特許第6929947号(P6929947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6929947
(24)【登録日】2021年8月13日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】産生物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 21/00 20060101AFI20210823BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20210823BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20210823BHJP
【FI】
   C12P21/00 C
   C12P21/08
   C12N5/10
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-540952(P2019-540952)
(86)(22)【出願日】2018年9月3日
(86)【国際出願番号】JP2018032678
(87)【国際公開番号】WO2019049843
(87)【国際公開日】20190314
【審査請求日】2019年10月30日
(31)【優先権主張番号】特願2017-171331(P2017-171331)
(32)【優先日】2017年9月6日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-217395(P2017-217395)
(32)【優先日】2017年11月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中居 真一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直人
【審査官】 川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】 Biotechnol. Prog.,2013年,vol.29, no.3,pp.768-777
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P
C12N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養容器から抗体又は組み換えタンパク質を含む培地を連続的に抜き出す一方で、新鮮培地を連続的に前記培養容器に供給する灌流培養方式によってCHO細胞を培養することにより生産物として抗体又は組み換えタンパク質を生産する製造方法であって、
前記培養容器からポンプを用いて抜き出した細胞懸濁液を、CHO細胞が濃縮された細胞濃縮液と、前記細胞懸濁液よりも低い細胞濃度を有する液体とに分離する分離処理を行う工程と、
前記細胞濃縮液を前記培養容器に戻す工程と、
前記培養容器内に新鮮培地を供給する工程と、
を含み、
培養期間中に前記培養容器内におけるCHO細胞の濃度を3×10cells/ml以上3×10cells/ml以下とし、
前記培養容器内における細胞単体の平均径をAとした場合、前記培養容器内において、細胞単体の径が1.4×A以上のCHO細胞の個数割合を5%以下とし、
前記培養容器内において、細胞単体の径がA±A/7の範囲にあるCHO細胞の個数割合を50%以上とする
ここで、前記ポンプは、細胞懸濁液中に浮遊させた回転羽根を磁力によって回転させる磁気浮上型のポンプであり、前記ポンプが発生させる液流による外力をCHO細胞に与えることにより、細胞単体の径が1.4×A以上のCHO細胞を選択的に削減する、
製造方法。
【請求項2】
前記培養容器内における細胞単体の径の標準偏差σをA/4以下とする
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記回転羽根の径をDメートル、前記回転羽根の先端と前記回転羽根の周囲を囲う内壁との距離をLメートル、前記回転羽根の1秒間あたりの回転数をR、円周率をπ、細胞懸濁液の粘度をXパスカル秒、前記ポンプの送液圧力をPパスカル、Y=X×D×π×R/Lとした場合、
2000≦10000Y+P≦80000
3≦log10(P/Y)≦5.6
を満たす請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記回転羽根の径をDメートル、前記回転羽根の先端と前記回転羽根の周囲を囲う内壁との距離をLメートル、前記回転羽根の1秒間あたりの回転数をR、円周率をπ、細胞懸濁液の粘度をXパスカル秒、Y=X×D×π×R/Lとした場合、
0.1≦Y≦3
を満たす請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ポンプの送液圧力をPパスカルとした場合、
500≦P≦80000
