(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の層が、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の発光素子。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0010】
<共通する用語の説明>
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
「室温」とは、25℃を意味する。
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i−Prはイソプロピル基、t−Buはtert−ブチル基を表す。
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
【0011】
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×10
4以下の化合物を意味する。
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×10
3以上(例えば1×10
3〜1×10
8)である重合体を意味する。
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。
【0012】
高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよい。
高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合、発光特性又は輝度寿命が低下する可能性があるので、好ましくは安定な基である。高分子化合物の末端基としては、好ましくは主鎖と共役結合している基であり、例えば、炭素−炭素結合を介して高分子化合物の主鎖と結合するアリール基又は1価の複素環基と結合している基が挙げられる。
【0013】
「アルキル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜50であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜10である。
アルキル基は、置換基を有していてもよい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2−エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−プロピルヘプチル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルオクチル基、2−ヘキシルデシル基及びドデシル基が挙げられる。また、アルキル基は、これらの基における水素原子の一部又は全部が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってもよい。このようなアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3−フェニルプロピル基、3−(4−メチルフェニル)プロピル基、3−(3,5−ジ−ヘキシルフェニル)プロピル基及び6−エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
【0014】
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは4〜10である。シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基及びメチルシクロヘキシル基が挙げられる。
【0015】
「アルキレン基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜20であり、好ましくは1〜15であり、より好ましくは1〜10である。アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基及びオクチレン基が挙げられる。
【0016】
「シクロアルキレン基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜20であり、好ましくは4〜10である。シクロアルキレン基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキレン基としては、例えば、シクロヘキシレン基が挙げられる。
【0017】
「芳香族炭化水素基」は、芳香族炭化水素から環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基を意味する。芳香族炭化水素から環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基を「アリール基」ともいう。芳香族炭化水素から環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基を「アリーレン基」ともいう。
芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜40であり、より好ましくは6〜20である。
「芳香族炭化水素基」は、例えば、単環式の芳香族炭化水素(例えば、ベンゼンが挙げられる。)、又は、多環式の芳香族炭化水素(例えば、ナフタレン及びインデン等の2環式の芳香族炭化水素;アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン及びフルオレン等の3環式の芳香族炭化水素;ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾフルオレン、ピレン及びフルオランテン等の4環式の芳香族炭化水素;ジベンゾアントラセン、ジベンゾフェナントレン、ジベンゾフルオレン、ペリレン及びベンゾフルオランテン等の5環式の芳香族炭化水素;スピロビフルオレン等の6環式の芳香族炭化水素;並びに、ベンゾスピロビフルオレン及びアセナフトフルオランテン等の7環式の芳香族炭化水素が挙げられる。)から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基が挙げられる。芳香族炭化水素基は、これらの基が複数結合した基を含む。芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
【0018】
「アルコキシ基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜40であり、好ましくは1〜10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
アルコキシ基は、置換基を有していてもよい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、及びラウリルオキシ基が挙げられる。
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよい。シクロアルコキシ基としては、例えば、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜40であり、より好ましくは6〜20である。アリールオキシ基は、置換基を有していてもよい。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、及びピレニルオキシ基が挙げられる。
【0019】
「複素環基」とは、複素環式化合物から環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基を意味する。複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基である「芳香族複素環基」が好ましい。複素環式化合物から環を構成する原子に直接結合する水素原子p個(pは、1以上の整数を表す。)を除いた基を「p価の複素環基」ともいう。芳香族複素環式化合物から環を構成する原子に直接結合する水素原子p個を除いた基を「p価の芳香族複素環基」ともいう。
「芳香族複素環式化合物」としては、例えば、アゾール、チオフェン、フラン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン及びカルバゾール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、並びに、フェノキサジン、フェノチアジン及びベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物が挙げられる。
複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜60であり、好ましくは2〜40であり、より好ましくは3〜20である。芳香族複素環基のヘテロ原子数は、置換基のヘテロ原子数を含めないで、通常1〜30であり、好ましくは、1〜10であり、より好ましくは、1〜5であり、更に好ましくは1〜3である。
複素環基としては、例えば、単環式の複素環式化合物(例えば、フラン、チオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ピロール、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ジアザベンゼン及びトリアジンが挙げられる。)、又は、多環式の複素環式化合物(例えば、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、ベンゾジアゾール、ベンゾトリアゾール及びベンゾチアジアゾール等の2環式の複素環式化合物;ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ジベンゾホスホール、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10−ジヒドロアクリジン、5,10−ジヒドロフェナジン、フェナザボリン、フェノホスファジン、フェノセレナジン、フェナザシリン、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン及びジアザフェナントレン等の3環式の複素環式化合物;ヘキサアザトリフェニレン、ベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン及びベンゾナフトチオフェン等の4環式の複素環式化合物;ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール及びインデノカルバゾール等の5環式の複素環式化合物;カルバゾロカルバゾール、ベンゾインドロカルバゾール及びベンゾインデノカルバゾール等の6環式の複素環式化合物;並びに、ジベンゾインドロカルバゾール等の7環式の複素環式化合物が挙げられる。)から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基が挙げられる。複素環基は、これらの基が複数結合した基を含む。複素環基は置換基を有していてもよい。
【0020】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
【0021】
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基(即ち、第2級アミノ基又は第3級アミノ基、より好ましくは第3級アミノ基)が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基が好ましい。アミノ基が有する置換基が複数存在する場合、それらは同一で異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する窒素原子とともに環を形成していてもよい。
置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基及びジアリールアミノ基が挙げられる。
アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(メチルフェニル)アミノ基、及びビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。
【0022】
「アルケニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜30であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルケニル基及びシクロアルケニル基は、置換基を有していてもよい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。シクロアルケニル基としては、例えば、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロオクタトリエニル基、ノルボルニレニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。
【0023】
「アルキニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常2〜20であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルキニル基及びシクロアルキニル基は、置換基を有していてもよい。アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、及び、これらの基における水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基が挙げられる。シクロアルキニル基としては、例えば、シクロオクチニル基が挙げられる。
【0024】
「架橋基」とは、加熱、紫外線照射、近紫外線照射、可視光照射、赤外線照射、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基である。架橋基としては、架橋基A群から選ばれる架橋基(即ち、式(XL−1)〜式(XL−19)のいずれかで表される基)が好ましい。
【0025】
(架橋基A群)
【化9】
[式中、R
XLは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表し、n
XLは、0〜5の整数を表す。R
XLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。複数存在するn
XLは、同一でも異なっていてもよい。*1は結合位置を表す。これらの架橋基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
【0026】
「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基及びシクロアルキニル基が挙げられる。置換基は架橋基であってもよい。なお、置換基が複数存在する場合、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよいが、環を形成しないことが好ましい。
【0027】
本明細書中、最低三重項励起状態のエネルギー準位と最低一重項励起状態のエネルギー準位との差の絶対値(以下、「ΔE
ST」ともいう。)の値の算出は、以下の方法で求められる。まず、B3LYPレベルの密度汎関数法により、化合物の基底状態を構造最適化する。その際、基底関数としては、6−31G*を用いる。そして、得られた構造最適化された構造を用いて、B3LYPレベルの時間依存密度汎関数法により、化合物のΔE
