(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
<一実施形態>
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
本実施形態に係る基板処理装置は、半導体装置の製造工程で用いられるもので、処理対象となる基板を複数枚(例えば5枚)ずつ纏めて処理を行う縦型基板処理装置として構成されている。
処理対象となる基板としては、例えば、半導体集積回路装置(半導体デバイス)が作り込まれる半導体ウエハ基板(以下、単に「ウエハ」という。)が挙げられる。なお、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
また、ウエハに対して基板処理装置が行う処理としては、例えば、酸化処理、拡散処理、イオン打ち込み後のキャリア活性化や平坦化のためのリフローやアニール、成膜処理等がある。本実施形態では、特に成膜処理を行う場合を例に挙げる。
【0010】
以下、基板処理装置の構成を、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1および
図2は、本実施形態に係る基板処理装置の概略構成例を模式的に示す側断面図である。
図3は、本実施形態に係る基板処理装置の要部構成例を示す拡大図である。
図4は、本実施形態に係る基板処理装置が有するコントローラの構成例を模式的に示すブロック図である。
【0011】
(全体構成)
図1に示すように、本実施形態に係る基板処理装置は、縦型処理炉1を備えている。
縦型処理炉1は、後述する反応管20を均一に加熱するために、加熱部(加熱機構、加熱系)としてのヒータ10を備える。ヒータ10は、円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより基板処理装置の設置床に対して垂直に据え付けられている。
ヒータ10の内側には、ヒータ10と同心円状に、反応容器(処理容器)を構成する反応管20が配設されている。反応管20は、例えば石英(SiO
2)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、内管(インナーチューブ)21と外管(アウターチューブ)22とを有する二重管構造の円筒形状に形成されている。
反応管20の下方には、基板移載用のロードロック室を構成する下部チャンバ(ロードロックチャンバ)30が配設されている。下部チャンバ30は、例えばステンレス(SUS)等の金属材料により構成され、上端が開口し下端が閉塞した円筒形状に形成されている。
そして、反応管20および下部チャンバ30によって形成される空間内には、処理対象となるウエハ(基板)を支持するための基板支持部40が、当該空間内を上下方向に移動可能に配されている。
【0012】
(反応管)
反応管20は、内管21と、その外側に配された外管22と、を有している。外管22は、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成され、下端側が下部チャンバ30のフランジ部31に支持されている。内管21は、上端が外管22の上端近傍まで延びて開口し、下端が下部チャンバ30に連なるように開口した円筒形状に形成され、外管22と同様に下端側が下部チャンバ30のフランジ部31に支持されている。このように、内管21および外管22が下部チャンバ30のフランジ部31に支持されることで、反応管20は、垂直に据え付けられた状態となる。
【0013】
内管21の内側(すなわち、中空筒の内部)には、ウエハを処理する処理室23が形成されている。処理室23は、後述する基板支持部40のボート41によって支持されるウエハを、水平姿勢で鉛直方向に多段に配列した状態で、収容可能に構成されている。
処理室23内には、処理室23の下部領域から上部領域まで延在するノズル24が設けられている。ノズル24には、ボート41に支持されるウエハと対向する位置に、ノズル24の延伸方向に沿って並ぶ複数のガス供給孔24aが設けられている。これにより、ノズル24のガス供給孔24aからは、ウエハに対してガスが供給されることになる。
【0014】
内管21の外側で、かつ、外管22の内側には、ガスが流れる排気流路25が形成されている。排気流路25は、外管22の上端と内管21の上端との隙間を通じて処理室23からガスが流れ込み、流れ込んだガスが内管21の外側と外管22の内側との間の空間を下方に向けて流れるように構成されている。
【0015】
外管22の下部には、その外管22の周りを取り囲むように、ガスの滞留空間である排気バッファとしてのポンピング部26が形成されている。ポンピング部26は、内管21と外管22との間に形成された排気流路25と連通し、その排気流路25からのガスを受け取って一時的に滞留するとともに、滞留したガスを後述する排気管61に排出するように構成されている。また、ポンピング部26は、外管22の周りに設けられるヒータ10よりも下方に配されている。
【0016】
内管21の下部には、ポンピング部26と対向する位置に開口27が設けられている。開口27は、内管21の下部のポンピング部26が配置される位置の周りの複数個所に設けられ、内管21の内側からポンピング部26にガスを排出し得るように構成されている。内管21の下部に設けられることで、開口27は、下部チャンバ30に近接する位置に配されることになり、その下部チャンバ30に供給されたガスについてもポンピング部26に排出し得るようになっている。
【0017】
(ガス供給部)
内管21の内側に配されたノズル24には、ガス供給ラインとしてのガス供給管51が、内管21および外管22を貫通するように接続されている。ガス供給管51には、少なくとも2本のガス供給管52,54が接続されてており、処理室23内へ複数種類のガスを供給することができるように構成されている。
【0018】