を満たす請求項から請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記分離処理が中空糸膜による膜分離処理である
請求項から請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記中空糸膜が、精密濾過膜である
請求項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記膜分離処理がタンジェンシャルフローフィルトレーション方式である
請求項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記中空糸膜を透過した液を回収する回収工程を含む
請求項から請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記回収工程において回収された液を精製する工程を含む
請求項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、細胞から産生される産生物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞から産生される抗体を含むバイオ医薬品等の製造において、抗体の生産性を向上するため、培養容器から抗体を含む培地を連続的に抜き出す一方、新鮮な培地を連続的に培養容器に供給する灌流培養が知られている。
【0003】
灌流培養に関する技術として、例えば、特表2014−507959号公報には、平均細胞直径が増大したことに関連して、不十分な細胞増殖が観察されることが記載されている。
【0004】
また、Characterization and comparison of ATF and TFF in stirred bioreactors for continuous mammalian cell culture processes (Biochemical Engineering Journal 110(2016)17-26)には、磁気浮上型ポンプを使用した培養において、ATF(Alternating Tangential Flow Filtration)ダイアフラム式往復ポンプと同等の培養結果が得られることが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
灌流培養によれば細胞の高濃度培養が可能となり、細胞から産生される抗体等の産生物の生産性が向上する。しかしながら、培養容器内における細胞の濃度が高まると、細胞のバイアビリティが低下したり、細胞から産生される産生物の品質が低下したりするといった問題がある。
【0006】
本発明の一つの実施形態は、細胞の高濃度培養による産生物の生産性を維持しつつ、産生物の品質を高める。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術に係る産生物の製造方法は、培養容器に収容された細胞によって産生される産生物の製造方法であって、培養容器内における細胞の濃度を3×10cells/ml以上3×10cells/ml以下とし、培養容器内における細胞単体の平均径をAとした場合、前記培養容器内において、細胞単体の径が1.4×A以上の細胞の個数割合を5%以下とし、培養容器内において、細胞単体の径がA±A/7の範囲にある細胞の個数割合を50%以上とすることを含む。
【0008】
培養容器に収容された細胞に外力を与えることにより、細胞単体の径が1.4×A以上の細胞を選択的に削減してもよい。培養容器内における細胞単体の径の標準偏差をA/4以下とすることが好ましい。
【0009】
開示の技術に係る産生物の製造方法は、培養容器からポンプを用いて抜き出した細胞懸濁液を、細胞が濃縮された細胞濃縮液と前記細胞懸濁液よりも低い細胞濃度を有する液体とに分離する分離処理を行う工程と、前記細胞濃縮液を培養容器に戻す工程と、培養容器内に新鮮培地を供給する工程と、を含み得る。上記のポンプが、細胞懸濁液中に浮遊させた回転羽根を磁力によって回転させる磁気浮上型のポンプであってもよく、ポンプが発生させる液流による外力を細胞に与えることにより、細胞単体の径が1.4×A以上の細胞を選択的に削減してもよい。
【0010】
ポンプの回転羽根の径をDメートル、回転羽根の先端と回転羽根の周囲を囲う内壁との距離をLメートル、回転羽根の1秒間あたりの回転数をR、円周率をπ、細胞懸濁液の粘度をXパスカル秒、前記ポンプの送液圧力をPパスカル、Y=X×D×π×R/Lとした場合、2000≦10000Y+P≦80000且つ3≦log10(P/Y)≦5.6を満たすことが好ましい。Yは、ポンプの回転羽根の回転によって細胞懸濁液に作用するせん断応力に相当する。また、0.1≦Y≦3を満たすことが好ましく、500≦P≦80000を満たすことが好ましい。
【0011】
分離処理は公知の方法により、細胞と産生物を分離することができる。例えば分離処理は、中空糸膜による膜分離処理であってもよく、中空糸膜が、精密濾過膜であってもよい。膜分離方処理は、タンジェンシャルフローフィルトレーション方式であってもよい。