STを算出する。但し、6−31G*が使用できない原子を含む場合は、該原子に対してはLANL2DZを用いる。なお、量子化学計算プログラムとしては、Gaussian09を用いて計算する。
【0028】
<発光素子>
本実施形態の発光素子は、陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた第1の層及び第2の層とを有する発光素子である。
【0029】
(第1の層)
第1の層は、化合物(A)と化合物(B)とを含有する層である。
第1の層は、化合物(A)を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。第1の層は、化合物(B)を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
【0030】
第1の層中の化合物(A)及び化合物(B)の合計含有量は、特に限定されず、第1の層としての機能が奏される範囲であればよい。第1の層中の化合物(A)及び化合物(B)の合計含有量は、例えば、第1の層の全量基準で1〜100質量%であってよく、3〜100質量%であることが好ましく、5〜100質量%であることがより好ましく、10〜100質量%であってよく、30〜100質量%であってよく、50〜100質量%であってよく、80〜100質量%であってよい。
【0031】
第1の層中の化合物(B)の含有量は、化合物(A)及び化合物(B)の合計を100質量部とした場合、通常、0.001〜99質量部であり、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは0.01〜95質量部であり、より好ましくは0.1〜90質量部であり、0.5〜85質量部である。また、第1の層中の化合物(B)の含有量は、化合物(A)及び化合物(B)の合計を100質量部とした場合、0.005〜70質量部であってもよく、0.01〜50質量部であってもよく、0.05〜30質量部であってもよく、0.1〜10質量部であってもよく、0.5〜5質量部であってもよい。
【0032】
第1の層において、化合物(A)はホスト材料であることが好ましく、化合物(B)はゲスト材料であることが好ましい。本実施形態において、ホスト材料は、ゲスト材料と物理的、化学的又は電気的に相互作用する材料である。この相互作用により、例えば、本実施形態の発光素子用組成物の発光特性、電荷輸送特性又は電荷注入特性を向上又は調整することが可能となる。
発光材料を一例として説明すれば、ホスト材料とゲスト材料とが電気的に相互作用し、ホスト材料からゲスト材料へ効率的に電気エネルギーを渡すことで、ゲスト材料をより効率的に発光させることができ、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制される。
【0033】
化合物(B)を発光材料として用いる場合、化合物(B)の25℃における発光スペクトルの最大ピーク波長は可視光領域であることが好ましい。この場合、化合物(B)の25℃における発光スペクトルの最大ピーク波長は、好ましくは380nm以上であり、より好ましくは400nm以上であり、更に好ましくは420nm以上であり、特に好ましくは440nm以上である。化合物(B)の25℃における発光スペクトルの最大ピーク波長は、好ましくは750nm以下であり、より好ましくは620nm以下であり、更に好ましくは570nm以下であり、特に好ましくは495nm以下であり、とりわけ好ましくは480nm以下である。
また、化合物(B)を発光材料として用いる場合、化合物(B)の25℃における発光スペクトルの最大ピークの半値幅は、好ましくは50nm以下であり、より好ましくは40nm以下であり、更に好ましくは30nm以下であり、特に好ましくは25nm以下である。
化合物の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は、化合物を、キシレン、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の有機溶媒に溶解させ、希薄溶液を調製し(1×10
−6質量%〜1×10
−3質量%)、該希薄溶液のPLスペクトルを室温で測定することで評価することができる。化合物を溶解させる有機溶媒としては、キシレンが好ましい。
【0034】
[化合物(A)]
化合物(A)は、低分子化合物であることが好ましい。
化合物(A)の分子量は、通常、1×10
2〜1×10
4であり、好ましくは2×10
2〜5×10
3であり、より好ましくは3×10
2〜2×10
3であり、更に好ましくは4×10
2〜1×10
3である。
【0035】
化合物(A)は、式(FH)で表される化合物である。化合物(A)は、化合物(B)と異なる化合物であり、例えば、縮合複素環骨格(b)を有さない化合物であってよい。
【0036】
n
1Hは、通常、10以下の整数であり、式(FH)で表される化合物の合成が容易であるので、好ましくは7以下の整数であり、より好ましくは5以下の整数であり、更に好ましくは3以下の整数である。また、n
1Hは、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、1以上の整数であることが好ましく、2以上の整数であってもよい。
【0037】
Ar
1Hとしては、例えば、単環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子n
1H個以上を除いた基(以下、「単環式の芳香族炭化水素基」ともいう。)、及び、多環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子n
1H個以上を除いた基(以下、「多環式の芳香族炭化水素基」ともいう。)が挙げられ、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは、多環式の芳香族炭化水素基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。また、Ar
1Hは、式(FH)で表される化合物の合成が容易であるので、好ましくは、単環式の芳香族炭化水素基であり、この基は置換基を有していてもよい。
Ar
1Hにおける芳香族炭化水素としては、例えば、前述の芳香族炭化水素基の項で説明した芳香族炭化水素が挙げられる。
Ar
1Hにおける、単環式の芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、好ましくは6である。Ar
1Hにおいて、単環式の芳香族炭化水素基における、単環式の芳香族炭化水素は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくはベンゼンである。
Ar
1Hにおける、多環式の芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、7〜60であり、好ましくは8〜40であり、より好ましくは10〜30であり、更に好ましくは10〜25であり、12〜20であってもよい。Ar
1Hにおいて、多環式の芳香族炭化水素基における多環式の芳香族炭化水素は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは2環式〜7環式の芳香族炭化水素であり、より好ましくは2環式〜6環式の芳香族炭化水素であり、3〜5環式の芳香族炭化水素であってもよい。Ar
1Hにおいて、多環式の芳香族炭化水素基における多環式の芳香族炭化水素は、本実施形態の発光素子の初期劣化が更に抑制されるので、好ましくは、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾフルオレン、ピレン、フルオランテン、ジベンゾアントラセン、ジベンゾフェナントレン、ジベンゾフルオレン、ペリレン、ベンゾフルオランテン、スピロビフルオレン、ベンゾスピロビフルオレン又はアセナフトフルオランテンであり、より好ましくは、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾフルオレン、ピレン、フルオランテン、ジベンゾアントラセン、ジベンゾフェナントレン、ジベンゾフルオレン、ペリレン、ベンゾフルオランテン又はスピロビフルオレンであり、更に好ましくは、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾフルオレン、ピレン、フルオランテン、ペリレン又はベンゾフルオランテンであり、特に好ましくは、アントラセン、フルオレン、ベンゾアントラセン、ベンゾフルオレン、フルオランテン又はベンゾフルオランテンである。
Ar
1Hが有していてもよい置換基としては、例えば、アリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基以外の置換基が挙げられ、好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルケニル基又はシクロアルケニル基であり、より好ましくは、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基であり、特に好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
Ar
1Hが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、後述のR
1Hが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0038】
R
1Hは、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R
1Hにおけるアリール基は、好ましくは、単環式又は2環式〜6環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、単環式又は2環式〜5環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、単環式又は2環式〜4環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。R
1Hにおけるアリール基は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾフルオレン、ピレン、フルオランテン、ジベンゾアントラセン、ジベンゾフェナントレン、ジベンゾフルオレン、ペリレン、ベンゾフルオランテン又はスピロビフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾフルオレン、フルオランテン、ジベンゾフルオレン、ベンゾフルオランテン又はスピロビフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン又はベンゾフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、フェニル基又はナフチル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R
1Hにおける1価の複素環基において、縮合複素環骨格(b)を含まない複素環式化合物としては、前述の複素環基の項で説明した複素環式化合物の中で、ホウ素原子及び窒素原子を環内に含まない複素環式化合物が挙げられる。R
1Hにおける1価の複素環基は、好ましくは、縮合複素環骨格(b)を含まない、単環式又は2環式〜6環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、縮合複素環骨格(b)を含まない、単環式又は2環式〜5環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、縮合複素環骨格(b)を含まない、単環式又は2環式〜4環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。R
1Hにおける1価の複素環基は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは、オキサジアゾール、チアジアゾール、ジアゾール、トリアゾール、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ベンゾジアゾール、ベンゾトリアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10−ジヒドロアクリジン、5,10−ジヒドロフェナジン、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン、ジアザフェナントレン、ベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン、ベンゾナフトチオフェン、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、カルバゾロカルバゾール、ベンゾインドロカルバゾール又はベンゾインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10−ジヒドロアクリジン、ベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン、ベンゾナフトチオフェン、ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール又はインデノカルバゾールから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、ベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン又はベンゾナフトチオフェンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R
1Hにおける置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基であるアリール基の例及び好ましい範囲は、R
1Hにおけるアリール基の例及び好ましい範囲と同じである。アミノ基が有する置換基である1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、R
1Hにおける1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
R
1Hが有していてもよい置換基としては、好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
R
1Hが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、R
1Hにおけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
R
1Hが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、好ましくはハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくはアルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよいが、更に置換基を有さないことが好ましい。
R
1Hが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、R
1Hにおけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0039】
