(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の組成物は、硬化物の耐熱性と、フォトリソグラフィにおける感度および解像性との両立が十分ではない場合があった。また、クラックや反り等の原因となることから、硬化物の線熱膨張係数が低いこと(即ち、低CTE)も求められている。
【0006】
そこで、本発明の目的は、高耐熱性、低線熱膨張係数の硬化膜を形成することができ、感度、解像度に優れる感光性樹脂組成物、該組成物から得られる樹脂層を有するドライフィルム、該組成物または該ドライフィルムの樹脂層の硬化物、該硬化物を有する半導体素子、プリント配線板および電子部品を提供することにある。
【0007】
本発明者等は上記に鑑み鋭意検討した結果、ベンゾオキサゾール構造を特定の割合で含むポリアミド系樹脂をポリベンゾオキサゾール前駆体として使用することによって、または、ベンゾオキサゾール構造を有するポリアミド系樹脂とポリヒドロキシアミドであるポリベンゾオキサゾール前駆体とを特定の割合で併用することによって、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の感光性樹脂組成物は、ジアミン成分とジカルボン酸成分の反応から得られるポリアミド系樹脂であるポリベンゾオキサゾール前駆体(A)と、感光剤(B)とを含有する感光性樹脂組成物であって、
前記ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)のポリアミド構造中、下記一般式(1)で示される構造の割合が0.1〜15%であり、下記一般式(2)で示される構造の割合が85〜99.9%であることを特徴とするものである。
(一般式(1)中、Pはジアミン成分の残基であり、下記一般式(1−1)、(1−2)および(1−3)のいずれかのベンゾオキサゾール構造を有する2価の基である。R’はジカルボン酸成分の残基であり、2価の有機基である。)
(一般式(1−1)中、R
1〜R
4は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(1)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。R
5〜R
9は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(1)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、R
1〜R
4のうちいずれか一つ、および、R
5〜R
9のうちいずれか一つは、一般式(1)中の窒素原子との直接結合である。)
(一般式(1−2)中、R
10〜R
14は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(1)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。R
15〜R
19は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(1)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、R
10〜R
14のうちいずれか一つ、および、R
15〜R
19のうちいずれか一つは、一般式(1)中の窒素原子との直接結合である。R
20、R
21はそれぞれ水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。)
(一般式(1−3)中、R
22〜R
26は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(1)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。R
27〜R
31は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(1)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、R
22〜R
26のうちいずれか一つ、および、R
27〜R
31のうちいずれか一つは、一般式(1)中の窒素原子との直接結合である。R
32、R
33はそれぞれ水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。)
(一般式(2)中、Xはジヒドロキシジアミン類の残基であり、4価の有機基である。Yは、ジカルボン酸成分の残基であり、2価の有機基である。)
【0009】
本発明の他の感光性樹脂組成物は、ジアミン成分とジカルボン酸成分の反応から得られるポリアミド系樹脂(α−1)と、ポリベンゾオキサゾール前駆体(α−2)と、感光剤(B)とを含有する感光性樹脂組成物であって、
前記ポリアミド系樹脂(α−1)が下記一般式(3)で示される構造を有し、
前記ポリベンゾオキサゾール前駆体(α−2)が下記一般式(4)で示される構造を有し、
前記ポリアミド系樹脂(α−1)と前記ポリベンゾオキサゾール前駆体(α−2)の配合比が質量換算で0.1:99.9〜15:85であることを特徴とするものである。
(一般式(3)中、Pはジアミン成分の残基であり、下記一般式(3−1)、(3−2)および(3−3)のいずれかのベンゾオキサゾール構造を有する2価の基である。R’はジカルボン酸成分の残基であり、2価の有機基である。nは1以上の整数である。)
(一般式(3−1)中、R
1〜R
4は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(3)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。R
5〜R
9は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(3)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、R
1〜R
4のうちいずれか一つ、および、R
5〜R
9のうちいずれか一つは、一般式(3)中の窒素原子との直接結合である。)
(一般式(3−2)中、R
10〜R
14は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(3)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。R
15〜R
19は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(3)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、R
10〜R
14のうちいずれか一つ、および、R
15〜R
19のうちいずれか一つは、一般式(3)中の窒素原子との直接結合である。R
20、R
21はそれぞれ水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。)
(一般式(3−3)中、R
22〜R
26は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(3)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。R
27〜R
31は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(3)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、R
22〜R
26のうちいずれか一つ、および、R
27〜R
31のうちいずれか一つは、一般式(3)中の窒素原子との直接結合である。R
32、R
33はそれぞれ水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。)
(一般式(4)中、Xはジヒドロキシジアミン類の残基であり、4価の有機基である。Yは、ジカルボン酸成分の残基であり、2価の有機基である。mは1以上の整数である。)
【0010】
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに、架橋剤を含有することが好ましい。
【0011】
本発明のドライフィルムは、前記感光性樹脂組成物をフィルムに塗布、乾燥して得られる樹脂層を有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の硬化物は、前記感光性樹脂組成物または前記ドライフィルムの樹脂層を硬化して得られることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の半導体素子は、前記硬化物を有することを特徴とするものである。
【0014】
本発明のプリント配線板は、前記硬化物を有することを特徴とするものである。
【0015】
