(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ワークテーブルと液滴吐出ヘッドを主走査方向に相対的に移動させながら、前記ワークテーブルに載置されたワークに前記液滴吐出ヘッドから機能液の液滴を吐出して描画する液滴吐出方法であって、
位置検出器によって前記液滴吐出ヘッドの位置を検出する第1の工程と、
前記位置検出器で検出された検出位置と前記液滴吐出ヘッドの基準位置との、主走査方向の位置ずれ量を算出し、当該位置ずれ量に基づいて、前記液滴吐出ヘッドにおける液滴の吐出タイミングを補正する第2の工程と、を有し、
前記第1の工程において、前記位置検出器は、前記液滴吐出ヘッドに対応し、主走査方向に並べて形成された少なくとも1つ以上の基準マークの位置を検出することを特徴とする、液滴吐出方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した液滴吐出装置においては、当該液滴吐出装置の立ち上げ時に、液滴吐出ヘッドから吐出された液滴がワークに着弾する際の着弾位置を調節する。具体的には、位置調節用のワークに液滴を着弾させ、その着弾位置を測定し、測定された着弾位置と目標位置との位置ずれ量を算出する。そして、この位置ずれ量に基づいて、例えば液滴吐出ヘッドにおける液滴の吐出タイミングが補正され、またワークテーブルと液滴吐出ヘッドの、主走査方向及び副走査方向の相対的な移動が補正される。
【0007】
しかしながら、このように液滴吐出装置の立ち上げ時に着弾位置の調節を行った後、例えば液滴吐出装置における部材、例えば液滴吐出ヘッドを複数備えるキャリッジの温度変化や経時変化といった要因により、滴吐出ヘッドとワーク上のバンクとの位置関係が変化してしまう場合がある。かかる場合、ワーク上における液滴の着弾位置もずれてしまう。
【0008】
また近年、液滴吐出装置で製造されるテレビなどの製品は、大型で高精細(例えば4K、8K)が主流になっており、ワークの大型化に対応すべく液滴吐出装置も大型化している。このため、上述した要因による液滴吐出ヘッドとバンクとの位置ずれ、すなわち着弾位置の位置ずれが無視できない状況になっている。しかも、ピクセルサイズの影響で、その位置ずれの許容範囲も例えば±2μm以下と小さくなってきている。
【0009】
そこで、液滴吐出装置のように精密制御が必要な装置においては、環境変化にロバストに対応できる着弾位置の位置補正の技術が求められている。しかしながら現状では、このような液滴吐出装置において、着弾位置を適切に補正するには至っていない。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ワークに機能液の液滴を吐出して描画する液滴吐出装置において、液滴吐出ヘッドからワークへの液滴の着弾精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明は、ワークに機能液の液滴を吐出して描画する液滴吐出装置であって、前記ワークを載置するワークテーブルと、前記ワークテーブルに載置された前記ワークに液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、前記ワークテーブルと前記液滴吐出ヘッドを、主走査方向に相対的に移動させるワーク移動機構と、前記液滴吐出ヘッドの位置を検出する位置検出器と、前記位置検出器で検出された検出位置と前記液滴吐出ヘッドの基準位置との、主走査方向の位置ずれ量を算出し、当該位置ずれ量に基づいて、前記液滴吐出ヘッドにおける液滴の吐出タイミングを補正する制御部と、
前記液滴吐出ヘッドを、主走査方向に直交する副走査方向及び回転方向に移動させるヘッド移動機構と、を有し、前記位置検出器は、前記液滴吐出ヘッドに対応し、主走査方向に並べて形成された少なくとも1つ以上の基準マークの位置を検出することを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、液滴吐出装置におけるキャリッジの温度変化や経時変化といった要因により液滴吐出ヘッドとワークとの位置関係が変化した場合でも、制御部において補正された吐出タイミングに基づいて、液滴吐出ヘッドからワークに液滴を適切に吐出することができる。したがって、液滴吐出ヘッドからワークへの液滴の吐出精度(着弾精度)を向上させることができる。
【0014】
前記位置検出器は、2つ以上の基準マークの位置を検出し、前記制御部は、前記位置検出器で検出された検出位置と前記基準マークの基準位置との、主走査方向の位置ずれ量を算出し、当該位置ずれ量に基づいて、前記液滴吐出ヘッドにおける吐出タイミングを補正すると共に、前記位置検出器で検出された検出位置と前記基準マークの基準位置との、副走査方向及び回転方向の位置ずれ量を算出し、当該位置ずれ量に基づいて、前記液滴吐出ヘッドの副走査方向及び回転方向の位置を補正してもよい。
【0015】
