特許第6935440号(P6935440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6935440
(24)【登録日】2021年8月27日
(45)【発行日】2021年9月15日
(54)【発明の名称】端子付き電線およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/18 20060101AFI20210906BHJP
   H01R 4/62 20060101ALI20210906BHJP
   H01R 43/048 20060101ALI20210906BHJP
【FI】
   H01R4/18 A
   H01R4/62 A
   H01R43/048 Z
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-39834(P2019-39834)
(22)【出願日】2019年3月5日
(65)【公開番号】特開2020-145048(P2020-145048A)
(43)【公開日】2020年9月10日
【審査請求日】2020年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】河中 裕文
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏和
(72)【発明者】
【氏名】生沼 良樹
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−8610(JP,A)
【文献】 特開2018−170160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/18
H01R 4/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆導線と端子とが接続される端子付き電線であって、
前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、
前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、
前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し、
少なくとも前記被覆圧着部の底部において、前記被覆圧着部と前記被覆部とを接着する両面テープが配置され、
少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位が樹脂部材で覆われていて、
前記両面テープは、液体が浸透可能な基材と、前記基材の両面に配置される粘着層とを有し、前記樹脂部材の一部が前記基材に浸透して硬化していることを特徴とする端子付き電線。
【請求項2】
前記両面テープは、前記被覆圧着部に配置される前記被覆部から前記バレル間部に配置される前記導線にまたがるように配置されることを特徴とする請求項1記載の端子付き電線。
【請求項3】
前記両面テープの厚さは0.1mm〜0.3mmであり、前記両面テープが前記導線を覆う長手方向の長さが0.5mm以上であり、前記被覆部の先端から前記導線圧着部までの長さ以下であり、前記両面テープが前記被覆部を覆う長手方向の長さが0.5mm以上であり、前記被覆圧着部の後端から前記バレル間部までの前記被覆部の長さ以下であることを特徴とする請求項2に記載の端子付き電線。
【請求項4】
前記両面テープは、前記バレル間部の側壁高さ近傍の高さまで配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の端子付き電線。
【請求項5】
前記樹脂部材は、紫外線硬化性、湿気硬化性または嫌気硬化性の少なくとも1種以上の硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の端子付き電線。
【請求項6】
前記樹脂部材は、−40℃における引張破断伸びが100%以上であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の端子付き電線。
【請求項7】
前記両面テープの、端子及び被覆部への粘着力が、それぞれ8.0N/20mm以上であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の端子付き電線。
【請求項8】
被覆導線と端子とが接続される端子付き電線の製造方法であって、
前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、
前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、
前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し、
少なくとも、前記被覆圧着部の底部、または前記被覆導線の前記被覆部であって、前記被覆圧着部に配置される部位に、両面テープを配置し、
前記導線を前記導線圧着部で圧着するとともに、前記被覆部を前記被覆圧着部で圧着し、
