(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
照射された放射線の線量の増加に伴って、発生する電荷が増加する変換素子を含んで構成される複数の画素が配置された第1放射線検出器及び第2放射線検出器が、放射線が照射される方向に沿って配置された放射線画像撮影装置から、第1のエネルギーの放射線が照射されることにより前記第1放射線検出器によって生成された第1放射線画像、及び前記第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーの放射線が照射されることにより前記第2放射線検出器によって生成された第2放射線画像を取得する取得部と、
前記第1放射線検出器に対応付けられた散乱線補正用の第1の補正用データを用いて、前記第1放射線画像に含まれる前記放射線の散乱線に起因する散乱線成分を補正し、かつ前記第2放射線検出器に対応付けられた散乱線補正用のデータであって、前記第1の補正用データとは異なる第2の補正用データを用いて、前記第2放射線画像に含まれる前記放射線の散乱線に起因する散乱線成分を補正する補正部と、
前記補正部による補正を経た第1放射線画像及び第2放射線画像を用いて、エネルギーサブトラクション処理を行うエネルギーサブトラクション処理部と、
を備えた画像処理装置。
前記第1放射線画像及び前記第2放射線画像における放射線が直接照射された直接照射領域、及び放射線が被検体を透過して照射された被検体領域を特定する特定部を更に備え、
前記第1の補正用データ及び前記第2の補正用データは、前記直接照射領域及び前記被検体領域に更に対応付けられ、
前記補正部は、前記直接照射領域及び前記被検体領域の各々に対応付けられた前記第1の補正用データを用いて前記第1放射線画像に含まれる前記散乱線成分を補正し、かつ前記直接照射領域及び前記被検体領域の各々に対応付けられた前記第2の補正用データを用いて前記第2放射線画像に含まれる前記散乱線成分を補正する
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の画像処理装置。
前記撮影条件は、放射線源の管球の材料、管電圧、放射線制限部材の材料、グリッドの特性、放射線源から前記放射線画像撮影装置における放射線の検出面までの距離、及び前記放射線画像撮影装置が収納される収納体の放射線が入射される面の材質の少なくとも1つを含む
請求項8に記載の画像処理装置。
照射された放射線の線量の増加に伴って、発生する電荷が増加する変換素子を含んで構成される複数の画素が配置された第1放射線検出器及び第2放射線検出器が、放射線が照射される方向に沿って配置された放射線画像撮影装置から、第1のエネルギーの放射線が照射されることにより前記第1放射線検出器によって生成された第1放射線画像、及び前記第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーの放射線が照射されることにより前記第2放射線検出器によって生成された第2放射線画像を取得し、
前記第1放射線検出器に対応付けられた散乱線補正用の第1の補正用データを用いて、前記第1放射線画像に含まれる前記放射線の散乱線に起因する散乱線成分を補正し、かつ前記第2放射線検出器に対応付けられた散乱線補正用のデータであって、前記第1の補正用データとは異なる第2の補正用データを用いて、前記第2放射線画像に含まれる前記放射線の散乱線に起因する散乱線成分を補正し、
補正を経た第1放射線画像及び第2放射線画像を用いて、エネルギーサブトラクション処理を行う
処理をコンピュータが実行する画像処理方法。
照射された放射線の線量の増加に伴って、発生する電荷が増加する変換素子を含んで構成される複数の画素が配置された第1放射線検出器及び第2放射線検出器が、放射線が照射される方向に沿って配置された放射線画像撮影装置から、第1のエネルギーの放射線が照射されることにより前記第1放射線検出器によって生成された第1放射線画像、及び前記第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーの放射線が照射されることにより前記第2放射線検出器によって生成された第2放射線画像を取得し、
前記第1放射線検出器に対応付けられた散乱線補正用の第1の補正用データを用いて、前記第1放射線画像に含まれる前記放射線の散乱線に起因する散乱線成分を補正し、かつ前記第2放射線検出器に対応付けられた散乱線補正用のデータであって、前記第1の補正用データとは異なる第2の補正用データを用いて、前記第2放射線画像に含まれる前記放射線の散乱線に起因する散乱線成分を補正し、
補正を経た第1放射線画像及び第2放射線画像を用いて、エネルギーサブトラクション処理を行う
処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0025】
[第1実施形態]
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る放射線画像撮影システム10の構成について説明する。
図1に示すように、放射線画像撮影システム10は、放射線照射装置12、放射線画像撮影装置16、及びコンソール18を備えている。なお、コンソール18が、本開示の画像処理装置の一例である。
【0026】
本実施形態に係る放射線照射装置12は、例えばエックス線(X線)等の放射線Rを撮影対象の一例である被検体Wに照射する放射線源14を備えている。本実施形態に係る放射線照射装置12は、コーンビーム状の放射線Rを照射する。放射線照射装置12の一例としては、回診車等が挙げられる。なお、放射線照射装置12に対して放射線Rの照射を指示する方法は、特に限定されない。例えば、放射線照射装置12が照射ボタン等を備えている場合は、放射線技師等のユーザが照射ボタンにより放射線Rの照射の指示を行うことで、放射線照射装置12から放射線Rを照射してもよい。また、例えば、放射線技師等のユーザが、コンソール18を操作して放射線Rの照射の指示を行うことで、放射線照射装置12から放射線Rを照射してもよい。
【0027】
放射線照射装置12は、放射線Rの照射の指示を受け付けると、設定された管電圧、管電流、及び照射期間等の照射条件に従って、放射線源14から放射線Rを照射する。なお、以下では、放射線Rの線量を、「放射線量」という。
【0028】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る放射線画像撮影装置16の構成について説明する。
図2に示すように、放射線画像撮影装置16は、放射線Rを透過する平板状の筐体21を備え、防水性、抗菌性、及び密閉性を有する構造とされている。筐体21内には、被検体Wを透過した放射線Rを各々検出する第1放射線検出器20A及び第2放射線検出器20Bが設けられている。また、筐体21内には、放射線制限部材24、制御基板26A、制御基板26B、及びケース28が設けられている。放射線画像撮影装置16は、第1放射線検出器20A及び第2放射線検出器20Bを用いて、被検体Wの放射線画像を撮影する。なお、以下では、第1放射線検出器20A及び第2放射線検出器20Bを区別せずに総称する場合は、「放射線検出器20」という。なお、筐体21と被検体Wとの間には、散乱線を除去するためのグリッド23が配置される。
【0029】
