特許第6934879号(P6934879)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6934879ハイパースペクトルイメージング計量システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6934879
(24)【登録日】2021年8月26日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】ハイパースペクトルイメージング計量システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20210906BHJP
   G01N 21/47 20060101ALI20210906BHJP
   G01J 3/44 20060101ALI20210906BHJP
   G01J 3/18 20060101ALI20210906BHJP
   G01J 3/36 20060101ALI20210906BHJP
【FI】
   G01N21/27 A
   G01N21/27 B
   G01N21/47 B
   G01J3/44
   G01J3/18
   G01J3/36
【請求項の数】33
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-540384(P2018-540384)
(86)(22)【出願日】2017年1月27日
(65)【公表番号】特表2019-504325(P2019-504325A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】US2017015248
(87)【国際公開番号】WO2017136229
(87)【国際公開日】20170810
【審査請求日】2020年1月23日
(31)【優先権主張番号】62/290,157
(32)【優先日】2016年2月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/365,120
(32)【優先日】2016年7月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/233,648
(32)【優先日】2016年8月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒル アンドリュー ヴイ
【審査官】 佐藤 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−017834(JP,A)
【文献】 特表2012−508366(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0328659(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/038595(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0234102(US,A1)
【文献】 特表2013−501930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC
G01J 3/00−4/04,7/00−9/04
G01N 21/00−21/01,21/17−21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明ビームを生成するよう構成された照明源と、
その照明ビームをサンプルに差し向けるよう構成された1個又は複数個の照明光学系と、
そのサンプルに発する照明を集光するよう構成された1個又は複数個の集光光学系と、
検出器と、
ハイパースペクトルイメージングサブシステムと、
を備え、そのハイパースペクトルイメージングサブシステムが、
上記1個又は複数個の集光光学系の瞳面に配置されており、集光された照明をスペクトル分散させるよう構成されている分散素子と、
集束素子のアレイを有するレンズアレイと、
集光されスペクトル分散された照明同士を結合することでそのレンズアレイ上に上記瞳面の像を形成させる1個又は複数個のイメージング光学系と、
を備え、上記レンズアレイに備わる集束素子が、瞳面の像をセグメント化し、瞳面の像のセグメントからの照明を上記レンズアレイの集束素子の空間分布に基づいて上記検出器上にアレイ状パターンの態で分布させる計量システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計量システムであって、上記検出器上のアレイ状パターンがスペクトル分散されている計量システム。
【請求項3】
請求項2に記載の計量システムであって、上記アレイ状パターンの第1部分、即ち集光された照明のうち第1波長に係る部分が、そのアレイ状パターンの第2部分、即ち集光された照明のうち第2波長に係る部分に対し、空間的にずれる計量システム。
【請求項4】
請求項3に記載の計量システムであって、上記アレイ状パターンの第1部分と、そのアレイ状パターンの第2部分とが、非重複分布の態で上記検出器上に空間分布する計量システム。
【請求項5】
請求項1に記載の計量システムであって、上記ハイパースペクトルイメージングサブシステムが、更に、
上記サンプルに対し共役な平面に配置されたフィルタを備え、当該サンプルに対し共役なその平面がそのサンプルのスペクトル分散像に関連付けられており、そのフィルタが、集光された照明のうち指定された部分を通過させる計量システム。
【請求項6】
請求項5に記載の計量システムであって、上記フィルタが、集光された照明の空間的拡がりを制限する空間フィルタを有する計量システム。
【請求項7】
請求項5に記載の計量システムであって、上記フィルタが空間光変調器を有する計量システム。
【請求項8】
請求項1に記載の計量システムであって、上記レンズアレイが一次元レンズアレイを有する計量システム。
【請求項9】
請求項8に記載の計量システムであって、上記レンズアレイが円柱レンズアレイを有する計量システム。
【請求項10】
請求項1に記載の計量システムであって、上記レンズアレイが二次元レンズアレイを有する計量システム。
【請求項11】
請求項1に記載の計量システムであって、上記分散素子が、
回折格子を備える計量システム。
【請求項12】
請求項11に記載の計量システムであって、上記回折格子が、
ブレーズド回折格子、刻線回折格子及びホログラフィック回折格子のうち少なくとも1個を備える計量システム。
【請求項13】
請求項1に記載の計量システムであって、上記分散素子が、
音響光変調器を備える計量システム。
【請求項14】
請求項1に記載の計量システムであって、上記照明源が、
超広帯域レーザ光源を備える計量システム。
【請求項15】
一組の集光光学系の瞳面に配置しうるよう構成された分散素子であり、サンプルに発する照明を集光するよう当該一組の集光光学系が構成されており、その集光された照明をスペクトル分散させるよう構成されている分散素子と、
集束素子のアレイを有するレンズアレイと、
上記スペクトル分散された一組の波長を集光することでそのレンズアレイ上に瞳面の像を生成する1個又は複数個のイメージング光学系と、
を備え、上記レンズアレイに備わる集束素子が、上記瞳面の像をセグメント化し、上記瞳面の像のセグメントからの照明を上記レンズアレイの集束素子の空間分布に基づいてアレイ状パターンの態で分布させるよう構成されているハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項16】
請求項15に記載のハイパースペクトルイメージング装置であって、上記アレイ状パターンがスペクトル分散されているハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項17】
