(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)発明の概要
一態様に係る吸収性物品は、尿により変色するインジケータを含むインジケータ図柄を含み、前記インジケータ図柄は、高秤量部と、低秤量部と、を含み、前記高秤量部は、第1方向における前記インジケータ図柄の縁に設けられている。
【0009】
インジケータ図柄は、尿に反応して変色する。インジケータ図柄を構成するインジケータ材料の秤量が高い高秤量部は、尿の濃度に応じて異なる色に変化する。例えば、尿の濃度が高い場合、高秤量部は、低秤量部の色と同様の色に変化する。また、尿の濃度量が小さい場合、高秤量部は、低秤量部の色と異なる色に変化する。これは、尿の濃度が小さい場合には、高秤量部の一部が尿と反応しないからである。
【0010】
したがって、尿の濃度が高い場合、高秤量部と低秤量部はほぼ同じ色に変化するため、インジケータ図柄は、元の色とは異なる実質的に単色の図柄に変化する。また、尿の濃度量が小さい場合、高秤量部と低秤量部とが互いに異なる色に変化するため、インジケータ図柄は、互いに異なる色を含む図柄に変化する。言い換えると、インジケータ図柄は、尿の濃度が小さい場合、陰影を有するように変化し得る。これにより、尿の濃度が小さい領域のインジケータ図柄は、尿の濃度量が高い領域のインジケータ図柄とは一見して異なる図柄と認識されやすくなる。ここで、尿の濃度は、通常、尿が最初に付着した箇所で最も高く、尿の拡散にともない低くなる。すなわち、尿の濃度が高い箇所ほど尿量が多く、尿の濃度が低い箇所ほど尿量が少なくなり易い。したがって、上記態様のインジケータ図柄では、尿の濃度の違いによって多くの尿を含む領域と、多少の尿を含む領域と、尿を含まない領域とを見分けやすくなる。
【0011】
また、尿を含まない状態であっても、インジケータ図柄の高秤量部と低秤量部とで陰影が付けられているように見えるため、インジケータ図柄のデザイン性を向上させることもできる。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記高秤量部は、前記第1方向における前記インジケータ図柄の前記縁のみに設けられている。
【0013】
これにより、インジケータ図柄に陰影が生じ得る箇所が一方向の縁に特定される。したがって、ユーザ及び補助者は、インジケータ図柄のどこの位置に陰影が生じ得るのかを把握しやすいため、ユーザ及び補助者は、変色した図柄を見ることによって多少の尿を含む領域であるかどうかを判断しやすくなる。
【0014】
また、高秤量部がインジケータ図柄の縁に存在するため、高秤量部が影のように視認され、立体感のある図柄のように認識させることができる。したがって、インジケータ図柄のデザイン性を向上させることもできる。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品は、前胴回り域と、股下域と、後胴回り域と、を有し、前記第1方向は、前記前胴回り域と前記後胴回り域とを結ぶ前後方向であり、前記高秤量部は、前記インジケータ図柄の後側の縁に設けられている。
【0016】
乳幼児のように仰向けで寝ていることが多いユーザでは、股下域に付着した尿は、股下域から背側へ流やすい。よって、尿が背側に拡散していることに気が付かないと、背側から尿が漏れしまうことがある。高秤量部がインジケータ図柄の後側の縁に設けられていると、股下域から背側方向への尿量の変化に伴って、インジケータ図柄の変色の境界が生じやすくなる。すなわち、尿が拡散しやすい後胴回り域では、尿量を見分けるために利用できる高秤量部がより背側に設けられているため、ユーザ又は補助者は、より背側に近い位置で尿量の判断を正確に確認することができる。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記前胴回り域に設けられた前記インジケータ図柄の前記高秤量部は、前記股下域側の縁と、前記股下域とは反対側の縁とのいずれか一方に設けられており、前記後胴回り域に設けられた前記インジケータ図柄の前記高秤量部は、前記股下域側の縁と、前記股下域とは反対側の縁との他方に設けられている。
【0018】
仰向けで寝ている場合には、股下域に付着した尿は、股下域から背側へ流やすい。したがって、排尿量が多い場合でも、尿は腹側には拡散しにくい。すなわち、尿が拡散しにくい前胴回り域では、尿量を見分けるために利用できる高秤量部がより股下側に設けられているため、ユーザ又は補助者は、より尿量の判断が必要になる股下側で尿量をより正確に確認することができる。