第1放射線検出器20Aは、放射線Rの入射側に配置され、第2放射線検出器20Bは、第1放射線検出器20Aの放射線Rが透過されて出射される側に積層されて配置されている。また、第1放射線検出器20Aは、TFT(Thin Film Transistor)基板30A、及び放射線Rが照射されることにより光を発する発光層の一例としてのシンチレータ22Aを備えている。また、TFT基板30A及びシンチレータ22Aは、放射線Rの入射側からTFT基板30A及びシンチレータ22Aの順番で積層されている。なお、上記「積層」とは、放射線画像撮影装置16における放射線Rの入射側又は出射側から視認した場合に、第1放射線検出器20Aと第2放射線検出器20Bとが重なって視認される状態のことをいい、具体的にどのように重なっているかは問わない。例えば、第1放射線検出器20A及び第2放射線検出器20B、又は、第1放射線検出器20A、放射線制限部材24、及び第2放射線検出器20Bが、互いに接触した状態で重なっていてもよいし、積層方向に空間を有した状態で重なっていてもよい。
【0030】
また、第2放射線検出器20Bは、TFT基板30B、及び上記発光層の一例としてのシンチレータ22Bを備えている。また、TFT基板30B及びシンチレータ22Bは、放射線Rの入射側からTFT基板30B及びシンチレータ22Bの順番で積層されている。
【0031】
すなわち、第1放射線検出器20A及び第2放射線検出器20Bは、TFT基板30A、30B側から放射線Rが照射されるISS(Irradiation Side Sampling)方式の放射線検出器である。
【0032】
本実施形態に係る放射線画像撮影装置16では、第1放射線検出器20Aのシンチレータ22Aと、第2放射線検出器20Bのシンチレータ22Bとは、シンチレータの組成が異なる。具体的には、一例として、シンチレータ22Aは、CsI(Tl)(タリウムが添加されたヨウ化セシウム)を含んで構成され、シンチレータ22Bは、GOS(ガドリニウム硫酸化物)を含んで構成されている。なお、シンチレータ22Aの組成及びシンチレータ22Bの組成の組み合わせは、上記の例に限定されず、他の組成の組み合わせでもよいし、同じ組成の組み合わせでもよい。
【0033】
また、例えば、シンチレータ22A、22Bは、厚みによっても発光特性が変化し、厚くなる程、発光量が多く、感度が高くなるが光散乱等で画質が低下する。
【0034】
また、シンチレータ22A、22Bは、例えば、上記GOS等、放射線Rが照射されることにより発光する粒子を充填して形成する場合、粒子の粒径が大きい程、発光量が多く、感度が高くなるが、光散乱が多くなって隣接する画素32(
図3も参照)に影響を与えるため、画質が低下する。
【0035】
また、シンチレータ22A、22Bは、小粒子と大粒子の重層構造とすることができる。例えば、本実施形態に係る放射線画像撮影装置16と異なり、第1放射線検出器20A及び第2放射線検出器20Bの各々において、シンチレータ22A、22B側からTFT基板30A、30B側に向けて放射線Rが照射される場合、以下に示すようになる。すなわち、この場合、シンチレータ22A、22Bは放射線Rの照射側に近い側を小粒子が充填された領域とし、放射線Rが出射する側であるTFT基板30側を大粒子が充填された領域とした方が画像のボケが少ないが、小粒子で放射状に発した光の斜め成分がTFT基板30A、30Bまで届き難く感度が低下する。また、小粒子が充填された領域と大粒子が充填された領域との比率を異ならせて、小粒子が充填された領域による層に対して大粒子が充填された領域による層を多くすることにより感度が高くなるが、光散乱が隣接する画素32に影響を与えるので、画質が低下する。
【0036】
また、シンチレータ22A、22Bは、上記粒子の充填率が高いほど感度が高くなるが、光の散乱が多くなり画質が低下する。ここで、充填率とは、シンチレータ22A、22Bの粒子の総体積の各々をシンチレータ22A、22Bの体積で除した後、100を乗じた値(シンチレータ22A、22Bの粒子の総体積/シンチレータ22A、22Bの体積×100)である。なお、シンチレータ22A、22Bは、粉体を取り扱う上、充填率が80%を超えると製造上困難であるため、充填率が50体積%〜80体積%であることが好ましい。
【0037】
また、シンチレータ22A、22Bは、付活剤のドープ量によっても発光特性が変化し、付活剤のドープ量が多くなるほど発光量が増加する傾向があるが、光の散乱が多くなり画質が低下する。
【0038】
また、シンチレータ22A、22Bは、用いる材料を変えることにより、放射線Rに対する発光特性が異なる。例えば、本実施形態に係る放射線画像撮影装置16と異なり、第1放射線検出器20A及び第2放射線検出器20Bの各々において、シンチレータ22A、22B側からTFT基板30A、30B側に向けて放射線Rが照射される場合、シンチレータ22AをCsI(Tl)で形成し、シンチレータ22BをGOSで形成することにより、シンチレータ22Aは画質重視かつ低エネルギーの放射線Rの吸収率が相対的に高くなり、シンチレータ22Bは高エネルギーの放射線Rの吸収率が相対的に高くなる。
【0039】
また、シンチレータ22Aを柱状分離の層構造とすることにより、より高画質にできる。
【0040】
また、シンチレータ22A、22BのTFT基板30A、30Bと反対側の面に放射線Rを透過し、可視光を反射する反射層を形成することにより、シンチレータ22A、22Bにより発生した光をより効率的にTFT基板30A、30Bへ導けるため、感度が向上する。なお、反射層を設ける方法は、スパッタ法、蒸着法、及び塗布法の何れでもよく、特に限定されない。反射層としては、Au、Ag、Cu、Al、Ni、及びTi等、使用するシンチレータ22A、22Bの発光波長領域での反射率の高い物質が好ましい。例えば、シンチレータ22A、22BがGOS:Tbの場合、波長は400nm〜600nmにおいて反射率の高いAg、Al、及びCu等がよく、厚さは、0.01μm未満では反射率が得られず、3μmを超えても反射率の向上で更なる効果が得られないため、0.01μm〜3μmが好ましい。
【0041】
そのため、シンチレータ22A、22Bは、粒子の粒径、粒子の重層構造、粒子の充填率、付活剤のドープ量、材料、層構造の変更、及び反射層の形成に応じて、特性を異ならせてもよいことはいうまでもない。
【0042】
また、第1放射線検出器20Aにおける放射線Rの入射側には、放射線Rが被検体Wを透過することにより発生した散乱線を、被検体Wを透過した放射線Rから除去するグリッド23が設けられている。放射線Rから散乱線を除去することにより、放射線画像のコントラストの低下を抑制する等の効果が得られ、放射線画像の画質が向上する。
【0043】
また、第1放射線検出器20Aと第2放射線検出器20Bとの間には、放射線Rの透過を制限する放射線制限部材24が設けられている。放射線制限部材24の一例としては、銅又はすず等の板状部材が挙げられる。また、この板状部材の厚みは、厚みのばらつきの誤差が1%以下の範囲内で均一であることが好ましい。なお、第1放射線検出器20Aで十分に放射線Rが吸収される場合は、放射線制限部材24は設けなくてもよい。
【0044】
制御基板26Aは、第1放射線検出器20Aに対応して設けられ、後述する画像メモリ56A及び制御部58A等の電子回路が基板上に形成されている。また、制御基板26Bは、第2放射線検出器20Bに対応して設けられ、後述する画像メモリ56B及び制御部58B等の電子回路が基板上に形成されている。また、制御基板26A及び制御基板26Bは、第2放射線検出器20Bにおける放射線Rの入射側の反対側に配置されている。
【0045】
ケース28は、筐体21内の一端側の放射線検出器20とは重ならない位置(すなわち、撮影領域の範囲外)に配置され、後述する電源部70等が収容される。なお、ケース28の設置位置は特に限定されず、例えば、第2放射線検出器20Bの放射線の入射側の反対側の位置であって、放射線検出器20と重なる位置に配置されてもよい。
【0046】
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る放射線画像撮影装置16の電気系の要部構成について説明する。
【0047】
図3に示すように、TFT基板30Aには、画素32が一方向(
図3の行方向)及び一方向に交差する交差方向(