請求項16に記載のハイパースペクトルイメージング装置であって、上記アレイ状パターンの第1部分、即ち集光された照明のうち第1波長に係る部分が、そのアレイ状パターンの第2部分、即ち集光された照明のうち第2波長に係る部分に対し、空間的にずれるハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項18】
請求項17に記載のハイパースペクトルイメージング装置であって、上記アレイ状パターンの第1部分と、そのアレイ状パターンの第2部分とが、非重複分布の態で空間分布するハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項19】
請求項15に記載のハイパースペクトルイメージング装置であって、そのハイパースペクトルイメージング装置が、更に、
上記サンプルに対し共役な平面上に配置されたフィルタを備え、当該サンプルに対し共役な平面がそのサンプルのスペクトル分散像に係る平面であり、そのフィルタが、集光された照明のうち指定された部分を通過させるハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項20】
請求項19に記載のハイパースペクトルイメージング装置であって、上記フィルタが、集光された照明の拡がりを制限する空間フィルタを有するハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項21】
請求項19に記載のハイパースペクトルイメージング装置であって、上記フィルタが空間光変調器を有するハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項22】
請求項15に記載のハイパースペクトルイメージング装置であって、上記レンズアレイが一次元レンズアレイを有するハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項23】
請求項22に記載のハイパースペクトルイメージング装置であって、上記レンズアレイが円柱レンズアレイを有するハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項24】
請求項15に記載のハイパースペクトルイメージング装置であって、上記レンズアレイが二次元レンズアレイを有するハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項25】
請求項15に記載のハイパースペクトルイメージング装置であって、上記分散素子が、
回折格子を備えるハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項26】
請求項25に記載のハイパースペクトルイメージング装置であって、上記回折格子が、
ブレーズド回折格子、刻線回折格子及びホログラフィック回折格子のうち少なくとも1個を備えるハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項27】
請求項15に記載のハイパースペクトルイメージング装置であって、上記分散素子が、
音響光変調器を備えるハイパースペクトルイメージング装置。
【請求項28】
照明ビームを生成するよう構成された照明源と、
その照明ビームをサンプルに差し向けるよう構成された1個又は複数個の照明光学系と、
そのサンプルに発する照明を集光するよう構成された1個又は複数個の集光光学系と、
一組の互いにずれた瞳像を生成するハイパースペクトルイメージングサブシステムであり、その一組の互いにずれた瞳像に含まれる個別の瞳像により、ある特定のスペクトル波長域を有する上記1個又は複数個の集光光学系により集光された照明の角度分布が体現されるハイパースペクトルイメージングサブシステムと、
上記一組の互いにずれた瞳像を捉えるよう構成された検出器と、
を備える計量システム。
【請求項29】
請求項28に記載の計量システムであって、上記一組の互いにずれた瞳像のうち第1瞳像が第1画像セグメントアレイを有し、当該一組の互いにずれた瞳像のうち第2瞳像が少なくとも第2画像セグメントアレイを有し、その第1画像セグメントアレイが上記検出器上で少なくとも第2画像セグメントアレイで以て補間される計量システム。
【請求項30】
請求項28に記載の計量システムであって、上記個別の瞳像を構成する特定のスペクトル波長域同士が非重複である計量システム。
【請求項31】
一組の集光光学系によりサンプルから照明を集光するステップと、
集光された照明を分散素子によりスペクトル分散させるステップであり、その分散素子が上記一組の集光光学系の瞳面に配置されたものであるステップと、
集束素子のアレイを有するレンズアレイ上にその瞳面の像を生成するステップであり、集光されスペクトル分散された一組の照明同士を結合することでその瞳面の像を形成させるステップであり、上記レンズアレイの集束素子が瞳面の像をセグメント化する、ステップと、
瞳面の像のセグメントからの照明を上記レンズアレイの集束素子の空間分布に基づいてアレイ状パターンの態で分布させるステップと、
を有する方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、集光された照明をアレイ状パターンの態で分布させるステップが、
集光された照明をスペクトル分散されたアレイ状パターンの態で分布させるステップを有する方法。
【請求項33】
請求項1の計量システムであって、上記レンズアレイの集束素子の瞳面の像は、スペクトル脱分散されるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は総じて計量に関し、より具体的にはハイパースペクトルイメージング計量に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願への相互参照)
本願は、「オーバレイスキャタロメトリにおけるハイパースペクトルイメージング」(HYPER SPECTRAL IMAGING IN OVERLAY SCATTEROMETRY)と題しAndrew V. Hillを発明者とする2016年2月2日付米国暫定特許出願第62/290,157号に基づき米国特許法第119条(e)の規定による利益を主張する出願であるので、当該米国暫定特許出願の全容をこの参照を以て本願に繰り入れることにする。
【0003】
本願は、「ハイパースペクトルイメージング計量システム及び方法」(SYSTEM AND METHOD FOR HYPERSPECTRAL IMAGING METROLOGY)と題しAndrew V. Hillを発明者とする2016年7月21日付米国仮特許出願第62/365,120号に基づき米国特許法第119条(e)の規定による利益を主張する出願であるので、当該米国暫定特許出願の全容をこの参照を以て本願に繰り入れることにする。
【0004】
スキャタロメトリ(散乱計測)計量システムによれば、サンプルの像を計測するのに代え及び/又は加え、そのサンプルから散乱、反射又は回折されてきた光学的輻射(例.光)のパターンを計測及び分析することで、半導体ウェハ上のフィーチャ(特徴)のサイズ、形状又は分布を、解明することができる。計量システムにより検出される散乱、反射又は回折光のパターンには、そのウェハ上の独特なフィーチャだけでなく、そのウェハ上に入射した光の波長も影響しうる。ひいては、特定ウェハからの散乱、反射又は回折光がなすそうしたパターンの感度が、光の入射波長によって変わりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0218547号
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0069292号