前記液滴吐出装置は、前記液滴吐出ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスユニットと、前記メンテナンスユニットと前記液滴吐出ヘッドを、主走査方向に相対的に移動させるユニット移動機構と、をさらに有し、前記位置検出器は、前記メンテナンスユニット側又は前記ワークテーブル側に設けられていてもよい。
別な観点による本発明は、ワークに機能液の液滴を吐出して描画する液滴吐出装置であって、前記ワークを載置するワークテーブルと、前記ワークテーブルに載置された前記ワークに液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、前記ワークテーブルと前記液滴吐出ヘッドを、主走査方向に相対的に移動させるワーク移動機構と、前記液滴吐出ヘッドの位置を検出する位置検出器と、前記位置検出器で検出された検出位置と前記液滴吐出ヘッドの基準位置との、主走査方向の位置ずれ量を算出し、当該位置ずれ量に基づいて、前記液滴吐出ヘッドにおける液滴の吐出タイミングを補正する制御部と、前記液滴吐出ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスユニットと、前記メンテナンスユニットと前記液滴吐出ヘッドを、主走査方向に相対的に移動させるユニット移動機構と、を有し、前記位置検出器は、前記メンテナンスユニット側又は前記ワークテーブル側に設けられていることを特徴としている。
【0016】
前記位置検出器は、前記液滴吐出ヘッド側に設けられていてもよい。
【0017】
前記液滴吐出ヘッドは主走査方向に直交する副走査方向に複数設けられ、前記位置検出器は、複数の前記液滴吐出ヘッドに対応する位置に複数設けられていてもよい。
【0018】
前記液滴吐出ヘッドは主走査方向に直交する副走査方向に複数設けられ、前記位置検出器は副走査方向に移動自在に構成されていてもよい。
【0019】
別な観点による本発明は、ワークテーブルと液滴吐出ヘッドを主走査方向に相対的に移動させながら、前記ワークテーブルに載置されたワークに前記液滴吐出ヘッドから機能液の液滴を吐出して描画する液滴吐出方法であって、位置検出器によって前記液滴吐出ヘッドの位置を検出する第1の工程と、前記位置検出器で検出された検出位置と前記液滴吐出ヘッドの基準位置との、主走査方向の位置ずれ量を算出し、当該位置ずれ量に基づいて、前記液滴吐出ヘッドにおける液滴の吐出タイミングを補正する第2の工程と、を有
し、前記第1の工程において、前記位置検出器は、前記液滴吐出ヘッドに対応し、主走査方向に並べて形成された少なくとも1つ以上の基準マークの位置を検出することを特徴としている。
【0021】
前記位置検出器は、2つ以上の基準マークの位置を検出し、前記第2の工程において、前記位置検出器で検出された検出位置と前記基準マークの基準位置との、主走査方向の位置ずれ量を算出し、当該位置ずれ量に基づいて、前記液滴吐出ヘッドにおける吐出タイミングを補正すると共に、前記位置検出器で検出された検出位置と前記基準マークの基準位置との、主走査方向に直交する副走査方向及び回転方向の位置ずれ量を算出し、当該位置ずれ量に基づいて、前記液滴吐出ヘッドの副走査方向及び回転方向の位置を補正してもよい。
【0022】
前記第1の工程は、前記ワークに前記液滴吐出ヘッドから液滴を吐出する前であって、メンテナンスユニットを用いて前記液滴吐出ヘッドのメンテナンスを行う際に行われ、前記位置検出器は、前記メンテナンスユニット側又は前記ワークテーブル側に設けられていてもよい。
ワークテーブルと液滴吐出ヘッドを主走査方向に相対的に移動させながら、前記ワークテーブルに載置されたワークに前記液滴吐出ヘッドから機能液の液滴を吐出して描画する液滴吐出方法であって、位置検出器によって前記液滴吐出ヘッドの位置を検出する第1の工程と、前記位置検出器で検出された検出位置と前記液滴吐出ヘッドの基準位置との、主走査方向の位置ずれ量を算出し、当該位置ずれ量に基づいて、前記液滴吐出ヘッドにおける液滴の吐出タイミングを補正する第2の工程と、を有し、前記第1の工程は、前記ワークに前記液滴吐出ヘッドから液滴を吐出する前であって、メンテナンスユニットを用いて前記液滴吐出ヘッドのメンテナンスを行う際に行われ、前記位置検出器は、前記メンテナンスユニット側又は前記ワークテーブル側に設けられていることを特徴としている。
【0023】
前記位置検出器は、前記液滴吐出ヘッド側に設けられていてもよい。
【0024】
前記液滴吐出ヘッドは主走査方向に直交する副走査方向に複数設けられ、前記位置検出器は副走査方向に複数設けられ、前記第1の工程において、複数の前記位置検出器はそれぞれ対応する前記液滴吐出ヘッドの位置を検出してもよい。
【0025】
前記液滴吐出ヘッドは主走査方向に直交する副走査方向に複数設けられ、前記第1の工程において、前記位置検出器は副走査方向に移動しながら、複数の前記液滴吐出ヘッドの位置を検出してもよい。
【0026】
また別な観点による本発明によれば、前記液滴吐出方法を液滴吐出装置によって実行させるように、当該液滴吐出装置のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0027】
