(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記双性イオン化合物が、O−ホスホリル−エタノールアミン、グリセロリン酸コリン、イノシン一リン酸、アレンドロン酸、アミノエチルホスホン酸、ホスホコリンから選択される、請求項1に記載の組成物。
前記双性イオン化合物が、O−ホスホリル−エタノールアミン、グリセロリン酸コリン、イノシン一リン酸、アレンドロン酸、アミノエチルホスホン酸、ホスホコリンから選択される、請求項21に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
基板を研磨または平坦化する方法を含む化学機械処理(CMP)において有用な方法、材料、及び機器は、高度に変化し、異なる表面及び最終用途を有する広範囲の基板を処理するために使用され得る。CMP方法によって処理される基板としては、様々な製造段階のうちのいずれかにある光学製品、半導体基板、及び他の微小電子デバイス基板が挙げられる。広範囲のCMP装置、スラリー、研磨パッド、及び方法が周知であり、新たな製品が継続的に開発されている。様々な液体組成物(研磨スラリー、CMPスラリー、及びCMP組成物としても知られる)は、表面を研磨するためにパッドと共に使用されるとき、半導体基板の表面を処理するように設計される。
【0003】
特に半導体処理の高度なノードを用いて、タングステン及び誘電体材料の両方を含有する表面を処理するための方法が特に重要である。タングステンから機能構造を調製するステップにおいて、基板は、タングステンで充填する必要があるチャネル、穴、間隙、溝などのような3次元空間を有するパターン化された非タングステン(例えば、誘電体)材料を有する不連続面で始まり得る。タングステンは、空間を充填するだけでなく、空間の完全な充填を確実にするために、表面上に過剰なタングステンの連続層をもたらすことができる様式で、不連続表面上に堆積され得る。次いで、過剰なタングステンを除去して、パターン化された非タングステン(例えば、誘電体)材料の間の空間内に堆積されたタングステン特徴部を有する元のパターン化された材料の表面を露出させる。
【0004】
誘電体特徴部間に配設されたタングステン特徴部を有する基板の例は、誘電体材料の特徴部間に提供されたタングステン「プラグ」及び「相互接続」構造を含む半導体基板の種類である。そのような構造を生成するために、タングステンは、誘電体材料、例えば、シリコン酸化物から少なくとも部分的に作製されたパターン化構造を含む表面上に適用される。パターン化された誘電体表面が構造化されている、すなわち、非平面であることは、チャネルまたは穴などの空間の存在によって中断され、かつ不連続にされることを除いて、実質的に平坦または平面である表面を含むことを意味する。タングステンが、構造化された誘電体含有表面に適用されるとき、空間は、タングステンで充填され、過剰なタングステンの連続層が、表面上に形成される。次のステップでは、過剰なタングステンをCMP処理によって除去して、基礎となる誘電体層を露出させ、誘電体材料の空間の間に配置されたタングステンの平面表面を生成する。
【0005】
いくつかの方法によって、タングステンは、誘電体表面を暴露する単一のステップで除去される。他の方法によって、「2ステップ」プロセスを使用することができる。第1のステップでは、過剰なタングステンの大半が除去されるが、誘電体層は露出されない。このステップは、一般に「バルク」除去ステップと称され、その間に高タングステン除去率が所望される。その後の(第2の)ステップを使用して、残りのタングステンを除去し、基礎となる誘電体及びタングステン表面を露出させることができる。このステップは、「研磨」ステップと称されることがあり、高タングステン除去率が重要であるが、他の性能要件も重要である。
【0006】
研磨スラリーは、ある種の基板を処理するため、例えば、金属を含有しないか、またはタングステンとは異なる金属を含有する異なる表面に対して、タングステン含有表面を研磨するために特異的に選択される化学成分を含有し得る。そのような化学成分の例としては、化学触媒、化学的安定剤、阻害剤、界面活性剤、酸化剤、及びその他が挙げられる。これらの別個の成分の各々は、基板の表面における材料の所望の処理(例えば、効率的な除去)を改善するように選択され得る。加えて、CMP処理組成物は、典型的に研磨粒子を含有する。研磨粒子の種類はまた、処理される基板の種類に基づいて選択されてもよい。ある種の研磨粒子は、タングステン含有基板表面の研磨において有用であり得るが、他のCMP基板表面の処理に有用でない場合がある。
【0007】
例えば、液体(例えば、水性)媒体中で解離して金属陽イオンを生成する可溶性金属含有塩によって提供される、金属含有触媒は、これまで基板表面からタングステンを除去するためのCMPプロセスにおいて使用されてきた。金属塩は、液体中で解離して、触媒として作用する金属陽イオンを生成し、タングステンの除去率を、特に酸化剤の存在下で増加させる。金属陽イオンは、基板表面におけるタングステン酸化物の形成を容易にし、次いで除去される。鉄含有塩を含む陽イオン金属触媒を生成するために溶解する可溶性金属塩の例は、米国特許第5,958,288号及び同第5,980,775号に記載され、これらの文献の全体が参照により本明細書に組み込まれる。例示的な鉄陽イオン触媒は、液体(例えば、水性)担体中で可溶性である鉄塩の形態で、CMPスラリー中に提供され得る。塩は、三価鉄(鉄III)もしくは二価鉄(鉄II)化合物、例えば硝酸鉄、硫酸鉄、ハロゲン化鉄(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ならびに過塩素酸塩、過臭素酸塩、及び過ヨウ酸塩を含む)、または有機鉄化合物、例えば酢酸鉄、アセチルアセトネート、クエン酸塩、グルコン酸塩、マロン酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、コハク酸塩などであり得る。
【0008】
また一般に、安定剤は、組成物中の遊離金属陽イオンの量を制御するために金属陽イオンと共に含まれ、それにより意図的に触媒の効果を所望の程度に抑制する。例えば、米国特許第5,980,775号及び同第6,068,787号を参照されたい。安定剤は、金属陽イオンとの錯体を形成して、所望の量によるその反応性を低減することができる。過去にCMPスラリー中で使用された安定剤の例としては、リン酸、フタル酸、クエン酸、マロン酸、ホスホン酸、シュウ酸、及びその他が挙げられる。
【0009】
タングステン及び非タングステン(例えば、酸化物)材料の両方を含む表面を処理するとき、高品質の処理された基板を効率的に生成するために、様々な性能特徴が非常に重要である。高タングステン除去率は、良好な処理スループットに必要である。また酸化物と比較して高比率のタングステンの除去率も非常に望ましく、「同調性」または「選択性」と称されることがある。タングステン及び酸化物の例外的な除去特性(除去率、選択性)を提供するスラリーは、優れた「トポグラフィー」を呈すると言われる処理された基板(下でより詳細に記載される)を生成することができ、これは処理された基板から高品質のデバイスを生成するために必須である。しかし、除去特性は、いくつかのCMP処理化学物質がタングステンの腐食を引き起こす、特にタングステンプラグ構造の腐食を引き起こす傾向などの他の性能要素と均衡していなければならない。高レベルの腐食は、基板から調製されたデバイスにおける欠陥のレベルを増加させることによって、処理された基板の品質を低減する。高腐食速度は、スラリーの静的エッチング速度と相関されてきた。
【0010】
より一般的な問題として、商業的CMPスラリー製品は、調製、長期保管、輸送、及び使用中に高レベルの安定性を呈するべきである。安定したスラリーは、保管中に(例えば、懸濁された研磨粒子を沈殿させることによって)過度に分離または沈殿せず、保管中に過度の粒径成長を呈さず、かつ使用中に過度の粒径成長を呈しないものであり、これが処理された基板の表面に存在する欠陥(特に引掻き)のレベルを増加させる。
【0011】
処理された基板は、優れたトポグラフィーを呈しなければならない。金属及び酸化物材料の組み合わせで作製された表面を有する処理された基質において、トポグラフィー特性としては、酸化物の「浸食」と称される物理的現象、金属の「ディッシング」、及び「ステップ高」と称されるそれらの組み合わせ効果が挙げられる。一般に線及び空間(L&S)パターンと称される1種類の基板表面パターンにおいて、表面は、線フィールド及び空間を含む。線フィールドまたはパターン化フィールドは、金属及び酸化物の線アレイを含む。線フィールドは、連続誘電体材料のフィールド(空間)の間で分配される。線アレイは、タングステン及びシリコン酸化物の線などの金属及び酸化物線を含み、任意の密度もしくはサイズのもの、例えば交互に1ミクロン幅の金属線及び1ミクロン幅の酸化物線、すなわち、50% 1ミクロンアレイ、または異なるサイズもしくは密度の交互線、例えば、1ミクロン幅の金属線及び3ミクロン幅の酸化物線、すなわち、25% 1×3ミクロンアレイのものであってよい。連続誘電体材料のフィールドは、比較のために、典型的により大きな寸法であってよく、シリコン酸化物などの連続誘電体材料、例えばTEOSの表面を有し得る。連続誘電体材料の例示的なフィールド(または「空間」)は、100um×100umの面積であり得る。
【0012】
