(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
対応する符号は、図面を通して対応する部分を示す。
【0014】
本開示の提供は、例えば、無線周波数装置の使用のための構造の適合性を決定するための電荷捕獲層の効率を決定するための半導体構造の品質を評価する方法に関する。評価された適切な構造は、電荷捕獲層と、例えば電荷捕獲層を有するシリコンオンインシュレータ構造などの積層された構造を有するバルク層を含む。典型的な構造1は、
図1に示され、ハンドル層5(ハンドル「ウエハ」5とも言う)、装置層9(典型的にシリコン装置層)及び装置層9とハンドル層5の間に配置された誘電体層または「埋め込み酸化物」層13を含む。電荷捕獲層17は、ハンドル層5と誘電体層13の間に配置される。構造1は
、前面25と前面25におおよそ平行で、構造1の中央軸に垂直な裏面30を有する。
【0015】
電荷捕獲シリコンオンインシュレータ構造は、そのような構造を準備するために既知の方法のいずれかによって準備される。多層構造及び、特に、シリコンオンインシュレータ構造及びシリコンオンインシュレータ構造を生産する方法は、一般に当業者に知られている(例えば米国特許第5,189,500号、5,436,175及び6,790,747号を参照し、そのそれぞれは、本明細書の一部を構成するとして全ての関連する、一貫した目的のために援用する)。多層構造を作るための典型的なプロセスにおいて、2つの分離した構造が準備され、接合境界に沿って接合され、ドナー構造は、接合境界とは異なり、注入技術によって形成される、分離面(すなわち「劈開面」)に沿ってエッチングされるまたは薄い層に裂ける(すなわち劈開される)。1つの構造は、典型的に「ハンドル」構造といい、他は典型的に「ドナー」構造という。プロセスの後、結果の積層半導体構造は、装置層及び装置層を支持するハンドル層を含む。
【0016】
SOI構造は、ハンドルウエハ5と装置層9の間に配置されたさらなる誘電体層13を含む。誘電体層は、ドナーとハンドルが接合される前に、ドナー及び/またはハンドル構造の接合表面に形成される。誘電体層13は、例えば、SiO
2、Si
3N
4、酸化アルミニウム、または酸化マグネシウムを含む材料など、SOI構造に用いられるのに適した任意の電気絶縁材料である。いくつかの実施形態において、誘電体層13は、SiO
2である(すなわち、誘電体層は、本質的にSiO
2からなる)。しかしながら、場合によっては、純SiO
2の融点より高い(すなわち1700℃より高い)融点を有する誘電体層のための材料を用いることが代替として好ましいことに留意すべきである。そのような材料の例は、窒化シリコン(Si
3N
4)、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムである。
【0017】
ハンドルウエハは、シリコン、炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、ヒ化インジウムガリウム、ゲルマニウム、及びその組み合わせからなる群から選択された材料を備えることができる。本開示のいくつかの実施形態において、SOI構造を作り出すために用いられるドナー及び/またはハンドルウエハは、単結晶シリコンから構成され、チョクラルスキプロセスによって形成されたインゴットからウエハをスライスすることによって得られる。ハンドルウエハ及び/またはドナーウエハ(及び結果のSOI構造)は、例えば200mm、300mm、300mmより大きい、またはさらに450mm直径ウエハを含む、当業者によって使用のために適した任意の直径である。
【0018】
一般に、ハンドル層は、装置層の層間剥離ができる、十分な構造的完全性を提供できる、任意の厚さを有する。一般に、ハンドル層は、少なくとも約100μm、典型的に少なくとも約200μmの平均厚さを有し、約100から約900μm、または、さらに500から約800μmの厚さを有する。いくつかの実施形態において、誘電体層、例えば埋め込み酸化物層は、少なくとも約10nm、例えば約10nmから約10000nm、約10nmから約5000nm、または約100nmから約800nmの厚さを有する。一般に、装置層は、0.01から20μm、例えば0.05から20μmの厚さである。
