(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発電量を増加させるには、より高い温度、例えば80℃〜100℃程度の高温井水が利用されることが好ましい。これは、水温がこれより低いと発電量が小さく、100℃を超える場合は、井戸や設備へスケールが付着し易く、メンテナンスに手間がかかるからである。また、これまで、温泉を汲み上げる目的のみの場合は比較的小規模なポンプが使用されていたが、発電を主目的とした場合、所定の揚水量がなければ発電装置の採算が合わない。このため、従来(22kw以下)よりも大出力な、大型(30から300kw程度)の水中モータが必要となってきている。
【0006】
従来、比較的小出力の高温用水中モータには、巻き替え修理ができないキャンド構造のモータが使用され、このモータ内部に封入する封入液は、液温が100℃以上になっても沸騰しない油が使用されてきた。しかしながら、大型モータ(本明細書においては、30kw以上300kw以下を大型モータと称する)を使用する場合には、長期間にわたって使用できるように、巻き替え修理が可能な耐水電線方式の水中モータが望ましい。また、モータが大型になればモータの発熱量も増加するから、100℃近くの高温井水を汲み上げる場合、モータの耐熱性が問題になる。このため、100℃近くの高温井水を汲み上げた場合にも耐え得る大型の水中モータが求められている。
【0007】
また、このような大型モータでは、封入液の量が比較的多量になるので、万が一モータ外部に封入液が漏れ出た場合の環境への影響にいっそう配慮する必要がある。
【0008】
本発明は上記問題の少なくとも一つに鑑みてなされたものである。その目的の一つは、80℃から100℃程度の温水を汲み上げるポンプに適したモータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1形態によれば、封入液が封入されるモータが提供される。このモータは、前記封入液を封入し、外部の流体が内部に侵入するのを遮断するように構成されたケーシングと、前記ケーシング内で回転するロータと、前記ケーシング内で、前記ロータの外周側に配置されるステータと、を有する。前記ステータは、導体と、前記導体の外周面を被覆するアミドイミド樹脂エナメルと、前記アミドイミド樹脂エナメルの外周面を被覆するペルフルオロアルコキシフッ素樹脂又は四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体を主成分とする絶縁体と、を有する巻線を有する。
【0010】
第2形態によれば、第1形態のモータにおいて、前記封入液は、97質量%以上の濃度を有するプロピレングリコールである。
【0011】
第3形態によれば、第1又は第2形態のモータにおいて、前記ケーシングの内部空間と連通し、前記封入液を受け入れ可能に構成される収納室と、前記収納室と、前記モータの外部と、を区画するように設けられるダイヤフラムと、前記収納室の空間が小さくなる方向に前記ダイヤフラムを付勢する第1付勢部材と、前記収納室の空間が大きくなる方向に前記ダイヤフラムを付勢する第2付勢部材と、を有する。前記第1付勢部材及び前記第2付勢部材は、常温において互いに釣り合って、前記収納室の体積を所定の体積に維持するように構成される。
【0012】
第4形態によれば、第3形態のモータにおいて、前記ダイヤフラムと共に前記収納室を画定する収納室壁部を有し、前記第2付勢部材は、前記収納室壁部と前記ダイヤフラムとの間に配置され、前記収納室壁部と前記ダイヤフラムとの間に隙間を形成する。
【0013】
第5形態によれば、第1から第4形態のいずれかのモータにおいて、前記巻線は、前記ステータに対して巻き替え可能に構成される。
【0014】
第6形態によれば、ポンプ装置が提供される。このポンプ装置は、第1から第5形態のいずれかのモータと、前記モータの出力軸と接続したポンプと、を有する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本実施形態のポンプ装置の外観を示す図である。本実施形態に係るポンプ装置は、100℃の温水を汲み上げることができるように構成される。
図1に示すように、ポンプ装置500は、封入液が封入されるモータ100と、モータ100に接続された水中ポンプ200とを備える。
【0017】
水中ポンプ200は、モータ100の出力軸110に接続された駆動軸202と、駆動軸202に取り付けられた複数枚の羽根204と、を有している。水中ポンプ200は、
