【実施例】
【0048】
以下、実施例により、本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0049】
<液晶の観察>
液晶を、偏光顕微鏡(Olympus社製BX50)にて実物観察し、オルソスコープ観察し、また、コノスコープ観察し、それぞれ、顕微鏡用デジタルカメラ(Olympus社製DP20)にて撮影した。
【0050】
<透過光スペクトル観察>
オーシャンオプティクス社製紫外可視光光度計USB4000にて、オーシャンオプティクス社製照明光源HL−2000−LLの透過光量変化を評価した。
【0051】
<表面自由エネルギーの評価>
松浪硝子工業社製のスライドガラス(縦25mm、横25mm、厚さ1.3mm)を中性洗剤で洗浄して、表面未処理のスライドガラスとして評価に供した。
【0052】
松浪硝子工業社製のスライドガラス(縦25mm、横25mm、厚さ1.3mm)を中性洗剤で洗浄したのち、UVオゾン処理を5分間行った。その後、スライドガラスの一方の側に、JSR(株)製の配向膜用ポリイミド材料であるオプトマーAL1254をスピンコート法で塗布し、100℃で2時間加熱処理して膜厚50nmのポリイミド膜を形成した。
【0053】
松浪硝子工業社製のスライドガラス(縦25mm、横25mm、厚さ1.3mm)を中性洗剤で洗浄したのち、オクタデシルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)を0.1質量%含有するエタノール溶液に6時間浸漬した。その後、100℃で2時間加熱処理することによりスライドガラス表面にシランカップリング処理を行った。
【0054】
基板のうち液晶組成物に接触する側の表面の表面自由エネルギーを接触角測定により算出した。未処理基板の表面、シランカップリング処理された基板の表面、及び、ポリイミド膜が形成された基板の表面において、超純水(H
2O)、ジヨードメタン(CH
2I
2)、およびn−ヘキサデカン(C
16H
34)の接触角を、DropMaster500(協和界面科学社製)を用いて、テフロン(登録商標)コート針18G(もしくは22G)、液量3μLで5点測定し、その平均値とした。得られた接触角からKitazaki−Hata理論を用い、その基板の表面の表面自由エネルギーを算出した。用いた溶媒の表面自由エネルギーは、超純水:72.8mN/m、ジヨードメタン:50.8mN/m、n−ヘキサデカン:27.6mN/mである。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
[参考例1]
4’−シアノ−4−ヘキシルオキシビフェニル(6OCB)と4’−シアノ−4−ノニルオキシビフェニル(8OCB)を25:75の質量組成比で混合した液晶組成物試料を調製した。2枚の表面未処理のガラス基板(松浪硝子工業社製、スライドガラスS1214、縦25mm、横25mm、厚さ1.3mm)を、厚さ100μmの両面テープをスペーサーとして使用し向い合せ作製したセルに、前記液晶組成物試料を60℃にて注入して、参考例1の調光素子を作成した。
【0057】
液晶組成物試料の液晶性を、偏光顕微鏡観察により調べた。このうち、リエントラントネマチック相(RN相)、スメクチックA相(SmA相)、及びネマチック相(N相)の偏光顕微鏡観察画像を
図8(B)に示す。82℃以上で等方相(I相)を示し、降温過程において、50.2℃でネマチック相(N相)からスメクチックA相(SmA相)への相転移が観察でき、24.6℃でスメクチックA相(SmA相)からリエントラントネマチック相(RN相)への相転移が観察できた。これらの相転移温度測定における降温速度は1℃/minである。ただし、放冷のため、室温付近では1℃/min以下であった。
また、昇温過程においては、26.1℃でリエントラントネマチック相(RN相)からスメクチックA相(SmA相)への相転移が観察でき、56.1℃でスメクチックA相(SmA相)からネマチック相(N相)への相転移が観察できた。これらの相転移温度測定における昇温速度は1℃/minである。
【0058】
参考例1の調光素子を介して、埼玉工業大学の校章の実物画像を撮影した。
図3(A)は、15℃にて、液晶組成物が結晶相(K相)を呈しているもの、60℃にて、液晶組成物がネマチック相(N相)を呈しているもの、40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているもの、並びに、20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものである。液晶組成物が結晶相(K相)の温度では不透明であったが、ネマチック相(N相)、スメクチックA相(SmA相)及びリエントラントネマチック相(RN相)のいずれも透明であり、スメクチックA相(SmA相)とリエントラントネマチック相(RN相)との間で、実物画像の見え方に変化は観察されなかった。
【0059】
