【実施例】
【0214】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、高分子化合物において、特別に規定したもの以外は、分子量は質量平均分子量(Mw)であり、繰り返し単位の比率はモル百分率である。また、質量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値として測定した値である。
【0215】
<支持体1の作製>
粗面化処理として、下記(a)〜(e)の処理を施した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施した。
【0216】
(a)アルカリエッチング処理
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質JIS 1052)に、カセイソーダ濃度25質量%、アルミニウムイオン濃度100g/L、温度60℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の後に電気化学的粗面化処理を施す面のエッチング量は、3g/m
2であった。
【0217】
(b)デスマット処理
次いで、温度35℃の硫酸水溶液(濃度300g/L)をスプレー管から5秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
【0218】
(c)電解粗面化処理
その後、1質量%塩酸水溶液に塩化アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lとした電解液(液温35℃)を用い、60Hzの交流電源を用いて、フラットセル型の電解槽を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。交流電源の波形は、正弦波を用いた。電気化学的粗面化処理において、交流のピーク時におけるアルミニウム板のアノード反応時の電流密度は、30A/dm
2であった。アルミニウム板のアノード反応時の電気量総和とカソード反応時の電気量総和との比は0.95であった。電気量はアルミニウム板のアノード時の電気量総和で480C/dm
2とした。電解液はポンプを用いて液を循環させることで、電解槽内の撹拌を行った。
【0219】
(d)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度5g/L、温度35℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の電解粗面化処理を施した面のエッチング量は、0.05g/m
2であった。
【0220】
(e)デスマット処理
硫酸濃度300g/L、アルミニウムイオン濃度5g/L、液温35℃の水溶液をスプレー管から5秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
【0221】
上記粗面化処理を行ったアルミニウム板に対し、22質量%リン酸水溶液を電解液として、処理温度38℃、電流密度15A/dm
2にて陽極酸化処理を実施した。
その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は1.5g/m
2であった。この基板の表面を、電子顕微鏡を用い15万倍撮影して、n=90の平均ポア径を実測すると30nmであった。
【0222】
<支持体2の作製>
厚さ0.19mmのアルミニウム板を40g/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に60℃で8秒間浸漬することにより脱脂し、脱塩水により2秒間洗浄した。次に、アルミニウム板を、15秒間交流を用いて12g/Lの塩酸及び38g/Lの硫酸アルミニウム(18水和物)を含有する水溶液中で、33℃の温度及び130A/dm
2の電流密度で電気化学的粗面化処理を行った。脱塩水により2秒間洗浄した後、アルミニウム板を155g/Lの硫酸水溶液により70℃で4秒間エッチングすることによりデスマット処理し、脱塩水により25℃で2秒間洗浄した。アルミニウム板を13秒間155g/Lの硫酸水溶液中で、45℃の温度及び22A/dm
2の電流密度で陽極酸化処理し、脱塩水で2秒間洗浄した。更に、4g/Lのポリビニルホスホン酸水溶液を用いて40℃で10秒間処理し、脱塩水により20℃で2秒間洗浄し、乾燥して支持体を作製した。得られた支持体は、表面粗さRaが0.21μmで、陽極酸化皮膜量は4g/m
2であった。
【0223】
<支持体3の作製>
厚さ0.3mmの表Aに示す組成のアルミニウム合金板に対し、下記(a)〜(m)の処理を施し、支持体3を作製した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラで液切りを行った。
【0224】
【表1】
【0225】
(a)機械的粗面化処理(ブラシグレイン法)
パミスの懸濁液(比重1.1g/cm
3)を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転する束植ブラシにより機械的粗面化処理を行った。
【0226】
機械的粗面化処理は、研磨材パミスのメジアン径を30μm、束植ブラシの数を4、束植ブラシの回転数を250rpmとして行った。束植ブラシの材質は6・10ナイロンで、ブラシ毛の直径0.3mm、毛長50mmであった。束植ブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛したものである。束植ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。束植ブラシはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、束植ブラシをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して10kWプラスになるまで押さえつけた。束植ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。
【0227】
(b)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。アルミニウム溶解量は、10g/m
2であった。
【0228】
(c)酸性水溶液中でのデスマット処理
次に、硝酸水溶液中でデスマット処理を行った。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、次工程の電気化学的粗面化に用いた硝酸電解液を用いた。液温は35℃であった。デスマット液をスプレーにて吹き付けて3秒間デスマット処理を行った。
【0229】
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。電解液は、温度35℃、硝酸10.4g/Lの水溶液に硝酸アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した電解液を用いた。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm