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/0328659号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数の光波長で以てウェハを特性解明することが望ましかろう。しかしながら、複数通りのスキャタロメトリ計測結果を生成する通常の手法では、単一計測の場合に比し計測結果捕捉時間が長くなり、及び/又は、各回計測に係る光量が減少する。従って、欠陥例えば上掲のそれを治癒するシステム及び方法を提供することが望ましかろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に係る計量システムが開示される。ある例証的実施形態に係る計量システムは、照明ビームを生成するよう構成された照明源を有する。また、ある例証的実施形態に係る計量システムは、その照明ビームをサンプルに差し向けるよう構成された1個又は複数個の照明光学系を有する。また、ある例証的実施形態に係る計量システムは、そのサンプルに発する照明を集光するよう構成された1個又は複数個の集光光学系を有する。また、ある例証的実施形態に係る計量システムは検出器を有する。また、ある例証的実施形態に係る計量システムはハイパースペクトルイメージングサブシステムを有する。また、ある例証的実施形態では、そのハイパースペクトルイメージングサブシステムが、上記一組の集光光学系の瞳面に配置されていて、集光された照明をスペクトル分散させるよう構成されている分散素子を、有する。また、ある例証的実施形態では、そのハイパースペクトルイメージングサブシステムが、集束素子のアレイを有するレンズアレイを有する。また、ある例証的実施形態では、そのハイパースペクトルイメージングサブシステムが1個又は複数個のイメージング光学系を有する。また、ある例証的実施形態では、その1個又は複数個のイメージング光学系が、集光されスペクトル分散された照明同士を結合することで、レンズアレイ上に瞳面の像を形成させる。また、ある例証的実施形態では、レンズアレイに備わる集束素子が、集光された照明を検出器上にアレイ状パターンの態で分布させる。
【0008】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に係るハイパースペクトルイメージング装置が開示される。ある例証的実施形態に係るハイパースペクトルイメージング装置は、一組の集光光学系の瞳面に配置しうるよう構成された分散素子を有する。また、ある例証的実施形態では、その一組の集光光学系が、サンプルに発する照明を集光するよう構成される。また、ある例証的実施形態では、その分散素子が、集光された照明をスペクトル分散させるよう構成される。また、ある例証的実施形態に係るハイパースペクトルイメージング装置は、集束素子のアレイを有するレンズアレイを有する。また、ある例証的実施形態に係るハイパースペクトルイメージング装置は、1個又は複数個のイメージング光学系を有する。また、ある例証的実施形態では、その1個又は複数個のイメージング光学系が、スペクトル分散された一組の波長同士を結合させることで瞳面をレンズアレイ上にイメージングする。また、ある例証的実施形態では、そのレンズアレイに備わる集束素子が、集光された照明をアレイ状パターンの態で分布させるよう構成される。
【0009】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に係る方法が開示される。ある例証的実施形態に係る方法は、一組の集光光学系によりサンプルから照明を集光するステップを有する。また、ある例証的実施形態に係る方法は、集光された照明を分散素子によりスペクトル分散させるステップであり、その分散素子が上記一組の集光光学系の瞳面に配置されたものであるステップを有する。また、ある例証的実施形態に係る方法は、集束素子のアレイを有するレンズアレイ上にその瞳面の像を生成するステップを有する。また、ある例証的実施形態では、集光されスペクトル分散された一組の照明同士を結合することでその瞳面の像を形成させる。また、ある例証的実施形態に係る方法は、集光された照明をアレイ状パターンの態で分布させるステップを有する。
【0010】
以下の如き添付図面を参照することで、本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)には、本件開示の多様な長所をより良好に理解頂けよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るハイパースペクトル計量システムの概念図である。
図2】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るハイパースペクトル計量システムの概念図であり、そのハイパースペクトルイメージングサブシステムの拡大図を含む図である。
図3図2の一部分の拡大図であり、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い、レンズアレイによる瞳面内のサンプル輻射のセグメント化を描いた図である。
図4】本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い、レンズアレイ上での瞳面像の形成を描いた模式図である。
図5】本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い、図4に描かれたレンズアレイによる検出器上でのサンプル輻射の分布例を描いた模式図である。
図6】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るプラズマセル内対流制御方法にて実行される諸ステップを描いたフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に描かれている被開示主題を詳細に参照することにする。本件開示を、ある種の実施形態及びそれらの具体的特徴との関連で具体的に図示及び記述してある。本願中で説明された実施形態は限定ではなく例証と見なされるべきである。いわゆる当業者なら直ちに察せられるように、本件開示の神髄及び技術的範囲から離隔することなく形態及び細部に様々な変形及び修正を施すことができる。
【0013】
図1図6全体を通じ、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るハイパースペクトルイメージング計量システム及び方法が開示されている。本件開示の諸実施形態は、複数波長に係る複数枚の計量画像を単一の検出器上で同時計測するハイパースペクトル計量システムを指向している。本件開示の他の諸実施形態は、その計量システムの瞳面(例.対物レンズの後焦点面、回折面等)に係るスペクトル分解照明を計測することを指向している。更なる諸実施形態は、その瞳面に係る照明を複数波長に亘り補間することにより、サンプル由来光の角度分布に係るスペクトル分解照明の同時計測を実現することを、指向している。
【0014】
ここでご認識頂けるように、スキャタロメトリ計量システムによれば、通常、サンプルからの散乱、反射又は回折光のパターンを計測及び分析することで、そのサンプルの性質を1個又は複数個解明することができる。更に、そのサンプルの像に代え及び/又は加え散乱、反射又は回折光のパターンを計測することができる。注目されるのは、光学システムが、通常、像面及び瞳面という2個の相反的な平面を有することである。像面(例.視野面でもよいし像面に対し共役な任意の平面でもよい)はサンプルの像に対応付けうる面である。ひいては、そのサンプル上の特定点から任意角度で発せられた光を、像面内の対応する特定点にイメージングすることができる。逆に、そのサンプル上のどの個所であれそのサンプルから特定角度で発せられた光を、瞳面(或いはその瞳面に対し共役な任意の平面)内の特定点にイメージングすることができる。この構成によれば、瞳面における光の空間的分布を、そのサンプルから集光された光の角度分布に対応付けることができる。
【0015】
同じくご認識頂けるように、その瞳面を、サンプルから集光する光学素子(例.対物レンズ等)の後焦点面に対応付けることができる。例えば、多数の対物レンズによりその後焦点面(例.瞳面に対応するそれ)に開口絞りを設けることで、そのシステム内を伝搬する光の角度的拡がり即ち数値開口をこの回折面内に限定することができる。本件開示の目的に鑑み、瞳面、後焦点面及び回折面なる語を互換的に用いることにする。とはいえ、それら瞳面、後焦点面及び回折面の所在についての上掲の記述は専ら例証目的で提示されたものであり、限定として解されるべきではないことを、注記しておく。
