(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6920912
(24)【登録日】2021年7月29日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20210805BHJP
【FI】
H02M3/28 C
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-141411(P2017-141411)
(22)【出願日】2017年7月21日
(65)【公開番号】特開2019-22398(P2019-22398A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】新日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三添 公義
(72)【発明者】
【氏名】近野 暢
【審査官】
佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−333843(JP,A)
【文献】
特開2009−247073(JP,A)
【文献】
特開2001−268903(JP,A)
【文献】
特開2016−158398(JP,A)
【文献】
特開2005−278263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチングトランジスタと、該スイッチングトランジスタがONしたときにセンス電圧を生成するセンス抵抗と、前記スイッチングトランジスタがONすることで入力電圧が印加する1次巻線、負荷が接続される2次巻線及び補助巻線を有するトランスと、前記2次巻線から前記負荷に供給される出力電圧に応じたホトカプラ電流を生成するホトカプラと、前記センス電圧と前記ホトカプラ電流を取り込んで前記スイッチングトランジスタのON/OFFを制御する制御回路とを有するスイッチング電源装置において、
前記補助巻線で得られる電圧により前記出力電圧の低下を検出し、前記補助巻線で得られる電圧が所定値以下に達したとき前記補助巻線で得られる電圧に逆比例したフィードバック電流を生成して前記ホトカプラ電流に代えて前記制御回路に取り込ませる電流制限フィードバック回路を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチング電源装置において、
前記電流制限フィードバック回路は、前記スイッチングトランジスタのOFF期間に前記補助巻線に発生する電圧が所定以下のとき、前記補助巻線に発生する電圧に逆比例させた前記フィードバック電流を前記スイッチングトランジスタのON期間及びOFF期間にわたって生成することを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスイッチング電源装置において、前記制御回路は、
前記センス電圧を取り込んで負荷電流に対応するセンス電流を前記スイッチングトランジスタのOFF期間に出力する電流センス回路と、
前記スイッチングトランジスタがONした後に前記スイッチングトランジスタをOFFさせるOFFタイミング信号を、前記ホトカプラ電流が大きいほど且つ前記フィードバック電流が大きいほど且つ前記センス電圧が大きいほど、早いタイミングで生成するON期間制御回路と、
前記スイッチングトランジスタがOFFした後に前記スイッチングトランジスタをONさせるONタイミング信号を、前記ホトカプラ電流が大きいほど且つ前記フィードバック電流が大きいほど且つ前記センス電流が小さいほど、遅いタイミングで生成するOFF期間制御回路と、
前記ON期間制御回路から出力する前記OFFタイミング信号によって前記スイッチングトランジスタをOFFさせ、前記OFF期間制御回路から出力する前記ONタイミング信号によって前記スイッチングトランジスタをONさせるSRFF回路と、
を有することを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項4】
請求項3に記載のスイッチング電源装置において、
前記ON期間制御回路は、前記スイッチングトランジスタがONしているときに前記ホトカプラ電流又は前記フィードバック電流が流れる経路に挿入される第2抵抗と、該第2抵抗の前記ホトカプラ電流又は前記フィードバック電流の導入側に生成する第2電圧が前記センス電圧と同じ電圧になると前記OFFタイミング信号を生成する第1コンパレータと、を備えることを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項5】
