特許第6925478号(P6925478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6925478
(24)【登録日】2021年8月5日
(45)【発行日】2021年8月25日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/511 20060101AFI20210812BHJP
【FI】
   A61F13/511 500
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-83809(P2020-83809)
(22)【出願日】2020年5月12日
(62)【分割の表示】特願2017-149241(P2017-149241)の分割
【原出願日】2017年8月1日
(65)【公開番号】特開2020-116454(P2020-116454A)
(43)【公開日】2020年8月6日
【審査請求日】2020年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】小澤特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 泰一
(72)【発明者】
【氏名】中尾 瞳
(72)【発明者】
【氏名】島津 健
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−198651(JP,A)
【文献】 特開2014−198136(JP,A)
【文献】 韓国公開実用新案第20−2017−0001847(KR,U)
【文献】 特開2012−016444(JP,A)
【文献】 特開2004−216172(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3182250(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0265591(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
A61L 15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する長手方向及び幅方向と、
吸収性物品の肌面側から視認可能な目印部と、
展開状態における吸収性物品の肌面どうしが当接するように前記吸収性物品を折り畳むための折り線と、
使用時に着用者の身体前側に面する前胴回り域、使用時に前記着用者の身体後側に面する後胴回り域、及び前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に位置する股下域を有する、吸収性物品であって、
前記目印部は、着用者の身体に対する位置合わせ用の身体合わせ部を有し、
前記身体合わせ部は、身体の形状を示すデザインを有し、
前記身体合わせ部の少なくとも一部は、前記展開状態において、前記折り線と直交する直交方向における、前記吸収性物品の外縁から、前記吸収性物品の外縁と前記折り線の距離の2倍までの所定領域に配置されており、
前記身体合わせ部は、前記後胴回り域に配置されている、吸収性物品。
【請求項2】
前記後胴回り域の前記幅方向の外側部には、前記前胴回り域に係合する係合部を有するファスニングテープが設けられており、
前記身体合わせ部は、前記長手方向において前記ファスニングテープが配置された範囲に配置されている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記身体合わせ部は、前記前胴回り域、前記後胴回り域及び前記股下域のうち、前記前胴回り域及び前記後胴回り域のみに配置されている、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記目印部は、装着操作を説明するための文字表示部を更に備え、
前記身体合わせ部の少なくとも一部及び前記文字表示部の少なくとも一部は、前記所定領域に配置されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記目印部は、他の吸収性物品に対する位置合わせ用の物品合わせ部を更に備え、
前記身体合わせ部の前記長手方向の中心及び前記物品合わせ部の前記長手方向の中心は、前記吸収性物品の前記長手方向の中心に対して前記長手方向にずれている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記目印部は、他の吸収性物品に対する位置合わせ用の物品合わせ部を更に備え、
前記物品合わせ部の少なくとも一部及び前記身体合わせ部の少なくとも一部は、前記吸収性物品の前記長手方向の中心よりも後側に配置されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記身体合わせ部及び前記物品合わせ部の両方が、前記所定領域に配置されている、請求項5又は請求項6に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつのような吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつのような吸収性物品は、着用者の適切な位置で装着されることにより、体液の吸収や漏れの抑制等の吸収性物品の機能を十分に発揮できるように構成されている。着用者の適切な位置で装着するための目印部を備えた吸収性物品が提供されている(特許文献1)。特許文献1の吸収性物品の目印部は、裏面シートに印刷されており、肌面側から視認可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−144050号公報