2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で185C/dm
2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0230】
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度50℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。アルミニウム溶解量は、0.5g/m
2であった。
【0231】
(f)酸性水溶液中でのデスマット処理
次に、硫酸水溶液中でデスマット処理を行った。デスマット処理には、硫酸濃度170g/L、アルミニウムイオン濃度5g/Lの硫酸水溶液を用いた。液温は60℃であった。デスマット液をスプレーにて吹き付けて3秒間デスマット処理を行った。
【0232】
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。電解液は、液温35℃、塩酸6.2g/Lの水溶液に塩化アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した電解液を用いた。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で25A/dm
2であり、塩酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で63C/dm
2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0233】
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度50℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。アルミニウム溶解量は、0.1g/m
2であった。
【0234】
(i)酸性水溶液中でのデスマット処理
次に、硫酸水溶液中でデスマット処理を行った。陽極酸化処理工程で使用する硫酸水溶液(硫酸170g/L水溶液中にアルミニウムイオン5g/Lを含有)を用い、液温35℃で4秒間デスマット処理を行った。デスマット液はスプレーにて吹き付けて3秒間デスマット処理を行った。
【0235】
(j)第1陽極酸化処理
直流電解による陽極酸化装置を用いて第1段階の陽極酸化処理を行った。表Bに示す条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜厚の陽極酸化皮膜を形成した。電解液には、表Bに示す成分を含む水溶液を用いた。表B〜Dにおいて、「成分濃度」は、「液成分」欄に記載の各成分の含有濃度(g/L)を表す。
【0236】
【表2】
【0237】
(k)第2陽極酸化処理
直流電解による陽極酸化装置を用いて第2段階の陽極酸化処理を行った。表Cに示す条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜厚の陽極酸化皮膜を形成した。電解液には、表Cに示す成分を含む水溶液を用いた。
【0238】
【表3】
【0239】
(l)第3陽極酸化処理
直流電解による陽極酸化装置を用いて第3段階の陽極酸化処理を行った。表Dに示す条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜厚の陽極酸化皮膜を形成した。電解液には、表Dに示す成分を含む水溶液を用いた。
【0240】
【表4】
【0241】
(m)親水化処理
非画像部の親水性を確保するため、2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて50℃で7秒間ディップしてシリケート処理を施した。Siの付着量は8.5mg/m
2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0242】
上記で得られたマイクロポアを有する陽極酸化皮膜中の大径孔部の陽極酸化皮膜表面における平均径(表層平均径)、大径孔部の連通位置における平均径(底部平均径)、小径孔部の連通位置における平均径(小径孔部径)、大径孔部および小径孔部の平均深さ、小径孔部の底部からアルミニウム板表面までの陽極酸化皮膜の厚み(バリア層厚)、小径孔部の密度など表Eに示す。上記小径孔部は、深さが異なる第1の小径孔部及び第2の小径孔部を含み、深い方を第1の小径孔部と称する。
【0243】
【表5】
【0244】
【表6】
【0245】
表Eにおいて、バリア層厚として、平均値と最小値とを示す。平均値は、第1の小径孔部の底部からアルミニウム板表面までの陽極酸化皮膜の厚みを50箇所測定し、それらを算術平均したものである。
【0246】
マイクロポアの平均径(大径孔部および小径孔部の平均径)は、大径孔部表面および小径孔部表面を倍率15万倍のFE−SEMでN=4枚観察し、得られた4枚の画像において、400×600nm
2の範囲に存在するマイクロポア(大径孔部および小径孔部)の径を測定し、平均した値である。なお、大径孔部の深さが深く、小径孔部の径が測定しづらい場合は、陽極酸化皮膜上部を切削し、その後各種径を求めた。
大径孔部の平均深さは、支持体(陽極酸化皮膜)の断面を倍率50万倍のFE−TEMで観察し、得られた画像において、任意のマイクロポアの表面から連通位置までの距離を60個(N=60)測定し、それらを平均した値である。また、小径孔部の平均深さは、支持体(陽極酸化皮膜)の断面をFE−SEMで観察し(5万倍)、得られた画像において、任意のマイクロポア25個の深さを測定し、平均した値である。
【0247】
「連通部密度」は、連通位置における陽極酸化皮膜断面の小径孔部の密度を意味する。「表面積増加倍率」は、下記式(A)に基づいて計算した値を意味する。
式(A)
表面積増加倍率 = 1+ポア密度×((π×(表層平均径/2+底部平均径/2)×((底部平均径/2−表層平均径/2)
2+深さA
2)
1/2+π×(底部平均径/2)
2−π×(表層平均径/2)
2))
小径孔部の「平均深さ(nm)」欄において、第2の小径孔部の平均深さを左側に、第1の小径孔部の平均深さを右側に示す。表E中の小径孔部の「連通部密度」欄において、小径孔部の連通部密度と共に、第1の小径孔部の密度をカッコ書き中に示す。
また、第2の小径孔部の底部から第1の小径孔部の底部までに位置する第1の小径孔部の平均径は、12nm程度であった。
【0248】
〔実施例1〕
<バックコート層の形成>
(バックコート層塗布液(1)の調製)
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA−405、
212.03g
けん化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液
・片倉コープアグリ(株)製、ソマシフMEB−3 8質量%水溶液
11.61g
上記成分を混合、撹拌して、バックコート層塗布液(1)を調製した。
【0249】
支持体1のバックコート層側(非印刷面側)の表面に、上記組成のバックコート層塗布液(1)をバー塗布し、100℃で120秒間乾燥し、厚さ1.2μmのバックコート層を形成した。
