(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
以下において、番組等のコンテンツの「視聴」とは、視聴者が、映像と音声とを受信して再生する場合、映像のみを再生する場合、音声のみを再生して聴取する場合のいずれをも含む。なお、視聴者が、字幕や文字スーパー等のテキストを併せて画面から読み取るようにしてもよい。
【0025】
(1)再送出システム全体の構成
図1は、本実施形態による再送出システムの概略構成を示すブロック図である。図示するように、再送出システム800は、再送出装置100と、受信装置500とを含んで構成される。また、再送出システム800内における通信手段として、無線LAN(Local Area Network)を利用することができる。
再送出装置100は、放送信号や通信で受信したコンテンツを再送出する装置である。再送出装置100は、インターネットを介して、外部装置と通信することができる。再送出装置100は、例えば、この外部装置からコンテンツを受信する。
受信装置500は、コンテンツを受信し、ユーザーに提示する機能を有する装置である。受信装置500は、「受信端末」とも呼ばれる。受信装置500は、例えば、パーソナルコンピューター(PC)や、タブレット端末や、スマートフォン(スマホ)などいった機器を用いて実現可能である。受信装置500は、放送信号によりコンテンツを受信したり、再送出装置100から無線LAN経由でコンテンツを受信したりすることができる。また、受信装置500が、有線または無線による通信を介してインターネットにアクセスできるようになっていてもよい。
なお、再送出装置100と受信装置500との間では、ユニキャスト方式による通信が可能である。また、再送出装置100から受信装置500にコンテンツを送信する際、マルチキャスト方式による通信を行うよう選択することもできる。
また、
図1において、再送出システム800内に3台の受信装置500が存在しているが、受信装置500の数は任意である。
【0026】
(2)再送出装置および受信装置の主要な機能の構成
図2は、再送出装置100および受信装置500それぞれの主要な機能の構成を示す概略図である。
図示するように、再送出装置100は、放送受信部701と、通信受信部702と、変換部703と、再送出部704と、番組配信リスト合成部705と、番組配信リスト送出部706と、プログラム記憶部707と、受信プログラム送出部708と、視聴者情報受信部709と、視聴者情報記憶部710と、を含んで構成される。
また、受信装置500は、番組配信リスト受信部751と、構成情報記憶部752と、決定部753と、番組受信部754と、受信プログラム要求部755と、受信プログラム受信部756と、実行部757と、視聴者情報登録部758と、を含んで構成される。
【0027】
図2に示す各機能について、以下に説明する。まず、再送出装置100が有する機能については、次の通りである。
放送受信部701は、放送信号による番組(コンテンツ)を受信する。
通信受信部702は、通信により番組(コンテンツ)を受信する。一例として、通信受信部702は、ユニキャスト方式による通信で番組を受信する。
変換部703は、放送受信部701や通信受信部702が受信した番組を再送信に適した形式に変換する。具体的には、変換部703は、映像のフレームレートや、画像(映像)の解像度や、映像および音声の伝送レートを変換する。また、変換部703は、伝送方式に応じてパケットの形式等を変換してもよい。
再送出部704は、前記変換部703が変換した番組を通信で再送出する。一例として、再送出部704は、マルチキャスト方式による通信で番組を再送出する。
番組配信リスト合成部705は、番組の配信方法ごとに、番組を受信するための所在情報(URL等の情報)と、配信方法の種別を表す情報である種別情報とを含んだ番組配信リストを合成(生成)する。
番組配信リスト送出部706は、上記の番組配信リストを送出する。
プログラム記憶部707は、再送出装置100あるいは受信装置500で稼働させるためのプログラムを記憶する。一例として、プログラム記憶部707は、受信装置500が特定の配信方法による番組配信を受信するための受信プログラムを記憶する。
受信プログラム送出部708は、受信装置500からの要求に応じてプログラム記憶部707から受信プログラムを読み出し、要求元である受信装置500に対して送出する。特に、受信プログラム送出部708は、LAN(ローカルエリアネットワーク)により受信プログラムを送出することとしてよい。このとき、受信プログラム送出部708は、無線LANにより受信プログラムを送出することとしてよい。
視聴者情報受信部709は、再送出部704が再送出する番組を受信する相手側である受信装置500から、番組の視聴者に関する情報である視聴者情報を受信する。
視聴者情報記憶部710は、視聴者情報受信部709が受信した視聴者情報を蓄積するものである。
【0028】
次に、受信装置500が有する機能については、次の通りである。
番組配信リスト受信部751は、番組の配信方法ごとに、番組を受信するための所在情報(URL等)と、配信方法の種別を表す情報である種別情報とを含んだ番組配信リストを受信する。
構成情報記憶部752は、自装置(受信装置500)の構成に関する情報を記憶する。構成情報の一部として、構成情報記憶部752は、自装置が特定の配信方法による配信を受信するための受信機能を有するか否かを表す情報を記憶する。
決定部753は、番組配信リストに含まれる種別情報が表す配信方法と、構成情報が表す受信機能とに基づいて、番組配信リストに含まれる配信方法から、特定の配信方法を選択し、決定する。
番組受信部754は、決定部753が決定した配信方法(例えば、放送による配信や、再送出装置100からの通信(例えば、マルチキャスト方式による伝送)等)により番組を受信する。
受信プログラム要求部755は、特定の配信方法(例えば、マルチキャスト方式による伝送等)による配信を受信するための受信プログラムを、外部装置(例えば、再送出装置100)に対して要求する。
受信プログラム受信部756は、受信プログラム要求部755からの要求に対応して外部から送信される受信プログラムを受信する。
実行部757は、プログラムを実行させる環境である。実行部757は、例えば、CPU(中央処理装置)とメモリー(主記憶)とを含む。例えば、実行部757で上記の受信プログラムを実行させた場合、この実行部757は、上記の番組受信部754として機能する。
視聴者情報登録部758は、視聴者に関する情報(氏名や、視聴者の状況)と自装置(受信装置500)に関する情報とを含んだ視聴者情報を、登録するために、再送出装置100に対して送信する。
【0029】
以下においては、
図2で示した各機能を実現するための、より具体的な構成について、再送出装置100と受信装置500のそれぞれについての別の機能構成図も参照しながら説明する。
【0030】
(3)再送出装置の構成
再送出装置100の機能構成および動作について説明する。
図3は、再送出装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、再送出装置100は、制御部1と、入力部2と、独自情報取得部3と、受信部10と、選択部11と、変換部12と、送出変換部13と、送出制御部14と、送受信部15と、受信部20と、符号化部21と、送出変換部23と、送出制御部24と、解析部30と、合成部31と、送受信部40と、送受信制御部42と、蓄積制御部43と、送出変換部44と、送出制御部45と、メモリー50と、更新保存部51と、受信処理部55と、判定・合成部56と、アンテナ110および111とを含んで構成される。
これらの各機能部は、例えば、電子回路を用いて実現される。また、各機能部は、必要に応じて、半導体メモリーや磁気ハードディスク装置などといった記憶手段を内部に備えてよい。また、各機能を、コンピューターおよびソフトウェアによって実現するようにしてもよい。
【0031】
制御部1は、再送出装置100が有する各機能を統合的に制御する。そのため、制御部1は、再送出装置100内の各機能との間で必要な信号の入出力を行う。また、制御部1は、時計を有しており、現時点での日付および時刻の情報を再送出装置100内の各機能に提供する。
また、制御部1は、再送出装置100の全体的な処理タイミングにしたがって、送出制御部14や送出制御部24がコンテンツのパケットを送出するタイミングを制御する。