ガス供給管52の流路上には、上流方向から順に、流量制御器であるマスフローコントローラ(MFC)52aおよび開閉弁であるバルブ52bが設けられている。バルブ52bよりも下流側では、不活性ガスを供給するガス供給管53がガス供給管52に接続されている。ガス供給管53には、上流方向から順に、MFC53aおよびバルブ53bが設けられている。主に、ガス供給管52、MFC52a、バルブ52bにより、第1の処理ガス供給系である第1処理ガス供給部が構成される。
【0019】
また、ガス供給管54の流路上には、上流方向から順に、MFC54aおよびバルブ54bが設けられている。バルブ54bよりも下流側では、不活性ガスを供給するガス供給管55がガス供給管54に接続されている。ガス供給管55には、上流方向から順に、MFC55aおよびバルブ55bが設けられている。主に、ガス供給管54、MFC54a、バルブ54bにより、第2の処理ガス供給系である第2処理ガス供給部が構成される。
【0020】
ガス供給管52からは、第1の処理ガスとして、第1の金属元素を含む原料ガス(第1の金属含有ガス、第1の原料ガス)が、MFC52a、バルブ52b、ガス供給管51、ノズル24を介して処理室23内に供給される。原料としては、例えば第1の金属元素としてのチタン(Ti)を含み、ハロゲン系原料(ハロゲン化物、ハロゲン系チタン原料とも称する。)としての四塩化チタン(TiCl
4)が用いられる。
【0021】
ガス供給管54からは、第2の処理ガスとして、反応ガスが、MFC54a、バルブ54b、ガス供給管51、ノズル24を介して処理室23内に供給される。反応ガスとしては、例えば窒素(N)を含むN含有ガスとしての例えばアンモニア(NH
3)ガスを用いることができる。NH
3ガスは、窒化・還元剤(窒化・還元ガス)として作用する。
【0022】
ガス供給管53,55からは、不活性ガスとして、例えば窒素(N
2)ガスが、それぞれMFC53a,55a、バルブ53b,55b、ガス供給管51、ノズル24を介して処理室23内に供給される。なお、以下、不活性ガスとしてN
2ガスを用いる例について説明するが、不活性ガスとしては、N
2ガス以外に、例えば、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、キセノン(Xe)ガス等の希ガスを用いてもよい。
【0023】
主に、ガス供給管51,52,54、MFC52a,54a、バルブ52b,54b、ノズル24により処理ガス供給系が構成されるが、ノズル24のみを処理ガス供給系と考えてもよい。処理ガス供給系を、単に、ガス供給系と称することもできる。ガス供給管52から原料ガスを流す場合、主に、ガス供給管52、MFC52a、バルブ52bにより原料ガス供給系が構成されるが、ガス供給管51,ノズル24を原料ガス供給系に含めて考えてもよい。また、原料ガス供給系を原料供給系と称することもできる。原料ガスとして金属含有原料ガスを用いる場合、原料ガス供給系を金属含有原料ガス供給系と称することもできる。ガス供給管54から反応ガスを流す場合、主に、ガス供給管54、MFC54a、バルブ54bにより反応ガス供給系が構成されるが、ノズル24を反応ガス供給系に含めて考えてもよい。ガス供給管54から反応ガスとして窒素含有ガスを供給する場合、反応ガス供給系を窒素含有ガス供給系と称することもできる。また、主に、ガス供給管53,55、MFC53a,55a、バルブ53b,55bにより第1の不活性ガス供給系が構成される。第1の不活性ガス供給系を、パージガス供給系、希釈ガス供給系、或いは、キャリアガス供給系と称することもできる。
【0024】
(ガス排気部)
ポンピング部26には、そのポンピング部26に滞留するガスを排気する排気管61が接続されている。排気管61には、上流側から順に、処理室23内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ62、APC(Auto Pressure Controller)バルブ63、真空排気装置としての真空ポンプ64が接続されている。APCバルブ63は、真空ポンプ64を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室23内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、さらに、真空ポンプ64を作動させた状態で弁開度を調節することで、処理室23内の圧力を調整することができる。排気管61、APCバルブ63および圧力センサ62により、排気系すなわち排気ラインが構成される。なお、真空ポンプ64を排気系に含めて考えてもよい。
【0025】
(下部チャンバ)
下部チャンバ30は、その上端に反応管20を支持するフランジ部31を有している。フランジ部31が反応管20を支持することで、下部チャンバ30は、反応管20の下方に配されることになる。また、下部チャンバ30は、反応管20の内管21に連なる(すなわち、内管21と略同径の)無蓋有底の円筒形状に構成されており、これにより内管21内の処理室23の下方に閉塞空間を形成するようになっている。
【0026】
下部チャンバ30の上端近傍には、基板搬入搬出口32が設けられている。基板搬入搬出口32は、図示せぬ搬送ロボットにより、下部チャンバ30の内外でのウエハの出し入れを可能とするように構成されている。これにより、下部チャンバ30における閉塞空間は、基板搬入搬出口32を介して、後述する基板支持部40のボート41にウエハを移載するための移載室33として機能するようになっている。
【0027】
また、下部チャンバ30の下方部には、不活性ガス供給管56が接続されている。不活性ガス供給管56の流路上には、上流方向から順に、MFC56aおよびバルブ56bが設けられている。主に、不活性ガス供給管56、MFC56a、バルブ56bにより、第2の不活性ガス供給系である不活性ガス供給部が構成される。
不活性ガス供給管56からは、不活性ガスとして、例えばN
2ガスが下部チャンバ30内に供給される。下部チャンバ30に供給された不活性ガスは、内管21の下部に設けられた開口27、および、外管22の下部を取り囲むポンピング部26を通じて、下部チャンバ30内から排気され得るようになっている。なお、以下、不活性ガスとしてN