【0016】
加えて、光の瞳面内分布は照明の波長により変わりうる。例えば、サンプル上フィーチャにより、第1波長を含む照明が第1角度分布をなし散乱、反射及び/又は回折され、且つ第2波長を含む照明が第2角度分布をなし散乱、反射及び/又は回折される、といったことがありうる。ご認識頂けるように、特定の諸波長を含む照明に係る輻射(例.スキャタロメトリ信号)の瞳面内分布パターンは、他に対するより、サンプル特性(例.サンプル上フィーチャのサイズ、形状又は分布)の偏差に対し敏感になりうる。従って、瞳面に係る照明を複数波長に亘り同時計測することが有益たりうる。本件開示の諸実施形態は、計量システムの瞳面に係るスペクトル分解照明を計測するハイパースペクトルイメージングシステムを指向している。本件開示のある種の実施形態は、その瞳面を複数セグメントに分割し、各セグメントから検出器上へとスペクトル分散照明を差し向けることを指向している。この構成によれば、瞳面からの照明に係るデータを複数波長に亘り同時計測することができる。本件開示のある種の実施形態は、各セグメントのスケーリングされたスペクトル分散像を検出器上に生成することを指向している。この構成によれば、瞳面像を複数波長に亘り同時に計測することができる。
【0017】
本件開示を通じ用いられている語「サンプル」は、大略、半導体又は非半導体素材で形成された基板のことを指している(例.ウェハ等)。そうした半導体又は非半導体素材の例としては、これに限られるものではないが単結晶シリコン、ヒ化ガリウム及び燐化インジウムがある。ウェハが1個又は複数個の層を有することもある。そうした層の例としては、これに限られるものではないがレジスト、誘電体、導体及び半導体がある。本件技術分野ではそうした層について多様な種類が知られており、本願中の用語サンプルは、いずれの種類であれその上にそうした層が形成されうるサンプルを包括する意図を有している。サンプル上に形成された1個又は複数個の層がパターンを有していても有していなくてもよい。例えば、サンプルが複数個のダイを有し各ダイが可反復パターン化フィーチャを有していてもよい。そうした素材層の形成及び処理により、最終的にはデバイスの完成品を得ることができる。多種類のデバイスをウェハ上に形成することができ、本願中の用語サンプルは、本件技術分野で既知な任意種類のデバイスがその上に作り込まれるウェハを包括する意図を有している。更に、本件開示の目的に鑑みれば語サンプル及びウェハを互換的に解すべきである。
【0018】
図1は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るハイパースペクトル計量システムの概念図である。実施形態に係るシステム100は、複数波長を含むスペクトルコンテンツを有する照明ビーム104を生成するよう構成された照明源102と、同システム100の瞳面に所在しておりその瞳面にて照明をスペクトル分散させるハイパースペクトルイメージングサブシステム106と、その瞳面に係るスペクトル分散照明を捕捉する検出器108とを有している。この構成によれば、本システム100により、瞳面に係る照明を複数個の離散的スペクトル帯に亘り同時捕捉することができる。
【0019】
また、実施形態に係る照明源102に、これに限られるものではないが、そのスペクトラムに複数の離散波長が含まれる多色光源、広帯域光源、波長可調光源又は波長掃引光源を、具備させることができる。更に、照明ビーム104のスペクトルコンテンツを、これに限られるものではないが紫外(UV)輻射、可視輻射又は赤外(IR)輻射をはじめ、指定波長の光を含むものにすることができる。また、ある実施形態によれば、照明源102に超広帯域(超連続体)レーザ光源を具備させることができる。
【0020】
また、実施形態に係るシステム100の照明路110は、照明ビーム104をサンプル114へと差し向ける照明光学素子112を1個又は複数個有している。それら照明光学素子112のうち1個又は複数個の光学素子を、照明ビーム104の修正及び/又は調光に適したものにすることができる。例えば、照明路110に対物レンズ116を設け、それにより照明ビーム104をサンプル114上の一個所又は複数個所へと集束させることができる。また、実施形態に係るシステム100は、サンプル114をしっかり保持するのに適したステージアセンブリ118を有している。更に、そのステージアセンブリ118はサンプル114を位置決め及び/又は並進させうるものであり、それによりそのサンプル114の一部分又は複数部分を照明ビーム104に対し露出させることができる。
【0021】
また、実施形態に係るシステム100の集光路120は、サンプル114に発するサンプル輻射122を集光する光学素子を1個又は複数個有している。例えば、サンプル114から(例.鏡面反射、乱反射等の作用で)反射又は散乱された輻射を集光路120に受け入れることができる。また例えば、サンプル114により生成された輻射(例.照明ビーム104の吸収と関連するルミネッセンス等)を集光路120に受け入れることができる。他の例としては、サンプル114からの一次又は複数次回折(例.0次回折、±1次回折、±2次回折等)輻射を集光路120に受け入れることができる。
【0022】
本システム100には、必須ではないが、照明路110及び/又は集光路120双方の一部としてビームスプリッタ124を具備させることができる。この構成によれば、単一の光学素子(例.対物レンズ116)により、照明ビーム104をビームスプリッタ124内第1光路に沿いサンプル114へと差し向け、そのサンプル114からのサンプル輻射122をビームスプリッタ124内第2光路に沿い差し向けることができる。
【0023】
また、実施形態に係るシステム100は1個又は複数個の中継光学素子126を有している。例えば、その中継光学素子126により、瞳面又はその瞳面に対し共役な平面を、ハイパースペクトルイメージングサブシステム106(例.ハイパースペクトルイメージングサブシステム106の初段光学素子、ハイパースペクトルイメージングサブシステム106の入射瞳等)へと中継することができる。例えば、その中継光学素子126により、瞳面(例.対物レンズ116の後方アパーチャ、回折面等)の像を、ハイパースペクトルイメージングサブシステム106の初段光学素子上に生成することができる。ひいては、そのハイパースペクトルイメージングサブシステム106により瞳面にてサンプル輻射122の分布をスペクトル分散させ、その輻射を検出器108に差し向けることで、瞳面に係る照明をサンプル輻射122の複数波長に亘り同時捕捉することができる。また、実施形態に係るシステム100は、本システム100内を伝わるサンプル114の視野を制限する視野絞り128を有している。
【0024】
また、実施形態に係るシステム100は、検出器108に可通信結合されたコントローラ130を有している。例えば、そのコントローラ130を、これに限られるものではないが、計測結果(ターゲットの像、瞳像等)や計量指標(例.精度、ツール誘起性シフト、感度、回折効率、スルーフォーカス勾配、側壁角、限界寸法等)をはじめとするデータを受け取るよう、構成することができる。また、実施形態に係るコントローラ130は照明源102に可通信結合されている。例えば、そのコントローラ130により照明源102に指令し、一通り又は複数通りの指定波長で照明を供給させることができる。一般的に、コントローラ130は、本システム100内のどの要素とも可通信結合させることができる。また、実施形態に係るコントローラ130は照明光学素子112及び/又は照明源102に可通信結合されているので、照明ビーム104及びサンプル114がなす入射角の調整を指令することができる。
【0025】
また、実施形態に係るコントローラ130は、検出器108から受け取ったデータについてデータ分析を実行する。例えば、そのコントローラ130により、検出器108から受け取ったデータに基づき計量データ(例.オーバレイ計量データ、スキャタロメトリデータ等)を生成することができる。
