(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ワークに、平面に沿った照射光を照射する照射装置と、前記ワークの表面に生成される前記照射光の像を、前記平面とは異なる位置から撮像する撮像装置と、を有する非接触式の測定プローブと、
前記測定プローブの前記ワークまでの距離が、前記撮像装置によって前記照射光の像を撮像可能な撮像可能範囲内か、前記撮像可能範囲よりも遠い遠隔範囲内か、前記撮像可能範囲よりも近い近接範囲内か、を判別する判別装置と、
前記判別装置による判別結果を通知する通知装置と、
前記判別結果を記憶する記憶装置と
を備え、
前記判別装置は、
前記照射光の照射が開始されたタイミングで、前記記憶装置に前記判別結果として、前記ワークまでの距離が前記遠隔範囲内であることを示す情報を記憶させ、
前記撮像装置による撮像の結果及び前記記憶装置に記憶された前記判別結果を参照して前記ワークまでの距離の範囲を判別し、前記記憶装置に記憶された前記判別結果を更新する
ことを特徴とする三次元測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非接触式の測定プローブがワークに接触してしまうと、測定プローブの損傷や、これに伴う測定精度の低下を招くおそれがある。従って、測定プローブがワークに一定以上近接してしまった場合、これを判別して、警告等を行うことが好ましい。しかしながら、例えば上記特許文献1記載の技術においては、測定プローブのワークまでの距離が撮像可能範囲から外れてしまった場合に、この距離が撮像可能範囲よりも遠いか、撮像可能範囲よりも近いかを判別することが出来ない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ワークと測定プローブとの接触を抑制可能な三次元測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決すべく、本発明の一の実施形態に係る三次元測定装置は、ワークに、平面に沿った照射光を照射する照射装置と、ワークの表面に生成される照射光の像を、上記平面とは異なる位置から撮像する撮像装置と、を有する非接触式の測定プローブと、この測定プローブのワークまでの距離が、撮像装置によって照射光の像を撮像可能な撮像可能範囲内か、撮像可能範囲よりも遠い遠隔範囲内か、撮像可能範囲よりも近い近接範囲内か、を判別する判別装置と、この判別装置による判別結果を通知する通知装置と、この判別結果を記憶する記憶装置と、を備える。また、判別装置は、照射光の照射が開始されたタイミングで、上記記憶装置に判別結果として、ワークまでの距離が遠隔範囲内であることを示す情報を記憶させる。また、判別装置は、撮像装置による撮像の結果及び記憶装置に記憶された判別結果を参照してワークまでの距離の範囲を判別し、記憶装置に記憶された判別結果を更新する。
【0009】
また、上記判別装置は、測定プローブのワークまでの距離の範囲の判別に際して、撮像装置によって照射光の像が撮像されたか否かを判定し、撮像されたと判定された場合には、上記ワークまでの距離を撮像可能範囲内と判別することが出来る。また、判別装置は、撮像装置によって照射光の像が撮像されたと判定されなかった場合、記憶装置に記憶された判別結果を参照し、判別結果としてワークまでの距離が遠隔範囲内であることを示す情報が記憶されていた場合にはワークまでの距離を遠隔範囲内と判別し、判別結果としてワークまでの距離が近接範囲内であることを示す情報が記憶されていた場合にはワークまでの距離を近接範囲内と判別することが出来る。
【0010】
また、上記判別装置は、測定プローブのワークまでの距離の範囲の判別に際して、照射光の像が撮像されたと判定された場合、照射光の像に基づいてワークまでの距離を算出して記憶装置に記憶させることが出来る。また、判別装置は、照射光の像が撮像されたと判定されず、上記記憶装置に判別結果としてワークまでの距離が撮像可能範囲内であることを示す情報が記憶されていた場合には、記憶装置に記憶されたワークまでの距離を示す情報に基づいて、ワークまでの距離を、遠隔範囲内又は近接範囲内と判別することが出来る。
【0011】
また、上記測定プローブには、照射装置及び撮像装置を収容する筐体を設けることが出来、上記通知装置として、この筐体表面に設けられた発光装置を設けることが出来る。
【0012】
また、上記通知装置として、判別結果を通知する音を発生する発音装置を設けることが出来る。