【0250】
<下塗り層の形成>
支持体1の他方(印刷面側)の表面に、下記組成の下塗り層塗布液(1)を乾燥塗布量が20mg/m
2になるよう塗布して、下塗り層を形成した。
(下塗り層塗布液(1))
・下塗り層用化合物(UC−1)(下記構造) 0.18g
・ヒドロキシエチルイミノ二酢酸 0.05g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
0.03g
・水 28.0g
【0251】
【化7】
【0252】
<画像記録層の形成>
バックコート層及び下塗り層を有する上記支持体の下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(2)をバー塗布した後、70℃で60秒オーブン乾燥し、乾燥塗布量0.6g/m
2の画像記録層(ポリマー含有層1)を形成して、平版印刷用原版を作成した。
【0253】
(画像記録層塗布液(2))
・熱可塑性ポリマー粒子水分散液(下記) 20.0g
・赤外線吸収剤(2)(下記構造) 0.2g
・重合開始剤(Irgacure250、チバスペシャリティケミカルズ社製)
0.4g
・重合開始剤(2)(下記構造) 0.15g
・重合性化合物 SR−399(サートマー社製) 1.50g
・メルカプト−3−トリアゾール 0.2g
・Byk336(Byk Chemie社製) 0.4g
・Klucel M(Hercules社製) 4.8g
・ELVACITE 4026(Ineos Acrylics社製)
2.5g
・アニオン性界面活性剤1(下記構造) 0.15g
・n−プロパノール 55.0g
・2−ブタノン 17.0g
【0254】
上記組成中の商品名で記載の化合物は下記の通りである。
・IRGACURE 250:(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート(75質量%プロピレンカーボナート溶液)
・SR−399:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
・Byk 336:変性ジメチルポリシロキサン共重合体(25質量%キシレン/メトキシプロピルアセテート溶液)
・Klucel M:ヒドロキシプロピルセルロース(2質量%水溶液)
・ELVACITE 4026:高分岐ポリメチルメタクリレート(10質量%2−ブタノン溶液)
【0255】
【化8】
【0256】
【化9】
【0257】
【化10】
【0258】
(熱可塑性ポリマー粒子水分散液の作製)
1000mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入して脱酸素を行いつつ、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、エチレングリコールの平均の繰返し単位数:20)10g、蒸留水200g及びn−プロパノール200gを加えて内温が70℃となるまで加熱した。次に予め混合されたスチレン(St)10g、アクリロニトリル(AN)80g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.8gの混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後5時間そのまま反応を続けた後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4gを添加し、内温を80℃まで上昇させた。続いて、0.5gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを6時間かけて添加した。合計で20時間反応させた段階でポリマー化は98%以上進行しており、質量比でPEGMA/St/AN=10/10/80の熱可塑性ポリマー粒子水分散液が得られた。この熱可塑性ポリマー粒子の粒径分布は、体積平均粒子径150nmに極大値を有していた。
【0259】
ここで、粒径分布は、ポリマー粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、写真上で粒子の粒径を総計で5000個測定し、得られた粒径測定値の最大値から0の間を対数目盛で50分割して各粒径の出現頻度をプロットして求めた。なお非球形粒子については写真上の粒子面積と同一の粒子面積を持つ球形粒子の粒径値を粒径とした。
【0260】
〔実施例2〕
実施例1のバックコート層塗布液(1)をバックコート層塗布液(2)に変更した以外は実施例1と同様にしてバックコート層、下塗り層、及び画像記録層を形成して、平版印刷版原版を作製した。
(バックコート層塗布液(2)の調製)
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA−405、
212.03g
けん化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液
・クニミネ工業(株)製、スメクトン−SWF 0.93g
上記成分を混合、撹拌して、バックコート層塗布液(2)を調製した。
【0261】
〔実施例3〜9〕
実施例2のバックコート層塗布液(2)中の平板粒子を表1の平板粒子に変更した以外は、実施例2と同様にしてバックコート層、下塗り層、及び画像記録層を形成して、平版印刷版原版を作製した。
【0262】
〔実施例10〕
実施例1のバックコート層塗布液(1)をバックコート層塗布液(10)に変更した以外は、実施例1と同様にしてバックコート層、下塗り層、及び画像記録層を形成して、平版印刷版原版を作製した。
(バックコート層塗布液(10)の調製)
・ポリスチレン(和光純薬(株)製、重合度2000) 12.71g
・クニミネ工業(株)製、スメクトン−SAN 0.93g
・酢酸エチル 85.43g
上記成分を混合、撹拌して、バックコート層塗布液(10)を調製した。
【0263】
〔実施例11〕
実施例10のバックコート層塗布液(10)中の平板粒子を表1の平板粒子に変更した以外は実施例10と同様にしてバックコート層、下塗り層、及び画像記録層を形成して、平版印刷版原版を作製した。
【0264】
〔実施例12〕
実施例1のバックコート層塗布液(1)をバックコート層塗布液(12)に変更した以外は、実施例1と同様にしてバックコート層、下塗り層及び画像記録層を作製した。
(バックコート層塗布液(12)の調製)
・ポリビニルアルコール
(クラレ(株)製クラレポバールLM−20(下記化学式) 12.71g
・クニミネ工業(株)製、スメクトン−SEN 0.93g
・メタノール 85.43g
上記成分を混合、撹拌して、バックコート層塗布液(12)を調製した。
【0265】
【化11】
【0266】
〔実施例13〕
実施例1のバックコート層塗布液(1)をバックコート層塗布液(13)に変更した以外は、実施例1と同様にしてバックコート層、下塗り層及び画像記録層を形成して、平版印刷版原版を作製した。
(バックコート層塗布液(13)の調製)
・メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体,Mw=4万(下記構造)