さらに別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、液滴吐出装置における各部材の温度変化や経時変化といった要因により滴吐出ヘッドとワークとの位置関係が変化した場合でも、液滴吐出ヘッドからワークへの液滴の着弾精度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0031】
<液滴吐出装置の構成>
先ず、本実施の形態に係る液滴吐出装置の構成について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、液滴吐出装置1の構成の概略を示す側面図である。
図2は、液滴吐出装置1の構成の概略を示す平面図である。なお、以下においては、ワークWの主走査方向をY軸方向、主走査方向に直交する副走査方向をX軸方向、Y軸方向及びX軸方向に直交する鉛直方向をZ軸方向、Z軸方向回りの回転方向をθ方向とする。
【0032】
液滴吐出装置1は、主走査方向(Y軸方向)に延在して、ワークWを主走査方向に移動させるY軸ステージ10と、Y軸ステージ10を跨ぐように架け渡され、副走査方向(X軸方向)に延在する一対のX軸ステージ11、11とを有している。Y軸ステージ10の上面には、一対のY軸ガイドレール12、12がY軸方向に延伸して設けられ、各Y軸ガイドレール12には、Y軸リニアモータ13が設けられている。各X軸ステージ11の上面には、X軸ガイドレール14がX軸方向に延伸して設けられ、当該X軸ガイドレール14には、X軸リニアモータ15が設けられている。なお、以下の説明では、Y軸ステージ10上において、X軸ステージ11よりY軸負方向側のエリアを搬入出エリアA1といい、一対のX軸ステージ11、11間のエリアを処理エリアA2といい、X軸ステージ11よりY軸正方向側のエリアを待機エリアA3という。
【0033】
一対のX軸ステージ11、11には、キャリッジユニット20と第1の撮像ユニット30が設けられている。Y軸ステージ10上には、ワークテーブル40と、フラッシングユニット50と、吐出検査ユニット60と、第2の撮像ユニット70とが設けられている。これらワークテーブル40、フラッシングユニット50、吐出検査ユニット60、第2の撮像ユニット70は、Y軸方向にこの順で配置されている。
【0034】
キャリッジユニット20は、X軸ステージ11において、複数、例えば10個設けられている。各キャリッジユニット20は、キャリッジプレート21と、キャリッジ保持機構22と、キャリッジ23とを有している。キャリッジ保持機構22は、キャリッジプレート21の下面の中央部に設けられ、当該キャリッジ保持機構22の下端部にキャリッジ23が着脱自在に取り付けられている。
【0035】
キャリッジプレート21は、X軸ガイドレール14に取り付けられ、X軸リニアモータ15によってX軸方向に移動自在になっている。なお、複数のキャリッジプレート21を一体としてX軸方向に移動させることも可能である。
【0036】
キャリッジ23には、モータ(図示せず)が取り付けられている。このモータにより、キャリッジ23はX軸方向及びθ方向に移動自在に構成されている。そして、キャリッジ23に設けられた、後述する液滴吐出ヘッド24も、X軸方向及びθ方向も移動させることができる。本実施の形態ではキャリッジ23が、本発明のヘッド移動機構を構成している。なお、キャリッジ23(液滴吐出ヘッド24)のX軸方向及びθ方向の移動は、例えばキャリッジ保持機構22によって行われてもよい。
【0037】
キャリッジ23の下面には、
図3に示すように複数の液滴吐出ヘッド24がY軸方向及びX軸方向に並べて設けられている。本実施の形態では、例えばY軸方向に6個、X軸方向に2個、すなわち合計12個の液滴吐出ヘッド24が設けられている。液滴吐出ヘッド24の下面、すなわちノズル面には複数の吐出ノズル(図示せず)が形成されている。そして、当該吐出ノズルからは、液滴吐出ヘッド24直下の液滴吐出位置に対して機能液の液滴が吐出されるようになっている。
【0038】
また、キャリッジ23の下面には、複数の液滴吐出ヘッド24の両側(Y軸正方向側及びY軸負方向側)において、それぞれ基準マークとしてのキャリッジアライメントマーク25(以下、キャリッジマーク25という。)が設けられている。キャリッジマーク25は、複数の液滴吐出ヘッド24をキャリッジ23に組み付ける際の基準となるマークであって、キャリッジ23の絶対的基準位置となる。以下の説明においては、液滴吐出ヘッド24のY軸正方向側のキャリッジマーク25を第1のキャリッジマーク25aといい、Y方向負方向側のキャリッジマーク25を第2のキャリッジマーク25bという。
【0039】
図1及び