少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位に樹脂部材を塗布し、
前記両面テープは、液体が浸透可能な基材と、前記基材の両面に配置される粘着層とを有し、
塗布時の前記樹脂部材の粘度が、300〜3000mPa・sであり、前記樹脂部材の一部を前記基材に浸透させることを特徴とする端子付き電線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等に用いられる端子付き電線およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車、OA機器、家電製品等の分野では、電力線や信号線として、電気導電性に優れた銅系材料からなる電線が使用されている。特に、自動車分野においては、車両の高性能化、高機能化が急速に進められており、車載される各種電気機器や制御機器が増加している。したがって、これに伴い、使用される端子付き電線も増加する傾向にある。
【0003】
一方、環境問題が注目される中、自動車の軽量化が要求されている。したがって、ワイヤハーネスの使用量増加に伴う重量増加が問題となる。このため、従来使用されている銅線に代えて、軽量なアルミニウム電線が注目されている。
【0004】
ここで、このような電線同士を接続する際や機器類等の接続部においては、接続用端子が用いられる。しかし、アルミニウム電線を用いた端子付き電線であっても、接続部の信頼性等のため、端子部には、電気特性に優れる銅が使用される場合がある。このような場合には、アルミニウム電線と銅製の端子とが接合されて使用される。
【0005】
しかし、異種金属を接触させると、標準電極電位の違いから、いわゆる電食が発生する恐れがある。特に、アルミニウムと銅との標準電極電位差は大きいため、接触部への水の飛散や結露等の影響により、電気的に卑であるアルミニウム側の腐食が進行する。このため、接続部における電線と端子との接続状態が不安定となり、接触抵抗の増加や線径の減少による電気抵抗の増大、更には断線が生じて電装部品の誤動作、機能停止に至る恐れがある。
【0006】
このため、電線と端子との接続部を樹脂部材で被覆する方法が提案されている。例えば、被覆圧着部と導線圧着部との間に露出する導線等に樹脂部材を塗布して被覆した端子付き電線が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017−102998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図8は、従来の端子付き電線の部分断面図である。通常、被覆導線111の先端近傍は、被覆部115が除去されて内部の導線103が露出する。露出した導線103は導線圧着部107で圧着され、被覆部115は、被覆圧着部109で圧着される。被覆圧着部109と導線圧着部107の間のバレル間部108には、導線103の一部が露出するため、バレル間部108から導線圧着部107は、樹脂部材117で被覆される。
【0009】
しかし、被覆部115の端部と導線103の露出部の境界部において、外径の変化に伴う微小な隙間(図中X)が生じやすい。十分な防食性を確保するためには、この隙間Xへも樹脂部材117を浸透させて硬化させる必要がある。しかし、この隙間Xに樹脂部材117を浸透することができたとしても、当該部位において樹脂部材117の厚みを確保することができない。
【0010】
一方、このような端子付き電線を自動車などに用いる際に、例えば、端子付き電線の一端側が高温のエンジンルーム内に内の機器と接続され、他端がエンジンルーム外の相対的に低温な部位の機器に接続される場合がある。すなわち、端子付き電線の両端で温度差が生じる場合がある。
【0011】
このような端子付き電線の両端部近傍で温度差が生じると、被覆導線111の内部において、温度差に起因する圧力差が生じる場合がある。例えば、高温側では空気の膨張によって圧力が増加し、低温側では相対的に圧力が低い状態となる。このため、被覆導線111に圧力差が生じた状態で、例えばエンジンルーム内で端子近傍に水分が付着すると、被覆圧着部109の後方から、被覆圧着部109と被覆部115との隙間を端子内部に水分(水分を含む空気)が吸い込まれて、隙間Xへ浸入する恐れがある。このため、水分によって、導線103等の腐食の恐れがある。
【0012】
また、隙間Xが樹脂部材117によって完全に埋められていれば、水分が導線103や導線圧着部107と直接接触することは防止することはできるが、前述したように、隙間Xの樹脂部材117の厚みは薄く、水分との接触による酸化などにより樹脂部材117が劣化し、止水性が低下する恐れがある。