12.71g
(MMA/MAA共重合体)
・片倉コープアグリ(株)製、ソマシフMEE 0.93g
・2−ブタノン 76.89g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.54g
上記成分を混合、撹拌して、バックコート層塗布液(13)を調製した。
【0267】
【化12】
【0268】
〔実施例14〜20〕
実施例13のバックコート層の厚み、バックコート層塗布液(1)中の平板粒子の種類と添加量を表1のように変更した以外は実施例13と同様にしてバックコート層、下塗り層及び画像記録層を形成して、平版印刷版原版を作製した。
【0269】
〔実施例21〕
実施例1のバックコート層塗布液(1)をバックコート層塗布液(21)に変更した以外は、実施例1と同様にしてバックコート層、下塗り層及び画像記録層を形成して、平板印刷版原版を作製した。
(バックコート層塗布液(21)の調製)
・テトラエチルシリケート(金属酸化物) 50質量部
・水 20質量部
・メタノール 15質量部
・リン酸 0.05質量部
【0270】
上記成分を混合、撹拌すると約5分で発熱が開始した。60分間反応させた後、以下に示す液を加えることによりバックコート塗布液(21)を調製した。
【0271】
・ピロガロールホルムアルデヒド縮合樹脂(Mw:2000) 4質量部
・ジメチルフタレート 5質量部
・フッ素系界面活性剤(N−ブチルペルフルオロオクタン
スルホンアミドエチルアクリレート/ポリオキシエチレンアクリレート共重合体(Mw:20000) 0.7質量部
・クニミネ工業(株)製、スメクトン−STN 80質量部
・メタノール 800質量部
【0272】
〔実施例22〜25〕
実施例21のバックコート層の厚み、バックコート層塗布液(21)中の平板粒子の添加量を表1のように変更した以外は実施例21と同様にしてバックコート層、下塗り層及び画像記録層を形成して、平版印刷版原版を作製した。
【0273】
〔実施例26の作製〕
実施例1のバックコート層塗布液(1)をバックコート層塗布液(26)に変更した以外は、実施例1と同様にしてバックコート層、下塗り層及び画像記録層を形成して、平版印刷版原版を作製した。
(バックコート層塗布液(26)の調製)
・テトラエチルシリケート 50質量部
・水 20質量部
・メタノール 15質量部
・リン酸 0.05質量部
【0274】
上記成分を混合、撹拌すると約5分で発熱が開始した。60分間反応させた後、以下に示す液を加えることによりバックコート塗布液(26)を調製した。
【0275】
・ピロガロールホルムアルデヒド縮合樹脂(Mw:2000) 4質量部
・ジメチルフタレート 5質量部
・フッ素系界面活性剤(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチルアクリレート/ポリオキシエチレンアクリレート共重合体(Mw:20000)
0.7質量部
・根上工業(株)製シリカ被覆アクリル樹脂粒子 アートパールJ−7P
(平板粒子以外の粒子) 25質量部
・クニミネ工業(株)製、スメクトン−STN 50質量部
・メタノール 800質量部
【0276】
〔実施例27の作製〕
実施例26のバックコート層塗布液(26)の平板粒子以外の粒子の種類を表1のように変更した以外は、実施例26と同様にしてバックコート層、下塗り層及び画像記録層を形成して、平版印刷版原版を作製した。
平板粒子以外の粒子としては、サイシリア440(富士シリシア化学(株)製)を使用した。
【0277】
〔実施例28〕
実施例1のバックコート層塗布液(1)をバックコート層塗布液(28)に変更した以外は、実施例1と同様にしてバックコート層、下塗り層及び画像記録層を形成して、平版印刷版原版を作製した。
(バックコート層塗布液(28)の調製)
・メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体,Mw=4万(下記構造)
12.71g
・クニミネ工業(株)製、スメクトン−STN 0.93g
・日産化学工業(株)製、シリカ被覆メラミン樹脂粒子オプトビーズ3500M
0.47g
(平板粒子以外の粒子)
・2−ブタノン 76.89g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.54g
上記成分を混合、撹拌して、バックコート層塗布液(28)を調製した。
【0278】
【化13】
【0279】
〔実施例29〜36〕
実施例28のバックコート層の厚み、バックコート層塗布液(28)中の平板粒子の添加量、平版粒子以外の粒子の種類、及び添加量を表1のように変更した以外は実施例28と同様にしてバックコート層、下塗り層及び画像記録層を形成して、平版印刷版原版を作製した。
平板粒子以外の粒子について、以下に記載する。
トスパール145(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
アートパールJ−6PF(根上工業(株)製)
オプトビーズ6500M(日産化学工業(株)製)
【0280】
〔実施例37〕
支持体2のバックコート層側(非印刷面側)の表面に、実施例17のバックコート層塗布液をバー塗布し、100℃で120秒間乾燥し、厚さ1.2μmのバックコート層を形成した。
【0281】
<画像記録層の形成>
下記熱可塑性ポリマー粒子、赤外線吸収剤及びポリアクリル酸を含有する画像記録層水系塗布液を調製し、pHを3.6に調整した後、支持体2の印刷面側の表面上に塗布し、50℃で1分間乾燥して画像記録層を形成して作製した。各成分の乾燥後の塗布量を以下に示す。
【0282】
熱可塑性ポリマー粒子: 0.7g/m
2
赤外線吸収剤 IR−01: 1.20×10−4g/m
2
ポリアクリル酸: 0.09g/m
2【0283】
画像記録層塗布液に用いた熱可塑性ポリマー粒子、赤外線吸収剤IR−01、ポリアクリル酸は以下に示す通りである。
【0284】
熱可塑性ポリマー粒子:スチレン/アクリロニトリル共重合体(モル比50/50)、Tg:99℃、体積平均粒子径:60nm
赤外線吸収剤IR−01:下記構造の赤外線吸収剤
【0285】
【化14】
【0286】
ポリアクリル酸 Mw:250,000
【0287】
〔実施例38〕
支持体3のバックコート層側(非印刷面側)の表面に、実施例17のバックコート層塗布液をバー塗布し、100℃で120秒間乾燥し、厚さ1.2μmのバックコート層を形成した。
【0288】
<下塗り層の形成>
支持体3の印刷面側の表面に、下塗り層塗布液(1)を乾燥塗布量が20mg/m
2になるよう塗布して、下塗り層を形成した。
【0289】
下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(3)をバー塗布した後、100℃で60秒オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m
2の画像記録層を形成した。
画像記録層塗布液(3)は下記感光液(1)及びミクロゲル液(1)を塗布直前に混合し撹拌することにより得た。
(画像記録層塗布液(3))
(感光液(1))