図2に示すように第1の撮像ユニット30は、キャリッジ23(液滴吐出ヘッド24)を挟んでY軸方向に対向して設けられた第1の撮像部31と第2の撮像部32を有している。第1の撮像部31及び第2の撮像部32としては、例えばCCDカメラが用いられ、ワークテーブル40の移動中、停止中、ワーク処理中(液滴吐出中)のいずれにおいても、当該ワークテーブル40に載置されたワークWを撮像することができる。第1の撮像部31は、キャリッジ23に対してY軸負方向側に配置されており、第2の撮像部32は、キャリッジ23に対してY軸正方向側に配置されている。なお、第1の撮像ユニット30はX軸方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0040】
第1の撮像部31は、一対のX軸ステージ11、11のうち、Y軸負方向側のX軸ステージ11の側面に設けられたベース33に支持されている。そして、第1の撮像部31の直下にワークテーブル40が案内された際、第1の撮像部31は、ワークテーブル40上に載置されたワークWを撮像する。
【0041】
第2の撮像部32は、一対のX軸ステージ11、11のうち、Y軸正方向側のX軸ステージ11の側面に設けられたベース34に支持されている。そして、第2の撮像部32の直下にワークテーブル40が案内された際、第2の撮像部32は、ワークテーブル40上に載置されたワークWを撮像する。
【0042】
ワークテーブル40は、例えば真空吸着テーブルであり、ワークWを吸着して載置する。ワークテーブル40は、当該ワークテーブル40の下面側に設けられたテーブル移動機構41によって、X軸方向に移動自在であると共にθ方向に回転自在に支持されている。ワークテーブル40とテーブル移動機構41は、テーブル移動機構41の下面側に設けられた第1のY軸スライダ42に支持されている。第1のY軸スライダ42は、Y軸ガイドレール12に取り付けられ、Y軸リニアモータ13によってY軸方向に移動自在に構成されている。したがって、ワークWを載置した状態でワークテーブル40を第1のY軸スライダ42によってY軸ガイドレール12に沿ってY軸方向に移動させることで、ワークWをY軸方向に移動させることができる。なお、本実施の形態では、Y軸リニアモータ13(第1のY軸スライダ42)及びテーブル移動機構41が、本発明のワーク移動機構を構成している。また、本実施の形態では、テーブル移動機構41がワークテーブル40をX軸方向に移動させ、且つθ方向に回転させていたが、ワークテーブル40をX軸方向に移動させる機構とθ方向に回転させる機構はそれぞれ別であってもよい。
【0043】
なお、搬入出エリアA1におけるワークテーブル40の上方には、ワークテーブル40上のワークWを撮像するワークアライメントカメラ(図示せず)が設けられている。そして、ワークアライメントカメラで撮像された画像に基づいて、第1のY軸スライダ42及びテーブル移動機構41により、ワークテーブル40に載置されたワークWのY軸方向、X軸方向及びθ方向の位置が必要に応じて補正される。これにより、ワークWがアライメントされて所定の初期位置に設定される。
【0044】
フラッシングユニット50は、液滴吐出ヘッド24からの捨て吐出を受けるユニットである。フラッシングユニット50には、複数、例えば10個のフラッシング回収台51がX軸方向に並べて設けられている。このフラッシング回収台51の数はキャリッジ23の数と同じであって、フラッシング回収台51のピッチもキャリッジ23のピッチと同じである。
【0045】
フラッシング回収台51は、その上面が開口し、フラッシング回収台51が対応するキャリッジ23の直下に案内された際に、キャリッジ23の液滴吐出ヘッド24から液滴が吐出され(フラッシングされ)、その液滴を受け止めて収容するようになっている。すなわち、ワークWに液滴で描画する前にフラッシング動作され、そのフラッシングに基づく液滴をフラッシング回収台51で回収する。
【0046】
吐出検査ユニット60は、液滴吐出ヘッド24からの検査吐出を受けるユニットである。吐出検査ユニット60には、X軸方向に延伸する検査台61が設けられている。検査台61の上面には、表面にフィルムコーティングが施された検査シート62が配置されている。検査台61に配置された検査シート62は、検査台61が液滴吐出ヘッド24の直下に案内された際に、液滴吐出ヘッド24から吐出された液滴が着弾されるようになっている。
【0047】
第2の撮像ユニット70には、X軸方向に延伸するベース71が設けられている。ベース71の上面には、複数、例えば10個の位置検出器72がX軸方向に並べて設けられている。この位置検出器72の数はキャリッジ23の数と同じであって、位置検出器72もキャリッジ23のピッチと同じである。
【0048】
位置検出器72は、例えばCCDカメラを備え、キャリッジ23の直下に位置検出器72が案内された際、位置検出器72は、キャリッジ23のキャリッジマーク25を撮像する。また、位置検出器72では、CCDカメラで取得された撮像画像に基づいてキャリッジマーク25の位置(すなわち、液滴吐出ヘッド24の位置)を検出する。
【0049】