また、制御部1は、受信部10が受信したテレビの放送信号に多重された番組特定情報(PSI、Program Specific Information)、および番組配列情報(SI、Service Information)を抽出する。なお、番組特定情報(PSI)および番組配列情報(SI)については、一般社団法人電波産業会(ARIB)および関連する標準化機関が規定する規格に定められている通りである。制御部1は、これら番組特定情報および番組配列情報から、放送番組を構成する映像や音声やその他の情報のパケット識別情報を取得する。制御部1は、番組特定情報および番組配列情報とともに、取得した上記パケット識別情報を選択部11に渡す。
【0032】
入力部2は、再送出装置100に関する設定情報等を外部から取得する。設定情報は、例えば、再送出装置100の設置場所や、再送出装置100の設置場所に関する補足的な情報(避難所名称等)や、受信可能な音声放送(ラジオ放送)の放送事業者名を含む。さらに、設定情報は、放送と同時にインターネット経由で提供されるコンテンツの配信に関する情報(参照先情報等)や、番組配信リスト(後述する)を含む。入力部2には、例えば文字を入力するためのキーボードや、情報を記憶した可搬型の半導体メモリー等を接続できるようにしている。
独自情報取得部3は、自装置(再送出装置100)に特有の情報を取得する。例えば、独自情報取得部3は、自装置の識別情報を予め記憶しておき、必要に応じてその識別情報を読み出し、自装置内の他の機能部にその識別情報を提供する。
【0033】
受信部10は、受信処理チューナーなどを含んで構成されるものであり、アンテナ110からの放送信号を取得する。受信部10は、放送信号の復号処理を行った後、MPEG−2トランスポートストリームを出力する。なお、MPEGは、「Moving Picture Experts Group」の略である。
選択部11は、制御部1から受け取ったパケット識別情報を参照して、受信部10から出力されるMPEG−2トランスポートストリームから、再送信に必要となるパケットのみを選択する。選択部11は、選択したパケットを変換部12に渡す。
また、選択部11は、番組特定情報および番組配列情報を、解析部30に渡す。
【0034】
変換部12は、受信装置500の機能に応じて、再送信するための映像信号や音声信号の変換処理を行う。変換部12は、具体的には、映像や音声の符号化パラメーターを変更する。変換部12は、変換後の映像パケットや音声パケットを、送出変換部13に渡す。
変換部12は、映像信号に関しては、例えば、受信装置500が有する映像提示機能の映像解像度を考慮して映像解像度を変更する。また、変換部12は、受信装置500の処理性能に応じて再送信する映像のフレームレートや伝送レートを変更する。
変換部12は、音声信号に関しては、例えば、受信装置500が有する音声提示機能に基づいて、音声のチャンネル数を変更する(例えば、ステレオとモノラルとの変更)。また、変換部12は、受信装置500の処理性能に応じて、再送信する音声の伝送レートを変更する。
【0035】
送出変換部13は、変換部12から映像パケットや音声パケットを受け取り、再送信の際の伝送方式(例えば、マルチキャスト方式等)に合致した形式のパケットに変換する。また、送出変換部13は、通信ネットワークにより映像や音声を再送信する場合には、番組の通信ネットワーク上での参照先を表す配信情報を決定する。送出変換部13は、映像および音声のパケットや配信情報を送出制御部14に渡す。
【0036】
送出制御部14は、映像および音声のパケットや配信情報を送出変換部13から受け取り、制御部1からのタイミング制御にしたがって、映像および音声のパケットを送受信部15に送信させる。
【0037】
送受信部15は、受信装置500に対してパケットを送信したり、受信装置500からパケットを受信したりする。送信に関しては、送受信部15は、送出制御部14や送出制御部24や送出制御部45による制御に基づいて受信装置500に対してパケットを送信する。なお、送受信部15は、マルチキャスト方式あるいはユニキャスト方式のいずれかを用いてパケットの送信を行う。受信に関しては、送受信部15は、受信装置500から受信したパケットを受信処理部55に渡す。
なお、伝送プロトコルに依存しない単一の装置として送受信部15を実現してもよいし、伝送プロトコル毎に設けられた複数の装置として送受信部15を実現してもよい。
送受信部15は、具体的には、コンテンツ(映像等)のデータを受信装置500に送信する。また、送受信部15が、受信装置500用のプログラム(認証用プログラムや、コンテンツ受信用プログラム)を送信する場合もある。そして、送受信部15は、受信装置500から、各種の要求を受信する。また、送受信部15が、視聴者情報を収集するためにその視聴者のデータを受信装置500から受信する場合もある。
【0038】
受信部20は、アンテナ111から取得したラジオ(音声のみによる放送)の放送信号を復調し、音声信号を出力する。受信部20は、出力する音声信号を符号化部21に渡す。
符号化部21は、受信部20から渡される音声信号を受け取り、符号化する。このとき、符号化部21は、受信装置500が持つ音声提示機能に適した音声モード(例えば、ステレオかモノラルか)や符号化レートにより、音声の符号化を行う。なお、符号化部21が用いる符号化方式は、変換部12が用いる音声の符号化方式と同一であることが好ましい。なお、変換部12が使用する音声符号化方式と、符号化部21が使用する音声符号化方式とが同一であれば、受信装置500側での復号等の処理を両者間で共通化することができる。なお、変換部12が使用する音声符号化方式と、符号化部21が使用する音声符号化方式とが同一である場合、変換部12と符号化部21との機能(回路等)を共通化してもよい。符号化部21は、符号化した音声信号を送出変換部23に渡す。
【0039】
送出変換部23は、符号化部21から符号化された音声信号を受け取り、再送信の際の伝送方式(例えば、マルチキャスト方式等)に合致した形式のパケットに変換する。また、送出変換部23は、通信ネットワークにより映像や音声を再送信する場合には、番組の通信ネットワーク上での参照先を表す配信情報を決定する。送出変換部23は、音声のパケットや配信情報を送出制御部24に渡す。
送出制御部24は、音声のパケットや配信情報を送出変換部23から受け取り、制御部1からのタイミング制御にしたがって、音声のパケットを送受信部15に送信させる。
【0040】
解析部30は、選択部11から番組特定情報および番組配列情報を受け取り、これらの信号に基づいて、オリジナルネットワーク識別、トランスポートストリーム識別、サービス識別などの情報を取得する。なお、オリジナルネットワーク識別、トランスポートストリーム識別、サービス識別などは、その放送伝送を特徴づける情報であり、選局や番組選択の処理において必要となる情報である。解析部30は、オリジナルネットワーク識別、トランスポートストリーム識別、サービス識別に基づいて、放送される番組を一意に特定することができる。また、このとき、解析部30は、番組配列情報から番組名の情報を取得することもできる。解析部30は、それらの情報を合成部31に渡す。
【0041】
なお、解析部30は、選択部11から渡される番組配列情報に含まれるEIT(Event Information Table)を継続的に監視する。EIT内には、放送中番組および次放送番組の情報が格納されている。解析部30がEIT内の放送中番組および次放送番組の欄を継続的に監視することにより、受信部10が受信している放送信号における番組の変化を検出することが可能となる。
解析部30が番組の変化を検知したとき、解析部30は、制御部1や合成部31などに番組の変化があった旨を通知する。
【0042】
合成部31は、番組配信リストの情報を生成する。
具体的には、次の通りである。合成部31は、上記の解析部30から、オリジナルネットワーク識別、トランスポートストリーム識別、サービス識別などの情報と、番組名の情報とを取得する。また、合成部31は、送出変換部13から、配信情報(番組の通信ネットワーク上での参照先を表す)を取得する。合成部31は、上記の情報から、番組配信リストを合成する。番組配信リストは、番組名に対して、番組の参照先情報をまとめた対照表形式のリストである。つまり、番組配信リストは、番組名と、放送信号として伝送される場合の参照先情報と、通信(マルチキャスト配信)で伝送される場合の参照先情報とを、相互に関連付けた情報である。つまり、番組配信リストは、番組名と、複数の伝送手段での参照先情報とを関連付けた情報である。