本発明の電子部品は、前記硬化物を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高耐熱性、低線熱膨張係数の硬化膜を形成することができ、感度、解像度に優れる感光性樹脂組成物、該組成物から得られる樹脂層を有するドライフィルム、該組成物または該ドライフィルムの樹脂層の硬化物、該硬化物を有する半導体素子、プリント配線板および電子部品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の感光性樹脂組成物は、上記のとおり、ジアミン成分とジカルボン酸成分の反応から得られるポリアミド系樹脂であるポリベンゾオキサゾール前駆体(A)と、感光剤(B)とを含有する感光性樹脂組成物であって、前記ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)のポリアミド構造中、前記一般式(1)で示される構造の割合が0.1〜15%であり、前記一般式(2)で示される構造の割合が85〜99.9%である感光性樹脂組成物、または、ジアミン成分とジカルボン酸成分の反応から得られるポリアミド系樹脂(α−1)と、ポリベンゾオキサゾール前駆体(α−2)と、感光剤(B)とを含有する感光性樹脂組成物であって、前記ポリアミド系樹脂(α−1)が前記一般式(3)で示される構造を有し、前記ポリベンゾオキサゾール前駆体(α−2)が前記一般式(4)で示される構造を有し、前記ポリアミド系樹脂(α−1)と前記ポリベンゾオキサゾール前駆体(α−2)の配合比が質量換算で0.1:99.9〜15:85である感光性樹脂組成物である。以下、本発明の感光性樹脂組成物が含有する成分について詳述する。
【0018】
[ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)]
前記ジアミン成分とジカルボン酸成分の反応から得られるポリアミド系樹脂であるポリベンゾオキサゾール前駆体(A)は、ポリアミド構造中、下記一般式(1)で示される構造の割合が0.1〜15%であり、下記一般式(2)で示される構造の割合が85〜99.9%である。
【0019】
(一般式(1)中、Pはジアミン成分の残基であり、下記一般式(1−1)、(1−2)および(1−3)のいずれかのベンゾオキサゾール構造を有する2価の基である。R’はジカルボン酸成分の残基であり、2価の有機基である。)
(一般式(1−1)中、R
1〜R
4は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(1)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。R
5〜R
9は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(1)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、R
1〜R
4のうちいずれか一つ、および、R
5〜R
9のうちいずれか一つは、一般式(1)中の窒素原子との直接結合である。)
(一般式(1−2)中、R
10〜R
14は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(1)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。R
15〜R
19は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(1)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、R
10〜R
14のうちいずれか一つ、および、R
15〜R
19のうちいずれか一つは、一般式(1)中の窒素原子との直接結合である。R
20、R
21はそれぞれ水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。)
(一般式(1−3)中、R
22〜R
26は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(1)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。R
27〜R
31は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(1)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、R
22〜R
26のうちいずれか一つ、および、R
27〜R
31のうちいずれか一つは、一般式(1)中の窒素原子との直接結合である。R
32、R
33はそれぞれ水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。)
(式(2)中、Xはジヒドロキシジアミン類の残基であり、4価の有機基である。Yは、ジカルボン酸成分の残基であり、2価の有機基である。)
【0020】
ここで、ポリアミド構造中の割合とは、一般式(1)の如く、1つのジアミン成分と1つのジカルボン酸成分からなるアミド構造を1つとして数えた上で、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)に含まれるポリアミド構造中のアミド構造の総数あたりの割合を意味する。ジアミン成分とジカルボン酸成分との反応は100%反応が完了することから、上記割合は、ジアミン成分中、一般式(1−1)、(1−2)および(1−3)のいずれかのベンゾオキサゾール構造(以下、「ベンゾオキサゾール部位」とも称する)を有するジアミンの割合(モル換算)で求めることができる。当該割合は、NMR等で分析して求めてもよい。ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)に含まれるポリアミド構造中のアミド構造の総数は、10〜30が好ましく、15〜25がより好ましい。
【0021】
一般式(1)であらわされる構造の割合が0.1%未満の場合、硬化物の耐熱性が低下し、また、線熱膨張係数も高くなってしまう。また、上記割合が15%を超えると、感度と解像度が悪化する。好ましくは、1〜10%である。
【0022】
ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)のポリアミド構造は、ジアミン成分とジカルボン酸成分の反応から得られる。ジアミン成分とジカルボン酸成分は、ポリアミドの合成に用いられるものであればよく、例えば、ジアミン成分としてはジアミン類、ジカルボン酸成分としては、ジカルボン酸、ジカルボン酸エステル、カルボン酸ジクロリド等のジカルボン酸のジハライドが挙げられる。
【0023】
前記一般式(1)で示される構造は、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)中に、連続して繰り返していてもよく、繰り返し数は1〜5であることが好ましい(ただし、ここで繰り返し数が1の場合、連続して繰り返していないことを意味する)。
【0024】
前記一般式(1−1)におけるR
1〜R
4、R
5〜R
9、前記一般式(1−2)におけるR
10〜R
14、R
15〜R
19、および、前記一般式(1−3)におけるR
22〜R
26、R
27〜R
31は、水素原子または一般式(1)中の窒素原子との直接結合であることが好ましい。
【0025】
前記一般式(1−1)におけるR
1〜R
4、R
5〜R
9、前記一般式(1−2)におけるR
10〜R
14、R
15〜R
19、および、前記一般式(1−3)におけるR
22〜R
26、R
27〜R
31がとりうる有機基としては、例えば、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、アリル基、トリフルオロメチル基等があげられる。
【0026】
前記一般式(1−2)におけるR
20、R
21、および、前記一般式(1−3)におけるR
32、R
33がとりうる有機基としては、例えば、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、アリル基、トリフルオロメチル基等があげられる。
【0027】
前記一般式(1−1)におけるR
1〜R
9、前記一般式(1−2)におけるR
10〜R
21、および、前記一般式(1−3)におけるR
22〜R
33がとりうるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素があげられる。中でもポリマーの透過率の関係からフッ素が好ましい。
【0028】
前記一般式(1−1)におけるR
1〜R
9、前記一般式(1−2)におけるR
10〜R
21、および、前記一般式(1−3)におけるR
22〜R
33、がとりうるスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、デシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等の炭素数1〜10のアルキルスルホニル基が挙げられる。
【0029】
前記一般式(1)中、Pが示すジアミン成分としては、後述する一般式(5)、(6)および(7)のいずれかのベンゾオキサゾール構造を有するジアミン類が挙げられる。
【0030】