【発明の概要】
【0004】
吸収性物品は、コンパクトに収納するために、折り畳まれた状態で収納されているものがある。折り畳まれた吸収性物品を使用する際は、吸収性物品を展開した展開状態で着用者に装着する。しかし、装着補助者は、吸収性物品が部分的に折り畳まれた状態で目印部を視認すると、吸収性物品を展開する前に目印部によって位置合わせを行うことがある。よって、本来展開状態で装着する吸収性物品が、折り畳まれた状態で装着されたり、装着操作をやり直したりして、装着操作を適切に行うことができないおそれがある。
【0005】
そこで、装着操作を適切に行うことができる吸収性物品が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る吸収性物品は、互いに直交する長手方向及び幅方向と、吸収性物品の肌面側から視認可能な目印部と、展開状態における吸収性物品の肌面どうしが当接するように前記吸収性物品を折り畳むための折り線と、を有する、吸収性物品であって、前記目印部の少なくとも一部は、前記展開状態において、前記折り線と直交する直交方向における、前記吸収性物品の外縁から、前記吸収性物品の外縁と前記折り線の距離の2倍までの所定領域に配置されている。
【0007】
他の態様に係る吸収性物品は、互いに直交する長手方向及び幅方向と、吸収性物品の肌面側から視認可能な目印部と、展開状態における吸収性物品の肌面どうしが当接するように前記吸収性物品を折り畳むための折り線と、を有する、吸収性物品であって、前記折り線によって折り畳まれ、かつ前記吸収性物品の伸長状態において、前記目印部の少なくとも一部は、前記折り線によって折られた折り領域によって覆われている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る吸収性物品の肌面側から見た平面図である。
図2】吸収性物品の折り畳み態様を説明するための図である。
図3】吸収性物品の所定領域を示した吸収性物品の平面図である。
図4】実施形態に係る吸収性物品の装着状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品は、互いに直交する長手方向及び幅方向と、 吸収性物品の肌面側から視認可能な目印部と、 吸収性物品の肌面どうしが当接するように前記吸収性物品を折り畳むための折り線と、を有する、吸収性物品であって、 前記目印部の少なくとも一部は、前記吸収性物品の展開状態において、前記折り線と直交する直交方向における、前記吸収性物品の外縁から、前記吸収性物品の外縁と前記折り線の距離の2倍までの所定領域に配置されている。
【0010】
所定領域は、折り線と直交する直交方向において、前記吸収性物品の外縁から、吸収性物品の外縁と折り線の距離の2倍までの領域であり、折り線によって折られた部分又は折られた部分によって覆われ部分である。目印部の少なくとも一部が所定領域内に配置されているため、装着補助者は、折り線によって折り畳まれた状態で目印部全体を視認し難く、展開状態で目印部全体を視認しやすくなる。装着補助者は、吸収性物品が部分的に折り畳まれた状態のままで目印部を利用するという誤った使い方をせず、装着操作を適切に行うことができる。
【0011】
好ましい一態様によれば、前記目印部は、装着操作の順序を示す順序表示部を有し、前記順序表示部は、所定領域に配置されている。
【0012】
本態様によれば、装着補助者は、順序表示部によって装着操作の順序を把握できる。装着補助者は、展開状態で装着操作の順序を把握するため、装着操作を適切な順序で行い易い。
【0013】
好ましい一態様によれば、互いに直交する長手方向及び幅方向と、吸収性物品の肌面側から視認可能な目印部と、展開状態における吸収性物品の肌面どうしが当接するように前記吸収性物品を折り畳むための折り線と、を有する、吸収性物品であって、前記折り線によって折り畳まれ、かつ前記吸収性物品の伸長状態において、前記目印部の少なくとも一部は、前記折り線によって折られた折り領域によって覆われている。
【0014】
装着補助者は、折り線によって折り畳まれた状態で目印部全体を視認し難く、展開状態で目印部全体を視認しやすくなる。装着補助者は、吸収性物品が部分的に折り畳まれた状態のままで目印部を利用するという誤った使い方をせず、装着操作を適切に行うことができる。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記目印部は、前記展開状態において、前記折り線よりも前記吸収性物品の外縁側に配置されている。
【0016】
折り線よりも前記吸収性物品の外縁側の領域は、折り線によって折り畳まれた際に折られる領域である。当該領域に配置された目印部は、当該領域がめくれてない状態では視認され難い。よって、目印部が吸収性物品の展開状態まで視認され難くなり、展開状態において適切なタイミングで装着操作を促すことができる。
【0017】
好ましい一態様によれば、吸収コアを有し、前記折り線の少なくとも一部は、前記吸収コアと重なる領域に配置されている。
【0018】
本態様によれば、折り線の少なくとも一部が吸収コアと重なる領域であるため、折り線による折り癖が付きやすい。よって、折り線によって折られた部分の一部が意図せずに展開することを抑制できる。折り畳み状態から展開状態に至るまでの過程で目印部を視認し難くすることができ、吸収性物品の装着操作を適切に行い易くなる。
【0019】