【0019】
電荷捕獲層17は、接合前に単結晶半導体ハンドルウエハのさらされた前面上に、半導体材料を堆積することによって形成される。電荷捕獲層17の厚さは、約0.3μmから約5μmであり、例えば、約0.3μmから約3μm、例えば、約0.3μmから約2μmまたは約2μmから約3μmである。ハンドルウエハは、堆積前に露出した酸化された前面層を備えることが好ましい。シリコンオンインシュレータ装置の電荷捕獲層を形成するために用いられるのに適切な半導体材料は、作製された装置の高欠陥層を適切に形成できる。そのような材料は、多結晶半導体材料及びアモルファス半導体材料であり、どれでも多結晶またはアモルファスシリコン(Si)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、炭素がドープされたシリコン(SiC)、及びゲルマニウム(Ge)を含むことができる。
【0020】
本明細書で参照されるように、「多結晶」シリコンは、ランダム結晶配向を有する小さいシリコン結晶を含む材料を意味する。多結晶シリコングレインは、約20nmほどの小さい大きさである。一般に、多結晶シリコンの結晶グレインのサイズが小さいと、電荷捕獲層の欠陥性が高い。アモルファスシリコンは、シリコンの非結晶同質異形の形態を備え、短い範囲と長い範囲の秩序を欠いている。約10nm以下の結晶化度を有するシリコングレインは、また、本質的にアモルファスであると考えられる。電荷捕獲層は、少なくとも約1000Ωcmまたは少なくとも約3000Ωcm、例えば、約1000Ωcmから約100000Ωcmまたは約1000Ωcmから約10000Ωcmの抵抗率を有する。
【0021】
任意に酸化された、単結晶半導体ハンドルウエハの前面上に堆積するための材料は、当該技術分野で既知の手段で堆積される。例えば、半導体材料は、有機金属化学気相成長(metalorganic chemical vapor deposition(MOCVD))、物理蒸着(physical vapor deposition(PVD))、化学気相成長(chemical vapor deposition(CVD))、低圧化学気相成長(low pressure chemical vapor deposition(LPCVD))、プラズマ化学気相成長(plasma enhanced chemical vapor deposition(PECVD))、または分子線エピタキシー法(molecular beam epitaxy(MBE))を用いて堆積されることができる。LPCVDまたはPECVDのためのシリコン前駆体は、とりわけメチルシラン、水素化ケイ素(シラン)、トリシラン、ジシラン、ペンタシラン、ネオペンタシラン、テトラシラン、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2)、四塩化ケイ素(SiCl
4)を含む。例えば、多結晶シリコンは、約550℃から約690℃の範囲、例えば約580℃から約650℃の温度で、シラン(SiH
4)を熱分解することによって、表面酸化層上に堆積される。チャンバ圧力は、約70から約400mTorrに及ぶ。
【0022】
アモルファスシリコンは、一般に約75℃から約300℃の範囲の温度でプラズマ化学気相成長(PECVD)によって堆積される。シリコンゲルマニウム、特にアモルファスシリコンゲルマニウムは、例えばイソブチルゲルマニウム、三塩化アルキルゲルマニウム、三塩化ジメチルアミノゲルマニウムなど、有機ゲルマニウム化合物を含んだ化学気相成長法によって約300℃までの温度で堆積される。炭素がドープされたシリコンは、例えば四塩化ケイ素及びメタンなどの前駆体を用いてエピタキシャル反応器で、熱プラズマ化学気相成長法によって堆積される。CVDまたはPECVDにおける適切な炭素前駆体は、とりわけメチルシラン、メタン、エタン、エチレンを含む。LPCVD堆積法において、メチルシランは、炭素とシリコンの両方を提供するので、特に好ましい前駆体である。PECVD堆積法において、好ましい前駆体は、シランとメタンを含む。