前記一般式(1)中、R’が示すジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシテトラフェニルシラン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(p−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等の芳香環を有するジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸等の脂肪族系ジカルボン酸、および、それらのジハライドが挙げられる。中でも、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテルおよびそのジハライドが好ましい。
【0031】
前記一般式(1)中、R’が示す2価の有機基は脂肪族基でも芳香族基でもよいが、芳香族基であることが好ましく、芳香環上で前記一般式(1)中のカルボニルと結合していることがより好ましい。前記2価の芳香族基の炭素原子数は、6〜30であることが好ましく、6〜24であることがより好ましい。前記2価の芳香族基の具体例としては下記の基が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、ポリベンゾオキサゾール前駆体に含まれる公知の芳香族基を用途に応じて選択すればよい。
【0032】
(式中、Aは単結合、−CH
2−、−O−、−CO−、−S−、−SO
2−、−NHCO−、−C(CF
3)
2−、−C(CH
3)
2−からなる群から選択される2価の基を表す。)
【0033】
前記2価の有機基は、前記芳香族基の中でも下記の基であることが好ましい。
【0034】
ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)は、一般式(1)で示される構造を2種以上含んでいてもよい。
【0035】
ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)が、ポリアミド構造中に含む上記一般式(1)以外のアミド構造としては、下記一般式(2)で表されるアミド構造である。一般式(1)のアミド構造と一般式(2)のアミド構造との比率は、0.1:99.9〜15:85であり、1:99〜10:90であることが好ましく、1:99〜5:95であることがより好ましい。
【0036】
(式中、Xはジヒドロキシジアミン類の残基であり、4価の有機基である。Yは、ジカルボン酸成分の残基であり、2価の有機基である。前記一般式(2)で示される構造は、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)中に、連続して繰り返していてもよく、繰り返し数は10〜30であることが好ましく、15〜25であることがより好ましい(ただし、ここで繰り返し数が1の場合、連続して繰り返していないことを意味する)。)
【0037】
前記一般式(2)におけるXが示すジヒドロキシジアミン類としては、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。中でも、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンが好ましい。
【0038】
前記一般式(2)中、Xが示す4価の有機基は脂肪族基でも芳香族基でもよいが、芳香族基であることが好ましく、2つのヒドロキシ基と2つのアミノ基がオルト位に芳香環上に位置することがより好ましい。前記4価の芳香族基の炭素原子数は、6〜30であることが好ましく、6〜24であることがより好ましい。前記4価の芳香族基の具体例としては下記の基が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、ポリベンゾオキサゾール前駆体に含まれうる公知の芳香族基を用途に応じて選択すればよい。
【0040】
前記4価の芳香族基は、前記芳香族基の中でも下記の基であることが好ましい。
【0041】
前記一般式(2)におけるYが示す前記ジカルボン酸成分としては、前記一般式(1)中、R’が示すジカルボン酸成分と同様である。
【0042】
ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)の数平均分子量(Mn)は5,000〜100,000であることが好ましく、8,000〜50,000であることがより好ましい。ここで、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation chromatography;以下「GPC」と称する)にて測定し、標準ポリスチレンで換算した数値である。また、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)の質量平均分子量(Mw)は10,000〜200,000であることが好ましく、16,000〜100,000であることがより好ましい。ここで、質量平均分子量は、GPCで測定し、標準ポリスチレンで換算した数値である。Mw/Mnは1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。
【0043】
ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)の配合量は、組成物固形分全量基準で60〜90質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましい。
【0044】
本発明の感光性樹脂組成物は、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)を含有する場合、ポリマーを混合せずとも、高耐熱性、低線熱膨張係数の硬化膜を形成することができ、感度、解像度に優れるが、必要に応じて、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)を2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)以外のポリマーと組みわせて用いてもよい。
【0045】
[ポリアミド系樹脂(α−1)]
ジアミン成分とジカルボン酸成分の反応から得られるポリアミド系樹脂(α−1)は、下記一般式(3)で示される構造を有する。
【0046】
(一般式(3)中、Pはジアミン成分の残基であり、下記一般式(3−1)、(3−2)および(3−3)のいずれかのベンゾオキサゾール構造を有する2価の基である。R’はジカルボン酸成分の残基であり、2価の有機基である。nは1以上の整数である。)
(一般式(3−1)中、R
1〜R
4は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(3)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。R
5〜R
9は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(3)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、R
1〜R
4のうちいずれか一つ、および、R
5〜R
9のうちいずれか一つは、一般式(3)中の窒素原子との直接結合である。)
(一般式(3−2)中、R
10〜R
14は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(3)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。R
15〜R
19は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(3)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、R
10〜R
14のうちいずれか一つ、および、R
15〜R
19のうちいずれか一つは、一般式(3)中の窒素原子との直接結合である。R
20、R
21はそれぞれ水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。)
(一般式(3−3)中、R
22〜R
26は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(3)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。R
27〜R
31は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基、一般式(3)中の窒素原子との直接結合のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、R
22〜R
26のうちいずれか一つ、および、R
27〜R
31のうちいずれか一つは、一般式(3)中の窒素原子との直接結合である。R
32、R
33はそれぞれ水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。)
【0047】
前記ポリアミド系樹脂(α−1)と前記ポリベンゾオキサゾール前駆体(α−2)との配合割合は質量換算で0.1:99.9〜15:85である。前記ポリアミド系樹脂(α−1)が0.1未満の場合、硬化物の耐熱性が低下し、また、線熱膨張係数も高くなってしまう。前記ポリアミド系樹脂(α−1)が15を超えると、感度と解像度が悪化する。好ましくは、1:99〜10:90である。