【0013】
また、上記測定プローブには、測定に際して測定者に把持される把持部を設けることが出来、上記通知装置として、判別結果を把持部の振動によって通知する振動発生装置を設けることが出来る。
【0014】
また、上記非接触式の測定プローブには、接触式の測定プローブを取り付けることが出来る。また、上記判別装置は、接触式の測定プローブを用いた測定に際して、非接触式の測定プローブのワークまでの距離の範囲を判別することが出来る。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ワークと測定プローブとの接触を抑制可能な三次元測定装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[三次元測定装置]
図1に示す通り、本発明の第1実施形態に係る三次元測定装置は、非接触式の測定プローブ100と、この測定プローブ100を移動可能な態様で支持すると共に、この測定プローブ100の位置及び角度を測定する多関節アーム200と、測定プローブ100及び多関節アーム200からの出力値に演算処理を行い、測定値を算出する演算装置300と、を備える。また、測定プローブ100には、接触式の測定プローブ400が取り付けられている。
【0018】
測定プローブ100は、
図2(a)に示す通り、ワークWに、平面Sに沿った照射光を照射する照射装置110と、ワークWの表面に生成される照射光の像Lを、平面Sと異なる位置から撮像する撮像装置120と、を有する。平面Sは、照射装置110の照射面を通り、且つこの照射面とは略垂直な平面である。上記照射光はこの平面Sに沿って照射されるため、ワークWの表面には、ワークWの表面の凹凸を反映した直線状又は曲線状の照射光の像Lが生成される。この照射光の像Lを平面Sと異なる位置から撮像すると、
図2(b)に示す通り、撮像装置120の受光面には、X方向に延伸し、Y方向に凹凸を有する像L´が結像する。像L´を構成する各点のX方向における位置は、ワークWの表面に生成された像Lを構成する各点の位置に対応する。また、これら点のY方向における位置は像Lを構成する各点の照射装置110までの距離、即ち、測定プローブ100までの距離に対応する。尚、像L´を構成する点のうち、受光面の近接側に最も近い点を「近接点P
L」と呼ぶ。近接点P
Lは、測定プローブ100のワークWまでの距離を示す情報である。
【0019】
多関節アーム200は、
図1に示す通り、基台201と、この基台201及び測定プローブ100の間に交互に接続された複数のアーム部202及び関節部203を有する。アーム部202は、例えば、略円柱状に形成される。関節部203は、2つのアーム部202の接続部分に設けられ、これらアーム部202同士の相対角度を測定するロータリエンコーダ等の角度測定装置を備える。尚、本実施形態に係る三次元測定装置は多関節アーム200を備えているが、多関節アーム200に換えて、ワークWを設置する試料台と、測定プローブ100を三次元的に駆動させるX軸、Y軸及びZ軸と、これらX軸、Y軸及びZ軸と連動し、測定プローブ100の位置等を測定するリニアエンコーダ等の距離測定装置と、を備えるものを用いても良い。更に、撮像手段等によって測定プローブ100の位置及び角度を算出するものを用いても良い。
【0020】
演算装置300は、例えば、PC等の演算装置である。演算装置300は、多関節アーム200内の角度測定装置の出力値から、測定プローブ100の基台201に対する相対位置及び相対角度を示す位置データを演算し、この位置データ及び測定プローブ100の出力値からワークWの形状を演算する。
【0021】
[測定プローブ100]
図3に示す通り、測定プローブ100は、照射装置110と、撮像装置120と、これら照射装置110及び撮像装置120を制御する制御装置130と、これら照射装置110、撮像装置120及び制御装置130を収容する筐体140と、測定に際して測定者に把持される把持部150と、制御装置130からの命令に応じて測定者への通知処理を行う通知装置160と、を備える。
【0022】
照射装置110は、光を発生する光源111と、この光を紙面に直交する方向に拡幅し、上記平面S(
図2)に沿った照射光とするビームエキスパンダ112と、を備える。光源111は、例えば、レーザ光源、LED又はその他の光源である。ビームエキスパンダ112は、例えば、ロッドレンズ、シリンドリカルレンズ若しくはその他のレンズ、又は、ガルバノミラー、ポリゴンミラー若しくはその他の走査ミラーである。尚、光源111として直線状に並べられた複数の光源を用いることも出来る。この場合、ビームエキスパンダ112としてフロスト等の光学系を用いることも出来る。
