(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記荷電粒子遮断構造体の二次元パターンは、前記基板の表面に、隣接する荷電粒子ビームレットの間の予期された距離に対応しているピッチで配置された複数の遮断構造体を備えるか、又は前記荷電粒子遮断構造体の二次元パターンは、所定のパターンの複数の開口を備えた荷電粒子遮断層によって形成され、前記複数の開口は、前記基板の表面に、隣接する荷電粒子ビームレットの間の予期された距離に対応しているピッチで配置されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステム。
前記第一及び第二のアライメントセンサーの各々は、前記チャック位置マークを照明するための光源と、前記チャック位置マークでの反射によって相互作用した光を検出するための検出器を備えている、請求項1〜9のいずれか1項に記載のシステム。
前記第一及び第二のアライメントセンサーは、ビームスプリッターを備えた光学系をさらに備え、前記ビームスプリッターは、前記光源から供給された光ビームを前記チャック位置マークに向けて方向付けるとともに、前記チャック位置マークによって反射された光ビームの結果である反射光ビームを前記検出器に向けて方向付けるように配置されている、請求項10に記載のシステム。
前記光源は偏光ビームを供給するように構成されており、前記ビームスプリッターは、偏光ビームスプリッターであり、前記光学系はさらに4分の1波長板を備えている、請求項11に記載のシステム。
前記光学系は、さらに、前記光ビームを前記チャック位置マーク上に合焦させるように配置された合焦レンズを備え、前記4分の1波長板は、前記偏光ビームスプリッターと前記合焦レンズの間に配置されている、請求項12に記載のシステム。
前記周期構造は、第一の反射率をもつ領域が第二の反射率をもつ領域と交互に並んでいることによって形成されており、前記第二の反射率は前記第一の反射率と異なっている、請求項1〜16のいずれか1項に記載のシステム。
前記投影系は、複数の荷電粒子ビームレットを生成するためのビームレット発生器と、前記基板の前記表面に転写されるパターンにしたがって前記荷電粒子ビームレットを変調するための変調システムを備えており、前記投影系は、前記基板の前記表面上に前記変調されたビームレットを投影するようになっている、請求項1〜17のいずれか1項に記載のシステム。
前記投影系は、前記基板の表面上にビームグリッドを形成するスポットへ複数の荷電粒子ビームレットを投影するように構成されており、前記ビームグリッドの前記基板の表面に対する位置及び方位は、前記ビームグリッドの起点又は基準点を定めることによって定められる、請求項1〜18のいずれか1項に記載のシステム。
前記制御ユニットはさらに、露出されるべき前記基板の所望の位置を前記一つ以上の荷電粒子ビームレットが露出する第四の位置に前記チャックを移動させるようになっており、前記第四の位置は、前記一つ以上の荷電粒子ビームレットの前記一つ以上の特性と、前記第一、第二及び第三の測定されたチャック位置の測定値に基づいて決定される、請求項21に記載のシステム。
前記荷電粒子遮断構造体のナイフエッジを超えて前記荷電粒子ビームレットを走査することと、前記荷電粒子ビームレットが前記ナイフエッジを走査する際に、前記コンバーター要素によって放射された光の強度の変化を測定することを含む、請求項23又は24に記載の方法。
前記チャックの前記基板支持部分上に基板を載置し、前記基板上の基板位置マークが前記第一及び第二のアライメントセンサーと整列された第三の位置に前記チャックを移動させ、
前記第三の位置にある前記チャックの位置を測定して第三の測定されたチャック位置を決定することをさらに含む、請求項23〜25のいずれか1項に記載の方法。
露出されるべき前記基板の所望の位置を前記1つ以上の荷電粒子ビームレットが露出する第四の位置に、前記チャックを移動させ、前記第四の位置は、前記一つ以上の荷電粒子ビームレットの前記一つ以上の特性と、前記第一、第二及び第三の測定されたチャック位置の測定値に基づいて決定されること、をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下は、本発明のさまざまな実施形態の説明であり、それらは、単なる例として図に関連して与えられている。図は、スケールどおりに描かれておらず、単に説明目的のために意図されている。
【0026】
図1は、荷電粒子マルチビームレットリソグラフィシステム1の実施形態の簡略概略図を示している。そのようなリソグラフィシステムは、たとえば、米国特許第6,897,458号、第6,958,804号、第7,019,908号、第7,084,414号、第7,129,502号、第7,709,815号、第7,842,936号、第8,089,056号、第8,254,484号、米国特許出願公開第2007/0064213号、第2009/0261267号、米国第2011/0073782号、米国第2011/0079739号、米国第2012/0091358号に説明されており、それらは、本出願の出願人に譲渡されており、またそれらは、参照によってそのままここに組み込まれる。
【0027】
そのようなリソグラフィシステム1は、複数のビームレットを生成するビームレット発生器と、ビームレットをパターニングして変調ビームレットを形成するビームレットモジュレータと、変調ビームレットをターゲットの表面上に投影するためのビームレットプロジェクターを適切に備えている。
【0028】
ビームレット発生器は一般に、発生源と、少なくとも一つのビームスプリッターを備えている。
図1の発生源は、実質的に一様な膨張する電子ビーム4を作り出すようになっている電子発生源3である。電子ビーム4のビームエネルギーは、好ましくは、約1〜10のkeVの範囲内に比較的低く維持される。これを達成するため、加速電圧は好ましくは低く、また、電子発生源3は、グラウンド電位にあるターゲットに対して約−1ないし−10kVの間の電圧に維持されてよいが、他のセッティングが使用されてもよい。
【0029】
図1において、電子発生源3からの電子ビーム4は、電子ビーム4をコリメートするためのコリメータレンズ5を通る。コリメータレンズ5は、どんなタイプのコリメート光学系であってよい。コリメート前に、電子ビーム4は、ダブルオクタポール(図示せず)を通ってもよい。
【0030】
続いて、電子ビーム4は、ビームスプリッター、
図1の実施形態では開口アレイ6に衝突する。開口アレイ6は、好ましくは、複数の貫通孔を有しているプレートを備えている。開口アレイ6は、ビーム4の一部を遮断するようになっている。加えて、アレイ6は、複数の平行電子ビームレット7を作り出すように複数のビームレット7が通過することを可能にする。
【0031】
図1のリソグラフィシステム1は、多数のビームレット7、好ましくは10,000ないし1,000,000のビームレットを生成するが、もちろん、それよりも多数または小雨数のビームレットが生成されることも可能である。コリメートされたビームレットを生成するために他の既知の方法が使用されてもよいことに注意されたい。第二の開口アレイがシステムに追加され、それによって、電子ビーム4から複数のサブビームを作り出し、サブビームから複数の電子ビームレット7を作り出してもよい。これは、さらなる下流でのサブビームの操作を可能にし、それは、特にシステムにおけるビームレットの数が5,000以上であるとき、システム動作に有益である。
【0032】
ビームレットモジュレータは、変調システム8として
図1に表示されており、一般に、複数のブランカーの配列を備えているビームレットブランカーアレイ9と、ビームレットストップアレイ10を備えている。ブランカーは、一つ以上の電子ビームレット7を偏向させることが可能である。本発明の実施形態では、複数のブランカーは、より明確には、第一の電極と第二の電極と開口を備えた複数の静電偏向器である。そして、開口を横切って電場を生成するため、電極は、開口の反対側に配置されている。一般に、第二の電極は、グラウンド電極、すなわちグラウンド電位に接続されている電極である。
【0033】
電子ビームレット7をブランカーアレイ9の平面内に合焦させるため、リソグラフィシステムは、コンデンサーレンズアレイ(図示せず)をさらに備えていてよい。
【0034】
図1の実施形態では、ビームレットストップアレイ10は、ビームレットが通過することを可能にするための開口のアレイを備えている。ビームレットストップアレイ10は、その基本形態では、貫通孔が設けられた基板を備えており、貫通口は一般に丸穴であるが、他の形が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ビームレットストップアレイ10の基板は、貫通孔の規則的に離間したアレイを備えたシリコンウェーハから形成され、表面帯電を防止するために金属の表面層で覆われていてよい。いくつかのさらなる実施形態では、金属は、CrMoなど、自然酸化物被膜を形成しないタイプである。
【0035】