フラッシングユニット50、吐出検査ユニット60及び第2の撮像ユニット70は、第2のY軸スライダ80に支持されている。第2のY軸スライダ80は、Y軸ガイドレール12に取り付けられ、Y軸ガイドレール12に取り付けられ、Y軸リニアモータ13によってY軸方向に移動自在に構成されている。したがって、フラッシングユニット50、吐出検査ユニット60及び第2の撮像ユニット70も、第2のY軸スライダ80によってY軸ガイドレール12に沿ってY軸方向に移動させることができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、フラッシングユニット50及び吐出検査ユニット60が、本発明のメンテナンスユニットを構成している。また、本実施の形態ではY軸リニアモータ13(第2のY軸スライダ80)が、本発明のユニット移動機構を構成している。
【0051】
<制御部>
以上の液滴吐出装置1には、制御部150が設けられている。制御部150は、例えばコンピュータであり、データ格納部(図示せず)を有している。データ格納部には、例えばワークWに吐出される液滴を制御し、当該ワークWに所定のパターンを描画するための描画データ(ビットマップデータ)などが格納されている。また、制御部150は、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、液滴吐出装置1における各種処理を制御するプログラムなどが格納されている。
【0052】
なお、前記データや前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部150にインストールされたものであってもよい。
【0053】
本実施の形態において、制御部150では、位置検出器72で検出されたキャリッジマーク25a、25bの検出位置と、当該キャリッジマーク25a、25bの基準位置との位置ずれ量に基づいて、液滴吐出ヘッド24における液滴の吐出タイミングを補正すると共に、キャリッジ23(液滴吐出ヘッド24)のX軸方向およびθ方向の位置を補正する。具体的には、以下のステップS1〜S3を行う。
【0054】
なお、位置検出器72は第1のキャリッジマーク25aの直下に位置して、当該第1のキャリッジマーク25aを撮像するが、この際の位置検出器72の位置を第1の撮像位置P1という。さらに、位置検出器72は第2のキャリッジマーク25bの直下に位置して、当該第2のキャリッジマーク25bを撮像するが、この際の位置検出器72の位置を第2の撮像位置P2という。
【0055】
先ず、キャリッジマーク25a、25bの基準位置を取得する(ステップS1)。キャリッジ23を液滴吐出装置1に組み付ける際には、その組み付け誤差により、
図4に示すように複数のキャリッジ23の位置がずれるため、そのキャリッジマーク25a、25bの位置もずれる。そこで、各キャリッジ23におけるキャリッジマーク25a、25bの基準位置を取得する。なお、
図4では、説明を容易にするため、10個のキャリッジ23のうち5個を示している。
【0056】
液滴吐出装置1の立ち上げ時には位置調節用のワークWを用いて、液滴吐出ヘッド24からワークWへの液滴の着弾位置の調節が行われるが、キャリッジマーク25a、25bの基準位置は、この着弾位置の調節時に取得される。具体的には、
図5に示すようにY軸リニアモータ13により、ワークWを載置したワークテーブル40を搬入出エリアA1から待機エリアA3に移動させる。この際、処理エリアA2において、液滴吐出ヘッド24の下方に移動したワークWに対して、当該液滴吐出ヘッド24から液滴を吐出した後、第2の撮像部32においてワークWを撮像し、当該ワークWの上面に着弾した液滴を撮像する。
【0057】
制御部150では、第2の撮像部32で取得された撮像画像に基づいて、ワークW上の液滴の着弾位置を測定し、測定された着弾位置と目標位置との位置ずれ量を算出する。この位置ずれ量に基づいて、例えば液滴吐出ヘッド24における液滴の吐出タイミングが補正され、またワークテーブル40と液滴吐出ヘッドの、主走査方向及び副走査方向の相対的な移動が補正される。以下、この液滴吐出装置1の立ち上げ時に行われる補正を、自動補正という場合がある。
【0058】
自動補正を行った後、Y軸リニアモータ13により、位置検出器72をキャリッジ23の直下に移動させ、当該キャリッジ23を撮像する。そして、位置検出器72では、取得された撮像画像(
図4)に基づいて、キャリッジ23におけるキャリッジマーク25a、25bの基準位置を取得する。
【0059】
次に、通常操業時における液滴吐出ヘッド24のメンテナンス時に、キャリッジマーク25a、25bの位置を検出する(ステップS2)。後述するように液滴吐出ヘッド24のメンテナンスは、ワークWに対する描画を行うごとに実施される。
【0060】
具体的には、
図6及び
図7に示すように、Y軸リニアモータ13により、位置検出器72を第1のキャリッジマーク25aの直下(第1の撮像位置P1)に移動させ、当該位置検出器72で第1のキャリッジマーク25aを撮像する。続いて
図8及び