【0023】
撮像装置120は、撮像素子121と、この撮像素子121の撮像面に照射光の像L´(
図2)を結像させる結像レンズ122と、照射光の波長の光を選択的に透過させるバンドパスフィルタ123と、を備える。
【0024】
制御装置130は、照射装置110、撮像装置120及び通知装置160に接続され、これらを制御する。制御装置130は、例えばマイクロコンピュータ等である。また、制御装置130は演算装置300と接続され、演算装置300からの命令に応じて演算装置300に出力値を出力する。また、制御装置130は、測定プローブ100のワークWまでの距離がどのような範囲であるかを判別する判別装置としても機能する。
【0025】
筐体140の前面には、
図2に示す通り、照射装置110から照射された照射光をワークWに照射するための第1窓部141と、ワークW表面に生成された照射光の像Lを撮像装置120によって撮像するための第2窓部142と、が設けられる。また、
図3に示す通り、筐体140には、接触式の測定プローブ400が取り付けられている。接触式の測定プローブ400は、例えば、筐体140の前方向に突出する。
【0026】
把持部150は、筐体140の背面側に設けられる。
【0027】
通知装置160は、例えば、測定プローブ400の背面に設けられたLED等の発光装置161と、把持部150の内部に設けられた振動発生装置162と、測定プローブ100の外部に設けられた図示しない発音装置と、を備える。尚、通知装置160の構成は、適宜変更可能である。
【0028】
[撮像装置120]
図4に示す通り、撮像装置120の光学系には、シャインプルーフ光学系128を採用することが出来る。シャインプルーフ光学系128においては、撮像素子121の撮像面と平行な面S1、結像レンズ122の光軸と垂直な面S2、及び、照射光が照射される平面Sが、所定の直線P上で交わる。このような配置によって、撮像素子121の撮像面全体が平面Sに対して合焦状態となる。尚、撮像装置120の光学系には、シャインプルーフ光学系128でなく、テレセントリック光学系等、他の光学系を採用することも出来る。
【0029】
図5に示す通り、撮像素子121は、X方向及びY方向に配設された複数の受光素子124を備える撮像素子であり、例えばCMOSイメージセンサ等である。撮像素子121は、例えば、Y方向に配設された複数の受光素子124の列125から、同時にデータを読み出す。続いて、例えばこの列125に隣接する列を選択し、この列に含まれる複数の受光素子124から、同時にデータを読み出す。以下同様に、順次データを読み出すことにより、画像データを生成する。尚、撮像素子121としては、CMOSイメージセンサでなく、CCDイメージセンサ等、他の撮像素子を採用することも出来る。
【0030】
図6に示す通り、撮像素子121の撮像面には、測定領域126、及び、最大画素範囲である観察領域127が設けられる。測定領域126は、例えば、撮像面の中心近傍に設けられる。測定領域126は、例えば、矩形状の領域とすることも出来るし、円状又は楕円状の領域とすることも出来る。測定領域126は、例えば、撮像素子121の撮像面のうち、平面Sに対して特に好適に合焦状態となる領域に設けることが出来る。観察領域127は、測定領域126を含む撮像面の全領域である。例えば、撮像素子121は、制御装置130からの命令に応じて、撮像素子121の読出領域(ROI: Region Of Interest)を測定領域126又は観察領域127に設定する。読出領域が測定領域126に設定されると、撮像に使用する受光素子124の数が減少し、データの読み出し時間が減少するため、撮像素子121のフレームレートが増大する。また、読出領域が観察領域127に設定されると、撮像に使用する受光素子124の数が増大し、データの読み出し時間が増大するため、撮像素子121のフレームレートは減少する。
【0031】
[制御装置130]
図7に示す通り、制御装置130は、測定処理の開始時/終了時の処理を行う測定開始/終了処理部131と、撮像装置120から受信した画像データに座標処理を行う座標処理部132と、測定プローブ100のワークWまでの距離の範囲を判別する判別部133と、この判別部133による判別結果に基づいて通知装置160を制御する通知装置制御部134と、判別部133による判別結果を記憶する記憶部135と、を備える。