【0019】
一方、うつ伏せで寝ている場合には、股下域に付着した尿は、股下域から腹側へ流やすい。したがって、排尿量が多い場合でも、尿は背側には拡散しにくい。すなわち、尿が拡散しにくい後胴回り域では、尿量を見分けるために利用できる高秤量部がより股下側に設けられているため、ユーザ又は補助者は、より尿量の判断が必要になる股下側で尿量をより正確に確認することができる。
【0020】
好ましい一態様によれば、前記前胴回り域に設けられた前記インジケータ図柄では、前記高秤量部は、前記股下域側の縁に設けられており、前記後胴回り域に設けられた前記インジケータ図柄では、前記高秤量部は、前記股下域とは反対側の縁に設けられている。
【0021】
乳幼児のように仰向けで寝ていることが多いユーザでは、股下域に付着した尿は、股下域から背側へ流やすい。したがって、排尿量が多い場合でも、尿は腹側には拡散しにくい。すなわち、尿が拡散しにくい前胴回り域では、尿量を見分けるために利用できる高秤量部がより股下側に設けられているため、ユーザ又は補助者は、より尿量の判断が必要になる股下側で尿量をより正確に確認することができる。
【0022】
好ましい一態様によれば、前記インジケータ図柄は、複数設けられており、前記インジケータ図柄の前記高秤量部は、ぞれぞれの前記インジケータ図柄の同じ側の縁に設けられている。
【0023】
これにより、複数のインジケータ図柄に陰影が生じ得る箇所が同じになるため、ユーザ及び補助者は、インジケータ図柄のどこの位置に陰影が生じ得るのかをより把握しやすくなる。そのため、ユーザ及び補助者は、変色した図柄を見ることによって多少の尿を含む領域であるかどうかをより判断しやすくなる。
【0024】
また、複数のインジケータ図柄が統一的な雰囲気を有する図柄となるため、吸収性物品全体としてのデザイン性が向上する。
【0025】
好ましい一態様によれば、前記インジケータ図柄は、前記インジケータを含む領域に囲まれた領域であって前記インジケータを含まない領域を含んでおり、前記高秤量部は、前記第1方向における前記インジケータを含まない領域の縁に設けられている。
【0026】
第1方向におけるインジケータを含まない領域の縁に高秤量部が存在することになるため、高秤量部が図柄の陰影のように視認され、より立体感のある図柄のように認識させることができる。したがって、インジケータ図柄のデザイン性をより向上させることができる。
【0027】
好ましい一態様によれば、前記高秤量部の前記第1方向における長さは一定である。
【0028】
これにより、高秤量部がより影のように視認され、より立体感のある図柄のように認識させることができる。したがって、インジケータ図柄のデザイン性をより向上させることができる。
【0029】
好ましい一態様によれば、前記インジケータ図柄は、複数並んでおり、互いに隣接する前記インジケータ図柄の種別又は向きが互いに異なっている。
【0030】
互いに隣接するインジケータ図柄の種別又は向きが異なっているため、ユーザ及び補助者は、インジケータ図柄のどの箇所まで尿が達しているか判別し易くなる。
【0031】
また、親のような補助者は、どの種別又は向きのインジケータ図柄まで尿が達しているかという情報を乳幼児のようなユーザに伝えることにより、母子間のコミュニケーションの1つのきっかけにもなり得る。
【0032】
好ましい一態様によれば、前記インジケータ図柄は、前記吸収性物品を構成するシートを接着する接着剤の機能を有する。
【0033】
これにより、インジケータ図柄は、尿を検出するインジケータとしての機能と、シート同士を貼り合わせる接着剤としての機能を兼ねることができる。
【0034】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、裏面シートと、前記裏面シートよりも肌面側に位置し、液体を吸収する吸収コアと、前記吸収コアを包むコアラップと、を含み、前記インジケータ図柄は、前記裏面シートと前記コアラップとを接合している。
【0035】
インジケータ図柄は、裏面シートとコアラップとを接合する位置に設けられている。したがって、吸収コアに吸収された尿は、コアラップを介してインジケータ図柄に接しやすい。そのため、一端吸収コアに液体が吸収されると、インジケータ図柄が反応しやすい。