ビームレットブランカーアレイ9とビームレットストップアレイ10は一緒に動作してビームレット7を遮断するか通過させる。いくつかの実施形態では、ビームレットストップアレイ10の開口は、ビームレットブランカーアレイ9中の静電気偏向器の開口と整列されている。ビームレットブランカーアレイ9がビームレットを偏向させると、それは、ビームレットストップアレイ10中の対応の開口を通過しない。代わりに、ビームレットは、ビームレット遮断アレイ10の基板によって遮断される。ビームレットブランカーアレイ9がビームレットを偏向させないと、ビームレットは、ビームレットストップアレイ10中の対応の開口を通過する。いくつかの代替実施形態では、ビームレットブランカーアレイ9とビームレットストップアレイ10の間の共働は、ブランカーアレイ9中の偏向器によるビームレットの偏向が、ビームレットストップアレイ10中の対応の開口を通るビームレットの通過をもたらし、その一方で、非偏向が、ビームレットストップアレイ10の基板による遮断をもたらすようなものである。
【0036】
変調システム8は、制御ユニット60によって供給される入力に基づいてビームレット7にパターンを追加するようになっている。制御ユニット60は、データストレージユニット61と読み出しユニット62とデータコンバーター63を備えていてよい。制御ユニット60は、システムの残りから離れて、たとえばクリーンルームの内側部分の外側に配置されていてよい。光ファイバー64を使用して、パターンデータを保持している変調光ビーム14が、(プレート15として概略的に描かれた)ファイバーアレイ内のファイバーの端から、破線ボックスと参照番号18によって概略的に示されているリソグラフィシステム1の電子光学部分の中に光を投影するプロジェクター65に送信されてよい。
【0037】
図1の実施形態では、変調光ビームは、ビームレットブランカーアレイ9上に投影される。特に、光ファイバー端からの変調光ビーム14は、ビームレットブランカーアレイ9上に配置された対応の光感応素子上に投影される。光感応素子は、光信号を異なるタイプの信号たとえば電気信号に変換するようになっている。変調光ビーム14は、対応の光感応素子に接続された一つ以上のブランカーを制御するためのパターンデータの一部分を運ぶ。適切には、対応の光感応素子上に光ビーム14を投影するため、プロジェクター65などの光学素子が使用されてよい。加えて、適切な入射角での光ビーム14の投影を可能にするため、たとえばプロジェクター65とビームレットブランカーアレイ9の間に適切に配置されたミラーが含まれていてよい。
【0038】
プロジェクター65は、制御ユニット60の制御下でプロジェクター位置決めデバイス17によってプレート15と適切に整列され得る。その結果、プロジェクター65とビームレットブランカーアレイ9内の光感応素子の間の距離も変化し得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、光ビームは、少なくとも部分的に、光導波路によってプレートから光感応素子の方に搬送されてもよい。光導波路は、光感応素子に非常に近い、適切には1センチメートル未満の、好ましくは1ミリメートルほど離れた位置に光を導き得る。光導波路と対応の光感応素子の間の短い距離は光損失を低減する。他方では、荷電粒子ビームレットによって占領され得る空間から離して配置されたプレート15とプロジェクター65の使用は、ビームレット外乱が最小化されるとともに、ビームレットブランカーアレイ9の構築が複雑でない、という長所を持つ。
【0040】
ビームレットモジュレータから出て来る変調ビームレットは、ビームレットプロジェクターによってターゲット24のターゲット表面13上にスポットとして投影される。ビームレットプロジェクターは、一般に、変調ビームレットをターゲット表面13上で走査するための走査偏向器と、変調ビームレットをターゲット表面13上に合焦させるための投影レンズ系を備えている。これらのコンポーネントは、シングルエンドモジュール内にあってよい。
【0041】
そのようなエンドモジュールは、好ましくは、挿入可能な交換可能ユニットとして構成されている。エンドモジュールは、したがって、偏向器アレイ11と投影レンズ装置12を備えていてよい。挿入可能な交換可能ユニットはまた、ビームレットモジュレータと関連して上に論じられたようなビームレットストップアレイ10を有していてよい。エンドモジュールをあとに残した後、ビームレット7は、ターゲット面に配置されたターゲット表面13に衝突する。リソグラフィ用途において、ターゲットは、通常、荷電粒子感応層またはレジスト層が設けられたウェーハである。
【0042】
偏向器アレイ11は、ビームレットストップアレイ10を通った各ビームレット7を偏向させるようになっている走査偏向器アレイの形を取っていてよい。偏向器アレイ11は、比較的小さい駆動電圧の印加を可能にする複数の静電気偏向器を備えていてよい。偏向器アレイ11は、投影レンズ装置12の上流に描かれているけれども、偏向器アレイ11はまた、投影レンズ装置12とターゲット表面13の間に配置されてもよい。
【0043】
投影レンズ装置12は、偏向器アレイ11による偏向の前または後に、ビームレット7を合焦させるようになっていてよい。好ましくは、合焦は、直径約10ないし30ナノメートルの幾何学的スポットサイズをもたらす。そのような好ましい実施形態では、投影レンズ装置12は、好ましくは、約100ないし500倍、最も好ましくは可能な限り大きい、たとえば300ないし500倍の範囲内の縮小率を提供するようになっている。この好ましい実施形態では、投影レンズ装置12は、好都合に、ターゲット表面13に接近して配置されていてよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、ビームプロテクター(図示せず)は、ターゲット表面13と投影レンズ装置12の間に配置されていてよい。ビームプロテクターは、複数の適切に配置された開口が設けられたホイルまたはプレートであってよい。ビームプロテクターは、解放されたレジスト粒子状物質がリソグラフィシステム1中の感応素子のいずれかに到達し得る前に、それらを吸収するようになっている。
【0045】
投影レンズ装置12は、ターゲット表面13上の単一のピクセルのスポットサイズが正確であることを確実にし得る一方、偏向器アレイ11は、適切な走査動作によって、ターゲット表面13上のピクセルの位置がマイクロスケールで正確であることを確実にし得る。特に、偏向器アレイ11の動作は、ターゲット表面13上のパターンを最終的に構成するピクセルのグリッドにピクセルを合わせるようなものである。ターゲット表面13上のピクセルのマクロスケールの位置決めは、ターゲット24の下方にあるウェーハ位置決めシステムによって適切に可能であることが理解される。
【0046】
一般的に、ターゲット表面13は、基板の上にレジスト膜を備えている。レジスト膜の部分は、荷電粒子すなわち電子のビームレットの照射によって化学的に改変される。その結果、膜の照射部分は、現像液にいくぶん可溶性になり、ウェーハ上にレジストパターンをもたらす。ウェーハ上のレジストパターンは、続いて、すなわち、半導体製造の分野で知られているインプルメンテーション、エッチングおよび/または堆積ステップによって、下層に転写されることが可能である。明らかに、照射が均一でない場合、レジストは均一に現像されず、パターンの間違いを生じさせることがある。したがって、高品質投影が、複製可能な結果を提供するリソグラフィシステムを得るために問題とされる。照射の違いは、偏向ステップに起因しないはずである。
【0047】
図2は、モジュール式リソグラフィシステムの簡略ブロック図を示している。リソグラフィシステムは、好ましくは、保守の容易さを可能にするためにモジュール様式に設計されている。主要サブシステムは、好ましくは、自己完結型の取り外し可能なモジュールに構成されており、それにより、他のサブシステムに対する外乱が可能な限りなくリソグラフィ機械装置から取り除かれることが可能である。これは、機械装置へのアクセスが制限されている、真空チャンバーの中に閉じ込められているリソグラフィ機械装置にとって特に有利である。したがって、不完全なサブシステムは、不必要に他のシステムを分解または妨害することなく、すばやく取り外され交換されることが可能である。
【0048】
図2に示された実施形態では、これらのモジュール式サブシステムは、荷電粒子ビーム発生源101とビームコリメート系102を有している照明光学モジュール201と、開口アレイ103とコンデンサーレンズアレイ104を有している開口アレイおよびコンデンサーレンズモジュール202と、ビームレットブランカーアレイ105を有しているビーム切換モジュール203と、ビームストップアレイ108とビーム偏向器アレイ109と投影レンズアレイ110を有している投影光学モジュール204を有している。これらのモジュールは、アライメントフレームにスライドさせて出し入れされるようになっていてよい。
図2に示された実施形態では、アライメントフレームは、アライメント内側サブフレーム205とアライメント外側サブフレーム206を備えている。
図3を参照して論じられるように、投影光学モジュール204は、一つ以上のたわみ部によって、アライメント内側サブフレーム205とアライメント外側サブフレームの少なくとも一つに連結されていてよい。