請求項3に記載のスイッチング電源装置において、
前記OFF期間制御回路は、前記スイッチングトランジスタがOFFしているとき前記センス電流で充電され前記スイッチングトランジスタがONすると放電される第4キャパシタと、該第4キャパシタの電圧から前記ホトカプラ電流又は前記フィードバック電流によって電圧降下を生じさせるように挿入された第3抵抗と、該第3抵抗の前記第4キャパシタの側と反対側の端子の電圧が所定値になると前記ONタイミング信号を生成する第2コンパレータと、を備えることを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項6】
請求項5に記載のスイッチング電源装置において、
前記トランスに設けられた補助巻線に発生する電圧を波形整形してパルス信号を生成する反転検出回路を有し、前記OFF期間制御回路の前記ONタイミング信号は前記パルス信号でリタイミングされることを特徴とするスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスとホトカプラを使用したDC/DCコンバータとしてのスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図7にこの種の従来のスイッチング電源装置の回路を示す(特許文献1)。60はトランスであり、1次巻線L11と第1補助巻線L12と2次巻線L13と第2補助巻線L14とを備える。MN2はNMOSのスイッチングトランジスタ、70はホトダイオードPD2とホトトランジスタPT2を備えるホトカプラである。R11〜R19は抵抗、Rs2はスイッチングトランジスタMN2のドレイン電流を検出するセンス抵抗、C11〜C15はキャパシタである。
【0003】
このスイッチング電源装置では、出力電圧Voutを抵抗R18,R19で分圧した電圧が電圧源VB11の基準電圧Vref11より高いときに、その差分電圧に応じてオペアンプOP11の出力電圧が低下する。そして、オペアンプOP11の出力電圧が所定値以下のとき、その出力電圧の値に応じてホトカプラ70のホトダイオードPD2に電流が流れ、そこで発光された発光量に応じてホトトランジスタPT2の内部抵抗が決まる。
【0004】
電源電圧Vinが投入されると、抵抗R11,R13を介して第1補助巻線L12に流れる励磁電流によって、キャパシタC13が抵抗R13側が正極となるよう充電される。そして、そのキャパシタC13の抵抗R13側の電圧がスイッチングトランジスタMN2の閾値電圧に達すると、そのスイッチングトランジスタMN2がONする。
【0005】
これによって、スイッチングトランジスタMN2が接続された1次巻線L11に直流電圧Vinによって電流が流れ始めると、トランス60の各巻線L12,L13,L14に誘導起電力が生じて、トランス60にエネルギーが蓄積される。第1補助巻線L12に発生する誘起電圧(●側が正極)は、キャパシタC13の電圧と重畳されるので、スイッチングトランジスタMN2はゲート電圧がその閾値電圧以上に維持されて、ON状態を継続する。
【0006】
このとき、スイッチングトランジスタMN2のドレイン電流がセンス抵抗Rs2に流れ、そこに発生するセンス電圧が抵抗R15を介してキャパシタC12を充電する。1次巻線L11に流れる励磁電流は、スイッチングトランジスタMN2がONしてから時間と共にほぼ直線的に増大するので、キャパシタC12の電圧もそれに応じて上昇する。
【0007】
この後、キャパシタC12の電圧がトランジスタQ11の閾値電圧に達すると、そのトランジスタQ11がON状態となって、スイッチングトランジスタMN2はそのゲート電圧が閾値電圧以下に低下してOFFする。
【0008】
スイッチングトランジスタMN2がOFFすることで1次巻線L11に流れる電流が遮断されると、各巻線L11〜L14にフライバック電圧が生じる。このとき、2次巻線L13に発生するフライバック電圧は、ダイオードD11とキャパシタC14とにより整流平滑され、出力電圧Voutとして出力される。
【0009】