【0013】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、被覆圧着部における止水性を確保することが可能な端子付き電線およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した目的を達するために第1の発明は、被覆導線と端子とが接続される端子付き電線であって、前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し、少なくとも前記被覆圧着部の底部において、前記被覆圧着部と前記被覆部とを接着する両面テープが配置され、少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位が樹脂部材で覆われていて、前記両面テープは、液体が浸透可能な基材と、前記基材の両面に配置される粘着層とを有し、前記樹脂部材の一部が前記基材に浸透して硬化していることを特徴とする端子付き電線である。
【0015】
前記両面テープは、前記被覆圧着部に配置される前記被覆部から前記バレル間部に配置される前記導線にまたがるように配置されてもよい。
【0016】
この場合、前記両面テープの厚さは0.1mm〜0.3mmであり、前記両面テープが前記導線を覆う長手方向の長さが0.5mm以上であり、前記被覆部の先端から前記導線圧着部までの長さ以下であり、前記両面テープが前記被覆部を覆う長手方向の長さが0.5mm以上であり、前記被覆圧着部の後端から前記バレル間部までの前記被覆部の長さ以下であることが望ましい。
【0017】
前記両面テープは、前記バレル間部の側壁高さ近傍の高さまで配置されてもよい。
【0019】
前記樹脂部材は、紫外線硬化性、湿気硬化性または嫌気硬化性の少なくとも1種以上の硬化性樹脂であることが望ましい。
【0020】
前記樹脂部材は、−40℃における引張破断伸びが100%以上であることが望ましい。
【0021】
前記両面テープの、端子及び被覆部への粘着力が、それぞれ8.0N/20mm以上であることが望ましい。
【0022】
第1の発明によれば、少なくとも被覆圧着部の底部に両面テープが配置されており、被覆圧着部と被覆部とが接着される。このため、被覆圧着部と被覆部との間に隙間が形成されることを抑制することができ、少なくとも被覆圧着部の底部において、被覆圧着部と被覆部との間から水分が浸入することを抑制することができる。このため、前述した被覆部先端近傍の微小な隙間への水分の浸入が抑制され、当該部位における樹脂部材の劣化や、当該部位からの導線への水分の付着を抑制することができる。
【0023】
また、両面テープが、被覆圧着部からバレル間部において被覆部から露出する導線にまたがるように配置されることで、両面テープによる接着長さが長くなり、前述した被覆部先端近傍の微小な隙間への水分の浸入をより確実に抑制することができる。
【0024】
この場合、両面テープの厚さを0.1mm〜0.3mmとすることで、シール性を確保しつつ、圧着性の悪化を抑制することができる。また、この際、両面テープが導線を覆う長手方向の長さを0.5mm以上で被覆部の先端から導線圧着部までの長さ以下とすることで、シール性を確保しつつ、両面テープが導線圧着部にはみ出して、導線と端子との導通の妨げとなることを抑制することができる。さらに、両面テープが被覆部を覆う長手方向の長さを0.5mm以上で被覆圧着部の後端からバレル間部までの被覆部の長さ以下とすることで、シール性を確保しつつ、両面テープが被覆圧着部の後方からはみ出すことを抑制することができる。
【0025】
また、両面テープを、バレル間部の側壁高さ近傍の高さまで配置することで、概ね被覆部の下半周部分において、被覆圧着部と被覆部とを接着し、水分の浸入を抑制することができる。
【0026】
また、両面テープが、液体が浸透可能な基材と、基材の両面に配置される粘着層とを有すれば、樹脂部材を塗布した際に、その一部を基材に浸透させて硬化させることができる。このようにすることで、塗布した樹脂部材と両面テープとが一体化し、両面テープと樹脂部材との隙間を水分が浸透することを抑制することができる。
【0027】
このような、樹脂部材としては、紫外線硬化性、湿気硬化性または嫌気硬化性の少なくとも1種以上の樹脂を選択することで、確実に樹脂部材を硬化させることができる。
【0028】
また、樹脂部材の−40℃での伸び率が100%以上であれば、低温においても樹脂部材に割れ等が生じにくく、自動車等に要求される耐サーマルショック性を確保することが可能である。
【0029】
また、両面テープの、端子及び被覆部への粘着力が、それぞれ8.0N/20mm以上であれば、両面テープと各部とを確実に接着して水分の浸入を抑制することができる。
【0030】
第2の発明は、被覆導線と端子とが接続される端子付き電線の製造方法であって、前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し、少なくとも、前記被覆圧着部の底部、または前記被覆導線の前記被覆部であって、前記被覆圧着部に配置される部位に、両面テープを配置し、前記導線を前記導線圧着部で圧着するとともに、前記被覆部を前記被覆圧着部で圧着し、少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位に樹脂部材を塗布し、前記両面テープは、液体が浸透可能な基材と、前記基材の両面に配置される粘着層とを有し、塗布時の前記樹脂部材の粘度が、300〜3000mPa・sであり、前記樹脂部材の一部を前記基材に浸透させることを特徴とする端子付き電線の製造方法である。