・バインダーポリマー(1)(下記構造、Mw:55,000、n(エチレンオキサイド(EO)繰り返し単位数):2):0.240部
・赤外線吸収剤(1)(下記構造):0.020部
・ボレート化合物(1)(テトラフェニルホウ酸ナトリウム):0.010部
・重合開始剤(1)(下記構造):0.162部
・重合性化合物(トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、NKエステルA−9300、新中村化学工業(株)製):0.192部
・アニオン性界面活性剤1(上記構造):0.050部
・フッ素系界面活性剤(1)(下記構造):0.008部
・2−ブタノン:1.091部
・1−メトキシ−2−プロパノール:8.609部
【0290】
(ミクロゲル液(1))
・ミクロゲル(1):2.640部
・蒸留水:2.425部
【0291】
【化15】
【0292】
【化16】
【0293】
(ミクロゲル(1)の作製)
上記ミクロゲル液に用いたミクロゲル(1)の調製法を以下に示す。
【0294】
<多価イソシアネート化合物(1)の調製>
イソホロンジイソシアネート17.78部(80モル当量)と下記多価フェノール化合物(1)7.35部(20モル当量)との酢酸エチル(25.31部)懸濁溶液に、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)(ネオスタン U−600、日東化成(株)製)0.043部を加えて撹拌した。発熱が収まった時点で反応温度を50℃に設定し、3時間撹拌して多価イソシアネート化合物(1)の酢酸エチル溶液(50質量%)を得た。
【0295】
【化17】
【0296】
<ミクロゲル(1)の調製>
下記油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を45℃で4時間撹拌後、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン−オクチル酸塩(U−CAT SA102、サンアプロ(株)製)の10質量%水溶液5.20部を加え、室温で30分撹拌し、45℃で24時間静置した。蒸留水で、固形分濃度を20質量%になるように調整し、ミクロゲル(1)の水分散液を得た。動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500((株)堀場製作所製)を用いて、光散乱法により体積平均粒径を測定したところ、0.28μmであった。
【0297】
(油相成分)
(成分1)酢酸エチル:12.0部
(成分2)トリメチロールプロパン(6モル)とキシレンジイソシアネート(18モル)を付加させ、これにメチル片末端ポリオキシエチレン(1モル、オキシエチレン単位の繰返し数:90)を付加させた付加体(50質量%酢酸エチル溶液、三井化学(株)製):3.76部
(成分3)多価イソシアネート化合物(1)(50質量%酢酸エチル溶液として):15.0部
(成分4)ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(SR−399、サートマー社製)の65質量%酢酸エチル溶液:11.54部
(成分5)スルホン酸塩型界面活性剤(パイオニンA−41−C、竹本油脂(株)製)の10%酢酸エチル溶液:4.42部
【0298】
(水相成分)
蒸留水:46.87部
【0299】
<保護層の形成>
画像記録層上に、下記組成の保護層塗布液(1)をバー塗布した後、120℃で60秒オーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/m
2の保護層を形成して平版印刷版原版を作製した。
【0300】
(保護層用塗布液(1))
・無機層状化合物分散液(1)(下記) 1.5g
・親水性ポリマー(1)(下記構造、Mw:30,000)(固形分)
0.03g
・ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製、CKS50、
0.10g
スルホン酸変性、けん化度99モル%以上、重合度300)6質量%水溶液
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA−405、 0.03g
けん化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
(下記構造)1質量%水溶液 0.86g
・イオン交換水 6.0g
【0301】
【化18】
【0302】
(無機層状化合物分散液(1)の調製)
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて体積平均粒子径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散粒子のアスペクト比は100以上であった。
【0303】
〔実施例39〕
<下塗り層の形成>
実施例38の作製に用いたバックコート層を有する支持体3の印刷面側の表面に、下記組成の下塗り層塗布液(2)をワイヤーバーにて塗布し、90℃で30秒間乾燥した。塗布量は10mg/m
2であった。
【0304】
(下塗り層塗布液(2))
・高分子化合物A(下記構造)(質量平均分子量:3万) 0.05g
・メタノール 27g
・イオン交換水 3g
【0305】
【化19】
【0306】
<画像記録層の形成>
下記組成の画像記録層塗布液(4)を、下塗り層上にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間行った。乾燥後の被覆量は1.4g/m
2であった。
【0307】
(画像記録層塗布液(4))
・赤外線吸収剤(IR−1)(下記構造) 0.074g
・重合開始剤(OS−12)(下記構造) 0.280g
・添加剤(PM−1)(下記構造) 0.151g
・重合性化合物(AM−1)(下記構造) 1.00g
・バインダーポリマー(BT−1)(下記構造) 1.00g
・エチルバイオレット(C−1)(下記構造) 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.015g
(メガファックF−780−F DIC(株)製、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 10.4g
・メタノール 4.83g
・1−メトキシ−2−プロパノール 10.4g
【0308】
【化20】
【0309】
【化21】
【0310】
<保護層の形成>
画像記録層上に、下記組成の保護層塗布液(2)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で75秒間乾燥させたて保護層を形成した。乾燥後の塗布量は1.6g/m
2であった。かくして実施例39のネガ型の平版印刷版原版を作製した。
【0311】
<保護層塗布液(2)>
・合成雲母(ソマシフME−100、8%水分散液、コープケミカル(株)製)
94g
・ポリビニルアルコール(CKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、日本合成化学工業(株)製) 58g