2ガスを用いる例について説明するが、不活性ガスとしては、N
2ガス以外に、例えば、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。
【0028】
(基板支持部)
基板支持部40は、反応管20および下部チャンバ30によって形成される空間内、すなわち内管21内の処理室23および下部チャンバ30内の移載室33を移動可能に配されるもので、ウエハを支持する基板支持具としてのボート41と、その下方に配された断熱部42と、を有している。
【0029】
基板支持具としてのボート41は、複数のプレート41aが多段に設けられており、そのプレート41aによって複数枚(例えば、5枚)のウエハを、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で、鉛直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート41は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料によって形成されている。
【0030】
ボート41の下方に配設された断熱部42は、上下方向の熱の伝導または伝達が小さくなるような構造を有しており、内部に空洞部を有して構成されている。具体的には、断熱部42は、空洞部内に例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱板が水平姿勢で多段に支持されており、このような構成によりヒータ10からの熱が下部チャンバ30の側に伝わり難くなっている。ただし、このような構成に限定されることはなく、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱筒によって、断熱部42を構成することも可能である。
【0031】
断熱部42の下端を構成する表面(すなわち、下面)には、その断熱部42における空洞部と下部チャンバ30における移載室33とを連通させる連通口42aが例えば複数個所に設けられている。連通口42aを有することで、断熱部42における空洞部は、下部チャンバ30に供給された不活性ガスによってパージされ得る。また、連通口42aを有することで、断熱部42は、空洞部内を移載室33と同じ圧力にすることができ、これにより断熱部42の上下方向の厚さを薄くすることができる。
【0032】
また、断熱部42の下面には、その断熱部42を下方から支持する支持ロッド43が配設されている。支持ロッド43は、移載室33の機密状態を維持しつつ、その下部チャンバ30の底部を貫通するように配されており、下部チャンバ30の外方において昇降機構部(ボートエレベータ)44に連結されている。
【0033】
昇降機構部44は、ボート41、断熱部42および支持ロッド43を昇降させるように動作するものである。昇降機構部44の動作によって、基板支持部40は、内管21内の処理室23および下部チャンバ30内の移載室33を上下方向に移動することが可能となる。
具体的には、例えば、昇降機構部44が上昇動作を行うと、
図1に示すように、少なくともボート41が処理室23に位置し、これによりボート41に支持されたウエハに対して処理室23での処理を行うことが可能になる。
また、例えば、昇降機構部44が下降動作を行うと、
図2に示すように、ボート41が下部チャンバ30の移載室33内まで下がり、これにより基板搬入搬出口32を介してボート41に対するウエハの移載を行うことが可能になる。
なお、昇降機構部44は、ウエハを支持するボート41を回転させる回転機構としての機能を有したものであってもよい。
【0034】
(ガス流路)
ところで、上述した構成の基板支持部40において、断熱部42は、内管21および下部チャンバ30の水平断面形状に対応する水平断面形状を有している。「対応する水平断面形状」としては、例えば、相似形の水平断面形状が挙げられる。したがって、内管21および下部チャンバ30が円筒形状であれば、断熱部42は、内管21および下部チャンバ30よりも小径の円形断面形状を有することになる。
【0035】
それぞれが対応する水平断面形状を有する場合、例えば、ボート41が処理室23に位置するときに、断熱部42の側壁と内管21の内壁との間には、全周にわたって所定の距離(例えば、5mm〜8mm程度)の隙間が形成される。このような隙間が存在していると、その隙間には、内管21内の処理室23と下部チャンバ30内の移載室33との圧力差に応じて、ガスが流れることになる。つまり、基板支持部40は、断熱部42の側壁と内管21の内壁との間の隙間に、処理室23と移載室33とを連通させるガス流路45を形成するように構成されているのである。
【0036】
ガス流路45は、以下に述べる位置関係を有するように構成されている。
【0037】
具体的には、
図3に示すように、ガス流路45の形成幅である断熱部42の側壁と内管21の内壁との距離(以下「第1の距離」という。)L1は、支持ロッド43と下部チャンバ30の内壁との距離(以下「第2の距離」という。)L2よりも、短く構成されている。つまり、第1の距離L1<第2の距離L2となっている。なお、第2の距離L2によって規定される下部チャンバ30内の空間は、下方の不活性ガス供給管51から供給される不活性ガスのバッファ空間となる。
【0038】
また、ガス流路45の形成長である断熱部42の上端から下端までの距離(以下「第3の距離」という。)L3は、ボート41が有する複数のプレート41aのうちの下端のプレート41aから断熱部42の上端までの距離(以下「第4の距離」という。)L4よりも、長く構成されている。つまり、第3の距離L3>第4の距離L4となっている。このように、ガス流路45の形成長として、ある程度の距離を確保すれば、そのガス流路45内における不活性ガスの濃度勾配を設けることが実現可能となる。具体的には、例えば、ガス流路45内の上方側における不活性ガスの濃度を低く、下方側における不活性ガスの濃度を高くして、処理室23内の下方側における処理ガスの濃度の希釈を防ぐといったことが考えられる。
【0039】
(コントローラ)