【0032】
第2の発明によれば、高い防食性能を確保することが可能な端子付き電線を容易に製造することができる。
【0033】
この際、両面テープが、液体が浸透可能な基材と、基材の両面に配置される粘着層とを有し、樹脂部材の粘度が、300〜3000mPa・sであれば、樹脂部材を塗布した際に、その一部を基材に浸透させて硬化させることができる。このため、塗布した樹脂部材と両面テープとを一体化し、両面テープと樹脂部材との隙間を水分が浸入することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、被覆圧着部における止水性を確保することが可能な端子付き電線およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】端子付き電線10を示す斜視図。
図2】(a)は端子付き電線10を示す断面図、(b)は(a)のA−A線断面図。
図3】両面テープ19の構成を示す図。
図4】圧着前の端子1と被覆導線11を示す図。
図5】端子付き電線10aを示す断面図。
図6】(a)は端子付き電線10bを示す断面図、(b)は(a)のB−B線断面図。
図7】(a)は端子付き電線10cを示す断面図、(b)は(a)のC−C線断面図。
図8】従来の端子付き電線の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、端子付き電線10を示す斜視図であり、図2(a)は断面図である。なお、図1は、樹脂部材17を透視した図である。端子付き電線10は、端子1と被覆導線11が接続されて構成される。
【0037】
被覆導線11は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である導線13と、導線13を被覆する被覆部15からなる。すなわち、被覆導線11は、被覆部15と、その先端から露出する導線13とを具備する。導線13は、例えば、複数の素線が撚り合わせられた撚り線である。
【0038】
端子1は、オープンバレル型であり、銅または銅合金製である。端子1には被覆導線11が接続される。端子1は、端子本体3と圧着部5とがトランジション部4を介して連結されて構成される。圧着部5と端子本体3の間に位置するトランジション部4は、上方が開口する。
【0039】
端子本体3は、所定の形状の板状素材を、断面が矩形の筒体に形成したものである。端子本体3は、内部に、板状素材を矩形の筒体内に折り込んで形成される弾性接触片を有する。端子本体3は、前端部から雄型端子などが挿入されて接続される。なお、以下の説明では、端子本体3が、雄型端子等の挿入タブ(図示省略)の挿入を許容する雌型端子である例を示すが、本発明において、この端子本体3の細部の形状は特に限定されない。例えば、雌型の端子本体3に代えて例えば雄型端子の挿入タブを設けてもよい。
【0040】
圧着部5は、被覆導線11と圧着される部位であり、圧着前においては、端子1の長手方向に垂直な断面形状が略U字状のバレル形状を有する。端子1の圧着部5は、被覆導線11の先端側に被覆部15から露出する導線13を圧着する導線圧着部7と、被覆導線11の被覆部15を圧着する被覆圧着部9と、導線圧着部7と被覆圧着部9の間のバレル間部8からなる。
【0041】
導線圧着部7の内面の一部には、幅方向(長手方向に垂直な方向)に、図示を省略したセレーションが設けられる。このようにセレーションを形成することで、導線13を圧着した際に、導線13の表面の酸化膜を破壊しやすく、また、導線13との接触面積を増加させることができる。
【0042】
被覆導線11の先端は、被覆部15が剥離され、内部の導線13が露出する。被覆導線11の被覆部15は、端子1の被覆圧着部9によって圧着される。また、被覆部15が剥離されて露出する導線13は、導線圧着部7により圧着される。導線圧着部7において、導線13と端子1とが電気的に接続される。なお、被覆部15の端面は、被覆圧着部9と導線圧着部7の間のバレル間部8に位置する。
【0043】
また、少なくとも、バレル間部8から導線圧着部7までの導線13が露出する部位が樹脂部材17で覆われている。したがって、導線13は、樹脂部材17によって外部に露出しない。なお、樹脂部材17としては、例えば、ウレタンアクリレートなどの紫外線硬化性樹脂、シアノアクリレートなどの湿気硬化性樹脂、アクリロイル基または、メタクリロイル基を持つ樹脂もしくは、両方持つジメタクリレートなどの嫌気硬化性樹脂などが挙げられる。このように、紫外線硬化性、湿気硬化性または嫌気硬化性の少なくとも1種以上の硬化性樹脂であることが望ましい。
【0044】
特に、樹脂部材17が、紫外線硬化性と湿気硬化性の両方の特性を併せ持つことで、紫外線の届きにくい部位においても、大気中や端子等の表面の水分によって、直ちに樹脂部材17を硬化させることができる。さらに、紫外線硬化によるウレタンと金属との水素結合に加えて、湿気硬化部分のシリコン変性アクリレートのアルコキシ基の加水分解物が、端子等の表面にある水酸基と脱水縮合反応を経て強固な共有結合を形成し、金属との接着力向上に大きく寄与させることができる。