いくつかの実施形態において、シリコン層は、原子ベースで少なくとも約1%、例えば約1%から約10%の炭素濃度を含むことができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、例えば、単結晶シリコンハンドルウエハなどの半導体ハンドル層5は、相対的に高い最小バルク抵抗率を有するまたはそのような高抵抗率を含む電荷捕獲層17近くの領域を含む。高抵抗ウエハは、一般に、チョクラルスキ法またはフロートゾーン法によって成長された単結晶インゴットからスライスされる。いくつかの実施形態において、ハンドル層5は、少なくとも100Ωcmまたは少なくとも500Ωcm、少なくとも1000Ωcmまたはさらに少なくとも10000Ωcmの最小バルク抵抗率を有するためにドープされる。高抵抗ウエハを準備する方法は、当該技術分野で知られており、そのような高抵抗ウエハは、例えばSunEdison Semiconductor社(ミズーリ州、セントピータース、以前のMEMC Electronic Materials社)などの、商業サプライヤから得られる。ハンドルウエハの高抵抗領域は(全体に高い抵抗率を有するウエハと対照的に)、本明細書の一部を構成するとして全ての関連する、一貫した目的のために援用する米国特許第8,846,493号に開示された方法によって形成されることができる。
【0024】
本開示の実施形態により、電荷捕獲層を有する半導体構造(例えば、バルクウエハまたはシリコンオンインシュレータ構造)は、(例えば、無線周波数(RF)装置の使用のための適合性のための)電荷捕獲層の効率を決定するために評価される。
静電パラメータは、光を当てることによって、電荷キャリアを発生しながら、測定される。
【0025】
一般に評価される構造(バルクウエハまたはSOI構造)の電荷捕獲層は、途切れず、すなわち、構造は、シリコン装置層の表面に例えば、トレンチ、ビアなどの装置特徴を有さず、従来の評価法で用いられるその他の特徴(例えば、シリコン層またはbox層の表面上の共平面導波路)を含まない。
【0026】
本開示の実施形態によって測定される適切な
静電パラメータは、(1)構造の容量及び(2)半導体構造の前面25(
図1)と電極35(
図9)の間の電位差などの電位差を含む。
【0027】
電荷キャリアは、構造におけるシリコンに電子を発生させることができる任意の光を向けることによって発生される。約1.1μmより短い波長の光において、ウエハは、少なくとも約50mW/cm
2の強度で、他の実施形態において、少なくとも約100mW/cm
2またはさらに約200mW/cm
2の強度で光を当てられる。約1.1μmより長い波長における光は、また用いられることに留意すべきである。しかしながら、いくつかの実施形態において、光は、短い波長の光に対して高パワーにおいてまたは長い期間照射される(例えば、少なくとも約500mW/cm
2またはさらに少なくとも約1000mW/cm
2)。1以上の実施形態において、光を当てることは、ベルト加熱炉または急速熱アニール装置内に配置されたレーザまたは加熱ランプによってなされる。流入する電荷キャリアに対して、構造の全面に光を当てることが好ましい。しかしながら、本開示の1以上の実施形態において、構造の前面のみ光が当てられる。
【0028】
レーザが、電荷キャリアを発生するためにウエハに光を当てるために用いられる実施形態において、1以上のレーザ波長が用いられる。例えば、1つの波長は、電荷捕獲層に延在するために選択され(例えば670nm+/−300nm)、第2の波長は、基板に延在するために選択される(1015nm+/−400nm)。この関連で、他の実施形態において、3、4、5、6、7、8またはさらなる波長は、例えば、構造の特定の深さまたは範囲を目的にして用いられることができる。
【0029】
いくつかの実施形態において、
静電パラメータ(例えば、電圧または容量)は、特定のトラップ密度における
静電パラメータに正規化される(例えば、捕獲層のないバルクウエハまたはSOI構造に正規化される)。正規化された
静電パラメータの差は、「捕獲効率」に変換されることができる(例えば、捕獲層を有さない構造のゼロ捕獲条件に正規化される。
【0030】
いくつかの実施形態において、ベースライン
