溶解、または溶融させて得られた塗布液を、剥離処理が施された剥離PETシートの剥離処理面に、乾燥後の厚みが40μmになるよう塗布し、この塗布膜を乾燥させて衝撃吸収層を形成する。この衝撃吸収層を剥離PETシートから剥離することにより、衝撃吸収層の試験片を作製する。
【0024】
−測定方法−
動的粘弾性測定装置(アイティー・エス・ジャパン(株)製DVA−225)を用いて、あらかじめ温度25℃、相対湿度60%雰囲気下で2時間以上調湿した上記試験片について、「ステップ昇温・周波数分散」モードにおいて下記条件下で測定を行う。「マスターカーブ」編集にて、25℃における、周波数に対するtanδ、貯蔵弾性率および損失弾性率のマスターカーブを得る。得られたマスターカーブからtanδの極大値及びこの極大値を示す周波数を求める。
試料:5mm×20mm
つかみ間距離:20mm
設定歪み:0.10%
測定温度:−40℃〜40℃
昇温条件:2℃/min
【0025】
25℃において10
1〜10
15Hz(好ましくは10
2〜10
12Hz、より好ましくは10
2〜10
10Hz、さらに好ましくは10
2〜10
8Hz、特に好ましくは10
3〜5×10
7Hz)の範囲内にある衝撃吸収層のtanδの極大値に対応する周波数において、衝撃吸収層の貯蔵弾性率(E’)は0.1MPa以上1000MPa未満が好ましい。より好ましくは、E’は30MPa以上である。E’が30MPa以上であることで、硬度の過度の低下をより効果的に抑制できる。E’は50MPa以上であることがより好ましい。また、E’は800MPa以下であることも好ましく、600MPa以下であることも好ましい。
【0026】
25℃において、周波数10
1〜10
15Hz(好ましくは10
2〜10
12Hz、より好ましくは10
2〜10
10Hz、さらに好ましくは10
2〜10
8Hz、特に好ましくは10
3〜5×10
7Hz)の範囲にtanδの極大値を有する衝撃吸収層を構成する衝撃吸収層形成材料としては、(メタ)アクリレート樹脂やエラストマーが挙げられ、これらを組合せて用いることもできる。
エラストマーとしては、アクリル系ブロック(共)重合体、スチレン系ブロック(共)重合体が好ましい。アクリル系ブロック共重合体としては、メタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルとのブロック共重合体(「PMMA−PnBA共重合体」とも呼ぶ)等が挙げられる。スチレン系ブロック(共)重合体としては、イソプレンおよび/またはブテンとスチレンとのブロック共重合体等が挙げられる。共重合成分の種類や共重合比を調整することにより、tanδの極大値を所望の範囲に有する衝撃吸収層を形成することができる。
また、衝撃吸収層は、ウレタン変性ポリエステル樹脂およびウレタン樹脂から選択される少なくとも一種を含む樹脂を用いて構成されてもよい。
衝撃吸収層が含み得る樹脂又はエラストマーは通常の方法で合成でき、市販品を用いてもよい。市販品としては、たとえば、クラリティLA1114、クラリティLA2140E、クラリティLA2250、クラリティLA2330、クラリティLA4285、HYBRAR5127、HYBRAR7311F((株)クラレ製、商品名)などが挙げられる。
【0027】
樹脂又はエラストマーの重量平均分子量は、溶剤への溶解性と硬度のバランスの観点から、10,000〜1,000,000が好ましく、50,000〜500,000がより好ましい。
【0028】
衝撃吸収層は樹脂および/またはエラストマーのみで構成してもよい。また、軟化剤、可塑剤、滑剤、架橋剤、架橋助剤、光増感剤、酸化防止剤、老化防止剤、熱安定剤、難燃剤、防菌・防かび剤、耐候剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、造核剤、顔料、染料、有機フィラー、無機フィラー、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、上述した以外の樹脂等の添加剤を含有する組成物を用いて衝撃吸収層を構成することもできる。
【0029】
衝撃吸収層に添加され得る無機フィラーは、特に限定されず、例えば、シリカ粒子、ジルコニア粒子、アルミナ粒子、マイカ、タルク等を使用することができ、これらは、1種または2種以上を併用することができる。衝撃吸収層への分散の点から、シリカ粒子が好ましい。
【0030】
