(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属微粒子は、アルミニウム、金、銀、マグネシウム、白金、銅、チタン、ジルコニウム、ニッケル、スズ、ケイ素、およびクロムからなる群より選択された1種以上の金属を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のディスプレイパネル用視認性改善フィルム。
前記金属微粒子は、数平均粒径が0.5〜3μmであり、扁平率が0.3以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載のディスプレイパネル用視認性改善フィルム。
前記光硬化性樹脂層の厚さに対する、金属微粒子の数平均粒径比が0.5以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載のディスプレイパネル用視認性改善フィルム。
前記基材は、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephtalate、PET)、エチレンビニルアセテート(ethylene vinyl acetate、EVA)、環状オレフィン重合体(cyclic olefin polymer、COP)、環状オレフィン共重合体(cyclic olefin copolymer、COC)、ポリアクリレート(polyacrylate、PAC)、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate、PMMA)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketon、PEEK)、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate、PEN)、ポリエーテルイミド(polyetherimide、PEI)、ポリイミド(polyimide、PI)、フッ素系樹脂、およびトリアセチルセルロース(triacetylcellulose、TAC)からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のディスプレイパネル用視認性改善フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のディスプレイパネル用視認性改善フィルムは、
基材;および
前記基材の少なくとも一面に備えられ、数平均粒径が0.5〜5μmであり、扁平率が0.5以下である、金属微粒子が分散した、光硬化性樹脂層を含み;
下記の計算式1で表される相対視認性評価値が3以上である。
【0015】
[計算式1]
視認性評価値=B1/A1
【0016】
前記計算式1において、
A1は、JIS
K 7361によって測定された透過度値が70〜100であり、JIS
K 7136によって測定されたヘイズ値が20〜25であるフィルムを、ガラススライドに接合した後、バックライト面に置き、法線の45゜方向からレーザー光を照射した時、正面で測定される輝度値であり、
B1は、前記ディスプレイパネル用視認性改善フィルムをガラススライドに接合した後、バックライト面に置き、法線の45゜方向から同一のレーザー光を照射した時、正面で測定される輝度値である。
【0017】
また、本発明のディスプレイ装置は、前記ディスプレイパネルおよびディスプレイパネルの上部に装着された前記ディスプレイパネル用視認性改善フィルムを含む。
【0018】
本明細書において、「上面」という用語は、フィルムがディスプレイパネルに装着された時、視聴者側を向くように配置された面を意味し、「上部」は、視聴者側を向く方向を意味する。逆に、「下面」または「下部」は、フィルムがディスプレイパネルに装着された時、視聴者の反対側を向くように配置された面または方向を意味する。
【0019】
本明細書において、単純にヘイズ値、あるいは全ヘイズ値とは、フィルムに別の処理をせず、それ自体に対して測定したヘイズ値(Ht)を意味する。このような全ヘイズ値(Ht)は、フィルムの表面の凹凸に起因するヘイズ値と、フィルムの内部に含まれている粒子などに起因するヘイズ値との合計により現れる。
【0020】
本明細書において、透明フィルムとは、透明基材および透明光硬化性層を含むフィルムで、前述した全ヘイズ値(Ht)が約1%以下、または約0〜1%以下、好ましくは約0〜約0.5%以下である、透明フィルムを意味する。具体的には、前記透明フィルムに含まれる透明光硬化性層は、内部に微粒子を含まず、高い透明度および前述のように非常に低いヘイズ値(Ht)を有して、視認性評価のための相対輝度測定のために使用されるものであってもよいし、具体的には、例えば、本発明の比較例13に対応するフィルムを含む概念であり得る。
【0021】
また、本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。
【0022】
また、本発明において、各層または要素が各層または要素の「上に」形成されると言及される場合には、各層または要素が直接各層または要素の上に形成されることを意味したり、他の層または要素が各層の間、対象体、基材上に追加的に形成され得ることを意味する。
【0023】