一方、第1補助巻線L12に発生するフライバック電圧は、2次巻線L13に発生するフライバック電圧と比例関係にあり、この第1補助巻線L12に発生するフライバック電圧(●側が負極)によってキャパシタC13が抵抗R13側が正極となるように抵抗R12,R13を経由して充電され、スイッチングトランジスタMN2をONにするための助走が進む。
【0010】
なお、スイッチングトランジスタMN2がOFFした後は、1次巻線L11の電流が遮断されるので、センス抵抗Rs2に発生する電圧は零であり、また、出力電圧Voutが低くホトトランジスタPT2が動作していないので、キャパシタC12の電圧は、抵抗R15,Rs2を介して放電されつづけ低下する。これによって、キャパシタC12の電圧がトランジスタQ11の閾値電圧以下となると、そのトランジスタQ11がOFFする。
【0011】
ところで、トランジスタQ11のベース・コレクタ間が等価ダイオードとして作用するので、キャパシタC13は、第1補助巻線L12の●側と反対側から、センス抵抗Rs2、抵抗R15、トランジスタQ11のベースからコレクタ、抵抗R13を経由して流れる電流によっても、抵抗R13側が正極となるように充電される。
【0012】
フライバックによって2次巻線L13に蓄積されていた電気的エネルギーの放出が終わると、1次巻線L11の電圧は、スイッチングトランジスタMN2の寄生容量、1次巻線L11内の浮遊容量及び1次巻線L11のインダクタンスによって、入力電圧Vinを中心とした自由振動を開始し、電圧降下と共にその極性が反転する。
【0013】
1次巻線L11の電圧の自由振動に比例して振動する第1補助巻線L12のキャパシタC13側の電圧も同様に変化し、フライバック電圧が消滅した後に極性が復帰すると、その電圧はスイッチングトランジスタMN2のゲートに対して順方向の電圧として作用するようになる。また、この電圧に対してそれまでに充電されたキャパシタC13の電圧が加わるので、その合計電圧がスイッチングトランジスタMN2の閾値電圧を越えると、そのスイッチングトランジスタMN2が再びONする。このようにして一連の自励発振動作が繰り返される。
【0014】
これまでは出力電圧Voutが低く、ホトカプラ70が動作していないので、ホトトランジスタPT2はスイッチングトランジスタMN2のベース電圧に影響を与えず、スイッチングトランジスタMN2はセンス抵抗Rs2の抵抗値により定まる最大ON期間で動作する。この後、出力電圧Voutは、発振を繰り返す毎に上昇し、基準電圧Vref11に対応する設定電圧を越えるとオペアンプOP11による比較動作が開始されて、ホトカプラ70が動作する通常動作に移行する。
【0015】
この通常動作では、出力電圧Voutが設定電圧より高いときは、キャパシタC12の電圧が、センス抵抗Rs2に発生した電圧による充電に加えて、ホトカプラ70のホトトランジスタPT2に流れる電流によっても充電される。このため、出力電圧Voutが高いほどトランジスタQ11のONタイミングが早まるので、スイッチングトランジスタMN2のOFFタイミングが早まる。つまり、スイッチングトランジスタMN2のON期間が短くなる。
【0016】
スイッチングトランジスタMN2がOFFすると、第1補助巻線L12のフライバック電圧によって充電されるキャパシタC13の抵抗R13側の電圧がスイッチングトランジスタMN2の閾値電圧に達するまで、そのスイッチングトランジスタMN2はOFFを継続する。
【0017】
なお、このスイッチング電源装置では、入力電圧Vinを抵抗R11,R12で分圧した電圧が所定値未満のときはスイッチングトランジスタMN2のバイアス電圧が低くなり、スイッチングトランジスタMN2はON/OFF動作しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2005−027412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところが、
図7のスイッチング電源装置は、スイッチングトランジスタMN2のONタイミングを生成するために第1補助巻線L12が特別に必要となっている。また、キャパシタC13の抵抗R13側の電圧がスイッチングトランジスタMN2のゲートを制御するので、スイッチングトランジスタMN2のONタイミングがそのスイッチングトランジスタMN2の閾値のバラツキの影響を受ける問題がある。また、スイッチングトランジスタMN2はキャパシタC12の充電電圧がトランジスタQ11の閾値に達したときにOFFするので、スイッチングトランジスタMN2のOFFタイミングがトランジスタQ11の閾値のバラツキの影響を受ける問題がある。また、ホトカプラ電流を得るために第2補助巻線L14が特別に必要となっている。さらに、負荷電流が増大した際の電流制限機能が不十分となっている。