図3(B)は、同じ調光素子のオルソスコープ観察画像であって、60℃にて、液晶組成物がネマチック相(N相)を呈しているもの、40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているもの、並びに、20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものである。
図3(C)は、同じ調光素子のコノスコープ観察画像であって、60℃にて、液晶組成物がネマチック相(N相)を呈しているもの、40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているもの、並びに、20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものである。
オルソスコープ観察画像及びコノスコープ観察画像のいずれも、スメクチックA相(SmA相)とリエントラントネマチック相(RN相)との間で、変化は観察されなかった。
【0060】
参考例1の調光素子の調光特性を、400〜1000nmの波長範囲で、紫外可視分光光度計により、透過光量を測定することにより評価した。
図5は、400〜1000nmの透過光スペクトルを示すグラフである。
図5(A)は15℃にて、液晶組成物が結晶相(K相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で不透明である。
図5(B)は20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で透明である。
図5(C)は40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で透明である。
図5(D)は60℃にて、液晶組成物がネマチック相(N相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で透明である。
ネマチック相(N相)とスメクチックA相(SmA相)との間で、変化は観察されなかった。スメクチックA相(SmA相)とリエントラントネマチック相(RN相)との間でも、変化は観察されなかった。
【0061】
[参考例2]
4’−シアノ−4−ヘキシルオキシビフェニル(6OCB)と4’−シアノ−4−ノニルオキシビフェニル(8OCB)を23:77の質量組成比で混合した液晶組成物試料を調製した。参考例1で作製したものと同じセルに、前記液晶組成物試料を注入して、参考例2の調光素子を作成した。
【0062】
液晶組成物試料の液晶性を、偏光顕微鏡観察により調べた。このうち、リエントラントネマチック相(RN相)、スメクチックA相(SmA相)、及びネマチック相(N相)の偏光顕微鏡観察画像を
図8(A)に示す。降温過程において、52.6℃でネマチック相(N相)からスメクチックA相(SmA相)への相転移が観察でき、20.0℃でスメクチックA相(SmA相)からリエントラントネマチック相(RN相)への相転移が観察できた。これらの相転移温度測定における降温速度は1℃/minである。ただし、放冷のため、室温付近では1℃/min以下であった。
また、昇温過程においては、23.5℃でリエントラントネマチック相(RN相)からスメクチックA相(SmA相)への相転移が観察でき、56.6℃でスメクチックA相(SmA相)からネマチック相(N相)への相転移が観察できた。これらの相転移温度測定における昇温速度は1℃/minである。
【0063】
[参考例3]
4’−シアノ−4−ヘキシルオキシビフェニル(6OCB)と4’−シアノ−4−ノニルオキシビフェニル(8OCB)を27:73の質量組成比で混合した液晶組成物試料を調製した。参考例1で作製したものと同じセルに、前記液晶組成物試料を注入して、参考例3の調光素子を作成した。
【0064】
液晶組成物試料の液晶性を、偏光顕微鏡観察により調べた。このうち、リエントラントネマチック相(RN相)、スメクチックA相(SmA相)、及びネマチック相(N相)の偏光顕微鏡観察画像を
図8(C)に示す。降温過程において、45.7℃でネマチック相(N相)からスメクチックA相(SmA相)への相転移が観察でき、31.0℃でスメクチックA相(SmA相)からリエントラントネマチック相(RN相)への相転移が観察できた。これらの相転移温度測定における降温速度は1℃/minである。ただし、放冷のため、室温付近では1℃/min以下であった。
また、昇温過程においては、31.4℃でリエントラントネマチック相(RN相)からスメクチックA相(SmA相)への相転移が観察でき、47.2℃でスメクチックA相(SmA相)からネマチック相(N相)への相転移が観察できた。これらの相転移温度測定における昇温速度は1℃/minである。
【0065】
[実施例1]
表面自由エネルギーの評価で記載した方法で、片方の面にポリイミド膜が形成されたスライドガラスを準備した。
また、表面自由エネルギーの評価で記載した方法で、片方の面にシランカップリング処理されたスライドガラスを準備した。
【0066】
片方の面にポリイミド膜が形成されたスライドガラス及び片方の面にシランカップリング処理されたスライドガラスを、厚さ100μmの両面テープをスペーサーとして使用し向い合せたセルに、参考例1の液晶組成物試料を60℃にて注入して、実施例1の調光素子を作成した。実施例1の調光素子の、2枚の基板のうちの一方の基板の前記液晶組成物試料に接触する表面がポリイミド膜であり、他方の基板の前記液晶組成物試料に接触する表面はシランカップリング処理されている。