本発明は、多様な変更が加えられて様々な形態を有し得ることから、特定の実施例を例示して下記に詳しく説明する。しかし、これは、本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物乃至代替物を含むことが理解されなければならない。
【0024】
以下、本発明のディスプレイパネル用視認性改善フィルム、およびこれを含むディスプレイ装置について、より詳しく説明する。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、
基材;および
前記基材の少なくとも一面に備えられ、数平均粒径が0.5〜5μmであり、扁平率が0.5以下である、金属微粒子が分散した、光硬化性樹脂層を含み;
下記の計算式1で表される相対視認性評価値が3以上である;
ディスプレイパネル用視認性改善フィルムが提供される。
【0026】
[計算式1]
視認性評価値=B1/A1
【0027】
前記計算式1において、
A1は、JIS
K 7361によって測定された透過度値が70〜100であり、JIS
K 7136によって測定されたヘイズ値が20〜25であるフィルムを、ガラススライドに接合した後、バックライト面に置き、法線の45゜方向からレーザー光を照射した時、正面で測定される輝度値であり、
B1は、前記ディスプレイパネル用視認性改善フィルムをガラススライドに接合した後、バックライト面に置き、法線の45゜方向から同一のレーザー光を照射した時、正面で測定される輝度値である。
【0028】
本発明のコーティング組成物を用いて形成されたディスプレイパネル用視認性改善フィルムは、レーザーポインタに用いられる波長領域の光に対して特徴的な屈折特性を示すことができ、レーザーポインタの視認性を高めるのに寄与することができる。
【0029】
このようなディスプレイパネル用視認性改善フィルムは、光硬化性官能基を含むバインダーの硬化物、および前記光硬化性バインダーの内部に分散した金属微粒子を含む。
【0030】
一般に用いられるディスプレイパネル用フィルムとしては、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephtalate、PET)などのポリエステル(polyester)、エチレンビニルアセテート(ethylene vinyl acetate、EVA)などのポリエチレン(polyethylene)、環状オレフィン重合体(cyclic olefin polymer、COP)、環状オレフィン共重合体(cyclic olefin copolymer、COC)、ポリアクリレート(polyacrylate、PAC)、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate、PMMA)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketon、PEEK)、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate、PEN)、ポリエーテルイミド(polyetherimide、PEI)、ポリイミド(polyimide、PI)、MMA(methyl methacrylate)、フッ素系樹脂、またはトリアセチルセルロース(triacetylcellulose、TAC)などからなる基材が挙げられる。
【0031】
前記基材の中でも、特にトリアセチルセルロース(TAC)フィルムが光学的特性に優れて多く使用されている。
【0032】
発明の一実施例によれば、前記光硬化性樹脂層は、基材の一面あるいは両面に形成されるものであってもよい。特に、前記樹脂層が、基材の上部、つまり、視聴者方向を向くように形成される場合、前記樹脂層は、ハードコート層の役割を兼ねることができる。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、基材上にコーティングおよび紫外線硬化して光硬化性樹脂層を形成し、ディスプレイパネルの少なくとも一面上に積層してディスプレイパネル用視認性改善フィルムとして使用できる、コーティング組成物を使用する。
【0034】
本発明のディスプレイパネル用視認性改善フィルムを製造するためのコーティング組成物は、光硬化性官能基を含むバインダー;前記バインダー内に分散しており、0.5〜5μmであり、扁平率が0.5以下である、金属微粒子;光重合開始剤;および溶媒などを含むことができる。
【0035】
前記光硬化性官能基を含むバインダーは、紫外線によって重合反応を起こし得る不飽和官能基を含む化合物であれば特に限定はないが、光硬化性官能基として、(メタ)アクリレート基、アリル基、アクリロイル基、またはビニル基を含む化合物であってもよい。本発明の一実施例によれば、前記光硬化性官能基を含むバインダーは、多官能アクリレート系モノマー、多官能アクリレート系オリゴマー、および多官能アクリレート系弾性高分子からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0036】
本発明の明細書において、アクリレート系とは、アクリレートだけでなく、メタクリレート、またはアクリレートやメタクリレートに置換基が導入された誘導体をすべて意味する。
【0037】