そのような線及び空間基板の研磨後パターン性能を評価するために、連続誘電体フィールドにおいて起こる絶対酸化物損失(材料が除去される)は、市販の機器を使用する光学的方法などによって決定される。連続誘電体は、アレイにおける相対パターン測定のための基準として使用される。例えば、交互のタングステン金属及びTEOS酸化物線で構成される線アレイは、連続フィールド酸化物に関する形状測定またはAFMによって測定され得る。浸食は、連続フィールド酸化物と比較して、線アレイにおける、1ミクロンのTEOS線などの酸化物の相対高さの差として特徴づけられる。正の浸食値は、連続フィールド酸化物と比較して、酸化物線の相対陥凹として解釈される。金属ディッシングは、典型的に線アレイにおける酸化物線と比較して、金属線の相対高さを指す。例えば、50% 1×1ミクロンの線アレイにおいて、200Åのディッシング値は、酸化物線に対するタングステン線の200Å陥凹として解釈される。浸食及びディッシングを加えることは、この場合には陥凹(ディッシングされたタングステン)からフィールド酸化物までの全ステップ高を提供する。アレイにおける全酸化物または金属損失は、ディッシング及び浸食値を、連続フィールドについて決定される絶対酸化物損失値と組み合わせることによって決定することができる。
【0013】
さらに別のトポグラフィー欠陥は、隣接する特徴部(例えば、絶縁構造)に対する1つの特徴部(例えば、金属構造)の突出部として知られている。突出部は、例えば、CMP処理(例えば、研磨)後に、隣接する誘電体(例えば、酸化物)層の上面の上に延在する(突出する)高さを有する、金属(タングステン)特徴部の一部分であり得る。すなわち、処理された基板表面の金属特徴部の部分は、隣接する誘電体材料の上に突出し得る。突出部は、処理された基板から調製された欠陥製品をもたらし得、存在する場合は、余分な処理ステップを除く必要があり得る。
【0014】
好ましい商業的CMP研磨プロセスは、許容されない浸食、ディッシング、または突出をもたらすことなく、金属構造の過度の腐食なく、かつ処理された表面に存在する引掻き及び残渣などの低レベルの欠陥を伴う、非金属(例えば、誘電体)も含有する基板表面から金属(例えば、タングステン)を除去するために有効であり得る。好ましいプロセスは、金属の高除去率及び非金属材料に対する金属の良好な選択性を呈し得る。これらのプロセスにおいて有用なCMP組成物は、好ましくは保管中に安定であり得る。
【0015】
タングステン及び酸化物材料を除去することにおける除去率及び選択性、ディッシング、浸食、及び突出を含む低減したトポグラフィー欠陥、ならびに有用なまたは有利な(すなわち、低い)レベルのタングステン腐食の領域において、有用なまたは改善された性能を提供する、タングステン含有基板を処理(例えば、研磨)するために有用なCMPスラリーの半導体処理産業における継続的な必要性が存在する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に記載されるのは、タングステン含有基板のCMP処理(平坦化、研磨)に有用な化学機械処理スラリーである。これらのスラリーは、本明細書において「CMPスラリー」、「スラリー」、「研磨スラリー」、「タングステン研磨スラリー」、「研磨組成物」、「スラリー」、「組成物」などと称される。組成物としては、液体担体、液体担体中に分散した研磨粒子、金属陽イオン触媒、及びリン含有双性イオン化合物が挙げられる。任意選択でかつ好ましくは、研磨組成物はまた、添加剤、または特に酸化剤、阻害剤、pH調整剤などの成分を含有してもよい。
【0026】
研磨組成物は、基板からのタングステンの除去を容易にすることによって基板のタングステン含有表面を処理する(例えば、研磨する)際に有効となる触媒を含む。触媒は、鉄などの金属を含有するが、他の金属、例えば、Ag、Co、Cr、Mo、Mn、Nb、Ni、Os、Pd、Ru、Sn、Ti、及びVも有用であり得る。一般にタングステンCMP操作中のタングステンの除去率を増加させるために有効な金属触媒は、周知である。実施例は、米国特許第5,958,288号及び同第5,980,775号に記載されている。そのような触媒は、液体担体中で解離して、金属陽イオン及び陰イオン対イオンを形成する可溶性金属含有塩に由来する金属陽イオンの形態であり得る。例示的な鉄含有塩としては、硝酸鉄、硫酸鉄、ハロゲン化鉄などの三価鉄(鉄III)及び二価鉄(鉄II)化合物(フッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物、ならびに過塩素酸塩、過臭素酸塩、及び過ヨウ素酸塩を含む)と、酢酸鉄、アセチルアセトネート、クエン酸塩、グルコン酸塩、マロン酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、及びコハク酸塩、ならびにそれらの混合物などの有機鉄化合物と、が挙げられる。代替的に、金属陽イオンは、金属陽イオン及び記載されるリン含有双性イオン化合物または別のリガンドもしくは安定剤の錯体の陽イオン成分として、CMP組成物に添加され得る。この錯体は、別個に、スラリー、またはスラリーの液体担体とは別に調製されてもよく、錯体は、単一成分としてスラリーまたは液体担体に添加され得る(可溶性金属塩及びリン含有双性イオン化合物を添加することによって原位置で錯体を形成することとは対称的)。
【0027】
研磨組成物中の触媒の量は、酸化剤の存在及び種類(ある場合は、下記を参照されたい)、触媒の化学形態、処理される基板の構造及び組成、ならびに所望の処理特性に応じて異なり得る。過酸化水素(または類似体)が酸化剤として存在するとき、触媒としての鉄陽イオンと共に、鉄が、組成物の総重量に基づいて約0.1〜約3000ppmの範囲を提供するために十分な量で組成物中に存在し得る。研磨組成物は、好ましくは、約1ppm以上(例えば、約5ppm以上、約10ppm以上、または約20ppm以上)の鉄を含む。研磨組成物は、好ましくは、約500ppm以下(例えば、約200ppm以下、約100ppm以下、または約50ppm以下)の鉄を含む。したがって、研磨組成物は、約1〜約500ppmの範囲(例えば、約3〜約200ppm、約5〜約100ppm、または約10〜約50ppm)の鉄を含み得る。
【0028】
記載される研磨組成物はまた、リン含有双性イオン化合物も含み、これが触媒に対する安定剤として作用し得る。リン含有双性イオン化合物は、金属陽イオン(例えば、鉄陽イオン)との錯体を形成し得る。金属陽イオン及びリン含有双性イオン化合物の錯体は、錯体の形態でスラリーまたは液体担体に添加され得る。代替的に、金属陽イオンは、解離して、CMP組成物中に原位置で錯体を形成する金属陽イオンを生成する、金属塩の一部としてスラリーまたは液体担体に提示されてもよい。金属陽イオン及び双性イオン化合物を提示する形態、及び錯体を形成する形態のいずれかによって、リン含有双性イオン化合物は、錯体のリガンドとして作用し得、スラリー中の金属陽イオン触媒の活性を効果的に阻害し、金属陽イオンが基板の表面におけるタングステンの酸化をもたらす程度を低減させる。依然として触媒の活性は、金属陽イオンが、表面からの所望の(急速な)レベルのタングステン除去を促進するために所望のレベルの触媒作用を呈することを可能にするのに十分である。
【0029】
第2鉄または第1鉄陽イオンとの錯体は、以下の式を有すると記載され得る。
Lig−Fe
2+−Lig’
式中、Lig及びLig’は、同じであっても異なっていてもよい。または
Lig−Fe
3+−Lig’(−Lig”)
式中、Lig、Lig’、及びLig”は、同じであっても異なっていてもよい。各リガンド(Lig、Lig’、及びLig”)は、リン含有双性イオン化合物、または複合物の電荷を均衡させるために有効な異なる陰イオンであり得る。スラリー中の錯体は安定性を有し、これが、鉄(または他の金属)陽イオンが、基板の表面でタングステンと相互作用して、CMP処理中に触媒として作用することを可能にする。異なるリガンドを有する多数の異なる錯体が、液体担体中に平衡で存在することになる。
【0030】
リン含有化合物は、CMP組成物中の条件下で双性イオン性であり、CMP組成物中に存在する条件(特にpH)で、例えば、使用中に、リン含有化合物は、負電荷を有するリン含有基、及び正電荷を有する陽イオン基を含むことを意味する。
【0031】
リン含有双性イオン化合物は、本明細書に記載されるスラリーを提供するために有用な任意の量で、記載されるCMP組成物に含まれ得る。有用な量のリン含有双性イオン化合物は、触媒金属陽イオン当たり約1等量のリン含有双性イオン化合物〜触媒金属陽イオン当たり約3.0等量のリン含有双性イオン化合物の範囲、またはそれ以上であり得る。本明細書で使用される場合、「触媒金属陽イオン当たりの等量」という用語は、組成物中の触媒金属陽イオン(例えば、鉄陽イオン)当たりのリン含有双性イオン化合物の1つの分子を意味する。例えば、触媒金属陽イオン当たり2等量のリン含有双性イオン化合物は、触媒陽イオンとして存在する各金属陽イオンに対するリン含有双性イオン化合物の2つの分子を意味する。
【0032】
ある特定の実施例によると、リン含有双性イオン化合物は、負電荷を提供する、リン酸塩、ホスフィン酸塩、またはホスホン酸塩基を含み得る。正電荷は、任意の有用な化学基によって提供され得、一例は、アミン基の窒素原子であり、これは第一級、第二級、第三級アミン、または第四級アンモニウム基であり得、かつ飽和炭素鎖(例えば、アルキル)の一部であり得、炭素鎖に付着され得るか、または飽和もしくは不飽和複素環式環の一部であり得る。負電荷(例えば、リン酸塩またはホスホン酸基における)及び正電荷(例えば、窒素原子における)は、置換(例えば、ハロゲン、−OH、−NH