【0026】
図2は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るハイパースペクトル計量システムの概念図であり、そのハイパースペクトルイメージングサブシステム106の拡大図を含んでいる。実施形態に係るハイパースペクトルイメージングサブシステム106は、瞳面にてサンプル輻射122をスペクトル分散させ、その瞳面を複数セグメントに分割し、そして各セグメントに係る照明を検出器108の空間分離された諸部分に差し向ける。この構成によれば、瞳面に係る照明をセグメント化し、検出器108上にアレイパターンの態で分布させることができる。また、実施形態に係るハイパースペクトルイメージングサブシステム106は、検出器108上のサンプル輻射122をスペクトル分散させることで、そのアレイパターンをスペクトル分散させる。これにより、瞳面に係り相異なる波長を有する照明により、その検出器上の相異なる個所を占拠させることができる。
【0027】
実施形態に係るハイパースペクトルイメージングサブシステム106は、本システム100の瞳面に所在する分散素子132を有しており、瞳面におけるサンプル輻射122の分布をそれによりスペクトル分散させることができる。例えば、分散素子132からのサンプル輻射122の出射角がスペクトルコンテンツ(例.波長)に従い変動するよう、その分散素子132により瞳面にてサンプル輻射122を分散させることができる。例えば、図2に示すように、三種類の個別波長を含むサンプル輻射122を分散素子132上に入射させ、個別のサンプル輻射122組成サブビーム(例.λ、λ、λ)へと分散させることができる。
【0028】
とはいえ、図2中に描かれ上述された個別波長に係るサブビームの叙述が、専ら例証目的で提示されていること及び限定として解すべきものではないことに、注意されたい。例えば、サンプル輻射122が広いスペクトル域(例.照明ビーム104のスペクトル域に係るそれ等)を有し、分散素子132により分散されたサンプル輻射122が(例.個別サブビームを伴わない)1本のスペクトル分散ビームを呈するように、することができる。
【0029】
分散素子132は、サンプル輻射122にスペクトル分散を導入するのに適し本件技術分野で既知などの種類の分散素子であってもよい。例えば、分散素子132がサンプル輻射122に分散を導入する仕組みは、これに限られるものではないが、回折や屈折をはじめどのような仕組みであってもよい。更に、分散素子132は透過性及び/又は反射性光学素子で形成することができる。
【0030】
実施形態に係る分散素子132にプリズムを具備させ、サンプル輻射122をスペクトルコンテンツ(例.波長)に従い異なる角度で屈折させることで、サンプル輻射122をスペクトル分散させることができる。また、実施形態に係る分散素子132に回折性光学素子を具備させ、回折を通じサンプル輻射122をスペクトル分散させることができる。例えば、その分散素子132に回折格子を具備させることで、サンプル輻射122のスペクトルコンテンツに従い回折角が変動するよう、瞳面にてそのサンプル輻射122をスペクトル分散させることができる。分散素子132には、これに限られるものではないが作製格子(例.ホログラフィック格子、刻線格子、ブレーズド格子等)や動的生成格子(例.音響光変調器、電気光変調器等)等、任意種類の回折格子を具備させることができる。また、実施形態に係る分散素子132に固体媒体を具備させ、その固体媒体内を伝搬する超音波を生成するよう構成されたトランスデューサをその固体媒体に結合させることができる。これに限られるものではないが、屈折率をはじめその固体媒体の特性を、サンプル輻射122がその固体媒体との相互作用を受け回折されるよう超音波を伝搬させることで、修正することができる。更に、その固体媒体内を同媒体内での音速にて超音波を伝搬させること、並びにその超音波の波長を駆動信号の周波数に加えその固体媒体内での音速に係るそれにすることができる。
【0031】
また、実施形態に係るハイパースペクトルイメージングサブシステム106は、瞳面を中継する(例.ハイパースペクトルイメージングサブシステム106の初段光学素子に所在する瞳面、ハイパースペクトルイメージングサブシステム106の入射瞳等の像を中継する)ハイパースペクトル中継光学素子134を有している。例えば、図2に描かれているように、ハイパースペクトル中継光学素子134により、分散素子132から差し向けられてきたスペクトル分散サンプル輻射122のうち少なくとも一部分を集光し、瞳面の中継像を形成することができる。この構成によれば、ハイパースペクトル中継光学素子134により、サンプル輻射122のスペクトル分散成分同士を結合させて瞳面像を形成することができる。従って、サンプル輻射122が瞳面の中継像の個所ではスペクトル分散されていないがハイパースペクトルイメージングサブシステム106内のどこかではスペクトル分散されている、といったことがありうる。
【0032】
ハイパースペクトルイメージングサブシステム106は、サンプル114に対し共役な平面(例.視野面)を有し、そのサンプル114のスペクトル分散像が現れているときにその平面が2個のハイパースペクトル中継光学素子134間に所在するものと、することができる。実施形態に係るハイパースペクトルイメージングサブシステム106はフィルタ(例.サンプル輻射122のスペクトルコンテンツを制限する空間フィルタ)を有している。例えば、そのハイパースペクトルイメージングサブシステム106に分光的視野絞り136を具備させ、サンプル輻射122のスペクトル的拡がりを制限することができる。また例えば、そのハイパースペクトルイメージングサブシステム106に部分透過性素子を具備させ、サンプル輻射122のスペクトルコンテンツの各部分の強度を選択的に制御することができる。例えば、サンプル輻射122のスペクトルコンテンツの諸部分の強度をある共通値に対し正規化し、回折性分散素子132の回折効率の差を補償することができる。また例えば、そのハイパースペクトルイメージングサブシステム106に、これに限られるものではないが空間光変調器をはじめとする動的可制御素子を具備させ、検出器108へと伝搬するサンプル輻射122のスペクトルコンテンツを動的に制御することができる。
【0033】
また、実施形態に係るハイパースペクトルイメージングサブシステム106は、集束素子(例.レンズ)のアレイとして形成されたレンズアレイ138を有している。また、実施形態に係るレンズアレイ138は瞳面の中継像のところにあるので、そのレンズアレイ138により瞳面内のサンプル輻射122が複数セグメントへと分割され、またそれがそのレンズアレイ138における集束素子分布に従い行われる。この構成によれば、レンズアレイ138の各集束素子により、サンプル輻射122の瞳面内分布のうち特定部分を捕捉することができる。
【0034】
図3図2の一部分140の拡大図であり、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い、レンズアレイ138による瞳面内のサンプル輻射122のセグメント化が描かれている。実施形態に係るレンズアレイ138上へのサンプル輻射122の入射角は、そのスペクトルコンテンツ(例.波長)に従い変動する。更に、そのレンズアレイ138からのサンプル輻射122の出射角が、そのスペクトルコンテンツ(例.波長)に従い変動しうる。この構成によれば、レンズアレイ138の各集束素子により、瞳面の特定部分から全波長に係る照明(例.サンプル114からの散乱角の特定域に係るそれ)を集光し、集光した照明をスペクトル分散パターンの態で検出器108に差し向けることができる。
【0035】
また、実施形態に係るレンズアレイ138の各集束素子は、サンプル輻射122を検出器108上へと集束させる。例えば、図3に描かれているように、レンズアレイ138によりサンプル輻射122を集束させる際に、隣り合う集束素子により集光されたサンプル輻射122が検出器108上で重なり合わないようにすることができる。