本実施形態に係る基板処理装置は、その基板処理装置における各部の動作を制御する制御部としてのコントローラ70を有している。
【0040】
図4に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ70は、演算部としてのCPU(Central Processing Unit)71、一時記憶部としてのRAM(Random Access Memory)72、大容量記憶部としての記憶装置73、I/Oポート74を備えたコンピュータとして構成されている。RAM72、記憶装置73、I/Oポート74は、内部バス75を介して、CPU71とデータ交換可能なように構成されている。また、コントローラ70は、例えば、外部記憶装置81、タッチパネル等の入出力装置82が接続可能に構成されている。
【0041】
記憶装置73は、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置73内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラム、後述する半導体装置の製造方法の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する半導体装置の製造方法における各工程(各ステップ)をコントローラ70に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピ、制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、プロセスレシピおよび制御プログラムの組み合わせを含む場合がある。RAM72は、CPU71によって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0042】
I/Oポート74は、MFC52a〜56a、バルブ52b〜56b、圧力センサ62、APCバルブ63、真空ポンプ64、ヒータ10、昇降機構部44等に接続されている。
【0043】
CPU71は、記憶装置73から制御プログラムを読み出して実行するとともに、入出力装置82からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置73からレシピ等を読み出すように構成されている。そして、CPU71は、読み出したレシピの内容に沿うように、I/Oポート74を介して、MFC52a〜56aによる各種ガスの流量調整動作、バルブ52b〜56bの開閉動作、APCバルブ63の開閉動作およびAPCバルブ63による圧力センサ62に基づく圧力調整動作、ヒータ10の温度調整動作、真空ポンプ64の起動および停止、昇降機構部44によるボート41の昇降動作、ボート41へのウエハの収容動作等を制御するように構成されている。
【0044】
以上のようなコントローラ70は、専用のコンピュータとして構成してもよいし、汎用のコンピュータとして構成してもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ(USB Flash Drive)やメモリカード等の半導体メモリ)81を用意し、外部記憶装置81を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすることにより、本実施形態に係るコントローラ70を構成することができる。また、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置81を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用いてもよいし、上位装置から受信部を介して情報を受信し、外部記憶装置81を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。
【0045】
コントローラ70における記憶装置73およびコントローラ70に接続可能な外部記憶装置81は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置73単体のみを含む場合、外部記憶装置81単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0046】
(2)基板処理工程(成膜工程)
次に、上述した構成の基板処理装置において、半導体装置の製造工程の一工程として実行する基板処理工程を、
図5を用いて説明する。ここでは、基板処理工程として、金属膜の一例である窒化チタン(TiN)層をウエハ上に形成する工程(成膜工程)を例に挙げる。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ70により制御される。
【0047】
(ウエハチャージ:S110)
成膜処理に際しては、先ず、被処理物となるウエハをボート41に装填(ウエハチャージ)する。具体的には、移載室33内において、ボート41のプレート41aを基板搬入搬出口32の対向位置に配置し、その状態で、基板搬入搬出口32を通じて、ボート41のプレート41a上にウエハを載置する。これを、昇降機構部44によってボート41の上下方向位置を移動させつつ、そのボート41における複数のプレート41aのそれぞれに対して行う。これにより、ボート41には、複数枚(例えば、5枚)のウエハが装填される。
【0048】
(ボートロード:S120)
ボート41にウエハを装填したら、続いて、そのボート41を昇降機構部44によって上昇させる。これにより、ボート41に装填された各ウエハは、処理室23内に搬入(ボートロード)される。
【0049】
(圧力調整および温度調整:S130)