【0048】
ポリアミド系樹脂(α−1)は、ジアミン成分とジカルボン酸成分の反応から得られる。ジアミン成分とジカルボン酸成分は、ポリアミドの合成に用いられるものであればよく、例えば、ジアミン成分としてはジアミン類、ジカルボン酸成分としては、ジカルボン酸、ジカルボン酸エステル、カルボン酸ジクロリド等のジカルボン酸のジハライドが挙げられる。
【0049】
前記一般式(3)におけるnは、1〜20であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
【0050】
前記一般式(3−1)〜(3−3)における各Rは、前記一般式(1−1)〜(1−3)中の同じRと同様である。
【0051】
前記一般式(3)中、Pが示すジアミン成分としては、前記一般式(1)中のPと同様に、後述する一般式(5)、(6)および(7)のいずれかのベンゾオキサゾール構造を有するジアミン類が挙げられる。
【0052】
前記一般式(3)中、R’が示すジカルボン酸成分としては、前記一般式(1)中のR’と同様である。
【0053】
ポリアミド系樹脂(α−1)は、一般式(3)で示される構造を2種以上含んでいてもよい。また、一般式(3)で示される構造以外の構造を含んでいてもよく、例えば、上記一般式(2)で示される構造を含んでいてもよい。
【0054】
ポリアミド系樹脂(α−1)の数平均分子量(Mn)は500〜10,000が好ましい。また、ポリアミド系樹脂(α−1)の質量平均分子量(Mw)は1,500〜25,000が好ましい。Mw/Mnは1〜5が好ましい。
【0055】
ポリアミド系樹脂(α−1)の配合量は、樹脂成分中0.1〜15%であることが好ましく、現像性を落とすことなく、硬化膜の熱機械特性を向上させることができる。
【0056】
[ポリベンゾオキサゾール前駆体(α−2)]
ポリベンゾオキサゾール前駆体(α−2)は、下記一般式(4)で示される構造を有する。
【0057】
(式中、Xはジヒドロキシジアミン類の残基であり、4価の有機基である。Yは、ジカルボン酸成分の残基であり、2価の有機基である。mは1以上の整数である。)
【0058】
前記一般式(4)中、mは1以上の整数であり、好ましくは10〜50、より好ましくは20〜40である。
【0059】
前記一般式(4)におけるXが示すジヒドロキシジアミン類としては、前記一般式(3)におけるXが示すジヒドロキシジアミン類と同様である。
【0060】
前記一般式(4)中、Xが示す4価の有機基は、前記一般式(3)中、Xが示す4価の有機基と同様である。
【0061】
前記一般式(4)におけるYが示す前記ジカルボン酸成分としては、前記一般式(3)中のR’と同様に、前記一般式(1)中、R’が示すジカルボン酸成分と同様である。
【0062】
ポリベンゾオキサゾール前駆体(α−2)は、一般式(4)で示される構造を2種以上含んでいてもよい。
【0063】
ポリベンゾオキサゾール前駆体(α−2)の数平均分子量(Mn)は5,000〜100,000であることが好ましく、8,000〜50,000であることがより好ましい。また、前記ポリベンゾオキサゾール前駆体(α−2)の質量平均分子量(Mw)は10,000〜200,000であることが好ましく、16,000〜100,000であることがより好ましい。Mw/Mnは1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。
【0064】
ポリベンゾオキサゾール前駆体(α−2)の配合量は、樹脂成分中85〜99.9%であことが好ましく、より解像度の高いパターンが得られる。
【0065】
本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、ポリアミド系樹脂(α−1)およびポリベンゾオキサゾール前駆体(α−2)をそれぞれ2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリアミド系樹脂(α−1)およびポリベンゾオキサゾール前駆体(α−2)以外のポリマーと組みわせて用いてもよい。なお、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリベンゾオキサゾール前駆体(α−2)はベンゾオキサゾール構造を有してもよいが、ベンゾオキサゾール構造を有さないことが好ましい。
【0066】
[感光剤(B)]
感光剤(B)としては、特に制限はなく、光酸発生剤や光重合開始剤、光塩基発生剤を用いることができる。光酸発生剤は、紫外線や可視光等の光照射により酸を発生する化合物であり、光重合開始剤は、同様の光照射によりラジカルなどを発生する化合物であり、光塩基発生剤は、同様の光照射により分子構造が変化するか、または、分子が開裂することにより1種以上の塩基性物質を生成する化合物である。本発明においては、感光剤(B)として、光酸発生剤を好適に用いることができる。
【0067】
光酸発生剤としては、ナフトキノンジアジド化合物、ジアリールスルホニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、アリールジアゾニウム塩、芳香族テトラカルボン酸エステル、芳香族スルホン酸エステル、ニトロベンジルエステル、芳香族N−オキシイミドスルフォネート、芳香族スル
ファミド、ベンゾキノンジアゾスルホン酸エステル等を挙げることができる。光酸発生剤は、溶解阻害剤であることが好ましい。中でもナフトキノンジアジド化合物であることが好ましい。
【0068】
ナフトキノンジアジド化合物としては、具体的には例えば、トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼンのナフトキノンジアジド付加物(例えば、三宝化学研究所社製のTS533,TS567,TS583,TS593)や、テトラヒドロキシベンゾフェノンのナフトキノンジアジド付加物(例えば、三宝化学研究所社製のBS550,BS570,BS599)等を使用することができる。
【0069】
感光剤(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。感光剤(B)の配合量は、組成物固形分全量基準で3〜20質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
【0070】
(架橋剤)
本発明の感光性樹脂組成物は、架橋剤を含有することが好ましく、架橋剤を添加することで低温硬化した際の硬化膜の強度が上がる。架橋剤は、特に限定されず、公知慣用の架橋剤を含有してもよい。なかでも、フェノール性水酸基を有する架橋剤、フェノール性水酸基を有さずメチロール基を2つ以上有する架橋剤、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤が好ましい。また、フェノール性水酸基を有する架橋剤とメラミン系架橋剤とを組み合わせて用いることがより好ましく、架橋剤を組み合わせることで現像性が調整できるとともに低温で硬化した膜の強度が上がる。フェノール性水酸基を有する架橋剤とメラミン系架橋剤の配合割合は、質量換算で、2:8〜8:2が好ましく、3:7〜7:3がより好ましく、4:6〜6:4がさらに好ましい。フェノール性水酸基を有する架橋剤とフェノール性水酸基を有さずメチロール基を2つ以上有する架橋剤とを組み合わせて用いることもより好ましく、現像時のパターン矩形が良好となり、硬化膜の強度が上がる。フェノール性水酸基を有する架橋剤とフェノール性水酸基を有さずメチロール基を2つ以上有する架橋剤の配合割合は、質量換算で、2:8〜8:2が好ましく、3:7〜7:3がより好ましく、4:6〜6:4がさらに好ましい。架橋剤の含有量は、組成物固形分全量基準で1.5〜20質量%であることが好ましい。
【0071】
(フェノール性水酸基を有する架橋剤)
フェノール性水酸基を有する架橋剤は特に限定されないが、水酸基(フェノール性水酸基を含む)を2以上有することが好ましく、フェノール性水酸基を2以上有することがより好ましく、下記一般式(A)で表される化合物であることがさらに好ましい。
【0072】
(一般式(A)中、R
A1は2〜10価の有機基を示す。R
A2は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは2〜10の整数を示す。)
【0073】
前記一般式(A)中、R
A1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキレン基であることが好ましい。
【0074】
前記一般式(A)中、R
A2は、水素原子であることが好ましい。
【0075】
前記一般式(A)中、nは、2〜4の整数であることが好ましく、2であることがより好ましい。
【0076】
また、フェノール性水酸基を有する架橋剤は、フッ素原子を有することが好ましく、トリフルオロメチル基を有することがより好ましい。前記フッ素原子または前記トリフルオロメチル基は、前記一般式(A)中のR
A1が示す2〜10価の有機基が有することが好ましく、R