2、リン酸塩、ホスホン酸塩など)、非置換、分岐鎖もしくは非分岐鎖、飽和もしくは不飽和であり得る二価アルキレン結合基を含む、任意の有用な有機基であり得る結合基によって接続され得る。結合基は、任意選択で、1つ以上の飽和または不飽和環構造を含有してもよく、環は、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素など)を含み得、このヘテロ原子は、任意選択で、双性イオン化合物の陽イオン電荷を提供する窒素原子である。
【0033】
リン含有双性イオン化合物は、ホスフィン酸塩、ホスホン酸塩、またはリン酸塩基を含む化合物、例えば、以下の一般式の化合物であり得、
【化1】
式中、X、Y、及びZのうちの少なくとも2つが独立して、酸素基である。ある特定の実施例において、X、Y、及びZのうちの2つが、酸素(例えば、=O)、ヒドロキシ基、またはO−エステル基であり得、X、Y、及びZのうちの3つ目は、有機ラジカルであり得る。他の特定の実施形態では、X、Y、及びZは、酸素またはヒドロキシル基(例えば、=O、−OH、もしくは−O
−)、またはO−エステル基であり得る。X、Y、またはZのうちの少なくとも1つは、滴定可能な酸性基であり、Lは、有機結合基であり、Rは、少なくとも1つの正に荷電した基を含有する有機置換基である。
【0034】
リン含有双性イオン化合物のある特定の実施例は、式1に記載の構造を有し、
【化2】
式中、R
1及びR
2は独立して、負に荷電した酸素(−O
−)、ヒドロキシ(−OH)、有機ラジカル、及び二価酸素を通してリン原子に接続された有機ラジカルから選択され、それによりR
1及びR
2のうちの少なくとも1つが、負電荷を提供する負に荷電した酸素である。また式1において、nは、0または1であり、Lは、有機結合基であり、R
3は、正電荷を提供する有機置換基である。
【0035】
ある特定の実施形態によると、R
1及びR
2のうちの一方は、双性イオン化合物に負電荷を提供する負に荷電した酸素(−O
−)であり、R
1及びR
2のうちの他方は、スラリーの条件下で、例えば、CMP処理における使用中に−OHである。
【0036】
他の実施形態によると、R
1及びR
2のうちの一方は、スラリーの条件下で、例えば、CMP処理における使用中に、双性イオン化合物に負電荷を提供する負に荷電した酸素(−O
−)であり、R
1及びR
2のうちの他方は、二価酸化物を介してリン原子に接続された有機ラジカルR
4を含み、
【化3】
式中、R
4は、本明細書に記載されるように有効な双性イオン化合物を提供する任意の有機ラジカルであり得る。R
4の例としては、非荷電、置換または非置換、飽和、分岐鎖または直鎖のアルキルラジカルが挙げられる。例示的な化合物は、グリセロリン酸コリン、別名α−GPCまたは(2S)−2,3−ジヒドロキシプロピル2−(トリメチルアンモニオン)エチルリン酸塩である。
【0037】
依然として式1を参照すると、R
3は、双性イオン化合物の正電荷を提供するために、組成物中で正に荷電した窒素原子を含むアミン官能性有機基であり得る。アミン官能性有機基は、−NH
3+、第四級アンモニウム、または芳香族複素環式アミンなどの任意のアミン含有基であり得る。
【0038】
L基は、ヒドロキシ基、リン酸基、ホスホン酸基のうちの1つ以上、または任意選択で、これらのうちの2つ以上の組み合わせで置換された直鎖、分岐鎖、及び環状基、飽和もしくは不飽和、例えば、置換もしくは非置換二価アルキレン基を含む、任意の有用な結合基であり得る。例えば、Lは、任意選択で置換され得る二価アルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレンなど)であり得る。例示的な化合物としては、ホスホコリン(別名リン酸コリン、CAS 10773−3)、アミノエチルホスホン酸塩(別名(1−アミノエチル)ホスホン酸)、アレンドロン酸(別名(4−アミノ−1−ヒドロキシ−1,1−ブタンジイル)ビス(ホスホン酸))、及びo−ホスホリルエタノールアミン(2−アミノエチル二水素リン酸塩、CAS 1071−23−4)が挙げられる。
【0039】
他の実施形態では、L及びR
3は一緒に、1つまたは複数の飽和または芳香族環構造を含む有機ラジカルを形成し、環構造は、リン含有双性イオン化合物の正(陽イオン)電荷を提供する荷電した窒素原子を含み得る。例示的な化合物は、イノシン一リン酸塩(別名イノシン酸、IMP、5’−イノシン酸、CAS 131−99−7)である。
【0040】
金属陽イオンとの錯体のリガンドとして機能するとみなされ得るリン含有双性イオン化合物に加えて、他の化合物(時として「安定剤」と呼ばれる)もまた、CMP組成物中に含まれ、同じ錯体のリガンド(Lig、Lig’、またはLig”)として作用し得る。任意選択で、つまり、錯体は、リガンドとしてリン含有双性イオン化合物、及び1つ以上の追加のリガンドまたは「安定剤」化合物を含む、混合リガンドを含み得る。例示的な安定剤としては、リン酸、アジピン酸、有機酸、非双性イオンホスホン酸化合物、ニトリル、カルボン酸、及び金属陽イオン触媒に結合し、その反応性を低減する他のリガンドが挙げられる。酸安定剤は、それらの共役形態で使用されてもよく、例えば、カルボン酸塩が、対応するカルボン酸の代わりに使用され得る。本出願の目的で、「酸」という用語はまた、有用な安定剤を説明するために使用される場合、酸安定剤の共役塩基を意味する。例えば、「アジピン酸」という用語は、アジピン酸及びその共役塩基を意味する。
【0041】
好ましい安定剤(リン含有双性イオン化合物とは異なる)としては、リン酸、酢酸、フタル酸、クエン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベル酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルタコン酸、ムコン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、及びそれらの混合物が挙げられる。1種または複数種の安定剤(リン含有双性イオン化合物とは異なる)は、全て存在する場合、金属(例えば、鉄)含有触媒当たり約0.1等量〜金属(例えば、鉄)含有触媒当たり約1または2等量の範囲の量で、記載される組成物中に含まれ得る。
【0042】
研磨粒子は、化学機械処理組成物中で、特にタングステン含有基板表面の研磨における使用のために有用な任意の種類の研磨粒子であり得る。例としては、様々な形態のジルコニア、アルミナなどの金属酸化物、セリア、及びシリカが挙げられ、これらのうちのいずれかは、異なる種類の粒子に対して種々の既知の方法のうちのいずれかによってドープ、非ドープ、または調製され得る。好ましい研磨粒子としては、スラリーの環境において正電荷を呈するコロイド状シリカ粒子などのコロイド状シリカ粒子が挙げられる。本明細書で使用される場合、「コロイド状シリカ粒子」という用語は、ヒュームドシリカなどの構造的に異なる粒子を生成する、発熱性または火炎加水分解プロセスではなく、湿式プロセス(沈殿または縮合重合化シリカ)を使用して調製されたシリカ粒子を指す。研磨粒子は、液体担体全体に分散または懸濁される。様々な種類のコロイド状シリカ粒子(例えば、荷電、凝集、非荷電、非凝集)は周知であり、市販されている。
【0043】
研磨組成物中に存在するとき、コロイド状シリカ研磨粒子は、任意選択で正電荷を呈し得る。また研磨組成物中に存在するとき、荷電したコロイド状シリカ研磨粒子は、任意選択で、凝集した粒子、及び凝集していない粒子を含み得る。非凝集粒子は、球状またはほぼ球状の形状であり得る個々の粒子であるが、一般的に楕円形、正方形、または矩形断面などの他の形状も同様に有し得る。非凝集粒子は、一次粒子と称される。凝集粒子は、複数の個々の一次粒子が、数は多くないが(例えば、2、3、4、または5個の一次粒子)、クラスター化または一緒に結合して、単一粒子から複数の粒子を形成し、この単一粒子は、一般的に不規則な形状を有する。
【0044】
正に荷電し、かつ任意選択で凝集したコロイド状シリカ粒子の様々な実施形態は、出願人の同時係属中の2014年3月21日に出願された米国特許出願第14/222,086号、2014年3月24日に出願された同第14/222,736号、及び2015年6月24日に出願された同第14/750,204号、及び付与された米国特許第9,127,187号に記載されており、これらの文献の全体が参照により本明細書に組み込まれる。それらの特許出願に記載される荷電したコロイド状シリカ研磨粒子は、本明細書に記載される研磨組成物において有用であり得、凝集または非凝集であり得る。
【0045】
CMPプロセスにおいて使用される前に、記載される研磨組成物は、凝集コロイド状シリカ粒子、非凝集コロイド状シリカ粒子、または両方を含み得る。凝集粒子は、有用または有利であるが、過剰でないレベルで、すなわち、CMP処理中に引掻きなどの高レベルの欠陥をもたらさないレベルで存在し得る。ある特定の実施形態では、研磨組成物の正に荷電したコロイド状シリカ粒子が(CMPプロセスにおいて使用する前に)、部分的に凝集され得る。例えば、研磨組成物中の分散コロイド状シリカ粒子の最大30、40、または50パーセントは、3つ以上の凝集一次粒子、例えば、3つ、4つ、または5つの凝集一次粒子を含み得、この粒子の残部または実質的な残部は、一次粒子の形態で存在する。凝集粒子は、処理中に引掻きなどの高レベルの欠陥を引き起こすのに十分に高くないサイズ及び濃度のものである。例えば、凝集粒子は大部分が、10個以下の一次粒子を含有する凝集粒子であり得、換言すれば、凝集粒子のほとんどが、好ましくは0.5μm(ミクロン)(すなわち、500nm)よりも小さい。
【0046】
