(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記優先領域決定部は、前記第1のホワイトバランス関係情報と前記第2のホワイトバランス関係情報との差分が小さい前記領域を前記優先領域として決定する請求項1に記載の画像処理装置。
前記第1のホワイトバランス関係情報算出部は、前記複数の領域の各境界に位置する前記ブロックの参照重みを、前記各境界に位置しない前記ブロックよりも低くして、前記第1のホワイトバランス関係情報を算出する請求項6に記載の画像処理装置。
前記ホワイトバランス処理部は、前記複数の領域のうち前記優先領域には、前記第2のホワイトバランス関係情報に基づいてホワイトバランス補正処理を行い、前記複数の領域のうち前記優先領域以外の領域には、前記第1のホワイトバランス関係情報に基づいてホワイトバランス補正処理を行う請求項8に記載の画像処理装置。
前記ホワイトバランス処理部は、前記撮像画像を構成する画素毎に、前記第1のホワイトバランス関係情報および前記第2のホワイトバランス関係情報のうちいずれか1つに基づいてホワイトバランス補正処理を行う請求項11に記載の画像処理装置。
前記第1のホワイトバランス関係情報および前記第2のホワイトバランス関係情報は、ホワイトバランス補正量、色温度情報、または光源の色味を示す情報である請求項1から12のいずれか1項に記載の画像処理装置。
前記露出調整部は、前記優先領域が閾値よりハイライト側にある場合には、前記撮像画像の白飛び画素に応じて前記露出を制御し、前記優先領域が閾値以下のシャドウ側にある場合には、前記撮像画像の黒つぶれ画素に応じて前記露出を制御する請求項14に記載の撮像装置。
【発明の概要】
【0007】
ここで、同じシーン(同じ被写体および同じ画角)でも、撮像画像のハイライト側とシャドウ側のどちらに注目し主にどちらの領域に階調を持たせたいかは、ユーザ(撮影者または画像処理装置の使用者)によって異なる場合がある。例えば、同じシーンであっても、シャドウ側の領域により多くの階調を持たせたいユーザもいるし、ハイライト側の領域により多くの階調を持たせたいユーザもいる。すなわち各ユーザは、異なる撮影意図を持って撮影または画像処理を行う。
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、撮影シーンに関する情報を使用して被写体の有無を推定して補正の度合を制御しており、ユーザが、能動的に設定した情報に基づいて補正の度合が制御されていないので、ユーザの撮影意図が補正の度合に反映されない場合が発生し得る。
【0009】
特許文献2に記載の技術では、領域毎の輝度値の最大値と飽和予想輝度値との差分と、輝度値が飽和予想輝度値を越える領域数とに基づいて、ダイナミックレンジが決定されているが、ユーザが能動的に設定した情報に基づく制御ではないので、すなわち自動判別制御なので、ユーザの撮影意図がダイナミックレンジの決定に反映されない場合が発生する。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされ、その目的は、ユーザの撮影意図に合ったダイナミックレンジ拡大処理を行うための優先領域を決定することができる画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、撮像方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一の態様である画像処理装置は、被写体を撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、撮像画像の明るさ情報に基づいて、撮像画像を複数の領域に分割する領域分割部と、領域分割部により分割された複数の領域の各々について、第1のホワイトバランス関係情報を算出する第1のホワイトバランス関係情報算出部と、撮像画像に対してユーザにより設定された第2のホワイトバランス関係情報を取得する第2のホワイトバランス関係情報取得部と、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報とに基づいて決定される優先領域であって、優先領域の輝度に基づいて撮像画像に行われるダイナミックレンジ拡大処理の条件が設定される優先領域を決定する優先領域決定部と、を備える。
【0012】
本態様によれば、第1のホワイトバランス関係情報算出部により、領域分割部により分割された複数の領域の各々について、第1のホワイトバランス関係情報が算出され、第2のホワイトバランス関係情報取得部により、撮像画像に対してユーザにより設定された第2のホワイトバランス関係情報が取得される。そして、本態様によれば優先領域決定部により、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報とに基づいて決定される優先領域であって、優先領域の輝度に基づいて撮像画像に行われるダイナミックレンジ拡大処理の条件が設定される優先領域が決定される。これにより本態様は、ユーザが能動的に設定したホワイトバランスに応じたダイナミック拡大処理の優先領域が決定されるので、ユーザの撮影意図が反映されたダイナミックレンジ拡大処理を実現することが可能な優先領域を決定することができる。
【0013】
好ましくは、優先領域決定部は、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報との差分が小さい領域を優先領域として決定する。
【0014】
本態様によれば、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報との差分が小さい領域が優先領域として決定される。
【0015】
好ましくは、領域分割部は、撮像画像を少なくともハイライト領域およびシャドウ領域に分割し、優先領域決定部は、ハイライト領域における第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報との差分がシャドウ領域の差分に比べて小さい場合には、ハイライト領域を優先領域とし、シャドウ領域の差分がハイライト領域の差分に比べて小さい場合には、シャドウ領域を優先領域として決定する。
【0016】
本態様によれば、撮像画像が少なくともハイライト領域およびシャドウ領域に分割され、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報との差分がハイライト領域およびシャドウ領域について算出され小さい差分を有する領域が優先領域として決定される。
【0017】
好ましくは、優先領域に応じて、トーンカーブを決定するトーンカーブ決定部を備える。
【0018】
本態様によれば、トーンカーブ決定部により、優先領域に応じてトーンカーブが決定される。
【0019】
好ましくは、トーンカーブ決定部は、優先領域の輝度を適正にするトーンカーブを決定する。
【0020】
本態様によれば、トーンカーブ決定部により、優先領域の輝度を適正にするトーンカーブが決定される。
【0021】
好ましくは、画像処理装置は、撮像画像を複数のブロックに分けるブロック分割部を備え、領域分割部は、複数のブロックの各々の明るさ情報に基づいて、ブロック単位で複数の領域に分割する。
【0022】
本態様によれば、ブロック分割部により、撮像画像が複数のブロックに分けられて、領域分割部により、複数のブロックの各々の明るさ情報に基づいて、ブロック単位で複数の領域に分割される。
【0023】
好ましくは、第1のホワイトバランス関係情報算出部は、複数の領域の各境界に位置するブロックの参照重みを、各境界に位置しないブロックよりも低くして、第1のホワイトバランス関係情報を算出する。
【0024】
本態様によれば、第1のホワイトバランス関係情報算出部により、複数の領域の各境界に位置するブロックの参照重みを、各境界に位置しないブロックよりも低くして、第1のホワイトバランス関係情報が算出される。
【0025】
好ましくは、画像処理装置は、撮像画像に、ホワイトバランス補正処理を行うホワイトバランス処理部を備える。
【0026】
本態様によれば、ホワイトバランス処理部により、ホワイトバランス補正処理が行われる。
【0027】
好ましくは、ホワイトバランス処理部は、撮像画像に第2のホワイトバランス関係情報に基づいてホワイトバランス補正処理を行う。
【0028】
本態様によれば、ホワイトバランス処理部により、撮像画像に第2のホワイトバランス関係情報に基づいてホワイトバランス補正処理が行われる。
【0029】
好ましくは、ホワイトバランス処理部は、複数の領域のうち優先領域には、第2のホワイトバランス関係情報に基づいてホワイトバランス補正処理を行い、複数の領域のうち優先領域以外の領域には、第1のホワイトバランス関係情報に基づいてホワイトバランス補正処理を行う。
【0030】
本態様によれば、ホワイトバランス処理部により、複数の領域のうち優先領域には、第2のホワイトバランス関係情報に基づいてホワイトバランス補正処理を行い、複数の領域のうち優先領域以外の領域には、第1のホワイトバランス関係情報に基づいてホワイトバランス補正処理が行われる。
【0031】
好ましくは、ホワイトバランス処理部は、撮像画像を構成する画素毎にホワイトバランス補正処理を行う。
【0032】
本態様によれば、ホワイトバランス処理部により、撮像画像を構成する画素毎にホワイトバランス補正処理が行われる。
【0033】
好ましくは、ホワイトバランス処理部は、撮像画像を構成する画素毎に、第1のホワイトバランス関係情報および第2のホワイトバランス関係情報のうちいずれか1つに基づいてホワイトバランス補正処理が行われる。
【0034】
本態様によれば、ホワイトバランス処理部により、撮像画像を構成する画素毎に、第1のホワイトバランス関係情報および第2のホワイトバランス関係情報のうちいずれか1つに基づいてホワイトバランス補正処理が行われる。
【0035】
好ましくは、第1のホワイトバランス関係情報および第2のホワイトバランス関係情報は、ホワイトバランス補正量、色温度情報、または光源の色味を示す情報である。
【0036】
本態様によれば、第1のホワイトバランス関係情報および第2のホワイトバランス関係情報は、ホワイトバランス補正量、色温度情報、または光源の色味を示す情報である。
【0037】
本発明の他の態様である撮像装置は、上述の画像処理装置を搭載する撮像装置であって、優先領域に応じて、露出を調整する露出調整部を備える。
【0038】
本態様によれば、露出調整部により、優先領域に応じて露出が調整される。
【0039】
好ましくは、露出調整部は、優先領域が閾値よりハイライト側にある場合には、撮像画像の白飛び画素に応じて露出を制御し、優先領域が閾値以下のシャドウ側にある場合には、撮像画像の黒つぶれ画素に応じて露出を制御する。