前記多官能アクリレート系モノマーは、アクリレート系官能基を2個以上含むモノマーを意味する。より具体的には、例えば、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、エチレングリコールジアクリレート(EGDA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(TMPEOTA)、グリセリンプロポキシル化トリアクリレート(GPTA)、ペンタエリスリトールトリ(テトラ)アクリレート(PETA)、またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)などが挙げられるが、本発明のコーティング組成物がこれに限るものではない。前記多官能アクリレート系モノマーは、互いに架橋されて保護フィルムに一定の鉛筆強度と耐摩耗性を付与する役割を果たす。
【0038】
前記多官能アクリレート系モノマーは、単独でまたは互いに異なる種類を組み合わせて使用することができる。
【0039】
前記多官能アクリレート系オリゴマーは、アクリレート官能基を2個以上含むオリゴマーで、重量平均分子量が約1,000〜約10,000g/mol、または約1,000〜約5,000g/mol、または約1,000〜約3,000g/molの範囲を有することができる。
【0040】
また、本発明の一実施例によれば、前記多官能アクリレート系オリゴマーは、ウレタン(urethane)、エチレンオキシド(ethylene oxide)、プロピレンオキシド(propylene oxide)、またはカプロラクトン(caprolactone)のうちの1種以上で変性したアクリレート系オリゴマーであってもよい。前記変性した多官能アクリレート系オリゴマーを用いる場合、変性によって前記多官能アクリレート系オリゴマーに柔軟性がさらに付与されて、保護フィルムのカール特性および可撓性が増加できる。
【0041】
前記多官能アクリレート系オリゴマーは、単独でまたは互いに異なる種類を組み合わせて使用することができる。
【0042】
前記多官能アクリレート系弾性高分子は、柔軟性と弾性に優れ、アクリレート官能基を2個以上含む高分子で、重量平均分子量が約100,000〜約800,000g/mol、または約150,000〜約700,000g/mol、または約180,000〜約650,000g/molの範囲を有することができる。
【0043】
前記多官能アクリレート系弾性高分子を含むコーティング組成物を用いて形成した保護フィルムは、機械的物性を確保しながらも高い弾性または柔軟性を確保することができ、カール(curl)またはクラック(crack)の発生も最小化することができる。
【0044】
前記多官能アクリレート系弾性高分子の他の例としては、ウレタン系アクリレート高分子が挙げられる。前記ウレタン系アクリレート高分子は、アクリルポリマーの主鎖にウレタン系アクリレートオリゴマーが側鎖に連結されている形態を有する。
【0045】
一方、本発明の一実施例によれば、前記コーティング組成物は、金属微粒子を含むことで、レーザーポインタに対する光散乱特性を示すことができる。前記コーティング組成物が金属微粒子を含む時、これを用いて硬化した光硬化性樹脂層は、レーザーポインタに用いられるレーザー光を効果的に散乱させて、視認性を高めることができる。
【0046】
一般に、ディスプレイパネル用フィルムなどを製造する場合、コーティング組成物などに有機粒子あるいは酸化金属などの無機微粒子を用いる場合が多いが、これは、当該粒子が高い透過率を有しているからである。
【0047】
このような透過型粒子などは、主に屈折と回折によって光散乱を起こすのに対し、金属粒子は光を反射させる。より具体的には、透過型粒子の場合、光が通る経路に沿って回折と屈折による光散乱が連続的に起こり、これによって光が拡散して、ぼやけた形態の光が現れるが、金属粒子の場合には、光を透過させずに反射によって光散乱が発生するため、光の経路に沿って散乱が連続的に発生することはなく、光の拡散現象が発生しなくなる。
【0048】
特に、バインダーとの屈折率の差が大きい二酸化チタン(TiO
2)粒子などの金属酸化物系無機粒子を用いる場合、高い光散乱効果が得られるが、粒子の高い透過率によって、明暗比が大きく低下するという欠点がある。
【0049】
ディスプレイ装置の明暗比は、ディスプレイパネルから出る画像の明るさとフィルムによる明るさとの差に起因するものであるが、透過型粒子を用いる場合、粒子によってフィルム内の明るさが増加し、結局、パネルとフィルムとの間の明るさの差が小さくなるため、明暗比が低下するのである。
【0050】
したがって、本願発明の実施形態による、ディスプレイパネル用フィルムは、金属微粒子を用いることで、レーザーポインタ光の視認性を向上させることができながらも、同時に高い明暗比を実現することができるのである。
【0051】
前記金属微粒子の数平均粒径は、光の散乱効果を最適化する面から、約0.5μm以上になってもよく、ヘイズおよびコーティング厚さを適切にするための面から、5μm以下であってもよい。さらに好ましくは、約0.5〜約3μm、または約1〜約3μmの粒子であってもよい。
【0052】
前記金属微粒子の粒径が小さすぎる場合、光の散乱によるレーザーポインタ光に対する視認性改善効果がわずかになり、前記金属微粒子の粒径が大きすぎる場合、フィルムの表面に突出を形成して、透明度、透過度など、光学的物性を低下させる要因になりうる。