好ましい一態様によれば、前記目印部は、装着操作の順序を示す順序表示部を有し、前記順序表示部は、1番目を示す第1順序表示部と、2番目を示す第2順序表示部と、を有し、前記第1順序表示部は、前記展開状態において、前記折り線よりも前記吸収性物品の内側に配置されており、前記第2順序表示部は、前記展開状態において、前記折り線よりも前記吸収性物品の外縁側に配置されている。
【0020】
本態様によれば、所定領域内における折り線よりも吸収性物品の内側の領域は、折られた部分によって覆われる部分である。第1順序表示部は、肌面側に向いており、折られた部分が意図せずにめくれた際に視認され易い。しかし、装着補助者は、意図せずに第1順序表示部を視認しても、最初の操作順序を把握することとなり、操作順序の間違いが生じ難い。また、所定領域内における折り線よりも吸収性物品の外側の領域は、折り線によって折られた部分である。第2順序表示部は、折り畳まれた状態で非肌面側に向おいており、折られた部分がめくれてない状態では視認され難い。すなわち、第1順序表示部よりも第2順序表示部が視認し難く構成されているため、装着補助者は、操作順序を適切に把握し易くなる。
【0021】
好ましい一態様によれば、前記目印部は、前記第1順序表示部を含む第1目印部と、前記第2順序表示部を含む第2目印部と、を有し、前記第1目印部は、他の吸収性物品に対する位置合わせ用の物品合わせ部を有し、前記第2目印部は、着用者の身体に対する位置合わせ用の身体合わせ部を有する。
【0022】
本態様によれば、物品合わせ部によって他の吸収性物品に対する適切な位置で配置でき、身体合わせ部によって着用者の適切な位置で配置できる。他の吸収性物品に対する適切な位置で配置する操作を促した後に、身体に対する位置を合わせる操作を促すことができ、適切な順序での装着操作を促すことができる。
【0023】
好ましい一態様によれば、前記目印部は、他の吸収性物品に対する位置合わせ用の物品合わせ部を有し、前記物品合わせ部の前記長手方向の中心は、前記吸収性物品の長手方向の中心に対して長手方向にずれている。
【0024】
本態様によれば、物品合わせ部によって他の吸収性物品に対する適切な位置で配置できる。また、物品合わせ部が吸収性物品の長手方向の中心に対して長手方向にずれているため、物品合わせ部によって吸収性物品の長手方向の向きを把握し易い。装着補助者は、装着向きを間違えることなく、適切かつスムーズに装着操作を行うことができる。
【0025】
好ましい一態様によれば、前記折り線は、前記長手方向に沿い、かつ前記幅方向に間隔を空けて一対で配置されており、前記吸収性物品は、前記折り線によって折り畳まれた後に、前記幅方向に沿い、かつ前記長手方向に間隔を空けて配置された第1幅折り線及び第2幅折り線によって折り畳まれており、前記第1幅折り線によって折り畳まれ、かつ前記第2幅折り線を基点に展開した状態において、前記目印部は、前記第1幅折り線によって折られた部分によって覆われている。
【0026】
折り畳まれた状態の吸収性物品を展開する過程では、第1幅折り線によって折り畳まれ、かつ第2幅折り線を基点に展開した状態となる。この状態において、目印部は、第1幅折り線によって折り畳まれた部分によって覆われ、装着補助者によって視認され難い。よって、展開する過程において、装着補助者が誤って装着操作を開始することを抑制できる。装着補助者は、展開状態で吸収性物品の装着操作を行い易く、折り畳まれた状態で装着されたり、装着操作をやり直したりする不具合を抑制し、装着操作を適切に行うことができる。
【0027】
好ましい一態様によれば、前記目印部は、他の吸収性物品に対する位置合わせ用の物品合わせ部を有し、前記物品合わせ部の長手方向の中心は、前記第1幅折り線と前記第2幅折り線との長手方向の中心に対して長手方向にずれている。
【0028】
本態様によれば、展開状態の吸収性物品には、第1幅折り線と第2幅折り線による折り癖が形成される。装着補助者は、2つの幅折り線に基づいて吸収性物品の全体の向きを確認できる。このとき、物品合わせ部が、第1幅折り線と第2幅折り線との長手方向の中心に対して長手方向にずれているため、物品合わせ部によって吸収性物品の長手方向の向きを把握し易い。装着補助者は、装着向きを間違えることなく、適切かつスムーズに装着操作を行うことができる。
【0029】
好ましい一態様によれば、前記折り線は、前記幅方向に沿い、かつ前記長手方向に間隔を空けて一対で配置されており、前記目印部は、装着操作の順序を示す順序表示部を有し、前記順序表示部は、1番目を示す第1順序表示部を有し、前記一対の折り線の一方によって折り畳まれ、他方を基点に展開した状態において、前記第1順序表示部は、前記一方の折り線によって折られた部分によって覆われている。
【0030】
本態様によれば、一方の折り線によって折り畳まれ、他方を基点に展開した状態、すなわち展開状態まで展開してない状態において、第1順序表示部は、覆われており、視認され難い。装着補助者は、最初の操作順序を把握できず、装着操作を行わずに、展開操作を継続し易い。装着補助者は、展開状態で第1順序表示部を視認し、操作を開始し易くなる。
【0031】
(2)吸収性物品の全体概略構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0032】
図1は、着用者の肌に面する肌面側から見た吸収性物品の平面図であり、図1は、吸収性物品10を構成するシートの皺がなくなる状態まで吸収性物品を伸長させた状態の図である。
【0033】
