特許第6930926号(P6930926)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6930926
(24)【登録日】2021年8月16日
(45)【発行日】2021年9月1日
(54)【発明の名称】欠陥検査装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20210823BHJP
   G01N 23/18 20180101ALI20210823BHJP
   G01B 15/00 20060101ALI20210823BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20210823BHJP
【FI】
   G01N23/04 340
   G01N23/18
   G01B15/00 H
   G01N21/88 Z
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-563682(P2017-563682)
(86)(22)【出願日】2016年10月18日
(86)【国際出願番号】JP2016080855
(87)【国際公開番号】WO2017130477
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2018年7月17日
(31)【優先権主張番号】特願2016-15666(P2016-15666)
(32)【優先日】2016年1月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】金子 康彦
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−024835(JP,A)
【文献】 特開2012−208084(JP,A)
【文献】 特開2001−156135(JP,A)
【文献】 特開2006−329907(JP,A)
【文献】 特開2002−098653(JP,A)
【文献】 特開2003−139723(JP,A)
【文献】 特開2011−017694(JP,A)
【文献】 特開2002−181736(JP,A)
【文献】 特開2007−271316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/2276
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体に照射する放射線の照射開始時間、照射継続時間、照射角度、および照射強度のうちの少なくとも1つの指示を入力する指示入力手段と、
前記指示入力手段の指示にしたがって放射線を照射することにより得られた前記被検査体を透過した透過光に基づいて作成された受光画像を取得する画像取得手段と、
前記被検査体に対応する製品データであって、検査領域指定情報を含む製品データを取得し、前記被検査体ごとに、前記検査領域指定情報によって予め指定された検査領域の指定を受け付ける受け付け手段と、
前記受光画像から前記被検査体における欠陥候補の位置および特徴を算出する画像処理手段であって、前記検査領域指定情報によって予め指定された前記検査領域について前記欠陥候補の検出精度を上げる画像処理手段と、
前記受光画像を表示し、かつ、前記受光画像上に前記画像処理手段による前記欠陥候補の算出結果を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示すべき欠陥候補の特徴として前記被検査体の肉厚の範囲を変更する操作を受け付け、前記操作にしたがって、前記画像処理手段によって算出された前記欠陥候補のうち、前記特徴の範囲に属するもののみを、前記表示手段に表示された前記受光画像上に表示させる操作手段であって、前記欠陥候補の特徴ごとに前記特徴の指定の結果を表示するためのスライダーバーを前記表示手段に表示させ、前記スライダーバー上におけるスライダーの移動の操作を受け付けることにより、前記特徴の範囲の指定を連続的または段階的に変更する、操作手段と、
を備える欠陥検査装置。
【請求項2】
前記操作手段は、前記欠陥候補の特徴として、前記欠陥候補のサイズを連続的または段階的に変更するための操作を受け付ける、請求項記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
被検査体に照射する放射線の照射開始時間、照射継続時間、照射角度、および照射強度のうちの少なくとも1つの指示を入力する指示入力手段と、
前記指示入力手段の指示にしたがって放射線を照射することにより得られた前記被検査体を透過した透過光に基づいて作成された受光画像を取得する画像取得手段と、
前記被検査体に対応する製品データであって、検査領域指定情報を含む製品データを取得し、前記被検査体ごとに、前記検査領域指定情報によって予め指定された検査領域の指定を受け付ける受け付け手段と、
前記受光画像から前記被検査体における欠陥候補の位置および特徴を算出する画像処理手段であって、前記検査領域指定情報によって予め指定された前記検査領域について前記欠陥候補の検出精度を上げる画像処理手段と、
前記受光画像を表示し、かつ、前記受光画像上に前記画像処理手段による前記欠陥候補の算出結果を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示すべき欠陥候補の特徴の範囲を変更する操作を受け付け、前記操作にしたがって、前記画像処理手段によって算出された前記欠陥候補のうち、前記特徴の範囲に属するもののみを、前記表示手段に表示された前記受光画像上に表示させる操作手段であって、前記欠陥候補の特徴ごとに前記特徴の指定の結果を表示するためのスライダーバーを前記表示手段に表示させ、前記スライダーバー上におけるスライダーの移動の操作を受け付けることにより、前記特徴の範囲の指定を連続的または段階的に変更する、操作手段とを備え、
前記画像処理手段は、前記被検査体に複数の用途がある場合、指定された前記用途ごとの検査領域指定情報を用いて欠陥候補の検出を行う、欠陥検査装置。
【請求項4】
被検査体に照射する放射線の照射開始時間、照射継続時間、照射角度、および照射強度のうちの少なくとも1つの指示を入力する指示入力手段と、
前記指示入力手段の指示にしたがって放射線を照射することにより得られた前記被検査体を透過した透過光に基づいて作成された受光画像を取得する画像取得手段と、
前記被検査体に対応する製品データであって、検査領域指定情報を含む製品データを取得し、前記被検査体ごとに、前記検査領域指定情報によって予め指定された検査領域の指定を受け付ける受け付け手段と、
前記受光画像から前記被検査体における欠陥候補の位置および特徴を算出する画像処理手段であって、前記検査領域指定情報によって予め指定された前記検査領域について前記欠陥候補の検出精度を上げる画像処理手段と、