・カルボキシメチルセルロース(セロゲンPR、第一工業製薬(株)製)
24g
・界面活性剤−1(プルロニックP−84、BASF社製) 2.5g
・界面活性剤−2(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
5g
・純水 1364g
【0312】
〔実施例40〕
<下塗り層の形成>
実施例38の作製に用いたバックコート層を有する支持体3の印刷面側の表面に、下記組成の下塗り層塗布液(3)をバーコーターで塗布し、80℃で15秒間乾燥し、乾燥後の塗布量が18mg/m
2の下塗り層を形成した。
【0313】
(下塗り層塗布液(3))
・高分子化合物(下記構造) 0.3g
・メタノール 100g
【0314】
【化22】
【0315】
<画像記録層の形成>
下塗り層上に、下記組成の下層塗布液を乾燥後の塗布量が0.85g/m
2になるようバーコーターで塗布し、160℃で44秒間乾燥し、直ちに17〜20℃の冷風で支持体の温度が35℃になるまで冷却して下層を形成した。その後、下記組成の上層塗布液を乾燥後の塗布量が0.22g/m
2になるようにバーコーターで塗布し、148℃で25秒間乾燥し、更に20〜26℃の風で徐冷して上層を形成した。かくして実施例40のポジ型の平版印刷版原版を作製した。
【0316】
(下層塗布液)
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリル/
メタクリル酸メチル 2.1g
(36/34/30質量%:質量平均分子量50000、
酸価2.65)
・m,p−クレゾールノボラック 0.1g
(m/p比=6/4、質量平均分子量4500、
未反応クレゾール0.8質量%含有、Tg:75℃)
・シアニン染料A(下記構造) 0.13g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.13g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.19g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸
に変えた染料 0.078g
・フッ素系界面活性剤B(下記構造) 0.007g
・メチルエチルケトン 25.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.0g
・γ−ブチロラクトン 13.0g
【0317】
【化23】
【0318】
【化24】
【0319】
(上層塗布液)
・フェノール/m−クレゾール/p−クレゾールノボラック 0.35g
(モル比=5/3/2、質量平均分子量:5000、
未反応クレゾール:1.2質量%含有、Tg:70℃)
・アクリル系樹脂C(下記構造) 0.042g
・シアニン染料A(上記構造) 0.019g
・アンモニウム化合物D(下記構造) 0.004g
・スルホニウム化合物G(下記構造) 0.032g
・フッ素系界面活性剤B(上記構造) 0.0045g
・フッ素系界面活性剤E(下記構造) 0.0033g
・フッ素系ポリマーF(下記構造) 0.018g
・メチルエチルケトン 10.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 20.0g
【0320】
【化25】
【0321】
〔実施例41〕
<下塗り層の形成>
実施例38の作製に用いたバックコート層を有する支持体3の印刷面側の表面に、下記組成の下塗り層塗布液(4)をバーコーターで塗布し、80℃で15秒間乾燥し、乾燥後の塗布量が18mg/m
2の下塗り層を形成した。
【0322】
<下塗り層用塗布液(4)>
・ポリマー(下記構造) 0.3質量部
・純水 60.0質量部
・メタノール 939.7質量部
【0323】
【化26】
【0324】
<非感光性層の形成>
下塗り層の上に、下記組成の非感光性層塗布液(1)をバー塗布し、100℃で60秒間乾燥し、乾燥後の塗布量が1.0mg/m
2の非感光性層を形成した。
(非感光性層塗布液(1)>
・バインダーポリマーA(下記) 2.465質量部
・リン酸(85質量%水溶液) 0.08質量部
・スルホフタル酸(50質量%水溶液) 0.017質量部
・トリカルバリル酸 0.017質量部
・着色剤(VPB−Naps(ビクトリアピュアブルーの
ナフタレンスルホン酸塩、保土ヶ谷化学(株)製) 0.0014質量部
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−780−F、
DIC(株)製、MEKの30質量%溶液) 0.009質量部
・メチルエチルケトン(MEK) 7.93質量部
・メタノール 6.28質量部
・1−メトキシ−2−プロパノール(MFG) 2.01質量部
【0325】
上記バインダーポリマーAは、下記(1)〜(4)の4種類のモノマーの縮合反応物(質量平均分子量:85,000、酸含有量:1.64meq/g)のMFG/MEK=1/1の16質量%溶液である。
(1)4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート 37.5モル%
(2)ヘキサメチレンジイソシアネート 12.5モル%
(3)2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸 32.5モル%
(4)テトラエチレングリコール 17.5モル%
【0326】
<親水性層の形成>
非感光性層の上に、下記組成の親水性層塗布液(1)をバー塗布し、125℃で75秒間乾燥し、乾燥後の塗布量が1.6mg/m
2の非感光性層を形成した。かくして実施例41の印刷用捨て版原版を作製した。
【0327】
(親水性層塗布液(1)
・合成雲母(ソマシフME−100、8%水分散液、
コープケミカル(株)製) 94質量部
・ポリビニルアルコール(CKS−50:ケン化度:99モル%、
重合度:300、日本合成化学工業(株)製) 58質量部
・カルボキシメチルセルロース(セロゲンPR、第一工業製薬(株)製)
24質量部
・界面活性剤−1(プルロニックP−84、BASF社製)
2.5質量部
・界面活性剤−2(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
5質量部
・純水 1364質量部
【0328】
上記プルロニックP−84は、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド ブロック共重合体であり、エマレックス710は、ポリオキシエチレンラウリルエーテルである。
【0329】
〔実施例42〕
<下塗り層の形成>
実施例38の作製において、画像記録層塗布液(3)から赤外線吸収剤(1)と重合開始剤(1)を除く以外は同様にして、実施例42の印刷用捨て版原版を作製した。
【0330】
〔実施例43〜48〕
実施例37〜42の各バックコート層に表1のように平板粒子以外の粒子のアートパールJ−6PFを添加したものにすることで、実施例43〜46の平版印刷用原版、並びに実施例47及び48の印刷用捨て版原版を作製した。
【0331】
〔比較例1〜6〕