本実施形態に係る吸収性物品は、例えば介護者のような装着補助者が要介護者のような着用者に装着させるタイプのものであることが好ましい。特に、本実施形態に係る吸収性物品は、大人用の使い捨ておむつであることが好ましい。
【0034】
吸収性物品10は、着用者の身体前側と身体後側とに延びる長手方向Lと、長手方向Lに直交する幅方向Wと、長手方向L及び幅方向Wに直交する厚み方向と、を有する。また、本明細書において、「肌面側」は、使用中に着用者の肌に面する側に相当する。「非肌面側」は、使用中に着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。
【0035】
吸収性物品10は、前胴回り域S1と、後胴回り域S2と、股下域S3と、を有する。前胴回り域S1は、使用時に着用者の身体前側に面する。後胴回り域S2は、使用時に着用者の身体後側に面する。股下域S3は、前胴回り域S1と後胴回り域S2との間に位置し、使用時に着用者の股下に配置される。股下域S3は、脚回り開口部65が設けられた領域であり、前胴回り域S1と股下域S3との境界は、脚回り開口部65の前端縁によって規定され、後胴回り域S2と股下域S3との境界は、脚回り開口部65の後端縁によって規定されてよい。
【0036】
吸収性物品10は、少なくとも股下域S3に配置された吸収コア50を有する。吸収コア50は、股下域S3から前胴回り域S1及び後胴回り域S2へ延びていてよい。吸収コア50は、例えば粉砕パルプもしくは高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの混合物を含む吸収性材料の積層体であってよい。吸収性物品は、吸収コア50と、図示しないコアラップと、を含む吸収体を有してよい。コアラップは、吸収コア50を覆うように配置され、例えば、ティッシュや不織布シートであってよい。
【0037】
吸収性物品10は、吸収コア50の肌面側に位置する肌面シート41と、吸収コア50の非肌面側に位置する非肌面シート42と、を有してよい。肌面シート41は、トップシート41aと、サイドシート41bと、を有してよい。トップシート41aは、液透過性を有し、吸収コア50の少なくとも幅方向の中心を覆うように配置されてよい。サイドシートは、疎水性を有する不織布からなり、吸収コアの幅方向の中心よりも幅方向の外側において、幅方向Wにおける肌面シートの両側部を覆うように配置されてよい。非肌面シート42は、液不透過性を有し、吸収コア50よりも非肌面側に設けられてよい。非肌面シート42は、液不透過性のバックフィルムと、バックフィルムの非肌面側に配置されたバック不織布と、を有してよい。
【0038】
吸収性物品10は、防漏ギャザーを構成する防漏伸縮性部材51と、脚回り開口部に配置される脚回り伸縮性部材52と、を有してよい。防漏伸縮性部材51及び脚回り伸縮性部材52は、伸縮性部材を構成する。防漏伸縮性部材51は、サイドシート41bの内側縁に配置されており、サイドシート41bの内側縁を着用者側に起立させる。脚回り伸縮性部材52は、脚回り開口部65に沿って配置されており、脚回り開口部65を着用者の脚回りにフィットさせる。
【0039】
吸収性物品10は、後胴回り域S2の幅方向Wの両外側部に設けられたファスニングテープ94を有してよい。ファスニングテープ94は、前胴回り域S1に係合する係合部96を有してよい。
【0040】
吸収性物品10は、着用者の適切な位置で吸収性物品を装着するための目印部20を有する。目印部20は、吸収性物品10の肌面側から視認可能である。本実施の形態における視認可能な目印部とは、目視にて認識な目印部である。具体的には、例えば、*a*b*表色系において、目印部に隣接する周囲に対する色差ΔEが8以上の目印部は、視認可能な目印部である。
【0041】
目印部20は、吸収性物品の印刷に適用可能な油性のインクを用い、通常用いられる染料や顔料等有機溶剤や油系の溶剤等、界面活性剤等が含有されたものを用いることができる。印刷方法としては、各種公知の印刷方法を特に制限無く用いることができる。また、目印部は、着色されたホットメルト型接着剤であってもよい。目印部20は、サイドシート41bの非肌面側に設けられていてよい。疎水性を有するサイドシートの非肌面側に目印部20を配置することにより、目印部20を構成するインク等が反対面側に透過し難く、目印部20が肌に付着することを防止できるとともに、目印部20のデザインの劣化などを防いでデザインを維持し易い。目印部20が、トップシート41aに配置されず、サイドシート41bに配置されている構成によれば、目印部20が液透過性に影響する物質で構成される場合においても、トップシート41aの液透過性を確保し易い。また、テープタイプのおむつ等サイドシートを有しない吸収性物品にあっては、目印部20は、トップシート41aの非肌対向面側において吸収コア50よりも幅方向の外側に配置されてよく、より好適には、脚回り伸縮性部材52近傍に配置されることが好ましい。吸収コア50よりも幅方向の外側の領域、特に脚回り伸縮性部材52近傍の領域は、排泄物が排泄されるポイントから離れており、デザインの視認性を確保し易い。加えて、吸収パッドを重ねて使用する場合において、吸収コア50よりも幅方向の外側の領域は、吸収パッドによって覆われ難い。よって、目印部20の視認性を確保し易い。
【0042】
目印部20は、吸収性物品10の肌面側から視認可能に構成されていればよく、肌面シート41に設けられていてもよいし、肌面シート41を介して視認できるように吸収コア50に設けられていてもよい。
【0043】