前記受光画像を表示し、かつ、前記受光画像上に前記画像処理手段による前記欠陥候補の算出結果を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示すべき欠陥候補の特徴の範囲を変更する操作を受け付け、前記操作にしたがって、前記画像処理手段によって算出された前記欠陥候補のうち、前記特徴の範囲に属するもののみを、前記表示手段に表示された前記受光画像上に表示させる操作手段であって、前記欠陥候補の特徴ごとに前記特徴の指定の結果を表示するためのスライダーバーを前記表示手段に表示させ、前記スライダーバー上におけるスライダーの移動の操作を受け付けることにより、前記特徴の範囲の指定を連続的または段階的に変更する、操作手段とを備え、
前記表示手段は、前記指定された検査領域の指定の内容を識別するためのマークを前記受光画像上に表示する、欠陥検査装置。
【請求項5】
前記操作手段は、前記欠陥候補の特徴として、前記被検査体の肉厚および前記欠陥候補のサイズのうち少なくとも一方を連続的または段階的に変更するための操作を受け付ける、請求項3又は4記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記画像処理手段による前記欠陥候補の位置および特徴の算出結果を識別するためのマークを前記受光画像上に表示する、請求項1から5のいずれか1項記載の欠陥検査装置。
【請求項7】
前記表示手段は、前記欠陥候補の特徴ごとの検出度数を示す度数分布を前記スライダーバーに対応させて表示する、請求項1からのいずれか1項記載の欠陥検査装置。
【請求項8】
被検査体に照射する放射線の照射開始時間、照射継続時間、照射角度、および照射強度
のうちの少なくとも1つの指示を入力する指示入力工程と、
入力した指示にしたがって放射線を照射することにより得られた前記被検査体を透過した透過光に基づいて作成された受光画像を取得する画像取得工程と、
前記被検査体に対応する製品データであって、検査領域指定情報を含む製品データを取得し、前記被検査体ごとに、前記検査領域指定情報によって予め指定された検査領域の指定を受け付ける受け付け工程と、
前記受光画像から前記被検査体における欠陥候補の位置および特徴を算出する画像処理工程であって、前記検査領域指定情報によって予め指定された前記検査領域について前記欠陥候補の検出精度を上げる画像処理工程と、
前記受光画像を表示し、かつ、前記受光画像上に前記画像処理工程における前記欠陥候補の算出結果を欠陥検査装置の表示手段に表示する表示工程と、
前記表示手段に表示すべき欠陥候補の特徴として前記被検査体の肉厚の範囲を変更する操作を、前記欠陥検査装置の操作手段により受け付け、前記操作にしたがって、前記画像処理工程において算出された前記欠陥候補のうち、前記特徴の範囲に属するもののみを、前記表示手段に表示された前記受光画像上に表示させる表示制御工程であって、前記欠陥候補の特徴ごとに前記特徴の指定の結果を表示するためのスライダーバーを前記表示手段に表示させ、前記スライダーバー上におけるスライダーの移動の操作を前記操作手段により受け付けることにより、前記特徴の範囲の指定を連続的または段階的に変更する、表示制御工程と、
を備える欠陥検査方法。
【請求項9】
被検査体に照射する放射線の照射開始時間、照射継続時間、照射角度、および照射強度
のうちの少なくとも1つの指示を入力する指示入力工程と、
入力した指示にしたがって放射線を照射することにより得られた前記被検査体を透過した透過光に基づいて作成された受光画像を取得する画像取得工程と、
前記被検査体に対応する製品データであって、検査領域指定情報を含む製品データを取得し、前記被検査体ごとに、前記検査領域指定情報によって予め指定された検査領域の指定を受け付ける受け付け工程と、
前記受光画像から前記被検査体における欠陥候補の位置および特徴を算出する画像処理工程であって、前記検査領域指定情報によって予め指定された前記検査領域について前記欠陥候補の検出精度を上げる画像処理工程と、
前記受光画像を表示し、かつ、前記受光画像上に前記画像処理工程における前記欠陥候補の算出結果を欠陥検査装置の表示手段に表示する表示工程と、
前記表示手段に表示すべき欠陥候補の特徴の範囲を変更する操作を、前記欠陥検査装置の操作手段により受け付け、前記操作にしたがって、前記画像処理工程において算出された前記欠陥候補のうち、前記特徴の範囲に属するもののみを、前記表示手段に表示された前記受光画像上に表示させる表示制御工程であって、前記欠陥候補の特徴ごとに前記特徴の指定の結果を表示するためのスライダーバーを前記表示手段に表示させ、前記スライダーバー上におけるスライダーの移動の操作を前記操作手段により受け付けることにより、前記特徴の範囲の指定を連続的または段階的に変更する、表示制御工程とを備え、
前記画像処理工程では、前記被検査体に複数の用途がある場合、指定された前記用途ごとの検査領域指定情報を用いて欠陥候補の検出を行う、欠陥検査方法。
【請求項10】
被検査体に照射する放射線の照射開始時間、照射継続時間、照射角度、および照射強度
のうちの少なくとも1つの指示を入力する指示入力工程と、
入力した指示にしたがって放射線を照射することにより得られた前記被検査体を透過した透過光に基づいて作成された受光画像を取得する画像取得工程と、
前記被検査体に対応する製品データであって、検査領域指定情報を含む製品データを取得し、前記被検査体ごとに、前記検査領域指定情報によって予め指定された検査領域の指定を受け付ける受け付け工程と、
前記受光画像から前記被検査体における欠陥候補の位置および特徴を算出する画像処理工程であって、前記検査領域指定情報によって予め指定された前記検査領域について前記欠陥候補の検出精度を上げる画像処理工程と、
前記受光画像を表示し、かつ、前記受光画像上に前記画像処理工程における前記欠陥候補の算出結果を欠陥検査装置の表示手段に表示する表示工程と、
前記表示手段に表示すべき欠陥候補の特徴の範囲を変更する操作を、前記欠陥検査装置の操作手段により受け付け、前記操作にしたがって、前記画像処理工程において算出された前記欠陥候補のうち、前記特徴の範囲に属するもののみを、前記表示手段に表示された前記受光画像上に表示させる表示制御工程であって、前記欠陥候補の特徴ごとに前記特徴の指定の結果を表示するためのスライダーバーを前記表示手段に表示させ、前記スライダーバー上におけるスライダーの移動の操作を前記操作手段により受け付けることにより、前記特徴の範囲の指定を連続的または段階的に変更する、表示制御工程とを備え、
前記表示工程では、前記指定された検査領域の指定の内容を識別するためのマークを前記受光画像上に表示する、欠陥検査方法。
【請求項11】
被検査体に照射する放射線の照射開始時間、照射継続時間、照射角度、および照射強度のうちの少なくとも1つの指示を入力する指示入力機能と、
入力した指示にしたがって放射線を照射することにより得られた前記被検査体を透過した透過光に基づいて作成された受光画像を取得する画像取得機能と、
前記被検査体に対応する製品データであって、検査領域指定情報を含む製品データを取得し、前記被検査体ごとに、前記検査領域指定情報によって予め指定された検査領域の指定を受け付ける受け付け機能と、