また、音声のみの放送(ラジオ放送)の再送信における番組配信リストの生成については、次の通りである。ラジオ放送(AM放送やFM放送)の場合、放送周波数に対応する放送事業者は既知である。入力部2は、ラジオ放送の放送周波数と放送事業者名(あるいはラジオ局名等)との関係を予め取得しておく。例えば、再送出装置100を設置する際に、設置担当者が、当該設定場所に置ける各ラジオ放送の受信状況を確認するとともに、充分な品質で受信可能なラジオ放送に関して、放送周波数と放送事業者名等の情報とを、入力部2から入力する。制御部1は、入力部2から放送周波数と放送事業者名等との対応関係の情報を受け取り、蓄積制御部43に渡す。蓄積制御部43は、放送周波数と放送事業者名等との対応関係の情報をメモリー50に書き込む。また、合成部31は、送出変換部23から、放送周波数の情報と関連付けられた配信情報(音声番組の通信ネットワーク上での参照先を表す)を取得する。これにより、合成部31は、ラジオ放送に関しても、放送周波数の情報と、配信情報と、放送事業者名等の情報とを相互に関連付けた番組配信リストを生成できる。
合成部31は、テレビ放送およびラジオ放送に関して生成した番組配信リストを、蓄積制御部43に渡す。蓄積制御部43は、その番組配信リストを、メモリー50に書き込む。なお、番組配信リストの具体的な構成例については、後で説明する。
【0043】
なお、解析部30がテレビ放送における番組の切り替わりを検知(前述)したとき、合成部31はその通知を受け取るとともに、最新の時点での情報に基づいて番組配信リストを再生成する。これにより、合成部31が生成する番組配信リストは、常に最新の番組名の情報を保持する。
ただし、音声のみによる放送(受信部20が受信)や、インターネットによる同時配信の番組(送受信部40が受信)に関しては、そもそも番組名の情報を番組配信リスト内に持たず、代わりに放送事業者等の情報を持っている。また、音声のみによる放送やインターネットによる同時配信の番組に関しては、解析部30は、番組の切り替えを検知しない。つまり、音声のみによる放送やインターネットによる同時配信の番組に関しては、合成部31は、番組配信リスト内の番組名の更新を行わない。
【0044】
送受信部40は、外部装置から、コンテンツを受信したり、プログラムを受信したりする。また、送受信部40は、外部装置に対して、各種の要求を送信する場合がある。また、送受信部40が、外部装置に対して、視聴者情報を送信する場合がある。
送受信部40は、コンテンツを受信した場合には、そのコンテンツを変換部12に渡す。また、送受信部40は、メモリーに保存すべきデータ(プログラムを含む)を受信した場合には、そのデータを送受信制御部42に渡す。
【0045】
送受信制御部42は、送受信部40を介して、外部の装置から受信装置500用の受信プログラムを受信する。受信装置500が、マルチキャスト方式で伝送される番組を視聴するためには、映像および音声の符号化方式にも対応した専用の受信プログラムが必要となる。その受信プログラムを、送受信制御部42が取得して、メモリー50に蓄積しておくようにする。具体的には、送受信制御部42は、受信装置500用の受信プログラムが機能変更等で更新された場合に、外部のサーバー装置から更新プログラムを取得して、蓄積制御部43に渡す。具体的には、送受信制御部42は、更新プログラムを取得するために、送受信部40を経由して、更新プログラムの伝送を上記の外部サーバー装置に要求する。外部サーバー装置は、送受信制御部42からの要求に応じて、更新プログラムを再送出装置100に伝送する。送受信制御部42は、送受信部40経由でこの更新プログラムを受信し、蓄積制御部43に渡す。
なお、この受信プログラムとして、受信装置500の機種ごとあるいはOS(オペレーティングシステム)ごとに異なるタイプのプログラムをそれぞれ、送受信制御部42が取得するようにしてもよい。
なお、送受信制御部42は、受信プログラムだけでなく受信装置500用の情報登録プログラムも、上記の受信プログラムと同様の方法で受け取り、メモリー50に書き込むために蓄積制御部43に渡す。
【0046】
蓄積制御部43は、メモリー50に蓄積される情報の書き込みおよび読み出しを制御する。メモリー50に蓄積される情報は、主に、入力部2が取得した設定情報等、合成部31によって生成された番組配信リスト、そして、送受信制御部42が外部から取得した受信装置500用のプログラム(受信プログラムや、情報登録プログラム)である。蓄積制御部43は、入力部2が取得した設定情報等を制御部1から受け取り、メモリー50に書き込む。また、蓄積制御部43は、合成部31から番組配信リストを受け取り、メモリー50に書き込む。また、蓄積制御部43は、受信装置500で用いるためのプログラムを送受信制御部42から受け取り、メモリー50に書き込む。また、蓄積制御部43は、各部からの要求に応じて、メモリー50から情報を読み出し、提供する。例えば、蓄積制御部43は、番組配信リストをメモリー50から読み出し、受信装置500側に配信するために送出変換部44に渡す。
【0047】
送出変換部44は、メモリー50から読み出された番組配信リストを、受信装置500へ送信するための形式に変換する。番組配信リストは、受信装置500において受信方法の決定のために利用される。したがって、番組配信リスト自体を配信する際の伝送方式は、受信装置500側からの要求に応じて提供可能な伝送方式であることが望ましい。例えば、番組配信リストをユニキャスト方式で伝送することが望ましい。そのため、送出変換部44は、番組配信リストをユニキャスト方式に適した形式に変換する。送出変換部44は、変換後の番組配信リストを送出制御部45に渡す。
【0048】
送出制御部45は、番組配信リストを受信装置500に配信するための制御を行う。具体的には、送出制御部45は、送出変換部44から番組配信リストを受け取り、番組配信リストの送出のタイミングの調整等を行い、適切なタイミングで番組配信リストを送受信部15に渡す。送受信部15が、配信リストを無線LAN等の通信手段を用いて番組配信リストを受信装置500に送信する。
【0049】
メモリー50は、各種の情報を記憶する。具体的には、メモリー50は、自装置(再送出装置100)に関して、設置場所(例えば避難所の名称等を含む)やその他の補足的な情報を記憶する。また、メモリー50は、受信可能な放送に関する情報(事業者名、選局情報等)や、インターネットにより配信されるコンテンツ(インターネット同時提供のコンテンツ)の参照先である配信情報や、後述する配信種別等の情報を記憶する。また、メモリー50は、番組配信リストを記憶する。また、メモリー50は、再送出装置100上あるいは受信装置500上で稼働するプログラムを記憶する。また、メモリー50は、受信装置500から収集した視聴者情報を記憶する。
【0050】
更新保存部51は、外部に提供するためのデータを保存する。更新保存部51は、後述する視聴者情報のデータを、外部装置に送信する代わりに、保存するために用いられる場合もある。
受信処理部55は、送受信部15が外部から受信したデータを一時的に受け取る。受信処理部55は、その受信データを、判定・合成部56に渡す。
【0051】
判定・合成部56は、受信処理部55から受信データを受け取り、その内容を判定し、適切に処理する。判定・合成部56が受け取るデータは、例えば、受信装置500からの要求や、受信装置500から収集する視聴者情報である。
判定・合成部56は、受信装置500からの要求を受け取った場合、その要求内容を制御部1に通知する。例えば、受信装置500側からプログラムの要求を受信した際、判定・合成部56は、例えば、要求されているプログラムの種別と、受信装置500の機種等の情報を、制御部1に通知する。これを受けて、制御部1は、蓄積制御部43に対して、該当する機種用の該当するプログラムをメモリー50から読み出すよう指示する。これに基づき、蓄積制御部43は、メモリー50から、該当する受信プログラムを読み出し、送出変換部44に渡す。
判定・合成部56は、受信装置500から視聴者情報を受け取った場合、その情報を、メモリー50に蓄積するよう、蓄積制御部43に指示する。
【0052】
アンテナ110は、テレビ放送を受信するためのアンテナである。テレビ放送は、映像および音声からなるコンテンツによる放送である。アンテナ110は、地上波や衛星波などの無線信号を受信する。
アンテナ111は、中波放送(AM放送)および超短波放送(FM放送)といった、ラジオ放送を受信するためのアンテナである。ラジオ放送は、音声のみからなるコンテンツによる放送である。なお、アンテナ111で受信するラジオ放送は、中波や超短波以外の周波数帯によるものであってもよく、AMやFM以外の変調方式によるものであってもよい。