【0067】
実施例1の調光素子を介して、埼玉工業大学の校章の実物画像を撮影した。
図4(A)は、15℃にて、液晶組成物が結晶相(K相)を呈しているもの、60℃にて、液晶組成物がネマチック相(N相)を呈しているもの、40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているもの、並びに、20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものである。液晶組成物が結晶相(K相)の温度では不透明であったが、ネマチック相(N相)及びリエントラントネマチック相(RN相)のいずれも透明であった。またスメクチックA相(SmA相)では、半透明であり、ネマチック相(N相)とスメクチックA相(SmA相)との間で、実物画像の見え方に明らかな変化が観察され、スメクチックA相(SmA相)とリエントラントネマチック相(RN相)との間でも、実物画像の見え方に明らかな変化が観察された。
【0068】
すなわち、ネマチック相(N相)及びリエントラントネマチック相(RN相)を示す60℃及び20℃において、実施例1の調光素子を介して埼玉工業大学の校章の実物画像が鮮明に写るのに対し、40℃のときは校章が白濁して実物画像は写らなかった。この白濁はスメクチックA相(SmA相)の配向欠陥に基づく散乱に起因すると考えられる。したがって、実施例1の調光素子は室温付近ではリエントラントネマチック相(RN相)を呈して良好な透明性を有し、おおよそ30℃程度からスメクチックA相(SmA相)を呈して不透明性を有する、熱応答型の調光素子・調光ガラスとして機能することがわかった。
【0069】
図4(B)は、実施例1の調光素子のオルソスコープ観察画像であって、60℃にて、液晶組成物がネマチック相(N相)を呈しているもの、40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているもの、並びに、20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものである。ネマチック相(N相)とスメクチックA相(SmA相)との間で、オルソスコープ観察画像の見え方に明らかな変化が観察され、スメクチックA相(SmA相)とリエントラントネマチック相(RN相)との間でも、オルソスコープ観察画像の見え方に明らかな変化が観察された。
【0070】
図4(C)は、同じ実施例1の調光素子のコノスコープ観察画像であって、60℃にて、液晶組成物がネマチック相(N相)を呈しているもの、40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているもの、並びに、20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものである。ネマチック相(N相)とスメクチックA相(SmA相)との間で、コノスコープ観察画像の見え方に明らかな変化が観察され、スメクチックA相(SmA相)とリエントラントネマチック相(RN相)との間でも、コノスコープ観察画像の見え方に明らかな変化が観察された。
【0071】
実施例1の調光素子の調光特性を、400〜1000nmの波長範囲で、紫外可視分光光度計により、透過光量を測定することにより評価した。
図6(A)及び
図6(B)は、実施例1の調光素子について、400〜1000nmの透過光スペクトルを示すグラフである。
図6(A)は、20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で透明である。
図6(B)は40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で半透明である。なお、実施例1の調光素子の結晶相(K相)を呈しているものは不透明であり、実施例1の調光素子のネマチック相(N相)を呈しているものは透明であり、図面は省略している。
【0072】
図6(A)及び
図6(B)、並びに
図8(B)の結果から、参考例1の液晶組成物試料を用いた実施例1の調光素子は、おおよそ24℃以下の比較的低い温度付近ではリエントラントネマチック相(RN相)を呈して良好な透明性を有し、おおよそ27℃以上の比較的高い温度からスメクチックA相(SmA相)を呈して不透明性を有する、熱応答型の調光素子・調光ガラスとして機能することを確認できた。
【0073】
図8(A)の参考例2の結果から、参考例2の液晶組成物試料を用いた調光素子では、おおよそ20℃以下の比較的低い温度付近ではリエントラントネマチック相(RN相)を呈して高い透明性を有し、おおよそ24℃以上の温度からスメクチックA相(SmA相)を呈して不透明性を有する、熱応答型の調光素子・調光ガラスとして機能することが予想できる。
また、