【0045】
なお、樹脂部材17には、例えばオリゴマーに使用しているポリオールにソフトセグメントが導入され、硬化後の−40℃での伸び率が、100%以上であることが望ましい。オリゴマーとしてポリエーテル系ウレタンアクリレートを使用する場合は、ポリオールは、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオールを使用することができる。ポリテトラメチレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、芳香族系ジイソシアネートを介して、紫外線に対して反応性を有する不飽和二重結合を有するヒドロキシ化合物を結合させたオリゴマーを使用することが好ましい。
【0046】
なお、使用するオリゴマーは、重量平均分子量が500〜5000のものを使用することが好ましく、2000〜5000のものを使用することが特に好ましい。これにより、低温での伸びを維持することができ、このようにすることで、耐サーマルショック性を確保することができる。
【0047】
図2(b)は、図2(a)のA−A線断面図である。被覆圧着部9の底部には両面テープ19が配置され、被覆圧着部9と被覆導線11の被覆部15とが接着される。両面テープ19は、被覆圧着部9の後方にははみ出さずに、被覆圧着部9の範囲内に配置される。
【0048】
図3は、両面テープ19の構造を示す図である。両面テープ19は、基材19aと、基材19aの両面に設けられた粘着層19bの複層構造であることが望ましい。この場合、両面テープ19の側端面には、基材19aが露出する。なお、両面テープ19は、粘着剤のみで構成されてもよく、他の層を含んでもよい。
【0049】
基材19aとしては、例えば、不織布、ポリエチレン系や、ポリイミド系、アルミニウム箔、ブチルゴムやシリコンゴム、PET、布、ポリエチレン系の発泡体などを用いることができる。なお、両面テープ19の熱収縮率は、被覆部15の熱収縮率よりも小さいことが望ましい。このようにすることで、熱サイクル時に両面テープ19が損傷することを抑制することができる。
【0050】
また、両面テープ19の基材19aは、圧着などにおける形状変化に追従できるように、厚み方向において弾性変形可能な部材であることが望ましい。例えば、被覆部15よりも軟らかい、不織布、ポリエチレン系、ブチルゴムやシリコンゴム、PET、布、ポリエチレン系の発泡体などの材料を用いることが好ましい。このように、両面テープ19が厚み方向に対して弾性変形可能な基材19aを有することで、接着後に、そのクッション性によって、例えば被覆圧着部9のスプリングバックなどが生じても、剥がれにくく、隙間が生じにくい。
【0051】
さらに、両面テープ19の基材19aは、液体が浸透可能であることが望ましい。例えば、基材19aとして、不織布や連続気泡発泡体(例えウレタンフォーム)などのように、内部まで連続した空隙を有する部材を用いることで、硬化前の樹脂部材17を基材19aに浸透させることができる。このため、両面テープ19の側端面に樹脂部材17が接触した際に、樹脂部材17の一部が基材19a内に浸透し、樹脂部材17を硬化させることで、樹脂部材17と両面テープ19とを一体化することができる。このため、樹脂部材17と両面テープ19の端面の境界部において、水分が浸透することを抑制することができる。
【0052】
両面テープ19の厚さは例えば0.1mm〜0.3mmであることが望ましい。両面テープ19の厚さが0.1mm未満では、両面テープ19が薄すぎるため、クッション性を得ることができずシール性が低い。一方、両面テープ19の厚さが0.3mmを超えると、両面テープ19が厚すぎるため、被覆圧着部9を圧着する際に、両面テープ19の厚みによって、被覆圧着部9の電線押さえ部有効長が足りず、上面の押さえが甘くなり、圧着が困難となる。
【0053】
なお、粘着層19bとしては、熱可塑性の粘着剤とすることが好ましく、例えば無溶剤型アクリル系粘着剤を適用することができる。このように、両面テープ19の粘着層19bに熱可塑性の粘着剤を用いることで、高温環境下における被覆部15や被覆圧着部9の応力緩和による変形に追従することができ、止水性の低下を抑制できる。
【0054】
ここで、両面テープ19の、端子1及び被覆部15への粘着力は、それぞれ8.0N/20mm以上であることが望ましい。両面テープ19の粘着力の評価方法としては、まず、端子1を構成する部材として銅板と、被覆部15を構成する部材として、同じ樹脂製の樹脂シートをそれぞれ準備する。20mm幅の両面テープ19の一方の面に銅板および樹脂シートをそれぞれ貼り付け、他方の面に裏打ち材としてPET板を貼り付け、2kgローラーを1往復させて圧着する。圧着時の温度は、23℃/50%RHとする。その後、23℃/50RHで30分保持し、300mm/minの引張速度で180°の角度で剥離を行い、荷重を測定し、それぞれの粘着力とする。なお、両面テープ19の粘着力はこれには限られない。