研磨粒子の粒径は、その粒子を包含する最小球の直径である。部分的に凝集した分散液中の粒子は、任意の好適な粒径、例えば、約5〜約150ナノメートル(nm)の範囲の平均粒径(凝集サイズ)を有し得る。研磨粒子は、約20nm以上(例えば、約25nm以上、約30nm以上、約40nm以上、または約45nm以上)の平均粒径(凝集サイズ)を有し得る。研磨粒子は、約100nm以下(例えば、約90nm以下、約80nm以下、約70nm以下、または約65nm以下)の平均粒径(凝集サイズ)を有し得る。したがって、研磨粒子は、約20nm〜約90nm(例えば、約25nm〜約90nm、または約30nm〜約90nm)の範囲の平均粒径(凝集サイズ)を有し得る。好ましくは、研磨粒子は、約40〜約70nmの範囲、または約45〜約65nmの範囲の平均粒径を有し得る。コロイド状シリカ粒子の粒径は、Malvern Instruments(登録商標)(Worcestershire,UK)から入手可能なZetasizer(登録商標)などの動的光散乱ツールを使用して測定され得る。
【0047】
研磨組成物は、任意の好適な量の研磨性粒子、例えば、荷電したコロイド状シリカ研磨粒子を含み得る。好ましい研磨組成物は、約0.01重量パーセント以上のコロイド状シリカ(例えば、約0.05重量パーセント以上)を含み得る。より典型的には、好ましい研磨組成物は、約0.1重量パーセント以上(例えば、約1重量パーセント以上、約5重量パーセント以上、約7重量パーセント以上、約10重量パーセント以上、または約12重量パーセント以上)のコロイド状シリカ粒子を含み得る。コロイド状シリカ粒子の量は、約30重量パーセント以下、より典型的には約20重量パーセント以下(例えば、約15重量パーセント以下、約10重量パーセント以下、約5重量パーセント以下、約3重量パーセント以下、または約2重量パーセント以下)であり得る。
【0048】
好ましくは、研磨組成物中のコロイド状シリカ粒子の量は、約0.01重量パーセント〜約20重量パーセント、より好ましくは約0.05重量パーセント〜約15重量パーセント(例えば、約0.1重量パーセント〜約10重量パーセント、約0.1重量パーセント〜約4重量パーセント、約0.1重量パーセント〜約3重量パーセント、約0.1重量パーセント〜約2重量パーセント、または約0.2重量パーセント〜約2重量パーセント)の範囲内であり得る。
【0049】
正に荷電したコロイド状シリカ粒子の例は、研磨組成物中で少なくとも6ミリボルト(mV)、例えば、少なくとも8ミリボルトの正電荷を呈し得る。コロイド状シリカ粒子などの分散粒子上の電荷は、一般に、ゼータ電位(または電気動態電位)と称される。粒子のゼータ電位は、粒子を取り囲むイオンの電荷と、研磨組成物(例えば、液体担体及びその中に溶解される任意の他の構成成分)のバルク溶液の電荷との間の電位差を指す。ゼータ電位は、典型的には水性媒体のpHに依存する。所与の研磨組成物について、粒子の等電点は、ゼータ電位がゼロであるpHとして定義される。pHが等電点から増加または減少すると、表面電荷(したがって、ゼータ電位)は、対応して減少または増加する(負または正のゼータ電位値に対して)。研磨組成物のゼータ電位は、Dispersion Technologies,Inc.(Bedford Hills,NY)から入手可能なモデルDT−1202音響及び電気音響分光計を使用して得ることができる。
【0050】
例示的なコロイド状シリカ粒子は、スラリー中にあるとき、約6mV以上(例えば、約8または10mV以上、約15mV以上、約20mV以上、約25mV以上、または約30mV以上)の正電荷を有し得る。スラリー中のコロイド状シリカ粒子は、約50mV以下(例えば、約45mV以下、約40mV以下、または約35mV以下)の正電荷を有し得る。例えば、コロイド状シリカ粒子は、約6mV〜約50mVの範囲(例えば、約10mV〜約45mV、約15mV〜約40mV、または約20mV〜約40mV)の正電荷を有する。
【0051】
コロイド状シリカ粒子の正電荷は、永久的であり得、この電荷が、例えば、洗浄、希釈、濾過などによって容易に可逆的でないことを意味する。永久的な正電荷は、例えば、粒子の外面より下の粒子の内部部分の上またはその中に陽イオン化合物を組み込む結果であり得る。陽イオン化合物は、例えば、金属陽イオン、アミンなどの窒素含有化合物、ホスホニウム化合物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせを含み得る。永久的な正電荷は、例えば、粒子と陽イオン化合物との間の共有相互作用に起因し、例えば、粒子と陽イオン化合物との間の静電相互作用の結果であり得る可逆的な正電荷とは対照的である。本開示は、永久的な正電荷を得る任意の特定の手段に限定されないことが理解される。
【0052】
それにもかかわらず、本明細書で使用される場合、少なくとも6mV(例えば、8mV、またはそれより高い)の永久的な正電荷は、コロイド状シリカ粒子のゼータ電位が、以下の3段階濾過試験後に、6mV(またはそれより高い)を超えたままであることを意味する。ある量の研磨組成物(例えば、200mL)を、Millipore Ultracellの再生セルロース限外濾過ディスク(例えば、100,000ダルトンのMWカットオフ及び6.3nmの細孔径を有する)によって濾過する。残りの分散液(限外濾過ディスクによって保持されるおよそ65mLの分散液)を収集し、pH調整した脱イオン水で補充する。脱イオン水は、硝酸などの好適な無機酸を使用して、研磨組成物の元のpHに調整されたpHである。この手順は、合計3回の濾過サイクルに対して繰り返される。次いで、3回濾過し、補充した分散液のゼータ電位を測定し、元の研磨組成物のゼータ電位と比較することができる。
【0053】
理論に束縛されるものではないが、限外濾過ディスクによって保持される分散液(保持分散液)は、シリカ粒子及びその粒子中に存在し得るか、または粒子の表面と関係付けられ得る(例えば、粒子表面に結合される、付着される、静電的に相互作用する、または接触する)任意の化学成分(例えば、正に荷電した種)を含むと考えられている。液体担体及びその中に溶解される化学成分の少なくとも一部分は、限外濾過ディスクを通る。保持分散液を元の量まで補充することは、元の研磨組成物中の平衡を覆すと考えられ、それにより粒子表面と関連する化学成分は、新しい平衡に向かう傾向があり得る。粒子に対して内部にあるか、または粒子表面と強く関連する(例えば、共有結合される)成分は、その正のゼータ電位の任意の変化がほとんど存在しないように、粒子と共に残っている。対照的に、代替の関連形態(例えば、粒子表面との可逆的な静電相互作用)を有する成分の一部分は、システムが新たな平衡に向かう傾向があるため、溶液に戻り得、それによって正のゼータ電位の低減をもたらす。合計3回の限外濾過及び補充サイクルのためにこのプロセスを繰り返すことは、上述の効果を増幅すると考えられている。
【0054】
電荷が永久的であるためには、上述の3ステップ濾過試験の後に(濾過試験から生じるイオン強度差を訂正した後に)、元の研磨組成物中のコロイド状シリカ粒子のゼータ電位と、分散液中のコロイド状シリカ粒子のゼータ電位との間にほとんど差がないことが好ましい。例えば、元の研磨組成物中のコロイド状シリカ粒子のゼータ電位が、3ステップ濾過試験の後に、コロイド状シリカ粒子のゼータ電位よりも約10mV未満大きい(例えば、約7mV未満大きい、約5mV未満大きい、またはさらには約2mV未満大きい)ことが好ましい。換言すれば、コロイド状シリカ粒子のゼータ電位が、3ステップ濾過試験の後に、元の研磨組成物中のコロイド状シリカ粒子のゼータ電位よりも10mV未満小さい(または7mV未満、または5mV未満、または2mV未満小さい)ことが好ましい。例えば、元の研磨組成物中のコロイド状シリカ粒子のゼータ電位が30mVである実施形態において、コロイド状シリカ粒子のゼータ電位は、3ステップ濾過試験の後に、好ましくは20mV超(または23mV超、または25mV超、または28mV超)である。
【0055】
コロイド状シリカ粒子及び荷電したコロイド状シリカ粒子は、様々な方法によって調製され得、そのいくつかの例は、商業的に使用されており、既知である。有用なコロイド状シリカ粒子としては、既知の方法を使用して、例えば「ゾルゲル」法によって、またはケイ酸イオン交換によって調製され得る、沈殿または縮合重合化シリカが挙げられる。縮合重合化シリカ粒子は、多くの場合、Si(OH)
4によって調製され、実質的に球状の粒子を形成する。前駆体Si(OH)
4は、例えば、高純度アルコキシシランの加水分解によって、または水性ケイ酸塩溶液の酸性化によって得ることができる。米国特許第5,230,833号は、溶液中でコロイド状シリカ粒子を調製するための方法を説明する。
【0056】
分散液中のコロイド状シリカ粒子の30パーセント以上が、3つ以上の凝集一次粒子を含む、部分的に凝集した分散液は、一次粒子を最初に溶液中で成長させる多ステッププロセスを使用して、例えば第’833号特許に記載のとおり調製され得る。次いで、溶液のpHは、部分凝集を促進するために、所定の期間にわたって酸性値に調整され得る。任意選択の最終ステップは、凝集体(及び任意の残りの一次粒子)のさらなる成長を可能にし得る。出願人の同時係属中の2014年3月21日に出願された米国特許出願第14/222,086号を参照されたい。
【0057】
正電荷を呈するコロイド状シリカ粒子を提供するために、粒子は、粒子表面に、または粒子内部に、正電荷を呈することができる化学化合物、すなわち、陽イオン化合物を配置することを含む方法で調製され得る。例えば、正電荷を呈するシリカ粒子は、粒子の外面に陽イオン化合物を配置することによって生成され得る。この種類の表面荷電したコロイド状シリカ研磨粒子を含むCMP組成物は、例えば、米国特許第7,994,057号及び同第8,252,687号において説明されている。