図8(C)の参考例3の結果から、参考例3の液晶組成物試料を用いた調光素子では、おおよそ31℃以下の室温付近ではリエントラントネマチック相(RN相)を呈して良好な透明性を有し、おおよそ32℃以上の温度からスメクチックA相(SmA相)を呈して不透明性を有する、熱応答型の調光素子・調光ガラスとして機能することが予想できる。
このように、液晶組成物の組成を調整することにより、リエントラントネマチック相(RN相)とスメクチックA相(SmA相)との間の相転移温度を調整するが可能である。
【0074】
[実施例2]
松浪硝子工業社製のスライドガラス(縦25mm、横25mm、厚さ1.3mm)を中性洗剤で洗浄して、表面未処理のスライドガラスとした。
表面自由エネルギーの評価で記載した方法で、片方の面にポリイミド膜が形成されたスライドガラスを準備した。
【0075】
片方の面にポリイミド膜が形成されたスライドガラス、及び、表面未処理のスライドガラスを、厚さ100μmの両面テープをスペーサーとして使用し向い合せ作製したセルに、参考例1の液晶組成物試料を60℃にて注入して、実施例2の調光素子を作成した。実施例2の調光素子の、2枚の基板のうちの一方の基板の前記液晶組成物に接触する表面がポリイミド膜であり、他方の基板の前記液晶組成物に接触する表面は未処理のガラス基板表面である。
【0076】
実施例2の調光素子を介して、埼玉工業大学の校章の実物画像を撮影した。実施例1の調光素子のときと同様、60℃にて液晶組成物がネマチック相(N相)を呈しているもの、及び、20℃にて液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものは、いずれも透明であった。40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているものは半透明であり、ネマチック相(N相)とスメクチックA相(SmA相)との間で、実物画像の見え方に明らかな変化が観察され、スメクチックA相(SmA相)とリエントラントネマチック相(RN相)との間でも、実物画像の見え方に明らかな変化が観察された。15℃にて液晶組成物が結晶相(K相)を呈している温度では不透明であった。
【0077】
ネマチック相(N相)を呈する60℃、及び、リエントラントネマチック相(RN相)を呈する20℃において、実施例2の調光素子を介して埼玉工業大学の校章の実物画像が鮮明に写るのに対し、スメクチックA相(SmA相)を呈する40℃のときは校章が白濁して実物画像は写らなかった。この白濁はスメクチックA相(SmA相)の配向欠陥に基づく散乱に起因すると考えられる。実施例2の調光素子は、実施例1の調光素子と同様、室温付近では良好な透明性を有し、おおよそ30℃程度から不透明性を有する熱応答型の調光素子・調光ガラスとして機能することがわかった。
【0078】
実施例2の調光素子の調光特性を、400〜1000nmの波長範囲で、紫外可視分光光度計により、透過光量を測定することにより評価した。
図6(C)及び
図6(D)は、実施例2の調光素子について、400〜1000nmの透過光スペクトルを示すグラフである。
図6(C)は、20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で透明である。
図6(D)は40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で半透明である。なお、実施例2の調光素子の結晶相(K相)を呈しているものは不透明であり、実施例2の調光素子のネマチック相(N相)を呈しているものは透明であり、図面は省略している。
【0079】
図6(C)及び
図6(D)の結果からも、実施例2の調光素子は、室温付近ではリエントラントネマチック相(RN相)を呈して良好な透明性を有し、おおよそ30℃程度からスメクチックA相(SmA相)を呈して不透明性を有する、熱応答型の調光素子・調光ガラスとして機能することを確認できた。
【0080】
[参考例4]
片方の面がシランカップリング処理された2枚のマイクロカバーガラスを準備し、厚さ100μmの両面テープをスペーサーとして使用し前記シランカップリング処理された2枚のマイクロカバーガラスを向い合せたセルに、参考例1の液晶組成物試料を60℃にて注入して、参考例4の調光素子を作成した。
【0081】
参考例4の調光素子を介して、埼玉工業大学の校章の実物画像を撮影した。60℃にて液晶組成物がネマチック相(N相)を呈しているもの、40℃にて液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているもの、並びに、20℃にて液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものは、いずれも透明であった。15℃にて液晶組成物が結晶相(K相)を呈している温度では不透明であったが、ネマチック相(N相)とスメクチックA相(SmA相)との間で、実物画像の見え方に変化は観察されず、スメクチックA相(SmA相)とリエントラントネマチック相(RN相)との間でも、実物画像の見え方に変化が観察されなかった。
【0082】
オルソスコープ観察画像及びコノスコープ観察画像のいずれも、スメクチックA相(SmA相)とリエントラントネマチック相(RN相)との間で、変化は観察されなかった。