化合物(A)としては、下記式で表される化合物及び後述の化合物A1〜A18が例示される。
【0044】
式中、Z
1は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
【0045】
[化合物(B)]
化合物(B)は、ホウ素原子及び窒素原子を環内に含む縮合複素環骨格(b)を有する化合物である。
化合物(B)において、縮合複素環骨格(b)に含まれる窒素原子のうち、少なくとも1つは、二重結合を形成していない窒素原子であることが好ましく、縮合複素環骨格(b)に含まれる窒素原子の全てが二重結合を形成していない窒素原子であることがより好ましい。
【0046】
縮合複素環骨格(b)の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜60であり、好ましくは5〜40であり、より好ましくは10〜25である。
縮合複素環骨格(b)のヘテロ原子数は、置換基のヘテロ原子数を含めないで、通常2〜30であり、好ましくは2〜15であり、より好ましくは2〜10であり、更に好ましくは2〜5であり、特に好ましくは2又は3である。
縮合複素環骨格(b)のホウ素原子数は、置換基のホウ素原子数を含めないで、通常1〜10であり、好ましくは、1〜5であり、より好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1である。
縮合複素環骨格(b)の窒素原子数は、置換基の窒素原子数を含めないで、通常1〜20であり、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜5であり、更に好ましくは1〜3であり、特に好ましくは2である。
縮合複素環骨格(b)は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは3〜12環式縮合複素環骨格であり、より好ましくは3〜6環式縮合複素環骨格であり、更に好ましくは5環式縮合複素環骨格である。
【0047】
化合物(B)は、縮合複素環骨格(b)を含む複素環基(b’)を有する化合物ということもできる。
【0048】
複素環基(b’)は、ホウ素原子及び窒素原子を環内に含む、多環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であってよく、該基は置換基を有していてもよい。
【0049】
複素環基(b’)が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基がより好ましく、アルキル基、アリール基又は置換アミノ基が更に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0050】
複素環基(b’)が有していてもよい置換基における、アリール基としては、好ましくは、単環式又は2環式〜6環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン又はフルオレンから環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、フェニル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0051】
複素環基(b’)が有していてもよい置換基における、1価の複素環基としては、好ましくは、単環式又は2環式〜6環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン又はフェノチアジンから環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン又はトリアジンから環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0052】
複素環基(b’)が有していてもよい置換基における置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、複素環基(b’)が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0053】
複素環基(b’)が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基がより好ましく、アルキル基又はシクロアルキル基が更に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよいが、更に置換基を有さないことが好ましい。
【0054】
複素環基(b’)が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、複素環基(b’)が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0055】
「二重結合を形成していない窒素原子」とは、他の3つの原子とそれぞれ単結合で結合する窒素原子を意味する。
「環内に二重結合を形成していない窒素原子を含む」とは、環内に−N(−R
N)−(式中、R
Nは水素原子又は置換基を表す。)又は式:
【化14】
で表される基を含むことを意味する。
【0056】
化合物(B)は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、熱活性化遅延蛍光(TADF)性化合物であることが好ましい。
化合物(B)のΔE
STは、2.0eV以下であってもよく、1.5eV以下であってもよく、1.0eV以下であってもよく、0.80eV以下であってもよく、0.60eV以下であってもよいが、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは0.50eV以下である。また、化合物(B)のΔE
STは、0.001eV以上であってもよく、0.01eV以上であってもよく、0.10eV以上であってもよく、0.20eV以上であってもよく、0.30eV以上であってもよく、0.40eV以上であってもよい。
【0057】
化合物(B)は、低分子化合物であることが好ましい。
化合物(B)の分子量は、好ましくは1×10
2〜5×10
3であり、より好ましくは2×10
2〜3×10
3であり、更に好ましくは3×10
2〜1.5×10
3であり、特に好ましくは4×10
2〜1×10
3である。
【0058】
化合物(B)は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、式(1−1)、式(1−2)又は式(1−3)で表される化合物であることが好ましく、式(1−2)又は式(1−3)で表される化合物であることがより好ましく、式(1−2)で表される化合物であることが更に好ましい。
【0059】
Ar
1、Ar
2及びAr
3は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは、単環式、2環式若しくは3環式の芳香族炭化水素又は単環式、2環式若しくは3環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、より好ましくは、単環式の芳香族炭化水素又は単環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ピリジン又はジアザベンゼンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゼンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個以上を除いた基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar
1、Ar
2及びAr
3が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、複素環基(b’)が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0060】
Y
2及びY
3は、好ましくは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−N(Ry)−で表される基又はメチレン基であり、より好ましくは、単結合、酸素原子、硫黄原子又は−N(Ry)−で表される基であり、更に好ましくは、酸素原子、硫黄原子又は−N(Ry)−で表される基であり、特に好ましくは、−N(Ry)−で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Y
1、Y
2及びY
3が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、複素環基(b’)が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0061】
Ryは、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ryにおけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、複素環基(b’)が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ryが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、複素環基(b’)が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0062】
Ryは、直接結合して又は連結基を介して、Ar
1、Ar
2又はAr
3と結合していてもよいが、結合していないことが好ましい。連結基としては、例えば、−O−で表される基、−S−で表される基、−N(Ry)−で表される基、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基及び2価の複素環基が挙げられ、好ましくは、−O−で表される基、−S−で表される基、−N(Ry)−で表される基又はメチレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0063】
化合物(B)としては、下記式で表される化合物及び後述の化合物B1〜B5が例示される。
【0066】
式中、Z
1は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
【0067】
[第1の組成物]
第1の層は、化合物(A)と、化合物(B)と、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種と、を含む組成物(以下、「第1の組成物」ともいう。)を含有する層であってよい。但し、第1の組成物において、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料及び発光材料は、化合物(A)及び化合物(B)とは異なる。
【0068】
・正孔輸送材料
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、トリフェニルアミン及びその誘導体、N,N’−ジ−1−ナフチル−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、並びに、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)ベンジジン(TPD)等の芳香族アミン化合物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体;側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレン及びその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン及びトリニトロフルオレノン等の電子受容性部位が結合された化合物でもよい。
第1の組成物において、正孔輸送材料が含まれる場合、正孔輸送材料の含有量は、化合物(A)及び化合物(B)の合計を100質量部とした場合、通常、1〜1000質量部である。
正孔輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0069】
・電子輸送材料
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンを配位子とする金属錯体、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレン及びジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、及び、これらの誘導体が挙げられる。高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
第1の組成物において、電子輸送材料が含まれる場合、電子輸送材料の含有量は、化合物(A)及び化合物(B)の合計を100質量部とした場合、通常、1〜1000質量部である。
電子輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0070】
・正孔注入材料及び電子注入材料
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料及び電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン及びポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
第1の組成物において、正孔注入材料及び/又は電子注入材料が含まれる場合、正孔注入材料及び電子注入材料の含有量は、各々、化合物(A)及び化合物(B)の合計を100質量部とした場合、通常、1〜1000質量部である。
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0071】
・イオンドープ
正孔注入材料又は電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは1×10
−5S/cm〜1×10
3S/cmである。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。ドープするイオンの種類は、正孔注入材料であればアニオン、電子注入材料であればカチオンである。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
ドープするイオンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0072】
・発光材料
発光材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。発光材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、ナフタレン及びその誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、並びに、イリジウム、白金又はユーロピウムを中心金属とする三重項発光錯体が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、後述の式(Y)で表される構成単位及び/又は式(X)で表される構成単位を含む高分子化合物が挙げられる。
【0073】
第1の組成物において、発光材料が含まれる場合、発光材料の含有量は、化合物(A)及び化合物(B)の合計を100質量部とした場合、通常、1〜1000質量部である。