【0058】
代替実施形態では、陽イオン化合物は、外面より下のコロイド状シリカ研磨粒子の内部に組み込まれ得る。陽イオン化合物は、例えば、窒素含有化合物またはリン含有化合物、例えば、アミノシランまたはホスホニウムシラン化合物であり得る。そのような内部荷電した粒子の例は、出願人の同時係属中の2015年6月25日に出願された米国特許出願第14/750,204号に記載されている。
【0059】
陽イオン化合物が窒素含有化合物であるとき、化合物は、好ましくはアミン化合物またはアンモニウム化合物を含む。陽イオン化合物がリン含有化合物であるとき、化合物は、好ましくはホスフィン化合物またはホスホニウム化合物を含む。アンモニウム化合物は、R
1R
2R
3R
4N
+を含んでよく、ホスホニウム化合物は、R
1R
2R
3R
4P
+を含んでよく、各R
1、R
2、R
3、及びR
4は独立して、水素、C
1〜C
6アルキル、C
7〜C
12アリールアルキル、またはC
6〜C
10アリールを表す。これらの基は、1つ以上のヒドロキシル基でさらに置換され得る。例示的なアンモニウム化合物としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、及びジエチルジメチルアンモニウムが挙げられ得る。ある特定の実施形態では、アンモニウム化合物は、好ましくはアンモニアまたはアンモニウム(NH
3またはNH
4+)ではない。例示的なホスホニウム化合物としては、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラプロピルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、メチルトリフェニルホスホニウム、エチルトリフェニルホスホニウム、ブチルトリフェニルホスホニウム、ベンジルトリフェニルホスホニウム、ジメチルジフェニルホスホニウム、ヒドロキシメチルトリフェニルホスホニウム、及びヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウムが挙げられ得る。例示的なホスホニウム化合物としては、ホスホニウムシラン化合物を挙げることもできる。
【0060】
窒素含有陽イオン化合物はまた、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、または第四級アミン化合物などのアミノ基を有する物質を含み得る。そのような窒素含有陽イオン化合物は、アミノ酸、例えば、1〜8個の炭素原子を有するアミノ酸、例えば、リシン、グルタミン、グリシン、イミノ二酢酸、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、及びトレオニンを有するアミノ酸を含み得る。
【0061】
代替的に、陽イオン化合物は、アミノシラン化合物であり得る。そのようなアミノシラン化合物は、第一級アミノシラン、第二級アミノシラン、第三級アミノシラン、第四級アミノシラン、及び多足性(例えば、二足性)アミノシランを含み得る。アミノシラン化合物は、実質的に任意の好適なアミノシラン、例えば、プロピル基含有アミノシラン、またはプロピルアミンを含むアミノシラン化合物を含み得る。好適なアミノシランの例としては、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、ジエチルアミノメチルトリアルコキシシラン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリアルコキシシラン)、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノプロピルトリアルコキシシラン)、トリアルコキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム、N−(トリアルコキシシリルエチル)ベンジル−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム、(ビス(メチルジアルコキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、ビス(トリアルコキシシリルプロピル)ウレア、ビス(3−(トリアルコキシシリルプロピル)アミン、3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジアルコキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、3−アミノプロピルメチルジアルコキシシラン、3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、(N−トリアルコキシシリルプロピル)ポリエチレンイミン、トリアルコキシシリルプロピルジエチレントリアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリアルコキシシラン塩酸塩、4−アミノブチルトリアルコキシシラン、及びそれらの混合物が挙げられ得る。当業者であれば、アミノシラン化合物が、一般に水性媒体中で加水分解される(または部分的に加水分解される)ことを容易に理解するであろう。したがって、アミノシラン化合物を列挙することによって、アミノシラン及び/または加水分解された(もしくは部分的に加水分解された)種及び/またはそれらの縮合種が、コロイド状シリカ研磨粒子に組み込まれ得ることが理解されるであろう。
【0062】
コロイド状シリカ研磨粒子は、粒子の内部に組み込まれ得るか、粒子の表面に位置し得るか、または両方であり得る、上述の陽イオン化合物のうちの2つ以上を含み得る。例えば、正に荷電したコロイド状シリカ粒子の一実施形態において、第1の組み込まれた陽イオン化合物は、アミノシラン化合物を含み得、第2の組み込まれた陽イオン化合物は、第四級アミンなどのアンモニウム化合物を含み得る。第1の陽イオン化合物がアミノシラン化合物であり、第2の陽イオン化合物が第四級アミンである実施形態では、第1の陽イオン化合物対第2の陽イオン化合物のモル比は、好ましくは約5〜1未満である。
【0063】
2015年6月25日に出願された出願人の同時係属中の特許出願第14/750,204号に記載のある特定の方法によって、正に荷電したコロイド状シリカ研磨粒子は、陽イオン化合物を研磨粒子に組み込むステップによって調製され得る(すなわち、陽イオン化合物は、粒子の内部において粒子の表面より下に位置することになる)。正電荷を提供する内部陽イオン化合物を有するコロイド状シリカ粒子研磨粒子は、例えば、陽イオン化合物を含有する液体溶液中で研磨粒子を成長させることによって製造することができ、それにより陽イオン化合物は、その成長中にコロイド状シリカ粒子の少なくとも一部分に組み込まれる。内部荷電したコロイド状シリカ粒子の代替実施形態は、従来のコロイド状シリカ粒子を陽イオン化合物で処理し、次いで、追加のシリカを陽イオン化合物上で成長させ、それによって陽イオン化合物を追加のシリカで被覆することによって調製され得る。陽イオン化合物は、コロイド状シリカ研磨粒子の内部に組み込まれるが、陽イオン化合物の量は、陽イオン化合物が表面の内部及び表面の両方にあるように、粒子表面にあるか、またはその近くであってもよいことが理解されるであろう。
【0064】
そのような一実施形態によって、内部陽イオン化合物を有するコロイド状シリカ研磨粒子は、例えば、(i)液体溶液(例えば、所定のpHの水を含む)を提供すること、及び(ii)液体溶液をシリカ生成化合物及び陽イオン化合物と複合し、コロイド状シリカ粒子を液体溶液中で成長させ、それにより陽イオン化合物が中に組み込まれたコロイド状シリカ粒子を含む分散液が得られるようにすることによって調製され得る。陽イオン化合物は、代替として、(i)で提供される液体溶液に含まれてもよい。シリカ生成化合物としては、例えば、オルトケイ酸テトラメチル(TMOS)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、ケイ酸、ケイ酸アルカリもしくはアンモニウム、またはシリコン四ハロゲン化物が挙げられ得る。この方法は、米国特許第8,529,787号に開示されるものと同様であり、TMOSが、アルカリ触媒を含む母液に継続的に添加される(類似性は、シリカ生成化合物を液体溶液と組み合わせて、コロイド状シリカ粒子を生成することである)。
【0065】
陽イオン化合物は、陽イオン化合物をコロイド状シリカ粒子に組み込むために十分な実質的に任意の好適な量で液体溶液に添加され得る(粒子は、好ましくは、必須ではないが、そこに組み込まれた陽イオン化合物の重量パーセント未満を含む)。水性液体溶液は、さらに任意選択で、例えば、エーテルアミン、エチレンアミン、テトラアルキルアミン、アルコールアミン、またはこれらのうちの2つ以上を含むアルカリ触媒を含み得る。好適なアルカリ触媒としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、アンモニア、尿素、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、テトラメチルグアニジン、水酸化テトラエチルアンモニウム、アミノプロピルモルホリン、ヘキシルオキシプロピルアミン、エチルオキシプロピルアミン(EOPA)、Jeffamine(登録商標)HK−511(ポリエーテルアミン)などの有機塩基触媒、またはそれらの組み合わせを含み得る。アルカリ触媒は、代替的にまたは付加的に、水酸化カリウム(KOH)を含み得る。添加されたアルカリ触媒の量は、水性液体溶液のpHが、一般的に約7〜約14の範囲内、好ましくは約9〜約12の範囲内であるように選択され得る。