図3の列方向)に2次元状に複数設けられている。画素32は、センサ部32A、及び電界効果型薄膜トランジスタ(TFT、以下、単に「薄膜トランジスタ」という。)32Bを含んで構成される。
【0048】
センサ部32Aは、図示しない上部電極、下部電極、及び光電変換膜等を含み、シンチレータ22Aが発する光を吸収して電荷を発生させ、発生させた電荷を蓄積する。薄膜トランジスタ32Bは、センサ部32Aに蓄積された電荷を電気信号に変換して出力する。なお、センサ部32Aが放射線量の増加に伴い、発生する電荷が増加する変換素子の一例である。
【0049】
また、TFT基板30Aには、上記一方向に延設され、各薄膜トランジスタ32Bをオン及びオフさせるための複数本のゲート配線34が設けられている。また、TFT基板30Aには、上記交差方向に延設され、オン状態の薄膜トランジスタ32Bを介して電荷を読み出すための複数本のデータ配線36が設けられている。
【0050】
また、TFT基板30Aの隣り合う2辺の一辺側にゲート線ドライバ52Aが配置され、他辺側に信号処理部54Aが配置されている。TFT基板30Aの個々のゲート配線34はゲート線ドライバ52Aに接続され、TFT基板30Aの個々のデータ配線36は信号処理部54Aに接続されている。
【0051】
TFT基板30Aの各薄膜トランジスタ32Bは、ゲート線ドライバ52Aからゲート配線34を介して供給される電気信号により行単位で順にオン状態とされる。そして、オン状態とされた薄膜トランジスタ32Bによって読み出された電荷は、電気信号としてデータ配線36を伝送されて信号処理部54Aに入力される。これにより、電荷は行単位で順に読み出され、二次元状の放射線画像を示す画像データが取得される。
【0052】
信号処理部54Aは、個々のデータ配線36毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路及びサンプルホールド回路(何れも図示省略)を備えており、個々のデータ配線36を伝送された電気信号は増幅回路で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、及びA/D(Analog/Digital)変換器が順に接続されている。そして、個々のサンプルホールド回路に保持された電気信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、マルチプレクサにより順次選択された電気信号がA/D変換器によってデジタルの画像データへ変換される。
【0053】
信号処理部54Aには後述する制御部58Aが接続されており、信号処理部54AのA/D変換器から出力された画像データは制御部58Aに順次出力される。制御部58Aには画像メモリ56Aが接続されており、信号処理部54Aから順次出力された画像データは、制御部58Aによる制御によって画像メモリ56Aに順次記憶される。画像メモリ56Aは所定の枚数分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ56Aに順次記憶される。
【0054】
制御部58Aは、CPU(Central Processing Unit)60、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)等を含むメモリ62、及びフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部64を備えている。制御部58Aの一例としては、マイクロコンピュータ等が挙げられる。
【0055】
通信部66は、制御部58Aに接続され、無線通信及び有線通信の少なくとも一方により、放射線照射装置12及びコンソール18等の外部の装置との間で各種情報の送受信を行う。電源部70は、前述した各種回路や各素子(ゲート線ドライバ52A、信号処理部54A、画像メモリ56A、制御部58A、及び通信部66等)に電力を供給する。なお、
図3では、錯綜を回避するために、電源部70と各種回路や各素子を接続する配線の図示を省略している。
【0056】
なお、第2放射線検出器20BのTFT基板30B、ゲート線ドライバ52B、信号処理部54B、画像メモリ56B、及び制御部58Bの各構成部品については、各々第1放射線検出器20Aの対応する構成部品と同様であるため、ここでの説明を省略する。なお、制御部58A及び制御部58Bは、互いに通信可能に接続されている。
【0057】
以上の構成により、本実施形態に係る放射線画像撮影装置16は、第1放射線検出器20A及び第2放射線検出器20Bの各々を用いて、放射線画像の撮影を行う。なお、以下では、第1放射線検出器20Aによる撮影により得られた放射線画像を「第1放射線画像」といい、第1放射線画像を示す画像データを「第1放射線画像データ」という。また、以下では、第2放射線検出器20Bによる撮影により得られた放射線画像を「第2放射線画像」といい、第2放射線画像を示す画像データを「第2放射線画像データ」という。
【0058】
次に、
図4を参照して、本実施形態に係るコンソール18の構成について説明する。
図4に示すように、コンソール18は、コンソール18の全体的な動作を司るCPU80、及び各種プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM82を備えている。また、コンソール18は、CPU80による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM84、及びHDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の記憶部86を備えている。
【0059】
また、コンソール18は、操作メニュー及び撮影により得られた放射線画像等を表示する表示部88と、複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力される操作パネル90と、を備えている。また、コンソール18は、無線通信及び有線通信の少なくとも一方により、放射線照射装置12及び放射線画像撮影装置16等の外部の装置との間で各種情報の送受信を行う通信部92を備えている。そして、CPU80、ROM82、RAM84、記憶部86、表示部88、操作パネル90、及び通信部92の各部が、バス94を介して互いに接続されている。
【0060】
記憶部86には、散乱線補正用の補正用データ95が複数記憶されている。なお、補正用データ95の詳細については後述する。
【0061】
ところで、本実施形態に係る放射線画像撮影装置16では、第1放射線検出器20A及び放射線制限部材24により放射線Rが吸収されるため、第2放射線検出器20Bに到達する放射線量は、第1放射線検出器20Aに到達する放射線量よりも少なくなる。さらに、放射線制限部材24は、それを構成する素材にもよるが、一般に、放射線Rを構成するエネルギーのうち、軟線成分を硬線成分よりも多く吸収するという特徴を持つ。そのため、第2放射線検出器20Bに到達する放射線Rのエネルギー分布は、第1放射線検出器20Aに到達する放射線Rのエネルギー分布に比べると、硬線成分に偏った分布を持つ。
【0062】
本実施形態では、一例として、第1放射線検出器20Aに到達した放射線Rは、第1放射線検出器20Aにより約50%吸収されて放射線画像の撮影に用いられる。また、第1放射線検出器20Aを透過して放射線制限部材24に到達した放射線Rは、放射線制限部材24により約60%吸収される。また、第1放射線検出器20A及び放射線制限部材24を透過して第2放射線検出器20Bに到達した放射線Rは、第2放射線検出器20Bにより約50%吸収されて放射線画像の撮影に用いられる。なお、放射線Rのエネルギーによっては放射線検出器20及び放射線制限部材24による放射線の吸収率は異なるため、スペクトルの形状は変化する。