前記受光画像から前記被検査体における欠陥候補の位置および特徴を算出する画像処理機能であって、前記検査領域指定情報によって予め指定された前記検査領域について前記欠陥候補の検出精度を上げる画像処理機能と、
前記受光画像を表示し、かつ、前記受光画像上に前記画像処理機能による前記欠陥候補の算出結果を欠陥検査装置の表示手段に表示する表示機能と、
前記表示手段に表示すべき欠陥候補の特徴として前記被検査体の肉厚の範囲を変更する操作を、前記欠陥検査装置の操作手段により受け付け、前記操作にしたがって、前記画像処理機能によって算出された前記欠陥候補のうち、前記特徴の範囲に属するもののみを、前記表示手段に表示された前記受光画像上に表示させる表示制御機能であって、前記欠陥候補の特徴ごとに前記特徴の指定の結果を表示するためのスライダーバーを前記表示手段に表示させ、前記スライダーバー上におけるスライダーの移動の操作を前記操作手段により受け付けることにより、前記特徴の範囲の指定を連続的または段階的に変更する、表示制御機能と、
をコンピュータに実現させる欠陥検査プログラム。
【請求項12】
被検査体に照射する放射線の照射開始時間、照射継続時間、照射角度、および照射強度のうちの少なくとも1つの指示を入力する指示入力機能と、
入力した指示にしたがって放射線を照射することにより得られた前記被検査体を透過した透過光に基づいて作成された受光画像を取得する画像取得機能と、
前記被検査体に対応する製品データであって、検査領域指定情報を含む製品データを取得し、前記被検査体ごとに、前記検査領域指定情報によって予め指定された検査領域の指定を受け付ける受け付け機能と、
前記受光画像から前記被検査体における欠陥候補の位置および特徴を算出する画像処理機能であって、前記検査領域指定情報によって予め指定された前記検査領域について前記欠陥候補の検出精度を上げる画像処理機能であって、前記被検査体に複数の用途がある場合、指定された前記用途ごとの検査領域指定情報を用いて欠陥候補の検出を行う画像処理機能と、
前記受光画像を表示し、かつ、前記受光画像上に前記画像処理機能による前記欠陥候補の算出結果を欠陥検査装置の表示手段に表示する表示機能と、
前記表示手段に表示すべき欠陥候補の特徴の範囲を変更する操作を、前記欠陥検査装置の操作手段により受け付け、前記操作にしたがって、前記画像処理機能によって算出された前記欠陥候補のうち、前記特徴の範囲に属するもののみを、前記表示手段に表示された前記受光画像上に表示させる表示制御機能であって、前記欠陥候補の特徴ごとに前記特徴の指定の結果を表示するためのスライダーバーを前記表示手段に表示させ、前記スライダーバー上におけるスライダーの移動の操作を前記操作手段により受け付けることにより、前記特徴の範囲の指定を連続的または段階的に変更する、表示制御機能と、
をコンピュータに実現させる欠陥検査プログラム。
【請求項13】
被検査体に照射する放射線の照射開始時間、照射継続時間、照射角度、および照射強度のうちの少なくとも1つの指示を入力する指示入力機能と、
入力した指示にしたがって放射線を照射することにより得られた前記被検査体を透過した透過光に基づいて作成された受光画像を取得する画像取得機能と、
前記被検査体に対応する製品データであって、検査領域指定情報を含む製品データを取得し、前記被検査体ごとに、前記検査領域指定情報によって予め指定された検査領域の指定を受け付ける受け付け機能と、
前記受光画像から前記被検査体における欠陥候補の位置および特徴を算出する画像処理機能であって、前記検査領域指定情報によって予め指定された前記検査領域について前記欠陥候補の検出精度を上げる画像処理機能と、
前記受光画像を表示し、かつ、前記受光画像上に前記画像処理機能による前記欠陥候補の算出結果を欠陥検査装置の表示手段に表示する表示機能であって、前記指定された検査領域の指定の内容を識別するためのマークを前記受光画像上に表示する表示機能と、
前記表示手段に表示すべき欠陥候補の特徴の範囲を変更する操作を、前記欠陥検査装置の操作手段により受け付け、前記操作にしたがって、前記画像処理機能によって算出された前記欠陥候補のうち、前記特徴の範囲に属するもののみを、前記表示手段に表示された前記受光画像上に表示させる表示制御機能であって、前記欠陥候補の特徴ごとに前記特徴の指定の結果を表示するためのスライダーバーを前記表示手段に表示させ、前記スライダーバー上におけるスライダーの移動の操作を前記操作手段により受け付けることにより、前記特徴の範囲の指定を連続的または段階的に変更する、表示制御機能と、
をコンピュータに実現させる欠陥検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は欠陥検査装置、方法およびプログラムに係り、特に検査対象の工業製品の画像を用いた欠陥の検査を支援するための欠陥検査装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォトンエネルギーの異なる放射線を検査対象に照射して複数の放射線透過画像を取得し、これら複数の放射線透過画像に基づいて欠陥検出画像を生成する放射線検査装置が開示されている。
【0003】
特許文献2は、原子力プラントの目視検査に関するものであり、特許文献2には、条件調整の領域として、画質改善処理の条件またはパラメータ群または個別パラメータを、ユーザ(検査員)により選択可能とする項目と、その選択された条件、パラメータ群、またはパラメータにおける値をユーザにより可変に調整して設定する項目とを有するGUI(Graphical User Interface)が開示されている(段落<0135>から<0146>、図12および図13)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−281649号公報
【特許文献2】特開2014−137281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
石油の輸送等に用いられる配管等の設備は、一度事故が発生した場合、社会に重大なダメージを与える。また、このような配管等の設備は取り外して検査することが困難であるため、このような配管等の設備の検査は、通常、検査対象の配管等に対する光線または放射線の照射を伴う非破壊検査によって行われる。非破壊検査においては、検査対象の配管等に光線または放射線を照射することにより得られた配管等の画像を読影者が読影することにより欠陥をチェックする。検査により検出される欠陥の種類は、シミ、ヒビ、ゴミ、欠け等多彩な形状、サイズがあり、また、欠陥の数もかなりの数になるため、これを漏れなくチェックすることはかなりの時間がかかる。よって、画像の読影および欠陥のチェックの精度および効率の向上が求められる。
【0006】