【0083】
参考例4の調光素子の調光特性を、400〜1000nmの波長範囲で、紫外可視分光光度計により、透過光量を測定することにより評価した。
図7(A)及び
図7(B)は、参考例4の調光素子について、400〜1000nmの透過光スペクトルを示すグラフである。
図7(A)は、20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で透明である。
図6(B)は40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で透明である。なお、参考例4の調光素子の結晶相(K相)を呈しているものは不透明であり、参考例4の調光素子のネマチック相(N相)を呈しているものは透明であり、図面は省略している。
【0084】
図7(A)及び
図7(B)の結果からも、参考例4の調光素子は、スメクチックA相(SmA相)とリエントラントネマチック相(RN相)との間で、透明性の変化は観察されなかった。
【0085】
[実施例3]
表面自由エネルギーの評価で記載した方法で、片方の面にポリイミド膜が形成された2枚のスライドガラスを準備し、厚さ100μmの両面テープをスペーサーとして使用し前記2枚のスライドガラスを向い合せたセルに、参考例1の液晶組成物試料を60℃にて注入して、実施例3の調光素子を作成した。実施例3の調光素子の、2枚の基板のうちの一方の基板の前記液晶組成物試料に接触する表面がポリイミド膜であり、他方の基板の前記液晶組成物試料に接触する表面もポリイミド膜である。
【0086】
実施例3の調光素子を介して、埼玉工業大学の校章の実物画像を撮影した。実施例1の調光素子のときと同様、60℃にて液晶組成物がネマチック相(N相)を呈しているもの、及び、20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものは、いずれも透明であった。40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているものは半透明であり、ネマチック相(N相)とスメクチックA相(SmA相)との間で、実物画像の見え方に明らかな変化が観察され、スメクチックA相(SmA相)とリエントラントネマチック相(RN相)との間でも、実物画像の見え方に明らかな変化が観察された。15℃にて液晶組成物が結晶相(K相)を呈している温度では不透明であった。
【0087】
実施例3の調光素子においては、液晶組成物試料を60℃にて注入してからネマチック相(N相)⇒スメクチックA相(SmA相)⇒リエントラントネマチック相(RN相)と降温させてからリエントラントネマチック相(RN相)を観察している。このとき、リエントラントネマチック相(RN相)はスメクチックA相(SmA相)の配向履歴を受けやすい。
少なくとも一方の基板3の液晶組成物2に接触する表面3aをポリイミド膜とすることにより、表面3aのポリイミド膜に接触する液晶組成物2の液晶分子が、一方の基板3に対して概水平方向に配向し、液晶組成物2がスメクチックA相(SmA相)を呈するとき、基板上部から観察したとき液晶分子はいろいろな方向に向いており、ポリドメインが形成して、結果、配向欠陥に基づく散乱が生じて半透明になったと考えられる。
【0088】
ネマチック相(N相)を呈する60℃、及び、リエントラントネマチック相(RN相)を呈する20℃において、実施例3の調光素子を介して埼玉工業大学の校章の実物画像が鮮明に写るのに対し、スメクチックA相(SmA相)を呈する40℃のときは校章が白濁して実物画像は写らなかった。この白濁はスメクチックA相(SmA相)の配向欠陥に基づく散乱に起因すると考えられる。実施例3の調光素子は、実施例1の調光素子と同様、室温付近では良好な透明性を有し、おおよそ30℃程度から不透明性を有する熱応答型の調光素子・調光ガラスとして機能することがわかった。
【0089】
実施例3の調光素子の調光特性を、400〜1000nmの波長範囲で、紫外可視分光光度計により、透過光量を測定することにより評価した。
図7(C)及び
図7(D)は、実施例3の調光素子について、400〜1000nmの透過光スペクトルを示すグラフである。
図7(C)は、20℃にて、液晶組成物がリエントラントネマチック相(RN相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で透明である。
図7(D)は40℃にて、液晶組成物がスメクチックA相(SmA相)を呈しているものであって、400〜1000nmの波長範囲で半透明である。なお、実施例3の調光素子の結晶相(K相)を呈しているものは不透明であり、実施例3の調光素子のネマチック相(N相)を呈しているものは透明であり、図面は省略している。
【0090】
図7(C)及び
図7(D)の結果からも、実施例3の調光素子は、室温付近ではリエントラントネマチック相(RN相)を呈して良好な透明性を有し、おおよそ30℃程度からスメクチックA相(SmA相)を呈して不透明性を有する、熱応答型の調光素子・調光ガラス・調光ガラスとして機能することを確認できた。