【0063】
すなわち、第2放射線検出器20Bによる放射線画像の撮影に用いられる放射線量は、第1放射線検出器20Aによる放射線画像の撮影に用いられる放射線量の約20%となる。なお、第1放射線検出器20Aによる放射線画像の撮影に用いられる放射線量と、第2放射線検出器20Bによる放射線画像の撮影に用いられる放射線量との比は、上記の比に限らない。但し、第2放射線検出器20Bによる放射線画像の撮影に用いられる放射線量は、診断の観点から、第1放射線検出器20Aによる放射線画像の撮影に用いられる放射線量の10%以上であることが好ましい。
【0064】
また、放射線Rは低エネルギーの成分から吸収される。
図5を参照して、第1放射線検出器20A及び第2放射線検出器20Bの各々により吸収される放射線Rについて説明する。なお、
図5は、放射線源14の管電圧を80kVとした場合において、縦軸は放射線Rの吸収量を示し、横軸は放射線Rのエネルギーを示している。また、
図5の実線L1は、第1放射線検出器20Aが吸収する放射線Rについてのエネルギーと吸収量との関係を示している。また、
図5の実線L2は、第2放射線検出器20Bが吸収する放射線Rについてのエネルギーと吸収量との関係を示している。放射線Rは低エネルギーの成分から吸収されるため、一例として
図5に示すように、第2放射線検出器20Bに到達する放射線Rのエネルギー成分は、第1放射線検出器20Aに到達する放射線Rのエネルギー成分の低エネルギー成分が除かれたものとなる。すなわち、第1放射線検出器20Aに照射される放射線Rと、第1放射線検出器20Aを透過して第2放射線検出器20Bに照射される放射線Rとは、エネルギーが異なる。従って、本実施形態に係る放射線画像撮影装置16では、エネルギーの異なる放射線R(第1のエネルギーの放射線R及び第2のエネルギーの放射線R)が各放射線検出器20に照射されることによって、各放射線検出器20により放射線画像が生成される。
【0065】
ところで、本実施形態に係るコンソール18は、エネルギーの異なる放射線Rが各放射線検出器20に照射されることによって、各放射線検出器20により生成された放射線画像データを各々取得する。また、コンソール18は、第1放射線画像データと第2放射線画像データとの対応する画素毎に画素値の比を導出することによって、被検体Wの骨密度を導出するための画像データを生成する。なお、以下では、被検体Wの骨密度を導出するための画像データを「DXA画像データ」といい、DXA画像データが示す画像を「DXA画像」という。具体的には、コンソール18は、第1放射線画像データ及び第2放射線画像データの各々の各画素値に対してログ変換を行う。そして、コンソール18は、第1放射線画像データに対してログ変換を行って得られた画像データから、第2放射線画像データに対してログ変換を行って得られた画像データを、対応する画素毎に減算するエネルギーサブトラクション処理を行うことによりDXA画像データを生成する。
【0066】
また、本実施形態に係るコンソール18は、一例として
図6に示すように、DXA画像における被検体Wの骨部の断面方向(
図6の例では横方向)の各画素値(すなわち、第1放射線画像と第2放射線画像との対応する画素の画素値の比で、ログ画像では画素値の差分値となる)から骨密度を導出する。
【0067】
図7に、
図6に示すDXA画像における領域R1の各画素の画素値を示す。なお、
図7の横軸は、
図6の横方向の画素位置を示す。また、
図7の縦軸は、
図6の横方向の各画素位置における
図6の縦方向の複数の画素の画素値の平均値を示す。なお、以下では、
図7に示す
図6の横方向に沿った各画素位置の画素値のデータ群を「DXAプロファイル」という。
【0068】
図7に示すように、DXAプロファイルにおける画素値は、被検体Wの骨部組織に対応する画素位置において、軟部組織に対応する画素位置の画素値よりも小さくなる。本実施形態に係るコンソール18は、骨部組織の領域(以下、「骨部領域」という)の両側の軟部組織の領域(以下、「軟部領域」という)の各々について、画素値の平均値を導出し、各軟部領域の中央部の画素位置における導出した平均値同士を結んだ直線(以下、「基準線」という)Kを導出する。また、コンソール18は、骨部領域の各画素位置について、基準線Kと画素値との差を積算することによって、骨部領域の面積(
図7に示す斜線部分の面積)を導出する。この面積が、被検体Wの骨量に応じた値となる。
【0069】
また、コンソール18は、導出した面積を骨部領域の幅に対応する画素数で除算することによって、単位画素数当たりの骨部領域と軟部領域との画素値の差を導出する。この差が、被検体Wの骨密度に応じた値となる。そして、コンソール18は、導出した単位画素数当たりの骨部領域と軟部領域との画素値の差に、所定の単位変換係数を乗算することによって、被検体Wの骨密度を導出する。なお、本実施形態では、DXAプロファイルの導出に用いられる領域R1のDXA画像データ内の画素位置、DXAプロファイルにおける軟部領域の画素位置、及び骨部領域の画素位置は、被検体W及び撮影部位等に応じて予め定められている。
【0070】
ところで、グリッド23により一定量の散乱線は除去されるが、第1放射線画像及び第2放射線画像には、グリッド23により除去しきれなかった散乱線に起因する成分(以下、「散乱線成分」という)が含まれる。特に、被検体Wの骨密度を導出するDXA法では、グリッド23により除去しきれなかった量の散乱線でも、導出される骨密度の数値に影響を及ぼす。そこで、本実施形態に係るコンソール18は、補正用データ95を用いて、第1放射線画像及び第2放射線画像に含まれる散乱線成分を補正する。また、散乱線の強度及び拡がりは、種々の条件によって異なる。そこで、本実施形態では、種々の条件に従ってキャリブレーションを行い、キャリブレーションにより得られた補正用データ95を、その条件の組み合わせ毎に対応付けて記憶部86に記憶する。以下、キャリブレーションの詳細について説明する。
【0071】
図8及び
図9を参照して、本実施形態に係る補正用データ95について説明する。本実施形態では、
図8Aに示すように、人体を模擬したファントムPT及び放射線Rを遮蔽する平板状の放射線遮蔽部材Bを用いたキャリブレーションによって予め得られた複数の補正用データ95が記憶部86に記憶される。放射線遮蔽部材Bの中央部には、ピンホールPHが開けられている。ファントムPTは、人体の軟部組織に相当する物質及び骨部組織に相当する物質を用いて人体が模擬されている。なお、人体の軟部組織に相当する物質としては、例えば、アクリル又はウレタン等を適用することができる。また、人体の骨部組織に相当する物質としては、例えば、ハイドロキシアパタイト等を適用することができる。以下、補正用データ95の詳細について説明する。
【0072】
各放射線検出器20において、放射線Rが被検体Wを透過して照射された領域(以下、「被検体領域」という)と、放射線Rが被検体Wを透過せずに直接照射された領域(以下、「直接照射領域」という)とで、発生する散乱線は異なる。そこで、本実施形態では、被検体領域に関するキャリブレーションとして、
図8Bに示すように、放射線画像撮影装置16の放射線Rが入射される側にファントムPTを配置し、ファントムPTの放射線Rが入射される側に放射線遮蔽部材Bを配置し、放射線照射装置12から放射線Rを所定期間照射させる。コンソール18は、この場合に各放射線検出器20から得られた画像データを用いて、補正用データ95を生成し、生成した補正用データ95を被検体領域に対応するデータとして記憶部86に記憶する。
【0073】
被検体領域に対応する補正用データ95は、一例として
図9Aに示す散乱線の拡がりを表す情報と、一例として
