(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、その0041段落の通り、水とエタノールとの混合蒸気を連続的にケーシング内に供給しており、被処理液をバッチ式に処理することは記載されていない。
【0008】
特許文献2のように、ゼオライト膜複合体を被処理液中に浸漬して被処理液を処理する場合、被処理液をバッチ式に処理することは可能である。しかしながら、例えば、被処理液が日本酒、ワイン等の醸造酒であって、使用されるゼオライト膜が疎水性であるような場合、処理を継続していると、被処理液中の各種の疎水性成分がゼオライト膜複合体に吸着してしまい、効率よく分離操作を続行することができない。
【0009】
本発明は、被処理液をバッチ式に効率よく処理することができる多管式分離膜モジュールと、この多管式分離膜モジュールを用いた液体処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の多管式分離膜モジュールは、上面に開放口を有した槽体と、該槽体内の上部に設置された管状分離膜と、該槽体内の下部に配置された気化ユニットと、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様の多管式分離膜モジュールは、前記槽体に設けられた分離膜ユニットを備えた多管式分離膜モジュールであって、該分離膜ユニットは、該開放口に着脱可能に装着された蓋板と、該蓋板に支持された前記管状分離膜と、前記蓋板に設けられた吸引口と、該吸引口と該管状分離膜内とを連通する連通手段とを有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の一態様では、前記蓋板の下面の一端側に支持ブロックが垂設され、前記蓋板の下面の他端側に支持プレートが垂設されており、前記管状分離膜の一端側が該支持ブロックに固定されている。前記連通手段として、該支持ブロックに通路が設けられている。また、該管状分離膜の他端側が封じられ、該支持プレートに支持されている。この場合、該支持プレートに設けられた開口に前記管状分離膜が挿入されて支持されていることが好ましい。
【0013】
本発明の一態様では、気化ユニットは、軸心方向を水平方向とした液膜生成ドラムを有する。この場合、液膜生成ドラムを支持する軸棒の端部に第1のマグネットが設けられ、該第1のマグネットは前記槽体の側壁内面に対面しており、該槽体の側壁の外面に、該第1のマグネットに対面して第2のマグネットが配置され、該第2のマグネットがモータにより回転可能とされていることが好ましい。
【0014】
本発明の液体処理方法は、かかる本発明の多管式分離膜モジュールを用いる。
【0015】
この液体処理方法は、前記槽体内に被処理液を前記管状分離膜が浸漬されない量だけ供給する工程と、被処理液を気化させる工程と、前記管状分離膜内を減圧して被処理液から発生した蒸気から目的成分蒸気のみを透過処理する工程と、前記槽体内の被処理液の液面レベルが所定レベルにまで低下した後、槽体内の液を排出する工程と、を有するバッチ式処理に適用するのに好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の多管式分離膜モジュールでは、槽体内の上部に管状分離膜が設置されており、槽体内の下部に収容された被処理液を気化させて管状分離膜で分離するので、管状分離膜は被処理液に浸漬されない状態となっており、例えば、被処理液が醸造酒など疎水性成分を含む場合であって、使用されるゼオライト膜が疎水性であるような場合であっても、疎水性成分が管状分離膜に吸着することがなく、被処理液の分離処理を安定して行うことができる。このため、本発明によると、被処理液のバッチ式処理を効率よく行うことができる。
【0017】
本発明の一態様では、槽体に対し分離膜ユニットが着脱可能となっているので、分離膜ユニットを槽体から取り外すことにより、分離膜ユニット及び槽体を入念に清掃することができる。
【0018】
本発明の一態様では、気化ユニットが液膜生成ドラムを備えているので、液膜生成ドラムを回転させることにより、槽体内の被処理液の気化を促進させることができる。
【0019】