しかしながら、特許文献1には、欠陥検出画像からの欠陥の検出の精度改善および容易化については開示されておらず、欠陥の検出精度が、読影者の経験や能力に左右される可能性があるという問題があった。また、特許文献2には、原子力プラントの目視検査のためのGUIが開示されているが、このGUIは、画質の改善を目的としたものであって、欠陥の検出の精度改善および容易化のためのものではなかった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、検査対象の工業製品(以下、被検査体という。)の画像を用いて欠陥の有無の検査を行う場合に、読影者が、欠陥を精度よく、効率的に検出できるようにする欠陥検査装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る欠陥検査装置は、被検査体に放射線を照射することにより得られた被検査体を透過した透過光に基づいて作成された受光画像を取得する画像取得手段と、被検査体に対応する製品データであって、検査領域指定情報を含む製品データを取得し、被検査体ごとに、検査領域指定情報によって予め指定された検査領域の指定を受け付ける受け付け手段と、受光画像から被検査体における欠陥候補の位置および特徴を算出する画像処理手段であって、検査領域指定情報によって予め指定された検査領域について欠陥候補の検出精度を上げる画像処理手段と、受光画像を表示し、かつ、受光画像上に画像処理手段による欠陥候補の算出結果を表示する表示手段と、表示手段に表示すべき欠陥候補の特徴の範囲を変更する操作を受け付け、操作にしたがって、画像処理手段によって算出された欠陥候補のうち、特徴の範囲に属するもののみを、表示手段に表示された受光画像上に表示させる操作手段とを備える。
【0009】
第1の態様によれば、操作手段により、表示手段に表示すべき欠陥候補の特徴の範囲の指定を変更することができるので、欠陥の検出精度および検出効率を改善することができる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る欠陥検査装置は、第1の態様において、画像処理手段が、被検査体に複数の用途がある場合、指定された用途ごとの検査領域指定情報を用いて欠陥候補の検出を行うようにしたものである。本発明の第3の態様に係る欠陥検査装置は、第1または第2の態様において、表示手段が、画像処理手段による欠陥候補の位置および特徴の算出結果を識別するためのマークを受光画像上に表示するようにしたものである。
【0011】
の態様によれば、受光画像上にマークを表示させることにより欠陥候補の読影を容易にすることができる。
【0012】
本発明の第の態様に係る欠陥検査装置は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、表示手段が、指定された検査領域の指定の内容を識別するためのマークを受光画像上に表示するようにしたものである。
【0013】
の態様によれば、例えば、メーカーが過去の欠陥の発生履歴、発生頻度等に基づいて指定した検査領域を、読影者に示すことによって、欠陥の診断を容易にすることができる。
【0014】
本発明の第の態様に係る欠陥検査装置は、第1から第の態様のいずれかにおいて、操作手段が、欠陥候補の特徴ごとに特徴の指定の結果を表示するためのスライダーバーを表示手段に表示させ、スライダーバー上におけるスライダーの移動の操作を受け付けることにより、特徴の範囲の指定を連続的または段階的に変更するようにしたものである。
【0015】
の態様によれば、スライダーバーを使用することにより、表示手段に表示すべき欠陥候補の特徴の範囲の指定を連続的または段階的に変更可能にすることができるので、欠陥の検出精度および検出効率を改善することができる。
【0016】
本発明の第の態様に係る欠陥検査装置は、第の態様において、表示手段が、欠陥候補の特徴ごとの検出度数を示す度数分布をスライダーバーに対応させて表示するようにしたものである。
【0017】
の態様によれば、度数分布(例えば、ヒストグラム)により、読影者は、欠陥候補の特徴ごとの検出度数を認識することができ、検出度数に応じてスライダーバーの操作を行うことができるので、スライダーバーの操作を効率的に行うことができる。
【0018】
本発明の第の態様に係る欠陥検査装置は、第1から第の態様のいずれかにおいて、操作手段が、欠陥候補の特徴として、被検査体の肉厚および欠陥候補のサイズのうち少なくとも一方を連続的または段階的に変更するための操作を受け付けるようにしたものである。
【0019】
本発明の第の態様に係る欠陥検査方法は、被検査体に放射線を照射することにより得られた被検査体を透過した透過光に基づいて作成された受光画像を取得する画像取得工程と、被検査体に対応する製品データであって、検査領域指定情報を含む製品データを取得し、被検査体ごとに、検査領域指定情報によって予め指定された検査領域の指定を受け付ける受け付け工程と、受光画像から被検査体における欠陥候補の位置および特徴を算出する画像処理工程であって、検査領域指定情報によって予め指定された検査領域について欠陥候補の検出精度を上げる画像処理工程と、受光画像を表示し、かつ、受光画像上に画像処理工程における欠陥候補の算出結果を欠陥検査装置の表示手段に表示する表示工程と、表示手段に表示すべき欠陥候補の特徴の範囲を変更する操作を、欠陥検査装置の操作手段により受け付け、操作にしたがって、画像処理工程において算出された欠陥候補のうち、特徴の範囲に属するもののみを、表示手段に表示された受光画像上に表示させる表示制御工程とを備える。
【0020】
本発明の第の態様に係る欠陥検査プログラムは、被検査体に放射線を照射することにより得られた被検査体を透過した透過光に基づいて作成された受光画像を取得する画像取得機能と、被検査体に対応する製品データであって、検査領域指定情報を含む製品データを取得し、被検査体ごとに、検査領域指定情報によって予め指定された検査領域の指定を受け付ける受け付け機能と、受光画像から被検査体における欠陥候補の位置および特徴を算出する画像処理機能であって、検査領域指定情報によって予め指定された検査領域について欠陥候補の検出精度を上げる画像処理機能と、受光画像を表示し、かつ、受光画像上に画像処理機能による欠陥候補の算出結果を欠陥検査装置の表示手段に表示する表示機能と、表示手段に表示すべき欠陥候補の特徴の範囲を変更する操作を、欠陥検査装置の操作手段により受け付け、操作にしたがって、画像処理機能よって算出された欠陥候補のうち、特徴の範囲に属するもののみを、表示手段に表示された受光画像上に表示させる表示制御機能とをコンピュータに実現させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、表示手段に表示すべき欠陥候補の特徴の範囲の指定を変更可能にすることにより、欠陥の検出精度および検出効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る欠陥検査装置を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る欠陥検査装置の画像処理部の例を示すブロック図である。
図3A図3Aは、被検査体撮影データの例を示すブロック図である。
図3B図3Bは、製品データの例を示すブロック図である。
図3C図3Cは、被検査体検査結果データの例を示すブロック図である。
図4図4は、撮影システムの例を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る欠陥検査装置の表示部の外観を示す正面図である。