図9Bに示す散乱線の強度を表す情報とを含む。この散乱線の拡がりを表す情報は、PSF(Point Spread Function)とも称される。また、この散乱線の強度を表す情報は、単位放射線量当たりの画素値と、その画素値における散乱線の比率とが対応付けられた情報である。
【0074】
前述したように、第1放射線検出器20Aに照射される放射線Rのエネルギーと、第2放射線検出器20Bに照射される放射線Rのエネルギーとは異なる。従って、
図9A及び
図9Bに示すように、散乱線の拡がりを表す情報及び散乱線の強度を表す情報も、第1放射線検出器20Aと第2放射線検出器20Bとで異なる。そこで、本実施形態では、キャリブレーションにより第1放射線検出器20Aから得られた補正用データ95は第1放射線検出器20Aに対応付けて記憶部86に記憶する。また、キャリブレーションにより第2放射線検出器20Bから得られた補正用データ95は第2放射線検出器20Bに対応付けて記憶部86に記憶する。
【0075】
また、被検体領域では、被検体Wの体厚によっても発生する散乱線は異なる。そこで、本実施形態では、
図8Bに示すように、複数種類の体厚のファントムPTを用いたキャリブレーションにより得られた補正用データ95を、それぞれの体厚にも対応付けて記憶部86に記憶する。
【0076】
一方、直接照射領域に関するキャリブレーションとして、
図8Cに示すように、放射線画像撮影装置16の放射線Rが入射される側に放射線遮蔽部材Bを配置し、放射線照射装置12から放射線Rを所定期間照射させる。コンソール18は、この場合に各放射線検出器20から得られた画像データを用いて、散乱線の拡がりを表す情報を導出する。また、コンソール18は、放射線量から散乱線量を導出し、散乱線の強度を表す情報として、単位放射線量当たりの散乱線量を導出する。そして、コンソール18は、導出した散乱線の拡がりを表す情報及び散乱線の強度を表す情報を、直接照射領域に対応する補正用データ95として記憶部86に記憶する。
【0077】
また、撮影条件によっても発生する散乱線は異なる。そこで、本実施形態では、放射線画像撮影システム10が設けられている施設で使用し得る撮影条件毎にキャリブレーションを行い、撮影条件にも対応付けて補正用データ95を記憶部86に記憶する。なお、撮影条件には、例えば、放射線源14の管球の材料(例えば、タングステン等)、管電圧、放射線制限部材24の材料(例えば、銅等)、グリッド23の特性(例えば、グリッド比、グリッド密度、及び収束距離等)、及びSID(Source Image Distance)が含まれる。ここでいうSIDとは、放射線源14から第1放射線検出器20Aにおける放射線Rの検出面までの距離を表す。また、撮影条件には、放射線画像撮影装置16が収納される収納体の放射線Rが入射される面の材質(例えば、カーボン等)等も含まれる。放射線画像撮影装置16が収納される収納体の放射線Rが入射される面としては、例えば、臥位撮影台では撮影台の天板が挙げられ、立位撮影台では化粧カバーが挙げられる。
【0078】
次に、
図10〜
図12を参照して、本実施形態に係る放射線画像撮影システム10の作用を説明する。なお、
図10は、ユーザにより操作パネル90を介して被検体Wの氏名、撮影部位、及び撮影メニューが入力された場合等にコンソール18のCPU80によって実行される全体撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、この全体撮影処理プログラムはコンソール18の記憶部86に予めインストールされている。
【0079】
また、
図11は、放射線画像撮影装置16の電源がオン状態とされた場合に放射線画像撮影装置16の制御部58Aによって実行される個別撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、この個別撮影処理プログラムは制御部58Aのメモリ62のROMに予めインストールされている。なお、この個別撮影処理プログラムは制御部58Bのメモリ62のROMにも予めインストールされており、放射線画像撮影装置16の電源がオン状態とされた場合に放射線画像撮影装置16の制御部58Bによっても実行される。また、
図11に示す個別撮影処理は、制御部58A及び制御部58Bの各々によって同一の処理が実行されるため、以下では制御部58Aによって実行される場合について説明し、制御部58Bによって実行される場合の説明を省略する。
【0080】
図10のステップ100で、CPU80は、入力された撮影メニューに含まれる情報を放射線画像撮影装置16に通信部92を介して送信し、かつ放射線Rの照射条件を放射線照射装置12に通信部92を介して送信する。そして、CPU80は、放射線Rの照射開始の指示を放射線画像撮影装置16及び放射線照射装置12に通信部92を介して送信する。放射線照射装置12は、コンソール18から送信された照射条件及び照射開始の指示を受信すると、受信した照射条件に従って放射線Rの照射を開始する。なお、放射線照射装置12が照射ボタンを備えている場合は、放射線照射装置12は、コンソール18から送信された照射条件及び照射開始の指示を受信し、かつ照射ボタンが押圧操作された場合に、受信した照射条件に従って放射線Rの照射を開始する。
【0081】
ステップ102で、CPU80は、第1放射線検出器20Aによる撮影により得られた第1放射線画像データ、及び第2放射線検出器20Bによる撮影により得られた第2放射線画像データを受信するまで待機する。CPU80が、第1放射線画像データ及び第2放射線画像データを、通信部92を介して受信するとステップ102の判定が肯定判定となり、処理はステップ104に移行する。
【0082】
ステップ104で、CPU80は、
図12に示す骨密度導出処理を実行した後、本全体撮影処理を終了する。
【0083】
一方、
図11のステップ120で、制御部58Aは、第1放射線検出器20Aの各画素32のセンサ部32Aに蓄積された電荷を取り出して除去するリセット動作を行う。なお、制御部58Aは、本ステップ120でのリセット動作を、1回のみ行ってもよいし、予め定められた複数回繰り返して行ってもよいし、後述するステップ122の判定が肯定判定となるまで繰り返して行ってもよい。
【0084】
ステップ122で、制御部58Aは、放射線Rの照射開始の指示を受信するまで待機する。上記全体撮影処理のステップ100の処理によりコンソール18から送信された照射開始の指示を制御部58Aが通信部66を介して受信すると、ステップ122の判定が肯定判定となり、処理はステップ124に移行する。なお、放射線照射装置12が照射ボタンを備えている場合は、コンソール18から送信された照射開始の指示、及び照射ボタンが押圧操作されたことを示す情報を制御部58Aが通信部66を介して受信した場合に、ステップ122の判定が肯定判定となる。この場合、例えば、放射線照射装置12は、照射ボタンが押圧操作された場合に、照射ボタンが押圧操作されたことを示す情報を、放射線画像撮影装置16に直接送信してもよいし、コンソール18を介して放射線画像撮影装置16に送信してもよい。
【0085】
ステップ124で、制御部58Aは、上記全体撮影処理のステップ100の処理によりコンソール18から送信された情報に含まれる照射期間の間待機する。
【0086】
ステップ126で、制御部58Aは、ゲート線ドライバ52Aを制御し、ゲート線ドライバ52Aから第1放射線検出器20Aの各ゲート配線34に1ラインずつ順に所定期間オン信号を出力させる。これにより、各ゲート配線34に接続された各薄膜トランジスタ32Bが1ラインずつ順にオン状態とされ、1ラインずつ順に各センサ部32Aに蓄積された電荷が電気信号として各データ配線36に流れ出す。そして、各データ配線36に流れ出した電気信号は信号処理部54Aでデジタルの画像データに変換されて、画像メモリ56Aに記憶される。
【0087】