発光材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0074】
・酸化防止剤
酸化防止剤は、化合物(A)及び化合物(B)と同じ溶媒に可溶であり、発光及び電荷輸送を阻害しない化合物であればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
第1の組成物において、酸化防止剤が含まれる場合、酸化防止剤の含有量は、化合物(A)及び化合物(B)の合計を100質量部とした場合、通常、0.001〜10質量部である。
酸化防止剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0075】
[第1のインク]
第1の層は、例えば、化合物(A)と、化合物(B)と、溶媒とを含有する組成物(以下、「第1のインク」と言う。)を用いて形成することができる。第1のインクは、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の湿式法を用いた発光素子の作製に好適である。インクの粘度は、印刷法の種類によって調整すればよいが、好ましくは25℃において1〜20mPa・sである。
第1のインクに含まれる溶媒は、好ましくは、インク中の固形分を溶解又は均一に分散できる溶媒である。第1のインクに含まれる溶媒としては、例えば、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、4−メチルアニソール等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、ビシクロヘキシル等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系溶媒;エチレングリコール、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール系溶媒;イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
第1のインクにおいて、溶媒の含有量は、化合物(A)及び化合物(B)の合計を100質量部とした場合、通常、1000〜100000質量部である。
溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0076】
第1のインクは、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を更に含んでいてもよい。
第1のインクが更に含んでいてもよい、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤の例及び好ましい範囲は、第1の組成物に含有される正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤の例及び好ましい範囲と同じである。
第1のインクが更に含んでいてもよい、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の含有量は、各々、化合物(A)及び化合物(B)の合計を100質量部とした場合、通常、1〜1000質量部である。第1のインクが更に含んでいてもよい酸化防止剤の含有量は、化合物(A)及び化合物(B)との合計を100質量部とした場合、通常、0.001〜10質量部である。
【0077】
(第2の層)
第2の層は、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位のうちの少なくとも1種を含む高分子化合物(以下、「第2の層の高分子化合物」ともいう。)を用いて形成された層である。
【0078】
本明細書において、「用いて形成された層」とは、層を形成するための材料を用いて層が形成されていることを意味する。当該層には、例えば、層を形成するための材料がそのまま含まれていてもよいし、層を形成するための材料が不溶化された状態(例えば、層を形成するための材料が分子内、分子間、又は、それらの両方で架橋された状態)で含まれていてもよい。
第2の層の高分子化合物を用いて形成された第2の層を例に説明すると、第2の層には、第2の層の高分子化合物がそのまま含まれていてもよいし、第2の層の高分子化合物が不溶化された状態(例えば、第2の層の高分子化合物が分子内、分子間、又は、それらの両方で架橋された状態)で含まれていてもよい。
【0079】
第2の層は、第2の層の高分子化合物を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。また、第2の層は、第2の層の高分子化合物を1種のみ用いて形成してもよく、第2の層の高分子化合物を2種以上用いて形成してもよい。
【0080】
第2の層中の、第2の層の高分子化合物に由来する成分(例えば、第2の層の高分子化合物、第2の層の高分子化合物の架橋体、等)の含有量は、特に限定されず、第2の層としての機能が奏される範囲であればよい。第2の層中の、第2の層の高分子化合物に由来する成分の含有量は、例えば、第2の層の全量基準で、1〜100質量%であってよく、10〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましく、50〜100質量%であることが更に好ましく、80〜100質量%であることが特に好ましい。
【0081】
(第2の層の高分子化合物)
第2の層の高分子化合物は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、式(Y)で表される構成単位を含むことが好ましい。
第2の層の高分子化合物は、正孔輸送性が優れるので、式(X)で表される構成単位を含むことが好ましい。
第2の層の高分子化合物は、正孔輸送性が優れ、且つ、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位を含むことが好ましい。
【0082】
第2の層の高分子化合物が式(X)で表される構成単位を含む場合、式(X)で表される構成単位の含有量は、正孔輸送性が優れるので、第2の層の高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは1〜100モル%であり、より好ましくは5〜90モル%であり、より好ましくは10〜80モル%であり、更に好ましくは20〜70モル%である。
式(X)で表される構成単位は、第2の層の高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0083】
第2の層の高分子化合物が式(Y)で表される構成単位を含み、且つ、Ar
Y1がアリーレン基である場合、式(Y)で表される構成単位の含有量は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、第2の層の高分子化合物の合計量に対して、好ましくは1〜100モル%であり、より好ましくは10〜90モル%であり、更に好ましくは20〜80モル%であり、特に好ましくは30〜70モル%である。
第2の層の高分子化合物が式(Y)で表される構成単位を含み、且つ、Ar
Y1が2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基である場合、式(Y)で表される構成単位の含有量は、第2の層の高分子化合物の電荷輸送性が優れるので、第2の層の高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは1〜100モル%であり、より好ましくは5〜90モル%であり、より好ましくは10〜80モル%であり、更に好ましくは20〜70モル%である。
式(Y)で表される構成単位は、第2の層の架橋高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0084】
第2の層の高分子化合物に含まれる式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位の合計含有量は、第2の層の高分子化合物の正孔輸送性が優れ、且つ、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、第2の層の高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは1〜100モル%であり、より好ましくは10〜100モル%であり、より好ましくは30〜100モル%であり、更に好ましくは50〜100モル%である。
【0085】
<式(Y)で表される構成単位>
Ar
Y1で表されるアリーレン基は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは、単環式又は2環式〜6環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゼン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、これらは置換基を有していてもよい。
Ar
Y1で表される2価の複素環基は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは、単環式又は2環式〜6環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン、フェノチアジン又は9,10−ジヒドロアクリジンから、環を構成する原子(好ましくは炭素原子又は窒素原子、より好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、特に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン又はフェノチアジンから、環を構成する原子(好ましくは炭素原子又は窒素原子、より好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子2個を除いた基であり、これらは置換基を有していてもよい。
Ar
Y1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基の好ましい範囲は、それぞれ、Ar
Y1で表されるアリーレン基及び2価の複素環基の好ましい範囲と同じである。
【0086】
「少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基」としては、例えば、下記式で表される基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。
【0088】
Ar
Y1は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、置換基を有していてもよいアリーレン基であることが好ましい。
【0089】
Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はフッ素原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、特に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは、単環式又は2環式〜6環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の芳香族炭化水素から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、ベンゼン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン又はフルオレンから、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらは更に置換基を有していてもよい。
Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基における1価の複素環基は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは、単環式又は2環式〜6環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、より好ましくは、単環式、2環式又は3環式の複素環式化合物から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、更に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン、フェノチアジン又は9,10−ジヒドロアクリジンから、環を構成する原子(好ましくは炭素原子又は窒素原子、より好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、特に好ましくは、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン又はフェノチアジンから、環を構成する原子(好ましくは炭素原子又は窒素原子、より好ましくは炭素原子)に直接結合する水素原子1個を除いた基であり、これらは更に置換基を有していてもよい。
Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基における置換アミノ基において、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0090】
Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はフッ素原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよいが、更に置換基を有さないことが好ましい。
Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0091】
式(Y)で表される構成単位は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは、式(Y−1)又は(Y−2)で表される構成単位である。
【0093】
式中、
R
Y1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はフッ素原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。複数存在するR
Y1は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
X
Y1は、−C(R
Y2)
2−、−C(R
Y2)=C(R
Y2)−又は−C(R
Y2)
2−C(R
Y2)
2−で表される基を表す。R
Y2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基又はフッ素原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。複数存在するR
Y2は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
【0094】
R
Y1は、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、更に好ましくは、水素原子又はアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R
Y2は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R
Y1及びR
Y2におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