図6図6は、欠陥候補の表示例を示す図である。
図7A図7Aは、本発明の一実施形態に係る表示制御(表示対象の変更)の例を示す図である。
図7B図7Bは、本発明の一実施形態に係る表示制御(表示対象の変更)の例を示す図である。
図7C図7Cは、本発明の一実施形態に係る表示制御(表示対象の変更)の例を示す図である。
図7D図7Dは、本発明の一実施形態に係る表示制御(表示対象の変更)の例を示す図である。
図8A図8Aは、本発明の一実施形態に係る表示制御の例(表示領域の変更)を示す図である。
図8B図8Bは、本発明の一実施形態に係る表示制御の例(表示領域の変更)を示す図である。
図8C図8Cは、本発明の一実施形態に係る表示制御の例(表示領域の変更)を示す図である。
図9図9は、本発明の一実施形態に係る欠陥検査方法における表示制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に従って本発明に係る欠陥検査装置、方法およびプログラムの実施の形態について説明する。
【0024】
[欠陥検査装置の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る欠陥検査装置を示すブロック図である。
【0025】
本実施形態に係る欠陥検査装置10は、検査対象の工業製品(被検査体)を撮影した画像から欠陥の候補(欠陥候補)を検出および表示を行う装置であり、読影者による被検査体の欠陥の診断を支援するための装置である。図1に示すように、本実施形態に係る欠陥検査装置10は、制御部12、操作部14、入出力インターフェース(以下、I/F(interface)という。)16、表示部18、バッファメモリ20、画像処理部22および記録部24を備えている。
【0026】
制御部12は、欠陥検査装置10の各部の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)を含んでいる。制御部12は、操作部14を介して読影者からの操作入力を受け付け、この操作入力に応じた制御信号を欠陥検査装置10の各部に送信して各部の動作を制御する。
【0027】
操作部(操作手段)14は、読影者からの操作入力を受け付ける入力装置であり、文字入力のためのキーボード、表示部18に表示されるポインタ、アイコン等を操作するためのポインティングデバイス(マウス、トラックボール等)を含んでいる。なお、操作部14としては、上記に列挙した手段に代えて、または、上記に列挙した手段に加えて、表示部18の表面にタッチパネルを設けることもできる。
【0028】
I/F16は、ネットワークNWを介して外部装置との間で通信を行うための手段である。欠陥検査装置10と外部装置との間のデータの送受信方法としては、有線通信(例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット接続等)または無線通信(例えば、LAN、WAN、インターネット接続等)を用いることができる。
【0029】
欠陥検査装置10は、I/F16(画像取得手段)を介して撮影システム100によって撮影された被検査体OBJの撮影画像データを含む被検査体撮影データD100の入力を受け付けることが可能となっている。なお、被検査体撮影データD100を撮影システム100から欠陥検査装置10に入力する方法は、上記に列挙したネットワークNWを介した通信に限定されるものではない。例えば、欠陥検査装置10と撮影システム100を、USB(Universal Serial Bus)ケーブル、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信等により接続してもよいし、被検査体撮影データD100を、欠陥検査装置10に着脱および読取可能なメモリカードに格納して、このメモリカードを介して欠陥検査装置10に画像データを入力するようにしてもよい。
【0030】
さらに、欠陥検査装置10は、ネットワークNWを介して製品データベース(製品DB(database))200と通信可能となっている。製品DBには、検査対象となり得る工業製品ごとの製品データD200が格納されている。制御部(受け付け手段)12は、撮影システム100から取得した被検査体OBJの被検査体撮影データから被検査体を特定するための被検査体特定情報を検索して読み出し、読み出した被検査体特定情報に対応する製品データD200を製品DB200から取得することが可能となっている。この製品データD200を用いることにより、被検査体OBJの種類または特徴に応じた欠陥候補の検出が可能となる。
【0031】
なお、製品DB200は、本実施形態のように、ネットワークNW上に設置して、製品データD200をメーカー等が更新可能としてもよいし、欠陥検査装置10の中に設けられていてもよい。
【0032】
表示部(表示手段)18は、画像を表示するための装置である。表示部18としては、例えば、液晶モニタ(図5参照)を用いることができる。
【0033】
バッファメモリ20は、制御部12の作業領域および表示部18に出力される画像データを一時記憶するため領域として用いられる。
【0034】
記録部24は、制御部12が使用する制御プログラムを含むデータを格納するための手段である。記録部24としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気ディスクを含む装置、eMMC(embedded Multi Media Card)、SSD(Solid State Drive)等のフラッシュメモリを含む装置等を用いることができる。記録部24には、被検査体撮影データD100および製品データD200が格納される。
【0035】
画像処理部(画像処理手段)22は、被検査体撮影データD100から被検査体OBJの撮影画像データを読み出し、撮影画像データに画像処理を施して欠陥候補の検出を行う。画像処理部22は、撮影画像データと検出した欠陥候補の検出結果(特徴の算出結果)を示す欠陥候補情報とをバッファメモリ20に出力する。制御部12は、バッファメモリ20に出力されたデータを用いて、撮影画像データ上に欠陥候補情報を付した表示用画像を作成し、この表示用画像を表示部18に表示させる。これにより、読影者は、表示部18に表示された画像を読影して被検査体OBJの検査を行うことが可能となる。
【0036】
読影者は、操作部14を介して、表示部18に表示された画像に付された欠陥候補情報のそれぞれに対して、例えば、「すぐに被検査体OBJを新しいものと交換する」、「経過を観察する(a日後に再検査する)」、「放置する(欠陥ではない)」等の診断結果を入力することが可能となっている。制御部12は、上記診断結果データを含む被検査体検査結果データD10(図3C参照)を作成して記録部24に格納する。
【0037】
図2は、画像処理部の例を示すブロック図である。図2に示すように、画像処理部22は、欠陥候補検出部220および測定部222を備えている。
【0038】