ウエハの処理室23内への搬入後は、処理室23内が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ64を作動させる。この際、処理室23内の圧力は、圧力センサ62で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ63がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ64は、少なくともウエハに対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室23内が所望の温度となるように、ヒータ10による加熱を行う。この際、処理室23内が所望の温度分布となるように、温度センサが検出した温度情報に基づき、ヒータ10への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ10による処理室23内の加熱は、少なくともウエハに対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0050】
(TiN層形成工程:S140)
処理室23内の雰囲気が安定したら、次いで、成膜工程としてのTiN層形成工程(S140)に移る。TiN層形成工程(S140)では、TiCl
4ガスを供給する工程(S141)、残留ガスを除去する工程(S142)、NH
3ガスを供給する工程(S143)、および、残留ガスを除去する工程(S144)の各ステップを順に行う。
【0051】
(TiCl
4ガス供給:S141)
具体的には、処理室23内の雰囲気が安定した後、バルブ52bを開き、ガス供給管52およびガス供給管51に原料ガスであるTiCl
4ガスを流す。TiCl
4ガスは、MFC52aにより流量調整され、ノズル24のガス供給孔24aから処理室23内に供給され、排気流路25およびポンピング部26を経て排気管61から排気される。これにより、ボート41に装填されたウエハに対してTiCl
4ガスが供給されることとなる。また、TiCl
4ガスの供給に合わせて、バルブ53bを開き、ガス供給管53内にN
2ガス等の不活性ガスを流す。ガス供給管53内を流れたN
2ガスは、MFC53aにより流量調整され、TiCl
4ガスと一緒に処理室23内に供給され、排気管61から排気される。
【0052】
このとき、APCバルブ63を調整して、処理室23内の圧力を、例えば0.1〜6650Paの範囲内の圧力とする。MFC52aで制御するTiCl
4ガスの供給流量は、例えば0.1〜2slmの範囲内の流量とする。MFC53aで制御するN
2ガスの供給流量は、それぞれ例えば0.1〜30slmの範囲内の流量とする。TiCl
4ガスをウエハに対して供給する時間は、例えば0.01〜20秒の範囲内の時間とする。また、ヒータ10は、ウエハの温度が、例えば250〜550℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。
【0053】
このように、処理室23内にTiCl
4ガスおよびN
2ガスを供給すると、ボート41に装填されたウエハ(表面の下地膜)上には、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚さのTi含有層が形成される。
【0054】
また、このとき、移載室33内に対しても、N
2ガス等の不活性ガスの供給を行う。具体的には、バルブ56bを開き、不活性ガス供給管51内にN
2ガス等の不活性ガスを流す。不活性ガス供給管51内を流れたN
2ガスは、MFC56aにより流量調整され、移載室33内に供給される。移載室33内へのN
2ガスの供給は、処理室23内のガス圧力<移載室33内のガス圧力となるように行うものとする。また、処理室23内に供給されるガスの合計流量<移載室33内に供給されるガス流量となるように行うものとする。
【0055】
このようにしてN
2ガスが供給される移載室33では、上述したように第1の距離L1<第2の距離L2となっていることから、第2の距離L2によって規定される下部チャンバ30内の空間が、N
2ガスのバッファ空間として機能することになる。また、このとき、断熱部42の下面に連通口42aが設けられているので、移載室33にN
2ガスが供給されると、そのN
2ガスによって断熱部42の空洞部内もパージされて、移載室33と同じ圧力になる。これにより、連通口42aがない場合に比べると、断熱部42の上下方向の厚さを薄くすることができる。
【0056】
移載室33に供給されたN
2ガスは、断熱部42の側壁と内管21の内壁との間に形成されるガス流路45に流れ込む。ただし、処理室23内のガス圧力<移載室33内のガス圧力となっているとともに、内管21の下部にはポンピング部26と対向する位置に開口27が設けられている。したがって、ガス流路45に流れ込んだN
2ガスは、開口27を通じてポンピング部26に排出され、処理室23の側に回り込むことが抑制される。
【0057】
また、ガス流路45は、上述したように第3の距離L3>第4の距離L4となっている。そのため、ガス流路45にN
2ガスが流れ込んだ場合であっても、そのガス流路45内において、N
2ガスの濃度勾配を設けることが可能である。具体的には、例えば、ガス流路45内の上方側におけるN
2ガスの濃度を低く、下方側におけるN
2ガスの濃度を高くすることで、処理室23内にN
2ガスが入り込み、これにより処理室23内のTiCl
4ガスが希釈されることを抑制する。
【0058】
開口27を通じてポンピング部26に排出されたN
2ガスは、排気流路25からポンピング部26に流れ込んだTiCl
4ガスおよびN
2ガスとともに、排気管61から排気される。このように、処理室23および移載室33からのガス排気にあたり、一旦ポンピング部26を介するようにすれば、排気動作の安定化を図ることができる。また、ポンピング部26がヒータ10の下端よりも下方に配されていれば、ヒータ10の均熱領域を容易かつ適切に確保することができる。
【0059】
(残留ガス除去:S142)
ウエハ上にTi含有層を形成した後は、バルブ52bを閉じ、TiCl
4ガスの供給を停止する。このとき、排気管61のAPCバルブ63は開いたままとして、真空ポンプ64により処理室23内を真空排気し、処理室23内に残留する未反応もしくはTi含有層形成に寄与した後のTiCl
4ガスを処理室23内から排除する。また、バルブ53bは開いたままとして、N
2ガスの処理室23内への供給を維持する。N