【0040】
本態様によれば、露出調整部により、優先領域が閾値よりハイライト側にある場合には、撮像画像の白飛び画素に応じて露出が制御され、優先領域が閾値以下のシャドウ側にある場合には、撮像画像の黒つぶれ画素に応じて露出が制御される。
【0041】
本発明の他の態様である画像処理方法は、被写体を撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、撮像画像の明るさ情報に基づいて、撮像画像を複数の領域に分割する領域分割ステップと、領域分割ステップにおいて分割された複数の領域の各々について、第1のホワイトバランス関係情報を算出する第1のホワイトバランス関係情報算出ステップと、撮像画像に対してユーザにより設定された第2のホワイトバランス関係情報を取得する第2のホワイトバランス関係情報取得ステップと、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報とに基づいて決定される優先領域であって、優先領域の輝度に基づいて撮像画像に行われるダイナミックレンジ拡大処理の条件が設定される優先領域を決定する優先領域決定ステップと、を含む。
【0042】
本発明の他の態様である撮像方法は、被写体を撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、撮像画像の明るさ情報に基づいて、撮像画像を複数の領域に分割する領域分割ステップと、領域分割ステップにおいて分割された複数の領域の各々について、第1のホワイトバランス関係情報を算出する第1のホワイトバランス関係情報算出ステップと、撮像画像に対してユーザにより設定された第2のホワイトバランス関係情報を取得する第2のホワイトバランス関係情報取得ステップと、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報とに基づいて決定される優先領域であって、優先領域の輝度に基づいて撮像画像に行われるダイナミックレンジ拡大処理の条件が設定される優先領域を決定する優先領域決定ステップと、優先領域に応じて、露出を調整する露出調整ステップと、を含む。
【0043】
本発明の他の態様であるプログラムは、被写体を撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、撮像画像の明るさ情報に基づいて、撮像画像を複数の領域に分割する領域分割ステップと、領域分割ステップにおいて分割された複数の領域の各々について、第1のホワイトバランス関係情報を算出する第1のホワイトバランス関係情報算出ステップと、撮像画像に対してユーザにより設定された第2のホワイトバランス関係情報を取得する第2のホワイトバランス関係情報取得ステップと、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報とに基づいて決定される優先領域であって、優先領域の輝度に基づいて撮像画像に行われるダイナミックレンジ拡大処理の条件が設定される優先領域を決定する優先領域決定ステップと、を含む画像処理方法をコンピュータに実行させる。
【0044】
本発明の他の態様であるプログラムは、被写体を撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、撮像画像の明るさ情報に基づいて、撮像画像を複数の領域に分割する領域分割ステップと、領域分割ステップにおいて分割された複数の領域の各々について、第1のホワイトバランス関係情報を算出する第1のホワイトバランス関係情報算出ステップと、撮像画像に対してユーザにより設定された第2のホワイトバランス関係情報を取得する第2のホワイトバランス関係情報取得ステップと、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報とに基づいて決定される優先領域であって、優先領域の輝度に基づいて撮像画像に行われるダイナミックレンジ拡大処理の条件が設定される優先領域を決定する優先領域決定ステップと、優先領域に応じて、露出を調整する露出調整ステップと、を含む撮像方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、領域分割部により分割された複数の領域の各々について、第1のホワイトバランス関係情報が算出され、撮像画像に対してユーザにより設定された第2のホワイトバランス関係情報が取得され、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報とに基づいて、決定される優先領域であって、優先領域の輝度に基づいて撮像画像に行われるダイナミックレンジ拡大処理の条件が設定される優先領域が決定される。これにより本発明は、ユーザが能動的に設定したホワイトバランスに応じたダイナミック拡大処理の優先領域が決定されるので、ユーザの撮影意図が適切に反映されたダイナミックレンジ拡大処理を実行することができる優先領域を決定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、添付図面にしたがって本発明の画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、撮像方法、およびプログラムの好ましい実施の形態について説明する。以下の説明では主に、撮像装置に搭載される画像処理装置および撮像装置に関して説明するが、本発明の適用範囲はそれに限定されない。例えば、本発明の画像処理装置は、コンピュータに搭載することも可能である。
【0048】
図1は、本発明の撮像装置であるデジタルカメラ2の正面斜視図である。
図2は、デジタルカメラ2の背面斜視図である。
【0049】
デジタルカメラ2は、カメラ本体3と、カメラ本体3の前面に取り付けられるレンズ鏡筒4とを備える。レンズ鏡筒4およびカメラ本体3は、一体的に設けられてもよいし、レンズ交換式カメラとして着脱可能に設けられてもよい。
【0050】
カメラ本体3の前面には、レンズ鏡筒4に加えてフラッシュ発光部5が設けられ、カメラ本体3の上面にはシャッタボタン6および電源スイッチ7が設けられている。シャッタボタン6は、ユーザからの撮像指示を受け付ける撮像指示部であり、半押し時にオンするS1スイッチと、全押し時にオンするS2スイッチとを有する二段ストローク式のスイッチにより構成されている。電源スイッチ7は、デジタルカメラ2の電源のオンおよびオフの切り換え指示をユーザから受け付ける電源切換部である。
【0051】
カメラ本体3の背面には、液晶パネル等によって構成される表示部8と、ユーザによって直接的に操作される操作部9とが設けられている。表示部8は、撮像待機状態ではライブビュー画像(スルー画像)を表示して電子ビューファインダとして機能し、撮像画像またはメモリ記憶画像の再生時には再生画像表示部として機能する。
【0052】
操作部9は、モード切換スイッチ、十字キー、実行キーなどの任意の操作デバイスによって構成される。例えばモード切換スイッチは、デジタルカメラ2の動作モードを切り換える際にユーザによって操作される。デジタルカメラ2の動作モードとして、被写体を撮像して撮像画像を得るための撮像モード(オート撮像モード、マニュアル撮像モードおよび連写モード等)、画像を再生表示する再生モード等がある。
【0053】
オート撮像モードは、焦点調節を自動的に行うオートフォーカス(AF:Auto Focus)機能、絞り値およびシャッタ速度を自動的に設定する自動露出(AE:Auto Exposure)
機能等が使用されるモードであり、マニュアル撮像モードは、焦点調節、絞り値およびシャッタ速度等を、ユーザが操作部9を使用して適宜設定可能にするモードである。
【0054】
一方、十字キーおよび実行キーは、表示部8にメニュー画面または設定画面を表示したり、メニュー画面または設定画面内に表示されるカーソルを移動したり、デジタルカメラ2の各種設定を確定したりする場合に、ユーザによって操作される。
【0055】
カメラ本体3の底部(図示省略)には、外部メモリ10が装填されるメモリスロットと、このメモリスロットの開口を開閉する装填蓋とが設けられている。外部メモリ10は、カメラ本体3に着脱可能に設けられており、カメラ本体3に装着されると、カメラ本体3に設けられる記憶制御部33と電気的に接続される。外部メモリ10は、一般にカード型フラッシュメモリ等の半導体メモリにより構成可能であるが、特に限定されず、磁気媒体等の任意の記憶方式の記憶媒体を外部メモリ10として用いることが可能である。
【0056】
図3は、デジタルカメラ2の制御処理系を示すブロック図である。
【0057】
被写体光は、レンズ鏡筒4に設けられるレンズ部12とカメラ本体3に設けられるメカニカルシャッタ20とを通過し、撮像素子21(撮像部)によって受光される。レンズ部12は、撮像レンズ(レンズ群)および絞りを含む撮像光学系によって構成される。撮像素子21は、被写体像を受光して撮像信号(画像データ)を生成する素子であり、RGB(赤緑青)等のカラーフィルタと、光学像を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサとを有する。撮像素子21から出力される画像データは、プロセス処理部22でAGC(Automatic Gain Control)回路等によってプロセス処理が施され、その後、AD(Analog Digital)変換部23によってアナログ形式の画像データがデジタル形式の画像データに変換される。デジタル化された画像データはメインメモリ24に保存される。
【0058】
メインメモリ24は、画像データを一時的に記憶する領域であり、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等によって構成される。AD変換部23から送られてきてメインメモリ24に蓄えられた画像データは、システム制御部25により制御される画像処理部31によって読み出される。画像処理部31は、撮像素子21が生成する画像データを入力画像データとして使用し、ホワイトバランス補正、ガンマ補正処理およびデモザイク処理等の各種の画像処理を行い、画像処理後の画像データを再びメインメモリ24に保存する。
【0059】
画像処理部31において画像処理が施されてメインメモリ24に保存された画像データは、表示制御部35および圧縮伸張部32によって読み出される。表示制御部35は表示部8を制御し、メインメモリ24から読み出した画像データを表示部8に表示させる。このように、撮像素子21から出力され画像処理部31において画像処理を受けた画像データは、撮像確認画像(ポストビュー画像)として表示部8に表示される。
【0060】