R
Y1及びR
Y2が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
X
Y1は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは、−C(R
Y2)
2−又は−C(R
Y2)
2−C(R
Y2)
2−で表される基であり、より好ましくは、−C(R
Y2)
2−で表される基である。
【0095】
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、下記式で表される構成単位、並びに、後述の化合物M1、M6、M13、M17、M19及びM25から誘導される構成単位が挙げられる。なお、下記式中、Z
1は、酸素原子又は硫黄原子を表す。Z
2は、−CH=で表される基又は−N=で表される基を表す。
【0099】
<式(X)で表される構成単位>
a
X1及びa
X2は、通常0〜5の整数であり、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。
【0100】
R
X1、R
X2及びR
X3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R
X1、R
X2及びR
X3におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0101】
Ar
X1、Ar
X2、Ar
X3及びAr
X4におけるアリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、Ar
Y1におけるアリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar
X2及びAr
X4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、Ar
Y1におけるアリーレン基及び2価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar
X2及びAr
X4における少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、Ar
Y1における少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基と同様のものが挙げられる。
Ar
X1、Ar
X2、Ar
X3及びAr
X4は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0102】
Ar
X1〜Ar
X4及びR
X1〜R
X3で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0103】
式(X)で表される構成単位としては、例えば、下記式で表される構成単位、並びに、後述の化合物M7、M11、M16、M18、M22及びM26から誘導される構成単位が挙げられる。なお、下記式中、Z
1は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
【0107】
[第2の層の架橋高分子化合物]
第2の層の高分子化合物は、本実施形態の発光素子を湿式法で形成でき、且つ、層の積層化が容易となるので、架橋基を更に含むことが好ましい。すなわち、第2の層の高分子化合物は、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位のうちの少なくとも1種を含み、且つ、架橋基を有する高分子化合物(以下、「第2の層の架橋高分子化合物」ともいう)であることが好ましい。
より詳細には、第2の層に、第2の層の高分子化合物が不溶化された状態で含有されている場合、第2の層は、第2の層の架橋高分子化合物を用いて形成された層であることが好ましく、第2の層に、第2の層の架橋高分子化合物が架橋された状態で含有されていることがより好ましい。
【0108】
第2の層の架橋高分子化合物において、架橋基は、第2の層の架橋高分子化合物の架橋性がより優れ、且つ、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは、架橋基A群から選ばれる架橋基(即ち、式(XL−1)〜式(XL−19)で表される架橋基)であり、より好ましくは、式(XL−1)、式(XL−3)、式(XL−9)、式(XL−10)又は式(XL−16)〜式(XL−19)で表される架橋基であり、更に好ましくは、式(XL−1)又は式(XL−16)〜式(XL−19)で表される架橋基であり、特に好ましくは、式(XL−1)又は式(XL−17)で表される架橋基である。
架橋基A群から選ばれる架橋基において、架橋基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
第2の層の架橋高分子化合物は、架橋基を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0109】
第2の層の架橋高分子化合物は、第2の層の架橋高分子化合物の架橋性がより優れ、且つ、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、架橋基を、架橋基を有する構成単位として含むことが好ましい。すなわち、第2の層の架橋高分子化合物は、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位のうちの少なくとも1種と、架橋基を有する構成単位と、を含む高分子化合物であることが好ましい。
【0110】
架橋基を有する構成単位の含有量は、第2の層の架橋高分子化合物の安定性及び架橋性が優れるので、第2の層の架橋高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは1〜90モル%であり、より好ましくは3〜70モル%であり、更に好ましくは5〜50モル%である。
架橋基を有する構成単位は、第2の層の架橋高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0111】
<架橋基を有する構成単位>
架橋基を有する構成単位は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは、式(Z)で表される構成単位又は式(Z’)で表される構成単位である。
【0112】
・式(Z)で表される構成単位
nは、通常1〜5の整数であり、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1又は2である。
nAは、通常0〜5の整数であり、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。
【0113】
Ar
3は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。
Ar
3における芳香族炭化水素基としては、Ar
Y1におけるアリーレン基として説明した基から水素原子n個を除いた基が挙げられる。
Ar
3における複素環基としては、Ar
Y1における2価の複素環基として説明した基から水素原子n個を除いた基が挙げられる。
Ar
3における少なくとも1種の芳香族炭化水素基と少なくとも1種の複素環基が直接結合した基としては、Ar
Y1における少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基として説明した基から水素原子n個を除いた基が挙げられる。
【0114】
L
Aで表されるアリーレン基の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表されるアリーレン基の例及び好ましい範囲と同じであるが、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、L
Aで表されるアリーレン基は、好ましくは、フェニレン基又はフルオレンジイル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
L
Aで表される2価の複素環基の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表される2価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
L
Aは、第2の層の架橋高分子化合物の合成が容易になるので、好ましくは、アリーレン基又はアルキレン基であり、より好ましくは、フェニレン基、フルオレンジイル基又はアルキレン基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0115】
R’は、好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、アリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
R’におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、Ar
Y1が有していてもよい置換基におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0116】
Ar
3、L
A及びR’で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0117】
Xにおける架橋基の例及び好ましい範囲は、第2の層の架橋高分子化合物における架橋基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0118】
・式(Z’)で表される構成単位
mAは、通常0〜5の整数であり、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、更に好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
mは、通常0〜5の整数であり、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、更に好ましくは0である。
cは、通常0〜5の整数であり、第2の層の架橋高分子化合物の製造が容易になり、且つ、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1であり、更に好ましくは0である。
【0119】
Ar
5は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。
Ar
5における芳香族炭化水素基としては、Ar
X1、Ar
X2、Ar
X3及びAr
X4におけるアリーレン基として説明した基から水素原子m個を除いた基が挙げられる。
Ar
5における複素環基としては、Ar
X1、Ar
X2、Ar
X3及びAr
X4における2価の複素環基として説明した基から水素原子m個を除いた基が挙げられる。
Ar
5における少なくとも1種の芳香族炭化水素基と少なくとも1種の複素環基が直接結合した基としては、Ar
X2及びAr
X4における少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基として説明した基から水素原子m個を除いた基が挙げられる。
Ar
4及びAr
6は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
Ar
4及びAr
6におけるアリーレン基の例及び好ましい範囲は、Ar
X1、Ar
X2、Ar
X3及びAr
X4におけるアリーレン基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar
4及びAr
6における2価の複素環基の例及び好ましい範囲は、Ar
X1、Ar
X2、Ar
X3及びAr
X4における2価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
Ar
4〜Ar
6で表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0120】
K
Aの例及び好ましい範囲は、L
Aの例及び好ましい範囲と同じである。
R’’の例及び好ましい範囲は、R’の例及び好ましい範囲と同じである。
X’における架橋基の例及び好ましい範囲は、Xで表される架橋基の例及び好ましい範囲と同じである。
X’におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R
X1、R
X2及びR
X3におけるアリール基及び1価の複素環基の例及び好ましい範囲の例及び好ましい範囲と同じである。
X’は、好ましくは、架橋基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくは、架橋基、アリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくは、架橋基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
X’で表される基が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0121】
架橋基を有する構成単位としては、例えば、下記式で表される構成単位、並びに、後述の化合物M8〜M10、M12、M14、M15、M20及びM21から誘導される構成単位が挙げられる。なお、下記式中、Z
1は、酸素原子又は硫黄原子を表す。X
Aは架橋基A群から選ばれる架橋基を表す。X
Aが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。X
Aの好ましい範囲は、第2の層の架橋高分子化合物における架橋基の好ましい範囲と同じである。
【0127】
第2の層の高分子化合物としては、例えば、表1に示す高分子化合物P−1〜P−10が挙げられる。ここで、「その他」とは、式(Z)で表される構成単位、式(Z’)で表される構成単位、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。
【0129】
表1中、p’、q’、r’、s’及びt’は、各構成単位のモル比率(モル%)を表す。p’+q’+r’+s’+t’=100であり、且つ、70≦p’+q’+r’+s’≦100である。
【0130】
第2の層の高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、複数種の原料モノマーを共重合した共重合体であることが好ましい。
第2の層の高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは5×10
3〜1×10
6であり、より好ましくは1×10
4〜5×10
5であり、更に好ましくは1.5×10
4〜1.5×10
5である。第2の層の高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1×10
4〜2×10
6であり、より好ましくは2×10
4〜1×10
6であり、更に好ましくは3×10
4〜5×10
5であり、特に好ましくは5×10
4〜3×10
5である。
【0131】
[第2の層の高分子化合物の製造方法]
第2の層の高分子化合物は、ケミカルレビュー(Chem. Rev.),第109巻,897−1091頁(2009年)等に記載の公知の重合方法を用いて製造することができ、Suzuki反応、Yamamoto反応、Buchwald反応、Stille反応、Negishi反応及びKumada反応等の遷移金属触媒を用いるカップリング反応により重合させる方法が例示される。