無機フィラーの表面は、衝撃吸収層を構成する樹脂との親和性を高めるため、無機フィラーに結合もしくは吸着し得る官能基を有する表面修飾剤で処理されてもよい。このような表面修飾剤としては、シラン、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属アルコキシド表面修飾剤や、リン酸基、硫酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性基を有する表面修飾剤が挙げられる。
【0031】
衝撃吸収層が無機フィラーを含む場合、無機フィラーの含有量は、衝撃吸収層の弾性率とtanδのバランスを考慮して、衝撃吸収層固形分中、1〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。無機フィラーのサイズ(平均一次粒径)は、10nm〜100nmが好ましく、更に好ましくは15〜60nmである。無機フィラーの平均一次粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。無機フィラーの粒径が小さすぎると、弾性率の改良効果が得られず、大きすぎるとヘイズ上昇の原因となる場合がある。無機フィラーの形状は、板状、球形、非球形を問わない。
【0032】
無機フィラーの具体的な例としては、ELECOM V−8802(日揮触媒化成(株)製、平均一次粒径12nmの球形シリカ微粒子)やELECOM V−8803(日揮触媒化成(株)製、異形シリカ微粒子)、MIBK−ST(日産化学工業(株)製、平均一次粒径10〜20nmの球形シリカ微粒子)、MEK−AC−2140Z(日産化学工業(株)製、平均一次粒径10〜20nmの球形シリカ微粒子)、MEK−AC−4130(日産化学工業(株)製、平均一次粒径40〜50nmの球形シリカ微粒子)、MIBK−SD−L(日産化学工業(株)製、平均一次粒径40〜50nmの球形シリカ微粒子)、MEK−AC−5140Z(日産化学工業(株)製、平均一次粒径70〜100nmの球形シリカ微粒子)等が挙げられる。
【0033】
衝撃吸収層に添加され得る添加剤としての樹脂は、特に限定されず、例えばロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル樹脂、石油化学樹脂、水添石油化学樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、アルキルフェノール樹脂等を使用することができ、これらは、1種または2種以上を併用することができる。
【0034】
添加剤の含有量は、衝撃吸収層の貯蔵弾性率とtanδのバランスを考慮して、衝撃吸収層固形分中、1〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
【0035】
添加剤の具体的な例としては、スーパーエステルA75、同A115、同A125(以上、荒川化学工業社製、ロジンエステル樹脂)、ペトロタック60、同70、同90、同100、同100V、同90HM(以上、東ソー社製、石油化学樹脂)、YSポリスターT30、同T80、同T100、同T115、同T130、同T145、同T160(以上、ヤスハラケミカル社製、テルペンフェノール樹脂)等が挙げられる。
【0036】
<光学積層体の作製方法>
衝撃吸収層の形成方法には特に限定はなく、たとえば、コーティング法、キャスト法(無溶剤キャスト法及び溶剤キャスト法)、プレス法、押出法、射出成形法、注型法又はインフレーション法等が挙げられる。詳細には、衝撃吸収層の上記構成材料(衝撃吸収材料)を溶媒に溶解又は分散させた液状物、又は上記衝撃吸収材料を構成する成分の溶融液を調製し、次いで、この液状物又は溶融液を薄ガラスに塗布し、その後、必要により溶媒の除去等をすることにより、衝撃吸収層が積層された光学積層体を作製することができる。
【0037】
また、剥離処理が施された剥離シートの剥離処理面に衝撃吸収層材料を塗布、乾燥し、衝撃吸収層を含むシートを形成し、このシートの衝撃吸収層を薄ガラスと貼り合せることにより、衝撃吸収層が積層された光学積層体を作製することもできる。
【0038】