目印部20は、平面視にて間隔を空けて複数設けられていてもよいし、少なくとも一部が重なるように複数設けられていてもよいし、それぞれ1個ずつ設けられていてもよい。目印部20は、視認性を確保する観点から1mm以上20cm未満であってよく、より好適には、1cm以上10cm未満であってよい。交換などの装着時に装着補助者の目と吸収性物品の目印部との距離は、一般的に30cm程度離れる。目印部20の寸法が1cm未満であると、装着補助者によっては目印部を見難く、絵柄と勘違いし、円滑な操作を促せないおそれがある。また、目印部の寸法が10cm以上であると、左右一対で設けた際に、排泄物が排泄されるポイントに目印部が重なり、視認性を確保できなかったり、吸収性能を確保できなかったりするおそれがある。なお、目印部の寸法は、第1目印部21、第2目印部22、及び第3目印部23のそれぞれの伸長状態における寸法である。例えば、第1目印部21の寸法は、後述する順序表示部、位置表示部、及び文字表示部を含む全体の寸法である。
【0044】
目印部20の少なくとも一部は、平面視にて吸収コア50と重なる領域に配置されてよい。目印部20の一部とは、第1目印部21から第3目印部23のうちいずれかの目印部における一部分である。吸収コア50と重なる目印部20は、吸収コア50を挟んだ反対面側から視認し難くなる。そのため、装着補助者が吸収性物品の非肌面側から視認した際に、目印部20を把握し難い。装着補助者は、肌面側から吸収性物品を視認した際に目印部20を把握し、適切なタイミングで装着操作を行うことができる。なお、本実施の形態における視認し難い目印部とは、目視にて認識不可能又は認識し難い目印部である。具体的には、例えば、*a*b*表色系において、目印部に隣接する周囲に対する色差ΔEが4未満の目印部は、視認不可能又は視認し難い目印部である。より好適には、周囲に対する色差ΔEが3.2未満の目印部は、目視にて認識できないものである。
【0045】
目印部20は、非肌面シートのバックフィルムと重なっていてよい。目印部20がバックフィルムと重なるため、バックフィルムを挟んだ反対面側から視認し難くなる。本実施の形態では、吸収コアと重ならない領域に配置された目印部20がバックフィルムに重なって配置されている。目印部20は、吸収コア50又はバックフィルムによって反対面側から視認し難くなる。装着補助者は、肌面側から吸収性物品を視認した際に目印部20を把握し、適切なタイミングで装着操作を行うことができる。
【0046】
目印部20は、第1目印部21と、第2目印部22と、第3目印部23と、を有してよい。第1目印部21、第2目印部22、及び第3目印部23のそれぞれは、吸収性物品の幅方向の中心を軸として対称に一対で配置されてよい。なお、目印部は、吸収性物品の幅方向の中心に対する一方側のみに配置されてもよい。目印部は、吸収性物品の幅方向の中心に対する一方側のみの目印部によって、吸収性物品の幅方向の中心に対する他方側を視認することなく操作できるように構成されていることが好ましい。具体的には、吸収性物品の幅方向の中心に対する一方側に、肌面側における全ての操作を促すための目印部(第1目印部21、第2目印部22、及び第3目印部23)を設けてよい。このような構成によれば、装着補助者が装着者の身体の一方の側面のみを視認して操作を行うことができ、装着者の両側面を視認して操作を行う構成と比較して、操作性を向上できる。
【0047】
目印部20は、伸縮性部材と重ならない領域に配置されてよい。吸収性物品10に外力をかけていない(吸収性物品を伸ばしていない)自然状態では、伸縮性部材が収縮し、伸長状態と比較して吸収性物品の平面全体を視認し難いことがある。しかし、伸縮性部材と重ならない領域に配置された目印部20は、伸縮性部材が収縮した際にも視認性を確保しやすい。装着補助者が当該目印部を容易に認識でき、スムーズかつ適切に装着操作を行うことができる。
【0048】
目印部20は、装着操作の順序を指標する順序表示部20Nと、装着位置を指標する位置表示部と、装着操作を説明するための文字表示部20Cと、の少なくともいずれかを有してよい。順序表示部20Nは、装着の順序を指標する表示であり、例えば、数字によって順序を示してよい。位置表示部は、身体に対して位置を合わせるための身体合わせ部20Pと、他の吸収性物品に対して位置を合わせるための物品合わせ部20Qと、の少なくともいずれかを有してよい。位置表示部は、位置を視認できるものでよく、その形状は、棒線・楕円・点線・矢印・身体の形状を示すデザイン(臀部のデザイン)を例示できる。文字表示部20Cは、装着操作を説明する表示であり、文字を含んでよい。文字表示部20Cに含まれる文字数は、人間が瞬間的に認識できる13文字以下が好ましい。
【0049】
第1目印部21は、股下域S3に配置され、吸収性物品の長手方向Lの中心を跨いで配置されてよい。第1目印部21は、装着操作の順序が1番目であることを示す順序表示部20Nと、パッドの位置を示す物品合わせ部20Qと、パッドの位置を示すことを説明するための文字表示部20Cと、を有してよい。第2目印部22は、後胴回り域S2に配置されてよい。第2目印部22は、装着操作の順序が2番目であることを示す順序表示部20Nと、背部に対する位置を示す身体合わせ部20Pと、を有してよい。第3目印部23は、前胴回り域S1に配置されてよい。第3目印部23は、装着操作の順序が3番目であることを示す順序表示部20Nと、腹部にする位置を示す身体合わせ部20Pと、を有してよい。
【0050】
