(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリマーは、ポリビニリデンフルオライド系高分子、アクリル系高分子、ポリメチルメタクリレート、アラミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のリチウムパウチ型電池。
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子は、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項5に記載のリチウムパウチ型電池。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例として提示されるものであり、これによって本発明が制限されるわけではなく、本発明は後述する特許請求の範囲の範囲によってのみ定められる。
【0023】
一実施形態にかかるリチウムパウチ型電池について、
図1を参照して説明する。
【0024】
図1は、一実施形態にかかるリチウムパウチ型電池を示す概略図である。
【0025】
図1を参照すれば、一実施形態にかかるリチウムパウチ型電池100は、電極アセンブリ10と、電極アセンブリ10の外面に付着された仕上材15と、電極アセンブリ10を収めているパウチケース20と、電極アセンブリ10で生じた電流を外部に誘導するための電気的通路の役割を果たす電極タブ13とを含むことができる。パウチケース20の両面は、互いに向き合う面を重ねて密封される。また、電極アセンブリ10を収めているパウチケース20の内部に電解質が注入される。
【0026】
電極アセンブリ10は、正極と、前記正極に対向する負極と、前記正極と前記負極との間に配置されているセパレータとから構成される。前記セパレータは、多孔性基材と、前記多孔性基材の少なくとも一面に形成されるコーティング層とを含むことができる。
【0027】
また、電極アセンブリ10は、前記正極、前記セパレータ、および前記負極が順次に巻かれているゼリーロール形態を有することができる。
【0028】
仕上材15は、オリエンテッドポリスチレン(oriented polystyrene、OPS)フィルムが使用されるとよい。前記オリエンテッドポリスチレンフィルムは、成形時の溶融温度および溶融粘度が低くて成形しやすい材料である。前記オリエンテッドポリスチレンフィルムが前記電極アセンブリの外面に付着される場合、前記オリエンテッドポリスチレンフィルムが熱加圧(heat press)時に接着性を有することにより、巻き取られた電極アセンブリが巻き戻されないようにし、ゼリーロール形態を安定的に維持することができる。それだけでなく、前記電極アセンブリがパウチケース20に密着して、これらの間の密着力を強化できる。これにより、外部衝撃に対しても電極アセンブリのゼリーロール形態が安定的に維持され、パウチケース20の内部における電極アセンブリの動きも大きくならない。
【0029】
前記電極アセンブリのゼリーロール形態が変形したり、前記パウチケースの内部における電極アセンブリの動きが大きくなる場合、電池の内部短絡が発生し、それによって電池の性能が低下する。一実施形態によれば、外部衝撃に対しても前記電極アセンブリのゼリーロール形態が安定的に維持され、前記パウチケースの内部における電極アセンブリの動きが防止されるため、電池の性能低下を防止することができる。
【0030】
前記オリエンテッドポリスチレンフィルムは、外側接着力が内側接着力より強いとよい。外側接着力とはパウチケースと接触する面との接着力を意味し、内側接着力とは電極アセンブリと接触する面との接着力を意味する。
【0031】
前記オリエンテッドポリスチレンフィルムの接着強度は、0.5〜8kgf/cm
2であるとよく、具体的には0.5〜5kgf/cm
2であるとよい。前記範囲内の接着強度を有する場合、熱加圧(heat press)時に優れた接着性を得ることができる。
【0032】
前記オリエンテッドポリスチレンフィルムの延伸率は、10〜400%であるとよく、具体的には50〜200%であるとよい。前記範囲内の延伸率を有する場合、熱加圧(heat press)時に優れた接着性を得ることができる。
【0033】
前記オリエンテッドポリスチレンフィルムは、前記電極アセンブリの外面に付着される時、前記電極アセンブリの一面が開放された形態で付着されるとよい。具体的には、脱気(degas)工程時、パウチケースの内部から排出されたガスをガスルーム(gas room)に流入するように、前記電極アセンブリの一面が開放された形態で付着されるとよい。これは、脱気(degas)工程時、ガス排出のための通路を確保するためである。
【0034】
前記セパレータは、多孔性基材と、前記多孔性基材の少なくとも一面に形成されるコーティング層とを含むことができる。
【0035】
前記多孔性基材は、ポリオレフィン樹脂を使用することができる。前記ポリオレフィン樹脂の例としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
前記コーティング層は、ポリマー、セラミック、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0037】
前述した仕上材は、具体的には、オリエンテッドポリスチレンフィルムの熱加圧(heat press)時に前記コーティング層とも接着性が生じ、これにより、巻き取られたアセンブリが巻き戻されないようにし、ゼリーロール形態が安定化できる。このように、一実施形態によれば、前記電極アセンブリの外面に付着された前記オリエンテッドポリスチレンフィルムと前記多孔性基材の表面に前記コーティング層がコーティングされたセパレータとによって、二重に前記電極アセンブリのゼリーロール形態が安定的に維持されるようになる。
【0038】
前記電極アセンブリは、前記正極、前記セパレータ、および前記負極が順次に巻かれているゼリーロール形態を有するが、この時、前記セパレータは、前記正極および前記負極対比で、さらに1回巻かれていてよい。前記セパレータがさらに1回巻かれる場合、前記オリエンテッドポリスチレンフィルムの熱加圧時に生じるセパレータとの接着性によって、さらに1回巻かれた部分に接着性を追加的に付与するようになる。これによって、前記セパレータがさらに1回巻かれた形態の電極アセンブリは、前記パウチケースとの密着力がより強化され、したがって、前記パウチケースの内部における前記電極アセンブリの動きを防止することができる。このように、一実施形態によれば、前記電極アセンブリの外面に付着された前記オリエンテッドポリスチレンフィルムと前記セパレータがさらに1回巻かれた形態とによって、二重に前記電極アセンブリのゼリーロール形態が安定的に維持されるだけでなく、前記パウチケースの内部における前記電極アセンブリの動きを最小化させることができる。
【0039】