この液膜生成ドラムをマグネットカップリング機構によって回転駆動するよう構成することにより、槽体に液膜生成ドラム用の軸封装置を設けることが不要となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
図1〜8は実施の形態に係る多管式分離膜モジュールを示すものである。
【0022】
図1,2の通り、この実施の形態に係る多管式分離膜モジュール1は、上面が開放した直方体形状の槽体2と、該槽体2に着脱可能に装着された分離膜ユニット3と、該槽体2内の下部に配置された気化ユニット4とを有する。
【0023】
槽体2は、この実施の形態では平面視が長方形の深型のものであり、一端側の下端近傍に排液バルブ2aが設けられている。槽体2は電解研磨したSUS製とされているが、これに限定されない。図示は省略するが、槽体2の側面には槽体2内を透視するためのガラス窓が設けられている。
【0024】
分離膜ユニット3は、槽体2の上面に被さる蓋板5と、該蓋板5の長手方向の両端側の上面に設けられたグリップ6と、蓋板5の長手方向の一端側から上方に突出するノズル7、窒素等のパージガスの導入・排出用の3個のノズル8a,8b、液導入用ノズル8c、熱電対等の温度センサ(図示略)挿入口9と、蓋板5の下面から下方に垂下するように設けられた支持プレート11及び支持ブロック10と、該支持プレート11と支持ブロック10との下部同士の間に架け渡されるように設けられた複数本(この実施の形態では4列×2段=8本)の管状分離膜20等を有する。蓋板5はパッキン(図示略)を介して槽体2に被せられ、バックル5bによって、槽体2に気密にかつ着脱可能に固定される。なお、
図2ではバックル5bの図示が省略されている。
【0025】
図示は省略するが、ノズル7に耐圧ホース及びコールドトラップを介して真空ポンプ等の減圧装置が接続される。ノズル8aにはバルブ(図示略)を介して窒素ボンベ等の窒素ガス源(図示略)が接続される。ノズル8bには、排気用の真空ポンプ(図示略)が接続される。挿入口9に挿入された温度センサと該挿入口9との間はシール部材(図示略)によって気密にシールされる。
【0026】
支持ブロック10は、蓋板5の長手方向の一端側に位置し、支持プレート11は、蓋板5の長手方向の他端側に位置している。
【0027】
支持ブロック10は、槽体2の短手幅方向に延在した厚板状である。
図5,6の通り、上面から前記ノズル7が上方に突設されている。ノズル7は、蓋板5の孔5aを下から上に通り抜け、ナット7aが締め込まれる。これにより、ノズル7及び支持ブロック10が蓋板5に固定される。
図5の通り、支持ブロック10には、ノズル7を貫通する縦孔10aと該縦孔10aの下端に連なる横孔10bと、該横孔10bに連なり、下方に延在する複数本(この実施の形態では4本)の縦孔10cと、各縦孔10cに連なり、槽体2の長手方向中央側に向って開放した横孔10dが穿設されている。
【0028】
この横孔10dは、上下方向の位置を異ならせて複数個(この実施の形態では各縦孔10cに2個)設けられている。横孔10dの内周面に雌螺子10eが刻設されている。この雌螺子10eに、管状分離膜20の基端側が螺着されている。
【0029】
この実施の形態では、支持ブロック10に横孔10bと縦孔10cとが設けられているが、
図9の支持ブロック10’のように一つの空間10kを設け、横孔10dを該空間10kに連通するように設けてもよい。
【0030】
図1に記載の態様では蓋板5と支持ブロック10が一体となっているが、一体となっていなくてもよく、蓋板と支持ブロックが別体とされ、それぞれ槽体から着脱できるものであってもよい。
【0031】
図6,7の通り、管状分離膜20は、管状の多孔質支持体21と、該多孔質支持体21の外周面に形成されたゼオライト膜22と、該多孔質支持体21の基端に同軸状に連設されたボスピース23と、多孔質支持体21の先端に同軸状に連設されたエンドピース24とを有する。
【0032】
ボスピース23は筒状であり、管状分離膜20内を横孔10dに連通させている。エンドピース24は、管状分離膜20の先端を封止している。ボスピース23及びエンドピース24は熱収縮フィルム25,26によってゼオライト膜付きの多孔質支持体21に連結されている。
【0033】
ボスピース23の長手方向の途中に、工具係合用の六角形のフランジ23aが設けられている。このフランジ23aよりも支持ブロック10側の外周面に、横孔10dの雌螺子10eに螺合する雄螺子23dが刻設されている。