【0055】
次に、端子付き電線10の製造方法について説明する。まず、図4に示すように、少なくとも、被覆圧着部9の底部に両面テープ19を配置した端子1と、被覆部15の先端部を剥離して導線13を露出させた被覆導線11を準備する。なお、被覆圧着部9の底部に代えて、被覆導線11の被覆部15であって、被覆圧着部9に配置される部位に、両面テープ19を配置してもよい。
【0056】
次に、被覆導線11の導線13を導線圧着部7に配置し、被覆部15を被覆圧着部9に配置する。この際、被覆部15の先端部がバレル間部8に位置する。なお、両面テープ19を被覆導線11に張り付けた場合には、両面テープ19が被覆圧着部9の位置にくるように被覆導線11を圧着部5に配置する。次に、導線13を導線圧着部7で圧着するとともに、被覆部15を被覆圧着部9で圧着し、被覆導線11と端子1とを圧着により接続する。
【0057】
次に、少なくとも、バレル間部8から導線圧着部7までの導線13が露出する部位に樹脂部材17を例えばディスペンサ等で塗布して、硬化させる。以上により、端子付き電線10を得ることができる。
【0058】
なお、塗布時の樹脂部材17の粘度は、300〜3000mPa・sであることが望ましい。樹脂部材17の粘度が高すぎると、導線13に浸透させて、導線13の下部に樹脂部材17を浸透させることが困難となる。一方、樹脂部材17の粘度が低すぎると、塗布した樹脂部材17が流れてしまい、所望の厚みを確保することが困難となる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によれば、少なくとも被覆圧着部9の下部において、被覆部15と被覆圧着部9とが両面テープ19で接着される。このため、被覆部15と被覆圧着部9との間に水分(水分を含む空気)が浸入する隙間が生じることを抑制することができる。このため、水分が被覆部15の先端における微小な隙間に浸入することを抑制し、当該部位における樹脂部材17の劣化や、当該部位から導線13等へ水分が浸入することを抑制し、高い止水性を確保することができる。また、接着剤ではなく両面テープを用いることで、圧着時に端子の外部に接着剤が漏れ出すことがない。
【0060】
また、両面テープ19と被覆部15と被覆圧着部9との粘着力が8.0N/20mm以上であるため、被覆部15と被覆圧着部9との剥がれを抑制し、確実に両者を接着することができる。
【0061】
また、両面テープ19の基材19aがクッション性を有すれば、隙間をより確実に埋めることができとともに、被覆圧着部9のスプリングバックなどの変形にも追従し、被覆部15と被覆圧着部9とを確実に接着することができる。さらに、基材19aに樹脂部材17を浸透させることで、樹脂部材17と両面テープ19とを一体化して、両者の隙間から水分が浸入することを抑制することができる。
【0062】
また、樹脂部材17が、紫外線硬化性、湿気硬化性または嫌気硬化性の少なくとも1種以上の硬化性樹脂であることで、樹脂部材17を塗布した後に確実に硬化させることができる。
【0063】
また、樹脂部材17の−40℃における引張破断伸びが100%以上あるため、熱伸縮がかかる環境下でも樹脂部材17の割れや破損を抑制することができる。
【0064】
次に、第2の実施形態について説明する。図5は、端子付き電線10aを示す断面図である。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同様の機能を奏する構成については、図1図4と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0065】
端子付き電線10aは、端子付き電線10とほぼ同様の構成であるが、両面テープ19の長さが異なる。端子付き電線10aは、両面テープ19が、被覆圧着部9に配置される被覆部15からバレル間部8に配置される導線13にまたがるように配置される。
【0066】
この場合、被覆導線11の長手方向に対する、両面テープ19が被覆部15を覆う長さは、0.5mm以上であって、被覆圧着部9の後端からバレル間部8までの被覆部15の長さ以下(端子のサイズによるが、例えば、上限として30mm以下)であることが望ましい。両面テープ19と被覆部15の接着長さが0.5mm未満では、接着長さが短く、水分の浸入抑制効果が小さい。一方、両面テープ19と被覆部15の接着長さが被覆圧着部9の後端からバレル間部8までの被覆部15の長さを超えると、両面テープ19が被覆圧着部9の後端からはみ出してしまうため望ましくない。
【0067】
また、被覆導線11の長手方向に対する、両面テープ19が導線13を覆う長さは、0.5mm以上であって、被覆部15の先端から導線圧着部7までの長さ(端子のサイズによるが、例えば、上限として10mm以下)であることが望ましい。両面テープ19と導線13の接着長さが0.5mm未満では、接着長さが短く、水分の浸入抑制効果が小さい。一方、両面テープ19と導線13の接着長さが被覆部15の先端から導線圧着部7までの長さを超えると、両面テープ19が導線圧着部7へはみ出してしまい、導線13と導線圧着部7との導通の妨げとなるため望ましくない。