一実施形態にかかるセパレータを用いると、セパレータ自体に接着性があるため、仕上材の役割を果たすことができる。これにより、パウチケースの内部における電極アセンブリの動きを防止することができる。
【0040】
前記コーティング層を構成する前記ポリマーは、ポリビニリデンフルオライド系高分子、アクリル系高分子、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アラミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0041】
前記ポリビニリデンフルオライド系高分子の例としては、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)共重合体、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
前記セラミックは、Al
2O
3、MgO、TiO
2、Al(OH)
3、Mg(OH)
2、Ti(OH)
4、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0043】
前記コーティング層の厚さは、0.1〜6μmであるとよく、具体的には2〜4μmであるとよい。前記コーティング層が前記範囲内の厚さを有する場合、電池の落下時のような外部衝撃に対しても電極アセンブリのゼリーロール形態がそのまま維持されながら、パウチケースの内部における電極アセンブリの動きを防止可能な程度の接着性を得ることができる。
【0044】
前記電極アセンブリを構成する前記正極は、集電体と、前記集電体に形成される正極活物質層とを含む。前記正極活物質層は、正極活物質、バインダー、および選択的に導電剤を含む。
【0045】
前記集電体としては、Al(アルミニウム)を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0046】
前記正極活物質としては、リチウムの可逆的な挿入および脱離が可能な化合物(リチエイテッド挿入化合物)を使用することができる。具体的には、コバルト、マンガン、ニッケルまたはこれらの組み合わせの金属とリチウムとの複合酸化物のうちの1種以上のものを使用することができ、その具体例としては、下記の化学式のうちのいずれか1つで表される化合物を使用することができる。
【0047】
Li
aA
1−bB
bD
2(式中、0.90≦a≦1.8および0≦b≦0.5である)、Li
aE
1−bB
bO
2−cD
c(式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である)、Li
aE
2−bB
bO
4−cD
c(式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である)、Li
aNi
1−b−cCo
bB
cD
α(式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である)、Li
aNi
1−b−cCo
bB
cO
2−αF
α(式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である)、Li
aNi
1−b−cCo
bB
cO
2−αF
2(式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である)、Li
aNi
1−b−cMn
bB
cD
α(式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である)、Li
aNi
1−b−cMn
bB
cO
2−αF
α(式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である)、Li
aNi
1−b−cMn
bB
cO
2−αF
2(式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である)、Li
aNi
bE
cG
dO
2(式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1である)、Li
aNi
bCo
cMn
dG
eO
2(式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1である)、Li
aNiG
bO
2(式中、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である)、Li
aCoG
bO
2(式中、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である)、Li
aMnG
bO
2(式中、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である)、Li
aMn
2G
bO
4(式中、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である)、QO
2、QS
2、LiQS
2、V
2O
5、LiV
2O
5、LiIO
2、LiNiVO
4、Li
(3−f)J
2(PO
4)
3(0≦f≦2)、Li
(3−f)Fe
2(PO
4)
3(0≦f≦2)およびLiFePO
4。
【0048】
前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mn、またはこれらの組み合わせであり、Bは、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素、またはこれらの組み合わせであり、Dは、O、F、S、P、またはこれらの組み合わせであり、Eは、Co、Mn、またはこれらの組み合わせであり、Fは、F、S、P、またはこれらの組み合わせであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、またはこれらの組み合わせであり、Qは、Ti、Mo、Mn、またはこれらの組み合わせであり、Iは、Cr、V、Fe、Sc、Y、またはこれらの組み合わせであり、Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、またはこれらの組み合わせであるとよい。
【0049】