【0034】
フランジ23aの支持ブロック10側の側面にはOリング27が設置されている。
【0035】
管状分離膜20のボスピース23を横孔10dに締め込むと、フランジ23aと支持ブロック10との間でOリング27が挟圧されることにより、槽体2内と横孔10d内とが封隔される。
【0036】
上記ボスピース23の雄螺子23dの態様としては、PT螺子であってもよく、その場合には対応する横孔10dの雌螺子もPT螺子とし、該雄螺子23dにシールテープを巻いて横孔10dに締め込む。この場合にはOリング27は使用しなくてよい。
【0037】
管状分離膜20のうちエンドピース24が支持プレート11の挿通孔11aに挿通され、支持されている。
【0038】
上記管状の多孔質支持体21の材質としては、シリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などを含むセラミックス焼結体の無機多孔質支持体が挙げられる。
【0039】
ゼオライト膜22は、好ましくは、多孔質支持体21の表面においてゼオライトを結晶化させて形成されたものである。
【0040】
ゼオライト膜を構成する主たるゼオライトは、通常、酸素6−12員環構造を有するゼオライトを含み、好ましくは酸素6−10員環構造を有するゼオライトを含む。
【0041】
ゼオライト膜は、ゼオライトが単独で膜となったものでも、前記ゼオライトの粉末をポリマーなどのバインダー中に分散させて膜の形状にしたものでも、各種支持体上にゼオライトを膜状に固着させたゼオライト膜複合体でもよい。ゼオライト膜は、一部アモルファス成分などが含有されていてもよい。
【0042】
ただし、本発明はゼオライト膜以外の分離膜を有した管状分離膜を用いてもよい。
【0043】
気化ユニット4は、パンチングメタルよりなる円筒状の液膜生成ドラム12と、該液膜生成ドラム12の一端側から突設された駆動軸13と、該駆動軸13の先端に固設されたマグネット板14と、液膜生成ドラム12の他端側から突設された支持軸15とを有する。駆動軸13及び支持軸15とは液膜生成ドラム12の軸心方向に延設されている。液膜生成ドラム12は軸心方向が水平となるように分離膜ユニット3の下方に配置され、駆動軸13及び支持軸15がそれぞれ槽体2の底部から立ち上がるブラケット16,17に回動自在に支持されている。
【0044】
槽体2外には、モータユニット18が配置されている。モータユニット18内には、モータ18aと、該モータ18aによって回転されるマグネット板18bが設置されている。このマグネット板18bは、槽体2の側壁に対面しており、この側壁を挟んで気化ユニット4のマグネット板14と対峙し、マグネットカップリング機構を構成している。
【0045】
なお、図は省略するが、槽体2の下面にヒータ(例えばラバーヒーター)を設置し、必要に応じヒータを作動させて被処理液を加熱してもよい。合わせて、槽体2内で発生している蒸気の凝縮防止を目的とした保温処理を施してもよく、その一態様として例えばラバーヒーター等を槽体2の側面に巻いてもよい。
【0046】
このように構成された多管式分離膜モジュール1を用いて液体を処理するには、ノズル8bから槽体2内を排気し、ノズル8cから被処理液Lを槽体2内に吸引導入する。液膜生成ドラム12は、それを回転させることで液膜を生成させて蒸発面積を稼ぐことを目的としているので、被処理液Lの液量は、
図5のように液膜生成ドラム12の上部が液面よりも上側の気相に露呈する液量とする。次いで、ノズル8aに接続されたバルブを調整することによって窒素ガスを導入し、槽体2内を窒素ガス雰囲気とする。
【0047】
なお、被処理液Lの槽体2への導入方法としては、ノズル8b、8cを使用せずに、分離膜ユニット3を取り外した状態で、直接槽体2へ注ぎ込んでもよい。
【0048】
次いで、モータユニット18によって気化ドラム12を回転させて被処理液の気化を促進させると共に、ノズル7に接続された減圧装置(図示略)を作動させて管状分離膜20内を減圧する。これにより、槽体2内に存在する蒸気成分(例えばアルコールと水の混合蒸気)中の特定成分(例えば、アルコール蒸気)が分離膜を透過し、孔10d〜10aを通って排出され、分離操作(例えば脱アルコール処理)が行われる。なお、分離膜を透過する成分はアルコールに限定されるものではない。