A1はジ(トリフルオロメチル)メチレン基であることが好ましい。また、フェノール性水酸基を有する架橋剤は、ビスフェノール構造を有することが好ましく、ビスフェノールAF構造を有することがより好ましい。
【0077】
フェノール性水酸基を有する架橋剤の具体例としては下記の化合物であることが好ましい。
【0078】
フェノール性水酸基を有する架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノール性水酸基を有する架橋剤の配合量は、組成物固形分全量基準で1〜20質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましい。このような配合割合にあれば、より優れた現像性を有し、かつ、硬化後のパターン形成性により優れた組成物が得られる。
【0079】
(フェノール性水酸基を有さずメチロール基を2つ以上有する架橋剤)
フェノール性水酸基を有さずメチロール基を2つ以上有する架橋剤は、分子量が100以上であることが好ましい。
【0080】
フェノール性水酸基を有さずメチロール基を2つ以上有する架橋剤は、下記一般式(B)で表される化合物であることがさらに好ましい。
【0081】
(一般式(B)中、nは1〜10の整数を示し、nが1のとき、R
B1はメチロール基(すなわち「−CH
2OH」)を表し、nが2〜10の整数のとき、R
B1は2〜10価の有機基を示す。R
B2は、それぞれ独立に、炭素数1〜4の有機基を示す。m1は1〜5の整数を示し、m2は0〜4の整数を示す。)
【0082】
前記一般式(B)中、nは1であることが好ましい。
【0083】
前記一般式(B)中、R
B2は、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
【0084】
フェノール性水酸基を有さずメチロール基を2つ以上有する架橋剤の具体例としては下記の化合物であることが好ましい。
【0085】
フェノール性水酸基を有さずメチロール基を2つ以上有する架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このフェノール性水酸基を有さずメチロール基を2つ以上有する架橋剤の配合量は、組成物固形分全量基準で1〜20質量%であることが好ましい。このような配合割合にあれば、より優れた現像性を有し、かつ、硬化後のパターン形成性により優れた組成物が得られる。
【0086】
(メラミン系架橋剤)
メラミン系架橋剤としては、メラミン構造を有する架橋剤であれば特に限定されないが、下記一般式(C)で表されるメラミン系架橋剤であることが好ましい。
(式中、R
C1A、R
C2A、R
C3A、R
C4A、R
C5AおよびR
C6Aはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキレン基であることが好ましい。R
C1B、R
C2B、R
C3B、R
C4B、R
C5BおよびR
C6Bはそれぞれ独立に水素原子、または、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。)
【0087】
上記一般式(C)中、R
C1A、R
C2A、R
C3A、R
C4A、R
C5AおよびR
C6Aはそれぞれメチレン基であることがより好ましい。また、R
C1B、R
C2B、R
C3B、R
C4B、R
C5BおよびR
C6Bはそれぞれ独立にメチル基または水素原子であることがより好ましい。
【0088】
メラミン系架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。メラミン系架橋剤の配合量は、組成物固形分全量基準で0.5〜15質量%であることが好ましい。0.5〜15質量%であると、未露光部の残膜率をより高くでき、露光部の現像残りを防止することができる。
【0089】
(尿素系架橋剤)
尿素系架橋剤としては、特に限定されないが、下記一般式(D)または(E)で表されるメラミン系架橋剤であることが好ましい。
【0090】
(式中、R
D1、R
D2はそれぞれ独立に水素原子または一価の有機基を示す。)
【0091】
(式中、R
E1はそれぞれ独立に水素原子または一価の有機基を示し、R
E2は二価の有機基を示す。)
【0092】
尿素系架橋剤は、アルキル化尿素樹脂であることが好ましく、2−イミダゾリジノン環を有することがより好ましい。例えば、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、4,5−ジメトキシ−1,3−ビス(メトキシメチル)イミダゾリジン−2−オン等が挙げられる。市販品としては、例えば、三和ケミカル社製ニカラックMX−270、MX−279、MX−280等が挙げられる。
【0093】
尿素系架橋剤の具体的な化合物としては、以下に示すような化合物等を用いることができる。
【0095】
尿素系架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。尿素系架橋剤の配合量は、組成物固形分全量基準で1〜20質量%であることが好ましい。1〜20質量%であると現像時に悪影響を及ぼすことなく、低温硬化時の膜強度を向上させることができる。
【0096】
(チオール化合物)
本発明の感光性樹脂組成物は、チオール化合物を含有することができる。チオール化合物を含有することによって、現像残渣を低減させることができる。チオール化合物としては、特に限定されず、D,L−ジチオトレイトール、2−メルカプトエタノールの他、以下に示すような化合物等を用いることができる。特にこの中でも、D,L−ジチオトレイトールが好ましい。
【0097】
チオール化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。チオール化合物の配合量は、組成物固形分全量基準で0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。上記範囲とすることで、スカムの発生をより確実に抑制することができる。
【0098】
(尿素化合物)
本発明の感光性樹脂組成物は、尿素化合物を含有することができる。尿素化合物を含有することによって、樹脂の溶解速度を調整することができ、パターン形成性を向上させることができる。尿素化合物としては、特に限定されず、例えば、1,3−ジフェニル尿素、1,3−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、N,N’−ビス(トリメチルシリル)尿素、1−アセチル−3−メチル尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、アセチル尿素、1−アダマンチルチオ尿素、1−アリル−3−(2−ヒドロキシエチル)−2−チオ尿素、ベンゾイレン尿素、N−ベンゾイルチオ尿素、ベンゾイル尿素、ベンジル尿素、1,3−ビス(tert−ブトキシカルボニル)チオ尿素、1,3−ビス(4−クロロフェニル)尿素、1,3−ビス(4−フルオロフェニル)尿素、1,3−(ヒドロキシメチル)尿素、1,3−ビス(4−メトキシフェニル)尿素、ビ尿素、ブチル尿素、N,N’−ジエチル−N,N’−ジフェニル尿素等を用いることができる。
【0099】
尿素化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。尿素化合物の配合量は、組成物固形分全量基準で0.01〜15質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。上記範囲とすることで、残膜率を向上し、金属基板上での厚い感光膜の現像性を向上して、現像後においてより良好なパターン形状を得ることができる。
【0100】
(シランカップリング剤)
本発明の感光性樹脂組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。シランカップリング剤を含有することによって、シリコン基板との密着性を向上させることができる。シランカップリング剤は、アリールアミノ基を有するシランカップリング剤、および二つ以上のトリアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。解像性に優れることから、アリールアミノ基を有するシランカップリング剤であることが、より好ましい。
【0101】
アリールアミノ基を有するシランカップリング剤について説明する。アリールアミノ基のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基等の芳香族炭化水素基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基等の縮合多環芳香族基、チエニル基、インドリル基等の芳香族複素環基が挙げられる。
【0102】
アリールアミノ基を有するシランカップリング剤は、下記一般式(F)で示される基を有する化合物であることが好ましい。
(式中、R
F1〜R
F5はそれぞれ独立に水素原子または有機基を表す。)
【0103】
上記一般式(F)中、R
F1〜R
F5が水素原子であることが好ましい。
【0104】
アリールアミノ基を有するシランカップリング剤は、ケイ素原子とアリールアミノ基とが、炭素数1〜10の有機基、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基で結合していることが好ましい。