【0053】
以上説明したように、再送出装置100は、テレビ放送やラジオ放送を受信し、無線LAN等の通信手段を用いて再送信する。また、再送出装置100は、インターネットで同時配信される番組を受信し、無線LAN等の通信手段を用いて再送信する。また、再送出装置100は、受信した放送信号等に基づき番組配信リストを生成し、その番組配信リストを受信装置500に送信する。また、再送出装置100は、受信装置500が使用するための受信プログラム(例えば、マルチキャスト配信の受信用のプログラム)を外部装置から取得し、メモリーに蓄積し、要求に応じて受信装置500に送信する。これにより、再送出装置100は、受信装置500側にコンテンツやプログラムを配信することができる。また、再送出装置100は、受信装置500側にコンテンツやプログラムを配信する際、インターネット等の公衆通信回線の状況(輻輳等)の影響を受けずに、再送出システム800内に閉じたLAN等による伝送を行える。
また、上記のような再送出装置の機能により、受信装置500側ではコンテンツの再配信を受けることが可能となる。
【0054】
(4)番組配信リストの構成
図4は、番組配信リストの構成例を示す概略図である。図示するように、番組配信リストは、表形式のデータとして表現可能である。番組配信リストは、番組と、URL(ユニフォームリソースロケータ―)と、種別の各データ項目を有する。なお、番組配信リストの各行に、便宜的に行番号を付している。
【0055】
番組の欄は、番組名等を表す。テレビ放送に関しては、番組名は、前述の通り、放送信号から取得される。また、ラジオ放送に関しては、番組名の欄に、放送事業者名やラジオ局名などといった情報を保持する。図内の第3行目の番組欄に格納されている「△△ラジオ放送」という情報は、ラジオ局名の情報である。ラジオ放送に関する放送事業者名やラジオ局名等の情報は、前述の通り、入力部2から入力された情報である。
URLの欄は、配信情報を格納する。配信情報は、前述の通り、通信ネットワークにおける番組への参照情報である。
種別の欄は、配信種別を表す情報である。配信種別において、「TV」は、放送によるテレビ番組であることを表す。また、「MCTV」は、通信(マルチキャスト方式)によるテレビ番組であることを表す。また、「MCA」は、通信(マルチキャスト方式)による音声番組であることを表す。また、「NET」は、インターネットによる同時配信番組であることを表す。また、「MCNET」は、マルチキャスト方式によるインターネット同時配信番組であることを表す。なお、制御部1は、受信部10、受信部20、送受信部40から取得した放送の種類に対応させて、この配信種別の情報を適宜決定する。
【0056】
なお、番組配信リストは、優先順位に基づいて配信がソートされている。
図4に示す例では、第1行目の番組「○○ニュース」、種別「TV」の優先順位が最も高い。第2行目以後、順に優先順位が低くなり、第5行目の種別「NET」の配信の優先順位が最も低い。
【0057】
なお、番組配信リストに含まれる情報は、再送出装置100において受信した情報に基づくものである。したがって、番組配信リストに含まれる番組等が受信装置500の場所において同様に受信できるとは限らないことに留意する必要がある。
【0058】
(5)受信装置の機能構成
次に、受信装置500の機能構成および動作について説明する。
図5は、受信装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、受信装置500は、受信提示処理部71と、提示部72と、メモリー74と、受信処理部75と、受信変換部76と、蓄積制御部77と、比較・判定部78と、決定部79と、独自情報処理部81と、送出変換部82と、送出制御部83と、受信部85と、アンテナ112と、制御部530と、端末情報取得部550と、入力処理部560とを含んで構成される。
【0059】
送受信部70は、通信により、データを送受信する。具体的には、送受信部70は、例えば無線LAN等を介した通信により、再送出装置100との間でデータを送受信する。送受信部70が受信するデータは、通信で配信されるコンテンツや、番組配信リストや、プログラム等である。送受信部70が送信するデータは、再送出装置100に対する要求や、再送出装置100に渡す視聴者情報等である。送受信部70は、受信したコンテンツのデータを受信提示処理部71に渡す。また、送受信部70は、受信したコンテンツ以外のデータ(番組配信リストやプログラム等)を受信処理部75に渡す。また、送受信部70は、送出制御部83から渡されるデータを、送出制御部83による制御下で送出する。
【0060】
受信提示処理部71は、受信部85や送受信部70からコンテンツデータ(映像、音声等)を受け取り、そのコンテンツデータを復号し、復号後のデータを提示部72に渡す。なお、受信提示処理部71は、例えば、MPEG−2トランスポートストリームを受け取り、そのストリームを復号する。
提示部72は、受信提示処理部71から復号済みのコンテンツデータ(映像、音声等)を受け取り、それらをユーザーに提示する。具体的には、提示部72は、映像を画面に表示したり、音声をスピーカー等から出力したりする。
【0061】
メモリー74は、各種のデータを記憶する。メモリー74が記憶するものは、番組配信リストや、自装置(受信装置500)の構成情報や、自装置で稼働するプログラムなどである。
蓄積制御部77は、メモリー74へのデータの書き込み、およびメモリー74からのデータの読み出しを制御する。
【0062】
受信処理部75は、送受信部70が受信したデータ(パケット)を受け取り、受信変換部76に渡す。
受信変換部76は、受信処理部75からパケットを受け取り、受け取ったパケットを基に、パケット化前のデータを復元する。受信変換部76によって復元されるデータは、例えば、再送出装置100側から伝送された番組配信リストや、再送出装置100側から伝送されたプログラム(受信装置500上で稼働させるための各種プログラム)等である。受信変換部76は、復元したデータを、蓄積制御部77に渡す。
【0063】
比較・判定部78は、番組配信リストと、自装置(受信装置500)の構成情報とを比較する。比較・判定部78は、その比較の処理のために、蓄積制御部77の制御により、番組配信リストおよび自装置の構成情報をメモリー74から読み出す。比較・判定部78は、その比較結果の情報を決定部79に渡す。
決定部79は、比較・判定部78から渡される比較結果の情報に基づき、番組配信リストに含まれる伝送種別のうち、自装置(受信装置500)において実際に利用可能な伝送種別がどれであるかを決定する。また、利用可能な伝送種別が複数ある場合、決定部79は、それらの伝送種別の間における優先順位を決定する。決定部79は、決定した結果を反映した番組配信リストを、蓄積制御部77に渡し、メモリー74に書き込ませる。
【0064】
独自情報処理部81は、受信装置500およびそのユーザーに独自の情報を処理する。具体的には、独自情報処理部81は、自装置(受信装置500)を識別する情報を端末情報取得部550から受け取るとともに、ユーザーが入力した視聴者の氏名や状況等の情報を入力処理部560から受け取る。ここで独自情報処理部81が受け取る情報を「視聴者情報」と呼ぶ。視聴者情報については後でも説明する。そして、独自情報処理部81は、受け取った視聴者情報を、再送出装置100側に送信するために送出変換部82にわたす。
送出変換部82は、独自情報処理部81から受け取った上記の視聴者情報を、伝送に適した形式のパケットに変換する。送出変換部82は、変換後のパケットを送出制御部83に渡す。
送出制御部83は、送出変換部82から渡された視聴者情報について、送出タイミング等の調整を行い、送受信部70に送信させる。
【0065】
アンテナ112は、放送信号(テレビ放送等)を受信するために用いられるアンテナである。
受信部85は、アンテナ112により捕えた放送信号を受信し、復調し、復調した結果であるコンテンツの信号を出力する。例えば、受信部85は、MPEG−2トランスポートストリームを出力する。受信部85は、出力する信号を受信提示処理部71に渡す。
【0066】
制御部530は、受信装置500が有する機能を統合的に制御するものである。
端末情報取得部550は、受信装置500自身に関する情報を取得するものである。具体的には、端末情報取得部550は、例えば、予めメモリーに書き込まれている情報を読み出す。