衝撃吸収層は、架橋構造を有してもよいし、構成材料の少なくとも一部が架橋されていてもよい。衝撃吸収材料の架橋方法については特に限定はなく、例えば、電子線照射、紫外線照射、及び架橋剤(例えば、有機過酸化物等)を用いる方法から選ばれる手段が挙げられる。樹脂の架橋を電子線照射により行う場合は、得られた衝撃吸収層(架橋前)に対し、電子線照射装置により電子線を照射することにより、架橋を形成することができる。また、紫外線照射の場合は、得られた衝撃吸収層(架橋前)について、紫外線照射装置により紫外線を照射することにより、必要に応じて配合された光増感剤の効果によって架橋を形成することができる。更に、架橋剤を用いる場合は、得られた衝撃吸収層(架橋前)について、通常、窒素雰囲気等、空気の存在しない雰囲気で加熱することにより、必要に応じて配合された有機過酸化物等の架橋剤、更には架橋助剤の効果によって架橋を形成することができる。
本発明において衝撃吸収層は、より好ましくは架橋構造を有しない。
【0039】
衝撃吸収層の膜厚は、衝撃吸収性の点から、5μm以上であり、より好ましくは10μm超え、さらに好ましくは20μm以上である。上限値は100μm以下であることが実際的であり、80μm以下が好ましく、60μm以下とすることも好ましい。
【0040】
<その他の層>
−接着層−
衝撃吸収層は、接着層を介して薄ガラスの一方の側に配置されてもよい。接着層は、乾燥や反応により接着性を発現する成分(接着剤)を含む組成物を用いて形成することが好ましい。例えば、硬化反応により接着性を発現する成分を含む組成物(以下、「硬化性組成物」と称する場合がある。)を用いて形成される接着層は、かかる硬化性組成物を硬化させてなる硬化層である。
【0041】
接着剤としては、樹脂を用いることができる。一態様では、接着層は、この層の50質量%以上、好ましくは70質量%以上を樹脂が占める層であることができる。樹脂としては、単一の樹脂を用いても、複数の樹脂の混合物を用いてもよい。樹脂の混合物を用いる場合、上記の樹脂が占める割合は、樹脂の混合物が占める割合をいう。樹脂の混合物としては、例えば、ある樹脂と、この樹脂の一部を変性した構造を有する樹脂の混合物、異なる重合性化合物を反応させて得られた樹脂の混合物等を挙げることができる。
【0042】
接着剤としては、任意の適切な性質、形態および接着機構を有する接着剤を用いることができる。具体的には、例えば、水溶性接着剤、紫外線硬化型接着剤、エマルジョン型接着剤、ラテックス型接着剤、マスチック接着剤、複層接着剤、ペースト状接着剤、発泡型接着剤、サポーテッドフィルム接着剤、熱可塑型接着剤、熱溶融型(ホットメルト)接着剤、熱固化接着剤、熱活性接着剤、ヒートシール接着剤、熱硬化型接着剤、コンタクト型接着剤、感圧性接着剤、重合型接着剤、溶剤型接着剤、溶剤活性接着剤等が挙げられ、水溶性接着剤および紫外線硬化型接着剤が好ましい。これらの中でも、透明性、接着性、作業性、製品の品質および経済性に優れる点で、水溶性接着剤が好ましく用いられる。
【0043】
水溶性接着剤は、たんぱく質、澱粉、合成樹脂等の天然または合成された水溶性成分を含むことができる。合成樹脂としては、例えば、レゾール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル樹脂及びセルロース誘導体(セルロース化合物)が挙げられる。これらの中でも、樹脂フィルムを貼り合わせる際の接着性に優れる点で、ポリビニルアルコール樹脂あるいはセルロース誘導体を含有する水溶性接着剤が好ましい。すなわち、接着層は、ポリビニルアルコール樹脂あるいはセルロース誘導体を含むことが好ましい。
接着層の厚みは、薄ガラスと衝撃吸収層を接着する点から10nm以上が好ましく、50nm〜50μmがさらに好ましい。
【0044】
接着層は、例えば、接着剤を含有する塗布液を薄ガラスまたは衝撃吸収層の少なくとも一方の表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。塗布液の調製方法としては、任意の適切な方法を採用することができる。塗布液としては、例えば、市販の溶液または分散液を用いてもよく、市販の溶液または分散液にさらに溶剤を添加して用いてもよく、固形分を各種溶剤に溶解または分散して用いてもよい。
【0045】
−衝撃吸収層の保護フィルム−
本発明の光学積層体は、衝撃吸収層の薄ガラスとは反対側の面に、剥離可能な保護フィルム層を設けることが好ましい。かかる保護フィルム層を有することにより、使用前の光学積層体の衝撃吸収層の破損および埃や汚れの付着を防ぐことができ、使用時には上記保護フィルム層を剥がすことができる。
【0046】