図9に示すように、Y軸リニアモータ13により、位置検出器72を第2のキャリッジマーク25bの直下(第2の撮像位置P2)に移動させ、当該位置検出器72で第2のキャリッジマーク25bを撮像する。この際、位置検出器72とキャリッジ23は1対1で対応しており、各位置検出器72で対応するキャリッジ23を撮像する。なお、撮像位置P1、P2における位置検出器72による撮像は、当該位置検出器72を停止させた状態で行ってもよいし、Y軸方向に移動させながら行ってもよい。
【0061】
図10は、位置検出器72で検出されたキャリッジマーク25a、25bの検出位置(実線)を、キャリッジマーク25a、25bの基準位置(点線)と共に示している。制御部150では、一のキャリッジ23において、第1のキャリッジマーク25aに対する検出位置と基準位置との、Y軸方向の位置ずれ量ΔYa、X軸方向の位置ずれ量ΔXa、及びθ方向の位置ずれ量Δθaを算出する。また、制御部150では、第2のキャリッジマーク25bに対する検出位置と基準位置との、Y軸方向の位置ずれ量ΔYb、X軸方向の位置ずれ量ΔXb、及びθ方向の位置ずれ量Δθbを算出する。
【0062】
そして、制御部150では、Y軸方向の位置ずれ量ΔYa、ΔYbに基づいて、液滴吐出ヘッド24における液滴の吐出タイミングの補正量を算出する(ステップS3)。算出された補正量は、液滴の吐出タイミングを制御するモーションコントローラ(図示せず)に出力され、液滴吐出ヘッド24における液滴の吐出タイミングが補正される。
【0063】
また、ステップS3において制御部150では、X軸方向の位置ずれ量ΔXa、ΔXbとθ方向の位置ずれ量Δθa、Δθbに基づいて、キャリッジ23のX軸方向及びθ方向のそれぞれの位置の補正量を算出する。算出された補正量はキャリッジ23に出力され、当該キャリッジ23のX軸方向及びθ方向のそれぞれの位置が補正される。
【0064】
<液滴吐出装置におけるワーク処理>
次に、以上のように構成された液滴吐出装置1を用いて行われるワーク処理について説明する。
【0065】
先ず、搬入出エリアA1にワークテーブル40を配置し、搬送機構(図示せず)により液滴吐出装置1に搬入されたワークWが当該ワークテーブル40に載置される。続いて、ワークアライメントカメラによってワークテーブル40上のワークWのアライメントマークが撮像される。そして、当該撮像された画像に基づいて、テーブル移動機構41により、ワークテーブル40に載置されたワークWのX軸方向及びθ方向の位置が補正され、ワークWのアライメントが行われる(ステップT1)。
【0066】
その後、Y軸リニアモータ13によって、ワークテーブル40を搬入出エリアA1から処理エリアA2に移動させる。処理エリアA2では、液滴吐出ヘッド24の下方に移動したワークWに対して、当該液滴吐出ヘッド24から液滴を吐出する。さらに、
図5に示したようにワークWの全面が液滴吐出ヘッド24の下方を通過するように、ワークテーブル40をさらに待機エリアA3側に移動させる。そして、ワークWをY軸方向に往復動させると共に、適宜、X軸方向に移動させて、ワークWに所定のパターンが描画される(ステップT2)。
【0067】
その後、ワークテーブル40を待機エリアA3から搬入出エリアA1に移動させる。このワークテーブル40の移動中、第2の撮像部32によりワークテーブル40上のワークWの全面、すなわちワークWに吐出された液滴によるパターンの描画状態を撮像する。撮像された画像は制御部150に出力され、制御部150では、撮像された画像に基づいて、描画状態の不良、例えば膜ムラ等が検査される。この検査結果において、描画状態が不良と判定された場合、例えばワークテーブル40のY軸方向の移動や、X軸方向及びθ方向の位置が補正される(ステップT3)。
【0068】
ワークテーブル40が搬入出エリアA1に移動すると、描画処理が終了したワークWが液滴吐出装置1から搬出される。続いて、次のワークWが液滴吐出装置1に搬入され、上述したステップT1のワークWのアライメントが行われる(ステップT4)。
【0069】
このようにステップT3における描画状態の検査とステップT4におけるワークWの搬入出が行われている間、Y軸リニアモータ13により、フラッシングユニット50、吐出検査ユニット60及び第2の撮像ユニット70を待機エリアA3から処理エリアA2に移動させる。処理エリアA2では、吐出検査ユニット60の検査シート62を液滴吐出ヘッド24の下方に配置し、当該検査シート62に対して液滴吐出ヘッド24から液滴を検査吐出する(ステップT5)。
【0070】
その後、フラッシングユニット50と吐出検査ユニット60をX軸正方向側に移動させて、吐出検査ユニット60の検査シート62を第1の撮像部31の下方に配置すると共に、フラッシングユニット50のフラッシング回収台51を液滴吐出ヘッド24の下方に配置する。
【0071】
そして、第1の撮像部31により検査シート62に検査吐出された液滴の着弾ドットを撮像する。撮像された画像は制御部150に出力され、制御部150では、撮像された画像に基づき、液滴吐出ヘッド24における吐出ノズルの吐出不良が検査される。この検査結果に基づいて、液滴吐出ヘッド24が適宜メンテナンスされる。
【0072】