【0066】
液体溶液は、任意選択で、コロイド状シリカの成長のための核形成部位として作用することを意図するコロイド状シリカ粒子をさらに含み得る。そのような実施形態では、最終コロイド状シリカは、コアシェル構造(または多層構造)を有すると考えることができ、コアは、液体溶液に本来添加されるコロイド状シリカ粒子を含み、シェル(外側層)は、コア上で成長し、内部陽イオン化合物(アミノシランなど)を含むシリカを含む。
【0067】
別の方法によって、内部陽イオン化合物を有する正に荷電したコロイド状シリカ研磨粒子は、(i)高pHケイ酸塩溶液(例えば、ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウム溶液)を提供することと、(ii)ケイ酸塩溶液を処理して、ケイ酸塩陽イオンをプロトン化し、ケイ酸を形成し(例えば、酸を溶液に添加すること、または溶液をイオン交換カラムに通すことによって)、順に反応槽におけるコロイド状シリカ粒子の沈殿及び成長を引き起こすことと、(iii)陽イオン化合物を反応槽に添加し、それにより成長するコロイド状シリカ粒子に組み込まれるようにすることと、によって調製され得る。ケイ酸塩溶液は、好ましくは、約11〜約13の範囲のpHを有する。ケイ酸塩溶液をイオン交換カラムに通して反応槽に入れることができ、これがpHを約2〜約5の範囲の値まで低下させる傾向がある。陽イオン化合物は、実質的に任意の好適な量及び実質的に任意の好適な速度で反応槽に添加されてもよく、それにより十分な量の陽イオン化合物が、コロイド状シリカ粒子に組み込まれる(粒子は好ましくは、必須ではないが、そこに組み込まれた10重量パーセント未満の陽イオン化合物を含む)。
【0068】
なおも別の方法によって、正に荷電したコロイド状シリカ研磨粒子は、従来の(例えば、非荷電)コロイド状シリカ粒子を陽イオン化合物で処理(例えば、表面処理)した後、追加のシリカを処理したコロイド状シリカ上で(すなわち、陽イオン化合物上で)成長させることによって調製され得る。例えば、第四級アミンまたはアミノシラン化合物などの窒素含有化合物は、コロイド状シリカ含有分散液に添加され得る(例えば、米国特許第7,994,057号及び同第8,252,687号に記載される)。窒素含有化合物をコロイド状シリカ粒子と関連付ける(例えば、化学的に結合するか、または静電的に関連付ける)ことを可能にするために十分な時間の後に、TMOS、TEOS、ケイ酸、ケイ酸アルカリまたはアンモニウムなどのシリカ生成化合物、またはシリカ四ハロゲン化物を分散液に添加することができる。この分散液を、任意選択で加熱して(例えば、45℃まで)、コロイド状シリカ粒子のさらなる成長を加速し、それにより陽イオン(例えば、窒素含有)化合物(表面処理剤)が、粒子内部で粒子に組み込まれる。そのような正に荷電したコロイド状シリカ粒子は、コア及びそのコアの上に複数の層またはコーティング、コア(すなわち、陽イオン化合物で処理したコロイド状シリカコア)上の陽イオン化合物の第1の内側層と、陽イオン化合物上に堆積されたシリカの外側層とを有し、それによって陽イオン化合物を粒子の内側位置に配置すると考えられ得る。
【0069】
内部陽イオン化合物を有する正に荷電したコロイド状シリカ粒子を調製するための上記の方法は、コロイド状シリカ粒子が液体担体中に懸濁される分散液を生成することが理解されるであろう。本明細書における化学機械研磨組成物の調製において、この分散液は、所定濃度のコロイド状シリカ粒子に希釈されてもよい。さらに、他の化学化合物が、所望のとおり(希釈前または希釈後に)分散液に添加され得る。内側荷電したコロイド状シリカ粒子は、CMP処理中にそれらの使用前または開始時に任意の好適な程度の凝集を有し得るが、凝集粒子の凝集のレベル及びサイズは、CMP処理中の不適切なレベルの欠陥をもたらしてはならない。CMP処理の開始前に、正に荷電したコロイド状シリカ粒子は、ほとんどが一次粒子を含み、実質的に非凝集であり得、粒子は、部分的に凝集され得る。部分的に凝集されることにより、コロイド状シリカ研磨粒子の50%以上が、2つ以上の凝集一次粒子(例えば、3、4、または5つの凝集粒子)を含むか、またはコロイド状シリカ粒子の30パーセント以上(もしくは45パーセント以上)は、3つ以上(例えば、4つもしくは5つ)の凝集一次粒子を含む場合がある。そのような部分的に凝集したコロイド状シリカ研磨剤は、例えば、米国特許第5,230,833号に記載されるように、例えば、一次粒子が溶液中で最初に成長する多段階プロセスを使用して調製され得る。次いで、溶液のpHを所定の期間にわたって酸性値に調節して、例えば、米国特許第8,529,787号に記載されるように、凝集を促進することができる。任意選択の最終ステップは、凝集体(及び任意の残りの一次粒子)のさらなる成長を可能にし得る。
【0070】
正に荷電したコロイド状シリカ研磨粒子は、コロイド状シリカ研磨粒子の20パーセント以上が、3つより少ない一次粒子(すなわち、モノマー及び二量体とも称される、2つのみの一次粒子を有する非凝集一次粒子または凝集粒子)を含み、コロイド状シリカ研磨粒子の50パーセント以上は、3つ以上の凝集一次粒子を含む。
【0071】
研磨組成物は、処理される(例えば、研磨、平坦化など)基板の表面への研磨された粒子の適用及び研磨組成物の添加を容易にする液体担体を含む。液体担体は、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノールなど)、エーテル(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、水、またはそれらの混合物などの任意の好適な担体(例えば、溶媒)であり得る。好ましくは、液体担体は、水、より好ましくは脱イオン水を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。本質的に水からなる担体は、最大3、2、1、0.5、0.1、または0.05重量パーセント(以下)の非水溶媒、例えば低級アルコール(例えば、メタノール、エタノールなど)、エーテル(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)を含有し得る。
【0072】
研磨組成物は、酸性であり、約7未満のpHを有する。研磨組成物は、典型的には約1以上(例えば、約2以上または約3以上)のpHを有する。研磨組成物は、約6以下(例えば、約5以下または約4以下)のpHを有し得る。
【0073】
研磨組成物のpHは、任意の好適な手段によって達成または維持され得る。研磨組成物は、実質的に任意の好適なpH調節剤または緩衝系を含み得る。例えば、好適なpH調節剤としては、硝酸、硫酸、リン酸、フタル酸、クエン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、水酸化アンモニウムなどを挙げることができ、一方で好適な緩衝剤としては、リン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、マロン酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩、アンモニウム塩などを挙げることができる。
【0074】
研磨組成物は、任意選択で、かつ好ましくは酸化剤を含み得る。酸化剤は、スラリー製造プロセス中、またはCMP操作の直前に(例えば、半導体製造施設に位置するタンク内で)研磨組成物に添加され得る。例示的な酸化剤としては、無機及び有機ペル化合物が挙げられる。Hawley’s Condensed Chemical Dictionaryによって定義されるように、ペル化合物は、少なくとも1つのペルオキシ基(−O−−O−)を含有する化合物、またはその最高酸化状態の要素を含有する化合物である。少なくとも1つのペルオキシ基を含有する化合物の例としては、過酸化水素及びその付加物(過酸化水素尿素及び過炭酸塩など)、有機過酸化物(過酸化ベンゾイル、過酢酸、及びジ−t−ブチルペルオキシドなど)、モノ過硫酸塩(SO
5=)、ジ過硫酸塩(S
2O
8=)、及び過酸化ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。その最高酸化状態の要素を含有する化合物の例としては、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、過臭素酸、過臭素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、過ホウ酸、及び過ホウ酸塩、ならびに過マンガン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。多くの場合に好ましい酸化剤は、過酸化水素である。
【0075】
酸化剤は、任意の有用な量で研磨組成物に含まれても、全く含まれなくてもよい。スラリーにおいて有用であり得る酸化剤の量の例としては、総重量スラリーに基づいて約0.1〜約10重量パーセントの範囲の量が挙げられる。過酸化水素酸化剤及び可溶性鉄含有触媒が使用される、ある特定の実施形態では、酸化剤は、約0.1〜約6重量パーセントの範囲(例えば、約0.2〜約5重量パーセント、約0.3〜約4重量パーセント、または約0.5〜約3重量パーセント)の量で研磨組成物中に存在し得る。
【0076】