保護フィルム層と衝撃吸収層との間には、保護フィルム層の剥離を容易にするために、剥離層を設けることができる。かかる剥離層を設ける方法は、特に限定されず、例えば、保護フィルム層及び衝撃吸収層のうちの少なくともいずれかの表面に剥離コート剤を塗布することにより設けることができる。剥離コート剤の種類については特に限定されず、たとえば、シリコン系コート剤、無機系コート剤、フッ素系コート剤、有機無機ハイブリッド系コート剤等が挙げられる。
【0047】
保護フィルムと剥離層とを備える光学積層体は、通常は保護フィルム層表面に剥離層を設けた後、衝撃吸収層の表面に積層することにより得ることができる。この場合、上記剥離層は保護フィルム層表面ではなく、衝撃吸収層の表面に設けてもよい。
【0048】
−薄ガラスの保護フィルム−
本発明の光学積層体は、薄ガラスの衝撃吸収層とは反対側に、樹脂フィルムをさらに備えていてもよい。1つの実施形態においては、樹脂フィルムは、剥離可能に(例えば、任意の適切な粘着剤層を介して)積層され、本発明の光学積層体が使用に供されるまで薄ガラスを保護する保護フィルムである。
【0049】
薄ガラスの保護フィルムを構成する材料は、特に限定されず、たとえば、熱可塑性樹脂、熱または活性エネルギー線により硬化する硬化性樹脂等が挙げられる。好ましくは、熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。なかでもポリ(メタ)クリレート系樹脂が好ましく、より好ましくはポリメタクリレート系樹脂であり、特に好ましくはポリメチルメタクリレート系樹脂である。保護フィルムがポリメチルメタクリレート系樹脂を含んでいれば、薄ガラスを保護する効果が高まり、例えば、先端の尖った落下物に対してもキズ、穴等の発生を防止することができる。
【0050】
薄ガラスの保護フィルムの厚みは、好ましくは20μm〜1900μmであり、さらに好ましくは50μm〜1500μmであり、より好ましくは50μm〜1000μmであり、特に好ましくは50μm〜100μmである。
【0051】
薄ガラスの保護フィルムは、目的に応じて添加剤を含有してもよい。この保護フィルムに用いる添加剤としては、例えば、希釈剤、老化防止剤、変成剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤、柔軟剤、安定剤、可塑剤、消泡剤、補強剤等が挙げられる。添加剤の種類および量は、目的に応じて適宜に設定される。
【0052】
−反射防止層−
本発明の光学積層体は、反射防止層をさらに備えていてもよい。反射防止層は、薄ガラスの衝撃吸収層とは反対側に配置され得る。
【0053】
反射防止層としては、反射防止の機能を有する限り、任意の適切な構成であり得る。好ましくは、上記反射防止層は、無機材料から構成される層である。
【0054】
反射防止層を構成する材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、フッ化マグネシウム等が挙げられる。1つの実施形態においては、反射防止層として、酸化チタン層と酸化ケイ素層とを交互に積層して得られた積層体が用いられる。このような積層体は、優れた反射防止機能を有する。
【0055】
[光学積層体を有する物品]
本発明の光学積層体を含む物品としては、家電業界、電気電子業界をはじめとする様々な産業界において耐衝撃性を向上することが求められる各種物品を挙げることができる。具体例としては、タッチセンサ、タッチパネル、液晶表示装置等の画像表示装置等を挙げることができる。これら物品に、好ましくは表面保護フィルムとして本発明の光学積層体を設けることにより、硬度と耐衝撃性に優れた物品を提供することが可能となる。本発明の光学積層体は、画像表示装置用の前面板に用いられる光学フィルムとして好ましく用いられ、タッチパネルの画像表示素子の前面板に用いられる光学フィルムであることがより好ましい。
本発明の光学積層体を用いることができるタッチパネルは特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面型静電容量式タッチパネル、投影型静電容量式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネルなどが挙げられる。詳細については、後述する。