【0032】
測定開始/終了処理部131は、例えば演算装置300からの命令に応じて非接触測定処理を開始する。この場合、照射装置110を制御して照射光の照射を開始し、撮像装置120を制御して撮像を開始する。また、測定開始/終了処理部131は、例えば演算装置300からの命令に応じて測定処理を終了する。
【0033】
座標処理部132は、撮像装置120から、例えば
図2(b)に示すような画像データを受信し、受光素子124の列125(
図5)毎に像L´を構成する各点のY方向の座標値を算出して、像L´の座標データを算出する。また、この像L´の座標データから、測定プローブ100のワークWまでの距離を算出する。例えば、像L´の座標データ中、最も近接側に近い点を、近接点P
Lの座標データとして取得する。また、座標処理部132は、近接点P
Lの座標データを記憶部135に記憶させると共に演算装置300に送信する。また、座標処理部132は、例えば、照射光の像Lが撮像素子121の測定領域126で撮像されたか否かを判定し、撮像されたと判定された場合は撮像素子121の読出領域を測定領域126に、判定されなかった場合には読出領域を観察領域127に設定する。更に、撮像素子121の読出領域が観察領域127に設定されている場合、照射光の像Lが撮像素子121の観察領域127で撮像されたか否かを判定する。
【0034】
判別部133は、測定プローブ100のワークWまでの距離がどのような範囲であるかを判別する。例えば、
図8に示す通り、上記距離が十分大きい場合、像L´は撮像素子121の撮像面上に結像しない。以下、この様な距離の範囲を「遠隔範囲」と呼ぶ。また、例えば
図9に示す通り、上記距離が所定の範囲内である場合、像L´が撮像素子121の撮像面上に結像する。以下、この様な距離の範囲を「撮像可能範囲」と呼ぶ。また、例えば
図10に示す通り、上記距離が撮像可能範囲よりも近い場合、像L´は撮像素子121の撮像面上に結像しない。以下、この様な距離の範囲を「近接範囲」と呼ぶ。
【0035】
図11に示す通り、判別部133は、まず、判別部133による判別処理が、測定開始から1回目の処理であるか否かを判定する(S101)。
【0036】
ステップS101において1回目の処理と判定された場合、判別部133は、記憶部135に、測定プローブ100のワークWまでの距離が遠隔範囲内であることを示す情報を記憶させる(S102)。
【0037】
ステップS101において1回目の処理と判定されなかった場合、又は、ステップS102が終了した場合、判別部133は、撮像装置120によって照射光の像Lが撮像されたか否かを判定する(S103)。この判定は、例えば、座標処理部132による判定の結果に基づいて行われる。
【0038】
ステップS103において照射光の像Lが撮像されたと判定された場合、判別部133は、測定プローブ100のワークWまでの距離を撮像可能範囲内と判別する(S104)。また、この判別結果として、ワークWまでの距離が撮像可能範囲内であることを示す情報を、記憶部135に送信して記憶させ、通知装置制御部134に送信し、像L´の座標データと対応付けて演算装置300に送信する。その後、判別処理を終了する。
【0039】
ステップS103において照射光の像Lが撮像されたと判定されなかった場合、判別部133は、記憶部135に記憶された判別結果を参照する(S105)。尚、記憶部135に記憶されている判別結果は、測定開始から1回目の処理においては遠隔範囲であり、2回目以降の処理においては、前回の処理における判別結果である。
【0040】
ステップS105において記憶部135に判別結果としてワークWまでの距離が撮像可能範囲内であることを示す情報が記憶されていた場合、判別部133は、更に、記憶部135に記憶された近接点P
Lの座標データを参照して、この座標データが撮像素子121の撮像面の近接側に近いか、遠隔側に近いかを判定する(S106)。
【0041】
ステップS105において記憶部135に判別結果としてワークWまでの距離が遠隔範囲内であることを示す情報が記憶されていた場合、又は、ステップS106において近接点P
Lの座標データが撮像素子121の撮像面の遠隔側に近いと判定された場合、判別部133は、測定プローブ100のワークWまでの距離を遠隔範囲(
図8)内と判別する(S107)。また、この判別結果として、ワークWまでの距離が遠隔範囲内であることを示す情報を、記憶部135に送信して記憶させ、通知装置制御部134に送信し、像L´の座標データと対応付けて演算装置300に送信する。その後、判別処理を終了する。