【0036】
好ましい一態様によれば、前記コアラップは、少なくとも2重に重なった重複部分で接合されており、前記インジケータ図柄は、前記コアラップの、前記重複部分とは異なる部分に接合されている。
【0037】
コアラップが2重に重なった重複部分は、例えば接着剤で接合されているため、重複部分とは異なる部分と比較すると、比較的尿を通しにくい。本態様では、インジケータ図柄は、重複部分とは異なる部分、すなわち尿を通しやすい領域に設けられている。これにより、一端吸収コアに液体が吸収されると、インジケータ図柄がより反応しやすくなる。
【0038】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、液体を吸収する吸収コアと、前記吸収コアよりも非肌面側の裏面シートと、前記裏面シートよりも非肌面側の外装シートと、を含み、前記インジケータ図柄は、前記裏面シートに形成されており、前記外装シートは、少なくとも前記インジケータ図柄と厚み方向に重なる領域において孔を有する。
【0039】
ユーザ及び補助者は、非肌面側から外装シートを介して裏面シートに設けられたインジケータ図柄を視認する。ここで、外装シートは、少なくともインジケータ図柄と厚み方向に重なる領域において孔を有するため、ユーザ及び補助者は、インジケータ図柄をより視認し易くなる。
【0040】
(2)実施形態
次に、図面を参照して、一実施形態に係る吸収性物品について説明する。本実施形態において、吸収性物品は、テープタイプの使い捨ておむつである。この代わりに、吸収性物品は、パンツタイプの使い捨ておむつであってもよい。なお、使い捨ておむつは、乳幼児用のおむつであってもよく、大人用のおむつであってもよい。
【0041】
以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0042】
図1は、一実施形態に係る吸収性物品の平面図である。より具体的には、
図1は、皺が実質的になくなるまで引っ張られた吸収性物品を非肌面側から見た状態を示している。
図2は、
図1の2A−2A線に沿った吸収性物品の断面図である。ここで、非肌面又は非肌面側は、吸収性物品の着用状態において、着用者の肌とは反対側に向く面又は側を意味する。一方、肌面又は肌面側は、吸収性物品の着用状態において、着用者の肌の方に向く面又は側を意味する。
【0043】
吸収性物品10は、前後方向Lと、幅方向Wと、厚み方向と、を有する。前後方向Lは、着用状態において、吸収性物品10の腹側と背側とを結ぶ方向である。幅方向Wは、吸収性物品10の平面視で前後方向Lに直交する方向である。厚み方向は、前後方向Lと幅方向Wの両方に直交する方向である。
【0044】
吸収性物品10は、前胴回り域S1と、股下域S2と、後胴回り域S3と、を有する。前胴回り域S1は、吸収性物品の使用時に、着用者の前胴回りに面する領域である。後胴回り域S3は、吸収性物品の使用時に、着用者の後胴回りに面する領域である。股下域S2は、吸収性物品の使用時に、着用者の股下に位置する領域であり、前胴回り域S1と後胴回り域S3との間に位置する。
【0045】
吸収性物品10は、表面シート50と、裏面シート62と、吸収体40と、を有していてよい。表面シート50は、吸収体40よりも肌面側に位置する。表面シート50は、吸収体40の肌面側を覆っている。表面シート50は、透液性のシートによって構成されていてよい。
【0046】
吸収性物品10は、幅方向Wにおける吸収性物品10の中心を挟んで両側にサイドシート52を有していてもよい。サイドシート52は、表面シート50よりも肌面側に位置していてよい。本実施形態において、サイドシート52は、吸収性物品10の幅方向Wにおける外側付近から、吸収体40の幅方向Wにおける外側付近にわたって設けられている。より具体的には、サイドシート52の一部は、厚み方向において、吸収体40の幅方向Wの外側部と重なっていてよい。
【0047】
サイドシート52の幅方向Wの内側近傍に、前後方向に伸縮可能な弾性部材30が設けられていてもよい。より具体的には、弾性部材30は、伸張された状態でサイドシート52に接合されている。これにより、サイドシート52は、自然状態において、前後方向Lに収縮される。前後方向Lにおけるサイドシート52の収縮によって、サイドシート52の幅方向の内側の部分が肌側に向かって起立するカフ(ギャザー)が形成されている。