モータ100の出力軸110の回転駆動に伴って駆動軸202及び羽根204が回転し、これによって水を汲み上げる。
【0018】
次に、本実施形態のモータ100の詳細を説明する。
図2は、本実施形態のモータ100の断面を示す図である。モータ100は、温泉水などの高温の液体を揚水するために、高温の液体内に設置される。
図2に示すように、モータ100は、ケーシング101を備える。ケーシング101は、筒状のフレーム102、第1のフレーム側板120、及び第2のフレーム側板130を有する。また、モータ100は、フレーム102内に固定されたステータ(固定子)104、ステータ104の内側に設けられたロータ(回転子)107、及びロータ107に取り付けられた出力軸110を備える。
【0019】
ステータ104は、電磁鋼板を積層して形成されるステータコア105と、ステータコア105に巻かれるステータコイル106(巻線の一例に相当する)と、を有する。ステータコイル106には、ステータコイル106に通電するためのケーブ
ル112が接続されている。ロータ107は、電磁鋼板を積層して形成されるロータコア108と、ロータコア108に
配置される二次導体109と、を有する。本実施形態では、ロータコア108は、出力軸110の軸方向に貫通する図示しないスロットを有し、このスロット内にアルミニウム
合金や銅合金等の導電性材料
が挿入されて
、二次導体109が形成される。モータ100では、ステータコイル106への通電による
回転磁界によって生じる電磁誘導によってロータ107がフレーム102内で回転し、ロータ107の回転に伴って出力軸110も回転する。
【0020】
第1のフレーム側板120は、水中ポンプ200が接続されない側の
フレーム102の端部(反負荷側の端部)を覆って設けられる。具体的には、第1のフレーム側板120は、
フレーム102端部に例えば溶接等により固定され、ボルト184によって反負荷側ブラケット122
が第1のフレーム側板120に固定されている。一方、第2のフレーム側板130は、水中ポンプ200が接続される側の
フレーム102の端部(負荷側の端部)を覆って設けられる。具体的には、第2のフレーム側板130は、
フレーム102端部に例えば溶接等により固定され、ボルト194によって負荷側ブラケット131
が第2のフレーム側板130に固定されている。
【0021】
ケーシング101の内部には、ステータ104及びロータ107等から発生する熱を冷却するため、並びに出力軸110の摺動性を向上させるために、封入液114が封入されている。ケーシング101は、封入液114がモータ100の外部に放出されるのを防止し、且つ外部の流体がケーシング101内部に侵入するのを遮断するように構成される。
【0022】
一般的なキャンドモータの場合、キャンがケーシングに溶接されるので、ステータコイルを交換(巻き替え)することができない。一方で、
図2に示されるように、本実施形態に係るモータ100は、キャンド構造を有さず、ロータ107が配置される空間とステータ104が配置される空間とが一体になっている。したがって、モータ100を長期間使用することによりステータコイル106が継時劣化した場合等には、ステータコイル106をステータコア105から取り外し、新しいステータコイル106に巻き替えることができる。
【0023】
モータ100の反負荷側には、ケーシング101内の圧力変動を吸収するダイヤフラム(圧力変動吸収機構)182が設けられている。ダイヤフラム182は、ケーシング101内の圧力変動に応じて膜を変位させることにより、ケーシング101内とモータ100の外との間の圧力変動を吸収する。ダイヤフラム182は、モータ100の定格、モータ100が設置される地中水の深さ及び温度(例えば、80℃〜100℃など)、及びマージン等を考慮して、所定の体積量(圧力差)を吸収できるものを用いることができる。
【0024】
モータ100の反負荷側には、出力軸110を軸支するためのラジアル軸受188及びスラスト軸受190が設けられている。一方、モータ100の負荷側には
、出力軸110を軸支するためのラジアル軸受198が設けられている。
【0025】
第2のフレーム側板130の中央部には、出力軸110の先端部をモータ100の外部へ突出させるために、出力軸110が貫通可能な貫通孔132が形成されている。出力軸110は、貫通孔132を通ってモータ100の外部へ突出し、水中ポンプ200の駆動軸202(
図1参照)と接続される。
【0026】
貫通孔132には、封入液114が外部に漏れたり、モータ100の外部の水等がモータ100の内部へ侵入したりするのを防止する軸封機構150が設けられている。本実施形態では、軸封機構150として例えばメカニカルシール