【0049】
照明光学モジュール201と、開口アレイおよびコンデンサーレンズモジュール202と、ビーム切換モジュール203と、投影光学モジュール204の上記コンポーネントは、
図1のリソグラフィシステム1に対して同様のコンポーネントの機能に相当して動作するようになっている。
【0050】
図2の実施形態では、フレーム208は、振動減衰マウント207を介して、アライメントサブフレーム205および206を支持している。この実施形態では、ウェーハ130は、ウェーハテーブル209の上に乗っており、テーブルは、今度は、さらなる支持構造体210に載せられている。ウェーハテーブル209とさらなる支持構造体210の組み合わせは、以下では、チャック210とも称され得る。チャック210は、ステージショートストローク211およびロングストローク212の上に鎮座している。リソグラフィ機械装置は、真空チャンバー250の中に閉じ込められおり、チャンバーは、好ましくは、一つまたは複数のミューメタルシールド層215を有している。機械装置は、フレーム部材221によって支持された共通ベッド220の上に乗っている。
【0051】
各モジュールは、多数の電気信号および/または光信号と、その動作のための電力を必要とすることがある。真空チャンバーの内側のモジュールは、一般にチャンバーの外側に配置されている一つ以上の制御システム224からこれらの信号を受け取る。真空チャンバー250は、ケーブルのまわりの真空シールを維持しつつ、信号を運ぶケーブルを制御システムから真空ハウジングの中に通すための、ポートと称される開口を有している。各モジュールは、好ましくは、そのモジュールに専用の一つ以上のポートを通って取り回された電気的、光学的および/または電力ケーブル接続の集まりを有している。これは、特定のモジュールのためのケーブルが、他のモジュールのいずれかのためのケーブルを乱すことなく、切断され取り外され交換されることを可能にする。いくつかの実施形態では、パッチパネルが、真空チャンバー250内に設けられていてよい。そのパネルは、モジュールの一つ以上の接続を取り外し可能に接続するための一つ以上のコネクターを備えている。真空チャンバーの中に取り外し可能なモジュールの一つ以上の連結を通すため、一つ以上のポートが使用されてもよい。
【0052】
図3は、本発明の実施形態において使用され得るマルチビーム荷電粒子露出装置の一部分を概略的に示している。特に、
図3は、チャック313とも称される基板支持構造体の上方に配置された投影系311を示している。
【0053】
投影系311は、パターニングビーム318を受け取り、パターニングビーム318を表面に向けて方向付けるようになっている。パターニングビーム318は、ここにおいて「ビームグリッド」と称される表面上のエリアを照明するようになっている。パターニングビーム318は複数の荷電粒子ビームレット7を備えており、それらのビームレットは、好ましくは、グリッドフォーメーションに配された表面上のスポットに方向付けられてビームグリッドを形成する。基板表面312などの表面に対するビームグリッドの位置および方位を定めるため、ビームグリッドの起点または基準点は、たとえば、ビーム318のすべてのビームレットにわたって適合された最小二乗グリッドに配置された基準ビームの公称の合焦位置として定められてよい。
【0054】
表面は、チャック313の上に配置されたウェーハなどの露出される基板の表面312であってよい。代替的または付加的に、そのような表面は、チャック313に少なくとも部分的に連結され、好ましくはその中に組み込まれたビームレット測定センサーの測定面であってよい。好ましくは、チャック313は、たとえば制御ユニットに通信可能に結合された一つ以上の適切なアクチュエーターを使用することによって、投影系311に対して制御可能に移動可能である。
【0055】
投影系311は支持体363によって支持されている。
図3の実施形態では、支持体363は、多数の好ましくは三つのたわみ部372を介してフレーム371に連結されている。少なくとも三つのたわみ部372を使用することによって、支持体363の位置は、空間中に正確に定められ得る。たわみ部372は、弾性材料で構成されていてよい。たわみ部372は、
図3に概略的に示されるように、支持体363に凹部に接着されていてよい。加えて、たわみ部372は、フレーム371上に働く外力の支持体363の方への伝達を制限し得る。これは、フレーム371が、アルミニウムなどの高い熱膨張物質で構成されることを可能にする。アルミニウムの使用は、フレーム371を比較的軽量にするであろう。
【0056】
チャック位置は、チャック位置測定系によって測定され得る。
図3において、チャック位置測定系は、一つ以上の干渉計315を備えている。しかしながら、当業者に知られているように、他の位置センサー、また追加位置センサーが、同様に使用されてもよい。
図3の微分干渉計315は、チャック313に連結されたチャック位置ミラー314と、投影系311に連結された投影系位置ミラー316を備えている。微分干渉計315は、投影系311に対してチャック313の運動を検出または測定するようになっている。チャック位置センサー系は、二以上の方向の投影系311に対するチャック313の位置を検出する二つ以上の微分干渉計315を備えていてよい。マルチプル非微分干渉計が、チャック313の位置を測定するために使用されてもよい。
【0057】
図3の露出装置は、位置マークを検出および/または測定するための位置マーク測定系317をさらに備えている。一般に、そのような位置マークは、表面、たとえばチャック313のまたはチャックに取り付けられた表面、または処理される基板312の表面に設けられる。以下において、チャック313の表面にマークが設けられた場合、チャック位置マークが参照されてよい。加えて、処理される基板312にマークが配置された場合、ウェーハ位置マークが参照されてよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、支持体363には、アライメントセンサー361,362と表面の間の距離を測定するようになっている高さ測定系320が設けられている。高さ測定系は、一つ以上の静電容量式センサーを備えている静電容量式高さ測定系であってよい。高さ測定系は、アライメントセンサー361,362の中に組み込まれていてもよいし、別体であってもよい。チャック313の運動を制御するための一つ以上の適切なアクチュエーターは、アライメントセンサー361,362と表面の間の距離を変化させるようになっていてよい。
図2中の処理ユニット224などの制御ユニットは、高さ測定系320からの距離についての情報を受け取るようになっており、測定された距離を考慮して任意の望ましい調節をおこなうために一つ以上のアクチュエーターに運動情報を提供してよい。
【0059】
図4は、投影系311、たとえば、パターニングビーム318を基板313上に合焦させるための投影レンズの最終要素を示している
図3のリソグラフィシステム部分の実施形態の断面の一部を概略的に示している。この実施形態では、
図3の位置マーク測定系317は、第一のアライメントセンサー361と第二のアライメントセンサー362を備えている。第一のアライメントセンサー361は、y方向の位置マークの位置を検出するようになっている。第二のアライメントセンサー362は、x方向の位置マークの位置を検出するようになっている。両アライメントセンサー361,362は、位置マークを照明するための光発生源と、位置マークでの反射によって相互作用した光を検出するための検出器を備えていてよい。
【0060】
参照番号318はパターニングビームを指しており、その中心がドット364によって表示されている。アライメントセンサー361,362は、さらに、
図3に見られ得るように、投影系311を支持することにも関与する支持体363に取り付けられていてよい。この実施形態では、支持体363は、リング形状にされている。
【0061】
図3および4から、たとえば熱膨張による径方向の投影系311の膨張は、支持体363の膨張をもたらし得ることが理解され得る。しかしながら、ビーム318の位置は、必ずしも同様に変化せず、またはまったく変化しないこともある。ビーム318の位置とアライメントセンサー361,362の間の距離の変化を低減するため、支持体363は、好ましくは、ガラスセラミック、パイレックス(登録商標)および/またはゼロデュア(登録商標)などの低熱膨張材料で作られている。
【0062】
図5は、
図4中のアライメントセンサー361または362などのアライメントセンサーの実施形態を概略的に示している。アライメントセンサーは、光ビーム403を提供するための光発生源401と、光強度検出器410を備えている。好ましくは、アライメントセンサーはさらに、アライメントセンサーパフォーマンスの改善のための光学系405を備えている。
【0063】
光発生源は、所定の波長たとえば600〜650nmの範囲内の波長の光を提供するようになっている、レーザーなどの光発生器402を備えている。光発生源401は、光発生器402によって生成された光を光学系405の方に導くための光ファイバー404を備えていてよい。光発生源401のいくつかの実施形態は、光発生器402によって生成された光ビーム403をコリメートするためのコリメータレンズ406を有している。