【0048】
裏面シート62は、吸収体40よりも非肌面側に位置する。裏面シート62は、非透液性のシートによって構成されていてよい。裏面シート62は、吸収体40から非肌側への液体の漏れを抑止する。
【0049】
吸収性物品10は、裏面シート62よりも非肌側に、外装シート60を有していてもよい。外装シート60は、通気性の向上のため、孔(開口)61を有するシートによって構成されていてもよい。孔61は、外装シート60に複数形成されていてよい。
【0050】
吸収体40は、吸収コア40aと、コアラップ40bと、を有していてよい。吸収コア40aは、例えば尿のような液体を吸収可能な材料によって構成されている。吸収コア40aは、例えば、パルプ、高吸収性高分子(SAP)、又はこれらの組み合わせによって構成されていてよい。
【0051】
コアラップ40bは、吸収コア40aを包んでいてよい。コアラップ40bは、例えばティッシュのようなシートによって構成されていてよい。
【0052】
本実施形態では、コアラップ40bは、展開した状態でコアラップ40bの両端に位置する一対の端部が吸収コア40aの肌面側で互いに重なるように、折り返されている(
図2の領域O参照)。コアラップ40bは、少なくとも2重に重なった重複部分Oで接合されていてよい。
【0053】
吸収性物品10は、尿により変色するインジケータを含むインジケータ図柄80と、非肌面側から視認可能であり、インジケータ図柄80とは異なる裏面図柄70と、を含む。
【0054】
裏面図柄70は、複数設けられていてよい。裏面図柄70は、非肌面側から視認可能であれば、吸収性物品10を構成するどのシートに設けられていてもよい。例えば、裏面図柄70は、裏面シート62に設けられていてよい。裏面図柄70は、例えば着色されていてもよい。なお、裏面図柄70は、後述するように尿と反応するインジケータによって構成されていないことに留意されたい。
【0055】
インジケータ図柄80は、少なくとも股下域S2に設けられている。インジケータ図柄80を構成するインジケータは、尿によって変色することにより、吸収性物品10の濡れを示すことができる。インジケータ図柄80は、裏面シート62に設けられていてよい。好ましくは、インジケータ図柄80は、裏面シート62の吸収体40側に向けられる面に設けられていてよい。
【0056】
インジケータ図柄80は、高秤量部81と、低秤量部82と、を含んでいる。高秤量部81は、低秤量部82よりもインジケータを構成する材料の秤量が高い部分である。高秤量部81は、一方向、例えば前後方向Lにおけるインジケータ図柄80の縁に設けられている。好ましくは、高秤量部81は、第1方向におけるインジケータ図柄80の縁のみに設けられる。
【0057】
インジケータ図柄80は、尿に反応して変色する。インジケータ図柄80を構成するインジケータ材料の秤量が高い高秤量部81は、尿の濃度に応じて異なる色に変化する。例えば、尿の濃度が高い場合、高秤量部81は、低秤量部82の色と同様の色に変化する。また、尿の濃度が低い場合、高秤量部81は、低秤量部82の色と異なる色に変化する。これは、尿の濃度が低い場合には、高秤量部81の一部が尿と反応しないからである。
【0058】
尿の濃度が多い場合、高秤量部81と低秤量部82はほぼ同じ色に変化するため、インジケータ図柄80は、元の色とは異なる実質的に単色の図柄に変化する。また、尿の濃度が低い場合、高秤量部81と低秤量部82とが互いに異なる色に変化するため、インジケータ図柄80は、互いに異なる色を含む図柄に変化する。言い換えると、インジケータ図柄80は、尿の濃度が低い場合、陰影を有するように変化し得る。これにより、尿の濃度が低い領域のインジケータ図柄80は、尿の濃度が高い領域のインジケータ図柄80とは一見して異なる図柄と認識されやすくなる。ここで、尿の濃度は、通常、尿が最初に付着した箇所で最も高く、尿の拡散にともない低くなる。すなわち、尿の濃度が高い箇所ほど尿量が多く、尿の濃度が低い箇所ほど尿量が少なくなり易い。したがって、ユーザ又は補助者は、多くの尿を含む領域と、多少の尿を含む領域と、尿を含まない領域とを見分けやすくなる。
【0059】
また、尿を含まない状態であっても、インジケータ図柄80の高秤量部81と低秤量部82とで陰影が付けられているように見えるため、インジケータ図柄80のデザイン性を向上させることもできる。
【0060】