、オイルシール、及びサンドスリンガー等を有する。
【0027】
図3は、ステータコア105に巻かれるステータコイル106の一本の巻線の断面図を示す。上述したように、本実施形態に係るポンプ装置500は、100℃の温水を汲み上げることができるように構成される。ここで、温水を汲み上げるとき、ステータコイル106自身の発熱によりその温度が上昇し、その結果、ステータコイル106と接触している封入液114の温度も上昇する。封入液114及びステータコイル106は、汲み上げる液体により冷却される。しかしながら、100℃程度の温水を汲み上げる場合には、比較的高温の温水により封入液114及びステータコイル106が冷却されることになるので、例えば封入液114は約140℃〜150℃程度に、ステータコイル106は約180℃程度にまで加熱され得る。ステータコイルの絶縁被覆材としては、一般的に架橋ポリエチレンが使用されることが知られているが、この耐熱温度は約90℃である。ステータコイル106は封入液114(プロピレングリコール)と接するのでその外面が確実に絶縁される必要があるところ、絶縁被覆材が架橋ポリエチレンの場合には、耐熱性が不十分であり、その絶縁性が阻害される虞がある。
【0028】
このため、本実施形態のステータコイル106では、
図3に示すように、銅線等の導体106aと、導体106aの外周面を被覆するエナメル層106bと、エナメル層106bの外周面を被覆する絶縁体層106cと、を有する。上述したように、本実施形態のポンプ装置500が100℃程度の温水を汲み上げた場合、ステータコイル106は180℃程度まで加熱され得る。このため、本実施形態では、エナメル層106bとして、180℃以上の耐熱温度を有するアミドイミド(AI)樹脂エナメルを用いる。
【0029】
また、絶縁体層106cとして、フッ素樹脂を用いることが考えられる。フッ素樹脂としては、例えば、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)等が知られている。しかしながら、ETFEは、耐熱温度が150℃程度であるので、180℃程度まで加熱され得るステータコイル106には適さない。また、PTFEは、ポーラスを有するので、十分な耐水性を有するには、絶縁体層106cの厚さが4mm程度必要であり、その体積が大きくなりすぎるので、不適である。したがって、本実施形態では、絶縁体層106cとして、耐熱温度が200℃程度のPFA又は耐熱温度が250℃程度のFEPを主成分とする絶縁体を使用する。FEP及びPFAは耐水性の材料である。なお、FEPはPFAよりも一般的に安価であるので、FEPを使用することが望ましい。
【0030】
銅からなる導体106aとフッ素樹脂である絶縁体層106cとの密着性は、一般的に良好ではない。特に、ステータコイル106をステータコア105に巻回したとき、ステ
ータコイル106の湾曲部において微小な隙間(ボイド)が生じやすい。ステータコイル106が高温になると、この隙間において導体106aが腐食(銅害)することがある。本実施形態では、導体106aと絶縁体層106cとの間にアミドイミド樹脂エナメルから成るエナメル層106bを設けることで、絶縁体層106cの密着性を向上し、銅害が生じることを防止することができる。なお、FEPとPFAは滑り性が非常に良好であるので、絶縁体層106cの外周にさらなる外層は無くてよい。
【0031】
次に、ケーシング101に封入する封入液114について説明する。本実施形態では、封入液114として不凍液であるプロピレングリコールが用いられる。プロピレングリコールは水溶性である。このため、万が一、モータ100が破損して封入液114がモータ100の外部に漏れ出たとしても、温水に溶け、油のように液面上に浮遊しない。また、プロピレングリコールは人畜無害であるので、温水と混合しても温水を使用する人体に悪影響を及ぼさない。
【0032】
また、封入液114は、不純物をほぼ含まないプロピレングリコールを利用することが好ましく、具体的には97質量%以上のプロピレングリコールを封入することが好ましい。
図4は、プロピレングリコールの濃度に対する沸点を示すグラフである。上述したように、本実施形態のポンプ装置500が100℃程度の温水を汲み上げた場合、封入液114は、約140℃〜150℃程度まで加熱され得る。このため、本実施形態では、例えば160℃以上の沸点を有するようにプロピレングリコールの濃度を、97質量%以上に設定する。これにより、ポンプ装置500が100℃程度の温水を汲み上げても、封入液114が沸騰することを防止することができる。