【0012】
開示の技術に係る産生物の製造方法は、中空糸膜を透過した液を回収する回収工程を含み得る。更に、回収工程において回収された液を精製する工程を含み得る。培養容器に収容される細胞がCHO細胞であってもよく、細胞から産生される産生物が抗体であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一つの実施形態によれば、細胞の高濃度培養による産生物の生産性を維持しつつ、産生物の品質を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】開示の技術の実施形態に係る抗体の製造方法の実施に適用可能な磁気浮上型のポンプの構成の一例を示す図である。
図2】開示の技術の実施形態に係る抗体の製造方法の実施に適用可能な細胞培養装置の構成の一例を示す図である。
図3】開示の技術の実施形態に係る抗体の製造方法を実施した結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
開示の技術の実施形態に係る細胞によって産生される産生物の製造方法において、産生物を産生する細胞として用いられる細胞は、特に限定されないが、動物細胞、植物細胞、酵母などの真核細胞、枯草菌などの原核細胞及び大腸菌などが挙げられる。CHO細胞、BHK−21細胞及びSP2/0−Ag14細胞などの動物細胞が好ましく、CHO細胞がより好ましい。また本開示における細胞によって産生される産生物は、上記の細胞が培養液中に生産する物質であれば、特に限定されず、例えば、アルコール、酵素、抗生物質、組換えタンパク質、抗体などの物質が挙げられる。中でも産生物として、好ましくは、組み換えタンパク質、抗体であり、より好ましくは抗体である。
【0016】
動物細胞に産生させる抗体としては、特に限定されないが、例えば、抗IL-6レセプター抗体、抗IL-6抗体、抗グリピカン-3抗体、抗CD3抗体、抗CD20抗体、抗GPIIb/IIIa抗体、抗TNF抗体、抗CD25抗体、抗EGFR抗体、抗Her2/neu抗体、抗RSV抗体、抗CD33抗体、抗CD52抗体、抗IgE抗体、抗CD11a抗体、抗VEGF抗体及び抗VLA4抗体などが挙げられる。抗体としては、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ及びサル等の動物由来のモノクローナル抗体だけでなく、キメラ抗体、ヒト化抗体及びbispecific抗体など人為的に改変した抗体も含む。
【0017】
得られた抗体又はその断片は、略均一にまで精製することができる。抗体又はその断片の分離及び精製は通常のポリペプチドで使用されている分離及び精製方法を使用すればよい。例えば、アフィニティークロマトグラフィー等のクロマトグラフィーカラム、フィルタ、限外濾過、塩析、透析、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動及び等電点電気泳動等
を適宜選択、組み合わせれば、抗体を分離及び精製することができるが、これらに限定されるものではない。得られた抗体の濃度測定は吸光度の測定又は酵素結合免疫吸着検定法(Enzyme-linked immunosorbent assay;ELISA)等により行うことができる。
【0018】
開示の技術の実施形態に係る抗体の製造方法において、細胞は、培地と共に培養容器に収容され、灌流培養方式によって培養される。すなわち、本実施形態に係る抗体の製造方法は、培養容器からポンプを用いて連続的に抜き出した細胞懸濁液を、細胞が濃縮された細胞濃縮液と、前記細胞懸濁液よりも低い細胞濃度を有する液体とに分離する分離処理を行う工程と、分離処理によって得られた細胞濃縮液を培養容器に戻す工程と、培養容器内に新鮮培地を供給する工程と、分離処理において分離された、前記細胞懸濁液よりも低い細胞濃度を有する液体を回収する工程と、回収された該液体に含まれる抗体を精製する工程と、を含む。
【0019】
本発明者らは、上記の各工程を含む灌流培養において、培養容器内の細胞の濃度を所定範囲に維持すると共に、培養容器内の過剰に成長した細胞(以下、過剰成長細胞という)の個数割合を所定値以下にすることで、培養細胞において高い生存率を維持して高濃度培養による抗体の生産性を維持しつつ、抗体の品質を向上できることを見出した。
【0020】
過剰成長細胞は、老化した細胞であり、正常細胞と比較して、抗体を産生する能力が低く、また、低品質の抗体を産生しやすい。従って、過剰成長細胞を選択的に除去して過剰成長細胞の個数割合を所定値以下にすることで、灌流培養による高い抗体生産能力を維持しつつ、抗体の品質を高めることができる。
【0021】