【0042】
ステップS105において記憶部135に判別結果としてワークWまでの距離が近接範囲内であることを示す情報が記憶されていた場合、又は、ステップS106において近接点P
Lの座標データが撮像素子121の撮像面の近接側に近いと判定された場合、判別部133は、測定プローブ100のワークWまでの距離を遠隔範囲(
図10)内と判別する(S108)。また、この判別結果として、ワークWまでの距離が近接範囲内であることを示す情報を、記憶部135に送信して記憶させ、通知装置制御部134に送信し、像L´の座標データと対応付けて演算装置300に送信する。その後、判別処理を終了する。
【0043】
通知装置制御部134は、
図7に示す通り、判別部133から判別結果を受信し、これに基づいて通知装置160を制御する。
【0044】
例えば、判別結果として、ワークWまでの距離が遠隔範囲内であることを示す情報を受信した場合には、低消費電力な処理を行うことが好ましい。例えば、発光装置161(
図3)のLEDを一定の周期で点滅させることが出来る。
【0045】
また、例えば判別結果として、ワークWまでの距離が撮像可能範囲内であることを示す情報を受信した場合には、種々の処理を行うことが考えられる。例えば、撮像素子121の撮像面の近接側の端部から近接点P
Lまでの距離に応じて、点滅の周期を調整することも出来るし、この距離に応じて発音装置を制御して、警告音を発生させることも出来る。
【0046】
また、例えば判別結果として、ワークWまでの距離が近接範囲内であることを示す情報を受信した場合には、測定者の注意を惹くことにより、ワークWと測定プローブ100とが接触する恐れがある点を通知することが好ましい。例えば、発光装置161(
図3)のLEDを点滅させ、振動発生装置162によって測定プローブ100の把持部150を振動させ、図示しない発音装置によって警告音を発生させることが出来る。
【0047】
記憶部135は、座標処理部132において算出された近接点P
Lの座標データ、及び、判別部133による判別結果を記憶する。記憶部135に記憶される座標データ及び判別結果は、座標処理及び判別処理に応じて随時更新される。尚、記憶部135は、直前のデータのみを記憶することも出来るし、例えばリングバッファ等の構成によって、それ以前のデータも記憶することも出来る。
【0048】
[効果]
本実施形態に係る三次元測定装置は、ワークWに、平面Sに沿った照射光を照射する照射装置110と、ワークWの表面に生成される照射光の像Lを、平面Sとは異なる位置から撮像する撮像装置120と、を有する非接触式の測定プローブ100を備える。
【0049】
上述の様に、この様な三次元測定装置においては、測定プローブ100のワークWまでの距離が撮像可能範囲から外れてしまった場合に、この距離が撮像可能範囲よりも遠い遠隔範囲内か、撮像可能範囲よりも近い近接範囲内か、を判別することが出来なかった。
【0050】
ここで、発明者による検討の結果、この様な三次元測定装置を使用して測定を行う場合、操作の都合上、殆どの測定者が上記遠隔範囲又は上記観察可能範囲から測定を開始することが分かった。
【0051】
そこで、本実施形態においては、照射光の照射が開始されたタイミングで、ワークWと測定プローブ100との距離を上記遠隔範囲(
図8)内と規定して記憶部135に記憶させ、判別処理においてはこの記憶部135に記憶された情報を参照して上記距離の範囲の判別を行い、記憶部135に記憶された判別結果を更新している。この様な方法によれば、上記距離の範囲を継続的に監視することにより、測定プローブ100のワークWまでの距離が撮像可能範囲から外れてしまった場合であっても、この距離が撮像可能範囲よりも遠い遠隔範囲内か、撮像可能範囲よりも近い近接範囲内か、を判別することが可能である。
【0052】
また、本実施形態に係る三次元測定装置においては、非接触式の測定プローブ100に接触式の測定プローブ400が取り付けられており、この測定プローブ400によってタッチ測定や倣い測定を行うことが可能である。しかしながら、例えばワークWの凹凸が大きい場合等には、タッチ測定や倣い測定に際して非接触式の測定プローブ100がワークWに接触してしまう恐れがある。これを抑制すべく、接触式の測定プローブ400を用いた接触測定に際しても、制御装置130によって、非接触測定中と同様の制御を行うことが出来る。