【0053】
このような条件を満足する金属は、より具体的な例として、アルミニウム、金、銀、マグネシウム、白金、銅、チタン、ジルコニウム、ニッケル、スズ、ケイ素、およびクロムからなる群より選択された1種以上の金属または、これらの合金などが挙げられるが、本発明が必ずしもこれに限るものではない。
【0054】
本発明の一実施例によれば、前記光硬化性官能基を含むバインダーの総重量を100重量部とする時、前記金属微粒子を、約0.5〜約15重量部、好ましくは、約1〜約15重量部、または、約1〜約10重量部含むことができる。
【0055】
前記金属微粒子が過度に少なく含まれると、これによる当該波長における光反射効果がわずかでレーザーポインタの視認性向上効果が十分でないことがあり、過度に多く含まれる場合、ディスプレイ装置の色再現性および輝度が低下し、コーティング組成物の他の物性が低下しうるので、この観点から、前記範囲に含まれることが好ましい。
【0056】
そして、この時、前記金属微粒子は、数平均粒径が0.5〜5μmであり、扁平率が0.5以下である、球状粒子である。
【0057】
扁平率(flattening)とは、楕円率(ellipticity)とも称されるもので、3次元回転楕円体の平らな程度を示す量であり、長い径をa、短い半径をbとした時、(a−b)/aで表す値である。球の扁平率は0であり、平面の扁平率は1である。
【0058】
扁平率値が大きすぎる場合(板状粒子の場合)、フィルムの内部で金属粒子による光反射/散乱が過度に発生して、きらめく外観によってディスプレイフィルムの用途に適合しないことがあり、白濁度値が増加して明暗比が低下する問題点が発生することがある。
【0059】
このような面から、本発明に使用される金属微粒子の扁平率値は約0.3以下であることがさらに好ましい。
【0060】
一方、このような金属微粒子は、単独で使用することもできるが、光硬化性樹脂層に混合された時、分散性を高めるための面から、分散液に予め分散している形態で使用することがさらに好ましい。
【0061】
本発明のコーティング組成物に含まれる前記光重合開始剤としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン、メチルベンゾイルホルメート、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、2−ベンゾイル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノンジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド、またはビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、現在市販の商品としては、Irgacure184、Irgacure500、Irgacure651、Irgacure369、Irgacure907、Darocur1173、Darocur MBF、Irgacure819、Darocur TPO、Irgacure907、Esacure KIP 100Fなどが挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独でまたは互いに異なる2種以上を混合して使用することができる。
【0062】
本発明の一実施例によれば、前記光重合開始剤の含有量は特に限定されないが、全体コーティング組成物の物性を阻害することなく効果的な光重合を達成するために、前記光硬化性官能基を含むバインダーの総重量を100重量部とする時、前記光重合開始剤を約0.1〜約10重量部含むことができる。
【0063】
本発明のコーティング組成物に含まれる前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールなどのアルコキシアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルグリコールモノエチルエーテル、ジエチルグリコールモノプロピルエーテル、ジエチルグリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒などを単独でまたは混合して使用することができる。
【0064】
本発明の一実施例によれば、前記有機溶媒の含有量は、コーティング組成物の物性を低下させない範囲内で多様に調節可能なため、特に限定はないが、前記光硬化性官能基を含むバインダー100重量部に対して約50〜約200重量部、好ましくは約100〜約200重量部含むことができる。前記有機溶媒が前記範囲にある時、適切な流動性および塗布性を有することができる。
【0065】
一方、本発明のコーティング組成物は、前述した成分以外にも、界面活性剤、酸化防止剤、UV安定剤、レベリング剤、防汚剤など、本発明の属する技術分野における通常使用される添加剤を追加的に含むことができる。また、その含有量は、本発明のコーティング組成物の物性を低下させない範囲内で多様に調節可能なため、特に限定はないが、例えば、全体コーティング組成物100重量部に対して、約0.1〜約10重量部含まれる。
【0066】