また、このように第1の撮像部31よる撮像処理と制御部150による吐出不良検査が行われている際に、フラッシング回収台51に対して液滴吐出ヘッド24から液滴の捨て吐出が行われる(ステップT6)。
【0073】
このようにステップT5における検査吐出とステップT6におけるフラッシングを行う際、上述したステップS1〜S3を行い、位置検出器72において撮像画像に基づきキャリッジマーク25a、25bの位置を検出し、制御部150においてキャリッジマーク25a、25bの検出位置と基準位置の位置ずれ量に基づき、液滴吐出ヘッド24における液滴の吐出タイミングを補正すると共に、キャリッジ23(液滴吐出ヘッド24)のX軸方向およびθ方向の位置を補正する(ステップT7)。
【0074】
以上のように各ワークWに対してステップT1〜T7が行われ、一連のワーク処理が終了する。
【0075】
以上の実施の形態によれば、液滴吐出装置1における自動補正を行った後、例えばキャリッジ23の温度変化や経時変化といった要因によりキャリッジ23の位置ずれが生じても、上述したステップS1〜S3を行って、液滴吐出ヘッド24における液滴の吐出タイミングを補正すると共に、キャリッジ23(液滴吐出ヘッド24)のX軸方向およびθ方向の位置を補正することができる。したがって、液滴吐出ヘッド24からワークWに液滴を適切に吐出することができ、当該液滴吐出ヘッド24からワークWへの液滴の吐出精度(着弾精度)を向上させることができる。
【0076】
また、ステップT5〜T6における液滴吐出ヘッド24のメンテナンスは、ワークWごとに枚葉で行われるため、ステップT7における液滴吐出タイミングとキャリッジ23の位置の補正も枚葉で行うことができる。したがって、液滴吐出ヘッド24からワークWへの液滴の着弾精度をさらに向上させることができる。
【0077】
また、位置検出器72はキャリッジ23と1対1対応で設けられているので、キャリッジ23に対して位置検出器72を適切な位置に配置することができ、高精度に撮像することができる。また、複数の位置検出器72を用いて複数のキャリッジ23を一度に撮像することができるので、撮像時間を短縮することができる。さらに、位置検出器72をY軸方向に移動させながら撮像することもでき、かかる場合、撮像時間をさらに短縮することができる。
【0078】
なお、以上の実施の形態では、第2の撮像ユニット70において、位置検出器72はY軸方向に1列に設けられていたが、2列に設けられていてもよい。かかる場合、第1の撮像位置P1における位置検出器72の撮像と、第2の撮像位置P2における位置検出器72の撮像を同時に行うことができる。したがって、撮像時間をさらに短縮することができる。
【0079】
また、以上の実施の形態では、位置検出器72はキャリッジマーク25a、25bを撮像したが、キャリッジ23の他の位置を撮像してもよい。例えばキャリッジ23に他の基準マークを形成しこれを撮像してもよいし、或いは液滴吐出ヘッド24における特定のノズルを基準マークとして撮像してもよい。
【0080】
また、以上の実施の形態では、第1の撮像位置P1と第2の撮像位置P2における撮像画像を用いて、液滴吐出ヘッド24における液滴の吐出タイミングを補正すると共に、キャリッジ23(液滴吐出ヘッド24)のX軸方向およびθ方向の位置を補正していたが、実際の操業においては、必ずしも第1の撮像位置P1と第2の撮像位置P2の両位置における撮像画像を取得する必要はない。
【0081】
例えば第1の撮像位置P1において位置検出器72でキャリッジ23を撮像し、第1のキャリッジマーク25aのみの撮像画像を取得してもよい。そして、この撮像画像に基づいて第1のキャリッジマーク25aの位置を検出し、少なくとも第1のキャリッジマーク25aの検出位置と基準位置のY軸方向の位置ずれ量を算出することで、液滴吐出ヘッド24における液滴の吐出タイミングのみを補正する。かかる場合、少なくとも着弾精度の要求が高いY軸方向の位置ずれを補正することができる。
【0082】
そして、上述した第1の撮像位置P1と第2の撮像位置P2の両位置における撮像画像の取得は、所定のタイミングで行ってもよく、例えば所定の頻度で実施される液滴吐出ヘッド24のクリーニングの際に行ってもよい。かかる場合、液滴吐出ヘッド24における液滴の吐出タイミングを補正すると共に、キャリッジ23(液滴吐出ヘッド24)のX軸方向およびθ方向の位置を補正することができる。
【0083】
<他の実施の形態>
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。
【0084】
以上の実施の形態では、位置検出器72は、キャリッジ23と同数でX軸方向に並べて設けられていたが、
図11に示すように1個設けられていてもよい。かかる場合、位置検出器72はベース71をX軸方向に移動自在に構成されている。位置検出器72を移動させる機構は特に限定されないが、例えばX軸方向に走査軸を有するアクチュエータが用いられる。
【0085】
かかる場合、ステップS2では、