【0105】
アリールアミノ基を有するシランカップリング剤の具体例としては以下に示す化合物であることが好ましい。
【0106】
次に、二つ以上のトリアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤について説明する。二つ以上のトリアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤が有するトリアルコキシシリル基はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、また、これらの基が有するアルコキシ基はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられるが、中でも、メトキシ基、エトキシ基であることが好ましい。
【0107】
二つ以上のトリアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤は、少なくとも二つのケイ素原子が、炭素数1〜10の有機基、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基で結合していることが好ましい。
【0108】
二つ以上のトリアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤の具体例は、次の化合物であることが好ましい。
【0109】
シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上述したアリールアミノ基を有するシランカップリング剤、および二つ以上のトリアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤を含有してもよい。
【0110】
シランカップリング剤の配合量は、組成物固形分全量基準で1〜15質量%であることが好ましい。1〜15質量%であると露光部の現像残りを防止することができる。
【0111】
本発明の感光性樹脂組成物には、溶媒を配合することができる。溶媒としては、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)、感光剤(B)、および、他の任意の添加剤を溶解させるものであれば、特に限定されない。溶媒の具体例としては、N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、ピリジン、γ−ブチロラクトン、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを挙げることができる。これらは単独で用いても、二種以上を混合して用いてもかまわない。使用する溶媒の量は、塗布膜厚や粘度に応じて、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)100質量部に対し、50〜9000質量部の範囲で用いることができる。
【0112】
本発明の感光性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の増感剤や、密着助剤などを配合することもできる。
【0113】
また、本発明の感光性樹脂組成物には、加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機または無機の低分子または高分子化合物を配合してもよい。例えば、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子が含まれる。さらに、本発明の感光性樹脂組成物には、各種着色剤および繊維等を配合してもよい。
【0114】
[ドライフィルム]
本発明のドライフィルムは、本発明の感光性樹脂組成物を塗布後、乾燥して得られる樹脂層を有する。
【0115】
本発明のドライフィルムは、キャリアフィルム(支持フィルム)に本発明の感光性樹脂組成物をブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等を用いた適宜の方法により均一に塗布し、乾燥して、前記した樹脂層を形成し、好ましくはその上にカバーフィルム(保護フィルム)を積層することにより、製造することができる。カバーフィルムとキャリアフィルムは同一のフィルム材料であっても、異なるフィルムを用いてもよい。
【0116】
本発明のドライフィルムにおいて、キャリアフィルムおよびカバーフィルムのフィルム材料は、ドライフィルムに用いられるものとして公知のものをいずれも使用することができる。
【0117】
キャリアフィルムとしては、例えば、2〜150μmの厚さのポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム等の熱可塑性フィルムが用いられる。
【0118】
カバーフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を使用することができるが、樹脂層との接着力が、キャリアフィルムよりも小さいものが良い。
【0119】
本発明のドライフィルム上の樹脂層の膜厚は、100μm以下が好ましく、5〜50μmの範囲がより好ましい。
【0120】
本発明の感光性樹脂組成物はポジ型であることが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物を用いて、その硬化物であるパターン膜は、例えば、下記のように製造する。尚、下記の製造方法では、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)を含む場合について説明するが、ポリアミド系樹脂(α―1)とポリベンゾオキサゾール前駆体(α―2)を含む場合も同様である。
【0121】
まず、ステップ1として、感光性樹脂組成物を基材上に塗布、乾燥する、或いはドライフィルムから樹脂層を基材上に転写(ラミネート)することにより塗膜を得る。感光性樹脂組成物を基材上に塗布する方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法、さらにはインクジェット法等を用いることができる。塗膜の乾燥方法としては、風乾、オーブンまたはホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。また、塗膜の乾燥は、感光性樹脂組成物中のポリベンゾオキサゾール前駆体(A)の閉環が起こらないような条件で行うことが望ましい。具体的には、自然乾燥、送風乾燥、あるいは加熱乾燥を、70〜140℃で1〜30分の条件で行うことができる。好ましくは、ホットプレート上で1〜20分乾燥を行う。また、真空乾燥も可能であり、この場合は、室温で20分〜1時間の条件で行うことができる。
【0122】
基材については、特に制限はなく、シリコンウェハー等の半導体基材、配線基板、各種樹脂や金属などからなる基材に広く適用できる。
【0123】
次に、ステップ2として、上記塗膜を、パターンを有するフォトマスクを介して、あるいは直接、露光する。露光光線は、感光剤(B)としての光酸発生剤を活性化させ、酸を発生させることができる波長のものを用いる。具体的には、露光光線は、最大波長が350〜410nmの範囲にあるものが好ましい。上述したように、適宜増感剤を用いると、光感度を調整することができる。露光装置としては、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー、レーザーダイレクト露光装置等を用いることができる。
【0124】
続いて、ステップ3として、加熱し、未露光部のポリベンゾオキサゾール前駆体(A)の一部を閉環してもよい。ここで、閉環率は、30%程度である。加熱時間および加熱温度は、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)、塗布膜厚および感光剤(B)としての光酸発生剤の種類によって、適宜変更する。
【0125】
次いで、ステップ4として、塗膜を現像液で処理する。これにより、塗膜中の露光部分を除去して、本発明の感光性樹脂組成物のパターン膜を形成することができる。
【0126】
現像に用いる方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸せき法等の中から任意の方法を選択することができる。現像液としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の四級アンモニウム塩類等の水溶液を挙げることができる。また、必要に応じて、これらにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加してもよい。その後、必要に応じて塗膜をリンス液により洗浄してパターン膜を得る。リンス液としては、蒸留水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等を単独または組み合わせて用いることができる。また、現像液として上記溶媒を使用してもよい。
【0127】