本発明の一実施例によれば、前記コーティング組成物を用いて形成した光硬化性樹脂層は、乾燥および硬化後、約1μm以上、例えば、約1〜約50μm、または約5〜約30μm、または約5〜約20μmの厚さを有することができ、このような厚さ範囲内で適切な光学物性および物理的特性を示すことができる。
【0067】
これにより、前記光硬化性樹脂層の厚さに対する、金属微粒子の数平均粒径比は、約0.5以下であることが好ましい。
【0068】
このような本発明のディスプレイパネル用視認性改善フィルムは、透明プラスチック基材に、コーティング組成物を塗布し、光硬化させて形成することができる。
【0069】
コーティング組成物およびこれを構成する各成分に関する具体的な説明および例示は、上述した通りである。
【0070】
前記コーティング組成物を塗布する方法は、本技術の属する技術分野で使用できるものであれば特に限定されず、例えば、バーコーティング方式、ナイフコーティング方式、ロールコーティング方式、ブレードコーティング方式、ダイコーティング方式、マイクログラビアコーティング方式、コンマコーティング方式、スロットダイコーティング方式、リップコーティング方式、またはソリューションキャスティング方式などを利用することができる。
【0071】
次に、塗布されたコーティング組成物に紫外線を照射して光硬化反応を行うことによって、保護フィルムを形成することができる。前記紫外線を照射する前、コーティング組成物の塗布面を平坦化し、コーティング組成物に含まれている溶媒を揮発させるために乾燥する過程をさらに行うことができる。
【0072】
前記紫外線の照射量は、例えば、約20〜約600mJ/cm
2であってもよい。紫外線照射の光源としては、本技術の属する技術分野で用いられるものであれば特に限定されず、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ブラックライト(black light)蛍光ランプなどを用いることができる。
【0073】
前記本発明のディスプレイパネル用視認性改善フィルムは、前述のように、特定形状の金属微粒子を含み、液晶ディスプレイにおいてレーザーポインタによって入射するレーザー光を効果的に反射させることができて、レーザーポインタの視認性を高めることができながらも、輝度と明暗比が高く、優れた画質の画像を実現可能なディスプレイ装置を提供することができる。
【0074】
具体的には、前記ディスプレイパネル用視認性改善フィルムは、下記の計算式1で表される相対視認性評価値が3以上である。
【0075】
[計算式1]
視認性評価値=B1/A1
【0076】
前記計算式1において、
A1は、JIS
K 7361によって測定された透過度値が70〜100であり、JIS
K 7136によって測定されたヘイズ値が20〜25であるフィルム、さらに好ましくは、透過度値が90〜95であり、ヘイズ値が22〜25であるフィルム、最も好ましくは、透過度値が90.4であり、ヘイズ値が23.8であるフィルムを、ガラススライドに接合した後、バックライト面に置き、法線の45゜方向からレーザー光を照射した時、正面で測定される輝度値であり、
B1は、前記ディスプレイパネル用視認性改善フィルムをガラススライドに接合した後、バックライト面に置き、法線の45゜方向から同一のレーザー光を照射した時、正面で測定される輝度値である。
【0077】
前記のように、本発明のディスプレイパネル用視認性改善フィルムは、一般的なUV硬化型コーティング層を用いる場合と比較した時、金属微粒子による散乱/反射光で、照射前の輝度対比、輝度が約50%以上、好ましくは約60%以上上昇する効果を実現することができ、これによってレーザーポインタの視認性を顕著に向上させることができる。
【0078】
また、前記ディスプレイパネル用視認性改善フィルムは、下記の計算式2で表される、輝度比値が約80%以上、好ましくは約80〜約95%で、優れた光学的特性を有するものであってもよい。
【0079】
[計算式2]
輝度比=(B2/A2)×100
【0080】
前記計算式2において、
A2は、JIS
K 7361によって測定された透過度値が80〜100であり、JIS
K 7136によって測定されたヘイズ値が20〜25であるフィルム、さらに好ましくは、透過度値が90〜95であり、JIS
K 7136によって測定されたヘイズ値が22〜25であるフィルムを、ガラススライドに接合した後、バックライト面に置いた時、正面で測定される輝度値であり、
B2は、前記ディスプレイパネル用視認性改善フィルムをガラススライドに接合した後、バックライト面に置いた時、正面で測定される輝度値である。
【0081】
また、前記ディスプレイパネル用視認性改善フィルムは、下記の計算式3で表される白濁度値が10以下、好ましくは約9以下であってもよい。
【0083】
前記計算式3において、
Cは、前記ディスプレイパネル用視認性改善フィルムをガラススライドに接合した後、ブラックアクリル板上に置き、9lxの条件においた時、正面7cmの高さで測定された輝度値(cd/m
2)である。
【0084】
そして、前記ディスプレイパネル用視認性改善フィルムは、JIS
K 7361によって測定された透過度値(Tt)が約70〜90%で、高い光透過度を示すものであってもよい。
【0085】
また、前記ディスプレイパネル用視認性改善フィルムは、JIS
K 7136によって測定されたヘイズ値が、約20%以下、または、約10〜約20%であってもよい。