【0049】
槽体2内の液面レベルが、所定レベルまで低下したならば、気化ドラム12の回転を停止すると共に、排液バルブ2aを開とし、槽体2内の残液を排出して取り出す。なお、残液の取り出し方法としてはこれに限定されるものではなく、例えば分離膜ユニット3を取り外した後に、単に槽体2を傾斜させて別の容器に移してもよい。
【0050】
その後、上記と同様にして槽体2内に新たな被処理液を収容し、上記手順によって分離処理を行う。
【0051】
この多管式分離膜モジュール1では、管状分離膜20が槽体2内の被処理液と接触しないので、蒸気透過方式にて日本酒やワインのような醸造酒を脱アルコール処理する場合であっても、疎水性成分が管状分離膜20に吸着せず、効率よくバッチ式に脱アルコール処理を行うことができる。なお、必要に応じ、分離ユニット3を槽体2から取り出して清掃等のメンテナンスを施す。本発明は、日本酒やワインのような醸造酒だけでなく、単式蒸留焼酎や連続式蒸留焼酎等の蒸留酒の脱アルコール処理にも適用でき、脱水による濃縮処理にも適用できる。
【0052】
この多管式分離膜モジュール1では、液膜生成ドラム12は、モータユニット18によってマグネットカップリング機構を介して回転駆動される。このため、液膜生成ドラム12の軸棒13は、槽体2の側壁を貫通しておらず、液封軸受が不要である。そのため、グリース等によって被処理液が汚染されることもない。
【0053】
この多管式分離膜モジュール1では、分離膜ユニット3を槽体2から取り出すことが容易であり、分離膜ユニット3や槽体2の清掃も容易に行うことができる。
【0054】
なお、分離(例えば脱アルコール)または濃縮(例えば脱水)の対象となる被体としては、醸造酒に限らず、分離膜によって分離または濃縮が可能な複数の成分からなる液体の混合物であれば特に制限はなく、蒸留酒や果汁であってもよい。
【0055】
上記実施の形態では、槽体2に1個の分離膜ユニット3及び気化ユニット4を設置しているが、複数の分離膜ユニット又は気化ユニットを設置してもよい。また、分離膜ユニット3の管状分離膜の本数は8本以外であってもよい。
【0056】
上記実施の形態は、本発明の一例であり、本発明は上記以外の形態とされてもよい。上記実施の形態では、気化ユニット4が液膜生成ドラム12を有した構成とされているが、流下液膜式マイクログルーブ蒸発器、スプレー式、蒸発シート、気液撹拌機構などを有した、他の気化ユニットを用いてもよい。
【0057】
なお、槽体2から気化ユニット4、液膜生成ドラム12とその軸棒13、マグネット板14、ブラケット16を取り外して、単に槽体内に被処理液を入れた状態で使用することもできる。
【0058】
図10は、スプレー式の気化ユニット4Aを備えた多管式分離膜モジュールを示している。この気化ユニット4Aは、槽体2の側壁下部(管状分離膜20よりも下位)に設けられたスプレーノズル40を備えており、槽体2の底部近傍の液取出口41から槽体2内の液を取り出し、ポンプ42及び配管43を介して該スプレーノズル40に供給するよう構成されている。スプレーノズル40からスプレーされた微細な液滴が気化し、管状分離膜20で分離処理される。
【0059】
図11,12に示す気化ユニット4Bでは、スプレーノズル40の代わりに散水器44が設置されている。この散水器44は槽体2内の管状分離膜20よりも下位を槽体2の長手方向に延設されている。散水器44の下側に複数本のヒータ管45が設置されている。このヒータ管45も、槽体2の長手方向に延設されている。ヒータ管45には、入口45a及び出口45bを介して定温(例えば18℃±2℃)の液状熱媒体が流通される。
【0060】
ポンプ42から送られてきた液が該散水器44から散水され、ヒータ管45に注ぎかけられ、ヒータ管45の外周面を流下する間に蒸発し、管状分離膜20で分離処理される。
【0061】
ヒータ管45としては銅などの金属管が好適であるが、これに限定されない。ヒータ管45の外周面に凹凸(例えば突起、凹穴、波形の凸条、溝、これらの組合せ等)やフィンなどを設け、表面積を大きくすることが好ましい。
【0062】