【0020】
本発明の目的は、ホトカプラ電流を得るための第2補助巻線が必須ではなく、スイッチングトランジスタのON/OFFにそのスイッチングトランジスタの閾値のバラツキの影響を受けず、さらに負荷電流が増大した際の電流制限機能を備えたスイッチング電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明のスイッチング電源装置は、スイッチングトランジスタと、該スイッチングトランジスタがONしたときにセンス電圧を生成するセンス抵抗と、前記スイッチングトランジスタがONすることで入力電圧が印加する1次巻線、負荷が接続される2次巻線及び補助巻線を有するトランスと、前記2次巻線から前記負荷に供給される出力電圧に応じたホトカプラ電流を生成するホトカプラと、前記センス電圧と前記ホトカプラ電流を取り込んで前記スイッチングトランジスタのON/OFFを制御する制御回路とを有するスイッチング電源装置において、前記補助巻線で得られる電圧により前記出力電圧の低下を検出し、前記補助巻線で得られる電圧が所定値以下に達したとき前記補助巻線で得られる電圧に逆比例したフィードバック電流を生成して前記ホトカプラ電流に代えて前記制御回路に取り込ませる電流制限フィードバック回路を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のスイッチング電源装置において、前記電流制限フィードバック回路は、前記スイッチングトランジスタのOFF期間に前記補助巻線に発生する電圧が所定以下のとき、前記補助巻線に発生する電圧に逆比例させた前記フィードバック電流を前記スイッチングトランジスタのON期間及びOFF期間にわたって生成することを特徴とする。
【0023】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載のスイッチング電源装置において、前記制御回路は、前記センス電圧を取り込んで負荷電流に対応するセンス電流を前記スイッチングトランジスタのOFF期間に出力する電流センス回路と、前記スイッチングトランジスタがONした後に前記スイッチングトランジスタをOFFさせるOFFタイミング信号を、前記ホトカプラ電流が大きいほど且つ前記フィードバック電流が小さいほど且つ前記センス電圧が大きいほど、早いタイミングで生成するON期間制御回路と、前記スイッチングトランジスタがOFFした後に前記スイッチングトランジスタをONさせるONタイミング信号を、前記ホトカプラ電流が小さいほど且つ前記フィードバック電流が大きいほど且つ前記センス電流が小さいほど、早いタイミングで生成するOFF期間制御回路と、前記ON期間制御回路から出力する前記OFFタイミング信号によって前記スイッチングトランジスタをOFFさせ、前記OFF期間制御回路から出力する前記ONタイミング信号によって前記スイッチングトランジスタをONさせるSRFF回路と、を有することを特徴とする。
【0024】
請求項4にかかる発明は、請求項1、2又は3に記載のスイッチング電源装置において、前記ON期間制御回路は、前記スイッチングトランジスタがONしているときに前記ホトカプラ電流又は前記フィードバック電流が流れる経路に挿入される第2抵抗と、該第2抵抗の前記ホトカプラ電流又は前記フィードバック電流の導入側に生成する第2電圧が前記センス電圧と同じ電圧になると前記OFFタイミング信号を生成する第1コンパレータと、を備えることを特徴とする。
【0025】
請求項5にかかる発明は、請求項1、2、3又は4に記載のスイッチング電源装置において、前記OFF期間制御回路は、前記スイッチングトランジスタがOFFしているとき前記センス電流で充電され前記スイッチングトランジスタがONすると放電される第4キャパシタと、該第4キャパシタの電圧から前記ホトカプラ電流又は前記フィードバック電流によって電圧降下を生じさせるように挿入された第3抵抗と、該第3抵抗の前記第4キャパシタの側と反対側の端子の電圧が所定値になると前記ONタイミング信号を生成する第2コンパレータと、を備えることを特徴とする。