比較例1は実施例1、比較例2は実施例10、比較例3は実施例12、比較例4は実施例13、比較例5は実施例22、比較例5は実施例26からバックコート層の平板粒子を除いたバックコート層塗布液を塗布することで、それぞれ平版印刷版原版を作製した。
【0332】
〔比較例7〕
実施例1のバックコート層のバックコート層塗布液をバックコート層塗布液(107)に変更した以外は実施例1と同様にしてバックコート層を形成して、作製した。
(バックコート層塗布液(107)の調製)
・スチレン−メタクリル酸メチル共重合体 12.71g
・富士シリシア化学(株)製、サイリシア436 0.93g
・2−ブタノン 85.43g
【0333】
〔比較例8〜14〕
比較例8〜14は、それぞれ実施例37〜42の各バックコート層から平板粒子を除いた以外は同様にして、比較例8〜12の平版印刷用原版、並びに比較例13〜14の印刷用捨て版原版を作製した。
【0334】
〔印刷用原版の評価〕
各実施例、比較例で得た印刷用原版(平版印刷版原版、印刷用捨て版原版)について以下の評価を行った。
<耐引っ掻き傷性>
耐引っ掻き傷性の評価は、印刷用原版のバック親水層側版面コート層の引っ掻き試験により行った。即ち、印刷用原版のバックコート層に対して、連続加重式引っ掻き強度試験器(SB−53、新東科学(株)製)を用いて、サファイヤ針0.1mmφ、針の移動速度10cm/秒の条件下、加重10〜100gで10g刻みで引っ掻き試験行った後、傷が発生する荷重を目視で観察し、下記の基準で評価した。3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルである。
5: 100gでも傷がつかない。
4: 80〜100gで傷が発生する。
3: 50〜70gで傷が発生する。
2: 20〜40gで傷が発生する。
1: 10gで傷が発生する。
【0335】
<耐擦り剥がれ性>
印刷用原版を25度60%RHの環境下で2時間調湿後、2.5cm×2.5cmに打ち抜き、新東科学(株)製の連続加重式引掻強度試験機 TYPE:18に取り付け、打ち抜いていない印刷用原版のバックコート層の面の上に、打ち抜いた印刷用原版の印刷面側が接触するようにセットし、0〜1000gfの加重で印刷用原版の数箇所に擦れ傷をつけた。バックコート層のキズの程度を目視で観察した。評価は下記の基準で行い、3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルである。
5:剥がれなし。
4:視認では確認はできないが、50倍率のルーペで確認可能な剥がれが1か所あり。
3:視認では確認はできないが、50倍率のルーペで確認可能な剥がれが数か所あり。
2:複数個所に視認で確認可能な剥がれがあり。
1:全面に剥がれが多数あり。
【0336】
<平板粒子を含有する層の算術平均高さSaの測定>
平板粒子を含有する層の算術平均高さSaの測定は、ISO 25178に記載の方法に準じて行った。すなわち、菱化システム(株)製のマイクロマップMM3200−M100を用いて、同一サンプルから3か所以上選択して測定し、それらの平均値を算術平均高さSaとした。測定範囲に関しては、サンプル表面からランダムに選んだ1cm×1cmの範囲を測定した。
評価結果を下記表1に示す。
【0337】
【表7】
【0338】
【表8】
【0339】
【表9】
【0340】
【表10】
【0341】
<支持体4〜12の製造>
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム板(アルミニウム合金板)に対し、下記のいずれかの処理を施し、支持体4〜12を製造した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラで液切りを行った。
【0342】
<処理A:支持体4〜6の作製>
(A−a)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、5g/m
2であった。
【0343】
(A−b)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる酸性水溶液は、硫酸濃度150g/Lの水溶液を用いた。その液温は30℃であった。
【0344】
(A−c)塩酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理
次に、塩酸濃度14g/L、アルミニウムイオン濃度13g/L、及び、硫酸濃度3g/Lの電解液を用い、交流電流を用いて電気化学的粗面化処理を行った。電解液の液温は30℃であった。アルミニウムイオン濃度は塩化アルミニウムを添加して調整した。
交流電流の波形は正と負の波形が対称な正弦波であり、周波数は50Hz、交流電流1周期におけるアノード反応時間とカソード反応時間は1:1、電流密度は交流電流波形のピーク電流値で75A/dm
2であった。また、電気量はアルミニウム板がアノード反応に預かる電気量の総和で450C/dm
2であり、電解処理は112.5C/dm
2ずつ4秒間の通電間隔を開けて4回に分けて行った。アルミニウム板の対極にはカーボン電極を用いた。その後、水洗処理を行った。
【0345】
(A−d)アルカリエッチング処理
電気化学的粗面化処理後のアルミニウム板を、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度45℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。電気化学的粗面化処理が施された面のアルミニウムの溶解量は、0.2g/m
2であった。
【0346】
(A−e)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。デスマット処理に用いた酸性水溶液としては、陽極酸化処理工程で発生した廃液(硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液)を用いた。その液温は、30℃であった。
【0347】
(A−f)陽極酸化処理
図1に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。表Fに示す「第1陽極酸化処理」欄の条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
なお、
図1に示す陽極酸化処理装置410において、アルミニウム板416は、
図1中矢印で示すように搬送される。電解液418が貯溜された給電槽412にてアルミニウム板416は給電電極420によって(+)に荷電される。そして、アルミニウム板416は、給電槽412においてローラ422によって上方に搬送され、ニップローラ424によって下方に方向変換された後、電解液426が貯溜された電解処理槽414に向けて搬送され、ローラ428によって水平方向に方向転換される。ついで、アルミニウム板416は、電解電極430によって(−)に荷電されることにより、その表面に陽極酸化皮膜が形成され、電解処理槽414を出たアルミニウム板416は後工程に搬送される。上記陽極酸化処理装置410において、ローラ422、ニップローラ424及びローラ428によって方向転換手段が構成され、アルミニウム板416は、給電槽412と電解処理槽414との槽間部において、上記ローラ422、424及び428により、山型及び逆U字型に搬送される。給電電極420と電解電極430とは、直流電源434に接続されている。