図12に示すように第1の撮像位置P1において、Y軸リニアモータ13を停止させた状態で、位置検出器72をX軸方向に移動させる。そして、第1の撮像位置P1における複数のキャリッジ23(第1のキャリッジマーク25a)を撮像する。続いて、
図13に示すように第2の撮像位置P2においても、Y軸リニアモータ13を停止させた状態で、位置検出器72をX軸方向に移動させる。そして、第2の撮像位置P2における複数のキャリッジ23(第2のキャリッジマーク25b)を撮像する。なお、他のステップS1、S3はそれぞれ、上記実施の形態におけるステップS1、S3と同様である。
【0086】
本実施の形態においても、上記実施の形態と同様の効果を享受できる。すなわち、液滴吐出ヘッド24における液滴の吐出タイミングを補正すると共に、キャリッジ23(液滴吐出ヘッド24)のX軸方向およびθ方向の位置を補正することができ、液滴吐出ヘッド24からワークWへの液滴の着弾精度を向上させることができる。また、複数の位置検出器72が不要になるので、第2の撮像ユニット70の構成を簡略化することができる。
【0087】
以上の実施の形態では、位置検出器72は第2のY軸スライダ80に設けられていたが、ワークテーブル40に設けられていてもよい。かかる場合でも、上述したステップS1〜S3を行い、液滴吐出ヘッド24における液滴の吐出タイミングを補正すると共に、キャリッジ23(液滴吐出ヘッド24)のX軸方向およびθ方向の位置を補正することができる。なお、位置検出器72は
図2に示した場合と同様にキャリッジ23と同数設けられていてもよいし、また
図11に示した場合と同様にX軸方向に移動自在に構成されていてもよい。
【0088】
また、位置検出器72は、キャリッジ23に設けられていてもよい。かかる場合、位置検出器72は、例えばワークテーブル40又はフラッシングユニット50、吐出検査ユニット60に形成された基準マークを撮像することで、キャリッジ23(液滴吐出ヘッド24)の位置を検出することができる。なお、位置検出器72は
図2に示した場合と同様にキャリッジ23と同数設けられていてもよいし、また
図11に示した場合と同様にX軸方向に移動自在に構成されていてもよい。
【0089】
以上の実施の形態では、位置検出器72を用いてキャリッジ23のキャリッジマーク25a、25bの位置を検出したが、当該位置の検出手段はこれに限定されない。例えば例えばレーザ干渉計(図示せず)又はレーザ変位計(図示せず)を用いてキャリッジマーク25a、25bの位置を検出してもよい。
【0090】
以上の実施の形態では、ワーク移動機構としてY軸リニアモータ13(第1のY軸スライダ42)及びテーブル移動機構41を用い、ワークテーブル40をY軸方向に移動させていたが、液滴吐出ヘッド24をY軸方向に移動させてもよい。また、ワークテーブル40と液滴吐出ヘッド24の両方をY軸方向に移動させてもよい。さらに、ワークテーブル40をX軸方向に移動させて改行していたが、液滴吐出ヘッド24をX軸方向に移動させてもよい。X軸方向に液滴吐出ヘッド24を移動させる場合は、X軸リニアモータ15を用いてもよい。
【0091】
また、以上の実施の形態では、ユニット移動機構としてY軸リニアモータ13(第2のY軸スライダ80)を用い、フラッシングユニット50、吐出検査ユニット60及び第2の撮像ユニット70をY軸方向に移動させていたが、キャリッジ23(液滴吐出ヘッド24)をY軸方向に移動させてもよい。また、フラッシングユニット50、吐出検査ユニット60及び第2の撮像ユニット70と、液滴吐出ヘッド24との両方をY軸方向に移動させてもよい。
【0092】
<液滴吐出装置の適用例>
以上のように構成された液滴吐出装置1は、例えば特開2017−13011号公報に記載された、有機発光ダイオードの有機EL層を形成する基板処理システムに適用される。具体的に液滴吐出装置1は、ワークWとしてのガラス基板上に正孔注入層を形成するための有機材料を塗布する塗布装置、ガラス基板(正孔注入層)上に正孔輸送層を形成するための有機材料を塗布する塗布装置、ガラス基板(正孔輸送層)上に発光層を形成するための有機材料を塗布する塗布装置に適用される。なお、基板処理システムにおいて、有機発光ダイオードの正孔注入層、正孔輸送層及び発光層を形成する他に、電子輸送層と電子注入層も形成する場合、液滴吐出装置1は、これら電子輸送層と電子注入層の塗布処理にも適用できる。
【0093】
また、液滴吐出装置1は、上述のように有機発光ダイオードの有機EL層を形成する際に適用するほか、例えばカラーフィルタ、液晶表示装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)等の電気光学装置(フラットパネルディスプレイ:FPD)を製造する際にも適用してもよいし、或いは金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成、及び光拡散体形成等を製造する際にも適用してもよい。
【0094】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。