ステップ128で、制御部58Aは、ステップ126で画像メモリ56Aに記憶された画像データに対し、オフセット補正及びゲイン補正等の各種補正を行う画像処理を実行する。ステップ130で、制御部58Aは、ステップ128による画像処理を経た画像データ(第1放射線画像データ)をコンソール18に通信部66を介して送信した後、本個別撮影処理を終了する。
【0088】
ステップ130の処理により送信された第1放射線画像データ及び第2放射線画像データをコンソール18が受信すると、ステップ102の判定が肯定判定となり、
図12に示す骨密度導出処理が実行される。
【0089】
図12のステップ140で、CPU80は、ステップ102の処理により受信された第1放射線画像データ及び第2放射線画像データを、各々記憶部86に記憶する。ステップ142で、CPU80は、ステップ102の処理により受信された第1放射線画像データを用いて、第1放射線画像における放射線Rが遮蔽された領域(以下、「放射線遮蔽領域」という)、直接照射領域、及び被検体領域を特定する。なお、放射線遮蔽領域とは、例えば、コリメーターにより放射線Rが照射されない領域に相当する。
【0090】
具体的には、CPU80は、第1放射線画像データにおける画素値が、放射線Rが照射されない領域の画素値として予め定められた画素値に所定のマージンを加味した画素値以下の領域を放射線遮蔽領域と特定する。なお、コンソール18が、放射線源14と、コリメーターと、放射線画像撮影装置16との距離及び位置関係とコリメーターのサイズ等の構成情報を取得可能な場合は、この構成情報から放射線遮蔽領域を特定してもよい。
【0091】
また、CPU80は、第1放射線画像データにおける画素値が飽和した領域を直接照射領域と特定する。また、CPU80は、第1放射線画像における放射線遮蔽領域及び直接照射領域以外の領域を被検体領域と特定する。また、CPU80は、第1放射線画像と同様に、ステップ102の処理により受信された第2放射線画像データを用いて、第2放射線画像における放射線遮蔽領域、直接照射領域、及び被検体領域を特定する。なお、例えば、ユーザが、操作パネル90を介して放射線遮蔽領域、直接照射領域、及び被検体領域を表す情報を入力してもよい。
【0092】
ステップ144で、CPU80は、第1放射線画像における被検体領域の画素値の平均値を用いて、被検体Wの体厚を推定する。放射線Rは、被検体Wの体厚が厚いほど多く吸収されるため、被検体領域の画素値は、被検体Wの体厚が厚いほど小さくなる場合が多い。従って、例えば、体厚と被検体領域の画素値とが対応付けられた情報を用いて、被検体領域の画素値の平均値又は中央値等から、被検体Wの体厚を推定することができる。
【0093】
ステップ146で、CPU80は、撮影条件、直接照射領域、及び第1放射線検出器20Aに対応付けられた補正用データ95を記憶部86から取得する。また、CPU80は、撮影条件、被検体領域、推定した体厚、及び第1放射線検出器20Aに対応付けられた補正用データ95を記憶部86から取得する。また、CPU80は、撮影条件、直接照射領域、及び第2放射線検出器20Bに対応付けられた補正用データ95を記憶部86から取得する。また、CPU80は、撮影条件、被検体領域、推定した体厚、及び第2放射線検出器20Bに対応付けられた補正用データ95を記憶部86から取得する。なお、コンソール18は、補正用データ95を、例えば、ネットワークを介して接続された外部のシステムから取得してもよい。
【0094】
ステップ148で、CPU80は、第1放射線画像の直接照射領域について、撮影条件、直接照射領域、及び第1放射線検出器20Aに対応付けられた補正用データ95を用いて、直接照射領域に起因する散乱線画像を示す画像データを生成する。具体的には、CPU80は、第1放射線画像の直接照射領域の各画素について、補正用データ95を用いて散乱線の量及び拡がりを導出し、導出した散乱線の量及び拡がりを畳み込み演算することによって直接照射領域に起因する散乱線画像を示す画像データを生成する。
【0095】
また、CPU80は、第1放射線画像の被検体領域について、撮影条件、被検体領域、推定した体厚、及び第1放射線検出器20Aに対応付けられた補正用データ95を用いて、被検体領域に起因する散乱線画像を示す画像データを生成する。具体的には、第1放射線画像の被検体領域の各画素について、補正用データ95を用いて散乱線の量及び拡がりを導出し、導出した散乱線の量及び拡がりを畳み込み演算することによって被検体領域に起因する散乱線画像を示す画像データを生成する。
【0096】
また、CPU80は、第2放射線画像の直接照射領域についても同様に、撮影条件、直接照射領域、及び第2放射線検出器20Bに対応付けられた補正用データ95を用いて、直接照射領域に起因する散乱線画像を示す画像データを生成する。また、CPU80は、第2放射線画像の被検体領域についても同様に、撮影条件、被検体領域、推定した体厚、及び第2放射線検出器20Bに対応付けられた補正用データ95を用いて、被検体領域に起因する散乱線画像を示す画像データを生成する。
【0097】
ステップ150で、CPU80は、第1放射線画像データから、ステップ148の処理により第1放射線画像から生成された各領域の散乱線画像を示す画像データを、対応する画素毎に減算することによって、第1放射線画像の散乱線成分を補正する。また、CPU80は、第2放射線画像データから、ステップ148の処理により第2放射線画像から生成された各領域の散乱線画像を示す画像データを、対応する画素毎に減算することによって、第2放射線画像の散乱線成分を補正する。
【0098】
一例として
図13に示すように、補正前の放射線画像から、補正前の散乱線画像と補正用データ95とを用いて領域毎に生成された散乱線画像の各々を減算することによって、散乱線成分が精度良く補正された放射線画像を生成することができる。
【0099】
ステップ152で、CPU80は、ステップ150の処理による補正を経た補正後の第1放射線画像データ及び第2放射線画像データを用いて、DXA画像データを生成する。なお、以降、ステップ152〜158において、単に第1放射線画像データ及び第2放射線画像データと表記した場合は、それぞれステップ150の処理による補正を経た補正後の第1放射線画像データ及び第2放射線画像データを表すものとする。
【0100】
CPU80は、第1放射線画像データ及び第2放射線画像データの各々の各画素値に対してログ変換を行う。そして、CPU80は、第1放射線画像データに対してログ変換を行って得られた画像データから、第2放射線画像データに対してログ変換を行って得られた画像データを、対応する画素毎に減算するエネルギーサブトラクション処理を行うことによりDXA画像データを生成する。そして、CPU80は、生成したDXA画像データを記憶部86に記憶する。
【0101】
なお、第1放射線画像データと第2放射線画像データとの対応する画素の決定方法は特に限定されない。例えば、事前にマーカーが写り込む状態で放射線画像撮影装置16により撮影を行って得られた第1放射線画像データと第2放射線画像データとにおけるマーカーの位置の差異から、第1放射線画像データと第2放射線画像データとの位置ずれ量を算出する。そして、算出した位置ずれ量に基づいて、第1放射線画像データと第2放射線画像データとの対応する画素を決定する形態が例示される。
【0102】
この場合、例えば、被検体Wの撮影時に、被検体Wと一緒にマーカーも撮影して得られた第1放射線画像データと第2放射線画像データとにおけるマーカーの位置の差異から、第1放射線画像データと第2放射線画像データとの位置ずれ量を算出してもよい。また、例えば、被検体Wを撮影して得られた第1放射線画像データと第2放射線画像データとにおける被検体Wの構造に基づいて、第1放射線画像データと第2放射線画像データとの位置ずれ量を算出してもよい。
【0103】