欠陥候補検出部220は、撮影画像データに画像処理(例えば、色変換処理、モノクロ変換処理、エッジ強調処理、3次元データへの変換処理等)を施して、被検査体OBJの色等の変化を検出することにより、被検査体OBJの欠陥(例えば、傷、ヒビ割れ(クラック)、磨耗、さび等)の候補の検出を行う。欠陥候補検出部220は、例えば、色の変化、エッジの検出結果等に基づいて、欠陥候補の検出を行う。これにより、欠陥候補の位置および形状が特定される。
【0039】
なお、例えば、被検査体OBJの同一の欠陥が検出されていない(新品の)製品の画像を含む製品画像データを製品データD200に含めておき、この製品画像データと被検査体OBJの撮影画像データとを比較することにより、欠陥候補の検出を行うようにしてもよい。
【0040】
測定部222は、被検査体OBJの撮影画像データおよび撮影条件データに基づいて被検査体OBJの各部の寸法を測定する。測定部222は、例えば、撮影時のカメラと被検査体OBJとの間の距離、焦点距離、ズーム倍率等の撮影条件データと、撮影画像データ中の被検査体OBJの大きさに基づいて、被検査体OBJのサイズを測定する。測定部222は、測定した被検査体OBJのサイズと、撮影画像データ中の被検査体OBJの大きさと、欠陥候補の大きさを用いて、欠陥候補のサイズ(例えば、最大寸法、最小寸法、ヒビ割れの深さ、角度等)を算出する。なお、被検査体OBJのサイズについては、製品データD200を介して取得するようにしてもよい。
【0041】
さらに、測定部222は、被検査体OBJの各部の寸法と、例えば、被検査体OBJの撮影時の照射光の反射率、透過率(透過減衰)を示す情報を用いて、被検査体OBJの位置ごとの肉厚を測定する。なお、肉厚については、撮影時に撮影システム100にて測定して、被検査体撮影データD100に含めるようにしてもよい。
【0042】
図3Aは、被検査体撮影データの例を示すブロック図である。図3Aに示すように、被検査体撮影データD100は、被検査体特定情報、撮影画像データ、撮影条件データおよび照明条件データを含んでいる。
【0043】
被検査体特定情報は、被検査体OBJを特定するための情報であり、例えば、被検査体OBJの製品名、製品番号、メーカー名、技術分類を示す情報を含んでいる。
【0044】
撮影画像データは、被検査体OBJを撮影した画像データ(例えば、X線画像、可視光画像)である。
【0045】
撮影条件データは、被検査体OBJの撮影画像データごとに格納されており、撮影日時、各撮影画像データの撮影対象箇所、撮影時における被検査体OBJとカメラとの間の距離およびカメラに対する角度を示す情報を含んでいる。
【0046】
照明条件データは、被検査体OBJの撮影に用いた放射線の種類(例えば、X線、可視光線、透過光線、反射光線)、照射強度、および照射角度を示す情報を含んでいる。
【0047】
図3Bは、製品データの例を示すブロック図である。図3Bに示すように、製品データD200には、製品特定情報、製品の属性情報、検査領域指定情報が含まれている。製品データD200は、被検査体特定情報および製品特定情報を介して、被検査体撮影データD100および被検査体検査結果データD10と関連付けられて記録部24に記録されるようにしてもよいし、欠陥検査の都度、製品DB200から取得するようにしてもよい。
【0048】
製品特定情報は、製品を特定するための情報であり、例えば、製品名、製品番号、メーカー名、技術分類を示す情報を含んでいる。
【0049】
製品属性情報は、例えば、製品の各部の材質、寸法、製品の用途を示す情報を含んでいる。製品の用途を示す情報は、例えば、製品が取り付けられる装置等の名称、種類、加工状態および取付方法(例えば、接合部、溶接部、ねじ止め、はめ込み、ハンダ付け)に関する情報を含んでいる。また、製品属性情報は、欠陥発生情報を含んでいる。欠陥発生情報は、例えば、過去の検査日時、被検査体OBJの材質、過去に発生した欠陥の種類(例えば、異物、亀裂等)、形状、大きさ、深さ、発生部位(部位座標、材質の肉厚、加工状態(例えば、接合部、溶接部等)、欠陥発生頻度に関する頻度情報、欠陥のキャプチャー画像のうち少なくとも1つの情報を含んでいる。
【0050】
検査領域指定情報は、各製品のメーカー等によって指定された検査領域を示す情報(例えば、検査領域の位置を含む情報であり、過去の欠陥発生の有無、欠陥発生頻度に関する頻度情報等の欠陥発生情報に基づいて作成される。)を含んでいる。検査領域指定情報は、例えば、メーカー等が製品を過去に修理したときの情報に基づいて、統計的、構造的に欠陥が生じやすい箇所を特定することにより作成される。
【0051】
画像処理部22は、被検査体OBJから欠陥候補を検出する場合に、検査領域指定情報によって指定された検査領域については、欠陥候補の検出精度を上げる(例えば、欠陥候補として検出する傷等の最小サイズ(サイズの閾値)、ヒビ割れの深さの閾値を小さくする)ことが可能である。また、被検査体OBJの画像および欠陥候補の画像を表示部18に表示する際に、検査領域の撮影画像データおよび検出対象領域から検出された欠陥候補を識別するためのマーク等を付与してもよいし、これらを強調する処理を施すようにしてもよい。
【0052】
なお、複数の用途がある製品の場合には、製品の用途ごとに(例えば、製品が取り付けられる装置の種類、取付場所ごとに)検査領域指定情報を作成し、指定された用途に対応する検査領域指定情報を用いて欠陥候補の検出を行うようにしてもよい。
【0053】
また、製品名または製品番号が一致する製品データが存在しない場合には、技術分類が類似する製品の製品データを取得して、画像処理に用いるようにしてもよい。
【0054】
図3Cは、被検査体検査結果データの例を示すブロック図である。図3Cに示すように、被検査体検査結果データD10は、上記の被検査体特定情報に加えて、被検査体測定情報、欠陥候補情報および診断結果情報を含んでいる。被検査体検査結果データD10は、被検査体特定情報を介して被検査体撮影データD100と関連付けられて記録部24に記録される。
【0055】
被検査体測定データは、被検査体OBJのサイズ、被検査体OBJの位置ごとの肉厚の測定部222による測定結果を示す情報を含んでいる。
【0056】
欠陥候補データは、欠陥候補の特徴(例えば、欠陥候補の位置、サイズ、肉厚の変化量、種類)を示す情報を含んでいる。欠陥候補の位置を示す情報は、例えば、被検査体OBJの形状に応じて設定された座標系(例えば、3次元直交座標系、極座標系、円柱座標系等)上の座標により表すことが可能である。欠陥候補の種類を示す情報は、画像から検出された欠陥候補の形状に基づいて作成される情報であり、例えば、粒状欠陥、シミ状欠陥、ヒビ状欠陥等の情報である。
【0057】
診断結果データは、検査日時および欠陥候補に対して読影者が追加入力した情報を含んでいる。診断結果データは、例えば、「すぐに被検査体OBJを新しいものと交換する」、「経過を観察する(n日後に再検査する)」、「放置する(欠陥ではない)」等の読影者により入力された診断結果を示す情報を含んでいる。
【0058】
なお、被検査体検査結果データD10には、被検査体撮影データD100および製品データD200の一部を含めるようにしてもよい。