2ガスはパージガスとして作用し、処理室23内に残留する未反応もしくはTi含有層形成に寄与した後のTiCl
4ガスを処理室23内から排除する効果を高めることができる。
【0060】
(NH
3ガス供給:S143)
処理室23内の残留ガスを除去した後は、バルブ54bを開き、ガス供給管54およびガス供給管51に反応ガスとしてN含有ガスであるNH
3ガスを流す。NH
3ガスは、MFC54aにより流量調整され、ノズル24のガス供給孔24aから処理室23内に供給され、排気流路25およびポンピング部26を経て排気管61から排気される。これにより、ボート41に装填されたウエハに対してNH
3ガスが供給されることとなる。このとき、バルブ55bは閉じた状態として、N
2ガスがNH
3ガスと一緒に処理室23内に供給されないようにする。すなわち、NH
3ガスは、N
2ガスで希釈されることなく、処理室23内に供給され、排気管61から排気される。このように、反応ガス(NH
3ガス)を、N
2ガスで希釈することなく、処理室23内へ供給すれば、TiN層の成膜レートを向上させることが可能である。
【0061】
NH
3ガスを流すときは、APCバルブ63を調整して、処理室23内の圧力を、例えば0.1〜6650Paの範囲内の圧力とする。MFC54aで制御するNH
3ガスの供給流量は、例えば0.1〜20slmの範囲内の流量とする。NH
3ガスをウエハに対して供給する時間は、例えば0.01〜30秒の範囲内の時間とする。また、ヒータ10は、TiCl
4ガス供給工程と同様の温度に設定する。
【0062】
このように、処理室23内にNH
3ガスを供給すると、NH
3ガスは、TiCl
4ガス供給工程でウエハ上に形成されたTi含有層の少なくとも一部と置換反応する。この置換反応により、Ti含有層に含まれるTiとNH
3ガスに含まれるNとが結合して、ボート41に装填されたウエハ上に、TiとNとを含むTiN層が形成されることになる。
【0063】
また、このときも、上述したTiCl
4ガス供給工程(S141)の場合と同様に、移載室33内に対して、N
2ガス等の不活性ガスの供給を行う。具体的な処理はTiCl
4ガス供給工程(S141)の場合と同様なので、ここでの説明を省略する。
【0064】
(残留ガス除去:S144)
ウエハ上にTiN層を形成した後は、バルブ54bを閉じて、NH
3ガスの供給を停止する。そして、上述した残留ガス除去工程の場合と同様の処理手順により、処理室23内に残留する未反応もしくはTiN層の形成に寄与した後のNH
3ガスや反応副生成物を、処理室23内から排除する。
【0065】
(実施回数確認:S150)
以上に述べたTiN層形成工程(S140)における各工程(S141〜S144)を順に行うサイクルが終了すると、その都度、そのサイクルを予め設定された回数(所定回数)実施したか否かを判断する。そして、所定回数実施するまで、そのサイクルを繰り返し実施する(S141〜S144)。上述のサイクルを繰り返す回数は、例えば10〜80回程が好ましく、より好ましくは10〜15回程行う。そして、上述のサイクルを所定回数繰り返すことにより、ウエハ0上には、所定の厚さ(例えば0.1〜2nm)のTiN層が形成される。
【0066】
(アフターパージ:S160)
上述のサイクルを所定回数繰り返した後は、ガス供給管53,55のそれぞれからN
2ガスを処理室23内へ供給し、排気管61から排気する。N
2ガスはパージガスとして作用し、これにより処理室23内が不活性ガスでパージされ、処理室23内に残留するガスや副生成物が処理室23内から除去される。
【0067】
(大気圧復帰:S170)
処理室23内をパージした後は、処理室23内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室23内の圧力が常圧に復帰される。
【0068】
(ボートアンロード:S180)
その後は、上述したボートロード工程(S120)とは逆の手順で、昇降機構部44によってボート41を下降させて、そのボート41に装填された各ウエハを処理室23内から搬出(ボートアンロード)する。
【0069】
(ウエハディスチャージ:S190)
そして、ボート41をアンロードしたら、上述したウエハチャージ工程(S110)とは逆の手順で、処理済ウエハをボート41から取り出し、基板搬入搬出口32を通じて下部チャンバ30の外部に搬出する。
【0070】
このようにして、複数枚(例えば、5枚)のウエハのそれぞれに対して、TiN層を形成する成膜工程が完了することになる。
【0071】
(3)本実施形態の効果
本実施形態によれば、以下に示す一つまたは複数の効果を奏する。
【0072】
(a)本実施形態において、反応管20の内管21とこれに連なる下部チャンバ30とによって形成される閉塞空間内には、内管21の側に処理室23が、下部チャンバ30の側にウエハの移載室33が、それぞれ形成されている。そして、その閉塞空間内を移動可能に配された基板支持部40は、ボート41が処理室23に位置するときに、断熱部42の側壁と内管21の内壁との間の隙間にガス流路45を形成するように構成されている。そのため、断熱部42によって処理室23と移載室33とが画定されるとともに、その断熱部42が形成するガス流路45によって処理室23と移載室33との間のガスの流れが制限されることになる。
これにより、基板支持部40の移動を阻害することなく、ボート41が処理室23に位置するときには、その処理室23内の雰囲気を処理ガス環境にすることができ、しかもそのために従来構成の縦型基板処理装置が備えていた処理室封止用の蓋体(シールキャップ)を必要とすることもない。したがって、シールキャップの開閉動作を要することなく、処理室23内の雰囲気を処理ガス環境にすることができるので、その処理室23内でのウエハに対する処理の効率化が図れる。
【0073】
また、本実施形態においては、ボート41を昇降させて処理室23に位置させる縦型の基板処理装置によってウエハに対する処理を行うので、ボート41に装填された複数枚(例えば、5枚)のウエハに対して一度に処理を行うことができ、この点でもウエハに対する処理の効率化が図れる。