もちろん、この化合物の表面にコーティング層を有するものも使用することができ、または、前記化合物とコーティング層を有する化合物とを混合して使用することもできる。このコーティング層は、コーティング元素のオキシド、コーティング元素のヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネート、およびコーティング元素のヒドロキシカーボネートからなる群より選択される少なくとも1つのコーティング元素化合物を含むことができる。これらコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質であってもよい。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zr、またはこれらの混合物を使用することができる。コーティング層形成工程は、前記化合物にこれらの元素を用いて、正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング、浸漬法など)でコーティングできれば、いかなるコーティング方法を用いてもよく、これについては、当業者によく理解できる内容であるので、詳細な説明は省略する。
【0050】
前記バインダーは、正極活物質粒子を互いに付着させやすくし、また、正極活物質を集電体に付着させやすくする役割を果たし、具体例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロライド、カルボキシル化されたポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリレーテッドスチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
前記導電剤は、電極に導電性を付与するために使用されるものであり、構成される電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であればいかなるものでも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末、金属繊維などを使用することができ、また、ポリフェニレン誘導体などの導電性材料を1種または1種以上混合して使用することができる。
【0052】
前記電極アセンブリを構成する前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体上に形成されている負極活物質層とを含む。
【0053】
前記負極集電体は、銅箔を使用することができる。
【0054】
前記負極活物質層は、負極活物質、バインダー、および選択的に導電剤を含む。
【0055】
前記負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に挿入/脱離可能な物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムをドープおよび脱ドープ可能な物質、または遷移金属酸化物を含む。
【0056】
前記リチウムイオンを可逆的に挿入/脱離可能な物質としては、炭素物質であって、リチウムパウチ型電池で一般に使用される炭素系負極活物質はいかなるものでも使用することができ、その代表例としては、結晶質炭素、非晶質炭素、またはこれらを共に使用することができる。前記結晶質炭素の例としては、無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としては、ソフトカーボン(soft carbon)またはハードカーボン(hard carbon)、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0057】
前記リチウム金属の合金としては、リチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、Al、およびSnからなる群より選択される金属との合金が使用できる。
【0058】
前記リチウムをドープおよび脱ドープ可能な物質としては、Si、SiO
x(0<x<2)、Si−C複合体、Si−Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族から16族元素、遷移金属、希土類元素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Siではない)、Sn、SnO
2、Sn−C複合体、Sn−Y(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族から16族元素、遷移金属、希土類元素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Snではない)などが挙げられ、また、これらのうちの少なくとも1つとSiO
2とを混合して使用することもできる。前記元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせからなる群より選択可能である。
【0059】
前記遷移金属酸化物としては、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などが挙げられる。
【0060】
前記バインダーは、負極活物質粒子を互いに付着させやすくし、また、負極活物質を電流集電体に付着させやすくする役割を果たす。前記バインダーとしては、非水溶性バインダー、水溶性バインダー、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0061】
前記非水溶性バインダーとしては、ポリビニルクロライド、カルボキシル化されたポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミド、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0062】
前記水溶性バインダーは、ゴム系バインダーまたは高分子樹脂バインダーであるとよい。
【0063】
前記ゴム系バインダーは、スチレン−ブタジエンラバー、アクリレーテッドスチレン−ブタジエンラバー(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンラバー、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、およびこれらの組み合わせから選択されるものであるとよい。
【0064】
前記高分子樹脂バインダーは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ラテックス、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、およびこれらの組み合わせから選択されるものであるとよい。
【0065】
前記負極バインダーとして水溶性バインダーを使用する場合、粘性を付与可能なセルロース系化合物をさらに含むことができる。このセルロース系化合物としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはこれらのアルカリ金属塩などを1種以上混合して使用することができる。前記アルカリ金属としては、Na、K、またはLiを使用することができる。このような増粘剤の使用含有量は、負極活物質100重量部に対して0.1〜3重量部であるとよい。