【0064】
図2のアライメントセンサーの光学系405は、ビームスプリッター407と合焦レンズ410を備えている。ビームスプリッター407は、興味のある物体の表面、
図5ではチャック313上に配置された基板表面312に配置された位置マークに向けて光ビーム403を方向付けるようになっている。合焦レンズ408は、光ビーム403を表面312上に合焦させるようになっている。光ビーム403は、反射光ビーム409をもたらす表面312上の位置マークで反射する。ビームスプリッター407は、それから、反射光ビーム409を光強度検出器410に向けて方向付け得る。
【0065】
光強度検出器410は、光起電力モードで働くフォトダイオードまたは非バイアスシリコンPINダイオードを備えていてよい。このモードは、生成される熱量を、フォトダイオードのバイアスモード動作に対して低下させ得る。光強度検出器410はまた、フォトダイオードから電流を電圧に変換する演算増幅器を備えていてよい。そのような電圧はフィルター処理されてよい。フィルター処理された電圧は、それから、デジタル信号に変換されてよく、デジタル信号は、処理ユニット、たとえばアライメントセンサーが一部分であるリソグラフィシステムの処理ユニットによって使用されてよい。光強度検出器410の活性エリアは、ビームスプリッター407を去る反射光ビーム409の直径よりも小さいことがある。したがって、光学系405は、反射光ビーム409を光強度検出器410の活性エリア上に合焦させる、ビームスプリッター407と光強度検出器410の間に配置されたさらなる合焦レンズを備えていてよい。その結果、ビームスプリッター407を去る反射光ビーム409内のすべてのエネルギーが、光強度検出器410によって使用され得る。
【0066】
非偏光ビームスプリッターの場合では、アライメント光ビーム403の50%が表面312に向けて方向付けられる一方、他の50%は損失され得る。加えて、反射アライメント光ビーム409の50%だけが光強度検出器410に方向付けられる一方、他の50%は損失され得る。したがって、アライメント光ビーム403の75%は、位置検出に使用されない。
【0067】
したがって、偏光ビームスプリッター407は、アライメントセンサーの実施形態に使用され得る。その場合、光発生源401は、偏光アライメント光ビーム403を提供し得る。光発生源401は、非偏光ビームを偏光ビームに変換するようになっている、偏光フィルター412などの偏光子を備えていてよい。アライメント光ビーム403はS偏光ビームであってよく、それは
図5中にドットによって示されている。
【0068】
偏光ビームスプリッター407は、S偏光アライメント光ビームを表面に向けて導くようになっている。光学系は、四分の一波長板411を備えていてよく、それは、偏光ビームスプリッター407と合焦レンズ408の間に配置されていてよい。アライメント光ビーム403は、四分の一波長板411を通って移動したとき、その偏光をS偏光から右まわり円偏光に変え得、その円偏光は、
図5中に湾曲矢印によって示されている。アライメント光ビーム403が表面312によって反射されたとき、偏光が再び変わり得る。反射アライメント光ビーム409は左まわり円偏光を有し得、その円偏光は、
図5中に別の湾曲矢印によって示されている。反射アライメント光ビーム409が四分の一波長板411を通って移動したとき、その偏光は左まわり円偏光から、
図5中に直線矢印によって示されているP偏光に変わり得る。偏光ビームスプリッター407は、P偏光反射アライメント光ビームを光強度検出器410に向けて導くようになっていてよい。
【0069】
偏光アライメント光ビームと偏光反射アライメント光ビームと偏光ビームスプリッターの使用は、ビームスプリッター407における迷光と後方反射とエネルギー損失の低減をもたらし得る。さらに、偏光フィルター412は、光発生源401に戻る光の反射を最小にするようになっていてよい。
【0070】
アライメントセンサーのある実施形態では、合焦レンズ408は透明プレート413と協力してアライメント光ビーム403を表面312上に合焦させるようになっており、そのプレートは、アライメント光ビーム403と反射アライメント光ビーム409の両方を屈折させ得る。屈折は、透明プレート413の材料に依存する。
【0071】
高さ測定系420が、アライメントセンサーと表面312の間の距離hおよび/または表面312に対する高さ測定系420またはアライメントセンサーの傾斜を測定するために設けられてよい。高さ測定系420は、光学式高さ測定系または静電容量式高さ測定系であってよい。静電容量式高さ測定系は、微分静電容量式高さ測定系であってよい。
【0072】
アライメントセンサーと表面の間の距離hおよび/または表面312に対するアライメントセンサーの傾斜についての情報を使って、距離hおよび/または傾斜は、希望の距離および/または傾斜を得るまたは維持するように適合されてよい。
【0073】
ある実施形態では、チャック313の運動を制御するための一つ以上の適切なアクチュエーターが、距離hおよび/または傾斜を変化させるようになっていてよい。
図2中の処理ユニット224などの制御ユニットは、高さ測定系420から距離および/または傾斜についての情報を受け取り、その距離および/または傾斜上方を考慮して一つ以上のアクチュエーターに運動情報を提供して任意の所望の調整をおこなうようになっていてよい。
【0074】
図6は、チャック313に対するリソグラフィシステムの一つの可能な次元の定義を概略的に示しており、x、yおよびz方向と、Rx、RyおよびRz回転方向を示している。この示された配列では、x方向の運動は、チャックの水平並進移動を、y方向の運動は、x方向に垂直なチャックの水平並進移動を、z方向の運動は、xy方向に垂直なチャックの鉛直並進移動を表わしている。Rx方向の運動は、x軸周りのチャックの回転を、Ry方向の運動は、y軸周りのチャックの回転を、Rz方向の運動は、z軸周りのチャックの回転を表わしている。
【0075】
図6中の矢印は、各方向の符号の定義すなわち正の運動を示している。それから、矢印の反対の方向は、その方向の負の運動と定義されてよい。本発明の実施形態は、この定義に合致する座標系に従って説明されるが、ここに説明される測定および運動方向を説明するために他の定義が使用されてもよい。さらに、
図6に描かれた方向の定義は、リソグラフィシステムの異なる座標フレームに使用されてもよい。たとえば、
図6の場合では、定義は、チャック313の位置と運動を定義するためのチャックの座標フレームを定義するために使用されてよい。この座標フレームはチャック座標フレームと称されてよく、この座標フレーム内の位置は、チャック座標で定義されると称されてよい。
【0076】
あるいは、
図6に描かれた方向の定義は、基板313などのターゲットの位置と運動を定義するためのターゲットの座標フレームを定義するために使用されてよい。
【0077】
また別の代案では、
図6に描かれた方向の定義は、マルチプルビームレットのビームグリッドの位置と、パターニングビーム318などのそのようなビームグリッドの起点または基準点を定義するためのビームグリッド座標フレームを定義するために使用されてよい。それから、ビームグリッドのx軸は、たとえば、起点を通って、ビームグリッド上のビームレットの列に平行に延びており、一方、y軸は、起点を通ってx軸に垂直に延びている。それから、z軸は、起点を通って延びており、パターニングビーム318の焦点面に垂直である軸と定義されてよい。
【0078】
たとえば座標[x,y,z,Rx,Ry,Rz]を有している位置測定系317の座標フレームは、ビーム318のビームグリッドの起点に配置されたチャック座標フレームの座標[x,y,z]を指してよく、一方、位置測定系317によって測定されたチャック313の回転[Rx,Ry,Rz]は、ビームグリッド座標フレームに対して測定されてよい。
【0079】
図7は、
図3のリソグラフィシステム部分に使用され得るチャック313の上面図を概略的に示している。チャック313は、パターニングされる基板312たとえばウェーハを支持するために使用される基板支持部分450を備えている。チャック313はさらに、一つ以上のビームレットパラメーターを検出するためのビームレット測定センサーの少なくとも一部を提供するためのビームレット測定センサー部分460を備えている。ビームレット測定センサー部分460は、荷電粒子ビームレットの受けるためのビームレット測定センサー500の表面501を支持し得るかそれを付着し得た。ビームレット測定センサーの実施形態に関するさらなる詳細は、
図8と
図9aと
図9bと
図12を参照して論じられる。チャックはまた、位置マーク610,620,635を提供するための、たとえば支持するため、またはそれに付着させた位置マーク部分470を備えている。位置マークの実施形態に関するさらなる詳細は、
図10aと
図10bと
図11と
図12を参照して論じられる。位置マーク部分470は、