図13,14に示す気化ユニット4Cは、下端部が槽体2内の液Lに浸漬されるようにシート面を上下方向とした蒸発シート50を備えている。蒸発シート50は、支持部材51によって支持ブロック10及び支持プレート11に吊支され、管状分離膜20の下側に配置されている。ただし、蒸発シート50を自立式とし、槽体2の底面から立ち上がる構成としてもよい。蒸発シート50の材質としては、不織布、親水性多孔質合成樹脂シートなどが例示されるが、これに限定されない。
【0063】
槽体2内の液Lが蒸発シート50に毛細管現象によって吸い込まれ、蒸発シート50から蒸発して管状分離膜20で分離処理される。
【0064】
図15及び
図16,17に示す気化ユニット4D,4Eは気液撹拌機構を備えるものである。
図15に示す気化ユニット4Dでは、外部に設置した循環ポンプ62を利用して槽体2内の気体を吸引管60、集合管61を介して吸引した後、給気管63及び散気管64によって液L中へ注入することで気泡を発生させ、気液撹拌を促進させる。
【0065】
図16,17に示す気化ユニット4Eでは、エアレーション攪拌機70を用いている。このエアレーション攪拌機70は、蓋板5の下面に対面するマグネット板71と、該マグネット板71に連なる回転軸72と、該回転軸72の下端に設けられた回転盤73と、回転軸72をカバー74に支承する軸受75等を備えている。該カバー74が蓋板5の下面に取付けられている。
【0066】
回転盤73には、底面中央に吸水口76が設けられると共に、該吸水口76から放射方向に延在する複数の噴出孔77が設けられている。
【0067】
回転軸72の上下方向の途中には、吸気口78が設けられ、該吸気口78に連なる導入孔79が下方に向って延設されている。導入孔79の下部は複数の分岐孔79aに分岐しており、各分岐孔79aの先端が噴出孔77の途中に接続されている。
【0068】
蓋板5の上面に対面するように、マグネット板71の上方に駆動側マグネット板81が配置され、モータ82によって回転駆動されるよう構成されている。モータ82はハウジング83に取り付けられており、ハウジング83は蓋板5の上面に取付けられている。
【0069】
モータ82を駆動してマグネット板81を回転させると、マグネット板71が従動して回転し、回転軸72が回転する。そうすると、噴出孔77内の液に遠心力が作用し、槽体2内の液Lが吸水口76から噴出孔77を通って放射方向に流出する。この流れによるエゼクタ作用により、吸気口78、導入孔79及び分岐孔79aを介して槽体2内の気体Gが液Lと共に気泡となって液L中に噴出する。
【0070】
上記いずれの気化ユニットを使用する場合でも、槽体2内の残液を排出して取り出す前に、槽体2及び/又は液Lを冷却(好ましくは外部から(ここでは図示しない))することにより、槽体内に存在する蒸気を凝縮回収してもよい。尚、該冷却操作は残液の排出中も引き続き行ってもよい。
【実施例】
【0071】
図1〜8に示す多管式分離膜モジュール1を用いて清酒を脱アルコール処理した。槽体2は、高さ252mm、長手方向550mm、短手方向150mmである。液膜生成ドラム12は、直径70mm、長さ440mmである。分離膜ユニット3の管状分離膜20として、直径12mm、長さ400mmのものを8本設置した。なお、液膜生成ドラム12の上面と分離膜ユニット3の管状分離膜20の下面との距離は65mmであり、分離膜ユニット3の管状分離膜20の上面と蓋板5の下面との距離は80mmである。
【0072】
市販の清酒A(初期アルコール濃度:13.0vol.%)又は清酒B(初期アルコール濃度:15.6vol.%)を1,000g槽体2に注ぎ入れた。液膜生成ドラム12の清酒液面からの突出高さは約50mmであった。液膜生成ドラム12を70rpmで回転させ、液温26〜27℃、気相部温度25〜26℃で、脱アルコール処理を10時間(清酒A)又は7.5時間(清酒B)行った。なお、ノズル7には耐圧ホース及びコールドトラップを介して真空ポンプを接続し、ノズル7の出口部の圧力が0.2〜0.4kPaAとなるように減圧した。
【0073】
アルコール蒸気の透過流束を
図18に示す。
図18の通り、清酒Aと清酒Bのアルコール透過流束は、アルコール濃度に応じた差を示している。清酒A及び清酒Bのいずれにおいても、アルコール透過流束が経時的に減少する。これは、槽体2内の清酒のアルコール濃度が脱アルコール処理により経時的に低下することによるものである。