【0132】
上記重合方法において、単量体を仕込む方法としては、単量体全量を反応系に一括して仕込む方法、単量体の一部を仕込んで反応させた後、残りの単量体を一括、連続又は分割して仕込む方法、単量体を連続又は分割して仕込む方法等が挙げられる。
【0133】
遷移金属触媒としては、パラジウム触媒、ニッケル触媒等が挙げられる。
【0134】
重合反応の後処理は、公知の方法、例えば、分液により水溶性不純物を除去する方法、メタノール等の低級アルコールに重合反応後の反応液を加えて、析出させた沈殿を濾過した後、乾燥させる方法等を単独又は組み合わせて行う。第2の層の高分子化合物の純度が低い場合、例えば、再結晶、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製することができる。
【0135】
[第2の組成物]
第2の層は、第2の層の高分子化合物と、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む組成物(以下、「第2の組成物」ともいう。)を含有する層であってもよく、第2の組成物を用いて形成された層であってもよい。但し、第2の組成物において、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料及び発光材料は、第2の層の高分子化合物とは異なる。
【0136】
第2の組成物に含有される正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の例及び好ましい範囲は、第1の組成物に含有される正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の例及び好ましい範囲と同じである。 第2の組成物において、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の含有量は、各々、第2の層の高分子化合物の合計を100質量部とした場合、通常、1〜1000質量部である。
【0137】
第2の組成物に含有される酸化防止剤の例及び好ましい範囲は、第1の組成物に含有される酸化防止剤の例及び好ましい範囲と同じである。第2の組成物において、酸化防止剤の含有量は、第2の層の高分子化合物の合計を100質量部とした場合、通常、0.001〜10質量部である。
【0138】
・第2のインク
第2の層は、例えば、第2の層の高分子化合物と、溶媒とを含有する組成物(以下、「第2のインク」という。)を用いて形成することができる。第2のインクは、第1のインクの項で説明した湿式法に好適に使用することができる。第2のインクの粘度の好ましい範囲は、第1のインクの粘度の好ましい範囲と同じである。第2のインクに含有される溶媒の例及び好ましい範囲は、第1のインクに含有される溶媒の例及び好ましい範囲と同じである。
第2のインクにおいて、溶媒の含有量は、第2の層の高分子化合物を100質量部とした場合、通常、1000〜100000質量部である。
第2のインクは、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を更に含んでいてもよい。
第2のインクが更に含んでいてもよい、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤の例及び好ましい範囲は、第2の組成物に含有される正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料、発光材料及び酸化防止剤の例及び好ましい範囲と同じである。
第2のインクが更に含んでいてもよい、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の含有量は、各々、第2の層の高分子化合物を100質量部とした場合、通常、1〜1000質量部である。第2のインクが更に含んでいてもよい酸化防止剤の含有量は、第2の層の高分子化合物を100質量部とした場合、通常、0.001〜10質量部である。
【0139】
<発光素子>
本実施形態の発光素子は、陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた第1の層及び第2の層とを有する発光素子である。
本実施形態の発光素子は、第1の層及び第2の層以外の層を更に有していてもよい。
【0140】
本実施形態の発光素子において、第1の層は、通常、発光層(以下、「第1の発光層」と言う。)である。
本実施形態の発光素子において、第2の層は、通常、正孔輸送層、発光層(即ち、第1の発光層とは別個の発光層であり、以下、「第2の発光層」と言う。)又は電子輸送層であり、好ましくは、正孔輸送層又は第2の発光層であり、より好ましくは正孔輸送層である。
【0141】
本実施形態の発光素子において、第1の層と第2の層とは、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、隣接していることが好ましい。
本実施形態の発光素子において、第2の層は、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、陽極及び第1の層の間に設けられた層であることが好ましく、陽極及び第1の層の間に設けられた正孔輸送層又は第2の発光層であることがより好ましく、陽極及び第1の層の間に設けられた正孔輸送層であることが更に好ましい。
【0142】
本実施形態の発光素子において、第2の層が陽極及び第1の層の間に設けられた第2の発光層である場合、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、陽極と第2の層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。また、第2の層が陽極及び第1の層の間に設けられた第2の発光層である場合、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、陰極と第1の層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
【0143】
本実施形態の発光素子において、第2の層が陰極及び第1の層の間に設けられた第2の発光層である場合、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、陽極と第1の層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。また、第2の層が陰極及び第1の層の間に設けられた第2の発光層である場合、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、陰極と第2の層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
【0144】
本実施形態の発光素子において、第2の層が陽極及び第1の層の間に設けられた正孔輸送層である場合、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、陽極と第2の層との間に、正孔注入層を更に有することが好ましい。また、第2の層が陽極及び第1の層の間に設けられた正孔輸送層である場合、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、陰極と第1の層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
【0145】
本実施形態の発光素子において、第2の層が陰極及び第1の層の間に設けられた電子輸送層である場合、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、陽極と第1の層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。また、第2の層が陰極及び第1の層の間に設けられた電子輸送層である場合、本実施形態の発光素子の初期劣化がより抑制されるので、陰極と第2の層との間に、電子注入層を更に有することが好ましい。
【0146】
本実施形態の発光素子の具体的な層構成としては、例えば、下記の(D1)〜(D15)で表される層構成が挙げられる。本実施形態の発光素子は、通常、基板を有するが、基板上に陽極から積層されていてもよく、基板上に陰極から積層されていてもよい。
【0147】
(D1)陽極/正孔輸送層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/陰極
(D2)陽極/第2の発光層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/陰極
(D3)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/陰極
(D4)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層/陰極
(D5)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/電子注入層/陰極
(D6)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/陰極
(D8)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層/陰極
(D9)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/電子注入層/陰極
(D10)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D11)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第2の発光層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D12)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)/第2の発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D13)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第1の発光層(第1の層)/第2の発光層(第2の層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D14)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層(第2の層)/電子注入層/陰極
(D15)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の層)/第2の発光層/第1の発光層(第1の層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
【0148】
上記の(D1)〜(D15)中、「/」は、その前後の層が隣接して積層していることを意味する。例えば、「正孔輸送層(第2の層)/第1の発光層(第1の層)」とは、正孔輸送層(第2の層)と第1の発光層(第1の層)とが隣接して積層していることを意味する。
【0149】
本実施形態の発光素子において、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極は、それぞれ、必要に応じて、2層以上設けられていてもよい。
陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極が複数存在する場合、それらを構成する材料はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0150】
陽極、正孔注入層、正孔輸送層、第1の層、第2の層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極の厚さは、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、更に好ましくは5nm〜150nmである。
【0151】
本実施形態の発光素子において、積層する層の順番、数、及び厚さは、発光素子の発光効率及び初期劣化を勘案して調整すればよい。
【0152】
[第1の発光層]
第1の発光層は、通常、第1の層である。
【0153】
[第2の発光層]
第2の発光層は、通常、第2の層又は発光材料を含有する層であり、好ましくは、発光材料を含有する層である。第2の発光層が発光材料を含有する層である場合、第2の発光層に含有される発光材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい発光材料が挙げられる。第2の発光層に含有される発光材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
本実施形態の発光素子が第2の発光層を有し、且つ、後述の正孔輸送層及び後述の電子輸送層が第2の層ではない場合、第2の発光層は第2の層であることが好ましい。
【0154】
[正孔輸送層]
正孔輸送層は、第2の層又は正孔輸送材料を含有する層であり、好ましくは、第2の層である。正孔輸送層が正孔輸送材料を含有する層である場合、正孔輸送材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい正孔輸送材料が挙げられる。正孔輸送層に含有される正孔輸送材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
本実施形態の発光素子が正孔輸送層を有し、且つ、前述の第2の発光層及び後述の電子輸送層が第2の層ではない場合、正孔輸送層は第2の層であることが好ましい。
【0155】
[電子輸送層]
電子輸送層は、第2の層又は電子輸送材料を含有する層であり、好ましくは、電子輸送材料を含有する層である。電子輸送層が電子輸送材料を含有する層である場合、電子輸送層に含有される電子輸送材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい電子輸送材料が挙げられる。電子輸送層に含有される電子輸送材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
本実施形態の発光素子が電子輸送層を有し、且つ、前述の第2の発光層及び前述の正孔輸送層が第2の層ではない場合、電子輸送層は第2の層であることが好ましい。
【0156】
[正孔注入層及び電子注入層]
正孔注入層は、正孔注入材料を含有する層である。正孔注入層に含有される正孔注入材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい正孔注入材料が挙げられる。正孔注入層に含有される正孔注入材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
【0157】
電子注入層は、電子注入材料を含有する層である。電子注入層に含有される電子注入材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい電子注入材料が挙げられる。電子注入層に含有される電子注入材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
【0158】
[基板/電極]