一方、圧縮伸張部32は、メインメモリ24から読み出した画像データの圧縮処理を行って、JPEG(Joint Photographic Experts Group)またはTIFF(Tagged Image File Format)等の任意の圧縮形式の画像データを作成する。圧縮処理後の画像データは、外部メモリ10へのデータ記憶処理および外部メモリ10からのデータ読み出し処理をコントロールする記憶制御部33によって、外部メモリ10に記憶される。撮像情報は任意のフォーマットで画像データに付加され、例えばExif(Exchangeable image file format)形式を採用可能である。
【0061】
外部メモリ10に保存されている画像データを再生する再生モードにおいて、外部メモリ10に保存されている画像データは、システム制御部25により制御される記憶制御部33によって読み出され、圧縮伸張部32によって伸張処理が施された後にメインメモリ24に保存される。そして撮像画像の確認表示と同様の手順により、表示制御部35によってメインメモリ24から画像データが読み出され、表示部8において画像データが再生表示される。
【0062】
デジタルカメラ2のAF処理機能は、シャッタボタン6の第1段階の押下(半押し)があると、半押し時に取り込まれるAFエリアに対応する画像データの高周波成分の絶対値を積算し、この積算した値(AF評価値)をシステム制御部25に出力する。
【0063】
AE検出機能は、シャッタボタン6の第1段階の押下(半押し)があると、画面全体に対応するデジタル信号を積算し、または画面中央部と周辺部とで異なる重みづけをした画像データを積算し、その積算値をシステム制御部25に出力する。
【0064】
システム制御部25は、上述のようにメインメモリ24、画像処理部31および記憶制御部33をコントロールするが、デジタルカメラ2における他の各部(AF処理機能およびAE検出機能)もコントロールする。
【0065】
例えば、システム制御部25は、オート撮像モード時にシャッタボタン6が半押しされると、レンズ駆動部27を介してレンズ部12のフォーカスレンズを至近から無限遠側に移動させ、且つ、AF処理機能を動作させて各レンズ位置におけるAF評価値をAF処理機能から取得する。そして、AF評価値が最大となる合焦位置をサーチし、その合焦位置にフォーカスレンズを移動させることにより、被写体(主要被写体)への焦点調節を行う。また、システム制御部25は、オート撮像モード時にシャッタボタン6が半押しされると、AE検出機能を動作させ、AE検出機能から入力する積算値より被写体輝度(撮像Ev値)を算出し、この撮像Ev値に基づいて絞りの絞り値およびシャッタ速度(メカニカルシャッタ20および/または撮像素子21の電荷蓄積時間)をプログラム線図にしたがって決定し、シャッタボタン6が全押しされると、決定した絞り値に基づいて絞りを制御し、且つ、決定したシャッタ速度に基づいてシャッタ駆動部26を介してメカニカルシャッタ20を制御し、また、図示しない撮像素子駆動部を介して撮像素子21での電荷蓄積時間を制御する。
【0066】
また、システム制御部25は、フラッシュ発光部5を制御してフラッシュ光の発光および非発光をコントロールする。本例のフラッシュ発光部5は、例えば、白色のフラッシュ光を発光するキセノン管と、キセノン管と発光窓との間に出し入れされる1または2以上のカラーフィルタとを有し、システム制御部25は、キセノン管の発光時間を調整することによりフラッシュ光の発光量を調整し、カラーフィルタを出し入れすることよりフラッシュ光の発光色を調整する。なお、フラッシュ発光部5は、キセノン管の替わりに、赤(R)、緑(G)および青(B)の発光ダイオードを使用してもよく、この場合には、RGBの発光ダイオードに流す電流量により発光量を調整し、また、RGBの発光ダイオードの発光量の比率を調整することにより、任意の色のフラッシュ光を発光させることができる。
【0067】
さらにシステム制御部25は、電源制御部28を制御して電源29における電池装着の有無、電池の種類、電池残量の検出等を行う。またシステム制御部25は、画像処理部31を構成する各種の処理部を制御する。
【0068】
さらにまた、システム制御部25は、シャッタボタン6、電源スイッチ7および操作部9を含むユーザインタフェース36からの操作信号を取得し、操作信号に応じた各種の処理およびデバイス制御を行う。また、システム制御部25は、電源スイッチ7から受信した電源オンオフ信号に応じて電源制御部28を制御し、電源29のオンおよびオフをコントロールする。
【0069】
システム制御部25で行われる各種の処理およびデバイス制御に必要なプログラムおよびデータ類は、メインメモリ24に記憶されている。システム制御部25は、必要に応じて、制御メモリ30に記憶されているプログラムおよびデータ類を読み出すことができ、また、新たなプログラムおよびデータ類を制御メモリ30に保存することができる。
【0070】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態の画像処理部(画像処理装置)31に関して説明する。
図4は、本実施形態の画像処理部31の機能ブロックを示す図である。
【0071】
画像処理部31は、画像取得部301、ブロック分割部303、領域分割部305、第1のホワイトバランス関係情報算出部307、第2のホワイトバランス関係情報取得部309、および優先領域決定部311を備える。
【0072】
画像取得部301は、被写体を撮像した撮像画像を取得する。具体的には、画像取得部301は、メインメモリ24に記憶されている画像処理が施された撮像画像、または画像処理が施されていない撮像画像を読み出して取得する。また、画像取得部301は、記録用の撮像画像またはライブビュー画像(確認用の撮像画像)を取得する。
【0073】
ブロック分割部303は、画像取得部301により取得された撮像画像を複数のブロックに分ける。例えばブロック分割部303は、撮像画像の縦を16分割、横を16分割して、撮像画像を256のブロックに分割する。なお、ブロック分割部303は、画像処理部31において必須の構成ではなく、撮像画像をブロックに分割せずに後の処理を行ってもよい。
【0074】
領域分割部305は、撮像画像の明るさ情報に基づいて、撮像画像を複数の領域に分割する。すなわち、領域分割部305は、撮像画像の画素毎、ブロック毎、または所定の領域毎に明るさ情報を取得し、取得した明るさ情報に基づいて、撮像画像を複数の領域に分割する。例えば、領域分割部305が複数のブロックに撮像画像を分割している場合には、複数のブロックの各々の輝度(明るさ情報)に基づいて、ブロック単位で複数の領域に撮像画像を分割する。そして領域分割部305は、例えばハイライト領域とシャドウ領域とに撮像画像を領域分割する場合には、閾値に基づいて撮像画像をハイライト領域とシャドウ領域とに分割する。なお、明るさ情報として輝度ではなく、明度が使用されてもよい。さらに、領域分割部305は、ハイライト領域およびシャドウ領域の2分割ではなく、例えば、3つの異なる領域に撮像画像を分割してもよい。また、領域分割部305は、ブロック分割部303が分割した複数のブロックを複数の領域に分割するが、いずれの領域にも属さないブロックがあってもよい。この場合、いずれの領域にも属さないブロックに関する情報は、後の処理では考慮されない。
【0075】
第1のホワイトバランス関係情報算出部307は、領域分割部305により分割された複数の領域の各々について、第1のホワイトバランス関係情報を算出する。具体的には、第1のホワイトバランス関係情報算出部307は、公知のオートホワイトバランスのアルゴリズムを使用して、領域分割部305により分割された撮像画像の複数の領域の各々の画素値に基づいて、第1のホワイトバランス関係情報を算出する。例えば、第1のホワイトバランス関係情報算出部307は、シャドウ領域の第1のホワイトバランス関係情報およびハイライト領域の第1のホワイトバランス関係情報を算出する。ここで、公知のオートホワイトバランスのアルゴリズムとは、各領域の画素値に応じたホワイトバランス関係情報が算出されれば特に限定されない。また、第1のホワイトバランス関係情報は、撮像画像を構成する画素値に基づいて決定されるものであり、ユーザの撮影意図が反映されるものではない。
【0076】
第1のホワイトバランス関係情報算出部307は、撮像画像がブロック分割部303によりブロックに分割されている場合には、ブロックで構成された領域について第1のホワイトバランス関係情報を算出する。この場合、第1のホワイトバランス関係情報算出部307は、複数の領域の各境界に位置するブロックの参照重みを、各境界に位置しないブロックよりも低くして、第1のホワイトバランス関係情報を算出する。例えば、第1のホワイトバランス関係情報算出部307は、複数の領域の各境界に位置するブロックの参照重みを0.5とし、各境界に位置しないブロックの参照重みを1とする。ここで領域の境界に位置するブロックとは、境界を構成するブロックまたは境界から2個または3個の幅に位置するブロックのことをいう。
【0077】
第2のホワイトバランス関係情報取得部309は、撮像画像に対してユーザにより設定された第2のホワイトバランス関係情報を取得する。デジタルカメラ2のユーザは、撮像時に撮影環境を認識して、自分の撮影意図が上手く反映されるようなホワイトバランス補正処理を操作部9を介して選択または設定する。ユーザの撮影意図が反映される場合とは、例えば、「晴天」「日陰」「昼光色蛍光灯」「昼白色蛍光灯」「白色蛍光灯」「電球」などの補正量が固定のホワイトバランスモードをユーザが選択した場合、色温度に対応したホワイトバランスの候補からユーザが選択した場合、カスタムでユーザが補正量を設定した場合、または「オートホワイトバランス」、「水中」に対してユーザが補正量の微調整を行った場合等である。一方、ユーザが微調整を行わない「オートホワイトバランス」および「水中」のように、ユーザの撮影意図によらず、撮影された画像によって決定されるホワイトバランス関係情報は、第2のホワイトバランス関係情報とはならない。ここで「水中」は水中での使用を前提としたオートホワイトバランスであり、補正量が固定ではない。
【0078】
なお、第1のホワイトバランス関係情報および第2のホワイトバランス関係情報は、ホワイトバランス補正処理の条件を示す情報であれば特に限定されない。例えば、第1のホワイトバランス関係情報および第2のホワイトバランス関係情報は、ホワイトバランス補正量、色温度情報、または光源の色味を示す情報である。
【0079】