【0059】
また、被検査体検査結果データD10を製品DB200に送信して蓄積しておき、被検査体検査結果データD10に含まれる欠陥候補データおよび診断結果データを解析した結果を用いて、製品データD200の検査領域指定情報が更新されるようにしてもよい。
【0060】
[撮システムの構成]
次に、被検査体OBJの画像を撮影するための撮影システム100について説明する。図4は、撮影システムの例を示すブロック図である。
【0061】
撮影システム100は、撮影室114内に置かれた被検査体OBJを撮影するためのものであり、図4に示すように、撮影制御部102、撮影操作部104、画像記録部106、カメラ108ならびに放射線源110および112を備えている。
【0062】
撮影制御部102は、撮影システム100の各部の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)を含んでいる。撮影制御部102は、撮影操作部104を介してオペレータ(撮影者)からの操作入力を受け付け、この操作入力に応じた制御信号を撮影システム100の各部に送信して各部の動作を制御する。
【0063】
撮影操作部104は、オペレータからの操作入力を受け付ける入力装置であり、文字入力のためのキーボード、表示部18に表示されるポインタ、アイコン等を操作するためのポインティングデバイス(マウス、トラックボール等)を含んでいる。オペレータは、撮影操作部104を介して、被検査体OBJに関する情報の入力、カメラ108に対する撮影実行の指示の入力(露出時間、焦点距離、絞り等の撮影条件、撮影角度、撮影箇所等の設定を含む)、放射線源110および112に対する放射線の照射の指示の入力(照射開始時間、照射継続時間、照射角度、照射強度等の設定を含む)、取得した画像データを画像記録部106に記録する指示の入力を行うことができる。
【0064】
画像記録部106は、カメラ108によって撮影された被検査体OBJの画像データ(受光画像)を記録する。画像記録部106には、被検査体OBJを特定するための情報が画像データと関連付けられて記録される。
【0065】
カメラ108、放射線源110および112は、撮影室114の内部に配置されている。放射線源110および112は、例えば、X線源であり、撮影室114と外部との間の隔壁および出入口には、X線防護材料(例えば、鉛、コンクリート等)によりX線防護が施されている。なお、被検査体OBJに可視光を照射して撮影を行う場合には、防護を施した撮影室114を用いる必要はない。
【0066】
放射線源110および112は、撮影制御部102からの指示に従って、撮影室114内に置かれた被検査体OBJに放射線を照射する。
【0067】
カメラ108は、撮影制御部102からの撮影実行の指示にしたがって、放射線源110から被検査体OBJに照射されて被検査体OBJにより反射された放射線、または放射線源112から被検査体OBJに照射されて被検査体OBJを透過した放射線を受光して被検査体OBJを撮影する。被検査体OBJは、不図示の保持部材(例えば、マニピュレーター、載置台、可動式の載置台)によって撮影室114内に保持されており、被検査体OBJは、カメラ108、放射線源110および112に対する距離および角度が調整可能となっている。操作者は、撮影制御部102を介して、被検査体OBJ、カメラ108、放射線源110および112の相対位置を制御可能となっており、被検査体OBJの所望の箇所を撮影可能となっている。
【0068】
放射線源110および112は、カメラ108による撮影の実行の終了に同期して、被検査体OBJに対する放射線の照射を終了する。
【0069】
なお、図4に示す例では、カメラ108は、撮影室114の内部に配置されているが、カメラ108は、撮影室114内の被検査体OBJを撮影可能であれば、外部に配置されていてもよい。
【0070】
また、図4に示す例では、カメラ108が1台、放射線源110および112が2台設けられているが、カメラおよび放射線源の台数はこれに限定されるものではない。例えば、カメラおよび放射線源は、それぞれ複数台あってもよいし、1つずつであってもよい。
【0071】
[被検査体の画像の表示制御]
次に、本実施形態に係る被検査体の画像の表示制御の例について説明する。
【0072】
図5は、本発明の一実施形態に係る欠陥検査装置の表示部の外観を示す正面図であり、図6は、欠陥候補の表示例を示す図である。
【0073】
図6に示すように、表示部18には、被検査体OBJの被検査体画像IMG1と、表示対象を変更するためのGUI(Graphical User Interface)が表示される。
【0074】
撮影画像データIMG1には、画像処理部22によって検出された欠陥候補を示す画像(以下、欠陥候補画像D1〜D3)が付されている。欠陥候補画像D1〜D3は、例えば、種類ごとに色分け表示することが可能である。図6に示す例では、欠陥候補の種類として、「粒状欠陥」、「シミ状欠陥」および「ヒビ状欠陥」の3種類が示されており、それぞれ欠陥候補D1、D2およびD3として図示されている。なお、欠陥候補の種類はこれに限定されるものではなく、例えば、読影者が操作部14を用いて設定変更可能としてもよい。
【0075】
チェックボックスCB1は、被検査体画像IMG1の上に表示する欠陥の種類を選択するためのGUIである。チェックボックスCB1の「粒状欠陥」、「シミ状欠陥」および「ヒビ状欠陥」が操作部14により選択されると、制御部12は、選択された種類の欠陥候補画像のみを被検査体画像IMG1の上に表示する。例えば、「粒状欠陥」が選択されると、被検査体画像IMG1の上に、欠陥候補画像D1のみが表示され、欠陥候補画像D2およびD3の表示が消去される。読影者は、操作部14のポインティングデバイスを介して、チェックボックスCB1を操作することにより、「粒状欠陥」、「シミ状欠陥」および「ヒビ状欠陥」の中から、表示対象の欠陥の種類を選択することができる。
【0076】
スライダー(スライダーバー)L1およびL2は、被検査体画像IMG1の上に表示する欠陥の肉厚およびサイズを、それぞれ連続的または段階的に変更するためのGUIである。各スライダーL1およびL2には、それぞれヒストグラムH1およびH2が並べて表示されている。ヒストグラムH1およびH2は、それぞれ肉厚およびサイズごとの欠陥候補の検出度数の度数分布を示している。
【0077】
図6に示す例では、肉厚およびサイズの両方とも「全て」表示するように設定されており、被検査体OBJの全ての箇所の欠陥候補が表示されている。操作部14によりスライダーL1およびL2が操作(移動)されると、スライダーL1によって選択された肉厚の範囲内であって、スライダーL2によって選択されたサイズの範囲内の欠陥候補画像のみが表示され、それぞれの範囲外の欠陥候補画像は消去される。
【0078】