また、培養容器に収容される細胞の濃度が高くなる程、細胞分裂が阻害され、過剰成長細胞が発生しやすくなり、また、細胞のバイアビリティの低下を招く。一方、培養容器に収容される細胞の濃度を低くすると、抗体の生産性が低下する。従って、培養容器に収容される細胞の濃度は、培養期間中、過剰成長細胞の増加及び細胞のバイアビリティの低下を抑制しつつ抗体の生産性を確保できる範囲にコントロールすることが好ましい。
【0022】
具体的には、培養期間中、培養容器内における細胞の濃度を、3×10cells/ml以上3×10cells/ml以下の範囲に維持することが好ましく、4×10
cells/ml以上2×10cells/ml以下がより好ましく、5×10cells/ml以上1.5×10cells/ml以下が更に好ましく、6×10cells/ml以上1.2×10cells/ml以下が最も好ましい。
【0023】
培養容器内における細胞の濃度を3×10cells/ml以上とすることで、抗体の生産性を確保することができる。また、細胞径の推移の観察が容易となる。一方、培養容器内における細胞の濃度を3×10cells/ml以下とすることで、細胞の濃度過多による細胞のバイアビリティの低下及び細胞から産生される抗体の品質低下を抑制することができる。培養容器内における細胞の濃度は、例えば、培養期間中における適切なタイミングで培養容器10内の細胞の一部を抜き取るセルブリード処理によって調整することが可能である。細胞の濃度については、公知の方法、例えば、オートアナライザーを用いて取得することもでき、光学顕微鏡を用いて取得することもできる。
【0024】
上記のように、過剰成長細胞を選択的に除去し、培養期間中、培養容器に含まれる過剰成長細胞の個数割合を所定値以下にすることが好ましい。本開示の技術では、培養容器に収容された細胞単体の径の平均値をAとした場合、細胞単体の径が1.4×A以上の細胞を過剰成長細胞とする。培養期間中、培養容器内における径が1.4×A以上である過剰成長細胞の個数割合を5%以下とすることが好ましく、4%以下がより好ましく、3%以下が更に好ましく、0.01%以上2.5%以下が最も好ましい。培養容器内における径が1.4×A以上である過剰成長細胞の個数割合が5%以下であることは、過剰成長細胞の除去が適切に行われていることを意味し、これにより抗体の生産能力を高めるとともに、抗体の品質を高めることができる。細胞単体の径や過剰成長細胞の個数割合については、例えば、オートアナライザーを用いて取得することもでき、光学顕微鏡を用いて取得した画像を処理することによって得ることもできる。
細胞単体の径の平均値Aは、例えば、以下の式で求められる。
細胞単体の径の平均値A=細胞の径の和÷細胞の数
また培養容器内における径が1.4×A以上である過剰成長細胞の個数割合は以下の式で求められる。
培養容器内における径が1.4×A以上である過剰成長細胞の個数割合%=(径が1.4×A以上である過剰成長細胞の個数)÷(細胞の全個数)×100
【0025】
また、培養期間中、培養容器内における細胞単体の径の標準偏差σをA/4以下とすることが好ましく、A/100以上A/5以下が更に好ましい。培養容器内における細胞単体の径の標準偏差σがA/4以下であることは、過剰成長細胞の排除が適切に行われていることを意味し、これにより、抗体の生産能力を高めるとともに、抗体の品質を高めることができる。
【0026】
また、培養期間中、培養容器内において、細胞単体の径がA±A/7の範囲にある細胞の個数割合を50%以上とすることが好ましく、55%以上がより好ましく、60%以上95%以下が更に好ましい。細胞単体の径がA±A/7の範囲にある細胞の個数割合が5
0%以上であることは、培養容器内において正常な細胞が多く含まれ且つ細胞の均質性が高いことを意味し、これにより、抗体の品質を安定化させることができる。
培養容器内における細胞単体の径がA±A/7の範囲にある細胞の個数割合は以下の式で求められる。
培養容器内における細胞単体の径がA±A/7の範囲にある細胞の個数割合%=(細胞単体の径がA±A/7の範囲にある細胞の個数)÷(細胞の全個数)×100
【0027】
また、培養期間中の少なくともいずれかの時点における培養容器内にける細胞の生存率は90%以上であることが好ましく、92%以上がより好ましく、95%以上が更に好ましく、97%以上が最も好ましい。細胞の生存率とは、ある時点における培養容器内の全細胞のうち、生存している細胞の個数割合である。細胞の生存率を90%以上とすることで、抗体の生産能力を高めることができる。
細胞の生存率は、公知の方法、例えば、オートアナライザーを用いて取得することもでき、光学顕微鏡を用いて取得することもできる。
【0028】
上記の分離工程において行われる分離処理は、中空糸膜を用いた膜分離処理であってもよい。この場合、中空糸膜として精密濾過膜(MF膜)を用いることができる。膜分離処理の方式は、タンジェンシャルフロー方式であってもよい。タンジェンシャルフロー方式は、膜分離処理の対象となる液体を濾過膜の膜面に沿って流しながら、サイズの小さい成分を透過側に送る方式である。また、膜分離以外の分離処理方式として、例えば音波凝集法を用いることも可能である。音波凝集法を用いた細胞懸濁液の分離処理では、細胞懸濁液に音波を照射して細胞を凝集及び沈殿させることで、細胞懸濁液が細胞と上澄み液とに分離する。