静電パラメータは、規定され、容量または電位の許容限界(例えば最大)が決定される。それぞれの評価された構造における測定された差は、構造が使用(例えば無線周波数装置の使用)に適切であるか決定するベースラインと比較される。
【0031】
静電パラメータは、ウエハの複数の位置(例えば第1の位置、第2の位置、第3の位置など)で測定され、パラメータは、RF装置の使用のための構造の適合性を決定するために平均化される。代わりにまたは加えて、容量または電位は、構造の状態マップを作り出すために用いられることができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、構造の初期または「休止」の
静電パラメータは、第1に測定される。構造の
静電パラメータの「励起」状態は、構造の電荷キャリアを発生する間またはその後に続いて測定される。
初期静電パラメータと
励起静電パラメータの差は、決定され、RF装置への使用のための構造の適合性を決定するために用いられる。
【0033】
初期静電パラメータは、構造が「休止」状態の間、すなわち電荷キャリアを発生していない間測定される。
静電状態は、構造に光を当てない間に測定される。容量と電位の初期値が測定されると、電荷キャリアは、半導体構造に発生する。電荷キャリアが発生するとすぐに初期、休止状態において測定された
静電パラメータは、電荷キャリアを発生する間またはすぐ後に、再び測定される。
初期静電パラメータと
励起静電パラメータの差は、RF装置の使用のための構造の適合性を評価するために決定される。実施例1及び2に説明されるように、容量または電位の差が小さいことは、構造の電荷捕獲層がよいことを示し、(すなわち、RF装置の適合性がよい)その逆も言える。
【0034】
上記されたように、電荷捕獲層(CTL)の特性評価は、測定された電圧信号に基づく(すなわち、表面光電圧またはSPV)。評価は、特定の波長のレーザによって引き起こされた少数キャリアの励起後に実行される。レーザの波長は、CTL層を突き抜けるように選択される(波長657nmなど、及び/またはより長い波長)。同じ波長は、データを比較できるように、時間をかけてサンプルを評価するために用いられることができる。また、同じ光注入レベルは、方法を再現性(repeatability)/再現性(reproducibility)があるように固定するために(割り当てられるレーザパ
ワーに関連して)用いられる。
【0035】
SPV信号評価は、従来のSPVツールを用い、少なくとも2つの波長注入を実行する(例えば657nm及び1013nm)。測定されたSPV信号は、ポリシリコンベースのCTLの実際の再結合効率と等しい/比例する。一般にSPV信号が低いと、CTL再結合効率は高い。再結晶化及び/または金属汚染によって引き起こされるポリシリコン層の劣化の場合において、SPV信号は、増加し、CTL層の再結合効率を低く示すことが予期される(
図9参照)。
【0036】
構造は、SPV特性評価の間、接地したプラットフォームに取り付けられる。
図9に示されるように、SPVツールは、構造1の前面25のちょうど上に配置された電極35(例えば透明電極)を含む。接地に関する構造の前面25と電極35の間の電位差は、その後測定される。
【0037】
評価に用いられるSPVツールは、前に測定されたモニタサンプルを用いて校正される。ツールの校正は、分離した製造ラインで異なるツールを用いる層の評価において役に立つ。SPVツール校正は、異なる注入(光励起)条件において、モニタサンプルを測定するためにSPVレーザパワーパラメトリックスキャンを用いる。ツールあたりの異なる固定注入レベルは、同じCTL層SPVツール評価結果を有するために用いられる。
図10は、SPVレーザパワー校正に基づく2つのSPVツール校正を表す。
【0038】
いくつかの実施形態において、(1013nmのような、高抵抗ハンドルウエハバルクにポリシリコン層を通って貫く)長波長SPVレーザの使用は、関連するSPV信号対ハンドルウエハの実際の抵抗率の相関を改善する。ハンドルウエハの抵抗率(CTL層再結合効率とともに)は、著しくRF装置の第2次高調波(HD2)に影響を与える(
図11参照)。
【0039】
一般に、複数の構造のそれぞれの構造は、それぞれの構造の1以上の位置において、それぞれの構造の初期及び