入力処理部560は、ユーザーが入力する情報(例えば、後述する視聴者情報)を受け付ける機能である。
【0067】
(6)認証処理
受信装置500が再送出装置100からの配信を受けるために実行する認証処理は、次の通りである。
受信装置500は、無線LANを用いて、再送出装置100との間の通信を行う。受信装置500は、ネットワーク識別処理や認証処理を行うためのソフトウェア(プログラム)を、再送出装置100に対して要求する。この要求に応じて、再送出装置100の送受信部15は、保持している認証用ソフトウェアを、要求元の受信装置500に送信する。受信装置500側の送受信部70は、この認証用ソフトウェアを受信する。認証用ソフトウェアは、順に、受信処理部75、受信変換部76、蓄積制御部77を経由して、提示部72に渡される。提示部72は、認証処理のための情報を画面に表示する。続いて、入力処理部560で入力された情報に基づいて、無線LANの認証処理を行う。受信装置500は、認証処理の際に、必要に応じて、再送出装置100との間で通信を行う。認証処理の結果は、制御部530に渡される。
上記の認証処理が成功した場合、制御部530は、番組配信リストを取得したり、再配信されるコンテンツの受信方法を決定したり、コンテンツの受信に必要なソフトウェアを取得したり、視聴者情報の収集(後述する)を実施するためのソフトウェアの取得および起動を行ったりする。
【0068】
(7)受信装置側での番組配信リストの取得
上記の無線LANの認証処理が正常に完了した場合、制御部530は、番組配信リストの取得を要求する。具体的には、制御部530は、送受信部70を経由して、再送出装置100に番組配信リストを要求する。番組配信リストの要求を受けた再送出装置100側での処理については、既に説明した通りである。送受信部70は、再送出装置100から送られた番組配信リストを受信する。送受信部70は、伝送に用いた形式の番組配信リストを受信変換部76に渡す。受信変換部76は、伝送に適した形式の番組配信リストを、受信装置500内での処理に適した形式の番組配信リストに変換する。受信変換部76は、変換後の番組配信リストを蓄積制御部77に渡す。蓄積制御部77は、受け取った番組配信リストをメモリー74に書き込む。既にメモリー74内に番組配信リストが保存されていた場合には、蓄積制御部77は、最新の番組配信リストを用いてメモリー74内の記録領域を更新する。
【0069】
(8)受信方法の決定と、番組配信リストの更新
制御部530は、再送出装置100から受け取った番組配信リストの内容と、自装置(受信装置500)の構成情報とに基づいて、利用可能な伝送種別の判断を行わせる。具体的には、制御部530からの指示に基づき、比較・判定部78は、番組配信リストと自装置の構成情報との比較を行う。自装置の構成情報は、予め端末情報取得部550によって取得され、メモリー74に書き込まれていた情報である。
なお、自装置の構成情報は、受信装置500が放送受信用チューナーの機能を持つか否か、放送および通信の受信状態、受信装置500の画面の表示解像度、音声出力モード(ステレオあるいはモノラル)、機種名、基本ソフト(OS等)の種類、基本ソフトのバージョン情報、受信プログラム(再送出装置100からのマルチキャスト配信を受信するためのプログラム)のバージョン情報、最大処理能力(例えば、CPUの単位時間当たりの処理命令数等)、受信装置500の現在位置などといった情報を含む。
【0070】
比較・判定部78は、番組配信リストと自装置の構成情報とを比較した結果の情報を、決定部79に渡す。決定部79は、比較・判定部78から渡された情報に基づき、番組配信リストに含まれる伝送種別のうち、自装置において実際に利用可能な伝送種別がどれであるかを決定する。利用可能な伝送種別が複数ある場合、決定部79は、それらの伝送種別の間における優先順位を決定する。決定部79は、これらの決定に基づき、実際に利用可能と判断された伝送種別の順(優先順位の順)に、番組配信リストを並べ替える。決定部79は、このように自装置で利用可能であるか否かを判断した結果として書き換えられた番組配信リストを、蓄積制御部77に渡す。蓄積制御部77は、決定部79から渡された番組配信リストでメモリー74を更新する。
【0071】
決定部79における順位決定の基準は、次の通りである。
例えば、入力処理部560が取得した優先順位にしたがって、伝送種別ごとの順位を決定してもよい。この場合、入力処理部560が取得した優先順位の情報を、制御部530が受け取る。そして、制御部530は、その優先順位の情報を決定部79に渡す。
また、例えば、予め設定された特定の伝送種別が常に最優先になるように決定部79が優先順位を決定してもよい。
また、例えば、複数の条件や複数の評価基準から、決定部79が伝送種別ごとの総合得点を算出して、総合得点に基づいて優先順位を決定するようにしてもよい。
一例として、1)放送信号の直接受信、2)マルチキャスト伝送による再送出装置100からの受信、3)インターネット同時提供による番組の直接受信の順に、決定部79が優先順位を決定してもよい。災害発生時等の非常時において、ここに例示した優先順位を用いれば、公衆通信回線の輻輳を回避ないしは軽減することが可能となる。
また、一例として、音声放送のマルチキャスト方式による再送信が番組配信リストに含まれている場合、インターネット同時提供による番組の直接受信よりも、音声放送のマルチキャスト方式による再送信のほうを優先させるように、決定部79が決定する。これにより、再送出システム800全体における省電力化や、公衆通信回線および無線LANの輻輳回避(または軽減)の効果が得られる。
【0072】
図4に示した番組配信リストの例では、前述の通り、優先順位にしたがって配信がソートされている。つまり、
図4に示す番組配信リストにおける各配信の順序は、決定部79によって決定された優先順位によるものである。
【0073】
(9)受信装置側での受信プログラムの取得
受信装置500がコンテンツを受信するために、特定の受信プログラムを必要とする場合がある。ここでは、受信装置500がこの受信プログラムを取得するための処理について説明する。
受信装置500においてユーザーが番組を視聴するためには、伝送方式や映像および音声の符号化方式に適合した受信プログラムを受信装置500上で稼働させる必要がある。例えば、放送信号を直接受信して視聴するためには、放送受信用の受信プログラムが必要である。ただし、放送受信用のチューナー機能が搭載されている受信装置500の場合には、受信プログラムもまた予め搭載されていることが多い。一方、マルチキャスト方式で伝送される番組を受信する場合には、マルチキャスト配信を受信する機能を有した受信プログラムが必要である。
必要な受信プログラムを受信装置500が予め搭載していない場合には、例えばユーザーによる操作等に基づいて、その受信プログラムを取得し、受信装置500にインストールしておく必要がある。
【0074】
しかしながら、災害が発生した状況における避難場所などの特殊な状況下では、受信プログラムを取得するための公衆通信回線が利用不可能である場合も考えられる。また、公衆通信回線が利用可能である場合にも、受信プログラムを取得するためのトラフィックが集中すると、公衆通信回線の輻輳が発生する可能性があり、好ましくない。本実施形態においては番組をマルチキャスト方式で再送信することによって公衆通信回線の輻輳を回避しているが、当該方式の再送信を受信するために必要な受信プログラムを受信装置500が取得するために、公衆通信回線の輻輳が発生することは好ましくない。
【0075】
上記のような事情を考慮し、本実施形態では、再送出装置100に予め最新の受信プログラムを蓄積しておき、無線LAN経由で、受信装置500がその受信プログラムを取得できるようにする。
【0076】
受信装置500が受信プログラムを取得するための手順は、下記の通りである。
受信装置500が特定の受信プログラムを必要とするとき(例えば、マルチキャスト伝送方式の配信を受信する受信プログラムを必要とするとき)、ユーザーの操作等に基づき、制御部530は、受信プログラムの取得を要求することを決定する。
制御部530の制御により、送出制御部83は、受信プログラムの取得要求を送受信部70に送信させる。受信プログラムの取得要求は受信装置500の機種情報を伴うものであり、ユニキャスト方式で、受信装置500から再送出装置100に送信される。
再送出装置の送受信部15は、受信装置500側からの受信プログラム取得要求を受信し、受信処理部55に渡す。受信処理部55は、受信プログラム取得要求の要求内容を判断するとともに、要求元の受信装置500の機種情報を取得する。受信処理部55は、受信プログラム取得要求の内容を判定・合成部56に通知する。