【0033】
図5は、プロピレングリコールの濃度に対する粘度を示すグラフである。
図5に示すように、プロピレングリコールは、濃度が高くなると、粘度が高くなることが知られている。粘度が高いプロピレングリコールを封入液114として使用すると、一般的には大きな撹拌ロスが生じる。しかしながら、本実施形態のポンプ装置500のように、比較的高温(80℃〜100℃)の温水を汲み上げる場合には、プロピレングリコールの温度は100℃以上になる。このため、
図5に示されるように、例えば、97質量%の濃度を有するプロピレングリコールであっても、100℃の場合には、約25質量%の濃度を有するプロピレングリコールが20℃の場合とほぼ同等の粘度を有することになる。即ち、本実施形態のポンプ装置500のように比較的高温の温水を汲み上げる場合には、プロピレングリコールの濃度の高さに起因する撹拌ロスは問題にならない。
【0034】
また、本実施形態のモータ100は、上述したように、ステータコイル106を交換(巻き替え)することができるように構成されているので、キャンド構造を有さない。一般的に、キャンは非磁性のステンレス材料で形成される。モータを駆動すると、ステータコイルの回転磁界によりキャンに渦電流が生じ、キャン自体が発熱する。この発熱はモータのロスになり、この渦電流による発熱は、モータが大型になるほど大きくなる。したがって、本実施形態のモータ100は、キャンド構造を有さないので、キャンド構造を有するモータに比べて、ロスが少なく、且つ封入液114の温度を抑制することができる。
図5に示したように、プロピレングリコールの沸点は、濃度が100質量%の場合でも約188℃である。仮にモータ100がキャンド構造である場合には、100℃程度の温水を汲み上げたときに封入液114の温度が188℃を超える可能性がある。したがって、言い換えれば、本実施形態のモータ100がキャンド構造を有さないから、100℃程度の温水を汲み上げる場合であっても封入液114としてプロピレングリコールを使用することができる。
【0035】
次に、モータ100の反負荷側の端部の詳細について説明する。
図6は、モータ100の反負荷側の拡大断面図である。
図6に示すように、モータ100は、
図2に示した反負
荷側ブラケット122に接続される
スラスト受ケース161と、
スラスト受ケース161に接続されるエンドカバー163とを有する。
スラスト受ケース161は、反負荷側ブラケット122に対してボルト162により固定される。また、エンドカバー163は、
スラスト受ケース161に対してボルト164により固定される。
スラスト受ケース161とエンドカバー163により形成される空間に、ダイヤフラム182が配置される。ダイヤフラム182は、この空間をダイヤフラム収納室165と、外部連通室166(即ちモータ100の外部)とを区画するように設けられる。即ち、ダイヤフラム収納室165は、ダイヤフラム182と、
スラスト受ケース161とによって画定される。ダイヤフラム収納室165は、
スラスト受ケース161に設けられた連通孔167を通じて、
図2に示したケーシング101の内部空間と流体連通する。したがって、ダイヤフラム収納室165は、封入液114を収容するように構成されている。
【0036】
モータ100はさらに、外部連通室166内に配置された第1付勢部材168と、ダイヤフラム収納室165内に配置された第2付勢部材169と、を有する。本実施形態では、第1付勢部材168及び第2付勢部材169としてコイルバネが示されているが、これに限らず、板バネや皿バネ等の任意の付勢部材を使用することができる。第1付勢部材168と第2付勢部材169は、それぞれの付勢力が互いに対向し且つ互いに略平行になるように設けられる。具体的には、第1付勢部材168は、ダイヤフラム収納室165の空間が小さくなる方向にダイヤフラム182を付勢する。第2付勢部材169は、
スラスト受ケース161の端面171と
ダイヤフラム収納室165に配置されるダイヤフラム保護板170との間に配置され、ダイヤフラム収納室165の空間が大きくなる方向にダイヤフラム182を付勢する。
【0037】
ダイヤフラム182
のダイヤフラム収納室165側には、板状のダイヤフラム
保護板170が設けられる。ダイヤフラム
保護板170は、
スラスト受ケース161の端面171(収納室壁部の一例に相当する)と対向するように配置される。第1付勢部材168は、
ダイヤフラム収納室165の方向にダイヤフラム182を付勢する。その結果、ダイヤフラム182を介してダイヤフラム
保護板17