【0026】
請求項6にかかる発明は、請求項5に記載のスイッチング電源装置において、前記トランスに設けられた補助巻線に発生する電圧を波形整形してパルス信号を生成する反転検出回路を有し、前記OFF期間制御回路の前記ONタイミング信号は前記パルス信号でリタイミングされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ホトカプラ電流、スイッチングトランジスタのON期間に応じたセンス電流、センス電圧、補助巻線で得られる出力電圧低下を示すフィードバック電流をそれぞれ取り込んで処理し、スイッチングトランジスタのONタイミング信号やOFFタイミング信号を生成することができるので、補助巻線は1個ですむ。また、ONタイミング信号とOFFタイミング信号によってSRFF回路を駆動してスイッチングトランジスタのオン/オフを制御するので、スイッチングトランジスタのON/OFFのタイミングがその閾値のバラツキの影響を受けることはない。さらに、センス電流は出力電流に対応した電流であり、フィードバック電流は出力電圧の低下に逆比例して増大する電流であるので、これらを取り込むことによってフォールドバック動作を行わせ、過電流保護を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施例のスイッチング電源装置の構成ブロック図である。
【
図2】
図1のスイッチング電源装置のON期間制御回路の回路図である。
【
図3】
図1のスイッチング電源装置のOFF期間制御回路の回路図である。
【
図4】
図1のスイッチング電源装置の反転検出回路と電流制限フィードバック回路の回路図である。
【
図5】出力電流と出力電圧の関係を示すフの字特性図である。
【
図6】
図1のスイッチング電源装置のフォールドバック制御時の動作波形図である。
【
図7】従来のスイッチング電源装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1実施例>
図1に本発明の第1実施例のスイッチング電源装置の構成を示す。10は1次巻線L1、2次巻線L2、補助巻線L3を有するトランスである。1次巻線L1には、入力直流電圧VinがキャパシタC1で安定化されて入力し、NMOSのスイッチングトランジスタMN1のON/OFF動作により生じる電磁エネルギーを、2次巻線L2と補助巻線L3に伝える。2次巻線L2には、ダイオードD1とキャパシタC2により整流平滑回路が構成され、その整流平滑回路から出力直流電圧Voutが取り出されるようになっている。補助巻線L3には、ダイオードD2とキャパシタC3により整流平滑回路が構成され、その整流平滑回路から電源電圧VDDが生成されている。
【0030】
20はスイッチングトランジスタMN1のON/OFFを制御する制御回路である。制御回路20において、21はスイッチングトランジスタMN1がONを継続している時間を制御してOFFタイミング電圧Voffを出力するON期間制御回路、22はスイッチングトランジスタMN1がOFFを継続している時間を制御してONタイミング電圧Vonを出力するOFF期間制御回路である。OFF期間制御回路22は外付けのキャパシタC4を備える。
【0031】
23はSRFF回路であり、ON期間制御回路21から出力するOFFタイミング電圧Voffが“H”になることによりリセットされて、Q端子から出力する駆動電圧Vdrvを“L”にする。また、OFF期間制御回路22から出力するONタイミング電圧Vonが“H”になることによりセットされて、Q端子から出力する駆動電圧Vdrvを“H”にする。
【0032】
24はSRFF回路23のQ端子から出力する駆動電圧Vdrvを入力してスイッチングトランジスタMN1をON/OFFするゲート電圧Vgを生成する駆動回路であり、駆動電圧Vdrvが“H”のときゲート電圧Vgを“H”にして、スイッチングトランジスタMN1をONにさせ、駆動電圧Vdrvが“L”のときゲート電圧Vgを“L”にして、スイッチングトランジスタMN1をOFFにする。
【0033】
25は電流センス回路であり、スイッチングトランジスタMN1に流れるドレイン電流を検出するセンス抵抗Rs1に発生するセンス電圧Vs1を入力し、駆動電圧Vdrvが“L”になる直前毎に、つまりスイッチングトランジスタMN1がOFFする直前毎にセンス抵抗Rs1に発生していたセンス電圧Vs1に比例したセンス電流Ioffを生成してホールドし、OFF期間制御回路22に出力する