優先領域決定部311は、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報とに基づいて優先領域を決定する。ここで、優先領域とは、優先領域の輝度に基づいて撮像画像に行われるダイナミックレンジ拡大処理の条件が設定される領域のことである。すなわち、優先領域とは、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報とに基づいて、ユーザが撮像画像のうちで適切に表現したい領域のことである。
【0080】
例えば、優先領域決定部311は、領域分割部305においてハイライト領域とシャドウ領域との2つの領域に撮像画像を分割した場合には、2つの領域のうち第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報との差分が小さい領域を優先領域とする。具体的には、優先領域決定部311は、ハイライト領域において、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報との差分がシャドウ領域に比べて小さい場合には、ハイライト領域を優先領域とする。一方、優先領域決定部311は、シャドウ領域において、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報との差分がハイライト領域に比べて小さい場合には、シャドウ領域を優先領域とする。
【0081】
次に、本実施形態の画像処理装置の動作フローに関して説明する。
図5は、画像処理部31の動作フローを示す図である。
【0082】
まず、画像取得部301により、撮像画像が取得される(ステップS101:画像取得ステップ)。
図6には、画像取得部301により取得された撮像画像401が示されている。撮像画像401は、主要被写体である人物402を有し、晴天の屋外で撮像されている。
【0083】
次に、ブロック分割部303により、撮像画像が256(縦16分割×横16分割)のブロックに分割され、領域分割部305により各ブロックの輝度Yi(i=0から255)が算出される(ステップS102)。なお、領域分割部305により行われる各ブロックの輝度Yiの算出は、例えば次式により行われる。なお、Ri、GiおよびBiは各ブロックにおけるR画素、G画素およびB画素の平均画素値である。
【0085】
その後、領域分割部305により、撮像画像の全体の平均輝度Yaveと輝度Yiとに基づいてブロックがハイライト領域とシャドウ領域とに分けられる(ステップS103:領域分割ステップ)。
【0086】
図7は、撮像画像401の領域分割を概念的に示した図である。
図7では、領域分割部305により、
図6に示された撮像画像401をハイライト領域(晴れ)403とシャドウ領域(日陰)404とに分割されている。具体的には、領域分割部305は、撮像画像401の画像全体の平均輝度Yaveを下式により算出し、ブロック平均Yiと全体の平均Yaveとを比較し、YiがYaveより大きいブロックをハイライト領域に、YiがYaveより小さいブロックをシャドウ領域に分類する。
【0088】
その後、第1のホワイトバランス関係情報算出部307は、公知のオートホワイトバランス(AWB)のアルゴリズムを用いて、ハイライト領域およびシャドウ領域のそれぞれの画素値から領域毎のホワイトバランス補正量(ハイライト領域のホワイトバランス補正量WBhl、シャドウ領域のホワイトバランス補正量WBsh)を算出する(ステップS104:第1のホワイトバランス関係情報算出ステップ)。
【0089】
例えば第1のホワイトバランス関係情報算出部307は、ハイライト領域およびシャドウ領域のG画素、R画素、およびB画素のゲインに関する量を算出する。なお、ハイライト領域について算出されたGNGhl、GNRhl、およびGNBhlをハイライト領域のホワイトバランス補正量WBhlとよび、シャドウ領域について算出されたGNGsh、GNRsh、およびGNBshをシャドウ領域のホワイトバランス補正量WBshとよぶ。
【0090】
次に、第2のホワイトバランス関係情報取得部309は、ユーザにより設定された第2のホワイトバランス関係情報であるWBsetを取得する(ステップS105:第2のホワイトバランス関係情報取得ステップ)。例えば、ユーザは「晴天」のホワイトバランスのモードを選択している場合には、第2のホワイトバランス関係情報取得部309は、「晴天」のホワイトバランス関係情報を取得する。ここでWBsetは、例えば、「晴天」のホワイトバランスのモードの補正量であるG画素、R画素およびB画素のゲインに関する量GNGset、GNRsetおよびGNBsetのことである。
【0091】
そして、優先領域決定部311により、第2のホワイトバランス関係情報取得部309が取得したWBsetと、第1のホワイトバランス関係情報算出部307が算出したWBhlおよびWBshに基づき優先領域が決定される(ステップS106:優先領域決定ステップ)。具体的には、優先領域決定部311は、ホワイトバランス補正量WBhlおよびWBshと、ユーザが選択しているホワイトバランス補正量WBsetとを比較する。例えば、優先領域決定部311は、比較の指標としてRゲインとBゲインの比GNB/GNRを用いて、ハイライト領域およびシャドウ領域のそれぞれに関して、WBsetに対するGNB/GNRの差分を下式のように算出する。
【0093】
なお、以下の式を利用した決定方法はGNGを固定値としてGNRとGNBだけ変動させてホワイトバランスの調整を行う方式を前提とした場合の例であり、決定方法はこれに限定されない。例えば、WBhlとWBsetのRゲイン同士の差分の絶対値DFRhl、Gゲイン同士の差分の絶対値DFGhl、およびBゲイン同士の差分の絶対値DFBhlを算出し、同じようにWBshとWBsetでも各ゲイン同士の差分の絶対値DFRsh、DFGsh、およびDFBsh、を算出し、これらの差分絶対値をつかった比較でも良い。具体的には、DFRhl+DFGhl+DFBhlとDFRsh+DFGsh+DFBshを比較する方法が一つの例として考えられる。
【0094】
そして次に、優先領域決定部311は、Dhl≦Dshの場合はハイライト領域を優先領域とし、Dhl>Dshの場合はシャドウ領域を優先領域とする。
【0095】
上記実施形態において、システム制御部25および画像処理部31といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0096】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサ(例えば、複数のFPGA、あるいはCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0097】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0098】
上述の各構成および機能は、任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは両者の組み合わせによって適宜実現可能である。例えば、上述の処理ステップ(処理手順)をコンピュータに実行させるプログラム、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(非一時的記録媒体)、或いはそのようなプログラムをインストール可能なコンピュータに対しても本発明を適用することが可能である。
【0099】
<ダイナミックレンジ拡大処理>
次に、優先領域を利用して行われるダイナミックレンジ拡大処理に関して説明する。
【0100】
先ずダイナミックレンジ拡大処理における露出制御に関して説明する。ユーザが撮像画像においてハイライト側(ハイライト領域)を重視する場合、すなわちハイライト側に階調を持たせて色表現を豊かにしたい場合には、撮像時に露出の下げ幅を大きくして、ハイライト側の白とびする画素を減らして撮像が行われる。
【0101】
図8は、通常露光とアンダー露光とにおける被写体光量とセンサ信号との関係を概念的に示した図である。
図8に示すように、アンダー露光で撮像画像を撮像した場合には、通常露光で撮像した場合に比べて、ハイライト側においてもセンサ信号の出力に階調を持たすことができる。具体的には、被写体光量A1からA2の範囲において,通常露光では飽和限界に達している画素が、アンダー露光で撮像することにより階調を有するようになる。すなわち、被写体光量A1からA2の範囲においてダイナミックレンジの拡大を行うことができる。なお、ここでダイナミックレンジとは識別可能な信号の最小値と最大値との比率のことである。
【0102】
しかし、露出の下げ幅を大きくすると、シャドウ領域の信号をセンサが読み取れない場合や、入力信号のレベルがノイズ限界に達してノイズと被写体の信号との区別がつかなくなる場合が発生してしまう。このような場合には、シャドウ領域の信号を、トーンカーブを適用して持ち上げようとしても黒つぶれしてしまう。
【0103】
図9は、ノイズ限界に関して説明する図であり、被写体光量に対する信号量が示されている。
図9に示した場合では、アンダー露光により撮像されており、被写体光量B1からB2の範囲では信号量がノイズ限界以下となってしまう。このような場合には、被写体光量B1からB2に対応する信号量は黒つぶれしてしまい、信号処理でゲインをかけても階調を持たせることが困難である。したがって、アンダー露光により取得された撮像画像においては、シャドウ領域の画素が黒つぶれしてしまうことが発生する。
【0104】
次に、ダイナミックレンジ拡大処理におけるトーンカーブの適用に関して説明する。
【0105】
図10は、トーンカーブにより、出力信号が補正されることを説明する図である。
図10に示した場合では、シャドウ領域の黒つぶれとハイライト領域の白飛びが少なくなるようにトーンカーブを入力信号にかけることにより、ダイナミックレンジ拡大処理を行って適正な明るさの出力信号を得ている。すなわち、シャドウ領域では出力信号の値を持ち上げるような補正が行われており、ハイライト領域では出力信号の値を下げるような補正が行われている。
【0106】
トーンカーブの形を変えることにより、被写体光量の階調を持たせる範囲を制御することができる。例えば、逆光シーンのようにシャドウ領域とハイライト領域のコントラスト比が大きい場合には、どの輝度範囲の階調を豊かにするかにより出力画像の印象は大きく変わる。そのため、ユーザの撮影意図が反映されるように、ユーザが階調を豊かにしたい輝度の範囲に応じてトーンカーブを決める必要がある。
【0107】
図11および
図12は、トーンカーブを示した図であり、入力された信号を出力する場合のトーンカーブを示している。
図11では、シャドウ側に階調を持たせるトーンカーブが示されている。すなわち、シャドウ側の入力値C1からC2の階調が豊かになるようにトーンカーブが設計されている。また、