【0036】
レンズアレイ138に備わる集束素子のサイズ、形状又は分布により、瞳面のセグメント化(例.各集束素子により集光されたサンプル輻射122の散乱角域)を制御すること並びに検出器上でのサンプル輻射122の分布を制御することができる。そのレンズアレイ138は、これに限られるものではないが一次元レンズアレイや二次元レンズアレイをはじめ、本件技術分野で既知な任意種類のレンズアレイとすることができる。実施形態の一つは、レンズアレイ138が一次元レンズアレイを有するものである。例えば、一次元レンズアレイを円柱レンズの一次元アレイとして形成することができる。もう一つの実施形態は、レンズアレイ138が二次元レンズアレイを有するものである。例えば、二次元レンズアレイに備わる集束素子を、これに限られるものではないがグリッドパターン、オフセットグリッドパターン、六角形パターン等をはじめとする二次元パターンの態で分布させることができる。更に、集束素子を規則的パターン(例.格子状配列等)の態で分布させることも不規則パターンの態で分布させることもできる。加えて、集束素子を、周期配列の態で分布させることも非周期配列(例.ランダム配列等)の態で分布させることもできる。
【0037】
ここに、本システム100の瞳面に所在するレンズアレイ138の集束素子のうち特定のものにより集光されたサンプル輻射122の散乱角の範囲は、その特定の集束素子のサイズ又は形状により左右されうるので、注意されたい。実施形態の一つは、レンズアレイ138に備わる集束素子のサイズが瞳面像の空間的拡がり全体に亘り一定なものである。この構成によれば、各集束素子により集光されるサンプル輻射122の散乱角域のサイズを一定にすることができる。もう一つの実施形態は、レンズアレイ138に備わる集束素子のサイズが瞳面像の拡がりに亘り変動しうるものである。例えば、集束素子のサイズを、瞳面の注目領域では他の領域に比べ小さくすることで、注目領域における散乱角捕捉分解能を高めることができる。
【0038】
レンズアレイ138に屈折性及び/又は回折性光学素子を具備させることができる。例えば、レンズアレイ138に、これに限られるものではないが球形集束素子(例.一表面又は複数表面が球の一部分を含む集束素子)、フレネル集束素子又は回折性光学素子を具備させ、それらを透明素材塊内に屈折率変化領域として埋め込むことができる。
【0039】
図4は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い、レンズアレイ138上での瞳面像402の形成を描いた模式図である。実施形態に係るレンズアレイ138は円柱状集束素子404の一次元アレイを有している。例えば、図4に描かれているように、レンズアレイ138に、円柱状集束素子404同士が隣り合いピッチ406で以て等幅分布するアレイを、具備させることができる。この構成によれば、レンズアレイ138により瞳面像402を分割し、一群の直線セグメントにすることができる。ひいては、瞳面像402の各直線セグメントに、サンプル114により散乱されたサンプル輻射122のうち集束素子分離方向に沿い計測した散乱角がある範囲内のものが、含まれるようにすることができる。更に、瞳面像402が、その第1方向に対し垂直な第2方向に沿いセグメント化されないようにすることができる。
【0040】
図5は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い、図4に描かれたレンズアレイ138により形成され検出器108上でサンプル輻射122が呈する分布の例を描いた模式図である。実施形態に係るサンプル輻射122は三通りの個別波長(例.λ、λ、λ)を含んでおり、検出器108上でスペクトル分散されている。例えば、サンプル輻射122のうち波長λに係り瞳面像402中に現れるものをセグメント化し、アレイパターン502として検出器108上に集束させることができる。こうすることで、アレイパターン502の各セグメントに、サンプル輻射122のうち、サンプル114からの特定散乱角域に係るものを、含ませることができる。更に、サンプル輻射122のうち波長λに係り瞳面像402中に現れるものをセグメント化し、アレイパターン502からずれた(例.オフセット等した)アレイパターン504として検出器108上に集束させることができる。加えて、サンプル輻射122のうち波長λに係り瞳面像402中に現れるものをセグメント化し、アレイパターン502から更にずれたアレイパターン506として検出器108上に集束させることができる。この構成によれば、アレイパターン502,504,506を検出器108上で相互補間させることができる。また、実施形態によっては、図5に描かれているように、サンプル輻射122のスペクトル域を検出器108上に非重複分布の態で分布させる。例えば、各アレイパターン502,504,506を、ピッチ508を有し互いにずれているパターンとすることができる。更に、検出器108上でのスペクトル分散サンプル輻射122の空間的拡がり510(例.レンズアレイ138の集束素子のうち1個に発する全スペクトル分散波長の照明の空間的拡がり)を、そのピッチ508より小さくすることができる。この構成によれば、隣り合う集束素子からの照明が検出器108上で重なり合わないようにすることができる。
【0041】
ここに、図5にて描かれた検出器108上の個別アレイパターンについての記述、並びにそれに関連する記述が、専ら例証目的で提示されたものであること並びに限定として解されるべきものではないことに、注意されたい。例えば、サンプル輻射122を単一のスペクトル分散アレイパターンとして分布させることができる。更に、サンプル輻射122のスペクトルコンテンツに連続的な波長域(例.広帯域照明源102等に係るそれ)が含まれている場合、そのスペクトル分散サンプル輻射122の空間的拡がり510が、そのサンプル輻射122の波長について、対応する連続変動的分布を呈するものになることがある。
【0042】
更に、検出器108上でのサンプル輻射122の分布を、レンズアレイ138に備わる集束素子の形状、サイズ又は分布により制御しうることに、注意されたい。例えば、図5に描かれているように、円柱レンズの一次元アレイで形成されたレンズアレイ138により、検出器108上に直線状のアレイパターン(例.アレイパターン502)を発現させることができる。また例えば、集束素子の二次元アレイで形成されたレンズアレイ138により、検出器108上に二次元アレイパターンを発現させることができる。ある種の実施形態によれば、二次元レンズアレイ138を二次元分散素子132に結合させ、サンプル輻射122が検出器108上で二次元的にスペクトル分散されるようにすることができる。
【0043】
また、実施形態に係る検出器108をレンズアレイ138の焦点面に配置することができる。この構成によれば、集束素子により集光されたサンプル輻射122のうち特定の波長に係るアレイパターンのセグメントの幅512を、本システム100により捕捉されるところのサンプル114の視野に関連付けることができる。更に、その幅512を、視野絞り(例.図1の視野絞り128等)により制御可能とすることができる。ひいては、その幅512を調整することで、サンプル輻射122のスペクトルコンテンツ(例.個別スペクトル域、連続スペクトル分布等)の重複を緩和することができる。
【0044】
また、実施形態によっては、レンズアレイ138の各集束素子により集光されたサンプル輻射122が、瞳面の対応部分のスケーリング像として検出器108に供給される。例えば、ハイパースペクトル中継光学素子134、レンズアレイ138及び/又は他の1個又は複数個の光学素子(図示せず)により、その瞳面のセグメント化された空間分散表現を、検出器108へと中継することができる。また例えば、他の1個又は複数個の中継光学素子(図示せず)により、レンズアレイ138から検出器108へと瞳面を中継することができる。この構成によれば、検出器108により、瞳面のセグメント化、スケーリング及び補間されたインスタンス複数枚(例.サンプル輻射122の複数通りのスペクトル域に対応するそれ)を同時捕捉することができる。