【0066】
前記導電剤は、電極に導電性を付与するために使用されるものであり、構成される電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であればいかなるものでも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質、銅、ニッケル、アルミニウムおよび銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質、ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー、またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0067】
前記負極および前記正極はそれぞれ、活物質、導電剤、およびバインダーを溶媒中で混合して活物質組成物を製造し、この組成物を集電体に塗布して製造する。
【0068】
このような電極の製造方法は、当該分野で広く知られている内容であるので、本明細書で詳細な説明は省略する。前記溶媒としては、N−メチルピロリドンなどを使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0069】
前記電極アセンブリを収納しているパウチケースの内部に電解質が注入される。前記電解質は、電解液であってもよく、高分子電解質であってもよい。
【0070】
前記電解質は、アルキルプロピオネートを含むことができる。前記アルキルプロピオネートは、前記セパレータを構成するコーティング層のポリマーとの相溶性に優れていて、前記電極アセンブリをよく含浸させることができる。これにより、過充電特性に優れたリチウムパウチ型電池を実現することができる。
【0071】
前記アルキルプロピオネートにおいて、前記アルキルは、C1〜C10のアルキルであるとよく、具体的にはC1〜C5のアルキルであるとよい。
【0072】
前記アルキルプロピオネートは、具体的には、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、およびこれらの組み合わせの中から選択される1つを使用することができる。これらは、粘度が低く、前記セパレータを構成する前記コーティング層のポリマーとの相溶性により優れており、これにより、過充電時の寿命特性が改善できる。
【0073】
前記アルキルプロピオネートは、前記電解質の総量に対して10〜70体積%で含まれるとよく、具体的には20〜70体積%で含まれるとよく、より具体的には40〜60体積%で含まれるとよい。前記アルキルプロピオネートが前記含有量の範囲で前記電解質に添加される場合、過充電特性に優れたリチウムパウチ型電池を実現することができる。
【0074】
前記電解質は、前記アルキルプロピオネートのほか、リチウム塩と非水性有機溶媒とを混合して使用することができる。
【0075】
前記リチウム塩は、前記非水性有機溶媒に溶解し、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウムパウチ型電池の作動を可能にし、前記正極と前記負極との間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。
【0076】
前記リチウム塩は、具体的には、LiPF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAsF
6、LiN(SO
3C
2F
5)
2、LiC
4F
9SO
3、LiClO
4、LiAlO
2、LiAlCl
4、LiN(C
xF
2x+1SO
2)(C
yF
2y+1SO
2)(ここで、xおよびyは自然数である)、LiCl、LiI、LiB(C
2O
4)
2(リチウムビスオキサレートボレート(lithium bis(oxalato)borate、LiBOB)、およびこれらの組み合わせの中から選択される1つを使用することができる。
【0077】
前記リチウム塩の濃度は、略0.1M〜略2.0Mの範囲内で使用することができる。前記リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、前記電解質が適切な伝導度および粘度を有するため、優れた電解液性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動できる。
【0078】
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動可能な媒質の役割を果たす。前記非水性有機溶媒は、カーボネート系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、非プロトン性溶媒、およびこれらの組み合わせの中から選択される1つを使用することができる。
【0079】
前記カーボネート系溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate、DMC)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate、DEC)、ジプロピルカーボネート(dipropyl carbonate、DPC)、メチルプロピルカーボネート(methylpropyl carbonate、MPC)、エチルプロピルカーボネート(ethylpropyl carbonate、EPC)、メチルエチルカーボネート(methylethyl carbonate、MEC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)、ブチレンカーボネート(butylene carbonate、BC)などが使用できる。
【0080】
具体的には、鎖状カーボネート化合物および環状カーボネート化合物を混合して使用することができ、この場合、誘電率を高めると同時に、粘性が小さい溶媒を製造可能になる。この場合、環状カーボネート化合物および鎖状カーボネート化合物は、略1:1〜1:9の体積比で混合して使用することができる。
【0081】
前記カーボネート系溶媒と前述したアルキルプロピオネートは、4:6〜6:4の体積比で混合されるとよい。前記体積比の範囲内で混合される場合、過充電時の寿命特性に優れたリチウムパウチ型電池を実現することができる。
【0082】
前記エステル系溶媒としては、例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、ジメチルアセテート、γ−ブチロラクトン、デカノリド(decanolide)、バレロラクトン、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などが使用できる。
【0083】