図7の実施形態ではビームレット測定センサー部分460に描かれているが、これらは、チャック313の個別のエリアに代替的に配置されてもよい。
【0080】
好ましくは、チャック313はまた、表面485と基準チャック位置マーク490,495を備えている基準プレート480が設けられている。基準チャック位置マーク490,495は、好ましくは、表面上は、第一および第二のアライメントセンサー361,362の間のセパレーションと同じセパレーションに、好ましくは同じ空間的配列になっている。基準チャック位置マーク490,495は、たとえばx方向とy方向の読み取りおよびアライメントのための2次元マークであってよい。別のオプションは、別々に方向づけられた1次元基準チャック位置マーク490,495を使用することである。基準プレート480の使用に関するさらなる詳細は、
図14aと
図14bを参照して論じられる。
【0081】
図8は、荷電粒子ビームレットの一つ以上の特性の測定のためのセンサー500の動作を概略的に示している。センサーは、荷電粒子ビームレットの受けるための表面501を備えており、それは、この実施形態では、コンバーター要素から成る。表面501には、荷電粒子遮断構造体508と、非遮断領域とも称される荷電粒子透過領域を備えているパターンが設けられている。コンバーター要素501は、荷電粒子502を受け、受けた荷電粒子のエネルギーを使用して光子503を生成するようになっている。光子503は、光学系511によって光子レセプター505の方に方向付けられ得る。光子レセプター505は、計算ユニット、たとえば荷電粒子502の一つ以上の特性を測定するためのコンピューター513に通信可能に連結されている。
【0082】
表面501のコンバーター要素は、蛍光要素、たとえば蛍光スクリーン、または、シンチレーティング要素、たとえばドープされたイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)材料の基板の形を取っていてよい。以下では、コンバーター要素501としてYAGスクリーンが使用されている本発明の実施形態が説明されるが、そこでは、YAGスクリーンはYAG501とも称され得る。
【0083】
光子レセプター505は、複数のダイオード、電荷結合デバイス(CCD)カメラ、相補型金属酸化膜半導体(CMO)カメラなど、任意の適切な光感応検出器を有していてよい。以下では、光子レセプター505はカメラ505とも称され得る。
【0084】
本発明の実施形態は、任意のタイプの荷電粒子502に対して使用されてよいが、以下では、本発明の実施形態は、電子に関連して論じられる。
【0085】
ビームレットサイズがナノメートル範囲にある電子ビームレットデバイス、たとえば電子顕微鏡、電子ビームリソグラフィー装置、電子ビームパターン発生器では、コンバーター要素501の波長によって分解能が制限されるので、コンバーター要素501による変換によって作り出された光子の直接観測は、電子ビームレットの位置などの特性の測定を可能にするには不十分である。
【0086】
精度を改善するため、電子ビームレットは、ナイフエッッジとも称される鋭いエッジが設けられた電子遮断構造体を横切って走査され得る。ナイフエッジを備えたコンバーター要素を使用しているセンサーの一例は、米国特許出願2007/057204に説明されており、それは、参照によってそのままここに組み込まれる。
【0087】
図9aは、電子遮断構造体が設けられた電子ビームレット受け表面を備えているYAG501の断面を概略的に示している。電子遮断構造体は、電子を遮断することが可能である層521が設けられた複数の電子遮断領域を備えている。遮断層521は金属層であってよい。電子を遮断するための適切な金属はタングステンである。遮断領域の間には、非遮断領域がある。電子遮断構造体の非遮断領域上に衝突する電子ビームレット527は、YAG501の表面上に、またはYAG501の表面上のコーティングに実際に衝突する。
【0088】
電子を遮断するための部分内では、遮断層521に加えて、追加層525が存在していてよい。追加層525は、金属層であってよく、遮断層521のエッジ鮮明度を増大させる目的に役立ち得る。これは、遮断層エッチングプロセスに耐性がある追加層材料を選択することによって達成される。タングステンが遮断層材料に選択されたとき、追加層525に適切な材料はクロムである。
【0089】
YAG501は、入って来る荷電粒子ビームレットたとえば電子ビームレット527の結果としてYAG501の帯電を防止するための導電コーティング層523で覆われていてよい。代替的に、または付加的に、コーティング層523は、背景放射、特に電子などの荷電粒子の受け取りに応じてYAG501によって生成される光と同様の波長をもつ周辺光を防止するために使用される。コーティング層523の適切な材料は、アルミニウムとチタンを含んでいる。
【0090】
前述したように、電子ビームレット527の位置を測定するため、電子ビームレット527は、YAG501上に設けられた遮断構造体上を(
図9AではX方向と表示された方向に)走査され得る。それに応じて、YAG501内で生成された光が、カメラによって検出され得る。そのような走査および検出動作の代表的結果が、
図9bに概略的に描かれている。
【0091】
図9bは、YAG501などのコンバーター要素によって発せられた光の強度を、コンバーター要素の表面上の電子ビームレットのx位置の関数として表わしているグラフを示している。電子ビームレットが非遮断領域に完全に配置されたときに最大の応答が観察され、また、電子ビームレットが遮断構造体の上面に完全に配置された場合に最小の光が生成される。ナイフエッジの横断は、光強度の急激な変化をもたらす。
【0092】
コンバーター要素表面の電子受け表面に設けられたナイフエッジパターンの知識は、ビームレット位置やビームレットスポットサイズなどのビームレット特性の測定を可能にし、ここで、スポットサイズは、YAG501の表面上のビームレットのサイズに関係している。
【0093】
ビームレット位置は、コンバーター要素の表面を横切ってx方向にビームレットを走査するとともに、コンバーター要素によって発せられた光の強度が、
図9bに示されるように、最大値から最小値に、または最小値から最大値に変化する位置を測定することによって測定されることが可能である。たとえば、強度が最大値から最小値に変化するとき、これは、ビームレットがナイフエッジを越えて走査され、非遮断領域から遮断領域にx方向に推移することを示している。
【0094】
ビームレットスポットサイズは、ビームレットがナイフエッジを横切って走査された時に、強度が最大値から減少し始めた点と、強度が最小値に到達した点の間の距離を測定することによって測定されることが可能である。これは、ビームレットが部分的に遮断されており、かつ部分的に遮断されていない距離を示している。同様に、ビームレットサイズは、ビームレットがナイフエッジを横切って走査された時に、最大強度を感知したときと最小強度を感知したときの間の時間を測定し、ビームレットの走査速度を乗算することによって測定されることが可能である。これらの測定は、ビームレットが最小強度から最大強度に動く反対側のナイフエッジについておこなわれることも可能である。
【0095】
図9bに示された測定は、関係する遮断領域と非遮断領域の幅よりも小さい寸法を有しているビームレットに関していることに注意されたい。これらの寸法と幅は、使用される走査方向に平行な方向に沿って取られている。
【0096】
チップ設計は一般にマルチプルパターン層を備えており、これは、同じ基板が、複数回、すなわち1層あたり一つ以上のセッション、パターニングされなければならいことを意味している。パターンを提供する第一および第二のセッションの間、リソグラフィシステムから基板が取り除かれる必要があることがある。その場合、第二のセッションのパターン位置が第一のセッションのパターン位置と一致することが要請され得る。このいわゆるオーバーレイ要請は、位置マーク測定系で検出されることが可能である基板上の位置マークを使用することによって満たされることが可能である。この処置は、一つ以上の基板位置マークを検出する位置マーク測定系とビームグリッドの間のベクトル距離が時間経過とともに著しく変化しないという前提のもと、パターニングされるすべての基板層が、同じリソグラフィシステムにおいてパターニングされるならば、十分に正確であり得る。しかしながら、複数の基板層のパターニングのために複数のリソグラフィシステムが使用されるならば、または、
図2に示されるシステムなどのモジュール式リソグラフィシステムの場合に、異なる投影光学モジュールが使用されるならば、位置マーク測定系と複数のパターニングビームレットの間のベクトル距離は、1層ごとに著しく変わってしまうであろう。
【0097】
荷電粒子ビームレットと基板の間の関係を直接測定することは可能ではない。しかしながら、この発明の発明者らは、そのような関係が、上に説明されたようなビームレット測定センサー500と一つ以上のアライメントセンサー361,362を備えている位置マーク測定系317を使用して定められ得ることを悟った。さらに、ビームレット測定センサー500のコンバーター要素表面501に、ビームレット測定センサーによって使用されることが可能である二次元パターンと、位置マーク測定系によって使用されることが可能である二次元パターンが設けられてよい。