なお、タッチパネルとは、いわゆるタッチセンサを含むものとする。タッチパネルにおけるタッチパネルセンサー電極部の層構成が、2枚の透明電極を貼合する貼合方式、1枚の基板の両面に透明電極を具備する方式、片面ジャンパーあるいはスルーホール方式あるいは片面積層方式のいずれでもよい。
【0056】
<画像表示装置>
本発明の光学積層体を有する画像表示装置は、本発明の光学積層体を有する前面板と、画像表示素子とを有する画像表示装置である。
画像表示装置としては、液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置およびタッチパネル等が挙げられる。
液晶表示装置は液晶セルと該液晶セルの視認側(フロント側)とバックライト側(リア側)に設けられた偏光板により構成されている。液晶表示装置としては、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super−Twisted Nematic)型、TSTN(Triple Super Twisted Nematic)型、マルチドメイン型、VA(Vertical Alignment)型、IPS(In Plane Switching)型、OCB(Optically Compensated Bend)型等が挙げられる。
画像表示装置は、脆性が改良され、ハンドリング性に優れ、表面平滑性やシワによる表示品位を損なう事が無く、湿熱試験時の光漏れを低減できることが好ましい。
すなわち、本発明の光学積層体を有する画像表示装置は、画像表示素子が液晶表示素子であることが好ましい。液晶表示素子を有する画像表示装置としては、ソニーエリクソン社製、エクスペリアPなどを挙げることができる。
【0057】
本発明の光学積層体を有する画像表示装置は、画像表示素子が有機エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence;EL)表示素子であることも好ましい。
有機エレクトロルミネッセンス表示素子は、公知技術を、何ら制限なく適用することができる。有機エレクトロルミネッセンス表示素子を有する画像表示装置としては、SAMSUNG社製、GALAXY SIIなどを挙げることができる。
【0058】
本発明の光学積層体を有する画像表示装置は、画像表示素子がインセル(In−Cell)タッチパネル表示素子であることも好ましい。インセルタッチパネル表示素子とは、タッチパネル機能を画像表示素子セル内に内蔵したものである。
インセルタッチパネル表示素子は、例えば、特開2011−76602号公報、特開2011−222009号公報等の公知技術を、何ら制限なく適用することができる。インセルタッチパネル表示素子を有する画像表示装置としては、ソニーエリクソン社製、エクスペリアPなどを挙げることができる。
【0059】
また、本発明の光学積層体を有する画像表示装置は、画像表示素子がオンセル(On−Cell)タッチパネル表示素子であることも好ましい。オンセルタッチパネル表示素子とは、タッチパネル機能を画像表示素子セル外に配置したものである。
オンセルタッチパネル表示素子は、例えば、特開2012−88683号公報等の公知技術を、何ら制限なく適用することができる。オンセルタッチパネル表示素子を有する画像表示装置としては、SAMSUNG社製、GALAXY SIIなどを挙げることができる。
【0060】
<タッチパネル>
本発明の光学積層体を有するタッチパネルは、本発明の光学積層体が有する衝撃吸収層の、薄ガラスと反対側の表面にタッチセンサフィルムを貼り合わせたタッチセンサを含むタッチパネルである。
タッチセンサフィルムとしては特に制限はなく、導電層が形成された導電性フィルムであることが好ましい。導電性フィルムは、任意の支持体の上に導電層が形成された導電性フィルムであることが好ましい。
【0061】
導電層の材料としては特に制限されず、例えば、インジウム・スズ複合酸化物(Indium Tin Oxide;ITO)、スズ酸化物およびスズ・チタン複合酸化物(Antimony Tin Oxide;ATO)、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、クロムやこれらの合金などがあげられる。導電層は、電極パターンであることが好ましい。また、透明電極パターンであることも好ましい。電極パターンは透明導電材料層をパターニングしたものでもよく、不透明な導電材料の層をパターン形成したものでもよい。
【0062】