図12では、ハイライト側に階調を持たせるトーンカーブが示されている。すなわち、ハイライト側の入力値D1からD2の階調が豊かになるようにトーンカーブが設計されている。このように、シャドウ側に階調を持たせる場合と、ハイライト側に階調を持たせる場合とでは、トーンカーブの形状が異なり、ユーザは優先領域に応じて適切な形状を有するトーンカーブを選択することにより、撮影意図を反映させた撮像画像を得ることが可能である。
【0108】
以下の説明では、決定された優先領域の利用について説明する。第2の実施形態では、優先領域に基づいて露出制御が行われる場合について説明する。第3の実施形態では、優先領域に基づいてホワイトバランス補正処理が行われる場合について説明する。また第4の実施形態では、優先領域に基づいてトーンカーブが決定される場合について説明する。
【0109】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態のデジタルカメラ2に関して説明する。
図13は、本実施形態のデジタルカメラ2の画像処理部31およびシステム制御部25を構成する機能ブロックを示す図である。
【0110】
本実施形態のデジタルカメラ2が搭載する画像処理部31は、画像取得部301、ブロック分割部303、領域分割部305、第1のホワイトバランス関係情報算出部307、第2のホワイトバランス関係情報取得部309、および優先領域決定部311を備える。また、本実施形態のデジタルカメラ2が搭載するシステム制御部25は、露出調整部313を備える。なお、
図4で既に説明を行った箇所は同じ符号を付し説明は省略する。
【0111】
画像取得部301は、メインメモリ24から、ライブビュー画像を取得する。本実施形態においては、ライブビュー画像に基づいて優先領域が決定される。すなわち、画像取得部301が取得したライブビュー画像に対して、第1の実施形態で説明をした処理が行われ、優先領域が決定される。
【0112】
露出調整部313は、優先領域に応じて露出を調整する。すなわち、露出調整部313は、優先領域に応じて、シャッタースピード、絞り、および/または撮像素子のISO感度を制御して、露出を調整する。具体的には、露出調整部313は、優先領域が閾値よりハイライト側にある場合には、撮像画像の白飛び画素に応じて露出を制御する。また、露出調整部313は、優先領域が閾値以下のシャドウ側にある場合には、撮像画像の黒つぶれ画素に応じて露出を制御する。
【0113】
図14は、本実施形態のデジタルカメラ2の動作フローを示す図である。
【0114】
先ず、デジタルカメラ2はライブビュー画像を取得する(ステップS201:画像取得ステップ)。すなわち、デジタルカメラ2の画像処理部31の画像取得部301は、メインメモリ24からライブビュー画像を取得する。その後、ブロック分割部303は、取得したライブビュー画像を256(縦16×横16)ブロックに分けて、ブロック毎に輝度Yi(i=0から255)を算出する(ステップS202)。
【0115】
次に領域分割部305は、ライブビュー画像全体の平均輝度YaveとYiに基づき各ブロックをハイライト領域とシャドウ領域とに分ける(ステップS203:領域分割ステップ)。
【0116】
その後、公知のオートホワイトバランス(AWB)のアルゴリズムを用いて、領域毎のハイライト領域のホワイトバランス補正量WBhl、およびシャドウ領域のホワイトバランス補正量WBshを各領域の画素情報から算出する(ステップS204:第1のホワイトバランス関係情報算出ステップ)。
【0117】
そして、第2のホワイトバランス関係情報取得部309は、ユーザ(撮影者)が選択したホワイトバランス関係情報であるWBsetを取得する(ステップS205:第2のホワイトバランス関係情報取得ステップ)。
【0118】
次に、優先領域決定部311は、WBset、WBhl、およびWBshに基づいて優先領域を決定する(ステップS206:優先領域決定ステップ)。
【0119】
その後、露出調整部313は、優先領域がハイライト側であるか否かを判定する(ステップS207)。例えば露出調整部313は、閾値に基づいて優先領域がハイライト側であるか否かの判定を行う。
【0120】
そして露出調整部313は、優先領域がハイライト側である場合にはハイライト優先露出制御(白飛び抑制制御)を行う(ステップS208:露出調整ステップ)。すなわち、露出調整部313は、ハイライト領域に含まれるブロックのR値、G値およびB値の最大値をV(max)とすると、V(max)がセンサの飽和限界値に達しないように露出を制御する。露出調整部313は、露出をブロック線図にしたがって感度、絞り、シャッタースピードを決定する。なお、V(max)は、ブロックの最大値(ブロック毎の平均値の最大値)としたが、これに限定されない。例えば、V(max)は、ハイライト領域内の全画素の最大値であってもよい。また、V(max)の限界は飽和限界値に限定されず、例えば飽和限界値の90%の値でもよい。
【0121】
一方、露出調整部313は、優先領域がハイライト側でない場合、すなわち優先領域がシャドウ側である場合にはシャドウ優先露出制御(黒つぶれ抑制制御)を行う(ステップS209:露出調整ステップ)。すなわち、露出調整部313は、シャドウ領域に含まれるブロックのR値、G値およびB値の最小値をV(min)とすると、V(min)がセンサのノイズ限界値より小さくならないように露出を制御する。なお、V(min)は、ブロックの最小値(ブロック毎の平均値の最小値)としたが、これに限定されない。例えば、V(min)は、ハイライト領域内の全画素の最小値であってもよい。また、V(min)の限界はノイズ限界値に限定されず、例えばゼロまたはノイズ限界値の110%の値でもよい。
【0122】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態の画像処理部31に関して説明する。
【0123】
図15は、本実施形態の画像処理部31の機能ブロックを示す図である。
【0124】
デジタルカメラ2は、画像取得部301、ブロック分割部303、領域分割部305、第1のホワイトバランス関係情報算出部307、第2のホワイトバランス関係情報取得部309、優先領域決定部311、およびホワイトバランス処理部317を備える。なお、
図4で既に説明を行った箇所は同じ符号を付し説明は省略する。
【0125】
ホワイトバランス処理部317は、撮像画像に対してホワイトバランス補正処理を行う。ホワイトバランス処理部317は、撮像画像に対して、公知のアルゴリズムを使用して撮像画像の画素値に基づいて算出されたホワイトバランス関係情報(第1のホワイトバランス関係情報)、および/またはユーザが設定したホワイトバランス関係情報(第2のホワイトバランス関係情報)に基づいて、ホワイトバランス補正処理を行う。
【0126】
また、例えばホワイトバランス処理部317は、複数の領域のうち優先領域には、第2のホワイトバランス関係情報に基づいてホワイトバランス補正処理を行い、複数の領域のうち優先領域以外の領域には、第1のホワイトバランス関係情報に基づいてホワイトバランス補正処理を行ってもよい。またホワイトバランス処理部317は、撮像画像を構成する画素毎に、第1のホワイトバランス関係情報および第2のホワイトバランス関係情報のいずれかでホワイトバランス補正処理を行ってもよい。
【0127】
図16は、本実施形態の画像処理部31を搭載するデジタルカメラ2の動作フローを示す図である。
【0128】
先ず、デジタルカメラ2はライブビュー画像を取得する(ステップS301)。その後、ブロック分割部303は、取得したライブビュー画像を256(縦16×横16)ブロックに分けて、ブロック毎に輝度Yi(i=0から255)を算出する(ステップS302)。
【0129】
次に領域分割部305は、ライブビュー画像全体の平均輝度YaveとYiに基づき各ブロックをハイライト領域とシャドウ領域とに分ける(ステップS303)。
【0130】
その後、オートホワイトバランス(AWB)のアルゴリズムを用いて、ハイライト領域のホワイトバランス補正量WBhlと、シャドウ領域のホワイトバランス補正量WBshを各領域の画素情報から算出する(ステップS304)。
【0131】
そして、第2のホワイトバランス関係情報取得部309は、ユーザ(撮影者)が選択したホワイトバランス関係情報であるWBsetを取得する(ステップS305)。
【0132】
次に、優先領域決定部311は、WBset、WBhl、およびWBshに基づいて優先領域を決定する(ステップS306)。
【0133】
次に、デジタルカメラ2は、露出制御を行い撮像画像を撮像する(ステップS307)。デジタルカメラ2が行う露出制御は、第2の実施形態で説明を行った露出制御を行ってもよいし、公知の露出制御の技術が適用されてもよい。
【0134】
その後、ホワイトバランス処理部317は、取得された撮像画像に対してホワイトバランス補正処理を行う。ホワイトバランス処理部317は、ハイライト領域およびシャドウ領域のそれぞれの代表輝度を算出し(ステップS308)、その代表輝度に基づいてホワイトバランス補正処理を行う(ステップS309)。
【0135】
図17は、輝度Yに応じたホワイトバランス(WB)補正量の一例に関して示す図である。
図17に示す例では、ホワイトバランス処理部317は、各領域に含まれるブロックあるいは画素の平均輝度をY
hl、Y
shとし、画像内の画素ごとの輝度をYP
j[j=0〜画素数−1]として、各画素に適用するホワイトバランス補正量WBP
j[j=0〜画素数−1]を下記のように算出する。
【0137】
代表輝度の算出方法は、ハイライト領域およびシャドウ領域に起因すれば特定に限定されない。代表輝度は、平均輝度に限らず、各領域の中央値、シャドウ領域の最大値およびハイライト領域の最小値でも良い。代表輝度は、実際の撮像画像から算出しても良いし、優先領域を決定する際の仮露光の値に仮露光と本露光の露出の違いを反映した値から算出しても良い。また、優先領域がハイライト領域ならWBhlを、シャドウ領域ならWBshをそれぞれWBsetに置き換えて計算しても良い。
【0138】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態の画像処理部31に関して説明する。
【0139】
図18は、本実施形態の画像処理部31を構成する機能ブロックを示す図である。
【0140】
デジタルカメラ2は、画像取得部301、ブロック分割部303、領域分割部305、第1のホワイトバランス関係情報算出部307、第2のホワイトバランス関係情報取得部309、優先領域決定部311、およびトーンカーブ決定部315を備える。なお、
図4で既に説明を行った箇所は同じ符号を付し説明は省略する。
【0141】