ステップ154で、CPU80は、ステップ152の処理により生成されたDXA画像データを用いて、DXAプロファイルを導出する。ステップ156で、CPU80は、ステップ154の処理により導出されたDXAプロファイルにおける基準線Kと骨部領域における画素値との差の積算値を導出する。また、CPU80は、導出した積算値をDXAプロファイルにおける骨部領域の幅に対応する画素数で除算する。そして、CPU80は、除算して得られた値に、単位変換係数を乗算することによって、被検体Wの骨密度を導出する。
【0104】
ステップ158で、CPU80は、第1放射線画像データが示す第1放射線画像を診断用画像として表示部88に表示し、かつステップ156の処理により導出された骨密度を表示部88に表示した後、本骨密度導出処理を終了する。
【0105】
なお、CPU80は、ステップ150の処理による補正を経た補正後の第1放射線画像データ及び第2放射線画像データを用いて、エネルギーサブトラクション画像(以下、「ES(Energy Subtraction)画像」という)を示す画像データ(以下、「ES画像データ」という)を生成してもよい。この場合、CPU80は、第1放射線画像データに所定の係数を乗算して得られた画像データを、第2放射線画像データに所定の係数を乗算して得られた画像データから対応する画素毎に減算する形態が例示される。この減算を行うことにより、CPU80は、軟部組織を除去し、骨部組織を強調したES画像を示すES画像データを生成する。この形態例において、CPU80は、ステップ158において、診断用画像に代えて、骨部組織を強調したES画像を表示部88に表示してもよい。
【0106】
また、CPU80は、骨部組織を強調したES画像から骨部領域のエッジを特定し、特定した結果をDXA画像データにおける骨部領域に対応する画素位置として用いてもよい。この場合、例えば、CPU80は、撮影メニューに含まれる撮影部位に基づいて、おおよその骨部領域の範囲を推定する。そして、CPU80は、推定した範囲内において、周辺画素の微分値が所定値以上の画素を、骨部領域のエッジ(端部)を構成する画素として検出することで、骨部領域を特定する形態が例示される。
【0107】
さらに、この場合、CPU80は、特定した骨部領域のエッジから、骨部から離れる所定の方向に対して所定の画素数を空けた位置の画素を含む所定の面積の領域を軟部領域として特定してもよい。この場合、CPU80は、特定した結果をDXA画像データにおける軟部組織に対応する画素位置として用いてもよい。
【0108】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1放射線検出器20Aに対応付けられた第1の補正用データ95を用いて第1放射線画像に含まれる散乱線成分を補正し、第2放射線検出器20Bに対応付けられた第2の補正用データ95を用いて第2放射線画像に含まれる散乱線成分をしている。従って、放射線画像に含まれる放射線Rの散乱線に起因する成分を精度良く補正することができる。
【0109】
また、本実施形態によれば、放射線画像撮影装置16が備える2つの放射線検出器20の各々によって生成された放射線画像を用いて、被検体Wの骨密度を導出している。従って、1度の放射線Rの照射によって被検体Wの骨密度を導出することができる結果、被検体Wへの放射線Rの照射量を低減して、被検体Wの骨密度を導出することができる。
【0110】
[第2実施形態]
以下、本開示の技術に係る第2実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態に係る放射線画像撮影システム10の構成は、放射線画像撮影装置16の構成以外は第1実施形態と同様(
図1、
図3、及び
図4参照)であるため、ここでの説明を省略する。また、上記第1実施形態と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0111】
図14に示すように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置16の筐体21内には、被検体Wを透過した放射線Rを検出する放射線検出器20C、及び制御基板26Cが設けられている。放射線検出器20Cの構成は、第1実施形態に係る第1放射線検出器20Aと同様であるため、ここでの説明を省略する。また、制御基板26Cの構成も上記第1実施形態に係る制御基板26Aと同様であるため、ここでの説明を省略する。なお、筐体21と被検体Wとの間には、散乱線を除去するためのグリッド23が配置される。
【0112】
本実施形態に係る放射線画像撮影システム10では、異なる管電圧で2回の放射線画像の撮影を行い、放射線検出器20Cによる2回の撮影により得られた放射線画像データの各々を用いて、骨密度の導出を行う。2回の撮影において管電圧が異なることにより、放射線検出器20Cには、エネルギーの異なる放射線Rが照射される。
図15を参照して、放射線検出器20Cにより吸収される放射線Rについて説明する。なお、
図15は、縦軸は放射線Rの吸収量を示し、横軸は放射線Rのエネルギーを示している。また、
図15の実線L3は、放射線源14の管電圧を140kVとした場合の放射線検出器20Cが吸収する放射線Rについてのエネルギーと吸収量との関係を示している。また、
図15の実線L4は、放射線源14の管電圧を100kVとした場合の放射線検出器20Cが吸収する放射線Rについてのエネルギーと吸収量との関係を示している。
図15に示すように、放射線源14の管電圧が異なることにより、1回目の照射と2回目の照射とで放射線検出器20Cに対してエネルギーの異なる放射線Rが各々照射される。
【0113】
本実施形態に係る補正用データ95は、少なくとも管電圧が異なる複数の撮影条件に対応付けられて記憶部86に記憶されている。換言すると、補正用データ95は、管電圧に応じた異なる複数のエネルギーに対応付けられて記憶部86に記憶されている。また、本実施形態に係る補正用データ95も、第1実施形態と同様のキャリブレーションにより得られたものである。
【0114】
次に、
図16〜
図18を参照して、本実施形態に係る放射線画像撮影システム10の作用を説明する。なお、
図16における
図10と同一の処理を実行するステップについては
図10と同一の符号を付して、その説明を省略する。また、
図17における
図11と同一の処理を実行するステップについては
図11と同一の符号を付して、その説明を省略する。また、
図18における
図12と同一の処理を実行するステップについては
図12と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0115】
図16のステップ103で、CPU80は、放射線検出器20Cによる撮影により得られた放射線画像データを受信するまで待機する。CPU80が、放射線画像データを、通信部92を介して受信するとステップ103の判定が肯定判定となり、処理はステップ105に移行する。ステップ105で、CPU80は、ステップ103で受信された放射線画像データを記憶部86に記憶した後、本全体撮影処理を終了する。
【0116】
本実施形態では、ユーザは、一連の放射線画像の撮影処理で、本全体撮影処理を2回実行させる。この場合、ユーザは、1回目と2回目で管電圧を異ならせる。本実施形態では、1回目の管電圧を2回目の管電圧よりも低い電圧(例えば70[kV])とし、2回目の管電圧を1回目の管電圧よりも高い電圧(例えば100[kV])とした場合について説明する。なお、1回目の管電圧を2回目の管電圧よりも高い電圧としてもよい。
【0117】
図17のステップ131で、制御部58Aは、ステップ120〜ステップ130の処理を2回繰り返して実行したか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップ120に戻り、肯定判定となった場合は、本個別撮影処理が終了する。