研磨組成物はまた、阻害剤化合物、例えば、固体タングステンの、可溶性タングステン化合物への変換を阻害すると同時に、CMP処理中の固体タングステンの有効な除去率を可能にするために有効な窒素含有阻害剤化合物も含有し得る。阻害剤は、研磨中にタングステン、酸化物(例えば、TEOS)、または両方の所望の除去率を呈するスラリーを生成するために選択され得る。窒素含有阻害剤はまた、スラリーがCMP処理中に過度の粒径成長を呈しないように選択することもでき、結果として、処理中の粒子成長によって引き起こされる残渣または引掻きなどの欠陥の増加をもたらさない。
【0077】
タングステンエッチングの有用な阻害剤である化合物のクラスとしては、窒素含有複素環、アルキルアンモニウムイオン、アミノアルキル、及びアミノ酸などの窒素含有官能基を有する化合物が挙げられる。有用なアミノアルキル腐食阻害剤としては、例えば、ヘキシルアミン、テトラメチル−p−フェニレンジアミン、オクチルアミン、ジエチレントリアミン、ジブチルベンジルアミン、アミノプロピルシラノール、アミノプロピルシロキサン、ドデシルアミン、それらの混合物、ならびに例えば、リジン、チロシン、グルタミン、グルタミン酸、シスチン、グリシン(アミノ酢酸)を含む合成及び天然に存在するアミノ酸が挙げられる。
【0078】
研磨組成物のある特定の実施形態では、窒素含有阻害剤化合物は、ポリ陽性イオンアミンを含み得る。ジ第四級アミン化合物としては、例えば、N,N’−メチレンビス(ジメチルテトラデクラアンモニウムブロミド)、1,1,4,4−テトラブチルピペラジンジウムジブロミド、ジメチル−1,5−ジアゾニアビシクロ(3.2.2)ノナンジブロミド、ジドデシル−テトラメチル−1,4−ブタンジアミニウムジヨード、N(1),N(6)−ジドデシル−N(1),N(1),N(6),N(6)−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミニウムジヨード、またはN,N,N’,N’,N’−ペンタメチル−N−タロウ−1,3−プロパンジアンモニウムジクロリド(CAS No.68607−29−4)が挙げられ得る。
【0079】
研磨組成物は、実質的に任意の好適な濃度の阻害剤化合物を含み得る。一般に、この濃度は、適切なエッチング阻害をもたらすために十分に高いが、化合物が可溶性であるように、かつタングステン研磨速度を許容レベルより下に低減しないように十分に低いものであり得る。可溶性によって、阻害剤化合物の量が、液体担体に完全に溶解されるか、または液体担体にミセルを形成するか、もしくはミセル中で運搬されることを意味する。例えば、その溶解度、その化学(例えば、その中のアミン基の数、アルキル基の長さ)、エッチング速度阻害と研磨速度阻害との関係、使用される酸化剤の種類及び量(存在する場合)などを含む、様々な要素に応じて阻害剤化合物の濃度を変更することは必要であり得る。特定の望ましい実施形態では、研磨組成物中のタングステン阻害剤化合物の濃度は、約0.1μM〜約10mM(すなわち、約10
−7〜約10
−2モル)の範囲であり得る。例えば、高分子量を有するアミン系ポリマーを使用する実施形態では、濃度は、その範囲(例えば、約10
−7〜約10
−4モル)の下端にあり得る。比較的単純なアミン化合物(より少ないアミン基及びより低い分子量を有する)を使用した他の実施形態では、濃度は、その範囲(例えば、約10
−5〜約10
−2モル)の上端にあり得る。
【0080】
2015年10月28日に出願された出願人の同時係属中の非仮特許出願第14/924997号及び2015年10月28日出願の非仮特許出願第14/925054号に記載される1つ以上の陽イオン窒素含有またはリン含有化合物を含む、任意選択の陽イオン化合物もまた、記載されるCMP組成物中に含まれ得る。シクロデキストリンもまた、所望される場合、非仮特許出願第14/924997号に記載されるように存在し得る。
【0081】
ある特定の化学機械研磨用途(例えば、浅い溝用途)において、タングステン及びシリコン酸化物は、シリコン窒化物(SiN)などのシリコン窒素材料と組み合わせて研磨され得る。特定の用途において、シリコン酸化物及びシリコン窒素材料の両方について高除去率、及びSiNに対する酸化物の所望の選択性、例えば、約15:1未満のTEOS:SiN研磨速度選択性を達成し、それにより、TEOS及びSiN研磨速度が、タングステン研磨速度を超えるようにすることが望ましい場合がある。したがって、化学機械研磨組成物は、任意選択で、シリコン窒素研磨促進剤をさらに含み得る。シリコン窒素研磨促進剤は、例えば、ポリカルボン酸、ポリホスホン酸、またはこれらの混合物などの実質的に任意の好適なポリ酸を含み得る。例示的なポリカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、酒石酸、スルホコハク酸、及びフタル酸が挙げられ得る。そのようなポリカルボン酸は、一般に、それらの共役形態で使用され得ること、例えば、カルボン酸塩がカルボン酸の代わりに使用され得ることが理解されるであろう。本出願の目的で、「酸」という用語はまた、有用なシリコン窒素促進剤を説明するために使用される場合、酸の共役塩基(または塩基)を意味する。
【0082】
好適なポリホスホン酸としては、例えば、メチレンホスホン酸化合物及びジホスホン酸化合物、例えば1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、及びビス(ヘキサメチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸))が挙げられ得る。そのようなポリホスホン酸は、一般に、それらの共役形態で使用され得ること、例えば、ホスホン酸塩がホスホン酸の代わりに使用され得ること(カルボン酸に関して上述されるように)が理解されるであろう。上述のポリホスホン酸化合物の好適な例は、商標名30 Dequest(登録商標)(Italmatch Chemicals,Genova,Italy)で販売されている。
【0083】
研磨組成物は、任意選択で、研磨速度のウエハ内均一性を改善するための均一性添加剤(例えば、研磨速度比または差を中心にするためのウエハエッジ)をさらに含み得る。研磨組成物は、任意選択で、殺生物剤をさらに含み得る。殺生物剤は、任意の好適な殺生物剤、例えば、イソチアゾノリン殺生物剤を含み得る。研磨組成物中の殺生物剤の量は、約1ppm〜約50ppm、好ましくは約1ppm〜約20ppmの範囲内であり得る。
【0084】
記載される研磨組成物の実施形態は、研磨組成物の電気伝導度が低いとき、より高いシリコン二酸化物(TEOS)研磨速度を達成し得る。そのような実施形態は、有利に、タングステンバッフィング用途に使用され得る。したがって、例示的な研磨組成物は、有利に、2000μS/cm未満(例えば、1500μS/cm未満、1000μS/cm未満、800μS/cm未満、500μS/cm未満、または400μS/cm未満、または300μs/cm未満)の電気伝導度を有し得る。
【0085】
研磨組成物は、成分を組み合わせて、懸濁した研磨粒子を含有するCMPスラリーを形成するための任意の好適な技法及びステップを使用して調製され得る。CMPスラリーを調製するための多くのそのような技法及びステップは、一般に当業者には既知である。研磨組成物は、バッチまたは連続プロセスで調製され得る。一般に、研磨組成物は、その構成要素を任意の順序で組み合わせることによって調製され得る。「成分」という用語は、本明細書で使用される場合、組成物の別個の成分、例えば、コロイド状シリカまたはその分散液、解離して金属陽イオン(触媒)を提供する金属塩などの化学物質、それを含有する組成物のリン含有双性イオン化合物、酸化剤、液体媒体などを指す。
【0086】
研磨粒子は、本明細書に記載される方法を含む既知の方法によって調製され得るか、または多くの商業源のうちのいずれかから得ることができる。液体担体中に粒子を含有する組成物(例えば、分散液)は、所望のpHに調整され得る。次いで、触媒または触媒を含有する成分、リン含有双性イオン化合物、任意選択の酸化剤、阻害剤などの他の成分を添加し、それらの添加成分を研磨組成物に均一に組み込むために有用な任意の方法によって混合することができる。
【0087】
1つの種類の方法によって、金属陽イオンは、液体担体中で金属陽イオン触媒及び陰イオン対イオンに解離する可溶性金属塩(例えば、硝酸鉄)の一部として、液体担体中に提示され、そこで溶解または解離され得る。リン含有双性イオン化合物の形態の別個の成分は、別個に添加され得る。リン含有双性イオン化合物は、金属陽イオンと関連付けられ、原位置で、本明細書に記載される錯体を形成し、これはリン含有双性イオン化合物及び金属陽イオンを含む。
【0088】
別の方法によって、リン含有双性イオン化合物及び金属陽イオンの化合物(例えば、錯体)は、スラリーまたはスラリーの液体担体とは別個に調製され得、この錯体は、リン含有双性イオン化合物及び金属陽イオンの両方を含む1つの成分として、スラリーまたは液体担体に添加され得る(金属陽イオン(例えば、可溶性金属塩)を含む1つの成分、及びリン含有双性イオン化合物を含む異なる成分を添加することによって、原位置で錯体を形成することとは対称的)。
【0089】
いずれかの方法によって、過剰なモル量(すなわち、化学量より多い)リン含有双性イオン化合物が、任意選択でスラリーに含まれてもよい。過剰なモル量のリン含有双性イオン化合物は、スラリー中の錯体の安定性をもたらすために所望され得る。
【0090】
所望される場合、研磨組成物の調製中の任意の時点で、またはCMPプロセスにおける使用前に酸化剤が添加され得る。例えば、酸化剤を添加することなく、酸化剤を含まない研磨組成物を調製及び輸送するか、または使用前に保管することができる。CMPプロセスにおけるCMP組成物の使用直前に、例えば、CMP操作の約1分以内、または約10分以内、または約1時間以内、または約1日以内、または約1週間以内に、酸化剤を添加してもよい。研磨組成物もまた、CMP操作中に基板の表面(例えば、研磨パッド上)に接触させる直前に、成分を混合することによって調製され得る。