トーンカーブ決定部315は、優先領域に応じて、トーンカーブを決定する。例えばトーンカーブ決定部315は、優先領域の輝度を適正にするトーンカーブを決定する。具体的には、トーンカーブ決定部315は、優先領域が有する輝度の範囲(優先輝度範囲)において、階調が豊かになるように、トーンカーブを決定する。優先輝度範囲は、優先領域内の平均値または中央値などの単一の値でもよい。また、優先輝度範囲は、優先領域内の輝度の最小値から最大値の範囲との決定方法、または優先領域内の輝度値のヒストグラムから決定する方法(例えばヒストグラムを構成する全データの80%の範囲)などでもよい。
【0142】
図19は、本実施形態の画像処理装置を搭載するデジタルカメラ2の動作フローを示す図である。
【0143】
先ず、デジタルカメラ2はライブビュー画像を取得する(ステップS401)。その後、ブロック分割部303は、取得したライブビュー画像を256(縦16×横16)ブロックに分けて、ブロック毎に輝度Yi(i=0から255)を算出する(ステップS402)。
【0144】
次に領域分割部305は、ライブビュー画像全体の平均輝度YaveとYiに基づき各ブロックをハイライト領域とシャドウ領域とに分ける(ステップS403)。
【0145】
その後、オートホワイトバランス(AWB)のアルゴリズムを用いて、ハイライト領域のホワイトバランス補正量WBhlと、シャドウ領域のホワイトバランス補正量WBshを各領域の画素情報から算出する(ステップS404)。
【0146】
そして、第2のホワイトバランス関係情報取得部309は、ユーザ(撮影者)が選択したホワイトバランス関係情報であるWBsetを取得する(ステップS405)。
【0147】
次に、優先領域決定部311は、ユーザに選択されているWBset、WBhl、およびWBshに基づいて優先領域を決定する(ステップS406)。
【0148】
次に、デジタルカメラ2は、露出制御を行い撮像画像を撮像する(ステップS407)。デジタルカメラ2が行う露出制御は、第2の実施形態で説明を行った露出制御を行ってもよいし、公知の露出制御の技術が適用されてもよい。
【0149】
そして、撮像画像に対して、画像処理部31によりホワイトバランス(WB)処理が行われる(ステップS408)。第3の実施形態で説明したようなホワイトバランス補正処理を行ってもよいし、それ以外のホワイトバランス補正処理を行ってもよい。ここで、それ以外のホワイトバランス補正処理とは、例えばユーザ選択のホワイトバランス補正量をそのまま適用してもよいし、ハイライト領域とシャドウ領域とでそれぞれ異なるホワイトバランス補正量を適用してもよい。以下の説明ではホワイトバランス補正処理後のRGB値を(R(1),G(1),B(1))とする。
【0150】
その後、画像処理部31は、ガンマ補正処理を行う(ステップS409)。例えば、画像処理部31は、sRGBの規格に合わせる場合、(R(1),G(1),B(1))をデータ最大値Vbit(14bitなら16383)で割って正規化した値を(r(1),g(1),b(1))とすると、γ補正後のRGB値(R(2),G(2),B(2))は次式を使用して算出する。
【0152】
そして、画像処理部31は、G(2),B(2)も同様R(2)と同様に処理を行う。
【0153】
次に、画像処理部31は、ガンマ補正後のRGB値を次式により輝度に変換する。
【0155】
次にトーンカーブ決定部315は、優先領域に基づいて優先輝度範囲を決定する(ステップS410)。例えばトーンカーブ決定部315は、優先領域(ハイライト領域またはシャドウ領域)に含まれるブロックの輝度Y(2)の最大値をY(2)max、最小値をY(2)minを算出し、優先輝度範囲をY(2)minからY(2)maxと定める。
【0156】
そして、トーンカーブ決定部315は、優先輝度範囲に基づき、トーンカーブを決定する。
図20および
図21は、トーンカーブの例を示す図である。優先輝度範囲がY(2)minからY(2)maxの範囲であった場合、
図20のようにY(2)minからY(2)maxでカーブが急峻になるようなトーンカーブを選択あるいは新たに作成する。優先輝度範囲を優先領域の平均輝度などの単一の代表輝度Y(2)centerと定めた場合、
図21のようにY(2)center付近でカーブが急峻になるようなトーンカーブを選択あるいは新たに作成する。
【0157】
<スマートフォンの構成>
図22は、スマートフォン101の外観を示す図である。
図22に示すスマートフォン101は、平板状の筐体102を有し、筐体102の一方の面に表示部としての表示パネル121と、入力部としての操作パネル122とが一体となった表示入力部120を備える。また、係る筐体102は、スピーカ131と、マイクロホン132と、操作部140と、カメラ部141とを備える。なお、筐体102の構成はこれに限定されず、例えば、表示部と入力部とが独立した構成が採用されてもよいし、折り畳み構造やスライド機構を有する構成が採用されてもよい。
【0158】
図23は、
図22に示すスマートフォン101の構成を示すブロック図である。
図23に示すように、スマートフォンの主たる構成要素として、無線通信部110と、表示入力部120と、通話部130と、操作部140と、カメラ部141と、記憶部150と、外部入出力部160と、GPS(Global Positioning System)受信部170と、モーションセンサ部180と、電源部190と、主制御部100とを備える。また、スマートフォン101の主たる機能として、基地局装置と移動通信網とを介した移動無線通信を行う無線通信機能を備える。
【0159】
無線通信部110は、主制御部100の指示にしたがって、移動通信網に収容された基地局装置に対し無線通信を行うものである。係る無線通信を使用して、音声データ、画像データ等の各種ファイルデータ、電子メールデータなどの送受信や、Webデータやストリーミングデータなどの受信を行う。
【0160】
表示入力部120は、主制御部100の制御により、画像(静止画像および動画像)や文字情報などを表示して視覚的にユーザに情報を伝達し、表示した情報に対するユーザ操作を検出する、いわゆるタッチパネルであって、表示パネル121と、操作パネル122とを備える。
【0161】
表示パネル121は、LCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic Electro−Luminescence Display)などを表示デバイスとして用いたものである。操作パネル122は、表示パネル121の表示面上に表示される画像を視認可能に載置され、ユーザの指や尖筆によって操作される座標を検出するデバイスである。係るデバイスをユーザの指や尖筆によって操作すると、操作に起因して発生する検出信号を主制御部100に出力する。次いで、主制御部100は、受信した検出信号に基づいて、表示パネル121上の操作位置(座標)を検出する。
【0162】
図22に示すように、本発明のデジタルカメラ2の一実施形態として例示しているスマートフォン101の表示パネル121と操作パネル122とは一体となって表示入力部120を構成しているが、操作パネル122が表示パネル121を完全に覆うような配置となっている。係る配置を採用した場合、操作パネル122は、表示パネル121外の領域についても、ユーザ操作を検出する機能を備えてもよい。換言すると、操作パネル122は、表示パネル121に重なる重畳部分についての検出領域(以下、「表示領域」と称する)と、それ以外の表示パネル121に重ならない外縁部分についての検出領域(以下、「非表示領域」と称する)とを備えていてもよい。
【0163】
なお、表示領域の大きさと表示パネル121の大きさとを完全に一致させてもよいが、両者を必ずしも一致させる必要はない。また、操作パネル122が、外縁部分と、それ以外の内側部分の2つの感応領域を備えていてもよい。さらに、外縁部分の幅は、筐体102の大きさなどに応じて適宜設計されるものである。さらにまた、操作パネル122で採用される位置検出方式としては、マトリクススイッチ方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式などが挙げられ、いずれの方式を採用することもできる。
【0164】
通話部130は、スピーカ131やマイクロホン132を備え、マイクロホン132を通じて入力されたユーザの音声を主制御部100にて処理可能な音声データに変換して主制御部100に出力し、無線通信部110或いは外部入出力部160により受信された音声データを復号してスピーカ131から出力するものである。また、
図22に示すように、例えば、スピーカ131を表示入力部120が設けられた面と同じ面に搭載し、マイクロホン132を筐体102の側面に搭載することができる。
【0165】
操作部140は、キースイッチなどを用いたハードウェアキーであって、ユーザからの指示を受け付けるものである。例えば、
図22に示すように、操作部140は、スマートフォン101の筐体102の側面に搭載され、指などで押下されるとオンとなり、指を離すとバネなどの復元力によってオフ状態となる押しボタン式のスイッチである。
【0166】
記憶部150は、主制御部100の制御プログラムや制御データ、アプリケーションソフトウェア、通信相手の名称や電話番号などを対応付けたアドレスデータ、送受信した電子メールのデータ、WebブラウジングによりダウンロードしたWebデータや、ダウンロードしたコンテンツデータを記憶し、またストリーミングデータなどを一時的に記憶するものである。また、記憶部150は、スマートフォン内蔵の内部記憶部151と着脱可能な外部メモリスロットを有する外部記憶部152により構成される。なお、記憶部150を構成するそれぞれの内部記憶部151と外部記憶部152は、フラッシュメモリタイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリ(例えば、MicroSD(登録商標)メモリ等)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの格納媒体を用いて実現される。
【0167】
外部入出力部160は、スマートフォン101に連結されるすべての外部機器とのインタフェースの役割を果たすものであり、他の外部機器に通信等(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、IEEE1394など)またはネットワーク(例えば、インターネット、無線LAN、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)、RFID(Radio Frequency Identification)、赤外線通信(Infrared Data Association:IrDA)(登録商標)、UWB(Ultra Wideband)(登録商標)、ジグビー(ZigBee)(登録商標)など)により直接的または間接的に接続するためのものである。