判定・合成部56は、要求内容を制御部1に通知する。制御部1は、蓄積制御部43に対して、該当する機種用の受信プログラムをメモリー50から読み出すよう指示する。これに基づき、蓄積制御部43は、メモリー50から、該当する受信プログラムを読み出し、送出変換部44に渡す。
送出変換部44は、ユニキャスト伝送用のパケットを作成し、送出制御部45に渡す。送出制御部45は、送出タイミングの調整を行うとともに、送出変換部44から渡されたパケットを、送受信部15に送信させる。送受信部15は、無線LAN等により、パケットを受信装置500へ送信する。
受信装置500側において、送受信部70がそれらのパケットを受信し、受信処理部75に渡す。さらに、受信処理部75は、それらのパケットを受信変換部76に渡す。受信変換部76は、受け取ったパケットを基に、取得要求した受信プログラムを復元する。即ち、受信変換部76は、再送出装置100側の送出変換部44によるパケット化処理の逆変換を行う。受信変換部76は、蓄積制御部77に、取得した受信プログラムをメモリー74に書き込むよう指示する。このようにして、受信プログラムは、メモリー74に蓄積される。
受信装置500は、取得した受信プログラムを起動することにより、所望の伝送方式(例えば、マルチキャスト方式)によるコンテンツ配信を受信することができる。
【0077】
(10)番組の受信
受信装置500は、保持している番組配信リストにしたがって番組の受信を試みる。即ち、受信装置500は、番組配信リストを作成した再送出装置100が設置されている地点で受信可能な番組の受信を試みる。そして、受信装置500は、受信装置500が有する機能や、受信装置500のユーザーが設定した優先順序等に基づく順序で、番組の受信を試みる。
【0078】
具体的には、決定部79によって決定された順序を反映した番組配信リストが、メモリー74に保存されている。制御部530は、蓄積制御部77に番組配信リストを読み出させ、その番組配信リストを受け取る。ここでは、
図4に例示した番組配信リストの場合について以後の処理を説明する。番組配信リストでは、第1位の候補として、テレビ放送の直接受信(番組「○○ニュース」、種別「TV」)が定義されている。制御部530は、自装置の構成情報(端末情報取得部550が取得した情報)を参照し、自装置がテレビ放送用チューナーを搭載していること、テレビ放送を受信するための受信部85が正常に機能することを確認する。そして、制御部530は、受信部85がURL「arib://7FE0.7FE0,0401」(番組配信リストの第1行目に記載)を受信したときの受信状態を確認する。受信状態が正常であることが確認できると、受信部85が出力するMPEG−2トランスポートストリームを、受信提示処理部71に渡す。受信提示処理部71は、MPEG−2トランスポートストリームを復号し、その結果得られる映像および音声を提示部72に渡す。提示部72は、映像および音声を提示する。即ち、提示部72は、映像を画面に表示するとともに、音声をスピーカーから出力する。これにより、受信装置500のユーザーは、放送信号の直接受信による番組を視聴できる。
【0079】
なお、受信提示処理部71の機能の少なくとも一部が、プログラム(放送受信用プログラム)で実現されていてもよい。その場合、放送受信用プログラムは、メモリー74に予め保持されている。蓄積制御部77は、必要時にその放送受信用プログラムを読み出して、受信装置500が備えるCPUで実行させる。
【0080】
ここで、受信装置500がテレビ放送のチューナーを搭載しない場合や、その時点でチューナーが機能しない場合や、放送信号の受信状態が良くない場合(例えば、受信装置500の場所において受信した放送信号のレベルが低すぎる場合など)には、受信装置500は別の手段による受信を試みる。即ち、その場合、番組配信リスト(
図4)の第2行目に記載されているマルチキャスト伝送による番組受信を試みる。即ち、制御部530は、番組配信リストの第2行目の情報を蓄積制御部77に読み出させ、その情報を受け取る。第2行目に記載されている配信の種別は「MCTV」(マルチキャストによるテレビ)である。このとき、制御部530は、自装置の構成情報を参照し、マルチキャスト方式の配信を受信できるか否かを判定する。現構成においてマルチキャスト方式の配信を受信できる場合、即ち、マルチキャスト方式に対応した受信プログラムを取得済みの場合、制御部530は、その受信プログラムを起動する。現構成においてマルチキャスト方式の配信を受信できない場合、即ち、マルチキャスト方式に対応した受信プログラムが未取得の場合には、制御部530は、前述の方法により当該受信プログラムを取得してから、その受信プログラムを起動するよう制御する。
【0081】
つまり、マルチキャスト方式用の受信プログラムは、メモリー74から読み出され、実行される。マルチキャスト方式用の受信プログラムの機能は、受信提示処理部71の機能として実行される。送受信部70が受信したマルチキャスト配信によるコンテンツ(映像や音声)のパケットは、受信提示処理部71に渡される。そして、受信提示処理部71(マルチキャスト方式用の受信プログラム)は、それらの映像や音声を復号する。受信提示処理部71は、復号済みの映像や音声を提示部72に渡す。そして、提示部72は、前述の方法と同様の方法により、映像および音声を提示する。これにより、受信装置500のユーザーは、マルチキャスト方式の再送信によるテレビ番組を視聴できる。
【0082】
番組配信リスト(
図4)の第3行目に記載されているマルチキャスト伝送による音声番組(種別は「MCA」)を受信する場合、受信装置500は、マルチキャスト伝送によるテレビ(MCTV)と同様に動作する。ただし、マルチキャスト方式で伝送される音声番組(MCA)には映像は含まれず音声のみが含まれる点が、MCTVとの違いである。
【0083】
(11)放送番組のインターネット同時配信の受信
次に、インターネットで配信される放送番組の同時提供を受信する場合について説明する。
放送番組のインターネット同時提供による配信は、ユニキャスト方式で行われることが一般的である。ユニキャスト方式を用いる場合、配信を受信する側の端末数に応じたコンピューター資源が、送出側のサーバー装置に要求される。さらに、受信する側の端末ごとに1本の接続が確立され、接続ごとに所定の通信帯域が公衆通信回線に要求される。送出側のサーバー設備や公衆回線網の伝送容量には上限があるため、例えば災害時など、通信アクセスが通常時よりも爆発的に増加する状況では、番組を充分に配信できなくなるという傾向が顕著に現れるという問題がある。
【0084】
そこで、本実施形態では、再送出装置100が、インターネット同時提供による配信で番組を受信し、その番組を、無線LANを用いてマルチキャスト方式で配信する。
また、受信装置500側で稼働する受信プログラムを、再送出装置100が提供する。
【0085】
再送出装置100の送受信部40は、インターネット同時提供による番組を受信する。即ち、送受信部40は、インターネット同時提供による映像および音声のパケットを受信する。送受信部40は、それらのパケットを変換部12に渡す。
変換部12は、必要に応じて、映像の解像度およびフレームレートや、コンテンツの伝送レートの変換を行う。つまり、変換部12は、受信装置500側での受信形態に合う形式のコンテンツへの変換を行う。変換部12は、変換済みのコンテンツを送出変換部13に渡す。
送出変換部13は、受け取ったコンテンツを伝送用のパケットに形式変換する。また、送出変換部13は、配信情報を生成する。送出変換部13は、変換済みのパケットデータを送出制御部14に渡す。なお、ここでは、マルチキャスト伝送用のパケットが出力される。
送出制御部14は、送出のタイミングの調整等を行うとともに、送受信部15にパケットを送信させる。
送受信部15は、それらのパケットを無線LAN等により、マルチキャスト方式で受信装置500に対して送信する。
【0086】
上記処理において送出変換部13で生成された配信情報は、配信種別の情報とともに合成部31に渡される。合成部31は、放送信号に基づいて生成された番組配信情報と、送出変換部13から生成された配信情報とを合成後、それらの情報を蓄積制御部43に渡す。そして、合成部31は、蓄積制御部43に、その情報をメモリー50に書き込むよう指示する。これにより、蓄積制御部43は、上記の配信情報をメモリー50に書き込む。即ち、インターネット同時提供の番組をマルチキャスト方式で配信する際の配信情報、およびその種別の情報が、選択候補リストに追加される。