【0068】
なお、本実施形態では、両面テープ19の一部は、導線13とバレル間部8(端子1)とを接着する。このため、本実施形態では、両面テープ19の、導線13(アルミニウム)、端子1(銅)及び被覆部15(樹脂)への粘着力が、それぞれ8.0N/20mm以上であることが望ましい。この場合には、前述した銅板と樹脂シートを用いた評価方法と同様に、アルミニウム板に対しても、粘着力の評価を行えばよい。
【0069】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、両面テープ19の接着長さが長くなり、被覆圧着部9における被覆部15から導線13にわたって端子1と接着されるため、水分の浸入をより確実に抑制することができる。
【0070】
特に、両面テープ19の端面がバレル間部8に位置するため、両面テープ19の端面に樹脂部材17を容易に接触させることができる。このため、前述したように、樹脂部材17の一部を両面テープ19の基材19aに浸透させて、より確実に両者を一体化することができる。
【0071】
次に、第3の実施形態について説明する。図6(a)は、第3の実施形態にかかる端子付き電線10bの縦方向断面図であり、図6(b)は、図6(a)のB−B線断面図である。端子付き電線10bは、端子付き電線10とほぼ同様の構成であるが、被覆圧着部9の周方向に対して、両面テープ19がより広い範囲に配置される点で異なる。
【0072】
より詳細には、端子付き電線10bでは、両面テープ19が、バレル間部8の側壁高さ近傍の高さまで配置され、被覆圧着部9内面の略下半周部分に両面テープ19が配置される。すなわち、被覆圧着部9の下部と側部とが、被覆部15の外周面と両面テープ19によって接着される。
【0073】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、被覆部15と被覆圧着部9の接着面積が広くなるため、より確実に被覆部15と被覆圧着部9とを接着することができる。また、両面テープ19の端面がバレル間部8の側壁高さ近傍に配置されるため、バレル間部8を覆う樹脂部材17と両面テープ19の端面をより確実に接触させ、両者を一体化することができる。
【0074】
なお、両面テープ19は、被覆圧着部9の全周に亘って配置してもよい。但し、被覆圧着部9及びバレル間部8の上側には樹脂部材17が塗布され、十分な厚みが確保されるため、樹脂部材17により止水性を確保することができる。このため、両面テープ19は、被覆導線11(被覆圧着部9)の略下半周部分に配置されればよい。
【0075】
次に、第4の実施形態について説明する。図7(a)は、第3の実施形態にかかる端子付き電線10cの縦方向断面図であり、図7(b)は、図7(a)のC−C線断面図である。端子付き電線10cは、端子付き電線10bとほぼ同様の構成であるが、両面テープ19の長さが異なる。
【0076】
端子付き電線10cは、端子付き電線10aのように、両面テープ19が、被覆圧着部9に配置される被覆部15からバレル間部8に配置される導線13にまたがるように配置される。すなわち、両面テープ19が、周方向において、底部及び側部に配置されるとともに、長手方向に対して、被覆圧着部9の被覆部15からバレル間部8の導線13までの範囲に配置される。このように、両面テープ19の配置面積を広くすることで、より確実に水分の浸入を抑制することができる。
【0077】
また、両面テープ19の端子本体3側の端面と周方向の両側端面の一部が、バレル間部8において樹脂部材17と接触する。特に、両面テープ19の側端面は上方に向いているため、樹脂部材17を塗布した際に、より確実に基材19aへ樹脂部材17を浸透させることができる。このため、両面テープ19と樹脂部材17とをより確実に一体化することができる。
【0078】
第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、被覆部15と被覆圧着部9の接着面積が広くなるとともに、導線13とバレル間部8とを接着することができるため、より確実に被覆部15と被覆圧着部9とを接着することができる。さらに、両面テープ19の側端面がバレル間部8に上方に向けて露出するため、より確実に両者を一体化することができる。
【0079】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0080】
1………端子
3………端子本体
4………トランジション部
5………圧着部
7………導線圧着部
8………バレル間部
9………被覆圧着部
10、10a、10b、10c……端子付き電線
11………被覆導線
13………導線
15………被覆部
17………樹脂部材
19………両面テープ
19a………基材
19b………粘着層
103………導線
107………導線圧着部
108………バレル間部
109………被覆圧着部
111………被覆導線
115………被覆部
117………樹脂部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8