【0029】
過剰成長細胞は、正常な細胞よりも脆弱である。従って、細胞に適当な大きさの外力を与えることによって過剰成長細胞を選択的に破壊し、削減することができる。細胞に外力を与える手段として、細胞培養装置に設置されたポンプを用いることもできるし、超音波によって与えることもできる。細胞に外力を与えるためのポンプは、例えば、細胞懸濁液を培養容器から分離処理部に移送するためのポンプであってもよい。細胞に外力を与えるためのポンプは、例えば、磁気浮上型のポンプを好適に用いることができる。
またこれらの外力により、過剰成長した細胞に加え、細胞の凝集体をほぐし単一細胞にしたり、死細胞を破壊し、削減することもできる。これによっても細胞の増殖性やバイアビリティ、抗体品質の一定の改良効果も得られる。
【0030】
図1は、本実施形態に係る抗体の製造方法の実施に適用可能な磁気浮上型のポンプ200の構成の一例を示す図である。ポンプ200は、細胞懸濁液を吸入する吸入口211及び細胞懸濁液を排出する排出口212を有するケース210と、ケース210内に収容された回転羽根220と、回転羽根220の底部に設けられたロータ磁石221と、ロータ磁石221を回転させるステータ230と、ステータ230に巻回されたコイル240と、を含んで構成されている。コイル240に電流を流すことで、ステータ230に磁力が発生する。ケース210内において細胞懸濁液中に浮遊した回転羽根220は、ステータ230が発生させる磁力によって回転する。ステータ230が回転することで、細胞懸濁液は吸入口211から吸入され、排出口212から排出される。ポンプ200は、回転羽根220を回転駆動させるための回転軸を有していないため、洗浄処理及び滅菌処理を行う際の作業負担を軽減できる。
【0031】
ここで、回転羽根220の径をDメートル(図1参照)、回転羽根220の先端と回転羽根220の周囲を囲うケース210の内壁との距離をLメートル(図1参照)、回転羽根220の1秒間あたりの回転数をR、円周率をπ、細胞懸濁液の粘度をXパスカル秒とすると、回転羽根220の回転によって細胞懸濁液に作用するせん断応力Yは、下記の(1)式によって概算することができる。なお、回転数とは、回転羽根の装置において設定された回転数を意味する。粘度については、液体の粘度測定方法 JIS Z 8803の方法に基づいて測定することができる。
Y=X×D×π×R/L ・・・(1)
【0032】
ポンプ200の送液圧力をPパスカルとすると、本開示の技術では、せん断応力Yと送液圧力Pとを重み付け加算した値を、ポンプ200が発生させる液流によって細胞に加わる外力の指標値Fとして用いている。指標値Fは、下記の(2)式によって表わされる。F=10000Y+P ・・・(2)
【0033】
せん断応力Yに10000倍の重み付けを行っているのは、過剰成長細胞の選択的な除去において、せん断応力Yの影響が、送液圧力Pの影響よりも大きいからである。過剰成長細胞は、正常な細胞と比較して、外力の印加によって破壊されやすく、(2)式によって示される指標値Fをコントロールすることで、正常な細胞へのダメージを抑制しつつ過剰成長細胞を破壊することができる。
【0034】
過剰成長細胞の選択的な除去を行うためには、指標値Fについて、2000≦F≦80000を満たすことが好ましく、4000≦F≦60000がより好ましく、6000≦F≦40000が更に好ましく、7000≦F≦30000が最も好ましい。指標値Fを2000以上とすることで、過剰成長細胞を効率的に破壊することができる。指標値Fを80000以下とすることで、正常な細胞へのダメージを抑制することができる。
【0035】
また、指標値Fが上記の範囲内にある場合でも、せん断応力Yが過大である場合には、正常な細胞にダメージを与えるおそれがあり、また、ポンプの送液圧力Pを大きくするだけでは、過剰成長細胞の破壊が促進されないおそれがある。従って、指標値Fのみならず、せん断応力Yと送液圧力Pとの比率も併せてコントロールすることが好ましい。具体的には、3≦log10(P/Y)≦5.6を満たすことが好ましく、3.7≦log10(P/Y)≦5が更に好ましい。log10(P/Y)を3以上とすることで、正常な細胞へのダメージを抑制することができる。log10(P/Y)を5.6以下とすることで、過剰成長細胞を効率的に破壊することができる。
【0036】
また、過剰成長細胞の選択的な除去を行うためには、せん断応力Yについて、0.1≦Y≦3を満たすことが好ましく、0.2≦Y≦2.5がより好ましく、0.25≦Y≦2が更に好ましい。せん断応力Yを0.1以上とすることで、過剰成長細胞を効率的に破壊することができる。せん断応力Yを3以下とすることで、正常な細胞へのダメージを抑制することができる。
【0037】