【0091】
研磨組成物は、荷電したコロイド状シリカ粒子、触媒(例えば、鉄含有触媒)、リン含有双性イオン化合物、任意選択の阻害剤、任意選択の酸化剤、任意選択の殺生物剤、水などを含有する1つのパッケージシステムとして供給され得る。ある特定の他の実施形態では、酸化剤は、研磨組成物の全てまたはほとんどの他の構成要素から別個に供給され、例えば、エンドユーザーによって、使用直前に研磨組成物の他の構成要素と組み合わされる。
【0092】
研磨組成物は、有利に、適量の水で希釈され、CMP処理における使用前に「使用組成物」を形成することが意図される濃縮物として提供され得る。そのような実施形態では、研磨組成物濃縮物は、研磨性粒子及び他の成分を、適量の水で濃度を希釈したときに、研磨組成物の各成分が、各成分について上に列挙される適切な範囲内の量で研磨組成物中に存在するような量で含み得る。例えば、研磨粒子は、各成分について上に列挙される濃度よりも約2倍(例えば、約3倍、約4倍、約5倍、またはさらには約10倍)多い量で濃縮組成物中に存在し得、それにより、濃度が1等量の水(代替として、それぞれ2、3、4、またはさらには9等量の水)で希釈されたとき、各成分は、上記の範囲内の量で研磨組成物中に存在する。
【0093】
さらに、理解されるように、濃縮物は、最終研磨組成物(使用組成物)中に存在する適切な画分の水を含有して、他の成分が濃縮物中に少なくとも部分的または完全に溶解されることを確実にし得る。
【0094】
一実施形態では、好適な濃縮物は、金属陽イオン、リン含有双性イオン化合物、任意選択の酸化剤、阻害剤、及び他の成分と共に、水系液体担体中に分散された少なくとも5または10重量パーセントの研磨粒子を含む。研磨粒子は、少なくとも6、8、または10mVの永久的正電荷を有するコロイド状シリカ粒子であってもよい。組成物のpHは、約1〜約6、例えば2〜約5の範囲であり得る。
【0095】
記載される研磨組成物は、任意の種類の基板を研磨するために使用され得るが、例示的な研磨組成物は、タングステン及び少なくとも1つの誘電体材料を含む少なくとも1つの金属を含む基質表面を研磨することにおいて特に有用であり得る。タングステン層は、1つ以上のバリア層、例えば、チタンまたはチタン窒化物(TiN)上に堆積され得る。誘電体層は、テトラエチルオルトケイ酸塩(TEOS)、多孔質金属酸化物、多孔質または非多孔質炭素ドープしたシリコン酸化物、フッ素ドープしたシリコン酸化物、ガラス、有機ポリマー、フッ化有機ポリマーから誘導されたシリコン酸化物層、または任意の他の好適な高または低k絶縁層などの金属酸化物であり得る。
【0096】
タングステン(または別の金属)特徴部が誘電体特徴部の間に配設された基板の一例は、誘電体材料の特徴部間に提供されたタングステン「プラグ」及び「相互接続」構造を含む半導体基板である。そのような構造を生成するために、構造化した誘電体表面を含む基板が提供される。構造化した誘電体表面は、非平面であり、穴、チャネル、溝などの空間の存在によって中断され、かつ不連続にされることを除いて、実質的に平坦または平面である表面を含むことを意味する。タングステンを構造化した誘電体表面上に適用して、空間をタングステンで充填し、構造化した誘電体材料上に過剰なタングステンの連続層を生成する。次のステップは、過剰なタングステンを除去し、また基礎となる誘電体層を露出させ、構造化した誘電体材料の特徴部間に配設されたタングステンの平面表面を生成することである。
【0097】
記載される研磨組成物は、化学機械研磨(CMP)装置を使用する研磨方法において使用され得る。典型的には、本装置は、使用時に移動しており、軌道、線形、または円形運動から生じる速度を有する、プラテンを含む。研磨パッドは、プラテンと接触し、移動時にプラテンと共に動く。担体は、研磨パッドの表面に対して基板の表面に接触し、移動させることによって研磨される基板を保持する。基板表面の処理は、研磨パッド及び研磨組成物と接触して配置される基板によって行われるが、研磨パッドは、基板表面に対して移動して、基板(本明細書に記載されるタングステン、チタン、窒化チタン、及び/または誘電体材料など)の少なくとも一部分を研磨する。担体は、制御可能な圧力を基板上にもたらし、基板を研磨パッドに対して押圧する。基板及びパッドの相対移動は、基板の表面から材料を研磨して除去し、それにより基板を研磨する。材料の研磨及び除去は、研磨組成物の化学活性(例えば、研磨スラリー中に存在する触媒、酸化剤などによる)、及び研磨組成物中に懸濁された研磨粒子の機械活性の組み合わせ効果に基づき得る。
【0098】
基板は、任意の好適な研磨パッド(例えば、研磨表面)を有する化学機械研磨組成物で平坦化または研磨され得る。好適な研磨パッドとしては、例えば、織布及び不織布研磨パッドが挙げられる。さらに、好適な研磨パッドは、所望の密度、硬度、厚さ、圧縮性、圧縮時にリバウンドする能力、及び圧縮弾性率の任意の好適なポリマーで構成され得る。好適なポリマーとしては、例えば、ポリビニルクロリド、ポリビニルフルオリド、ナイロン、フルオロカーボン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、それらの同時形成産物、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0099】
本発明に記載されるCMP組成物の利点は、以下の実施例に例証され、本発明の組成物の有用または有利な特徴部を示す。実施例は、いかなる方法においてもその範囲を限定するものとみなされてはならない。
【0100】
実施例1
この実施例は、スラリー安定性に関して、当該技術分野において既知の種類のリン含有リガンドを含有すること以外は同一のスラリーと比較して、本明細書に記載される種類のリン含有リガンド(P−Cmpd.)を含有する組成物の利点を示す。組成物を表1に記載する。シリカ−Aは、約55nmの二次粒径及びca 25mVの電荷を有する荷電したコロイド状シリカ粒子である。アレンドロン酸を有する発明のスラリー(粒子成長は観察されない)が、ほぼ2倍の粒径増加を有していたリン酸、Dequest 2010を有すること以外は同一のスラリーと比較して、優れた安定性を有することは、表2に提示される粒径データから明らかである。
【表1】
【表2】
【0101】
初期粒径は、スラリーの他の成分と組み合わされる前の成分粒子の粒径である。比較及び発明のスラリーの粒径(スラリーPS)は、記載のとおり調製されたスラリー中で測定され、粒径測定は、調製が完了した後少なくとも3時間の時点で行われた。その時間は、周囲条件下でのスラリーの撹拌を含まない。
【0102】
実施例2
この実施例は、タングステンのエッチングに関して記載される例示的な製剤の利点を教示する。スラリー調製物を表3及び4に記載する。対応するタングステンエッチング速度(45℃)を表5及び6に提供する。記載される例示的な組成物(Inv.)が、比較(Comp.)組成物よりも著しく低いタングステン静的エッチング速度を有し得ることは、実施例から明らかである。例えば、本発明のスラリー3−Bは、比較スラリー3−Aの静的エッチング速度の20%以下であり、一方で本発明のスラリー3−Cは、比較スラリー3−Bの観察されたエッチング速度の70%のみを有する。研磨剤を含まない製剤では(表4)、本発明のスラリーはまた、比較例と比較して著しく低い静的エッチング速度を有する。例えば、本発明の組成物4Bは、比較4Aの静的エッチング速度の1%未満を有し、本発明の組成物4Cは、比較4Aの静的エッチング速度の25%未満を有する。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0103】
実施例3
この実施例は、タングステン除去に関して記載される、例示的な組成物の利点を教示する。スラリー組成物は、シリカ研磨剤(表7)及びアルミナ研磨剤(表8)を含む研磨組成物に関して記載されている。各研磨型の比較に関して正規化された相対タングステン除去率を表8に提供する。例示的な発明の組成物(Inv.)が、比較(Comp.)組成物と比較して、著しく高いタングステン除去率を有する、より効率的なタングステン除去を有することは明らかである。例えば、本発明の組成物7Bは、比較スラリー7Aよりも50%高い除去率を有する。双性イオンリン化合物と組み合わせた金属塩(触媒)を含む組成物の利点は、本発明のスラリー7Bの、比較(金属塩を含まない)7Cとの相対性能によって示され得る。本発明の組成物7Bは、比較7Cのおよそ5倍のタングステン除去率を有する。アルミナ研磨剤を含むスラリーの場合、本発明の組成物8Aは、比較8Bのほぼ2倍のタングステン除去率を有する。
【表7】
【表8】
【表9】
【0104】
実施例4
この実施例は、パターン性能に関して本発明の組成物の利点を教示する。パターンウエハは、Sylib Wafer Services(Seattle,WA)から入手した市販の線及び空間2000 Ang W MIT 854パターン(200mm)であった。パターンウエハを、Cabot Microelectronics(Aurora,IL)から入手可能な市販のW−バルク製品である、W8051で事前に研磨し、組成物7−A及び7−Bで研磨される前に、W金属を除去して酸化物/金属パターンを露出させた。金属線の浸食は、本発明のスラリー7−Bの場合に明らかに低い。本発明の組成物(7−B)が、比較例(7−A)よりも著しく低い浸食を有することは明らかであり、比較例は0.18×0.18μmでおよそ50%の浸食、及び1×3μmで30%未満の浸食を有する。
【表10】