励起静電パラメータを測定することによって、(例えば無線周波数装置を作り出すために)構造が不合格とされるか、適合するとされるかを決定するために評価される。それぞれの構造における
静電パラメータの差は、半導体が例えば無線周波数装置の使用のためなどに許容できるかを決定するためにベースライン差と比較される。他の実施形態において、構造のバッチの1つの構造は、RF用途の使用においてそのバッチの適合性を決定するために評価されることができる。
【0040】
構造を評価した後、構造は、さらに例えば構造の無線周波数装置を形成することによってなど処理されることができる。
【0041】
例えば、無線周波数装置の適合性のために電荷捕獲層を有する構造を評価する方法など構造を評価する従来の方法と比較して、本開示の方法は、いくつかの利点を有する。評価する方法は、RF装置の製造または装置層または構造の表面の追加の構造の製造を含まない。これにより、比較的早く、評価される構造を破壊することなく実行することができる。評価方法は、構造の複数の位置で実行され、
静電パラメータのウエハ内変動を考慮するために平均化される。評価方法は、バッチのウエハ間の変動を考慮するために、ウエハのバッチのそれぞれのウエハで実行される。
【0042】
静電パラメータ(例えば、SPV信号)は、ポリシリコン堆積条件及び基礎のCTL層特性に影響を与える堆積後熱アニールとよく相関する。得られた結果は、RFにおける共通に用いられる第2次高調波(HD2)評価によく相関する。
【0043】
本開示の評価方法は、一般に早い転換、非破壊で、高解像度であり、CTL層品質をモニタするために任意のプロセスステップの後、サンプルに実行できる。少なくとも2度(a)ポリシリコン堆積後、(b)上部シリコン層が取り除かれた後、ライン最終工程のサンプルにおいて、測定されることができる。
【0044】
(実施例)
本開示のプロセスは、さらに次の実施例によって説明される。これらの実施例は、限定した意味に見なされるべきでない。
【実施例1】
【0045】
(電荷捕獲層のない構造の電位と容量の差)
電荷捕獲層のない(または効果のないCTL)のSOI構造における電荷キャリアの発生前及び間の電位差は、
図2にエネルギバンド図で示される。BOXの正電荷は、高抵抗基板(
図2A)の空乏及び反転層を誘導する。電荷キャリアが発生する前の関連するエネルギバンド図は、
図2Bに示される。前及び裏面側の(接地された)表面電位の差は、V
0である。強烈な光で構造に光を当てることは、フラットバンド状態に向かってBOX基板境界においてエネルギバンドを変える(
図2C)高密度の光キャリア(正孔及び電子)を発生する。したがって、この境界における電荷は、再配分され、上部シリコンのエネルギバンドを変える電場の変化を引き起こす。結果として、前及び裏面側の表面の電位差V
1は、また、変化し、電荷を反転することができる。V
1とV
0の間の大きな差は、SOI構造の電荷捕獲層の欠如を示す。
【0046】
SOI構造の実効容量は、BOX及び基板の空乏層によって設定される(
図2D)。強烈な光で構造に光を当てることは、高密度の光キャリアで空乏領域を満たし、空乏を乗り越える。結果として、実効SOIウエハ容量は、主にBOXによって制御されるものに変更される(
図2E)。容量の著しい変化は、SOI構造の電荷捕獲層の欠如を示す。
【実施例2】
【0047】
(電荷捕獲層を備える構造の電位と容量の差)
効率のよい電荷捕獲層を有するSOI構造における電荷キャリアの発生前と間の電位の差は、
図3のエネルギバンド図で概略的に示される。BOXの正電荷は、電荷捕獲層(CTL)の負の電荷状態で完全に補償される(
図3A)。電荷発生のない関連するエネルギバンド図は、
図3Bに示される。基板のエネルギバンドは平坦である。前面と裏面側(接地された)表面電位の差はV
0である。強烈な光で構造に光を当てることは、そのミッドギャップエネルギレベルは、本来フェルミレベルに近いため、高抵抗(ライトドープ)半導体のエネルギバンドを著しく変えることができない、高密度の光キャリア(正孔及び電子)を発生する。したがって、この境界の電荷は、ほとんど同じままであり、上部シリコンのエネルギバンドは、相対的に小さく影響される(