また、過剰成長細胞の選択的な除去を行うためには、送液圧力Pについて、500≦P≦80000を満たすことが好ましく、1500≦P≦50000がより好ましく、3000≦P≦30000が更に好ましい。送液圧力Pを500以上とすることで、過剰成長細胞を効率的に破壊することができる。送液圧力Pを80000以下とすることで、正常な細胞へのダメージを抑制することができる。
【0038】
図2は、開示の技術の実施形態に係る抗体の製造方法の実施に適用可能な細胞培養装置100の構成の一例を示す図である。
【0039】
細胞培養装置100は、細胞を培地とともに収容する培養容器10と、培養容器10から抜き出された細胞懸濁液に対して膜分離処理を施すフィルタ膜24を有するフィルタ部20と、フィルタ膜24によって阻止された成分を培養容器10に戻す流路52と、フィルタ膜24を透過した成分が通過する流路53と、流路53に接続された回収タンク40とを有する。
【0040】
培養容器10の内部には、撹拌翼11を有する撹拌装置が設けられている。撹拌翼11を回転させることで、培養容器10の内部に収容された培地が撹拌され、培地の均質性が保たれる。
【0041】
流路51は、一端が培養容器10の底部に接続され、他端がフィルタ部20の流入口20aに接続されている。流路51の途中には、培養容器10に収容されている細胞懸濁液を抜き出して、フィルタ部20に送るポンプPU1が設けられている。ポンプPU1は、過剰成長細胞の選択的な除去を行うための、細胞への外力の印加手段として用いられる。すなわち、細胞懸濁液を培養容器10からフィルタ部20に移送する間に、ポンプPU1が発生させる液流による外力が細胞に加わることで、過剰成長細胞が選択的に破壊される。ポンプPU1として、図1に示す磁気浮上型のポンプ200を用いることができる。この場合、細胞懸濁液に作用するせん断応力Yは、回転羽根220の径D、回転羽根220の先端と回転羽根220の周囲を囲うケース210の内壁との距離L、及び回転羽根220の1秒間あたりの回転数Rによって調整することが可能である。送液圧力PはポンプPU1とフィルタ部20との間に設置された圧力計60によって測定することが可能である。ポンプPU1の送液圧力Pは、流路52上に設けられたピンチバルブVの開度によって調整することが可能である。
【0042】
フィルタ部20は、容器21と、容器21内の空間を供給側22と透過側23とに隔て、培養容器10から抜き出された細胞懸濁液に対して膜分離処理を施すフィルタ膜24と、を備える。また、フィルタ部20は、供給側22において、細胞懸濁液が流入する流入口20aと細胞懸濁液が流出する流出口20bとを有する。培養容器10から抜き出された細胞懸濁液は、流入口20aから容器21の内部に流入して流出口20bから容器21の外部に流出する間にフィルタ膜24上を通過する。フィルタ部20は、膜分離処理の対象となる液体をフィルタ膜24の膜面に沿って(膜面と平行な方向に)流しながら、サイズの小さい成分を透過側23に送るタンジェンシャルフロー方式による膜分離処理を行う。タンジェンシャルフロー方式による膜分離処理は、培養容器10から抜き出された細胞懸濁液がフィルタ膜24の膜面に沿って平行に一方向に循環する流れを形成するものであってもよいし、細胞懸濁液がフィルタ膜24の膜面に沿って往復する流れを形成するものであってもよい。循環する流れを形成する場合、例えばスペクトラムラボラトリーズ社のKrosFlo灌流培養フローパス装置(KML-100、KPS-200、KPS-600)やLevitronix製のPuraLevシリーズを好適に用いることができる。また往復する流れを形成する場合、REPLIGEN社のATFsystemを好適に用いることができる。
【0043】
細胞懸濁液に含まれる細胞は、フィルタ膜24を透過せず、流出口20bから容器21の外部に流出し、流路52を介して培養容器10の内部に戻される。一方、細胞懸濁液に含まれる抗体は、フィルタ膜24を透過して、透過側23に設けられた排出口20cから容器21の外部に排出される。透過側23には、ポンプPU2が設けられた流路53が接続されており、透過側23に透過した抗体を含む透過液は、流路53を介して回収タンク40に回収される。なお、ポンプPU2は、図1に示す磁気浮上型のポンプ200であってもよい。
【0044】
フィルタ膜24として、繊維状部材を網目状に織ることにより構成されるメッシュフィルタを用いることが可能である。メッシュフィルタを用いることで、中空糸膜を用いる場合と比較して、細胞の死骸及び細胞の破砕物を含む細胞培養に不要な成分の透過側への排出を促進させることができる。これにより、培養容器10内から細胞培養に不要な成分を効果的に除去することができ、培養容器10内における細胞の増殖性を高めることができる。
【0045】
また、フィルタ膜24として、中空糸膜を用いることができる。中空糸膜を用いることで、メッシュフィルタを用いる場合と比較して、細胞が透過側に透過するリスクを低減できる。また、フィルタ膜24に細胞が入り込むことによる目詰まりの発生のリスクを低減できる。これらにより、細胞のロスを低減できる。