【0045】
また、実施形態によれば、サンプルに発する特定スペクトル域の光の角度分布を体現する瞳像を、検出器108のどの画素でその特定スペクトル域のアレイパターンが受光されたかを踏まえ構築することができる。例えば、瞳像に含まれアレイパターンをなす複数個のセグメントそれぞれに、瞳面の一部分からの集束照明が含まれるようにすることができる。また例えば、瞳像に含まれアレイパターンをなす複数個のセグメントそれぞれに、瞳面の一部分のスケーリング像が含まれるようにすることができる。また、実施形態によれば、瞳像複数枚からなるアレイパターン同士を検出器上で補間することができる。この構成によれば、検出器108により、サンプルからの照明のうち別々のスペクトル域をそれぞれ体現する瞳像複数枚を、同時捕捉することができる。
【0046】
また、実施形態によれば、検出器108からの計測データを(例.コントローラ130等により)処理することで、計測されたアレイパターンの諸セグメントを統合(マージ)及び/又はスケーリングし、途切れのない瞳像を形成することができる。
【0047】
ここに、瞳面内サンプル輻射122をセグメント化し各セグメントに属するスペクトル分散サンプル輻射122を検出器に差し向けることで、本システム100における光、物理空間及び/又は計測時間の効率的利用を実現しうることに、注意されたい。例えば、集光されたサンプル輻射122の各波長における光強度(例.スペクトルパワー)を、検出器に最低損失で以て提供することができる。また例えば、瞳面に係るスペクトル分解照明を、その瞳面の像1枚を計測するのに必要なそれと同じ検出器エリアを用い、単一の検出器108により計測することができる。例えば、瞳面を(例.レンズアレイ138等により)セグメント化し、各セグメントに属ずるサンプル輻射122を検出器108上へと集束させることで、サンプル輻射122の波長毎の所要検出器エリアを減らし、検出器108上に空間を設けて、瞳面に係る照明の複数波長に亘る同時捕捉に役立てることができる。更に、その瞳面に係るスペクトル分解照明の同時計測により、(例.様々な照明波長に亘る瞳面像の順次捕捉等に比し)計測時間を短縮することができる。
【0048】
翻って、図1に示す照明源102は、複数通りのスペクトル成分を有する照明ビーム104を生成するのに適し本件技術分野で既知な、いずれの照明源を有するものでもよい。例えば、照明源102を広いスペクトル域を有するものにし、広い波長スペクトラムに亘り瞳面に係る照明を同時捕捉するのに役立てることができる。また例えば、照明源102を複数域の狭いスペクトル帯を有するものにし、それら指定された照明スペクトル帯に亘り瞳面に係る照明を同時捕捉するのに役立てることができる。
【0049】
照明源102は、これに限られるものではないが、白色光源(例.そのスペクトラムに可視波長が含まれる広帯域光源)、レーザ光源、アークランプ、無電極ランプ又はレーザ維持プラズマ(LSP)光源で形成することができる。例えば、照明源102に超広帯域光源を具備させることができる。また例えば、照明源102に超広帯域レーザ光源(例.白色光レーザ光源)を具備させることができる。更に、照明ビーム104は、自由空間伝搬を介し送給することや光導波路(例.光ファイバ、光パイプ等)を介し送給することができる。また、実施形態によっては照明源102が可調照明源とされる。この構成によれば、照明ビーム104の輻射波長を、任意の指定輻射(例.UV輻射、可視輻射、赤外輻射等)波長にすることができる。加えて、照明ビーム104がどの程度の空間及び/又は時間コヒーレンスを呈していてもよい。例えばレーザ光源として構成された照明源102であれば、空間的及び時間的にコヒーレントな照明ビーム104を生成することができる。また例えば、ランプ光源として構成された照明源102であれば、空間的及び/又は時間的に非コヒーレントな照明ビーム104を生成することができる。
【0050】
照明源102が照明路110を介しサンプル114へと照明ビーム104を差し向ける角度は、どのような角度でもよい。照明光学素子112の例としては、これに限られるものではないが、1個又は複数個のレンズ、1個又は複数個の偏光子、1個又は複数個のフィルタ、1個又は複数個のビームスプリッタ、1個又は複数個の散光器、1個又は複数個のホモジナイザ、1個又は複数個のアポダイザ、1個又は複数個のビーム整形器等がある。実施形態の一つは、サンプル114の表面に対し垂直な入射角にて、照明源102がサンプル114へと照明ビーム104を差し向けるものである。もう一つの実施形態は、ある角度(例.かすめ角、45°角等)にて照明源102がサンプル114へと照明ビーム104を差し向けるものである。また、実施形態によってはサンプル114上への照明ビーム104の入射角が可調とされる。例えば、照明ビーム104がビームスプリッタ124及び対物レンズ116内で辿る経路を調整することで、サンプル114上への照明ビーム104の入射角を制御することができる。この構成によれば、照明ビーム104がビームスプリッタ124及び対物レンズ116内で垂直経路を呈し、ひいては照明ビーム104がサンプル114上で垂直入射角を呈するようにすることができる。更に、ビームスプリッタ124上での照明ビーム104の位置及び/又は角度を(例.回動ミラー、空間光変調器、フリーフォーム照明源等により)修正することで、サンプル114上への照明ビーム104の入射角を制御することができる。
【0051】
ステージアセンブリ118は、本件技術分野で既知ないずれのサンプルステージアーキテクチャを有していてもよい。例えば、ステージアセンブリ118に、これに限られるものではないがリニアステージを具備させることができる。また例えば、ステージアセンブリ118に、これに限られるものではないが回動ステージを具備させることができる。更に、サンプル114は、これに限られるものではないが半導体ウェハをはじめウェハを含むそれとすることができる。
【0052】
更に、検出器108が、サンプル114から受光された照明を計測するのに適し本件技術分野で既知ないずれの光検出器を有していてもよいことに、注意されたい。検出器108の例としては、これに限られるものではないがCCD型検出器、TDI型検出器、光電子増倍管(PMT)、アバランシェフォトダイオード(APD)等がある。また、実施形態によっては、検出器108を、サンプル114に発する輻射の波長を識別するのに適する分光型検出器を有するものに、することができる。更に、これに限られるものではないが1個又は複数個のレンズ、1個又は複数個のフィルタ、1個又は複数個の偏光子、1個又は複数個のビームブロック又は1個又は複数個のビームスプリッタをはじめ、対物レンズ116により集光された照明を差し向け及び/又は修正する複数個の光学素子を、その集光路120に具備させることができる。
【0053】
また、実施形態に係るコントローラ130は1個又は複数個のプロセッサ142を有している。また、実施形態に係る1個又は複数個のプロセッサ142は、メモリ144又は記憶媒体内に保持されている一組のプログラム命令を実行するよう、構成されている。更に、そのコントローラ130に1個又は複数個のモジュールを具備させ、メモリ144内に格納されている1個又は複数個のプログラム命令をそのモジュールに取り込み、当該1個又は複数個のプロセッサ142によりそのプログラム命令を実行することができる。コントローラ130に備わる1個又は複数個のプロセッサ142は、本件技術分野で既知ないずれの処理素子を有するものでもよい。その意味で、当該1個又は複数個のプロセッサ142は、アルゴリズム及び/又は命令を実行するよう構成されたあらゆるマイクロプロセッサ型デバイスを包含しうるものである。実施形態に係る1個又は複数個のプロセッサ142は、プログラムを実行するよう構成されたデスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、並列プロセッサその他の任意なコンピュータシステム(例.ネットワーク接続されたコンピュータ)で構成することができ、また本件開示の随所に記載の如く本システム100を稼働させるようそのプログラムを構成することができる。同じく認識頂けるように、語「プロセッサ」は、非一時的メモリ144からもたらされるプログラム命令を実行する処理素子を1個又は複数個有するデバイス全てが包括されるよう、広く定義することができる。