目印部20が、装着操作の順序を示す順序表示部20Nを有することにより、装着補助者は、順序表示部20Nによって装着操作の順序を把握できる。順序表示部20Nは、吸収コア50に重なる領域に配置されてよい。順序表示部20Nは、吸収コア50を挟んだ反対面側から視認し難くなる。装着補助者は、反対面側の順序表示部20Nを把握し難く、反対面側の順序表示部を含む目印部20による位置合わせを行うことなく、適した順序表示部20Nを含む目印部20による位置合わせを行い易い。
【0051】
目印部20は、身体合わせ部20Pと物品合わせ部20Qとを有してよい。物品合わせ部20Qによって他の吸収性物品に対する適切な位置で配置でき、身体合わせ部20Pによって着用者の適切な位置で配置できる。
【0052】
次いで、吸収性物品の折り畳み態様について説明する。吸収性物品は、パッケージに収納されている状態、すなわち使用前の状態で折り畳まれている。図2は、吸収性物品の折り畳み態様を説明するための図である。図2(a)は、展開状態の吸収性物品を示す。吸収性物品は、展開状態において吸収性物品の肌面どうしが当接するように吸収性物品を折り畳むための折り線FL1を有する。折り線FL1は、展開状態の吸収性物品を折り畳むための折り線である。ここで、展開状態は、吸収コアが覆われていない状態であり、例えば、図2(a)に示すように、ファスニングテープが折られた状態であってもよいし、他
の折り線によって折られているが、当該折られた部分によって吸収コア50が覆われていない状態であってもよい。なお、折り線FL1は、長手方向Lに沿って設けられてもよいし、幅方向Wに沿って設けられていてもよい。また、折り線FL1は、一対でなく、1本のみであってもよい。本実施の形態の折り線FL1は、長手方向に沿っており、幅方向に間隔を空けて一対で設けられている。折り線FL1は、吸収性物品が折り畳まれた状態における折り目によって規定できる。具体的には、吸収性物品が折り畳まれた状態で折り線FL1による折り目が吸収性物品の非肌面に形成される。この折り目の頂点(断面形状が曲線形状の場合には、曲線の頂点)に印を付し、非肌面側の折り線FL1は、印部分であり、非肌面側の折り線FL1は、印を透かして見た位置である。
【0053】
図2(b)は、一対の折り線FL1によって折り畳まれた伸長状態の吸収性物品を示す。一対の折り線FL1によって折り畳まれた状態において、吸収性物品の所定領域PRは、肌面側から視認され難く構成されている。所定領域PRは、折り線と直交する直交方向における、吸収性物品の外縁から、吸収性物品の外縁と折り線FL1の距離の2倍までの領域である。図3において、所定領域PRを示す。本実施の形態のように折り線が長手方向に沿っている場合にあっては、所定領域PRは、幅方向における、吸収性物品の外側縁から、吸収性物品の外側縁と折り線FL1の距離の2倍までの領域である。これに代えて折り線FL1が幅方向Wに沿っている場合にあっては、所定領域PRは、長手方向における、吸収性物品の前端縁(又は後端縁)から、吸収性物品の前端縁(又は後端縁)と折り線FL1の距離の2倍までの領域である。所定領域PRは、折り線FL1によって折り畳まれた状態で、折られた折り領域FRと、折り領域FRによって覆われた被覆領域CRと、を合わせた領域である。折り領域FRは、折り線FL1と吸収性物品の外縁との間の領域である。被覆領域CRは、折り線FL1から、折り領域FR分だけ内側に延びた領域である。
【0054】
吸収性物品10は、図2(b)に示す状態において、第1幅折り線FW1によって折り畳まれ、次いで、第2幅折り線FW2によって折り畳まれる。図2(c)は、第1幅折り線FW1によって折り畳まれ、第2幅折り線によって折り畳まれていない状態であり、図2(d)は、第1幅折り線FW1及び第2幅折り線FW2によって折り畳まれた状態である。第1幅折り線FW1及び第2幅折り線FW2は、幅方向に沿い、かつ長手方向に間隔を空けて配置されている。
【0055】
使用前の吸収性物品は、折り線FL1、第1幅折り線FW1及び第2幅折り線FW2によって折り畳まれた状態であり、装着補助者は、折り畳まれた状態の吸収性物品を展開状態まで展開した後に着用者に対して装着することが好ましい。しかし、吸収性物品が複数回折り畳まれていると、展開状態まで展開する前に装着操作を始めてしまい、本来展開状態で装着する吸収性物品が、部分的に折り畳まれた状態で装着されたり、装着操作をやり直したりして、装着操作を適切かつスムーズに行うことができないおそれがある。このよう装着操作の不具合を抑制するために、目印部の少なくとも一部は、所定領域PRに配置されてよい。目印部20の少なくとも一部が所定領域PR内に配置されているため、装着補助者は、折り線FL1によって折り畳まれた状態で目印部20全体を視認し難く、展開状態で目印部20全体を視認しやすくなる。装着補助者は、吸収性物品が部分的に折り畳まれた状態のままで目印部20を利用するという誤った使い方をせず、装着操作を適切に行うことができる。
【0056】
図2(b)に示す状態、すなわち折り線FL1によって折り畳まれた伸長状態において、目印部20の少なくとも一部は、折り領域FRによって覆われてよい。装着補助者は、折り線FL1によって折り畳まれた状態で目印部20全体を視認し難く、展開状態で目印部20全体を視認しやすくなる。装着補助者は、吸収性物品10が部分的に折り畳まれた状態のままで目印部20を利用するという誤った使い方をせず、装着操作を適切に行うことができる。
【0057】