【0168】
スマートフォン101に連結される外部機器としては、例えば、有/無線ヘッドセット、有/無線外部充電器、有/無線データポート、カードソケットを介して接続されるメモリカード(Memory card)やSIM(Subscriber Identity Module Card)/UIM(User Identity Module Card)カード、オーディオ・ビデオI/O(Input/Output)端子を介して接続される外部オーディオ・ビデオ機器、無線接続される外部オーディオ・ビデオ機器、有/無線接続されるスマートフォン、有/無線接続されるパーソナルコンピュータ、有/無線接続されるPDA、有/無線接続されるパーソナルコンピュータ、イヤホンなどがある。外部入出力部160は、このような外部機器から伝送を受けたデータをスマートフォン101の内部の各構成要素に伝達することや、スマートフォン101の内部のデータが外部機器に伝送されるようにしてもよい。
【0169】
GPS受信部170は、主制御部100の指示にしたがって、GPS衛星ST1〜STnから送信されるGPS信号を受信し、受信した複数のGPS信号に基づく測位演算処理を実行し、スマートフォン101の緯度、経度、および高度からなる位置を検出する。GPS受信部170は、無線通信部110や外部入出力部160(例えば、無線LAN)から位置情報を取得できる場合には、その位置情報を用いて位置を検出することもできる。
【0170】
モーションセンサ部180は、例えば、3軸の加速度センサなどを備え、主制御部100の指示にしたがって、スマートフォン101の物理的な動きを検出する。スマートフォン101の物理的な動きを検出することにより、スマートフォン101の動く方向や加速度が検出される。係る検出結果は、主制御部100に出力されるものである。
【0171】
電源部190は、主制御部100の指示にしたがって、スマートフォン101の各部に、バッテリ(図示しない)に蓄えられる電力を供給するものである。
【0172】
主制御部100は、マイクロプロセッサを備え、記憶部150が記憶する制御プログラムや制御データにしたがって動作し、スマートフォン101の各部を統括して制御するものである。また、主制御部100は、無線通信部110を通じて、音声通信やデータ通信を行うために、通信系の各部を制御する移動通信制御機能と、アプリケーション処理機能を備える。
【0173】
アプリケーション処理機能は、記憶部150が記憶するアプリケーションソフトウェアにしたがって主制御部100が動作することにより実現するものである。アプリケーション処理機能としては、例えば、外部入出力部160を制御して対向機器とデータ通信を行う赤外線通信機能や、電子メールの送受信を行う電子メール機能、Webページを閲覧するWebブラウジング機能などがある。
【0174】
また、主制御部100は、受信データやダウンロードしたストリーミングデータなどの画像データ(静止画像や動画像のデータ)に基づいて、映像を表示入力部120に表示する等の画像処理機能を備える。画像処理機能とは、主制御部100が、上記画像データを復号し、係る復号結果に画像処理を施して、画像を表示入力部120に表示する機能のことをいう。
【0175】
さらに、主制御部100は、表示パネル121に対する表示制御と、操作部140、操作パネル122を通じたユーザ操作を検出する操作検出制御を実行する。
【0176】
表示制御の実行により、主制御部100は、アプリケーションソフトウェアを起動するためのアイコンや、スクロールバーなどのソフトウェアキーを表示し、或いは電子メールを作成するためのウィンドウを表示する。なお、スクロールバーとは、表示パネル121の表示領域に収まりきれない大きな画像などについて、画像の表示部分を移動する指示を受け付けるためのソフトウェアキーのことをいう。
【0177】
また、操作検出制御の実行により、主制御部100は、操作部140を通じたユーザ操作を検出したり、操作パネル122を通じて、上記アイコンに対する操作や、上記ウィンドウの入力欄に対する文字列の入力を受け付けたり、或いは、スクロールバーを通じた表示画像のスクロール要求を受け付ける。
【0178】
さらに、操作検出制御の実行により主制御部100は、操作パネル122に対する操作位置が、表示パネル121に重なる重畳部分(表示領域)か、それ以外の表示パネル121に重ならない外縁部分(非表示領域)かを判定し、操作パネル122の感応領域や、ソフトウェアキーの表示位置を制御するタッチパネル制御機能を備える。
【0179】
また、主制御部100は、操作パネル122に対するジェスチャ操作を検出し、検出したジェスチャ操作に応じて、予め設定された機能を実行することもできる。ジェスチャ操作とは、従来の単純なタッチ操作ではなく、指などによって軌跡を描いたり、複数の位置を同時に指定したり、或いはこれらを組み合わせて、複数の位置から少なくとも1つについて軌跡を描く操作を意味する。
【0180】
カメラ部141は、CMOSなどの撮像素子を用いて電子撮影するデジタルカメラである。また、カメラ部141は、主制御部100の制御により、撮像によって得た画像データを例えばJPEGなどの圧縮した画像データに変換し、記憶部150に記憶し、外部入出力部160や無線通信部110を通じて出力することができる。
図22に示すようにスマートフォン101において、カメラ部141は表示入力部120と同じ面に搭載されているが、カメラ部141の搭載位置はこれに限らず、表示入力部120の背面に搭載されてもよいし、或いは、複数のカメラ部141が搭載されてもよい。なお、複数のカメラ部141が搭載されている場合には、撮影に供するカメラ部141を切り換えて単独にて撮影してもよいし、或いは、複数のカメラ部141を同時に使用して撮影してもよい。
【0181】
また、カメラ部141はスマートフォン101の各種機能に利用することができる。例えば、表示パネル121にカメラ部141で取得した画像を表示することや、操作パネル122の操作入力の1つとして、カメラ部141の画像を利用することができる。また、GPS受信部170が位置を検出する際に、カメラ部141からの画像を参照して位置を検出することもできる。さらには、カメラ部141からの画像を参照して、3軸の加速度センサを用いずに、或いは、3軸の加速度センサと併用して、スマートフォン101のカメラ部141の光軸方向を判断することや、現在の使用環境を判断することもできる。勿論、カメラ部141からの画像をアプリケーションソフトウェア内で利用することもできる。
【0182】
その他、静止画または動画の画像データにGPS受信部170により取得した位置情報、マイクロホン132により取得した音声情報(主制御部等により、音声テキスト変換を行ってテキスト情報となっていてもよい)、モーションセンサ部180により取得した姿勢情報等などを付加して記憶部150に記憶し、外部入出力部160や無線通信部110を通じて出力することもできる。
【0183】
上述の画像処理部31およびシステム制御部25は、例えば主制御部100によって実現可能である。
【0184】
本発明の一の態様である画像処理装置は、被写体を撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、撮像画像の明るさ情報に基づいて、撮像画像を複数の領域に分割する領域分割部と、領域分割部により分割された複数の領域の各々について、第1のホワイトバランス関係情報を算出する第1のホワイトバランス関係情報算出部と、撮像画像に対してユーザにより設定された第2のホワイトバランス関係情報を取得する第2のホワイトバランス関係情報取得部と、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報とに基づいて決定される優先領域であって、優先領域の輝度に基づいて撮像画像に行われるダイナミックレンジ拡大処理の条件が設定される優先領域を決定する優先領域決定部と、を備える。
【0185】
本態様によれば、第1のホワイトバランス関係情報算出部により、領域分割部により分割された複数の領域の各々について、第1のホワイトバランス関係情報が算出され、第2のホワイトバランス関係情報取得部により、撮像画像に対してユーザにより設定された第2のホワイトバランス関係情報が取得される。そして、本態様によれば優先領域決定部により、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報とに基づいて決定される優先領域であって、優先領域の輝度に基づいて撮像画像に行われるダイナミックレンジ拡大処理の条件が設定される優先領域が決定される。これにより本態様は、ユーザが能動的に設定したホワイトバランスに応じたダイナミック拡大処理の優先領域が決定されるので、ユーザの撮影意図が反映されたダイナミックレンジ拡大処理を実現することが可能な優先領域を決定することができる。
【0186】
好ましくは、優先領域決定部は、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報との差分が小さい領域を優先領域として決定する。
【0187】
本態様によれば、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報との差分が小さい領域が優先領域として決定されるので、ユーザの撮影意図に合った優先領域が決定される。
【0188】
好ましくは、領域分割部は、撮像画像を少なくともハイライト領域およびシャドウ領域に分割し、優先領域決定部は、ハイライト領域における第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報との差分がシャドウ領域の差分に比べて小さい場合には、ハイライト領域を優先領域とし、シャドウ領域の差分がハイライト領域の差分に比べて小さい場合には、シャドウ領域を優先領域として決定する。
【0189】
本態様によれば、撮像画像が少なくともハイライト領域およびシャドウ領域に分割され、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報との差分がハイライト領域およびシャドウ領域について算出され小さい差分を有する領域が優先領域として決定される。これにより、本態様は、ユーザの撮影意図に合った優先領域が決定される。
【0190】
好ましくは、優先領域に応じて、トーンカーブを決定するトーンカーブ決定部を備える。
【0191】
本態様によれば、トーンカーブ決定部により、優先領域に応じてトーンカーブが決定されるので、ユーザの撮影意図が反映されたトーンカーブに基づいて、ダイナミックレンジ拡大処理の実行が可能となる。
【0192】