【0086】
光学フィルムなどにおいて、フィルムの内部に含まれる導入粒子によって透過率およびヘイズ特性が変化するが、一般には、類似する光学特徴を有する光散乱粒子が多く含まれるほど、透過度値が低くなり、ヘイズが増加する傾向を示すことがある。
【0087】
しかし、使用する粒子の種類によっては、透過度とヘイズの特徴的な関係を有することができる。特に、金属微粒子は、樹脂層に含まれた時、前述のような反射特性により、光に対する透過率を低下させながらも、一般に使用される有機微粒子、または無機酸化物微粒子に比べて低いヘイズ値を示し得るため、特に、透過型光散乱粒子を用いる場合と比較した時、同一の透過率値を示しても、相対的に低いヘイズ値を有することができる特徴がある。
【0088】
特に、光透過率値は、粒子の含有量に応じて変化するが、透過率が高すぎる場合、光を散乱または反射させるための粒子の量が絶対的に不足して、適切な視認性を実現できない問題点が発生し、透過率が低すぎる場合、視認性は良いが、明暗比および輝度低下の問題が発生し、ディスプレイで実現しようとする画像の画質が低下する問題点が発生することがある。
【0089】
したがって、前述した透過率(Tt)の範囲および、金属微粒子を用いることに起因する、特徴的なヘイズ値を限定することで、レーザーポインタの使用に対して優れた視認性を有しながらも、同時に優れた明暗比を実現することができる。
【0090】
本発明の一実施例によれば、前記本発明のディスプレイパネル用視認性改善フィルムは、下記の計算式4で測定される色差値が約2以下であってもよい。
【0091】
[計算式4]
色差=|a*|+|b*|
【0092】
前記計算式4において、
a*およびb*は、それぞれCIE1976 L*a*b*表色系における指数値である。
【0093】
上記のように、本発明のディスプレイパネル用視認性改善フィルムは、レーザーポインタの視認性を顕著に向上させることができながらも、同時に優れた明暗比を実現することができる。
【0094】
本発明のディスプレイパネル用視認性改善フィルムにおいて、前記樹脂層が形成される基材は、通常、ディスプレイパネル用に用いられるガラス、または、透明性プラスチック樹脂を使用することができる。より具体的には、本発明の一実施例によれば、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephtalate、PET)などのポリエステル(polyester)、エチレンビニルアセテート(ethylene vinyl acetate、EVA)などのポリエチレン(polyethylene)、環状オレフィン重合体(cyclic olefin polymer、COP)、環状オレフィン共重合体(cyclic olefin copolymer、COC)、ポリアクリレート(polyacrylate、PAC)、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate、PMMA)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketon、PEEK)、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate、PEN)、ポリエーテルイミド(polyetherimide、PEI)、ポリイミド(polyimide、PI)、MMA(methyl methacrylate)、フッ素系樹脂、またはトリアセチルセルロース(triacetylcellulose、TAC)などが挙げられる。
【0095】
好ましくは、前記基材は、トリアセチルセルロース(TAC)を含むフィルムであってもよい。
【0096】
前記基材の厚さは特に限定されないが、フィルムの硬度および他の物性を満足させる範囲として、約20〜約100μm、または約20〜約60μmの厚さを有する基材を用いることができる。
【0097】
本発明のディスプレイパネル用視認性改善フィルムは、500gの荷重における鉛筆硬度がHB以上、または1H以上、または2H以上であってもよい。
【0098】
また、摩擦試験機にスチールウール(steel wool)#0を装着した後、200gの荷重、または300gの荷重、または400gの荷重で10回往復させる場合にスクラッチが発生しない耐摩耗性を示すことができる。
【0099】
発明の一実施例によれば、前記ディスプレイパネル用視認性改善フィルムは、基材;前記基材の上部に備えられる樹脂層;および前記樹脂層の上部に形成される、反射防止層および防眩性層のうちのいずれか1つ以上の機能性コーティング層をさらに含む形態であってもよい。
【0100】
反射防止層は、既存のディスプレイパネル用フィルムにおける反射防止効果ととともに、レーザーポインタを用いる時、正反射を防止することによって、レーザーポインタ光が正反射して、画像を眺める観察者の目に直接入射するのを効果的に防止することができる。このような反射防止層は、既存のディスプレイ装置用フィルム、あるいは偏光板用光学フィルムなどで用いられていた、一般的な反射防止層、具体的には、例えば、屈折率が異なる複数の層を形成させて光の干渉を利用する反射防止層や反射防止コーティング(Anti reflection、AR)などを、特別な制限なく使用可能である。
【0101】