また、第1幅折り線FW1によって折り畳まれ、かつ第2幅折り線FW2を基点に折り畳まれていない(図2(c)に示す)状態において、目印部20は、第1幅折り線FW1によって折られた部分によって覆われてよい。第1幅折り線FW1によって折られた部分は、第1幅折り線FW1と吸収性物品の長手方向の端縁との間の部分である。折り線FL1及び幅折り線FW1,FW2によって折り畳まれた吸収性物品10を使用する際は、幅折り線FW1、FW2を基点に展開した後に、折り線FL1を基点に展開する。吸収性物品を展開する過程では、第1幅折り線FW1によって折り畳まれ、かつ第2幅折り線FW2を基点に展開した状態となる。この第1幅折り線FW1によって折り畳まれ、かつ第2幅折り線FW2を基点に展開した状態において、目印部20は、第1幅折り線FW1によって折り畳まれた部分によって覆われ、装着補助者が視認し難い。よって、展開する過程において、装着補助者が誤って装着操作を行うことを抑制できる。装着補助者は、展開状態の吸収性物品を用いて装着操作を行い易く、折り畳まれた状態で装着されたり、装着操作をやり直したりする不具合を抑制し、装着操作を適切に行うことができる。
【0058】
また、目印部20は、図2(a)に示す展開状態において、折り線FL1よりも吸収性物品10の外縁側の被覆領域CRに配置されてよい。被覆領域CRに配置された目印部20は、非肌面側に向いて配置されており、被覆領域CRがめくれてない状態では視認され難い。よって、目印部20が吸収性物品の展開状態まで視認され難くなり、展開状態において適切なタイミングで装着操作を促すことができる。
【0059】
折り線FL1の少なくとも一部は、吸収コア50と重なる領域に配置されてよい。折り線の少なくとも一部が吸収コア50と重なる領域であるため、折り線FL1による折り癖が付きやすい。よって、折り線FL1によって折られた被覆領域CRが意図せずに展開することを抑制できる。折り畳み状態から展開状態に至るまでの過程で目印部20を視認し難くすることができ、吸収性物品の装着操作を適切に行い易くなる。
【0060】
目印部20の順序表示部20Nは、所定領域PRに配置されてよい。装着補助者は、順序表示部20Nによって装着操作の順序を把握できる。装着補助者は、展開状態で装着操作の順序を把握するため、装着操作を適切な順序で行い易い。
【0061】
順序表示部は、1番目を示す第1順序表示部20N1と、2番目を示す第2順序表示部20N2と、を有している。第2順序表示部20N2は、第1順序表示部20N1よりも幅方向Wの内側に配置されてよい。より好ましくは、第1順序表示部20N1は、展開状態において、折り線FL1よりも吸収性物品10の内側に配置され、第2順序表示部20N2は、展開状態において、折り線FL1よりも吸収性物品10の外縁側に配置されてよい。所定領域PR内の被覆領域CR(折り線FL1よりも吸収性物品の内側の領域)は、折り線FL1を基点に折り畳まれた状態において、折り領域FRによって覆われている。しかし、装着時に折り領域FRが意図せずにめくれ、被覆領域CRに配置された第1順序表示部20N1が、意図せずに視認されることがある。しかし、装着補助者は、意図せずに第1順序表示部20N1を視認したとしても、最初の操作順序を把握することとなり、操作順序の間違いが生じ難い。
【0062】
所定領域PR内における折り領域FR(折り線FL1よりも吸収性物品の外側の領域)は、折り線FL1を基点に折り畳まれる。折り領域FRに配置された第2順序表示部は、折り線FL1を基点に折り畳まれた状態で非肌面側に向かうように配置されている。よって、装着補助者は、折り畳まれた状態で第2順序表示部20N2を視認し難い。すなわち、第1順序表示部20N1よりも第2順序表示部20N2が視認し難く構成されているため、装着補助者は、操作順序を適切に把握し易くなる。
【0063】
第1目印部21は、第1順序表示部20N1と物品合わせ部20Qを有し、第2目印部22は、第2順序表示部20N2と身体合わせ部20Pを有してよい。物品合わせ部によって他の吸収性物品に対する適切な位置で配置でき、身体合わせ部によって着用者の適切な位置で配置できる。他の吸収性物品に対する適切な位置で配置した状態で、身体合わせ部によって着用者の適切な位置で配置でき、適切な順序での装着操作を促すことができる。この場合において、身体合わせ部20Pの幅方向Wの中心と物品合わせ部20Qの幅方向Wの中心は、幅方向Wにおいてずれていてよい。具体的には、第1目印部21の物品合わせ部20Qは、第2目印部22の身体合わせ部20Pよりも幅方向Wの内側に配置されており、第1目印部21の物品合わせ部20Qの幅方向Wの中心と、第2目印部22の身体合わせ部20Pの幅方向Wの中心と、は、幅方向Wにおいてずれている。身体合わせ部20Pの幅方向Wの中心と物品合わせ部20Qの幅方向Wの中心が幅方向においてずれているため、装着補助者が身体合わせ部20Pと物品合わせ部20Qを区別して認識し易く、よりスムーズかつ適切に装着操作を行うことができる。
【0064】
図1に示すように、第1目印部21に含まれる物品合わせ部20Qの長手方向の中心20QLCは、吸収性物品10の長手方向Lの中心10LCに対して長手方向Lにずれてよい。物品合わせ部20Qによって吸収性物品10の長手方向の向きを把握し易い。装着補助者は、装着向きを間違えることなく、適切かつスムーズに装着操作を行うことができる。
【0065】
図1に示すように、物品合わせ部20Qは、第1幅折り線FW1と第2幅折り線FW2との長手方向Lの中心FWCLに対して長手方向Lにずれてよい。展開状態において吸収性物品には、第1幅折り線FW1と第2幅折り線FW2による折り癖が形成される。装着補助者は、2つの幅折り線FW1,FW2に基づいて吸収性物品の全体の向きを確認できる。このとき、物品合わせ部20Qの長手方向の中心20QLCが、第1幅折り線FW1と第2幅折り線FW2との長手方向Lの中心FWCLに対して長手方向Lにずれているため、物品合わせ部20Qによって吸収性物品10の長手方向Lの向きを把握し易い。装着補助者は、装着向きを間違えることなく、適切かつスムーズに装着操作を行うことができる。