図3C)。前面と裏面側の表面電位の差V1は、あまり変わらない。V
1とV
0の間の小さな差は、BOX基板境界におけるSOI構造の効率のよい電荷捕獲を示す。
【0048】
効率のよい電荷捕獲層を備えるSOI構造の実効容量(
図3A)は、BOXのみによって支配される(
図3D)。強烈な光で構造に光を当てることは、SOIの半導体要素のバンド構造を著しく変えない高密度の光キャリアでライトドープされた基板を満たす。それゆえ、実効ウエハ容量は、著しく変化せず、さらにBOXに関連する(
図3E)。容量の少ない変化は、SOI基板の効率のよい電荷捕獲を示す。
【実施例3】
【0049】
(RF装置用途のバルクウエハの品質の評価)
その表面において電荷捕獲層を有するバルクウエハは、表面光電圧(SPV)ツールで評価された。評価レシピは、(これに限定されるものではないが)、次を含んだ。(a)657nm及び1013nmのSPVレーザ波長(b)測定されたサンプルにおいて最適なレベルを用いるために調整するSPVレーザパワー(c)657nmのレーザにおける光電圧読み取り分析(測定されたサンプルタイプごとに調整された特定のレーザパワーにおける励起)(d)RF HD2及びHD3評価結果に相関する実際のSPV読み取りに基づいて予測されるCTL性能(e)657nmレーザ励起は、浅い半導体ウエハ層を加えてポリシリコン層に制限された貫通深さを維持するように選択された。(f)貫通深さは、シリコンバルクインパクトを避けるように選択された。(シリコンドーピングレベルによって及び金属汚染レベルによってむしろ動作される)(g)サンプル設計は、P型高抵抗基板及び熱酸化物を備えるまたは備えない、CTLポリシリコン層であった。
【0050】
ポリシリコン堆積後のサンプルにおける評価結果は
図4に示される。
【実施例4】
【0051】
(装置用途のためのRFウエハの品質の評価)
電荷捕獲層を有するSOI構造は、表面光電圧(SPV)ツールで評価された。実施例3の評価プロトコルは、P型高抵抗基板+CTLポリシリコン層+BOX+上部Si層であるサンプル設計で用いられた。ポリシリコン堆積後のサンプルにおける評価結果は、
図5に示される。
【実施例5】
【0052】
(
図6−8の本開示の実施形態のさらなる例示)
図6:ポリシリコン劣化評価対アニール熱量。SPV信号評価技術が実行された[657nmSPVレーザ励起]。1100℃で5時間累積アニール後完全に下げられる。
【0053】
図7:SPV信号マップパターンオリジン対CVDツール設計及び対Fe汚染レベル。ポリシリコン堆積パターン後のサンプルの場合、CVDツール設計によって決まる。上部Siオンパターンをそなえるサンプルの場合、Fe汚染によって決まる。
【0054】
図8:RF HD2評価へのSPV信号相関。結果は、特定のCTL SOIサンプル設計及び準備手順に関連する。
【0055】
本明細書で用いられるように、用語「約」(about)、「実質的に」(substantially)、「本質的に」(essentially)及び「約」(approximately)は、大きさ、濃度、温度またはその他の物理または化学特性または特徴の範囲とともに用いられるとき、例えば、丸め、測定方法または他の統計変動がもたらす変動を含む、特性または特徴の範囲の上限及び/または下限に存在する変動を含むことを意味する。
【0056】
本開示の要素または本開示の実施形態を導入するとき、冠詞「1つの」(a)、「1つの」(an)、「その」(the)、及び「前記」(said)は、1以上の要素があることを意味する意図がある。用語「備える」(comprising)、「含む」(including)、「含む」(containing)、「有する」(having)は、含められ、記載された要素の他に追加の要素があることができることを意味する意図がある。特定の配向を示す用語の使用(例えば、「上部」(top)、「下部」(bottom)、「側面」(side)など)は、記載の便宜上であって、記載された物品のどのような特定の配向を必要としない。
【0057】
様々な変更が本開示の範囲から逸脱することなく上記構成及び方法でなされることができ、上記記載に含まれ、添付した図面に示される全ての事物は、説明として解釈され、限定する意図はないと解釈されることを意図する。