また、前記防眩性層は、表面の凹凸で、レーザーポインタを用いる時、レーザーポインタ光を乱反射させることによって、同じく、画像を眺める観察者の目に直接正反射光が入射するのを効果的に防止することができる。このような防眩性層は、樹脂に無機微粒子などのフィラーを分散させて表面に凹凸を付与する方法(Anti−glare、AG)などを特別な制限なく使用可能である。
【0102】
前述した反射防止層および防眩性層などを備える場合、このような機能性コーティング層は、フィルムの最上部に位置することが好ましい。
【0103】
一方、本発明の他の実施形態によれば、ディスプレイパネルと、前述したディスプレイパネル用視認性改善フィルムとを含む、ディスプレイ装置が提供される。
【0104】
この時、前記ディスプレイパネルは、駆動方式や構造などに特別な制限を受けず、具体的には、LCDパネル、PDPパネル、あるいは、OLEDパネルにもすべて適用可能である。
【0105】
前記ディスプレイパネル用視認性改善フィルムとディスプレイパネルは、別途の接着剤などを用いてラミネーションすることによって接着させることができる。使用可能な接着剤としては、当技術分野で知られているものであれば特に限定されない。例えば、水系接着剤、一液型または二液型のポリビニルアルコール(PVA)系接着剤、ポリウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、スチレンブタジエンゴム系(SBR系)接着剤、またはホットメルト型接着剤などがあるが、本発明がこれらの例のみに限定されるものではない。
【0106】
また、前記樹脂層が粘着層の役割を兼ねることもできることは、上述した通りであり、樹脂層が粘着層の役割を兼ねない場合には、前記樹脂層が形成されていない基材の面をディスプレイパネル側に付着させ、前記樹脂層は外側に位置するように積層して、レーザーポインタが入射する側を直に対面させる構造とすることが好ましい。
【0107】
以下、発明の具体的な実施例を通じて、発明の作用および効果をより詳述する。ただし、このような実施例は発明の例として提示されたに過ぎず、これによって発明の権利範囲が定められるものではない。
【実施例】
【0108】
ペンタエリスリトールトリ(テトラ)アクリレート21重量部(以下、PETA)、6官能ウレタンアクリレート21重量部(以下、6UA)、光重合開始剤としてIrgacure184 3.2重量部(以下、開始剤)、添加剤Megaface F−477(製造会社:株式会社DIC)0.5重量部(以下、添加剤)、有機溶媒として2−BuOH22.18重量部とメチルエチルケトン23重量部(以下、MEK)、アルミニウム粒子溶液(数平均粒径:約1.5μm;平均扁平率:0.3;固形分20wt%;分散溶媒:トルエン)9.12重量部(以下、S−Al/T)を混合して樹脂組成物を製造した。#8barを用いて、基材のTAC(厚さ:80μm)上にコーティングし、90℃で2分30秒間乾燥した後、水銀ランプで硬化させて(約200mj/cm
2)、平均乾燥厚さが5μmであるディスプレイパネル用視認性改善フィルムを製造した。
【0109】
前述した各成分を、下記の表1にまとめられた組成にして、同一の方法によってディスプレイパネル用視認性改善フィルムを製造した。
【0110】
実施例1、2、および比較例1の場合、金属微粒子として、前述した球状アルミニウム粒子溶液(数平均粒径:約1.5μm;平均扁平率:0.3;固形分20wt%;分散溶媒:トルエン)を使用した。(以下、S−Al/T)
【0111】
比較例2〜4の場合、金属微粒子として、板状アルミニウム粒子溶液(数平均粒径:約5μm;平均扁平率:0.8;固形分20wt%;分散溶媒:トルエン)を使用した。(以下、P−Al/T)
【0112】
比較例5〜7の場合、金属微粒子の代わりに、有機微粒子(数平均粒径:約3μm、屈折率:1.595であるSekisui社の77BQ;固形分11.6wt%;分散溶媒:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)を使用した。(以下、S−O)
【0113】
比較例8、9の場合、金属微粒子として、板状アルミニウム粒子溶液(数平均粒径:約0.25μm;固形分10wt%;分散溶媒:トルエン)を使用した。(以下、P−Al)
【0114】
比較例10、11の場合、金属微粒子の代わりに、TiO
2微粒子(数平均粒径:約0.39μm;固形分6.3wt%;分散溶媒:ブチルセロソルブ)を使用した。(以下、S−TiO
2)
【0115】
前記組成を下記の表1にまとめた。
【0116】
【表1】
【0117】
比較例13:JIS
K 7361基準の透過度値が90.4であり、JIS
K 7136によって測定されたヘイズ値が23.8である、防眩性フィルムである、LG ChemのA25フィルムを比較例として準備した。
【0118】
Tt値の測定:
前記実施例および比較例で製造したディスプレイパネル用視認性改善フィルムに対して、Murakami社のHM−150 haze meterを用いて、JIS
K 7361方法によって、透過度(Tt)値を測定した。
【0119】
ヘイズ値の測定
Murakami社のHM−150 haze meterを用いて、JIS
K 7136方法によって、前記実施例および比較例で製造したディスプレイパネル用視認性改善フィルムのヘイズ値を測定した。