なお、本実施形態では、欠陥候補が検出された箇所の肉厚および欠陥候補のサイズをスライダーL1およびL2を含むGUIを用いて、連続的または段階的に変更することにより、表示対象の欠陥候補を選択できるようにしたが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、操作部14を介して、肉厚またはサイズを示す数値または数値の範囲(以下、数値等という。)の入力を受け付けて、入力された数値等に含まれる欠陥候補のみを選択的に表示するようにしてもよい。数値の範囲の入力を受け付ける場合には、操作部14を介して、上限値または下限値の入力を受け付けて、入力された肉厚またはサイズの上限値以下または下限値以上の欠陥候補のみが表示されるようにすればよい。
【0079】
また、本実施形態のスライダーL1およびL2と一緒に、スライダーL1およびL2によって指定された数値または数値の範囲をそれぞれ表示するようにしてもよい。スライダーL1およびL2と数値等を一緒に表示する場合には、制御部12により、スライダーL1およびL2の操作に応じて表示される数値等を更新するようにしてもよいし、操作部14からの数値入力に連動してスライダーL1およびL2を移動させるようにしてもよい。また、操作部14によるドラッグ操作、または、操作部14からの数値入力によって、各スライダーバーにおけるスライダーL1およびL2の幅、すなわち、スライダーL1およびL2によって指定可能な数値の範囲を変更可能としてもよい。例えば、スライダーL1の幅が1μmに指定された場合、スライダーL1の位置を基準として±0.5μmの範囲の欠陥候補のみが表示部18に表示されるようにすればよい。なお、ドラッグ操作によってスライダーL1およびL2の幅を変更する場合には、ドラッグ操作に連動して、スライダーL1およびL2の幅を示す数値を更新表示するようにしてもよい。
【0080】
図7Aから図7Dは、スライダーを移動させたときの表示の変化を示している。図7Aに示す例では、ヒストグラムH1およびH2において欠陥候補の検出数が最大の位置に、スライダーL1およびL2が移動されている。スライダーL1を欠陥候補の検出数が最大の位置に移動させることにより、欠陥候補の検出数が多い箇所、すなわち、欠陥の発生頻度が高いと考えられる箇所を特定することが可能になる。また、スライダーL2を欠陥候補の検出数が最大の位置に移動させることにより、読影者は、発生頻度の高い欠陥のサイズを推定することができる。
【0081】
図7Bに示す例では、スライダーL1およびL2により、被検査体OBJ内において肉厚が比較的薄い箇所であって、サイズが比較的小さい欠陥候補画像を表示するように設定されている。
【0082】
図7Cに示す例では、スライダーL1およびL2により、被検査体OBJ内において肉厚が比較的厚い箇所であって、サイズが比較的大きい欠陥候補画像を表示するように設定されている。
【0083】
図7Dに示す例では、スライダーL1およびL2により、被検査体OBJ内において肉厚が比較的厚い箇所であって、サイズが比較的小さい欠陥候補画像を表示するように設定されている。図7Dに示す例では、検査領域指定情報によって指定された検査領域を示す枠R1が表示されている。これにより、読影者は、欠陥の発生可能性が比較的高い箇所としてあらかじめ指定された検査領域を認識することができる。
【0084】
図8Aから図8Cは、本発明の一実施形態に係る表示制御の例(表示領域の変更)を示す図である。
【0085】
図8Aに示す例では、被検査体画像IMG1の上に部分拡大ウインドウW1が表示されており、部分拡大ウインドウW1の内部のみに欠陥候補画像D1が表示されている。この部分拡大ウインドウW1は、操作部14により移動させることが可能となっている。
【0086】
図8Bに示す例は、操作部14により、部分拡大ウインドウW1内の欠陥候補画像の表示を消去したものである。これにより、読影者は、部分拡大ウインドウW1によって拡大された領域の画像を詳細に観察することが可能になる。
【0087】
図8Cに示す例は、部分拡大ウインドウW1内の欠陥候補画像の表示を消去し、かつ、部分拡大ウインドウW1内の画像の濃淡を色相マップに変換したものである。これにより、変換前の画像では、観察することが困難な色の変化を読み取ることが可能になる。
【0088】
[欠陥検査方法]
図9は、本発明の一実施形態に係る欠陥検査方法における表示制御を示すフローチャートである。
【0089】
まず、欠陥検査装置10は、I/F16を介して、撮影システム100から、被検査体の画像(撮影画像データ)を含む被検査体撮影データD100を取得する(ステップS10:画像取得工程)。画像処理部22は、ステップS10において取得した撮影画像データに画像処理を施して、欠陥候補を検出する(ステップS12:画像処理工程)。制御部12は、ステップS10において取得した撮影画像データと、ステップS12における欠陥候補の検出の結果に基づいて、表示用画像を作成して表示部18に出力する。これにより、欠陥候補画像が付された被検査体画像IMG1が表示部18に表示される(ステップS14:表示工程)。
【0090】
次に、制御部12は、チェックボックスCB1、スライダーL1およびL2等のGUIを介して、表示対象の変更操作を受け付けると(ステップS16のYes)、変更操作にしたがって表示部18の表示を更新する(ステップS18:表示制御工程)。例えば、肉厚のスライダーL1が操作された場合に、スライダーL1によって指定された範囲の肉圧を有する部分の欠陥候補のみが表示される。
【0091】
読影者による検査が終了し、操作部14により、表示を終了させる指示が入力されると(ステップS20のYes)、欠陥の診断結果が診断結果データとして被検査体検査結果データD10の中に格納されて、記録部24に記録される(ステップS22)。
【0092】
本実施形態によれば、画像処理部22により欠陥候補を検出し、表示部18に表示すべき欠陥候補の特徴の範囲の指定を連続的または段階的に変更可能にすることでき、かつ、欠陥候補の表示対象を対話的に変更する操作するためのGUIを提供することが可能になる。これにより、読影者の経験や能力が欠陥の検出精度および検出効率に与える影響を小さくすることができ、かつ、読影者が一般的に検出が困難な、微小な欠陥または微弱な色相の変化を精度よく、効率的に検出することが可能になるので、欠陥の検出精度および検出効率を改善することができる。
【0093】
なお、本発明は、コンピュータに上記の処理を実現させるプログラム(欠陥検査プログラム)、または、このようなプログラムを格納した非一時的な記録媒体またはプログラムプロダクトとして実現することも可能である。このような欠陥検査プログラムをコンピュータに適用することにより、コンピュータの演算手段、記録手段等を、欠陥検査プログラムの画像取得機能、画像処理機能、表示機能および表示制御機能として機能させることが可能になる。
【符号の説明】
【0094】
10 欠陥検査装置
12 制御部
14 操作部
16 入出力インターフェース(I/F)
18 表示部
20 バッファメモリ
22 画像処理部
24 記録部
220 欠陥候補検出部
222 測定部
S10〜S22 表示制御の各工程
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図9