【0066】
目印部20の少なくとも一方には、着用者の身体に対する位置合わせ用の身体合わせ部20Pが複数設けられてよい。具体的には、目印部20には、第2目印部22に含まれる身体合わせ部20Pと、第3目印部23に含まれる身体合わせ部20Pと、が設けられている。複数の身体合わせ部20Pは、同一面上において長手方向Lにおいて重なっていてよい。長手方向に重なっている状態とは、一方の身体合わせ部の少なくとも一部と、他方の身体合わせ部の少なくとも一部と、が長手方向に沿う同一仮想線上に配置されている状態である。
【0067】
次いで、このように構成された吸収性物品の装着態様の一例について、図4に基づいて説明する。装着補助者は、吸収性物品10を展開し、目印部20を確認する。装着補助者は、最初の順序1を示す順序表示部20Nを含む第1目印部21を確認し、第1目印部21に基づく操作、すなわち、パッドを吸収性物品に取り付ける操作を行う(図4(a)参照)。このとき、第1目印部21が物品合わせ部20Qを有するため、吸収性物品とパッドの位置合わせを容易かつ適切に行い易い。次いで、装着補助者は、次の順序2を示す順序表示部20Nを含む第2目印部22を確認し、第2目印部22に基づく操作、すなわち、吸収性物品の後胴回り域S2を着用者の背中に当てる操作を行う。このとき、第2目印部22が身体合わせ部20Pを有するため、吸収性物品と身体の位置合わせを容易かつ適切に行い易い。
【0068】
図4(b)に示すように、吸収性物品の後胴回り域S2に着用者の背中を載せた状態では、吸収コアの幅方向の中心よりも幅方向の外側に配置されたサイドシート41bは、身体によって覆われずに視認可能となり易い。よって、装着補助者は、サイドシートに配置された目印部を容易に認識し、スムーズかつ適切に装着操作を行うことができる。
【0069】
次いで、装着補助者は、次の順序3を示す順序表示部を含む第3目印部23を確認し、第3目印部23に基づく操作、すなわち、吸収性物品の前胴回り域S1を着用者の腹部に当てる操作を行う。図4(c)は、吸収性物品の後胴回り域を着用者の背中に当て、股下域S3を着用者の股間部に当て、かつ前胴回り域S1によって着用者の腹部を覆った状態である。
【0070】
装着補助者は、展開状態の吸収性物品を装着する際に、長手方向Lに視線を移動させ、吸収性物品の長手方向全体に亘って位置合わせを行うことがある。このとき、第2目印部22の身体合わせ部20Pと第3目印部23の身体合わせ部20Pが長手方向において重なっているため、装着補助者が肌面側において長手方向に視線を移動させた際に、複数の身体合わせ部20Pを認識し易く、吸収性物品の長手方向全体に亘って位置合わせを行い易い。本実施の形態に係る吸収性物品によれば、装着補助者に対して装着動作を促すことができ、装着補助者はスムーズかつ着用者の適切な位置で操作を適切に行うことができる。次いで、装着補助者がファスニングテープを前胴周り域に止着することによって、吸収性物品の装着操作が完了する。このように、本実施の形態に係る吸収性物品によれば、装着補助者に対して装着動作を促すことができ、装着補助者はスムーズかつ着用者の適切な位置で操作を適切に行うことができる。
【0071】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0072】
例えば、上記実施形態では、吸収性物品は、大人用の使い捨ておむつである。これに代えて、吸収性物品は、使い捨ておむつに装着する吸収パッドであってもよい。この場合、物品合わせ部は、使い捨ておむつに対する位置合わせのために構成されていてよい。また、吸収性物品は、テープ型の吸収性物品であってもよいし、パンツ型の吸収性物品であってもよい。
【0073】
吸収性物品の肌面どうしが当接するように吸収性物品を折り畳むための折り線は、幅方向に沿い、かつ長手方向に間隔を空けて一対で配置されてよい。このような形態において、一対の折り線の一方によって折り畳まれ、他方を基点に展開した状態において、第1順序表示部は、一方の折り線によって折られた部分によって覆われてよい。一方の折り線によって折り畳まれ、他方を基点に展開した状態、すなわち展開状態まで展開してない状態において、第1順序表示部は、覆われており、視認され難い。装着補助者は、最初の操作順序を把握できず、装着操作を行わずに、展開操作を継続し易い。装着補助者は、展開状態で第1順序表示部を視認し、操作を開始し易くなる。より好適には、一対の折り線の一方によって折り畳まれ、他方を基点に展開した状態において、第2順序表示部等、第1順序表示部以外の順序表示部が視認可能であることが好ましい。装着補助者は、展開状態まで展開してない状態において、第1順序表示部を視認できず、第1順序表示部以外の順序表示部を視認する。装着補助者は、後の操作順序の目印部を視認することにより、最初の操作順序の存在を認識し、より展開状態まで展開し易くなる。すなわち、装着補助者に適切な順序の操作を促すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
装着操作を適切に行うことができる吸収性物品を提供できる。
【符号の説明】
【0075】
10 :吸収性物品
20 :目印部
20C :文字表示部
20N :順序表示部
20P :身体合わせ部
20Q :物品合わせ部
21 :第1目印部
22 :第2目印部
23 :第3目印部
50 :吸収コア
L :長手方向
W :幅方向
図1
図2
図3
図4