0をスラスト受ケース161の端面171方向に付勢
する。第2付勢部材169はダイヤフラム
保護板17
0を第1付勢部材168とは逆方向に付勢する。第1付勢部材168と第2付勢部材169は、常温において
、ダイヤフラム保護板170を介して互いに釣り合い、ダイヤフラム収納室165の体積を所定の体積に維持するように構成される。具体的には、第1付勢部材168と第2付勢部材169とが
ダイヤフラム保護板170を介して釣り合うことにより、ダイヤフラム
保護板170が端面171から所定距離離間して保持される。なお、本明細書における常温とは、ポンプ装置500が井戸等の温水内に浸漬されていない、陸上に配置されたときの雰囲気温度をいい、例えば15℃〜25℃程度をいう。
【0038】
上述したように、本実施形態では、封入液114として97質量%以上の濃度のプロピレングリコールが使用される。このような高濃度のプロピレングリコールは、常温では粘度が高いので、封入液114をケーシング101内に封入するとき、エアが混入しやすい。このようにエアが混入した封入液114を含むモータ100を井戸に沈めていくと、揚水の圧力によってエア部分が圧縮されつつ、ダイヤフラム182は、ケーシング101内の体積を縮小するように、ダイヤフラム収納室165の体積が小さくなる方向に移動する。
【0039】
モータ100が第2付勢部材169を有さない場合を検討する。
図7は、モータ100が第2付勢部材169を有さない場合のダイヤフラム182の挙動の例を示す断面図である。この場合、ダイヤフラム182及びダイヤフラム
保護板170は、第1付勢部材168により端面171と接触するように付勢される。このため、上述したようにモータ100を井戸に沈めて揚水の圧力を受けると、ダイヤフラム
保護板170はそれ以上移動でき
ず、
図7に示すようにダイヤフラム182の折り返し部分がダイヤフラム収納室165に向かって移動する。これにより、ダイヤフラム182の折り返し部分が噛み込むように移動し、ダイヤフラムの正常な機能が損なわれる虞がある。
【0040】
本実施形態のモータ100は、上述したように、第2付勢部材169を有し、第1付勢部材168と第2付勢部材169が常温において互いに釣り合い、ダイヤフラム収納室165の体積を所定の体積に維持するように構成される。これにより、モータ100を井戸に沈めて揚水の圧力を受けたとき、ダイヤフラム
保護板170が第2付勢部材169によって付勢されている分だけ、ダイヤフラム182が移動できるスペースが確保される。したがって、ダイヤフラム182がダイヤフラム収納室165の体積が小さくなる方向に移動することができ、
図7に示したようなダイヤフラム182の噛み込みを防止することができる。
【0041】
以上で説明したように、本実施形態に係るモータ100は、ステータコイル106を構成する導体106aをFEP又はPFAを主成分とする絶縁体層106cで被覆する。これにより、80℃から100℃程度の高温井水を汲み上げる場合でも、ステータコイル106の絶縁性を維持することができる。また、ステータコイル106は、導体106aと絶縁体層106cとの間にはアミドイミド樹脂エナメルから成るエナメル層106bを有するので、導体106aと絶縁体層106cとを良好に密着させることができる。
【0042】
また、本実施形態に係るモータ100は、封入液114としてプロピレングリコールを使用する。これにより、万が一、モータ100が破損して封入液114がモータ100の外部に漏れ出たとしても、温水に溶け、油のように液面上に浮遊しない。また、プロピレングリコールは人畜無害であるので、温水と混合しても温水を使用する人体に悪影響を及ぼさない。さらに、プロピレングリコールの濃度が97質量%以上であるので、ポンプ装置500が100℃程度の温水を汲み上げても、封入液114が沸騰することを防止することができる。
【0043】
本実施形態に係るモータ100は、第2付勢部材169を有し、ダイヤフラム収納室165の体積が所定の体積に維持される。これにより、ダイヤフラム
保護板170が第2付勢部材169によって付勢されている分だけ、ダイヤフラム182が移動できるスペースが確保される。したがって、高濃度(高粘度)のプロピレングリコールを封入液114として使用していても、モータ100を井戸に沈めて揚水の圧力を受けたとき、ダイヤフラム182がダイヤフラム収納室165の体積が小さくなる方向に移動することができ、
図7に示したようなダイヤフラム182の噛み込みを防止することができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。