【0098】
十分に正確なオーバーレイを達成するため、本発明者らは、チャックのあらゆる位置においてビームグリッド対位置マーク測定系ベクトルを再生することが可能であること、すなわち、基板表面上のビームレットとチャック位置の相対位置を再生することが可能であることが重要であることを悟った。いろいろのアライメントセンサー測定の間またはビームセンサー測定とアライメントセンサー測定の間に、チャックが回転するならば、この再生可能性は、はるかに複雑である。筋書きを可能な限りシンプルに保つため、チャック313のRx、RyおよびRz位置は、すべての位置マーク測定系およびビームレットセンサー測定について固定されていてよい。
【0099】
図10aは、本発明の実施形態において使用され得るビームレット測定センサー500のコンバーター要素501の一部分に設けられた荷電粒子遮断構造体610a,610bの二次元パターン610の配列600の概略上面図を示している。パターン610は、チャック313上のビームレット測定センサー部分460上に設けられていてよい。二次元パターンは、遮断および非遮断領域の間の変わり目に一つ以上のナイフエッジを形成する。
図8と
図9aと
図9bを参照して説明されたように、一つ以上の荷電粒子ビームレットの特性たとえばそれらの位置は、二次元パターン610上にビームレットを適切に走査し、それに応じてコンバーター要素501によって生成される光を評価によって測定され得る。
【0100】
荷電粒子遮断構造体610a,610bの二次元パターンはさらに、チャック位置マークとして使用されることが可能であるようなやり方で形づくられている。これは、たとえば、荷電粒子遮断構造体の二次元パターン610が、異なる高さレベルまたは異なる反射率をもつ、またはアライメントセンサーによって(それらを)識別可能にする他の適切な特質をもつ複数のエリアをもたらすことを手配することによって定められ得る(注、この文脈における二次元は、構造体がさまざまな高さを有していることが可能でないことを示してはいない)。
【0101】
たとえば、荷電粒子遮断構造体610a,610bは、コンバーター要素表面501の上部に一つ以上の追加層を提供し、遮断構造体610a,610bの上部表面と、遮断構造体によって覆われていないコンバーター要素の表面501との間の高低差をもたらしてもよい。したがって、荷電粒子遮断構造体に衝突するアライメントセンサー361やアライメントセンサー362などのアライメントセンサーから発生する光は、より小さい軌道に沿って移動し、したがって、荷電粒子遮断構造体によって覆われていないエリアに衝突する光よりも早く反射する。二次元パターン610が周期構造の形を取る場合、位相格子が作られることがある。別の例では、荷電粒子遮断構造体610a,610bの上部表面は、荷電粒子遮断構造体によって覆われていないコンバーター要素の表面501とは違った、アライメントセンサーによって使用される波長に対して異なる反射率を有している。したがって、荷電粒子遮断構造体に衝突するアライメントセンサー361やアライメントセンサー362などのアライメントセンサーから発生する光は、荷電粒子遮断構造体によって覆われていないエリアに衝突する光とは違った、異なる仕方で反射する。パターンが周期構造の形を取る場合、反射振幅格子が作られることがある。
【0102】
図10aに示された二次元パターン610は、二つの格子610a,610bたとえば位相格子または反射振幅格子を備えている。格子610aは、x位置を測定するためのアライメントセンサーたとえば
図3のアライメントセンサー362に対してチャック位置マーク610を整列させるために使用されてよい。同様に、格子610bは、y位置を測定するためのアライメントセンサーたとえば
図3のアライメントセンサー361に対して位置マークを整列させるために使用されてよい。
【0103】
図10bは、本発明の他の実施形態において使用され得るビームレット測定センサー500のコンバーター要素501の一部分上に設けられた二次元パターンの別の配列605の概略上面図を示している。パターンは、アライメントセンサーによって検出可能なチャック位置マークを形成している二次元パターン620と、荷電粒子遮断構造体631の二次元パターン630を備えている。
【0104】
チャック位置マークを形成しているパターン620は、格子620aと格子620bを備えている。格子620a,620bは、位相格子、反射振幅格子、またはアライメントセンサーと一緒の使用に適切な分野の当業者に知られているいかなる他の格子であってよい。格子620aは、x位置を測定するためのアライメントセンサーたとえば
図3のアライメントセンサー362に対してチャック位置マークを整列させるために使用されてよい。同様に、格子620bは、y位置を測定するためのアライメントセンサーたとえば
図3のアライメントセンサー361に対して位置マークを整列させるために使用されてよい。
【0105】
荷電粒子遮断構造体のパターン630は、複数の円形遮断構造体631を備えている。好ましくは、円形遮断構造体631は、ビームレット測定センサー500のコンバーター要素の表面に、隣接する荷電粒子ビームレットの間に予期されたまたは理論的な距離に対応しているピッチをもって配置されている。その場合、各ビームレットは、ビームレット位置などの一つ以上の問題とされるビームレットパラメーターを識別するため、対応の円形遮断構造体630上に走査されてよい。図面には、均一サイズの円形遮断構造体631が示されているが、構造体は変動するサイズを有していてもよく、また、円形構造体以外の形状が使用されてもよい。
【0106】
表面501上のパターンの異なる部分が、一つまたは複数のアライメントセンサーと一つのビームレット測定センサーのために使用されるとき、チャック位置マークを形成しているパターン620と、荷電粒子遮断構造体631のパターン630は、互いに所定の空間的関係を有していることが好ましい。所定の空間的関係を知ることは、一つまたは複数のアライメントセンサーと一つのビーム測定系によってなされた測定の相関を可能にし、ビームグリッドと位置マーク測定系の間の相対位置が測定されることが可能である速度を改善し得る。
【0107】
好ましくは、二つのパターン620,630の間の空間的関係は、チャック位置マークの中心が遮断構造体の二次元パターンの幾何学的中心と一致するようなものである。遮断構造体のパターンの幾何学的中心は、すべての周囲の遮断構造体に向かう距離の平方の和が最小である位置として定義されてよい。
図10bの二次元パターンの遮断構造体の幾何学的中心は、参照番号640によって示されている。
【0108】
複数の遮断構造体の代わりに、複数の開口を備えた荷電粒子遮断層が使用されてもよい。
【0109】
図11は、本発明の実施形態において使用され得るビーム測定センサーのセンサー表面501上に設けられた荷電粒子遮断構造体635の概略上面図を示している。特に、複数の荷電粒子遮断構造体635は、
図10bに示された円形遮断構造体631の代わりに使用されて得る。荷電粒子遮断構造体635は、遮断構造体635内の遮断および非遮断領域の間の変わり目にマルチプルナイフエッジを形成している。荷電粒子遮断構造体635上に走査される荷電粒子ビームレットは、一般に、構造体631などの実質円形構造体上に走査されるよりも多くのナイフエッジ変わり目を通過する。その結果、ビームレットの位置は、より多くの精度で測定され得る。
【0110】
図10bと
図11に示された構造体は、ビームレット測定センサー表面部分460全体を覆っておらずに、その表面460のある領域を単に覆っていてもよい。
図12は、
図10bに示された二次元パターンを有している四つの領域605を備えているチャック313上のビームレット測定センサー部分460全体の概略上面図を示している。複数の領域605の使用は、測定の信頼度を改善する。たとえば、領域605の一つが汚れたならば、別の領域605が使用されてよい。さらに、複数の領域605で得られた測定値は、アライメントの精度を改善し得る。さらに、いくつかの領域605は、スケールパラメーターを測定する可能性を生み出すために他のものとは異なる寸法を有していてよい。
【0111】
図13は、上に説明したような、ビームレット測定センサー500と、アライメントセンサー361,362と、位置マーク610,620,635と、投影系311と、チャック313の配列を示している。この実施形態では、ビームレット測定センサー500の表面501と位置マーク610,620,635は、チャックの同じエリアに配置されており、単一構造に組み合わせられていてよく、たとえば位置マーク610,620,635は、ビームレット測定センサー500の表面501に形成されていてよい。ビームレット測定センサーの表面501と位置マークは、チャックの表面に固定され、たとえば、チャックの上部または側部表面に直接取り付けられていても、または、取り付けブラケットを使用して上部または側部表面に固定されていてもよい。表面501は、投影系311に面して据えられており、位置マークは、アライメントセンサー361,362の少なくとも一つに面して据えられている。