−抵抗膜式タッチパネル−
本発明の光学積層体を有する抵抗膜式タッチパネルは、本発明の光学積層体を有する前面板を有する抵抗膜式タッチパネルである。
抵抗膜式タッチパネルは、導電性膜を有する上下1対の基板の導電性膜同士が対向するようにスペーサーを介して配置された基本構成からなるものである。なお抵抗膜式タッチパネルの構成は公知であり、本発明では公知技術を何ら制限なく適用することができる。
【0063】
−静電容量式タッチパネル−
本発明の光学積層体を有する静電容量式タッチパネルは、本発明の光学積層体を有する前面板を有する静電容量式タッチパネルである。
静電容量式タッチパネルの方式としては、表面型静電容量式、投影型静電容量式等が挙げられる。投影型の静電容量式タッチパネルは、X軸電極と、X軸電極と直交するY軸電極とを絶縁体を介して配置した基本構成からなる。具体的態様としては、X軸電極およびY軸電極が、1枚の基板上の別々の面に形成される態様、1枚の基板上にX軸電極、絶縁体層、Y軸電極を上記順で形成する態様、1枚の基板上にX軸電極を形成し、別の基板上にY軸電極を形成する態様(この態様では、2枚の基板を貼り合わせた構成が上記基本構成となる)等が挙げられる。なお静電容量式タッチパネルの構成は公知であり、本発明では公知技術を何ら制限なく適用することができる。
【実施例】
【0064】
以下に、実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明がこれにより限定して解釈されない。以下の実施例において組成を表す「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0065】
[実施例1〜14、比較例1〜8]
衝撃吸収層と薄ガラスとが積層されてなる、実施例1〜14、比較例1〜8の光学積層体を作製した。詳細を以下に説明する。
【0066】
<衝撃吸収層(CU層)形成用組成物の調製>
下記表1に示す組成で各成分を混合し、孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、CU層形成用組成物CU−1〜CU−13を調製した。
【0067】
【表1】
【0068】
表1に記載した材料の詳細を以下に示す。
【0069】
<樹脂/エラストマー>
・クラリティLA2250:クラレ社製、PMMA−PnBA共重合体エラストマー
・クラリティLA2140E:クラレ社製、PMMA−PnBA共重合体エラストマー
・ハイブラー7311F:クラレ社製、ポリスチレン−水素添加されたイソプレン共重合体エラストマー
・クラプレンUC−203M:クラレ社製、重合性基含有ポリイソプレン
・バイロンUR−6100:東洋紡社製、ポリエステルウレタン樹脂の45%希釈液(希釈溶媒の組成は、質量比でシクロヘキサノン:ソルベッソ150:イソホロン=40:40:20)
・セロキサイド2021P:ダイセル社製、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
・アロンオキセタンOXT−221:東亞合成社製、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3 −イル)メトキシ]メチル}オキセタン
・合成例1:特開2014−210421号公報の段落<0086>に記載の方法により、合成した
・ダイヤナールBR88:三菱レイヨン社製、PMMA樹脂
・NKオリゴUA−122P:新中村化学工業社製、紫外線硬化モノマー
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬社製、商品名:KAYARAD DPHA)
【0070】
<無機フィラー>
・MIBK−ST:日産化学工業社製、平均粒径10〜20nmの球形シリカ微粒子
【0071】
<添加剤>
・スーパーエステルA115:荒川化学工業社製、ロジンエステル
・クリアロンP150:ヤスハラケミカル社製、水添テルペン
・アデカオプトマーSP−170:ADEKA社製、スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤
・MS51:多摩化学工業社製、メチルシリケートオリゴマー
・オルガノシリカゾル:日産化学工業社製 30%IPA希釈液
・D―20:信越化学社製、チタネート化合物
・IRGACURE184:BASF社製光重合剤
【0072】
<溶媒>