【0074】
つまり、本実施形態によれば、縦型の基板処理装置において、ウエハに対する処理を効率的に行うことができる。
【0075】
(b)本実施形態において、断熱部42の側壁と内管21の内壁との間の第1の距離L1は、支持ロッド43と下部チャンバ30の内壁との間の第2の距離L2よりも、短く構成されている。そのため、移載室33に不活性ガスを供給する際に、第2の距離L2によって規定される下部チャンバ30内の空間が、不活性ガスのバッファ空間となる。つまり、不活性ガスは、バッファ空間に滞留し、これよりも狭いガス流路45への流れ込みが制限される。したがって、処理ガスの希釈によるTiN層の成膜レート低下を抑制でき、処理室23内でのウエハに対する処理の効率化を図る上で好ましいものとなる。
【0076】
(c)本実施形態において、断熱部42の上端から下端までの距離である第3の距離L3は、ボート41が有する複数のプレート41aのうちの下端のプレート41aから断熱部42の上端までの距離である第4の距離L4よりも、長く構成されている。このように、ガス流路45の形成長として、ある程度の距離を確保すれば、そのガス流路45内における不活性ガスの濃度勾配を設けることが実現可能となる。具体的には、例えば、ガス流路45内の上方側における不活性ガスの濃度を低く、下方側における不活性ガスの濃度を高くして、処理室23内の下方側における処理ガスの濃度が希釈されることを抑制できる。したがって、処理ガスの希釈によるTiN層の成膜レート低下を抑制でき、処理室23内でのウエハに対する処理の効率化を図る上で好ましいものとなる。
【0077】
(d)本実施形態において、外管22の下部には、その外管22の周りを取り囲むように、内管21と外管22との間の空間に形成された排気流路25と連通するガス滞留空間であるポンピング部26が形成されている。そのため、排気管61から排気されるガスがポンピング部26に一時的に滞留することになるので、処理室23および移載室33からのガス排気にあたり、その排気動作の安定化を図ることができる。したがって、排気動作の安定化に伴って処理ガスの供給動作も安定するので、処理室23内でのウエハに対する処理の効率化を図る上で好ましいものとなる。
【0078】
(e)本実施形態において、内管21の下部には、ポンピング部26と対向する位置に開口27が設けられている。そのため、ガス流路45に流れ込むガスが開口27を通じてポンピング部26に排出されることになり、下部チャンバ30からの不活性ガスのガス流路45への流れ込みを確実に制限することができる。したがって、処理ガスの希釈によるTiN層の成膜レート低下を抑制でき、処理室23内でのウエハに対する処理の効率化を図る上で好ましいものとなる。
【0079】
(f)本実施形態において、ポンピング部26は、ヒータ10よりも下方に配されている。このように、ポンピング部26がヒータ10の下端よりも下方に配されていれば、ヒータ10の均熱領域を容易かつ適切に確保することができる。したがって、処理室23内でのウエハに対する処理の効率化を図る上で好ましいものとなる。
【0080】
(g)本実施形態において、開口27は、断熱部42の側壁と対向するとともに、下部チャンバ30に近接する位置に配されている。このように、下部チャンバ30に近接する位置に開口27が配されていれば、下部チャンバ30に供給された不活性ガスが開口27を通じて排出されるので、ガス流路45への不活性ガスの流れ込みを確実に制限することができる。したがって、処理ガスの希釈によるTiN層の成膜レート低下を抑制でき、処理室23内でのウエハに対する処理の効率化を図る上で好ましいものとなる。
【0081】
(h)本実施形態において、断熱部42内には空洞部が設けられており、断熱部42の下端には、その断熱部42における空洞部と下部チャンバ30における移載室33とを連通させる連通口42aが設けられている。そのため、断熱部42は、空洞部が不活性ガスによってパージされて、移載室33と同じ圧力になり、これにより、連通口42aがない場合に比べると、断熱部42の上下方向の厚さを薄くすることができる。
【0082】
<他の実施形態>
以上に、本開示の一実施形態を具体的に説明したが、本開示が上述の実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【0083】
上述した実施形態では、反応管を内管と外管とで構成する二重管構造の例を示したが、本開示がこれに限定されることはない。すなわち、反応管は、処理室を形成するものであり、かつ、その内壁と断熱部の側壁との間にガス流路を形成するものであれば、二重管構造に限られるものではなく、例えば外管だけで構成してもよい。
【0084】
また、上述した実施形態では、反応管の下側に下部チャンバを配設する例を示したが、本開示がこれに限定されることはない。例えば、反応管を横型に構成し、反応管の隣にチャンバ(下部チャンバ)を配設してもよい。また、縦型装置であっても、反応管の上部にチャンバ(下部チャンバ)を配設してもよい。つまり、基板の移載室を形成するチャンバは、反応管に連なるように配されたものであれば、上述した下部チャンバに限られるものではない。
【0085】
また、上述した実施形態では、半導体装置の製造工程の一工程である基板処理工程において、第1の処理ガス(第1の金属含有ガス、原料ガス)としてTiCl
4ガスを用い、第2の処理ガス(反応ガス)としてNH
3ガスを用い、これらを交互に供給することによって、ウエハ上にTiN膜を形成する場合を例に挙げたが、本開示がこれに限定されることはない。すなわち、成膜処理に用いる処理ガスは、TiCl
4ガスやNH
3ガス等に限られることはなく、他の種類のガスを用いて他の種類の薄膜を形成しても構わない。さらには、3種類以上の処理ガスを用いる場合であっても、これらを交互に供給して成膜処理を行うのであれば、本開示を適用することが可能である。具体的には、第一元素としては、Tiではなく、例えばSi、Zr、Hf等、種々の元素であってもよい。また、第二元素としては、Nではなく、例えばO等であってもよい。
【0086】