高秤量部81がインジケータ図柄80の縁のみに設けられている場合、インジケータ図柄80に陰影が生じ得る箇所が一方向の縁に特定される。したがって、ユーザ及び補助者は、インジケータ図柄80のどこの位置に陰影が生じ得るのかを把握しやすいため、ユーザ及び補助者は、変色した図柄を見ることによって多少の尿、すなわち濃度の低い尿を含む領域であるかどうかを判断しやすくなる。また、高秤量部81がインジケータ図柄80の縁に存在するため、高秤量部81が影のように視認され、立体感のある図形のように認識させることができる。したがって、インジケータ図柄80のデザイン性を向上させることもできる。
【0061】
インジケータ図柄80は、一方向に間隔をあけて複数並んでいてよい。本実施形態では、インジケータ図柄80は、前後方向Lに沿って並んでいる。互いに隣接するインジケータ図柄80どうしの間の距離L5は、インジケータ図柄80同士が並ぶ方向におけるインジケータ図柄80の長さL4よりも短いことが好ましい。インジケータ図柄80が比較的短い間隔で一方向に並ぶため、吸収性物品10のどの領域まで尿が達しているかを判別し易くなる。インジケータ図柄80は、股下域S2から、前胴回り域S1と後胴回り域S2の少なくとも一方に達していることが好ましい。より好ましくは、インジケータ図柄80は、股下域S2から、前胴回り域S1と後胴回り域S2の両方に達している。
【0062】
前胴回り域S1に設けられたインジケータ図柄80の高秤量部81は、股下域側の縁と、股下域とは反対側の縁とのいずれか一方に設けられており、後胴回り域S3に設けられたインジケータ図柄80の高秤量部81は、股下域側の縁と、股下域とは反対側の縁との他方に設けられている。
図1に示す例では、前胴回り域S1に設けられたインジケータ図柄80の高秤量部81が、股下域側の縁に設けられており、後胴回り域S3に設けられたインジケータ図柄80の高秤量部81が、股下域とは反対側の縁に設けられている。
【0063】
仰向けで寝ている場合には、股下域S2に付着した尿は、股下域S2から背側へ流やすい。したがって、排尿量が多い場合でも、尿は腹側には拡散しにくい。すなわち、尿が拡散しにくい前胴回り域S1では、尿量を見分けるために利用できる高秤量部81がより股下側に設けられているため、ユーザ又は補助者は、より尿量の判断が必要になる股下側で尿量をより正確に確認することができる。
【0064】
一方、うつ伏せで寝ている場合には、股下域S2に付着した尿は、股下域S2から腹側へ流やすい。したがって、排尿量が多い場合でも、尿は背側には拡散しにくい。すなわち、尿が拡散しにくい後胴回り域S3では、尿量を見分けるために利用できる高秤量部81がより股下側に設けられているため、ユーザ又は補助者は、より尿量の判断が必要になる股下側で尿量をより正確に確認することができる。
【0065】
乳幼児のように仰向けで寝ていることが多いユーザでは、
図1に示す例のように、前胴回り域S1に設けられたインジケータ図柄80の高秤量部81が、股下域側の縁に設けられており、後胴回り域S3に設けられたインジケータ図柄80の高秤量部81が、股下域とは反対側の縁に設けられることがより好ましい。
【0066】
複数のインジケータ図柄80において、インジケータ図柄80の高秤量部81は、ぞれぞれのインジケータ図柄80の同じ側の縁に設けられていることが好ましい。複数のインジケータ図柄80の陰影が同じ側に生じているように見えるため、複数のインジケータ図柄80が統一的な雰囲気を有する図柄となる。したがって、吸収性物品全体としてのデザイン性が向上する。
【0067】
また、高秤量部81がインジケータ図柄80の同じ側に位置するため、
図1に示すように高秤量部81が例えば前後方向Lにメモリのように並ぶ。したがって、ユーザ及び補助者は、吸収性物品10のどこの位置まで尿のような液体が広がっているかをより容易に把握しやすくなる。
【0068】
高秤量部81は、インジケータ図柄80の後側の縁に設けられていることが好ましい。乳幼児のように仰向けで寝ていることが多いユーザでは、股下域S2に付着した尿は、股下域S2から背側へ流やすい。よって、尿が背側に拡散していることに気が付かないと、背側から尿が漏れしまうことがある。高秤量部81がインジケータ図柄80の後側の縁に設けられていると、股下域S2から背側方向への尿量の変化に伴って、インジケータ図柄80の変色の境界が生じやすくなる。すなわち、尿が拡散しやすい後胴回り域S3では、尿量を見分けるために利用できる高秤量部81がより背側に設けられているため、ユーザ又は補助者は、より背側に近い位置で尿量の判断を正確に確認することができる。