【0034】
26は反転検出回路であり、補助巻線L3に発生する脈流電圧Vriseを抵抗R1を介して取り込んで、波形整形したパルス電圧Vpを生成し、OFF期間制御回路22にリタイミング用として出力する。
【0035】
30は出力電圧Voutの低下を検出するための電流制限フィードバック回路であり、補助巻線L3に発生する脈流電圧Vriseの負電圧成分に逆比例したフィードバック電流Ifbを吸い込む。このフィードバック電流Ifbは出力電圧Voutが低いほど大きな値を示す電流となる。
【0036】
40は出力電圧Voutを検出する出力電圧フィードバック回路であり、
図7で説明したオペアンプOP11,電圧源VB11、キャパシタC15、抵抗R16,R17,R18,R19を含む回路と同様の回路である。この出力電圧フィードバック回路40は、出力電圧Voutが高いほどホトカプラ50のホトダイオードPD1に流れる電流を大きくする。このホトダイオードPD1はホトトランジスタPT1とでホトカプラ50を構成している。そして、ホトトランジスタPT1は、ホトダイオードPD1の発光量、つまり出力電圧Voutに比例したホトカプラ電流Ipcを生成して、制御回路20のON期間制御回路21とOFF期間制御回路22に吸込電流として出力する。
【0037】
図2にON期間制御回路21の詳細図を示す。ON期間制御回路21は、基準電圧Vref1の電圧源VB1と、インピーダンス変換用のバッファBF1と、抵抗R2と、駆動電圧Vdrvが“H”のときONして抵抗R2にホトカプラ電流Ipc又はフィードバック電流Ifbを流すスイッチSW1と、センス電圧Vs1をインピーダンス変換するバッファBF2と、ホトカプラ電流Ipc又はフィードバック電流Ifbが流れることで抵抗R2で降下した電圧Vr2とセンス電圧Vs1を比較するコンパレータCP1とを備える。
【0038】
スイッチングトランジスタMN1がOFFの期間は、スイッチングSW1がOFFしているので、コンパレータCP1の反転入力端子の電圧Vr2はVB1となっている。しかし、スイッチSW1がONすると、ホトカプラ電流Ipc又はフィードバック電流Ifbが抵抗R2に流れるので、コンパレータCP1の反転入力端子の電圧Vr2が「Vref1−R2×(Ipc又はIfb)」に低下する。そして、その電圧Vr2がセンス電圧Vs1よりも低下したとき、コンパレータCP1の出力であるOFFタイミング電圧Voffが“L”から“H”に変化する。
【0039】
このようにして、ON期間制御回路21は、ホトカプラ電流Ipcが大きいほど、フィードバック電流Ifbが大きいほど、センス電圧Vs1が高いほど、OFFタイミング電圧Voff1を“H”にするタイミングを早くして、スイッチングトランジスタMN1をそのONしている時間が短くなるように制御する。
【0040】
図3にOFF期間制御回路22の詳細図を示す。OFF期間制御回路22は、駆動電圧Vdrvが“H”のときONするスイッチSW4と、電流センス帰還回路25のセンス電流Ioffで充電される前記した外付けのキャパシタC4と、インピーダンス変換用のバッファBF3と、抵抗R3と、電圧源VB2の基準電圧Vref2が設定されたコンパレータCP2と、コンパレータCP2の出力電圧を反転検出回路26の出力パルスVpでリタイミングしてONタイミング電圧Vonを生成するDFF回路221とを備える。なお、このDFF回路221は省略することができる。
【0041】
このOFF期間制御回路22では、駆動電圧Vdrvが“L”になってスイッチングトランジスタMN1がOFFになるとスイッチSW2がOFFになって、キャパシタC4が電流センス回路25のセンス電流Ioffによって充電され電圧Vc4となる。センス電流Ioffは出力電流Ioutが大きいほど大きくなるので、この電圧Vc4も高くなる。抵抗R3にはホトカプラ電流Ipc又はフィードバック電流Ifbが流れている。このため、抵抗R3とコンパレータCP2の反転入力端子の共通接続点の電圧Vr3は、電流センス回路25のセンス電流Ioffが大きいほど高くなり、ホトカプラ電流Ipc又はフィードバック電流Ifbが大きいほど低くなる。電圧Vr3が基準電圧Vref2を超えるとコンパレータCP2の出力電圧が“L”から“H”になる。コンパレータCP2の“H”の電圧は、反転検出回路26から出力するパルスVpの立上りでDFF回路221においてリタイミングされ、ONタイミング電圧Vonなる。このときのONタイミング電圧Vonの発生タイミングは、ホトカプラ電流Ipcが大きいほど、フィードバック電流Ifbが大きいほど、電流センス帰還回路25のセンス電流Ioffが小さいほど、遅くなって、OFF期間が長くなる。