【0046】
フィルタ膜24を透過し、回収タンク40に回収された透過液に含まれる抗体は、流路56を介して、抗体の精製を行う精製処理部(図示せず)に送られる。
【0047】
細胞培養装置100は、新鮮な培地を培養容器10に供給するための流路54と、流路54の途中に設けられたポンプPU3を有する。ポンプPU3は、図1に示す磁気浮上型のポンプ200であってもよい。
【0048】
培養容器10内の細胞の濃度が過度に高くなることを防止するために、培養期間中における適切なタイミングで培養容器10内の細胞の一部を抜き取るセルブリード処理が行われる。セルブリード処理において、培養容器10内の細胞は、流路55を介して培養容器10の外部に排出される。
【0049】
なお、図2に示す細胞培養装置100は、分離処理をフィルタ部20による膜分離処理によって行うものであるが、フィルタ部20を、音波凝集法による分離処理を行う処理部に置き換えることも可能である。
【0050】
[実施例]
図2に示す細胞培養装置100を用いて互いに異なる複数の条件下で灌流培養方式によって細胞培養を行うことで、抗体を製造する実験を行った。各条件の内容及び各条件に対応する細胞の生存率に関する評価結果、及び得られた抗体の品質に関する評価結果を図3に示す。なお、実施例13では、フィルタ部20による膜分離処理に代えて、音波凝集法による分離処理を行った。
【0051】
<実験方法>
培養容器10に新鮮な培地を10L注入し、37℃で1日間コンディショニングを行った。
培養容器10内の細胞濃度が1.0×10cell/mlとなるように細胞を播種した。実施例1〜15及び比較例1〜5においてCHO細胞を使用した。
ポンプPU1を所定の条件で駆動し、分離処理部(フィルタ部20または音波凝集による分離処理部)に細胞懸濁液を送り、分離処理によって得られた透過液または上澄み液を、15L/dayの割合で連続的に引き抜くとともに、培養容器10内の液量が10Lを維持するように、新鮮な培地を連続的に供給した。
培養容器10内の細胞の濃度が所定値に達するまで培養を継続し、その後、細胞の濃度が所定値を保つように培養容器10から細胞懸濁液を連続的に抜き出した。
培養容器10内の細胞の濃度が所定値に達してから10日目に培養容器10内の細胞懸濁液及び分離処理によって得られた透過液または上澄み液からサンプルを得て、細胞の生存率及び抗体品質に関する評価を行った。
【0052】
<各種条件>
培養容器10から細胞懸濁液を抜き出すためのポンプPU1として、磁気浮上型ポンプ(実施例1〜15、比較例1〜5)及びダイアフラム往復ATFポンプ(比較例1)を使用した。磁気浮上型ポンプは、Levitronix製のPuraLevi30SU、i100SU、600SU、2000SUを用いた。回転羽根の径D、及び回転羽根の先端と回転羽根の周囲を囲う内壁との距離Lが、図3に示す各値となるように、回転羽根を適宜加工した。ポンプ[1]は、i100SUである。ポンプ[2]は、i100SUの回転羽根を加工したものである。ポンプ[3]はi30SUの回転羽根を加工したものである。ポンプ[4]は、600SUの回転羽根を加工したものである。ポンプ[5]は、2000SUの回転羽根を加工したものである。ダイアフラム往復ATFポンプは、Repligen製のATF2を用いた。
磁気浮上型ポンプの回転羽根の1秒間あたりの回転数R、及び送液圧力Pが図3に示す各値となるように調整した。送液圧力Pは、ピンチバルブVの開度によって調整した。せん断応力Yは、(1)式を用いて算出した。
分離処理は、中空糸型MF膜による膜分離法(実施例1〜12、14、15、比較例1〜5)及び音波凝集法(実施例13)により行った。
中空糸型MF膜はSpectrum Laboratories社の0.2μm孔径の
PES(ポリエーテルスルフォン)フィルタS06−P20U−10−Sを用いた。音波凝集はAplikon Biotechnolgy社のBiosep Acoustic
Perfusion Systemを用いた。
【0053】
<測定>
培養容器10内の細胞の濃度が所定値に達してから10日目に培養容器10内の細胞懸濁液を抜き取り、BECKMAN COULTER社のCell Viability A
nalyzer Vi-CELL XRを用いて、細胞の濃度、細胞の生存率及び細胞の径
を測定した。なおVi−CELLのソフトはVi-CELL XR2.04を用い、測定時のパラメータは以下のように設定した。
Min diameter:6μm
Max diameter:50μm
Dilution:細胞濃度が100×10cells/ml以下ではサンプルは希釈せず、Dilutionは1で測定。細胞濃度が100×10cells/ml以上ではサンプルを10倍希釈した上でDilutionは10で測定。
Cell brightness:85%
Cell sharpness:100
Viable cell spоt brightness:75%