【0087】
再送出装置100側における、インターネット同時提供によるコンテンツの処理は、既に説明した通りである。受信装置500は、再送出装置100がマルチキャスト方式で再送出するパケットを受信する。
なお、受信装置500は、前述のマルチキャスト配信用の受信プログラムを用いて、インターネット同時提供によるコンテンツの再配信(マルチキャスト伝送)を受信することができる。
【0088】
以上説明したように、再送出装置100は、インターネット同時提供による番組を受信し、マルチキャスト方式で、無線LAN等で再送信する。これにより、公衆通信回線(インターネット)の帯域を圧迫することなく、多数の受信装置500がこの番組を受信することが可能となる。即ち、公衆通信回線の帯域を圧迫することなく、多数のユーザーがこの番組を視聴することが可能となる。また、マルチキャスト伝送等、特定の方式による受信のための受信プログラムを、再送出装置100から受信装置500に、無線LAN等を介して渡せるため、この点においても公衆通信回線の帯域の節約に貢献する。
【0089】
ただし、ここで述べた方式では、再送出装置100における処理のため、受信装置500がインターネット同時提供の番組を直接受信する場合に比べると、数十秒程度の遅延は生じる。
【0090】
ここで、音声放送(ラジオ)のインターネット同時提供についても全く同様である。即ち、インターネットで同時提供される音声放送の配信情報は既知である。
再送出装置100において、送受信部40は、インターネット同時提供による音声放送の番組を受信する。送受信部40は、音声で構成されるパケットを出力する。変換部12は、この音声を、受信装置500側での利用形態に即して、伝送レート等の変換を行う。送出変換部13は、音声データを、送出に適した形式のパケットに変換する。また、送出変換部13は、当該配信に関する配信情報を決定する。送出制御部14は、送出のタイミング調整等を実施して、送受信部15に音声のパケットを送信させる。一方、送出変換部13から出力された配信情報は、配信種別の情報とともに合成部31に渡される。合成部31は、この音声の配信に関する配信情報を含んだ番組配信リストを出力する。番組配信リストは、メモリー50に書き込まれる。即ち、インターネット同時提供の音声放送をマルチキャスト方式に変換して配信する際の配信情報とその種別が、番組配信リストに追加される。したがって、受信装置500側では、この音声の配信を選択することも可能となる。
【0091】
(12)視聴者情報の収集
次に、本実施形態における視聴者情報の収集の処理について説明する。
ここまで、例えば大規模災害などの非常事態が発生した際に、公衆通信回線等を極力使用せずに再送出装置100が放送番組等を配信するための技術について説明した。一方、そのような非常事態においては、番組等を視聴する視聴者の情報を効率よく適切に収集することも極めて重要である。そのため、本実施形態では、効率的に視聴者情報(ここでの視聴者とは、例えば、非常事態において避難所等に避難している避難者)を収集する方法を提供する。
【0092】
再送出装置100のメモリー50には、視聴者情報収集プログラムが保存されている。視聴者情報収集プログラムは、例えば、オペレーターの操作により、あるいは外部装置(遠隔地に存在するサーバー装置等)からの指示により、再送出装置100上で起動される。一方、受信装置500側のメモリー74にも、情報登録プログラムが保存されている。情報登録プログラムは、例えば、前述の受信プログラム(マルチキャスト配信用)に含まれる一機能であってもよい。受信装置500側では、ユーザーの操作により、あるいは再送出装置100からの起動信号により、情報登録プログラムが起動される。
【0093】
なお、受信装置500側の情報登録プログラムを、ユーザーの操作等に基づき、再送出装置100から提供するようにしてもよい。一例として、番組視聴中のユーザーは、情報登録プログラム取得ボタン押下等の所定の操作を行うことができる。受信装置500の入力処理部560は、情報登録プログラム取得ボタンが押下されたことを検知すると、その旨を制御部530に通知する。すると、制御部530は、情報登録プログラムが既にメモリー74に保存されているか否かを確認する。情報登録プログラムが既にメモリー74に保存されている場合には、その情報登録プログラムを使用することとする。情報登録プログラムがまだメモリー74に存在しない場合には、制御部530は、送出制御部83に、情報登録プログラムの取得を要求する。それにしたがって、送出制御部83は、送受信部70を介して、再送出装置100に対して、情報登録プログラム取得要求を送信する。情報登録プログラム取得要求は、ユニキャストで、受信装置500から再送出装置100に伝送される。再送出装置100側では、送受信部15が情報登録プログラム取得要求を受信する。送受信部15は、情報登録プログラム取得要求を受信処理部55に渡す。受信処理部55は、伝送に適した形式で受信した情報登録プログラム取得要求を、再送出装置100の内部での処理に適した形式に変換する。受信処理部55による変換後、判定・合成部56は、情報登録プログラム取得要求の要求内容を解釈し、その結果として、蓄積制御部43に対して、情報登録プログラムをメモリー50から読み出すよう要求する。蓄積制御部43は、メモリー50から読み出した情報登録プログラムを、送出変換部44に渡す。送出変換部44は、情報登録プログラムを、ユニキャスト伝送に適した形式のパケットに変換する。送出変換部44は、情報登録プログラムを伝送するためのパケットを送出制御部45に渡す。送出制御部45は、送出のタイミングの制御などを行い、パケットを送受信部15に渡す。送受信部15は、無線LAN等を介して、情報登録プログラムを受信装置500に送信する。受信装置500は、受信した情報登録プログラムをメモリー74に保存し、必要時に読み出して実行させる。
【0094】
再送出装置100のメモリー50に蓄積されている情報登録プログラムや視聴者情報収集プログラムは、外部装置からの指示により更新可能としてよい。また、受信装置500のメモリー74に蓄積されている情報登録プログラムは、受信装置500側からの要求により、または再送出装置100からの指示により、更新可能としてよい。
【0095】
図6は、視聴者情報収集プログラムおよび情報登録プログラムの供給と実行の流れを示す概略図である。同図において、外部装置900は、再送出システム800の外に存在する装置(コンピューター等)である。外部装置900と再送出装置100とは、相互に通信可能となるように接続されている。図示するように、外部装置900は、通信回線等を介して、視聴者情報収集プログラムおよび情報登録プログラムを再送出装置100に供給する。再送出装置100は、受信した視聴者情報収集プログラムおよび情報登録プログラムを、メモリー50に保存する。また、再送出装置100が一旦視聴者情報収集プログラムおよび情報登録プログラムを取得した後、外部装置900は、それらのプログラムの更新版を供給することもできる。再送出装置100は、視聴者情報収集プログラムを、自己のプログラム実行環境において実行させることができる。この実行環境は、CPUおよびメモリーを含むものである。また、再送出装置100は、無線LAN等を介して、情報登録プログラムを受信装置500に供給する。受信装置500は、受信した情報登録プログラムをメモリー74に保存する。また、受信装置500が一旦情報登録プログラムを取得した後、再送出装置100は、そのプログラムの更新版を供給することもできる。受信装置500は、情報登録プログラムを、自己のプログラム実行環境において実行させることができる。そして、受信装置500で稼働する情報登録プログラムは、再送出装置100で稼働する視聴者情報収集プログラムとの間で通信を行う。そのようにして、視聴者情報収集プログラムは、受信装置500側で入力される視聴者情報を収集し、蓄積することができる。
【0096】
図7は、情報登録プログラムが受信装置500において表示する画面の概略を示す概略図である。この画面を「状況登録画面」と呼ぶ。状況登録画面は、名前と状況の入力を促す文言の表示を含む。また、状況登録画面は、ユーザーが氏名(名前)を入力するための氏名入力欄901と、状況を表す数字を入力するための状況入力欄902と、送信ボタン903とを有する。状況入力欄902には、1、2、または3といった数字を入力することができる。これらの数字は、それぞれ、無事、軽い怪我あり、治療が必要、といった状況に対応している。受信装置500のユーザーは、この情報登録画面の氏名入力欄901に氏名を入力するとともに、状況入力欄902に状況を表す情報を入力することができる。そして、そのユーザーが送信ボタン903を押下(マウスのクリック等)すると、入力した情報、即ちユーザーの氏名および状況の情報が、受信装置500から再送出装置100に送信される。再送出装置100で稼働する視聴者情報収集プログラムは、複数の受信装置500から、これらの情報を収集することができる。