その後、ステップ5として、パターン膜を加熱して硬化塗膜(硬化物)を得る。このとき、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A)を閉環し、ポリベンゾオキサゾールを得ればよい。加熱温度は、ポリベンゾオキサゾールのパターン膜を硬化可能なように適宜設定する。例えば、不活性ガス中で、150〜350℃で5〜120分程度の加熱を行う。加熱温度のより好ましい範囲は、180〜320℃である。加熱は、例えば、ホットプレート、オーブン、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いることにより行う。このときの雰囲気(気体)としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いてもよい。
【0128】
本発明の感光性樹脂組成物の用途は特に限定されず、例えば、塗料、印刷インキ、または接着剤、あるいは、表示装置、半導体装置、電子部品、光学部品、または建築材料の形成材料として好適に用いられる。具体的には、表示装置の形成材料としては、層形成材料や画像形成材料として、カラーフィルター、フレキシブルディスプレイ用フィルム、レジスト材料、配向膜等に用いることができる。また、半導体装置の形成材料としては、レジスト材料、バッファーコート膜のような層形成材料等に用いることができる。さらに、電子部品の形成材料としては、封止材料や層形成材料として、プリント配線板、層間絶縁膜、配線被覆膜等に用いることができる。さらにまた、光学部品の形成材料としては、光学材料や層形成材料として、ホログラム、光導波路、光回路、光回路部品、反射防止膜等に用いることができる。さらにまた、建築材料としては、塗料、コーティング剤等に用いることができる。
【0129】
本発明の感光性樹脂組成物は、主にパターン形成材料として用いられ、それによって形成されたパターン膜は、ポリベンゾオキサゾールからなる永久膜として耐熱性や絶縁性を付与する成分として機能することから、特に半導体装置、表示体装置および発光装置の表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、バンプ構造を有する装置の保護膜、多層回路の層間絶縁膜、受動部品用絶縁材料、ソルダーレジストやカバーレイ膜などのプリント配線板の保護膜、ならびに液晶配向膜等として好適に利用できる。
【0130】
本発明の感光性樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、前記ジアミン成分とジカルボン酸成分の反応から得られるポリアミド系樹脂であるポリベンゾオキサゾール前駆体(A)と感光剤(B)とを配合する感光性樹脂組成物の製造方法の場合、前記ジアミンとして、下記一般式(5)、(6)および(7)のいずれかのベンゾオキサゾール構造を有するジアミン成分を用いることによって、好適に製造することができる。また、前記ジアミン成分とジカルボン酸成分の反応から得られるポリアミド系樹脂(α−1)と、ポリベンゾオキサゾール前駆体(α−2)と、感光剤(B)とを含有する感光性樹脂組成物の製造方法の場合、前記ジアミンとして下記一般式(5)、(6)および(7)のいずれかのベンゾオキサゾール構造を有するジアミン成分を用いることによって、好適に製造することができる。
【0131】
(一般式(5)中、R
1〜R
4は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。R
5〜R
9は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、R
1〜R
4のうちいずれか一つ、および、R
5〜R
9のうちいずれか一つは、アミノ基である。)
(一般式(6)中、R
10〜R
14は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、又は、アミノ基のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。R
15〜R
19は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、R
10〜R
14のうちいずれか一つ、および、R
15〜R
19のうちいずれか一つは、アミノ基である。R
20、R
21はそれぞれ水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。)
(一般式(7)中、R
22〜R
26は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。R
27〜R
31は水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、R
22〜R
26のうちいずれか一つ、および、R
27〜R
31のうちいずれか一つは、アミノ基である。R
32、R
33はそれぞれ水素原子、有機基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、スルホニル基、アミノ基のいずれかであり、同一であっても異なっていてもよい。)
【実施例】
【0132】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
【0133】
(ポリベンゾオキサゾール前駆体A−1の合成)(ベンゾオキサゾール部位10%)
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中にN−メチルピロリドン85g仕込み、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン10.29g(28.1mmol)と2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンゾオキサゾール0.70g(3.12mmol)を撹拌溶解した。その後、フラスコを氷浴に浸し、フラスコ内を0〜5℃に保ちながら、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリド10.00g(33.9mmol)を固体のまま10分間かけて加え、氷浴中で30分間撹拌した。その後、室温で18時間撹拌を続けた。撹拌した溶液を400mLのイオン交換水(比抵抗値18.2MΩ・cm)に投入し、析出物を回収した。その後、得られた固体をアセトン420mLに溶解させ、1Lのイオン交換水に投入した。析出した個体を回収後、減圧乾燥してカルボキシル基末端の部分環化ポリベンゾオキサゾール前駆体を得た。GPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は31,700であった。
【0134】
(ポリベンゾオキサゾール前駆体A−2の合成)(ベンゾオキサゾール部位5%)
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中にN−メチルピロリドン85g仕込み、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン10.86g(29.65mmol)と2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンゾオキサゾール0.7g(1.55mmol)を撹拌溶解した。その後、フラスコを氷浴に浸し、フラスコ内を0〜5℃に保ちながら、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリド10.00g(33.9mmol)を固体のまま10分間かけて加え、氷浴中で30分間撹拌した。その後、室温で18時間撹拌を続けた。撹拌した溶液を400mLのイオン交換水(比抵抗値18.2MΩ・cm)に投入し、析出物を回収した。その後、得られた固体をアセトン420mLに溶解させ、1Lのイオン交換水に投入した。析出した個体を回収後、減圧乾燥してカルボキシル基末端の部分環化ポリベンゾオキサゾール前駆体を得た。GPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は33,700であった。
【0135】
(ポリベンゾオキサゾール前駆体R−1の合成)(ベンゾオキサゾール部位30%)
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中にN−メチルピロリドン85g仕込み、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン8.00g(21.8mmol)と2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンゾオキサゾールg(9.32mmol)を撹拌溶解した。その後、フラスコを氷浴に浸し、フラスコ内を0〜5℃に保ちながら、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリド10.00g(33.9mmol)を固体のまま10分間かけて加え、氷浴中で30分間撹拌した。その後、室温で18時間撹拌を続けた。撹拌した溶液を400mLのイオン交換水(比抵抗値18.2MΩ・cm)に投入し、析出物を回収した。その後、得られた固体をアセトン420mLに溶解させ、1Lのイオン交換水に投入した。析出した個体を回収後、減圧乾燥してカルボキシル基末端の部分環化ポリベンゾオキサゾール前駆体を得た。GPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は28,200であった。