・MIBK:メチルイソブチルケトン
・IPA:イソプロピルアルコール
【0073】
<実施例1>
薄ガラス(縦8cm、横8cm、厚み100μm)の表面上に、CU層形成用組成物CU−1を塗布し、乾燥させてCU層を形成した。
塗布および乾燥の方法は、具体的には、次の通りとした。特開2006−122889号公報の実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法により、搬送速度30m/分の条件で、CU層形成用組成物を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布した。次いで、雰囲気温度60℃で150秒間乾燥させ、実施例1の光学積層体を作製した。
【0074】
<実施例2、4、5及び8>
CU層形成用組成物CU−1に代えてCU層形成用組成物CU−2、CU−3、CU−4、及びCU−5を使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例2、4、5及び8の光学積層体を作製した。
【0075】
<実施例3>
薄ガラスの厚みを50μmとした以外は、実施例2と同様にして、実施例3の光学積層体を作製した。
【0076】
<実施例6>
CU層形成用組成物の膜厚を5μmとした以外は、実施例5と同様にして、実施例6の光学積層体を作製した。
【0077】
<実施例7>
CU層形成用組成物の膜厚を40μmとした以外は、実施例5と同様にして、実施例7の光学積層体を作製した。
【0078】
<実施例9>
CU層形成用組成物CU−1に代えてCU層形成用組成物CU−6を使用し、CU層形成用組成物の膜厚を40μmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例9の光学積層体を作製した。
【0079】
<実施例10>
−CU層シートの作製−
上記で調製したCU層形成用組成物CU−2を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(リンテック社製、商品名:SP−PET3811)の剥離処理面に、乾燥後の厚さが20μmとなるように塗布した。雰囲気温度60℃で150秒間加熱し、CU層CU−2を形成した。このCU層CU−2と、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した別の剥離シート(リンテック社製、商品名:SP−PET3801)の剥離処理面とを貼り合わせて、剥離シート/CU層CU−2/剥離シートの順に積層された、Cu層シートCU−2を作製した。
【0080】
−光学積層体の作製−
薄ガラス(厚み100μm)の表面上に、CU層形成用組成物CU−9をスポイトを用いて線状に塗布した。次いで、上記薄ガラスとCu層シートCU−2とを、上記接着剤組成物を介して、貼り合わせた。この貼り合わせは、ラミネータを用いてロール間で行った。
その後、得られた積層体のCu層シートCU−2側から紫外光を照射して(照射強度50mw/cm
2、照射時間30秒)、CU層形成用組成物CU−9を半硬化させた。紫外光照射は高圧水銀ランプを使用した。次いで、80℃の温度下で60分間、オーブン内で積層体を加熱し、CU層形成用組成物CU−9を完全硬化させて、実施例10の光学積層体を作製した。CU−9の層は接着層として存在し、その厚みは5μmであった。
【0081】
<実施例11>
薄ガラス(厚み100μm)の表面上に、上記で作製したCU層シートCU−2を、厚み20μmの粘着剤(綜研化学社製、商品名:SK−2057)を介して、ゴムローラーで2kgの荷重を掛けながら貼り合わせることで、実施例11の光学積層体を作製した。
【0082】
<実施例12>
薄ガラス(縦8cm、横8cm、厚み100μm)の表面上に、CU層形成用組成物CU−11を塗布し、乾燥させてCU層を形成した。
塗布および硬化の方法は、具体的には、次の通りとした。特開2006−122889号公報の実施例1に記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件でCU層形成用組成物を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布した。次いで、雰囲気温度60℃で150秒間乾燥した。その後、更に窒素パージ下、酸素濃度約0.1体積%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、照度300mW/cm