【0042】
図4に反転検出回路26と電流制限フィードバック回路30の詳細図を示す。反転検出回路26は、電圧源VB3によって電圧Vref3が反転入力端子に設定されたコンパレータCP3と、補助巻線L3に抵抗R1を経由してコレクタが接続されたダイオード接続のNPNトランジスタQ1と、補助巻線L3に抵抗R1を経由してエミッタが接続されたトランジスタQ2と、トランジスタQ2のベースに基準電圧Vref4を印加する電圧源VB4とを備える。
【0043】
トランジスタQ1は最高電圧規制回路を構成し、補助巻線L3にその●側が正極となる電圧Vriseが発生したとき、コンパレータCP3の非反転入力端子の最高電圧をVbe(Q1)に制限する。また、トランジスタQ1の代わりに抵抗を接続して、電圧Vriseの抵抗R1との分圧電圧をコンパレータCP3の非反転入力端子に最高電圧として入力しても良い。トランジスタQ2は最低電圧規制回路を構成し、補助巻線L3にその●側が負極となる電圧Vriseが発生したとき、コンパレータCP3の非反転入力端子の最低電圧を「Vref4−Vbe(Q2)」に制限する。Vbe(Q1)はトランジスタQ1のベース・エミッタ間電圧、Vbe(Q2)はトランジスタQ2のベース・エミッタ間電圧である。そして、コンパレータCP3は、非反転入力端子の電圧が電圧Vref3を越えれば“H”の信号を、低下すれば“L”の信号を電圧Vpとして出力する。
【0044】
この反転検出回路26によって、ONタイミング信号を補助巻線L3の脈動電圧Vriseを波形整形したパルス信号でリタイミングすることができ、スイッチングトランジスタMN1をドレイン電圧の自由振動の谷でONさせ疑似共振動作をさせることができるので、その疑似共振動作に際してのスイッチングトランジスタの閾値のバラツキの影響を排除できる。
【0045】
電流制限フィードバック回路30は、補助巻線L3の●側が負極となるときに流れる電流Iaをm倍の電流Ibに変換して出力する第1カレントミラー回路31と、電流Icの電流源33と、電流Id(=Ic−Ib)を入力してn倍した電流Ieに変換して出力する第2カレントミラー回路32と、その電流Ieを入力して同じ値の電流であるフィードバック電流Ifbを吸い込む電流ホールド回路34と、電流ホールド回路34にホールドタイミングの電圧Vspを与えるタイミング生成回路35を備える。タイミング生成回路35は、補助巻線L3の●側が負極になってから所定時間毎にホールドタイミング電圧Vspを“H”にするので、電流ホールド回路34はその電圧Vspが“H”から“L”に変化するタイミングのフィードバック電流Ifbをホールドする。
【0046】
電流源33の電流Icは、出力電圧Voutが後記する電圧Vout2になったときにIc=Ibとなるように設定されている。つまり、電流Ibが電流Icを超えると、Idは流れず、フィードバック電流Ifbも流れない。
【0047】
<通常動作>
さて、スイッチング電源装置は、通常動作では
図5に示すように、出力電圧Voutが目標電圧Vout1になるよう定電圧制御される。この定電圧制御時は、補助巻線L3に生じる電圧Vriseは高くなり、補助巻線L3の●側が負極になるときは、電流フィードバック回路30に入力する電流Iaが大きくなるので、電流Ibが電流源33の電流Icより大きくなり、電流Id,Ieはゼロとなり、フィードバック電流Ifbも“0”となる。このため、この通常動作では、ON期間制御回路21で得られるON期間とOFF期間制御回路22で得られるOFF期間は、もっぱらホトカプラ電流Ipcによって制御される。
【0048】
そして、出力電圧Voutが目標値よりも高いときは、ホトカプラ電流Ipcが大きくなることによって、ON期間制御回路21の電圧Vr2が低く制御され、コンパレータCP1から出力するOFFタイミング電圧Voffは早いタイミングで“H”なり、ON期間が短くなる。また、ON期間が短いのでセンス電流Ioffは小さくなり、ホトカプラ電流Ipcは大きいので、OFF期間制御回路22の電圧Vr3が低く制御され、コンパレータCP2から出力するONタイミング電圧Vonは遅いタイミングで“H”なり、OFF期間が長くなる。このため、出力電圧Voutが低くなるよう制御される。