【0136】
(ポリベンゾオキサゾール前駆体R−2の合成)(ベンゾオキサゾール部位0%)
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中にN−メチルピロリドン212gを仕込み、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン60.52g(165.22mmol)を撹拌溶解した。その後、フラスコを氷浴に浸し、フラスコ内を0〜5℃に保ちながら、4,4−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリド53.02g(179.65mmol)を固体のまま5gずつ30分間かけて加え、氷浴中で30分間撹拌した。その後、室温で5時間撹拌を続けた。撹拌した溶液を1Lのイオン交換水(比抵抗値18.2MΩ・cm)に投入し、析出物を回収した。その後、得られた固体をアセトン420mLに溶解させ、1Lのイオン交換水に投入した。析出した固体を回収後、減圧乾燥してカルボキシル基末端の下記の繰り返し構造を有するポリベンゾオキサゾール(PBO)前駆体(R−2)を得た。ポリベンゾオキサゾール前駆体(R−2)の数平均分子量(Mn)は13,100、重量平均分子量(Mw)は32,100、Mw/Mnは2.45であった。
【0137】
ポリベンゾオキサゾール前駆体A−1、A−2、R−1および後述するA−3は、ポリアミド構造中に下記のベンゾオキサゾール構造を有するアミド構造とその他のアミド構造とを有する。ポリベンゾオキサゾール前駆体R−2は、ポリアミド構造中に下記のその他のアミド構造を有する。
・ベンゾオキサゾール構造を有するアミド構造
・その他のアミド構造
【0138】
(実施例1)
(物性評価)
ポリベンゾオキサゾール前駆体A−1 100質量部、ジアゾナフトキノン化合物10質量部をγ-ブチロラクトン300質量部に溶解した後、0.2μmフィルターでろ過し、感光性樹脂組成物のワニスを得た。このワニスを6インチシリコンウエハ上にスピンコーターを用いて塗布、ホットプレートにて120℃で30分乾燥し、膜厚約30μmの塗膜を得た。次にオーブンを用いて、塗膜付きシリコンウエハを150℃/30分、250℃/30分、320℃/30分で加熱を行った。得られた硬化膜をシリコンウエハから剥がし、TMA(熱機械分析)によってガラス転移温度(Tg)と熱膨張係数(CTE)を測定した。
【0139】
(パターン作製)
上記ワニスを6インチシリコンウエハ上にスピンコーターを用いて塗布、ホットプレートにて120℃3分乾燥し、膜厚約5μmの塗膜を得た。得られた塗膜に対し1〜30μmのパターンが描かれたマスクを介し、300〜600mJ/cm
2のi線露光を施した。露光後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液にて120秒現像し、水でリンスし、ポジ型の硬化膜のパターンを得た。
【0140】
(未露光部残膜率の評価)
現像後の硬化膜において膜厚を測定し、現像前の膜厚との比をとることで未露光部残膜率をそれぞれ求めた。
残膜率=(現像後の膜厚/μm)/(現像前の膜厚/μm)×100
【0141】
(感度・解像度の評価)
現像後パターンを電子顕微鏡(SEM“JSM−6010”)で観察し露光部をスカムなくパターニングできる最少パターンの大きさを解像度(L(μm)/S(μm))、その際の露光量を感度とした。
【0142】
(実施例2)
ポリベンゾオキサゾール前駆体をA−2に変更した以外は実施例1と同様にして評価した。
【0143】
(比較例1)
ポリベンゾオキサゾール前駆体をR−1に変更した以外は実施例1と同様にして評価した。
現像性評価を行ったところ露光部が現像液に溶解せずパターンが得られなかった。
【0144】
(比較例2)
ポリベンゾオキサゾール前駆体をR−2に変更した以外は実施例1と同様にして評価した。
現像性評価を行ったところ、露光部未露光部ともに現像液に溶解しパターンが得られなかった。
【0145】
【表1】
【0146】
(ポリベンゾオキサゾール前駆体A−3の合成)(ベンゾオキサゾール部位2%)
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中にN−メチルピロリドン85g仕込み、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン11.21g(30.6mmol)と2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンゾオキサゾール0.145g(0.644mmol)を撹拌溶解した。その後、フラスコを氷浴に浸し、フラスコ内を0〜5℃に保ちながら、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリド10.10g(34.2mmol)を固体のまま10分間かけて加え、氷浴中で30分間撹拌した。その後、室温で18時間撹拌を続けた。撹拌した溶液を400mLのイオン交換水(比抵抗値18.2MΩ・cm)に投入し、析出物を回収した。その後、得られた固体をアセトン420mLに溶解させ、1Lのイオン交換水に投入した。析出した個体を回収後、減圧乾燥してカルボキシル基末端の部分環化ポリベンゾオキサゾール前駆体を得た。GPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は34,500であった。
【0147】
(実施例3)
ポリベンゾオキサゾール前駆体A−2 100質量部、ジアゾナフトキノン化合物10質量部、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−573)5質量部をγ-ブチロラクトン300質量部に溶解した後、0.2μmフィルターでろ過し、感光性樹脂組成物のワニスを得た。このワニスを6インチシリコンウエハ上にスピンコーターを用いて塗布、ホットプレートにて120℃で30分乾燥し、膜厚約30μmの塗膜を得た。次にオーブンを用いて、塗膜付きシリコンウエハを150℃/30分、250℃/30分で加熱を行った。得られた硬化膜をシリコンウエハから剥がし、TMA(熱機械分析)によってガラス転移温度(Tg)と熱膨張係数(CTE)を測定した。
別途、上記ワニスを6インチシリコンウエハ上にスピンコーターを用いて塗布、ホットプレートにて120℃で30分乾燥し、膜厚約5μmの塗膜を得た。得られた塗膜に対し300〜600mJ/cm
2のi線露光を施した。露光後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液にて120秒現像し、水でリンスし、ポジ型の硬化膜のパターンを得た。
【0148】
(実施例4)
TML−BPAF−MFを10質量部添加した以外は実施例3と同様にして評価した。
【0149】
(実施例5)
ポリベンゾオキサゾール前駆体をA−3に変更し、MX270(三和ケミカル)10質量部を添加した以外は実施例3と同様にして評価を行った。
【0150】
(実施例6)
TML−BPAF−MF(本州化学)5質量部、MW390(三和ケミカル)5質量部を添加した以外は実施例3と同様にして評価した。
【0151】
(実施例7)
ポリベンゾオキサゾール前駆体A−3 100質量部、ジアゾナフトキノン化合物10質量部TML−BPAF−MF 5質量部、1,4−ベンゼンジメタノール 5質量部、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−573)5質量部をγ−ブチロラクトン300質量部に溶解した後、0.2μmフィルターでろ過し、感光性樹脂組成物のワニスを得た。このワニスを6インチシリコンウエハ上にスピンコーターを用いて塗布、ホットプレートにて120℃で30分乾燥し、膜厚約30μmの塗膜を得た。次にオーブンを用いて、塗膜付きシリコンウエハを150℃/30分、250℃/30分、320℃/30分で加熱を行った。得られた硬化膜をシリコンウエハから剥がし、TMA(熱機械分析)によってガラス転移温度(Tg)と熱膨張係数(CTE)を測定した。別途、上記ワニスを6インチシリコンウエハ上にスピンコーターを用いて塗布、ホットプレートにて120℃で30分乾燥し、膜厚約5μmの塗膜を得た。得られた塗膜に対し300〜600mJ/cm
2のi線露光を施した。露光後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液にて120秒現像し、水でリンスし、ポジ型の硬化膜のパターンを得た。
【0152】
(実施例8)
ポリベンゾオキサゾール前駆体をA−2に変更し、添加剤をジチオトレイトール 1質量部、ジフェニル尿素 1質量部を添加し、TML−BPAF−MFと1,4−ベンゼンジメタノールを添加しなかった以外は実施例7と同様にして評価した。
【0153】
【表2】
【0154】
【0155】
上記表中に示す結果から、本発明の感光性樹脂組成物は、高耐熱性、低線熱膨張係数の硬化膜を形成することができ、感度、解像度に優れることがわかる。