【0112】
この実施形態では、表面501は、先に説明されたように、荷電粒子ビーム502によってその上部表面がたたかれたときにその底面から発せられる光子503を生成するコンバーター要素を備えている。光学系511と光子レセプター505はチャック313の下方に配置されており、また、コンバーター要素501によって発せられた光子503の光学系511と光子レセプター505に向けての通過を可能にするためにチャック313に穴が形成されている。
【0113】
チャック313の運動をリソグラフィシステムが正確に測定し、チャック位置の軌道を保つことを可能にするためにチャック初期化処置が使用されてよい。チャック位置センサー系が、
図3の微分干渉計315などの微分干渉計を使用する場合、そのような干渉計は相対位置を単に測定するので、システムは、チャック313の現在位置を測定することが可能であるために初期化される必要がある。チャックの初期化は、リソグラフィシステムのあるパーツが交換される場合か、干渉計がその測定信号を失ったときにおこなわれてよい。
【0114】
チャック313を移動させるためのアクチュエーターシステムは、チャック313の大まかな位置を測定するセンサーまたはエンコーダを有していてよい。初期化は、さらなるチャックの運動が干渉計からの測定データを使用して制御されることが可能である十分に正確な限度内でチャックに313を既知の位置に持って来る粗い初期化処置から始まってよい。
【0115】
チャック初期化の第一のステップにおいて、チャック313は、
図14aに示されるように配置されていてよく、基準チャック位置マーク490,495が、それぞれ、アライメントセンサー362,361によって読み取られることが可能であるように、アライメントセンサー362,361の真下の位置に移動させる(概略的に矢印650によって示される)。この位置は、
図14bに概略的に示されている。
【0116】
チャック313を移動させるためのアクチュエーターシステムは、それから、アライメントセンサー362,361に対する基準チャック位置マーク490,495の最良の適合アライメントを得させるようにチャック313を移動させる。たとえば、マーク490,495の位置の四つのマーク読み取り、二つのアライメントセンサー362,361のおのおのについてx方向にひとつとy方向にひとつがとられてよく、チャックは、アライメントセンサー362,361の位置からのマーク490,495の位置の偏差の平方の和を最小化にする位置に、xおよびy方向に移動され、Rz方向に(z軸の周りに)回転されてよい。これは、アライメントセンサー361,362に対するチャック313の既知のx、yおよびRz位置を定義する。
【0117】
好ましくは、第二のステップにおいて。チャック313は、基準プレート480がアライメントセンサー361,362の下に配置され、高さ測定系320または420などの高さ測定系は、基準プレート480の表面485までのアライメントセンサー361,362の距離を測定する。この高さ測定に基づいて、チャック313は、基準プレート表面485が高さ測定系の所定の平面内にあるように、必要なときに、z方向に移動され、Rx方向とRy方向に回転され得る。この第二のステップは、したがって、アライメント水準センサー361,362に対するz、Rx方向およびRy方向のzのチャック313の基準位置を定義し得る。
【0118】
最後に、最後に得られた位置に関する測定値が、x、y、z、Rx、RyおよびRz方向のチャック初期化位置として格納されてよい。そのような格納された位置は、その中の[x,y,z,Rx,Ry,Rz]座標として表わされてよい。初期化位置は、微分干渉計の開始位置として使用されてよく、6自由度位置であり、アライメントセンサー361,362に対する(x、yおよびRzについての)、また好ましくは所定の高さ測定系平面に対する(z、RxおよびRyについての)基準プレート480のアライメントによって得られたチャックの座標を定義している。
【0119】
チャック初期化位置の再現性は、リソグラフィシステムの測定系の較正の再現性に影響し、それはまた、すべての他の位置測定の精度に影響を与える。
【0120】
たとえば、
図14aと
図14bを参照して論じられた初期化手順の実行によって、チャック上の基準位置が既知であるならば、チャック313は、初期化位置に対して所定の位置に移動されてよい。そのような所定の位置は、ビームレット測定センサー部分460とそこに配置されたマークの場所を含んでいる。さらに、リソグラフィシステムのプロセッサーユニットは、一つ以上のアライメントセンサー361,362を備えたチャック位置マークのアライメントが、期待されている位置についての知識を有している。
【0121】
位置マーク測定系すなわちアライメントセンサー361,362に対するパターニングビーム318またはビームグリッドの相対位置を得るため、第一の動作において、チャック313は、ビームレット測定センサー部分460をビームレット投影系の下に位置決めするように移動されてよい。それから、パターニングビーム318またはその所定の部分は、たとえば
図10aと
図10bと
図11と
図12を参照して論じられたような遮断構造体の二次元パターンに対して整列される。この位置におけるチャック313の座標は、
図15aに示されており、それから、たとえば初期化位置に対する位置として、パターニングビーム位置として格納される。
【0122】
次のステップにおいて、チャック313は、ビームレット測定センサー部分460にチャック位置マークをアライメントセンサーの下に位置決めするように移動されてよい。好ましくは、チャック位置マークは、パターニングビーム位置を測定するために使用される荷電粒子遮断構造体の二次元パターンと所定の空間的関係を有している。
図15bは、チャック位置マークがアライメントセンサー361と整列された状態を示している。アライメントが得られたチャック位置は、たとえば初期化位置に対する位置として格納されてよい。
【0123】
次のステップにおいて、チャック313は、アライメントセンサー362がチャック位置マークに対して粗く整列される位置に移動されてよい。
図15cは、この状態を示している。それから、チャック位置マークがアライメントセンサー362と整列されたチャック位置が得られ、たとえば初期化位置に対する位置として格納される。
【0124】
上述の手順は、特定の順番で、パターニングビーム位置の第一の測定に、一つのアライメントセンサー361のアライメント位置の測定を続けて、それに今度は他のアライメントセンサー362のアライメント位置の測定を続けて論じられたが、これらの測定は、任意の順番でおこなわれてよい。
【0125】
測定されたパターニングビーム位置とアライメント位置の一方または両方に基づいて、アライメントセンサー361のアライメント位置に対するパターニングビームの相対位置と、アライメントセンサー362のアライメント位置に対するパターニングビームの相対位置が導かれることが可能である。これらの相対位置は、ベクトル距離として計算されてよい。たとえば、パターニングビームの第一の基準位置[x1,y1](ビームレットのグリッドの幾何学的中心など)が、ビームレット測定センサーとチャック位置センサー系によって得られた測定値から決定され得る。アライメントセンサーの第二の基準位置[x2,y2]が、アライメントセンサーとチャック位置センサー系によって得られた測定値から決定され得る。これらの二つの基準位置は、単一の座標系と、座標系中の二つの基準位置の間で測定されたベクトル、たとえばベクトル[x,y]第一のアライメントセンサーに対するビームグリッド中心で表現されてよい。
【0126】
図16aは、パターニングされる基板312がチャック313の基板支持部分450内に配置されているチャック313の概略上面図を示している。基板312には、明りょうさのために一つだけが示されている複数のフィールド700が設けられている。一般に、パターンは、そのようなフィールド700内において基板312上に転写されるものである。基板312上の所定の位置には、たとえば、
図16a〜
図16cに描かれているように、フィールド700のエッジのまわりには、一つ以上の基板位置マーク705,706が配置されている。フィールド700と基板位置マーク705,706の寸法は、明りょうさの理由から、基板312の寸法に比べて誇張されていることに注意されたい。
【0127】
アライメントセンサー361,362はいま、一つ以上の基板位置マーク705,706の位置を測定し、また、基板312上のフィールド700が配置されているそれらの位置に基づいて、好ましくはそれらの方位も測定する。そのような測定の一例が
図16bに描かれており、そこでは、アライメントセンサー361が基板位置マーク705と整列されている。
【0128】
基板700上の一つ以上の基板位置マーク705,706のアライメント位置を定めた後、チャック313は、フィールド700のパターニングを可能にする走査運動(矢印によって描かれている)の開始に適切な位置に移動されることが可能である。パターニングのための適切な位置は、一つ以上の基板位置マーク705,706の定められたアライメント位置と、一つ以上の基板位置マーク705,706とフィールド700の間の所定の空間的関係と、