【0118】
コンソール18のCPU80は、1回目のステップ130の処理により放射線画像撮影装置16から送信された放射線画像データを第2放射線画像データとして、以下に示す処理を行う。すなわち、この場合、CPU80は、2回目のステップ130の処理により放射線画像撮影装置16から送信された放射線画像データを第1放射線画像データとして、
図18に示す骨密度導出処理を実行する。
【0119】
図18のステップ146Aで、CPU80は、1回目の撮影条件及び直接照射領域に対応付けられた補正用データ95を記憶部86から取得する。また、CPU80は、1回目の撮影条件、被検体領域、及び推定した体厚に対応付けられた補正用データ95を記憶部86から取得する。また、CPU80は、2回目の撮影条件及び直接照射領域に対応付けられた補正用データ95を記憶部86から取得する。また、CPU80は、2回目の撮影条件、被検体領域、及び推定した体厚に対応付けられた補正用データ95を記憶部86から取得する。
【0120】
ステップ148Aで、CPU80は、第1放射線画像の直接照射領域について、2回目の撮影条件及び直接照射領域に対応付けられた補正用データ95を用いて、直接照射領域に起因する散乱線画像を示す画像データを生成する。具体的には、CPU80は、第1放射線画像の直接照射領域の各画素について、補正用データ95を用いて散乱線の量及び拡がりを導出し、導出した散乱線の量及び拡がりを畳み込み演算することによって直接照射領域に起因する散乱線画像を示す画像データを生成する。
【0121】
また、CPU80は、第1放射線画像の被検体領域について、2回目の撮影条件、被検体領域、及び推定した体厚に対応付けられた補正用データ95を用いて、被検体領域に起因する散乱線画像を示す画像データを生成する。具体的には、第1放射線画像の被検体領域の各画素について、補正用データ95を用いて散乱線の量及び拡がりを導出し、導出した散乱線の量及び拡がりを畳み込み演算することによって被検体領域に起因する散乱線画像を示す画像データを生成する。
【0122】
また、CPU80は、第2放射線画像の直接照射領域についても同様に、1回目の撮影条件及び直接照射領域に対応付けられた補正用データ95を用いて、直接照射領域に起因する散乱線画像を示す画像データを生成する。また、CPU80は、第2放射線画像の被検体領域についても同様に、1回目の撮影条件、被検体領域、及び推定した体厚に対応付けられた補正用データ95を用いて、被検体領域に起因する散乱線画像を示す画像データを生成する。
【0123】
なお、本実施形態において、上記第1実施形態と同一の放射線画像撮影装置16を用いてもよい。この場合、放射線Rの入射側に配置された第1放射線検出器20Aにエネルギーの異なる放射線Rが照射されることによって生成された放射線画像の各々からDXA画像を生成する形態が例示される。
【0124】
以上説明したように、本実施形態によれば、放射線検出器を1つ備えた放射線画像撮影装置においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0125】
なお、上記各実施形態では、第1放射線画像データ及び第2放射線画像データの対応する画素の画素値毎にログ変換を行って差分を取ることによって画素同士の画素値の比を導出する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第1放射線画像データ及び第2放射線画像データの対応する画素の画素値毎に重み付け係数を乗算したうえでログ変換を行って差分を取ることによって画素同士の画素値の比を導出する形態としてもよい。この場合の重み付け係数は、放射線画像撮影装置16の実機を用いた実験等によって、骨密度が精度良く導出される係数として予め得られた値を適用すればよい。また、例えば、この場合で、かつ撮影部位が腹部等のガスを含む領域(例えば腸管に対応する領域)を含む部位である場合は、ガスを含む領域の画素値を除去するような重み付け係数を用いてもよい。
【0126】
また、上記各実施形態において、コンソール18が実行した骨密度導出処理を、放射線画像撮影装置16の制御部58A又は制御部58Bが実行してもよい。また、放射線画像撮影装置16が制御部58A及び制御部58Bを統括する統括制御部を有する構成の場合は、統括制御部が骨密度導出処理を実行してもよい。また、例えば、コンソール18とネットワークを介して接続された情報処理装置が骨密度導出処理を実行してもよい。
【0127】
また、上記第1実施形態では、第1放射線検出器20A及び第2放射線検出器20Bの双方に、放射線を一旦光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換型の放射線検出器を適用した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第1放射線検出器20A及び第2放射線検出器20Bの少なくとも一方に、放射線を電荷へ直接変換する直接変換型の放射線検出器を適用する形態としてもよい。なお、直接変換型の放射線検出器における放射線を吸収して電荷に変換する変換層としては、a−Se(アモルファスセレン)及び結晶CdTe(結晶テルル化カドミウム)等が例示される。
【0128】
また、上記第1実施形態では、第1放射線検出器20A及び第2放射線検出器20Bの双方に、TFT基板30A、30B側から放射線Rが入射されるISS方式の放射線検出器を適用した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第1放射線検出器20A及び第2放射線検出器20Bの少なくとも一方に、シンチレータ22A、22B側から放射線Rが入射されるPSS(Penetration Side Sampling)方式の放射線検出器を適用する形態としてもよい。
【0129】
また、上記各実施形態では、第1放射線画像データ及び第2放射線画像データを用いて、骨密度を導出する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第1放射線画像データ及び第2放射線画像データを用いて、骨塩定量を導出してもよいし、骨密度及び骨塩定量の双方を導出してもよい。
【0130】
また、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を実行することにより実行した各種処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(field-programmable gate array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、上記各種処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0131】
また、上記各実施形態では、全体撮影処理プログラムが記憶部86に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。全体撮影処理プログラムは、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、全体撮影処理プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0132】
また、上記各実施形態では、個別撮影処理プログラムが制御部58A(制御部58B)のメモリ62のROMに予め記憶されている態様を説明したが、これに限定されない。個別撮影処理プログラムは、上記記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、個別撮影処理プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。