【0120】
輝度比の測定:
前記比較例13のディスプレイパネル用視認性改善フィルムを、離型フィルムを用いてガラススライド(0.7
mm)に接合し、電源の入ったLCDパネルの上面に置き、正面5.5cmの高さで測定した輝度値を求め、(A2)
実施例および比較例のディスプレイパネル用視認性改善フィルムに対して、同一の方法によってガラススライドに接合し、同一の条件で測定した輝度値を求めた後、(B2)
各実施例および比較例で測定された輝度値をマッチングして、輝度比を計算した。(測定装備:Konica Minolta社、CA−210、LCDパネル:4.7インチ、Gray scale255,297.2cd/m
2)
【0121】
測定は、3.5lx以下の、暗室で進行した。
【0122】
レーザーポインタ視認性評価:
前記比較例13のディスプレイパネル用視認性改善フィルムを、離型フィルムを用いてガラススライド(0.7
mm)に接合し、ブラックアクリル板上に置き、法線の45゜方向から535nmレーザーを照射した時、正面で測定した輝度値を求め、(A1)
実施例および比較例のディスプレイパネル用視認性改善フィルムに対して、同一の方法によってガラススライドに接合し、同一の条件で測定した輝度値を求めた後、(B1)
各実施例および比較例で測定された輝度値をマッチングして、視認性評価値を計算した。(測定装備:Konica Minolta社、CA−210、レーザーポインタ:3M社、LP−7000)
【0123】
測定は、3.5lx以下の、暗室で進行した。
【0124】
白濁度の測定:
前記比較例13のディスプレイパネル用視認性改善フィルムを、離型フィルムを用いてガラススライド(0.7
mm)に接合し、ブラックアクリル板上に置き、正面7cmの高さで白濁度を測定した。(測定装備:Konica Minolta社、CA−210)
【0125】
測定は、9lxの条件で進行した。
【0126】
色指数の測定:
前記実施例および比較例のディスプレイパネル用視認性改善フィルムを、ブラックPETシート(製造会社:TOMOEGAWA、製品名:くっきりミエール)に接合した後、KONICA MINOLTA CM−2600d色差計装置を用いて、a*およびb*指数値を測定した。
【0127】
前記測定結果を下記の表2にまとめた。
【0128】
【表2】
【0129】
一方、前記実施例および比較例のディスプレイパネル用視認性改善フィルムにおいて、表面の凹凸、つまり、表面粗さ値と、ヘイズ値およびレーザーポインタに対する視認性を比較するために、JIS0601による算術平均表面粗さ値(μm)を測定して、下記の表3にまとめた。
【0130】
【表3】
【0131】
前記表1を参照すれば、本願の実施例1および2の場合、特定範囲の数平均粒径値および扁平率値を有する、金属微粒子を用いて、光学的特性に優れていながらも、レーザーポインタに対する視認性が非常に高いことを確認することができる。
【0132】
具体的には、本願の実施例によるディスプレイパネル用視認性改善フィルムの場合、視認性評価値が、4.64、7.48で、いずれも3以上、あるいは4以上であることを確認することができるが、特に、アルミニウム粒子を用いない比較例12、13などや、有機微粒子などを用いた比較例5〜7などと比較した時、最小5倍から、多くて数十倍程度、輝度比率値が増加して、レーザーポインタ光に対する視認性が大きく向上したことを明確に確認することができた。
【0133】
また、本願の実施例のアルミニウム粒子の代わりに板状アルミニウム粒子を過剰に使用したり、二酸化チタン粒子などを用いた比較例の場合、フィルムの内部で当該粒子によるレーザーポインタの光散乱が発生して、レーザーポインタに対する視認性は一定程度に向上させることができたが、白濁度値も同じく増加することを確認することができた。特に、比較例3、4、9、および11などの場合には、視認性評価値が約10以上で、レーザーポインタの光散乱に対する満足できる物性を示したが、白濁度値も10以上と測定されたり、Lab色指数による、a、b値の変化が大きくなって、フィルムの他の光学的物性値が大きく低下したことを確認することができた。
【0134】
これに対し、実施例1および2の場合、白濁度値が約10未満であり、a、b変化値も約1程度と、フィルムの他の光学的物性値が大きく損なわれることなく、レーザーポインタ光に対する視認性を大きく向上させることができるという点を確認することができた。
【0135】
前記表1を参照すれば、本願の実施例1および2の場合、算術平均表面粗さ値が相対的に大して高くないにもかかわらず、レーザーポインタに対する視認性が非常に高いことを確認することができる。具体的には、本願の実施例の場合、算術平均表面粗さ値は約0.05水準と凹凸が大きくないのに対し、レーザーポインタ光に対する視認性は非常に優れていることが分かる。これに対し、比較例12の場合、算術平均表面粗さ値が相対的に小さく、ヘイズ値も小さく、レーザーポインタ光に対する視認性改善効果も大きくないことが分かり、比較例13の場合、算術平均表面粗さ値が相対的に非常に大きく、ヘイズ値も大きいのに対し、レーザーポインタ光に対する視認性改善効果は大きくないことが分かる。このような結果は、本願の実施例において、特徴的なコーティング組成および金属微粒子を用いたことに起因すると考えられる。