発光素子における基板は、電極の形成及び有機層の形成の際に、化学的に変化しない基板であることが好ましい。基板は、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板であってよい。不透明な基板を使用する場合には、基板から最も遠くにある電極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0159】
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
【0160】
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイト及びグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。
【0161】
本実施形態の発光素子において、陽極及び陰極の少なくとも一方は、通常、透明又は半透明であるが、陽極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0162】
陽極及び陰極の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法及びラミネート法が挙げられる。
【0163】
[発光素子の製造方法]
本実施形態の発光素子において、第1の層、第2の層、並びに、第1の層及び第2の層以外の層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、真空蒸着法等の乾式法及び第1のインクの項で説明した湿式法が挙げられ、また、高分子化合物を用いる場合、例えば、第1のインクの項で説明した湿式法が挙げられる。第1の層、第2の層、並びに、第1の層及び第2の層以外の層は、上述した各種インク、各種材料を含むインクを用いて、第1のインクの項で説明した湿式法により形成してもよいし、真空蒸着法等の乾式法により形成してもよい。
【0164】
第1の層は、例えば、乾式法、又は、湿式法により形成することができる。第1の層は、湿式法により形成することが好ましい。
【0165】
第1の層を乾式法により形成する場合、乾式法としては、例えば、真空蒸着法が挙げられる。第1の層を乾式法により形成する場合、第1の層を乾式法により形成する方法としては、例えば、化合物(A)及び化合物(B)を含む組成物を作製後、該組成物を蒸着する方法、上述の第1の組成物を作製後、第1の組成物を蒸着する方法、化合物(A)及び化合物(B)をそれぞれ共蒸着する方法、及び、第1の組成物に含まれる化合物(A)と化合物(B)と各種材料とをそれぞれ共蒸着する方法が挙げられる。
【0166】
第1の層を湿式法により形成する場合、湿式法としては、例えば、第1のインクの項で説明した湿式法が挙げられる。
第1の層を湿式法により形成する場合、第1のインクを用いることが好ましい。すなわち、第1の層は、第1のインクを用いた湿式法により形成することが好ましい。
第1のインクを用いた湿式法は、通常、第1のインクに含まれる溶媒を除去する工程を含む。第1のインクに含まれる溶媒を除去する方法としては、例えば、自然乾燥、真空乾燥及び加熱乾燥が挙げられ、好ましくは、自然乾燥又は真空乾燥である。乾燥する温度は、通常0℃〜300℃であり、好ましくは5℃〜150℃であり、より好ましくは10℃〜75℃であり、更に好ましくは15℃〜40℃である。
【0167】
第2の層は、湿式法により形成することが好ましい。
第2の層を湿式法により形成する場合、湿式法としては、例えば、第1のインクの項で説明した湿式法が挙げられる。
第2の層を湿式法により形成する場合、第2のインクを用いることが好ましい。すなわち、第2の層は、第2のインクを用いた湿式法により形成することが好ましい。
第2のインクを用いた湿式法は、通常、第2のインクに含まれる溶媒を除去する工程を含む。第2のインクに含まれる溶媒を除去する方法の例及び好ましい範囲は、第1のインクに含まれる溶媒を除去する方法の例及び好ましい範囲と同じである。
【0168】
例えば、第2のインクに第2の層の架橋高分子化合物を含有する場合、第2のインクを用いた湿式法により、第2の層を形成後、加熱又は光照射(好ましくは、加熱)することで、第2の層に含有される第2の層の架橋高分子化合物を架橋させることができる。第2の層の架橋高分子化合物が架橋した状態で、第2の層に含有されている場合、第2の層は溶媒に対して実質的に不溶化されている。そのため、第2の層は、本実施形態の発光素子の製造において、層の積層化に好適に使用することができる。
【0169】
架橋させるための加熱の温度は、通常、25℃〜300℃であり、好ましくは50℃〜260℃であり、より好ましくは130℃〜230℃であり、更に好ましくは180℃〜210℃である。
加熱の時間は、通常、0.1分〜1000分であり、好ましくは0.5分〜500分であり、より好ましくは1分〜120分であり、更に好ましくは10分〜60分である。
光照射に用いられる光の種類は、例えば、紫外光、近紫外光、可視光である。
【0170】
第1の層、第2の層、又は、第1の層及び第2の層以外の層に含有される成分の分析方法としては、例えば、抽出等の化学的分離分析法、赤外分光法(IR)、核磁気共鳴分光法(NMR)、質量分析法(MS)等の機器分析法、並びに、化学的分離分析法及び機器分析法を組み合わせた分析法が挙げられる。
【0171】
第1の層、第2の層、又は、第1の層及び第2の層以外の層に対して、トルエン、キシレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の有機溶媒を用いた固液抽出を行うことで、有機溶媒に対して実質的に不溶な成分(不溶成分)と、有機溶媒に対して溶解する成分(溶解成分)とに分離することが可能である。不溶成分は赤外分光法又は核磁気共鳴分光法により分析することが可能であり、溶解成分は核磁気共鳴分光法又は質量分析法により分析することが可能である。
【0172】
本実施形態の発光素子は、例えば、基板上に各層を順次積層することにより製造することができる。具体的には、基板上に陽極を設け、その上に正孔注入層、正孔輸送層等の層を設け、その上に発光層を設け、その上に電子輸送層、電子注入層等の層を設け、更にその上に、陰極を積層することにより、発光素子を製造することができる。他の製造方法としては、基板上に陰極を設け、その上に電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層等の層を設け、更にその上に、陽極を積層することにより、発光素子を製造することができる。更に他の製造方法としては、陽極又は陽極上に各層を積層した陽極側基材と陰極又は陰極上に各層を積層させた陰極側基材とを、対向させて接合することにより製造することができる。
【0173】
本実施形態の発光素子の作製において、正孔注入層の形成に用いる材料、発光層の形成に用いる材料、正孔輸送層の形成に用いる材料、電子輸送層の形成に用いる材料、及び、電子注入層の形成に用いる材料が、各々、正孔注入層、発光層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層に隣接する層の形成時に使用される溶媒に溶解する場合、該溶媒に該材料が溶解することが回避されることが好ましい。材料の溶解を回避する方法としては、i)架橋基を有する材料を用いる方法、又は、ii)隣接する層の溶媒への溶解性に差を設ける方法が好ましい。上記i)の方法では、架橋基を有する材料を用いて層を形成した後、該架橋基を架橋させることにより、該層を不溶化させることができる。また、上記ii)の方法としては、例えば、発光層の上に、溶解性の差を利用して電子輸送層を積層する場合、発光層に対して溶解性の低いインクを用いることで電子輸送層を発光層上に積層することができる。
【0174】
[用途]
本実施形態の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の光源、照明用の光源、有機EL照明、コンピュータ、テレビ及び携帯端末等の表示装置(例えば、有機ELディスプレイ及び有機ELテレビ)として好適に用いることができる。
【実施例】
【0175】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0176】
実施例において、高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及びポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、移動相にテトラヒドロフランを用い、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)により求めた。なお、SECの各測定条件は、次のとおりである。
測定する高分子化合物を約0.05質量%の濃度でテトラヒドロフランに溶解させ、SECに10μL注入した。移動相は、2.0mL/分の流量で流した。カラムとして、PLgel MIXED−B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器にはUV−VIS検出器(島津製作所製、商品名:SPD−10Avp)を用いた。
【0177】
実施例において、化合物のΔE
STの値の算出は、B3LYPレベルの密度汎関数法により、化合物の基底状態を構造最適化し、その際、基底関数としては、6−31G*を用いた。そして、量子化学計算プログラムとしてGaussian09を用いて、B3LYPレベルの時間依存密度汎関数法により、化合物のΔE
STを算出した。
【0178】
実施例において、化合物の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は、分光光度計(日本分光株式会社製、FP−6500)により室温にて測定した。化合物をキシレンに、約8×10
−4質量%の濃度で溶解させたキシレン溶液を試料として用いた。励起光としては、波長325nmの紫外(UV)光を用いた。
【0179】
<合成例M> 化合物M1〜M26の合成
化合物M1は、特開2010−189630号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M6及び化合物M7は、国際公開第2002/045184号に記載の方法に従って合成した。
化合物M8は、国際公開第2011/049241号に記載の方法に従って合成した。
化合物M9及び化合物M10は、国際公開第2013/146806号に記載の方法に従って合成した。
化合物M11は、国際公開第2005/049546号に記載の方法に従って合成した。
化合物M12は、国際公開第2015/145871号に記載の方法に従って合成した。
化合物M13は、特開2010−215886号公報に記載の方法に準じて合成した。
化合物M14は、特開2008−106241号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M15は、特開2010−215886号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M16は、国際公開第2016/031639号に記載の方法に準じて合成した。
化合物M17及び化合物M19は、特開2011−174062号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M18、化合物M22及び化合物M26は、国際公開第2016/031639号に記載の方法に従って合成した。
化合物M20及び化合物M21は、国際公開第2013/191088号に記載の方法に従って合成した。
化合物M25は、国際公開第2002/045184号に記載の方法に準じて合成した。
【0180】
【化30】
【0181】
【化31】
【0182】
【化32】
【0183】
【化33】
【0184】
【化34】
【0185】
【化35】
【0186】
<合成例HTL> 高分子化合物HTL−1〜HTL−13の合成
高分子化合物HTL−1〜HTL−13は、表2に記載の種類及びモル比の化合物を用いて、同表に記載の合成方法で合成した。得られた高分子化合物のMn及びMwは、表2に記載のとおりである。
なお、高分子化合物HTL−1の合成を一例として説明すると、以下のとおりになる。
高分子化合物HTL−1は、化合物M19、化合物M11、化合物M25及び化合物M14を用いて、特開2012−144722号公報に記載の方法に従って合成した。高分子化合物HTL−1のMnは7.8×10
4であり、Mwは2.6×10
5であった。
高分子化合物HTL−1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M19から誘導される構成単位と、化合物M11から誘導される構成単位と、化合物M25から誘導される構成単位と、化合物M14から誘導される構成単位とを、50:30:12.5:7.5のモル比で有する共重合体である。
【0187】
【表2】
【0188】
<化合物HTM−1、HTM−2、H1、T1、A1〜A18及びB1〜B5の入手及び合成>
化合物HTM−1、化合物HTM−2、化合物H1、化合物A7、化合物A9、化合物A13〜A18及び化合物B2は、Luminescence Technology社製を用いた。
化合物T1は、国際公開第2018/062278号に記載の方法に従って合成した。
化合物A1及び化合物A6は、国際公開第2017/170314号に記載の方法に従って合成した。
化合物A2は、国際公開第2007/058368号に記載の方法に従って合成した。
化合物A3は、Amadis Chemical社製を用いた。
化合物A4は、国際公開第2008/059713号に記載の方法に準じて合成した。
化合物A5及び化合物A12は、特開2011−105643号公報に記載の方法に準じて合成した。
化合物A8は、国際公開第2010/015306号に記載の方法に準じて合成した。
化合物A10は、国際公開第2011/070963号に記載の方法に準じて合成した。
化合物A11は、国際公開第2010/136109号に記載の方法に準じて合成した。
化合物B1及び化合物B3〜B5は、国際公開第2015/102118号に記載の方法に準じて合成した。
【0189】
【化36】
【0190】
【化37】
【0191】
【化38】
【0192】
【化39】
【0193】
【化40】
【0194】
【化41】
【0195】
【化42】
【0196】
【化43】
【0197】
化合物B1の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は453nmであった。化合物B1の室温における発光スペクトルの最大ピークの半値幅は、22nmであった。化合物B1のΔE
STは、0.457eVであった。
化合物B2の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は452nmであった。化合物B2の室温における発光スペクトルの最大ピークの半値幅は、22nmであった。化合物B2のΔE
STは、0.494eVであった。
化合物B3の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は452nmであった。化合物B3の室温における発光スペクトルの最大ピークの半値幅は、22nmであった。化合物B3のΔE
STは、0.447eVであった。
化合物B4の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は453nmであった。化合物B4の室温における発光スペクトルの最大ピークの半値幅は、21nmであった。化合物B4のΔE
STは、0.479eVであった。
化合物B5の室温における発光スペクトルの最大ピーク波長は440nmであった。化合物B5の室温における発光スペクトルの最大ピークの半値幅は、20nmであった。化合物B5のΔE