【0049】
出力電圧Voutが目標値よりも低いときは、逆の動作となる。つまり、ON期間制御回路21からOFFタイミング電圧Voffが遅いタイミングミグで出力し、OFF制御回路22からONタイミング電圧Vonが早いタイミングで出力するので、出力電圧Voutが高くなるよう制御される。
【0050】
<電流制限動作>
出力電流Ioutが増大して
図5の最大値Ioutmaxに達すると、出力電圧Voutが低下しはじめ、ホトカプラ40のホトダイオードPD1は発光しなくなり、ホトカプラ電流Ipcが流れなくなる。また、出力電圧VoutはVout2より大きいため、電流制限フィードバック回路30における電流Ib,Icは、Ib>Icとなり電流Idは流れず、フィードバック電流Ifbも流れない。
【0051】
このときON期間制御回路21では、ホトカプラ電流Ipcとフィードバック電流Ifbが流れないので、抵抗R2での電圧降下は生ぜず、電圧Vr2=Vref1となり、電圧Vr2がセンス電圧Vs1と等しくなるまでの時間は最大となり、つまりON期間は最大となる。また、OFF期間制御回路22では、ON期間が最大となるためセンス電圧Vs1とセンス電流Ioffは大きくなり、ホトカプラ電流Ipcおよびフィードバック電流Ifbはゼロとなるため、電圧Vr3はキャパシタC4の充電電圧Vc4と等しく、Vr3=Vc4となり、コンパレータCP2により電圧Vref2と比較される。
【0052】
したがって、OFF期間はキャパシタC4の充電時間とDFF回路221でのリタイミングで決まる。このとき、ON期間が最大となっていることより、OFF期間も出力状態によらずほぼ一定となる。ON期間とOFF期間が一定となるため出力電力が一定となり、出力電流Ioutのさらなる増大が抑制されて過電流が制限されると同時に、出力電圧Voutが電圧Vout1よりも低下する。
【0053】
<フォールドバック動作>
出力電圧Voutが
図5に示すように電圧Vout2まで低下すると、補助巻線L3の●側が負極になった際にそこに流れる電流Iaが小さくなり、電流制限フィードバック回路30の電流Ibが電流源33の電流Icよりも小さくなるので、電流ホールド回路34に流れ込むフィードバック電流Ifbがその電流Iaに逆比例して大きくなる。これによって、ON期間制御回路21とOFF期間制御回路22には、ホトカプラ電流Ipcに代えてフィードバック電流Ifbが流れることになる。
【0054】
このとき、ON期間制御回路21では、抵抗R2にフィードバック電流Ifbが流れることで電圧Vr2が発生するが、この電圧Vr2は、出力電圧Voutが低くなるとフィードバック電流Ifbが大きくなって低い電圧となるので、コンパレータOP1から出力するOFFタイミング電圧Voffが“H”になるタイミングが早くなり、ON期間が短くなる。OFF期間制御回路22では、スイッチングトランジスタMN1のON期間が短くなったことによって電流センス回路25のセンス電流Ioffが小さくなり、しかもフィードバック電流Ifbが大きくなるので、抵抗R3の電圧Vr3が電圧Vref2にまで上昇する時間が長くなり、ONタイミング電圧Vonが“H”になるタイミングが遅くなり、OFF期間が長くなる。
【0055】
このような動作によって、出力電圧Voutが電圧Vout2まで低下した後は、出力電力を減少させるので出力電流Ioutが順次減少すると同時に出力電圧Voutも順次低下して、その電流電圧の特性が
図5に示す特性となる。以上により、本実施例では、電源制限において、
図5に示すフの字特性を実現することができる。以上のフォールドバック動作の際の動作波形図を
図6に示した。Vrise_Lは補助巻線L3に発生する負電圧の大きさを示している。
【符号の説明】
【0056】
10:トランス、L1:1次巻線、L2:2次巻線、L3:補助巻線
20:制御回路、21:ON期間制御回路、22:OFF期間制御回路、221:DFF回路、23:SRFF回路、24:駆動回路、25:電流センス回路、26:反転検出回路
30:電流制限フィードバック回路、31:第1カレントミラー回路、32:第2カレントミラー回路、33:電流源、34:電流ホールド回路、35:タイミング生成回路
40:出力電圧フィードバック回路
50:ホトカプラ