Viable cell spоt area:5%
Minimum circularity:0
Decluster degree:Medium
細胞単体の平均径AについてはVi−CELLの出力値を用いた。細胞単体の径の標準偏差σ、細胞単体の径が1.4×A以上の細胞の個数割合、細胞単体の径がA±A/7の範囲にある細胞の個数割合についてはVi−CELLから出力される細胞の径と、個数のデータから算出した。
細胞懸濁液の粘度については、細胞懸濁液を37℃に保った状態で、エー・アンド・デイ社の音叉振動式粘度計SV−10により測定した。
Spectrum Laboratories社のKrosFloデジタル圧力モニタ
(ACPM−201−01N)を、ポンプPU1の排出口の直後に設置し、ポンプPU1の送液圧力Pを測定した。
抗体品質として、サイズ排除クロマトグラフィーにより、抗体の分解・凝集状態を以下のような手順で評価した。
(1)分離処理によって得られた透過液または上澄み液7mlにAb Capcher Extra(プロテノバ株式会社)100μlを加え30min静置した。
(2)得られた液を遠心分離し、上清液は廃却し、沈殿したゲルを回収した。
(3)2mlのマイクロチューブにセットしたマイクロバイオスピンカラム6(バイオ・ラッド社)内に得られたゲルを入れ、溶出バッファー(0.1M Glycine−HC
l(pH2.8))400μlをカラムに加え遠心分離した。
(4)カラムを通過しチューブ内に溜まった液内に、中和バッファー(1.0M Tri
s−HCl、pH 9.0)を30μl添加し中和した。
(5)得られた中和液をアミコンウルトラ30kDa(メルク株式会社)を用い、リン酸緩衝生理食塩水80%と超純水20%の混合液にバッファー交換し、抗体濃度が5mg/Lになるよう調製した。
(6)上記調製液を東ソー社製のTSKgel G3000SWカラムを用いてサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって抗体のサイズ分布を測定し、メインピークの割合を算出した。メインピークの割合が大きい程、透過液または上澄み液に含まれる抗体が高品質であることを示す。
【0054】
<評価>
細胞の生存率に関する評価判定基準は以下のとおりである。
A:細胞の生存率が97%以上である。
B:細胞の生存率が95%以上であり、97%未満である。
C:細胞の生存率が92%以上であり、95%未満である。
D:細胞の生存率が90%以上であり、92%未満である。
E:細胞の生存率が90%未満である。
【0055】
サイズ排除クロマトグラフィーによって得られたメインピークの割合に関する評価判定基準は以下のとおりである。
A:メインピークの割合が99%以上である
B:メインピークの割合が97%以上であり、99%未満である。
C:メインピークの割合が95%以上であり、97%未満である。
D:メインピークの割合が95%未満である
【0056】
培養容器10内における細胞単体の平均径をAとした場合、比較例1〜5は、細胞単体の径がA±A/7の範囲にある細胞の個数割合が50%未満であり、細胞単体の径の標準偏差σがA/4よりも大である点が、実施例1〜実施例15と異なる。比較例3及び5において、細胞の生存率に関する評価が、どちらもE判定(90%未満)となった。比較例1〜5において、サイズ排除クロマトグラフィーによって得られたメインピークの割合に関する評価が、いずれもD判定(95%未満)となった。比較例1〜5では、過剰成長細胞の選択的な除去が不十分であり、これに起因して、抗体の品質が低下したものと考えられる。
【0057】
一方、実施例1〜15において、細胞の生存率に関する評価が、A判定、B判定、C判定及びD判定のいずれかとなり、サイズ排除クロマトグラフィーによって得られたメインピークの割合に関する評価が、A判定、B判定及びC判定のいずれかとなった。実施例1〜15では、過剰成長細胞の選択的な除去が適切に行われ、これによって細胞の生存率が高まり、また、抗体の品質が向上したものと考えられる。すなわち、実施例1〜15において、細胞の高濃度培養による産生物(抗体)の生産性を維持しつつ、産生物(抗体)の品質を高めることができた。特に、過剰成長細胞の選択的な除去を行うことによって、細胞単体の径が1.4×A以上の細胞(すなわち過剰成長細胞)の個数割合を2.5%以下とし、且つ細胞単体の径がA±A/7の範囲にある細胞の個数割合を60%以上とした実施例1〜実施例5及び実施例14〜実施例15では、細胞の生存率に関する評価及びメインピークの割合に関する評価がいずれもA判定となった。
【0058】
本出願は、2017年9月6日出願の日本出願である特願2017−171331及び2017年11月10日出願の日本出願である特願2017−217395の優先権を主張するものであり、この出願の全内容は参照により本明細書に取り込まれる。また本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
図1
図2
図3