2、照射量600mJ/cm
2の紫外線を照射して、塗布したCU層形成用硬化性組成物を硬化させて実施例12の光学積層体を作製した。
【0083】
<実施例13、14>
CU層形成用組成物CU−11に代えてCU層形成用組成物CU−12、CU−13を使用した以外は、実施例12と同様にして、実施例13、14の光学積層体を作製した。
【0084】
<比較例1>
薄ガラス(厚み100μm)の表面上に、CU層形成用組成物CU−7を乾燥後の膜厚が15μmになるように塗布し、雰囲気温度50℃で30分間、次いで70℃で2時間、さらに100℃で1時間乾燥させることにより、比較例1の光学積層体を作製した。
【0085】
<比較例2>
薄ガラス(厚み100μm)の表面上に、CU層形成用組成物CU−8を塗布し、CU層形成用組成物の乾燥後の膜厚が75μmとなるように、雰囲気温度70℃で6分間、次いで140℃で40分間乾燥させ、比較例2の光学積層体を作製した。
【0086】
<比較例3>
CU層シートCU−2を貼り合わせなかった以外は、実施例10と同様にして、比較例3の光学積層体を作製した。
【0087】
<比較例4>
CU層シートCU−2に代えて、アクリル系樹脂シート(三菱ケミカル社製、商品名「アクリプレンHBS010P」、厚み75μm)を使用した以外は、実施例10と同様にして、比較例4の光学積層体を作製した。
【0088】
<比較例5>
CU層形成用組成物シートCU−2に代えて、シクロオレフィン系樹脂シート(日本ゼオン社製、商品名「ゼオノアフィルムZF16」、厚み100μm)を使用した以外は、実施例10と同様にして、比較例5の光学積層体を作製した。
【0089】
<比較例6>
薄ガラス(厚み100μm)の表面上に、CU層形成用組成物CU−10を硬化後の膜厚が8μmになるようにワイヤバーコータを用いて塗布した後、雰囲気温度60℃で150秒間乾燥させることにより溶剤を除去した。さらに、高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射することによって比較例6の光学積層体を作製した。
【0090】
<比較例7>
CU層形成用組成物の膜厚を1μmとした以外は、実施例5と同様にして、比較例7の光学積層体を作製した。
【0091】
<比較例8>
CU層形成用組成物からなる層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例8の光学フィルムを作製した。
【0092】
[試験例] 衝撃吸収性試験
ガラス板(Corning社製、商品名:イーグル XG、厚み0.4mm、縦10cm、横10cm)と、上記で作製した各光学積層体(実施例1〜11、比較例1〜7)ないし薄ガラス(比較例8)とを、CU層の、薄ガラス側とは反対側の面がガラス板と向かい合うようにして、厚み20μmの粘着剤(綜研化学社製、商品名:SK−2057)を介して、ゴムローラーで2kgの荷重を掛けながら貼り合わせた。ステンレスからなる基台の上に、上記の光学積層体を貼り合わせたガラス板を、厚さ20mm、幅5mmのテフロン(登録商標)製スペーサー(10cm四方のスペーサーから、中央部9cm四方を打ち抜いた形状のスペーサー)がガラス板とステンレス基台の間に挟まるように設置した。次いで、鉄球(直径3.2cm、質量130g)を、所定高さから落下させ、上記の光学積層体ないし薄ガラスの、薄ガラスに鉄球が接触するように衝突させた。その後、薄ガラスを観察し、ひびや割れなどが観察されなかった高さの中で一番高い値を耐衝撃高さ(cm)とした。
結果を下記表2に示す。
【0093】
【表2】
【0094】
上記表2に示されるように、衝撃吸収層がtanδの極大値を10
1〜10
15Hzの範囲に有しない場合、衝撃吸収層の厚みを厚くしても、光学積層体は衝撃吸収性に劣る結果となり、いずれも、衝撃吸収層を設けていない薄ガラスそのものと同等のひび割れやすさであった(比較例1〜6、8)。
また、衝撃吸収層がtanδの極大値を10
1〜10
15Hzの範囲に有していても、衝撃吸収層の厚さが十分でないと、やはり衝撃吸収性に劣る結果となった(比較例7)。
これに対し、衝撃吸収層がtanδの極大値を10
1〜10
15Hzの範囲に有し、かつ衝撃吸収層の厚さも5μm以上を確保した光学積層体は、いずれも衝撃吸収性に優れる結果となった(実施例1〜14)。