【0054】
ここでご認識頂けるように、本件開示の随所に記載の諸ステップはコントローラ130により実行することができる。更に、コントローラ130を単一部材で形成することも複数部材で形成することもできる。更に、コントローラ130の構成部材複数個を共通ハウジング内に収容しても或いは複数個のハウジング内に収容してもよいことに、注意されたい。この要領で任意のコントローラ又は任意の組合せのコントローラを別途パッケージングし、全体システム100への組み込みに適したモジュールにすることができる。
【0055】
メモリ144は、連携する1個又は複数個のプロセッサ142により実行可能なプログラム命令を格納しておくのに適し本件技術分野で既知な、いずれの格納媒体を有していてもよい。例えば、メモリ144が非一時的記憶媒体を有していてもよい。メモリ144の別例としては、これに限られるものではないがリードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気又は光記憶デバイス(例.ディスク)、磁気テープ、固体ドラライブ等がある。更に、メモリ144を1個又は複数個のプロセッサ142と共に共通コントローラハウジング内に収容しうることに、注意されたい。実施形態によれば、メモリ144を、1個又は複数個のプロセッサ142及びコントローラ130の物理的位置に対しリモートに配置することができる。例えば、ネットワーク(例.インターネット、イントラネット等)を介しアクセス可能なリモートメモリ(例.サーバ)に、コントローラ130に備わる1個又は複数個のプロセッサ142がアクセスするようにしてもよい。従って、上掲の記述は本発明に対する限定として解すべきではなく、単なる例証として解すべきである。
【0056】
翻って図2に示すように、実施形態に係る分散素子132は動的に構成可能なものである。この構成によれば、分散素子132の動作(例.分散値、特定波長の光の出射角等)を構成及び/又は指定することができる。例えば、その分散値が異なる一群の回折性光学素子(例.その直線分散値が異なる一群の回折格子等)を並進アセンブリ(図示せず)に実装することで、ハイパースペクトルイメージングサブシステム106の分散値を動的に修正することができる。その並進アセンブリは、ハイパースペクトルイメージングサブシステム106の分散素子132を構成するのに適し本件技術分野で既知な、いずれの種類の並進アセンブリであってもよい。例えば、その並進アセンブリを、これに限られるものではないが回動アセンブリ又はリニアトランスレータを有するものとすることができる。更に、その並進アセンブリを、手動式並進アセンブリ、動力式並進アセンブリ等を有するものとすることができる。
【0057】
また、実施形態によっては、動的に生成された分散素子132(例.音響光変調器、電気光変調器等)の分散を動的に修正することができる。例えば、トランスデューサの変調周波数を動的に調整することで、分散素子132からのスペクトル分散サンプル輻射122の経路を修正することができる。
【0058】
図6は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るハイパースペクトル計量の方法600にて実行される諸ステップを描いたフロー図である。出願人の見るところによれば、システム100の文脈に沿い上述した諸実施形態及びその実現テクノロジについては、方法600に敷衍しうるものと解されるべきである。とはいえ、本方法600がシステム100のアーキテクチャに限定されないことにも注意されたい。
【0059】
実施形態に係る方法600は、一組の集光光学系によりサンプルから照明を集光するステップ602を有している。例えば、1個又は複数個の集光光学系により、サンプルからの照明(例.サンプル輻射122)であり多様な散乱角を有するもの(例.サンプルにより散乱、反射及び/又は回折された照明源からの照明)を集光することができる。更に、サンプルにより集光された照明の角度分布を(例.瞳面、後焦点面、回折面等における)照明の空間的分布として体現させることができる。
【0060】
また、実施形態に係る方法600は、集光された照明を分散素子によりスペクトル分散させるステップ604を有している。例えば、分散素子を瞳面に配置するとよい。ひいては、その分散素子により、集光された照明のスペクトルコンテンツに従い瞳面をスペクトル分散することができる。
【0061】
また、実施形態に係る方法600は、集束素子からなるレンズアレイ上に瞳面像を生成するステップ606を有している。例えば、集光されスペクトル分散された照明同士を結合することで、そのレンズアレイ上に瞳面像を形成させることができる。
【0062】
また、実施形態に係る方法600は、集光された照明をアレイ状パターンの態で分布させるステップ608を有している。例えば、レンズアレイにより、集束素子の分布に従い瞳面(例.そのレンズアレイ上の瞳面像)を複数セグメントに分割することができる。ひいては、そのレンズアレイの各集束素子により瞳面の一部分を集光、分布させることで、集光された照明により(例.検出器その他の光学素子等の上に)アレイ状パターンを形成させることができる。また、実施形態ではそのアレイパターンがスペクトル分散される。例えば、各スペクトル部分(例.サンプル輻射122の波長)をアレイパターンに関連付けること、並びに複数個のスペクトル部分に対応するアレイパターンを空間的にずらすことができる。この構成によれば、サンプル輻射122に係る多様な波長に亘り、瞳面に係る照明を検出器により同時捕捉することができる。また、実施形態によっては、そのアレイパターンの各構成要素(例.所与スペクトル部分に係るアレイパターン)を、瞳面の一部分のスケーリング像を含むものとすることができる。更に、瞳面に係る照明(例.瞳面等)の像複数枚を同時捕捉することができる。
【0063】
本願記載の主題は、ときに、他部材内に組み込まれ又は他部材に接続・連結された様々な部材を以て描出されている。ご理解頂けるように、それら描写されているアーキテクチャは単なる例示であり、実のところは、他の多くのアーキテクチャを実施し同じ機能を実現することが可能である。概念的には、どのような部材配置であれ同じ機能が実現されるなら、その部材配置は、実質的に「連携」することで所望機能を実現しているのである。従って、本願中のいずれの二部材であれ、ある特定の機能を実現すべく組み合わされているものは、所望機能が実現されるよう互いに「連携」していると見なせるのであり、アーキテクチャや介在部材の如何は問われない。同様に、いずれの二部材であれそのように連携しているものは所望機能を実現すべく互いに「接続・連結され」又は「結合され」ているとも見ることができ、またいずれの二部材であれそのように連携させうるものは所望機能を実現すべく互いに「結合可能」であるとも見ることができる。結合可能、の具体例としては、これに限られるものではないが、物理的に相互作用可能な及び/又は物理的に相互作用する諸部材、及び/又は無線的に相互作用可能な及び/又は無線的に相互作用する諸部材、及び/又は論理的に相互作用する及び/又は論理的に相互作用可能な諸部材等がある。
【0064】
思うに、本件開示及びそれに付随する数多くの長所については上掲の記述から理解頂けるであろうし、開示されている主題から離隔することなく或いはその主要な長所全てを損なうことなく諸部材の形態、構成及び配置に様々な改変を施せることも明らかであろう。上述の形態は単なる説明用のものであり、後掲の特許請求の範囲の意図はそうした改変を包括、包含することにある。更に、ご理解頂けるように、本件開示は別項の特許請求の範囲によって定義されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6