STは、0.471eVであった。
【0198】
<実施例D1> 発光素子D1の作製と評価
(陽極及び正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚さでITO膜を付けることにより、陽極を形成した。該陽極上に、正孔注入材料であるND−3202(日産化学工業製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜した。正孔注入層を積層した基板を大気雰囲気下において、ホットプレート上で50℃、3分間加熱し、更に230℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0199】
(第2の層の形成)
キシレンに高分子化合物HTL−5を0.7質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱させることにより、第2の層(正孔輸送層)を形成した。この加熱により、高分子化合物HTL−5は、架橋した状態となった。
【0200】
(第1の層の形成)
トルエンに、化合物A1及び化合物B1(化合物A1/化合物B1=99質量%/1質量%)を1.5質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、第2の層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより、第1の層(発光層)を形成した。
【0201】
(陰極の形成)
第1の層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、陰極を形成した基板をガラス基板で封止することにより、発光素子D1を作製した。
【0202】
(発光素子の評価)
発光素子D1に電圧を印加することによりEL発光が観測された。100mA/cm
2で定電流駆動させ、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間(以下、「LT95」ともいう。)を測定した。
【0203】
<実施例D2〜D10及び比較例CD1〜CD3> 発光素子D2〜D10及びCD1〜CD3の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL−5」に代えて、表3に記載の材料を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物A1及び化合物B1(化合物A1/化合物B1=99質量%/1質量%)」に代えて、表3に記載の材料を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D2〜D10及びCD1〜CD3を作製した。
発光素子D2〜D10及びCD1〜CD3に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D2〜D10及びCD1〜CD3のLT95を測定した。
【0204】
実施例D1〜D10及び比較例CD1〜CD3の結果を表3に示す。発光素子CD1のLT95を1としたときの発光素子D1〜D10、CD2及びCD3のLT95の相対値を示す。
【0205】
【表3】
【0206】
<実施例D11〜D21及び比較例CD4〜CD5> 発光素子D11〜D21、CD4及びCD5の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL−5」に代えて、表4に記載の材料を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物A1及び化合物B1(化合物A1/化合物B1=99質量%/1質量%)」に代えて、「化合物A1及び化合物B2(化合物A1/化合物B2=99質量%/1質量%)」を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D11〜D21、CD4及びCD5を作製した。
発光素子D11〜D21、CD4及びCD5に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D11〜D21、CD4及びCD5のLT95を測定した。
【0207】
実施例D11〜D21及び比較例CD4〜CD5の結果を表4に示す。発光素子CD4のLT95を1.0としたときの発光素子D11〜D21及びCD5のLT95の相対値を示す。
【0208】
【表4】
【0209】
<実施例D22〜D30及び比較例CD6> 発光素子D22〜D30及びCD6の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL−5」に代えて、表5に記載の材料を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物A1及び化合物B1(化合物A1/化合物B1=99質量%/1質量%)」に代えて、「化合物A1及び化合物B3(化合物A1/化合物B3=99質量%/1質量%)」を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D22〜D30及びCD6を作製した。
発光素子D22〜D30及びCD6に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D22〜D30及びCD6のLT95を測定した。
【0210】
実施例D22〜D30及び比較例CD6の結果を表5に示す。発光素子D30のLT95を1.0としたときの発光素子D22〜D29及びCD6のLT95の相対値を示す。
【0211】
【表5】
【0212】
<実施例D31及び比較例CD7> 発光素子D31及びCD7の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL−5」に代えて、表6に記載の材料を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物A1及び化合物B1(化合物A1/化合物B1=99質量%/1質量%)」に代えて、「化合物A1及び化合物B4(化合物A1/化合物B4=99質量%/1質量%)」を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D31及びCD7を作製した。
発光素子D31及びCD7に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D31及びCD7のLT95を測定した。
【0213】
実施例D31及び比較例CD7の結果を表6に示す。発光素子CD7のLT95を1としたときの発光素子D31のLT95の相対値を示す。
【0214】
【表6】
【0215】
<実施例D32〜D34及び比較例CD8> 発光素子D32〜D34及びCD8の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL−5」に代えて、「高分子化合物HTL−6」を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物A1及び化合物B1(化合物A1/化合物B1=99質量%/1質量%)」に代えて、表7に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D32〜D34及びCD8を作製した。
発光素子D32〜D34及びCD8に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D32〜D34及びCD8を100mA/cm
2で定電流駆動させ、輝度が初期輝度の90%となるまでの時間(以下、「LT90」ともいう。)を測定した。
【0216】
実施例D32〜D34及び比較例CD8の結果を表7に示す。発光素子CD8のLT90を1としたときの発光素子D32〜D34のLT90の相対値を示す。
【0217】
【表7】
【0218】
<実施例D35〜D36及び比較例CD9> 発光素子D35、D36及びCD9の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL−5」に代えて、「高分子化合物HTL−3」を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物A1及び化合物B1(化合物A1/化合物B1=99質量%/1質量%)」に代えて、表8に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D35、D36及びCD9を作製した。
発光素子D35、D36及びCD9に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D35、D36及びCD9のLT95を測定した。
【0219】
実施例D35〜D36及び比較例CD9の結果を表8に示す。発光素子CD9のLT95を1としたときの発光素子D35及びD36のLT95の相対値を示す。
【0220】
【表8】
【0221】
<実施例D37〜D38及び比較例CD10> 発光素子D37、D38及びCD10の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL−5」に代えて、「高分子化合物HTL−6」を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物A1及び化合物B1(化合物A1/化合物B1=99質量%/1質量%)」に代えて、表9に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D37、D38及びCD10を作製した。
発光素子D37、D38及びCD10に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D37、D38及びCD10のLT90を測定した。
【0222】
実施例D37〜D38及び比較例CD10の結果を表9に示す。発光素子CD10のLT90を1としたときの発光素子D37及びD38のLT90の相対値を示す。
【0223】
【表9】
【0224】
<実施例D39〜D40及び比較例CD11> 発光素子D39、D40及びCD11の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL−5」に代えて、「高分子化合物HTL−3」を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物A1及び化合物B1(化合物A1/化合物B1=99質量%/1質量%)」に代えて、表10に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D39、D40及びCD11を作製した。
発光素子D39、D40及びCD11に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D39、D40及びCD11のLT90を測定した。
【0225】
実施例D39〜D40及び比較例CD11の結果を表10に示す。発光素子CD11のLT90を1としたときの発光素子D39及びD40のLT90の相対値を示す。
【0226】
【表10】
【0227】
<実施例D41〜D49及び比較例CD12> 発光素子D41〜D49及びCD12の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL−5」に代えて、「高分子化合物HTL−13」を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物A1及び化合物B1(化合物A1/化合物B1=99質量%/1質量%)」に代えて、表11に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D41〜D49及びCD12を作製した。
発光素子D41〜D49及びCD12に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D41〜D49及びCD12のLT90を測定した。
【0228】
実施例D41〜D49及び比較例CD12の結果を表11に示す。発光素子CD12のLT90を1.0としたときの発光素子D41〜D49のLT90の相対値を示す。
【0229】
【表11】
【0230】
<実施例D50〜D52及び比較例CD13> 発光素子D50〜D52及びCD13の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL−5」に代えて、表12に記載の材料を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物A1及び化合物B1(化合物A1/化合物B1=99質量%/1質量%)」に代えて、表12に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D50〜D52及びCD13を作製した。
発光素子D50〜D52及びCD13に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D50〜D52及びCD13のLT90を測定した。
【0231】
実施例D50〜D52及び比較例CD13の結果を表12に示す。発光素子CD13のLT90を1としたときの発光素子D50〜D52のLT90の相対値を示す。
【0232】
【表12】
【0233】
<実施例D53及び比較例CD14> 発光素子D53及びCD14の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL−5」に代えて、表13に記載の材料を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物A1及び化合物B1(化合物A1/化合物B1=99質量%/1質量%)」に代えて、「化合物H1、化合物B2及び化合物A13(化合物H1/化合物B2/化合物A13=81質量%/4質量%/15質量%)」を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D53及びCD14を作製した。
発光素子D53及びCD14に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D53及びCD14のLT90を測定した。
【0234】
実施例D53及び比較例CD14の結果を表13に示す。発光素子CD14のLT90を1.0としたときの発光素子D53のLT90の相対値を示す。
【0235】
【表13】
【0236】
<実施例D54〜D58及び比較例CD15> 発光素子D54〜D58及びCD15の作製と評価
実施例D1の(第2の層の形成)における「高分子化合物HTL−5」に代えて、「高分子化合物HTL−13」を用い、更に、実施例D1の(第1の層の形成)における「化合物A1及び化合物B1(化合物A1/化合物B1=99質量%/1質量%)」に代えて、表14に記載の材料及び組成比(質量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D54〜D58及びCD15を作製した。
発光素子D54〜D58及びCD15に電圧を印加することによりEL発光が観測された。発光素子D54〜D58及びCD15を100mA/cm
2で定電流駆動させ、輝度が初期輝度の97%となるまでの時間(以下、「LT97」ともいう。)を測定した。
【0237】
実施例D54〜D58及び比較例CD15の結果を表14に示す。発光素子CD15のLT97を1としたときの発光素子D54〜D58のLT97の相対値を示す。
【0238】
【表14】