前記エーテル系溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラグリム、ジグリム、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどが使用できる。
【0084】
前記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどが使用できる。
【0085】
前記アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどが使用できる。
【0086】
前記非水性有機溶媒は、単独または1つ以上を混合して使用することができ、1つ以上を混合して使用する場合の混合比率は、目的の電池性能に応じて適切に調節することができる。
【0087】
前記電解質は、エチレンカーボネート、ピロカーボネートなどの過充電防止剤のような添加剤をさらに含むこともできる。
【0088】
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載された実施例は本発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、これによって本発明が制限されるわけではない。
【0089】
また、ここに記載されていない内容は、当業者であれば十分に技術的に想到できるものであるので、その説明を省略する。
【0090】
[実施例1]
LiCoO
2、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、およびカーボンブラックをそれぞれ97:1.5:1.5の重量比で混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極活物質層組成物を製造した。前記正極活物質層組成物を厚さ12μmのアルミニウム箔にコーティングして、乾燥および圧延後、正極を製造した。
【0091】
黒鉛およびスチレン−ブタジエンラバーを98:2の重量比で混合し、水に分散させて負極活物質層組成物を製造した。前記負極活物質層組成物を厚さ8μmの銅箔にコーティングして、乾燥および圧延後、負極を製造した。
【0092】
エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、およびエチルプロピオネート(EP)の混合体積比が3:1:6の混合溶液に、1.1M濃度のLiPF
6を溶解して電解質を製造した。
【0093】
ポリビニリデンフルオライド(PVdF)およびN−メチルピロリドンを含むコーティング層組成物を製造し、前記コーティング層組成物をポリエチレン基材の一面に塗布してコーティング層を3μmの厚さに形成することで、セパレータを製造した。
【0094】
前記製造された正極、セパレータ、および負極を巻き取ってゼリーロール形態の電極アセンブリを製造した。前記電極アセンブリは、前記セパレータが前記正極および前記負極対比で、さらに1回巻かれて形成された。前記電極アセンブリの外面にオリエンテッドポリスチレンフィルムを付着させ、その際、一面が開放された形態で付着させた。前記オリエンテッドポリスチレンフィルムの接着強度は5.22kgf/cm
2であり、延伸率は319%であった。
【0095】
前記オリエンテッドポリスチレンフイルムで仕上げられた前記電極アセンブリをパウチケース内に収納し、前記電解質を注入して密封することで、リチウムパウチ型電池を製作し、保護回路(PCM)および二次素子(thermal fuse)を溶接し、ステンレス(SUS)ケースに挿入してパック(pack)を製作した。
【0096】
[比較例1]
LiCoO
2、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、およびカーボンブラックをそれぞれ97:1.5:1.5の重量比で混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極活物質層組成物を製造した。前記正極活物質層組成物を厚さ12μmのアルミニウム箔にコーティングして、乾燥および圧延後、正極を製造した。
【0097】
黒鉛およびスチレン−ブタジエンラバーを98:2の重量比で混合し、水に分散させて負極活物質層組成物を製造した。前記負極活物質層組成物を厚さ8μmの銅箔にコーティングして、乾燥および圧延後、負極を製造した。
【0098】
エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、およびエチルプロピオネート(EP)の混合体積比が3:1:6の混合溶液に、1.1M濃度のLiPF
6を溶解して電解質を製造した。
【0099】
前記製造された正極および負極と、ポリエチレン材質のセパレータとを巻き取ってゼリーロール形態の電極アセンブリを製造した。前記電極アセンブリは、セパレータが前記正極および前記負極対比で、さらに1回巻かれて形成された。前記電極アセンブリをパウチケース内に収納し、前記電解質を注入して密封することで、リチウムパウチ型電池を製作し、保護回路(PCM)および二次素子(thermal fuse)を溶接し、ステンレス(SUS)ケースに挿入してパック(pack)を製作した。
【0100】
[評価1:リチウムパウチ型電池の落下特性]
略140gのアセタールで作ったケースに、実施例1および比較例1のリチウムパウチ型電池パック(pack)を入れて上下ケースをねじで締めた後、1mの高さからランダム自由落下(random free fall)を50回ずつ行った後、内部短絡(short)による発熱が発生する回数を確認した。50回ごとにケースを分離してパックの発熱を確認し、発熱が確認された自由落下回数を下記の表1に示した。
【表1】
【0101】
前記表1から、一実施形態によりコーティング層を含むセパレータとOPSフィルムとを含む実施例1のリチウムパウチ型電池は、比較例1に比べて落下特性が優れていることにより、外部の衝撃に強く、安定性に優れていることが分かる。
【0102】
また、これに対する実施例1および比較例1のリチウムパウチ型電池に対するノンパラメトリック生存(nonparametric survival)分析を測定し、その結果を
図2に示した。
【0103】
図2は、実施例1および比較例1によるリチウムパウチ型電池の自由落下実験のノンパラメトリック生存グラフ(nonparametric survival plot)である。
【0104】
図2を参照すれば、比較例1の場合、発熱が確認された自由落下の平均回数は110回であり、実施例1の場合、発熱が確認された自由落下の平均回数は470回であることにより、実施例1の場合、落下特性が大きく改善されていることが分かる。
【0105】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定められる本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。