好ましくは、トーンカーブ決定部は、優先領域の輝度を適正にするトーンカーブを決定する。
【0193】
本態様によれば、トーンカーブ決定部により、優先領域の輝度を適正にするトーンカーブが決定されるので、ユーザが優先しようとする撮影意図がある領域の輝度を適切に表現することができるダイナミックレンジ拡大処理が行われる。
【0194】
好ましくは、画像処理装置は、撮像画像を複数のブロックに分けるブロック分割部を備え、領域分割部は、複数のブロックの各々の明るさ情報に基づいて、ブロック単位で複数の領域に分割する。
【0195】
本態様によれば、ブロック分割部により、撮像画像が複数のブロックに分けられて、領域分割部により、複数のブロックの各々の明るさ情報に基づいて、ブロック単位で複数の領域に分割される。これにより、本態様は、ブロックで構成される優先領域を決定することができる。
【0196】
好ましくは、第1のホワイトバランス関係情報算出部は、複数の領域の各境界に位置するブロックの参照重みを、各境界に位置しないブロックよりも低くして、第1のホワイトバランス関係情報を算出する。
【0197】
本態様によれば、第1のホワイトバランス関係情報算出部により、複数の領域の各境界に位置するブロックの参照重みを、各境界に位置しないブロックよりも低くして、第1のホワイトバランス関係情報が算出される。これにより本態様は、各領域の適切な値を持つ可能性が低い領域の境界に位置するブロックの参照重みを低くしているので、より第1のホワイトバランス関係情報を適切に算出することが可能となる。
【0198】
好ましくは、画像処理装置は、撮像画像に、ホワイトバランス補正処理を行うホワイトバランス処理部を備える。
【0199】
本態様によれば、ホワイトバランス処理部により、ホワイトバランス補正処理が行われるので、ユーザの撮影意図が反映された優先領域に応じたホワイトバランス補正処理が実行される。
【0200】
好ましくは、ホワイトバランス処理部は、撮像画像に第2のホワイトバランス関係情報に基づいてホワイトバランス補正処理を行う。
【0201】
本態様によれば、ホワイトバランス処理部により、撮像画像に第2のホワイトバランス関係情報に基づいてホワイトバランス補正処理が行われるので、ユーザの撮影意図に応じたホワイトバランス補正処理が撮像画像に実行される。
【0202】
好ましくは、ホワイトバランス処理部は、複数の領域のうち優先領域には、第2のホワイトバランス関係情報に基づいてホワイトバランス補正処理を行い、複数の領域のうち優先領域以外の領域には、第1のホワイトバランス関係情報に基づいてホワイトバランス補正処理を行う。
【0203】
本態様によれば、ホワイトバランス処理部により、複数の領域のうち優先領域には、第2のホワイトバランス関係情報に基づいてホワイトバランス補正処理を行い、複数の領域のうち優先領域以外の領域には、第1のホワイトバランス関係情報に基づいてホワイトバランス補正処理が行われる。これにより本態様は、優先領域にはユーザの撮影意図が反映されたホワイトバランス補正処理が行われ、優先領域以外の領域には画素値に基づいたホワイトバランス補正処理が行われる。すなわち、本態様では優先領域にはユーザが自ら設定したホワイトバランス補正処理を行い、優先領域以外には領域の画素値に基づいてホワイトバランス補正処理が行われる。したがって、例えば本態様では、領域毎に異なる光源が当たっていても、各領域において適切にホワイトバランス補正処理が行われる。
【0204】
好ましくは、ホワイトバランス処理部は、撮像画像を構成する画素毎にホワイトバランス補正処理を行う。
【0205】
本態様によれば、ホワイトバランス処理部により、撮像画像を構成する画素毎にホワイトバランス補正処理が行われるので、画素毎に適切なホワイトバランス補正処理が実行される。
【0206】
好ましくは、ホワイトバランス処理部は、撮像画像を構成する画素毎に、第1のホワイトバランス関係情報および第2のホワイトバランス関係情報のうちいずれか1つに基づいてホワイトバランス補正処理が行われる。
【0207】
本態様によれば、ホワイトバランス処理部により、撮像画像を構成する画素毎に、第1のホワイトバランス関係情報および第2のホワイトバランス関係情報のうちいずれか1つに基づいてホワイトバランス補正処理が行われるので、画素毎に適切なホワイトバランス補正処理が実行される。
【0208】
好ましくは、第1のホワイトバランス関係情報および第2のホワイトバランス関係情報は、ホワイトバランス補正量、色温度情報、または光源の色味を示す情報である。
【0209】
本態様によれば、第1のホワイトバランス関係情報および第2のホワイトバランス関係情報は、ホワイトバランス補正量、色温度情報、または光源の色味を示す情報であるので、ユーザの撮影意図が適切に反映されたホワイトバランス補正処理を行うことができる。
【0210】
本発明の他の態様である撮像装置は、上述の画像処理装置を搭載する撮像装置であって、優先領域に応じて、露出を調整する露出調整部を備える。
【0211】
本態様によれば、露出調整部により、優先領域に応じて露出が調整されるので、ユーザの撮影意図が反映された露光制御を行うことができる。
【0212】
好ましくは、露出調整部は、優先領域が閾値よりハイライト側にある場合には、撮像画像の白飛び画素に応じて露出を制御し、優先領域が閾値以下のシャドウ側にある場合には、撮像画像の黒つぶれ画素に応じて露出を制御する。
【0213】
本態様によれば、露出調整部により、優先領域が閾値よりハイライト側にある場合には、撮像画像の白飛び画素に応じて露出が制御され、優先領域が閾値以下のシャドウ側にある場合には、撮像画像の黒つぶれ画素に応じて露出が制御される。これにより本態様は、ユーザの撮影意図がハイライト側にある場合、およびユーザの撮影意図がシャドウ側にある場合に、適切に露出が制御されて撮像画像が取得される。
【0214】
本発明の他の態様である画像処理方法は、被写体を撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、撮像画像の明るさ情報に基づいて、撮像画像を複数の領域に分割する領域分割ステップと、領域分割ステップにおいて分割された複数の領域の各々について、第1のホワイトバランス関係情報を算出する第1のホワイトバランス関係情報算出ステップと、撮像画像に対してユーザにより設定された第2のホワイトバランス関係情報を取得する第2のホワイトバランス関係情報取得ステップと、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報とに基づいて決定される優先領域であって、優先領域の輝度に基づいて撮像画像に行われるダイナミックレンジ拡大処理の条件が設定される優先領域を決定する優先領域決定ステップと、を含む。
【0215】
本発明の他の態様である撮像方法は、被写体を撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、撮像画像の明るさ情報に基づいて、撮像画像を複数の領域に分割する領域分割ステップと、領域分割ステップにおいて分割された複数の領域の各々について、第1のホワイトバランス関係情報を算出する第1のホワイトバランス関係情報算出ステップと、撮像画像に対してユーザにより設定された第2のホワイトバランス関係情報を取得する第2のホワイトバランス関係情報取得ステップと、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報とに基づいて決定される優先領域であって、優先領域の輝度に基づいて撮像画像に行われるダイナミックレンジ拡大処理の条件が設定される優先領域を決定する優先領域決定ステップと、優先領域に応じて、露出を調整する露出調整ステップと、を含む。
【0216】
本発明の他の態様であるプログラムは、被写体を撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、撮像画像の明るさ情報に基づいて、撮像画像を複数の領域に分割する領域分割ステップと、領域分割ステップにおいて分割された複数の領域の各々について、第1のホワイトバランス関係情報を算出する第1のホワイトバランス関係情報算出ステップと、撮像画像に対してユーザにより設定された第2のホワイトバランス関係情報を取得する第2のホワイトバランス関係情報取得ステップと、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報とに基づいて決定される優先領域であって、優先領域の輝度に基づいて撮像画像に行われるダイナミックレンジ拡大処理の条件が設定される優先領域を決定する優先領域決定ステップと、を含む画像処理方法をコンピュータに実行させる。
【0217】
本発明の他の態様であるプログラムは、被写体を撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、撮像画像の明るさ情報に基づいて、撮像画像を複数の領域に分割する領域分割ステップと、領域分割ステップにおいて分割された複数の領域の各々について、第1のホワイトバランス関係情報を算出する第1のホワイトバランス関係情報算出ステップと、撮像画像に対してユーザにより設定された第2のホワイトバランス関係情報を取得する第2のホワイトバランス関係情報取得ステップと、第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報とに基づいて決定される優先領域であって、優先領域の輝度に基づいて撮像画像に行われるダイナミックレンジ拡大処理の条件が設定される優先領域を決定する優先領域決定ステップと、優先領域に応じて、露出を調整する露出調整ステップと、を含む撮像方法をコンピュータに実行させる。
【0218】
上記記載から、以下の付記項1に記載の画像処理装置を把握することができる。
[付記項1]
被写体を撮像した撮像画像を取得する画像取得プロセッサと、
撮像画像の明るさ情報に基づいて、撮像画像を複数の領域に分割する領域分割プロセッサと、
領域分割プロセッサにより分割された複数の領域の各々について、第1のホワイトバランス関係情報を算出する第1のホワイトバランス関係情報算出プロセッサと、
撮像画像に対してユーザにより設定された第2のホワイトバランス関係情報を取得する第2のホワイトバランス関係情報取得プロセッサと、
第1のホワイトバランス関係情報と第2のホワイトバランス関係情報とに基づいて決定される優先領域であって、優先領域の輝度に基づいて撮像画像に行われるダイナミックレンジ拡大処理の条件が設定される優先領域を決定する優先領域決定プロセッサと、
を備える画像処理装置。
【0219】
以上で本発明の例に関して説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。