【0097】
(13)視聴者情報を収集する詳細な処理手順
受信装置500のユーザーが、視聴者の氏名および状況を画面から入力する。入力処理部560は、入力された氏名および状況の情報を取得し、独自情報処理部81に渡す。
端末情報取得部550は、受信装置500を識別するための情報を取得し、独自情報処理部81に渡す。受信装置500を識別するための情報としては、例えば、受信装置500の電話番号や端末識別番号等を用いることができる。
独自情報処理部81は、入力処理部560から受け取った情報(視聴者の氏名および状況)と、端末情報取得部550から受け取った情報(受信装置500の識別情報)とを、送出変換部82に渡す。なお、これらの情報をまとめて「視聴者情報」と呼ぶ。
送出変換部82は、独自情報処理部81から受け取った視聴者情報(視聴者の氏名、視聴者の状況、受信装置500の識別情報)を、ユニキャスト伝送に適した形式のパケットに変換し、送出制御部83に渡す。
送出制御部83は、送出変換部82から渡された視聴者情報の送出タイミング等の調整を行い、送受信部70に出力する。
送受信部70は、送出制御部83の制御により、無線LAN等で上記の視聴者情報のパケットを送出する。
再送出装置100側の送受信部15は、受信装置500側から送出された視聴者情報のパケットを受信し、受信処理部55に渡す。
受信処理部55は、送受信部15からそれらのパケットを受け取り、1件の視聴者情報(視聴者の氏名、視聴者の状況、受信装置500の識別情報)として再構成し、判定・合成部56に渡す。
判定・合成部56は、受信処理部55から渡された視聴者情報に、自装置(再送出装置100)の設置場所(住所あるいは緯度・経度等)の情報、設置場所の名称(避難所名称等)の情報、およびその時点の日時の情報を付加する。設置場所の情報および設置場所の名称の情報は、予め入力部2から入力された情報であり、メモリー50に保存されているものである。また、日時の情報は、再送出装置100が備える時計機能から供給される。判定・合成部56は、自装置に関する情報を付加した視聴者情報を、蓄積制御部43に渡す。蓄積制御部43は、この視聴者情報をメモリー50に書き込む。
再送出装置100は、複数の受信装置500から随時、視聴者情報を受け取り、メモリー50上の視聴者情報記憶領域に蓄積する。
【0098】
(14)再送出装置において蓄積される視聴者情報の構成例
図8は、再送出装置100が収集した情報を格納・蓄積するための視聴者情報記憶領域の構成例を示す概略図である。視聴者情報記憶領域は、メモリー50内に設けられる。図示するように、視聴者情報記憶領域は、再送出装置100が設置されている場所の情報(○○県××市△△小学校)と、情報を収集した最新の日時の情報とを持つ。また、視聴者情報記憶領域は、視聴者情報として、各視聴者の、氏名と、状況と、受信装置識別情報との情報を持つ。氏名と状況(数値)は、受信装置500側においてユーザーが入力した情報である。また、受信装置識別情報は、例えば受信装置500に付与された電話番号など、受信装置500をユニークに識別することのできる情報である。なお、
図8においては受信装置識別情報の一部をアルファベットのデータ(「XXXX」等)として示しているが、実際には、受信装置識別情報は数字とハイフンのみで構成されるデータであってもよい。受信装置識別情報は、例えば、受信装置500の端末情報取得部550が取得し、受信装置500から再送出装置100に送られるものである。
図8に示す視聴者情報記憶領域を持つことにより再送出装置100は多数の視聴者の情報を蓄積することができる。また、再送出装置100は、収集した視聴者情報を、外部のサーバー装置等に送信することができる。これにより、例えば災害時等に、避難所に避難している視聴者らの情報を効率的に収集することができる。即ち、避難者らの氏名や、状況や、所在(どの避難所にいるか)などを、広い範囲で収集することができる。つまり、視聴者の安否に関する情報を広く収集することが可能となる。
【0099】
(15)視聴者情報の外部装置への転送等
再送出装置100において蓄積された視聴者情報を、外部装置に対して転送することができる。そのための処理の手順は、次の通りである。
外部装置は、通信回線(インターネット等)を介して、視聴者情報転送指示を、再送出装置100に対して送信する。
再送出装置100の送受信部40は、視聴者情報転送指示を受信し、送受信制御部42に渡す。
送受信制御部42は、渡された視聴者情報転送指示の内容を解釈する処理を行う。その結果、送受信制御部42は、蓄積されている視聴者情報を外部装置に転送する命令であることを認識し、蓄積制御部43に対して、メモリー50から視聴者情報を読み出すよう指示する。蓄積制御部43は、これを受けて、蓄積されている一連の視聴者情報のすべてをメモリー50から読み出し、送受信制御部42に渡す。送受信制御部42は、渡された視聴者情報のすべてを、送信可能な形式に変換し、送受信部40に送信させる。
送受信部40は、上記通信回線を介して、視聴者情報のデータを、指示元の外部装置に対して送信する。
【0100】
なお、蓄積制御部43は、メモリー50から読み出した視聴者情報のすべてを、送受信部40から送信させる代わりに、更新保存部51に保存するようにしてもよい。
また、視聴者情報を外部装置に転送する際、すべての視聴者に関するデータを転送する代わりに、検索条件に合致するデータのみを抽出して転送するようにしてもよい。このときの検索条件としては、例えば、日時(登録日時)や、氏名や、受信装置識別情報(電話番号等)に関する条件を用いることができる。これにより、すべてのデータを転送する場合に比べて、データの転送量を削減することが可能となる。
【0101】
(16)情報収集プログラムや情報登録プログラムの更新
再送出装置100側で稼働する情報収集プログラムや、受信装置500側で稼働する情報登録プログラムを、改版して更新できるようにしてもよい。
例えば、大規模な災害等の事象等の場合、事象の発生からの経過時間により収集したい情報が変化することもある。本実施形態では、情報収集プログラムや情報登録プログラムの改版を可能とする。一例として、前述の例(
図7を参照)における視聴者情報の収集において、視聴者が自宅に戻ったか否かを登録できるようにすることができる。この場合、再送出装置100の送受信部40は、外部装置から、登録情報を追加した新たな情報登録プログラムを受信する。再送出装置100は、この新たな情報登録プログラムを、受信装置500に転送する。あるいは、受信装置500からプログラムの更新要求があったときに再送出装置100が新たな情報登録プログラムを受信装置500に送信するようにしてもよい。受信装置500は、新たな情報登録プログラムを受信し、自装置上で稼働させる。これにより、受信装置500側から追加されたデータ項目により視聴者情報を登録することができる。なお、必要に応じて、再送出装置100側で稼働する情報収集プログラムも更新する。これにより、データ項目を追加して、視聴者情報を収集することも可能となる。
【0102】
なお、上述した実施形態における再送出装置や受信装置の機能の少なくとも一部をコンピューターで実現するようにしても良い。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、DVD−ROM、USBメモリー等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、一時的に、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0103】
以上、複数の実施形態を説明したが、本発明はさらに次のような変形例でも実施することが可能である。
例えば、再送出装置100や受信装置500のそれぞれが有する機能のうち、一部を省略して実現してもよい。一例として、視聴者情報を収集し蓄積するための機能を省略して、再送出装置100や受信装置500を実現してもよい。
【0104】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。