図15a〜
図15cを参照して論じられた手順を使用して定められたアライメントセンサー361,362に対するパターニングビーム318の相対位置に基づいて決定される。
【0129】
上に論じられたいくつかの実施形態に関連して本発明が説明された。これらの実施形態は、本発明の要旨から逸脱することなく、この分野の当業者に良く知られているさまざまな修正および代替形態が可能であることと認められ、本発明は、添付の請求の範囲に定められている。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 基板の表面にパターンを転写するためのマルチビームレット荷電粒子ビームレットリソグラフィシステムであり、
前記基板の前記表面上に複数の荷電粒子ビームレットを投影するための投影系と、
前記投影系に対して移動可能なチャックと、
前記荷電粒子ビームレットの一つ以上の一つ以上の特性を測定するためのビームレット測定センサーを備えており、前記ビームレット測定センサーは、前記荷電粒子ビームレットの一つ以上を受けるための表面を有しており、
さらに、位置マークの位置を測定するための位置マーク測定系を備えており、前記位置マーク測定系はアライメントセンサーを備えており、
前記チャックは、前記基板を支持するための基板支持部分と、前記ビームレット測定センサーの前記表面を提供するためのビームレット測定センサー部分と、位置マークを提供するための位置マーク部分を備えている、マルチビームレット荷電粒子ビームレットリソグラフィシステム。
[2] 前記ビームレット測定センサーの表面は、前記位置マークと所定の空間的関係を有している、[1]に記載のシステム。
[3] 前記ビームレット測定センサーの前記表面と前記位置マークは、単一構造体に組み合わせられている、[2]に記載のシステム。
[4] 前記位置マークは、前記ビームレット測定センサーの表面に形成されている、[3]に記載のシステム。
[5] 前記ビームレット測定センサーの前記表面と前記位置マークは、前記チャックの表面に固定されている、先行請求項のいずれかひとつに記載のシステム。
[6] 前記アライメントセンサーは、前記位置マークを照明するための光発生源と、前記位置マークでの反射によって相互作用した光を検出するための検出器を備えている、先行請求項のいずれかひとつに記載のシステム。
[7] 前記ビームレット測定センサーの前記表面は、荷電粒子を受けてそれに応じて光子を生成するためのコンバーター要素を備えている、先行請求項のいずれかひとつに記載のシステム。
[8] 前記一つ以上の荷電粒子ビームレットを受けるための前記ビームレット測定センサーの前記表面には、遮断および非遮断領域の間の変わり目に一つ以上のナイフエッジを形成している所定のパターンの一つ以上の荷電粒子遮断構造体が設けられている、先行請求項のいずれかひとつに記載のシステム。
[9] 前記所定のパターンの一つ以上の荷電粒子遮断構造体は、前記位置マークと所定の空間的関係を有している、[8]に記載のシステム。
[10] 前記ビームレット測定センサーの前記表面にはさらに、前記位置マークを形成している所定のパターンの光遮断構造体が設けられている、[8]に記載のシステム。
[11] 前記所定のパターンの一つ以上の荷電粒子遮断構造体は、前記位置マークを形成している、先行請求項のいずれかひとつに記載のシステム。
[12] 前記所定のパターンの一つ以上の荷電粒子遮断構造体の幾何学的中心は、前記位置マークの中心と一致している、[8]〜[11]のいずれかひとつに記載のシステム。
[13] 前記所定の二次元のパターンの一つ以上の荷電粒子遮断構造体は、前記基板表面に隣接する荷電粒子ビームレットの間の予期された距離に対応しているピッチに配置された複数の遮断構造体を備えている、先行請求項のいずれかひとつに記載のシステム。
[14] 前記一つ以上の荷電粒子遮断構造体は、実質円形遮断構造体である、[8]〜[13]のいずれかひとつに記載のシステム。
[15] 前記位置マーク測定系は、第一の方向の前記位置マークの位置を測定するための第一のアライメントセンサーと、第二の方向の前記位置マークの位置を測定するための第二のアライメントセンサーを備えており、前記第二の方向は前記第一の方向に実質垂直である、先行請求項のいずれかひとつに記載のシステム。
[16] 前記位置マークは、第一の方向の周期構造と第二の方向の周期構造を備えており、前記第二の方向は前記第一の方向に実質垂直である、先行請求項のいずれかひとつに記載のシステム。
[17] 前記周期構造は、周期的に離間した盛り上げ構造体によって形成されている、[16]に記載のシステム。
[18] 前記周期構造は、第一の反射率をもつ領域が第二の反射率をもつ領域と交互に並んでいることによって形成されており、前記第二の反射率は前記第一の反射率と異なっている、[16]または[17]に記載のシステム。
[19] 前記投影系は、前記複数の荷電粒子ビームレットを生成するためのビームレット発生器と、前記基板の前記表面に転写されるパターンにしたがって前記荷電粒子ビームレットを変調するための変調システムを備えており、前記投影系は、前記基板の前記表面上に前記変調ビームレットを投影するようになっている、先行請求項のいずれかひとつに記載のシステム。
[20] チャック位置測定系と制御ユニットをさらに備えており、前記制御ユニットは、
前記荷電粒子ビームレットの一つ以上が前記ビームレット測定センサーの前記表面によって受けられる第一の位置に前記チャックを移動させ、
前記ビームレット測定センサーの前記表面によって受けられた一つ以上の荷電粒子ビームレットの一つ以上の特性を測定し、
前記第一の位置にある前記チャックの位置を測定して第一の測定されたチャック位置を決定し、
前記位置マークが前記アライメントセンサーと整列された第二の位置に前記チャックを移動させ、
前記第二の位置にある前記チャックの位置を測定して第二の測定されたチャック位置を決定し、
前記一つ以上の荷電粒子ビームレットの前記一つ以上の特性と、前記第一の測定されたチャック位置と、前記第二の測定されたチャック位置の測定値に基づいて、前記一つ以上の荷電粒子ビームレットと前記アライメントセンサーの間の相対位置を計算するようになっている、先行請求項のいずれかひとつに記載のシステム。
[21] 前記制御ユニットはさらに、
前記チャックは、前記チャックの前記基板支持部分に配置された基板を有しており、前記基板上の基板位置マークがアライメントセンサーと整列された第三の位置に前記チャックを移動させ、
前記第三の位置にある前記チャックの位置を測定して第三の測定されたチャック位置を測定するようになっている、[20]に記載のシステム。
[22] 前記制御ユニットはさらに、露出される前記基板の所望の位置を前記荷電粒子ビームレットの一つ以上が露出する第四の位置に前記チャックを移動させるようになっており、前記第四の位置は、前記一つ以上の荷電粒子ビームレットの前記一つ以上の特性と、前記第一、第二および第三の測定されたチャック位置に基づいて決定される、[21]に記載のシステム。
[23] [1]〜[19]のいずれか一つに記載の前記マルチビーム荷電粒子リソグラフィシステムを操作する方法であり、
前記荷電粒子ビームレットの一つ以上が前記ビームレット測定センサーの前記表面によって受けられる第一の位置に前記チャックを移動させることと、
前記ビームレット測定センサーの前記表面によって受けられた一つ以上の荷電粒子ビームレットの一つ以上の特性を測定することと、
前記第一の位置にある前記チャックの位置を測定して第一の測定されたチャック位置を決定することと、
前記位置マークが前記アライメントセンサーと整列された第二の位置に前記チャックを移動させることと、
前記第二の位置にある前記チャックの前記位置を測定して第二の測定されたチャック位置を決定することと、
前記一つ以上の荷電粒子ビームレットの前記一つ以上の特性と、前記第一の測定されたチャック位置と、前記第二の測定されたチャック位置の測定値に基づいて、前記一つ以上の荷電粒子ビームレットと前記アライメントセンサーの間の相対位置を計算することを有している、方法。
[24] 前記一つ以上の荷電粒子ビームレットと前記アライメントセンサーの間の前記相対位置を計算することは、前記一つ以上の荷電粒子ビームレットの基準点と前記アライメントセンサーの基準点の間のベクトル距離を計算することを有している、[23]に記載の方法。
[25] 前記チャックの前記基板支持部分上に基板を配置することと、
前記基板上の基板位置マークがアライメントセンサーと整列された第三の位置に前記チャックを移動させることと、
前記第三の位置にある前記チャックの前記位置を測定して第三の測定されたチャック位置を測定することをさらに有している、[23]または[24]に記載の方法。
[26] 露出される前記基板の所望の位置を前記荷電粒子ビームレットの一つ以上が露出する第四の位置に前記チャックを移動させることをさらに有しており、前記第四の位置は、前記一つ以上の荷電粒子ビームレットの前記一つ以上の特性と、前記第一、第二および第三の測定されたチャック位置に基づいて決定される、[25]に記載の方法。