【0069】
高秤量部81の一方向における長さ、例えば前後方向Lにおける長さは一定であることが好ましい。これにより、高秤量部81がより影のように視認され、より立体感のある図柄のように認識させることができる。したがって、インジケータ図柄80のデザイン性をより向上させることができる。
【0070】
好ましくは、インジケータ図柄80は、第1方向、例えば前後方向Lに複数並んでおり、互いに隣接するインジケータ図柄80の種別又は向きが互いに異なっている。
図1に示す例では、互いに隣接するインジケータ図柄80の種類は、花と蜂を模したものである。この代わりに、互いに隣接するインジケータ図柄80は同じものであり、その向きのみが異なっていてもよい。このように、互いに隣接するインジケータ図柄80の種別又は向きが異なっていると、ユーザ及び補助者は、インジケータ図柄80のどの箇所まで尿が達しているか判別し易くなる。また、親のような補助者は、どの種別又は向きのインジケータ図柄80まで尿が達しているかという情報を乳幼児のようなユーザに伝えることにより、母子間のコミュニケーションの1つのきっかけにもなり得る。
【0071】
インジケータ図柄80は、インジケータを含む領域82,83に囲まれた領域であってインジケータを含まない領域84を含んでいてよい。この場合、高秤量部81は、一方向、例えば前後方向Lにおいてインジケータを含まない領域84の縁に設けられていることが好ましい。この場合、一方向、例えば前後方向Lにおけるインジケータを含まない領域84の縁に高秤量部81が存在することになるため、高秤量部81がインジケータ図柄80の陰影のように視認され、より立体感のある図柄のように認識させることができる。したがって、インジケータ図柄80のデザイン性をより向上させることができる。
【0072】
インジケータ図柄80と裏面図柄70は、関連性を有する図柄によって形成されていることが好ましい。例えば、
図1に示す例では、インジケータ図柄80は、花と蜂の図柄によって構成されており、裏面図柄70は花と蜂みつの図柄によって構成されている。これにより、全体として一体感のあるデザインが得られる。
【0073】
このように、インジケータ図柄80と裏面図柄70が互いに関連性を有する図柄によって形成されていることによって、吸収性物品10のデザイン性を向上させることができる。これにより、ユーザ及び/又は使用者に対する購買意欲を向上させることができる。
【0074】
インジケータ図柄80は、吸収性物品10を構成するシートを接着する接着剤の機能を有することが好ましい。これにより、インジケータ図柄80は、尿を検出するインジケータとしての機能と、シート同士を貼り合わせる接着剤としての機能を兼ねることができる。
【0075】
好ましくは、インジケータ図柄80は、裏面シート62とコアラップ40bとを接合している。この場合、吸収コア40aに吸収された尿は、コアラップ40bを介してインジケータ図柄80に達しやすい。そのため、一端吸収コア40aに液体が吸収されると、インジケータ図柄80が反応しやすい。
【0076】
より好ましくは、インジケータ図柄80は、コアラップ40bの重複部分Oと異なる部分に接合されている。コアラップ40bが2重に重なった重複部分Oは、例えば接着剤で接合されているため、重複部分Oとは異なる部分と比較すると、比較的尿を通しにくい。インジケータ図柄80が、重複部分Oとは異なる部分、すなわち尿を通しやすい領域に設けられることにより、吸収コア40aに吸収された液体はインジケータ図柄80に接し易くなる。したがって、インジケータ図柄80がより反応しやすくなる。
【0077】
前述した外装シート60に形成された孔61は、少なくともインジケータ図柄80と厚み方向に重なる領域に設けられていることが好ましい。ユーザ及び補助者は、非肌面側から外装シート60を介して裏面シート62に設けられたインジケータ図柄80を視認する。外装シート60が、少なくともインジケータ図柄80と厚み方向に重なる領域において孔61を有する場合、ユーザ及び補助者は、インジケータ図柄80をより視認し易くなる。
【0078】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。