また、上述した実施形態では、基板処理工程として、主に、ウエハ表面への金属膜形成を行う場合を例に挙げたが、本開示がこれに限定されることはない。すなわち、本開示は、上述した実施形態で例に挙げた薄膜形成の他に、上述した実施形態で例示した薄膜以外の成膜処理にも適用できる。また、基板処理の具体的内容は不問であり、成膜処理だけでなく、熱処理(アニール処理)、プラズマ処理、拡散処理、酸化処理、窒化処理、リソグラフィ処理等の他の基板処理を行う場合にも適用できる。
【0087】
<本開示の好ましい態様>
以下に、本開示の好ましい態様について付記する。
【0088】
[付記1]
本開示の一態様によれば、
基板を処理する処理室を形成する反応管と、
前記反応管に連なるように配され、前記基板の移載室を形成するチャンバと、
前記基板を支持する基板支持具と、前記基板支持具と前記チャンバとの間に配された断熱部と、を有して、前記処理室および前記移載室を移動可能に配された基板支持部と、を備え、
前記基板支持具が前記処理室に位置するときに、前記断熱部の側壁と前記反応管の内壁との間の隙間に、前記処理室と前記移載室とを連通させるガス流路を形成するように構成されている
基板処理装置が提供される。
【0089】
[付記2]
好ましくは、
前記断熱部を支持する支持ロッドを備えており、
前記断熱部の側壁と前記反応管の内壁との距離は、前記支持ロッドと前記下部チャンバの内壁の距離よりも短く構成されている
付記1に記載の基板処理装置が提供される。
【0090】
[付記3]
好ましくは、
前記基板支持具は、複数のプレートが多段に設けられており、
前記断熱部の上端から下端までの距離は、前記複数のプレートのうちの下端のプレートから前記断熱部の上端までの距離よりも長く構成されている
付記1または2に記載の基板処理装置が提供される。
【0091】
[付記4]
好ましくは、
前記チャンバに不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、
前記反応管の前記チャンバ側に設けられた、前記不活性ガスを排気する開口と、
を備える付記1から3のいずれか1態様に記載の基板処理装置が提供される。
【0092】
[付記5]
好ましくは、
前記反応管内の空間に連通するように前記反応管の前記チャンバ側に設けられた排気バッファ
を備える付記1から4のいずれか1態様に記載の基板処理装置が提供される。
【0093】
[付記6]
好ましくは、
前記排気バッファと対向する位置に、前記チャンバに供給された不活性ガスを排気する開口が設けられる
付記5に記載の基板処理装置が提供される。
【0094】
[付記7]
好ましくは、
前記反応管の周りに設けられる加熱部を備えており、
前記排気バッファは、前記加熱部よりも下方に配されている
付記5または6に記載の基板処理装置が提供される。
【0095】
[付記8]
好ましくは、
前記開口は、前記断熱部の側壁と対向するとともに、前記チャンバに近接する位置に配されている
付記4に記載の基板処理装置が提供される。
【0096】
[付記9]
好ましくは、
前記断熱部内には、空洞部が設けられており、
前記断熱部の端には、前記空洞部と前記移載室とを連通させる連通口が設けられている
付記1から8のいずれか1態様に記載の基板処理装置が提供される。
【0097】
[付記10]
本開示の他の一態様によれば、
基板を処理する処理室を形成する反応管と、
前記内管に連なるように配され、前記基板の移載室を形成するチャンバと、
前記基板を支持する基板支持具と、前記基板支持具と前記チャンバとの間に配された断熱部と、を有して、前記処理室および前記移載室を移動可能に配された基板支持部と、を備える基板処理装置を用いて、
前記基板を支持する基板支持具を前記処理室に搬入する工程と、
前記基板支持具が前記処理室に位置するときに、前記断熱部の側壁と前記反応管の内壁との間の間隙に形成されるガス流路により、前記処理室と前記移載室とを連通させ、前記処理室に搬入された前記基板に対して所定の処理を行う工程と、
処理後の前記基板を支持する基板支持具を前記処理室から搬出する工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0098】
[付記11]
本開示のさらに他の一態様によれば、
基板を処理する処理室を形成する反応管と、
前記内管に連なるように配され、前記基板の移載室を形成するチャンバと、
前記基板を支持する基板支持具と、前記基板支持具と前記チャンバとの間に配された断熱部と、を有して、前記処理室および前記移載室を移動可能に配された基板支持部と、を備える基板処理装置に、
前記基板を支持する基板支持具を前記処理室に搬入するステップと、
前記基板支持具が前記処理室に位置するときに、前記断熱部の側壁と前記反応管の内壁との間の間隙に形成されるガス流路により、前記処理室と前記移載室とを連通させ、前記処理室に搬入された前記基板に対して所定の処理を行うステップと、
処理後の前記基板を支持する基板支持具を前記処理室から搬出するステップと、
をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラムが提供される。
【0099】
[付記12]
本開示のさらに他の一態様によれば、
基板を処理する処理室を形成する反応管と、
前記内管に連なるように配され、前記基板の移載室を形成するチャンバと、
前記基板を支持する基板支持具と、前記基板支持具と前記チャンバとの間に配された断熱部と、を有して、前記処理室および前記移載室を移動可能に配された基板支持部と、を備える基板処理装置に、
前記基板を支持する基板支持具を前記処理室に搬入するステップと、
前記基板支持具が前記処理室に位置するときに、前記断熱部の側壁と前記反応管の内壁との間の間隙に形成されるガス流路により、前記処理室と前記移載室とを連通させ、前記処理室に搬入された前記基板に対して所定の処理を行うステップと、
処理後の前記基板を支持する基板支持具を前記処理室から搬出するステップと、
をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。