【0348】
【表11】
【0349】
(A−g)ポアワイド処理
上記陽極酸化処理したアルミニウム板を、表Gに示す温度で、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液に表Gに示す時間条件にて浸漬し、ポアワイド処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0350】
【表12】
【0351】
<処理(B):支持体7の作製>
(B−a)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、5g/m
2であった。
【0352】
(B−b)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる酸性水溶液は、硫酸濃度150g/Lの水溶液を用いた。その液温は30℃であった。
【0353】
(B−c)塩酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理
次に、塩酸濃度14g/L、アルミニウムイオン濃度13g/L、及び、硫酸濃度3g/Lの電解液を用い、交流電流を用いて電気化学的粗面化処理を行った。電解液の液温は30℃であった。アルミニウムイオン濃度は塩化アルミニウムを添加して調整した。
交流電流の波形は正と負の波形が対称な正弦波であり、周波数は50Hz、交流電流1周期におけるアノード反応時間とカソード反応時間は1:1、電流密度は交流電流波形のピーク電流値で75A/dm
2であった。また、電気量はアルミニウム板がアノード反応に預かる電気量の総和で450C/dm
2であり、電解処理は112.5C/dm
2ずつ4秒間の通電間隔を開けて4回に分けて行った。アルミニウム板の対極にはカーボン電極を用いた。その後、水洗処理を行った。
【0354】
(B−d)アルカリエッチング処理
電気化学的粗面化処理後のアルミニウム板を、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度45℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。電気化学的粗面化処理が施された面のアルミニウムの溶解量は、0.2g/m
2であった。
【0355】
(B−e)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。デスマット処理に用いた酸性水溶液としては、陽極酸化処理工程で発生した廃液(硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液)を用いた。その液温は、30℃であった。
【0356】
(B−f)第1段階の陽極酸化処理
図1に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第1段階の陽極酸化処理を行った。表Hに示す「第1陽極酸化処理」欄の条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
【0357】
【表13】
【0358】
(B−g)ポアワイド処理
上記陽極酸化処理したアルミニウム板を、温度40℃、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液に表Iに示す時間条件にて浸漬し、ポアワイド処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0359】
【表14】
【0360】
(B−h)第2段階の陽極酸化処理
図1に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第2段階の陽極酸化処理を行った。表Jに示す「第2陽極酸化処理」欄の条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
【0361】
【表15】
【0362】
<処理D:支持体8の作製>
(D−a)機械的粗面化処理(ブラシグレイン法)
図2に示したような装置を使って、パミスの懸濁液(比重1.1g/cm
3)を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転する束植ブラシにより機械的粗面化処理を行った。
図2において、1はアルミニウム板、2及び4はローラ状ブラシ(本実施例において、束植ブラシ)、3は研磨スラリー液、5、6、7及び8は支持ローラである。
機械的粗面化処理では、研磨材のメジアン径(μm)を30μm、ブラシ本数を4本、ブラシの回転数(rpm)を250rpmとした。束植ブラシの材質は6・10ナイロンで、ブラシ毛の直径0.3mm、毛長50mmであった。ブラシは、φ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。束植ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は、300mmであった。束植ブラシはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、束植ブラシをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して10kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。
【0363】
(D−b)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、10g/m
2であった。
【0364】
(D−c)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる酸性水溶液は、次工程の電気化学的粗面化処理に用いた硝酸の廃液を用いた。その液温は35℃であった。
【0365】
(D−d)硝酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理
硝酸電解60Hzの交流電圧を用いて、連続的に電気化学的粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.4g/Lの水溶液に硝酸アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した、液温35℃の電解液を用いた。交流電源波形は
図3に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
図3において、taはアノード反応時間、tcはカソード反応時間、tpは電流が0からピークに達するまでの時間、Iaはアノードサイクル側のピーク時の電流、Icはカソードサイクル側のピーク時の電流である。電解槽は
図4に示すものを使用した。
図4において、50は主電解槽、51は交流電源、52はラジアルドラムローラ、53a及び53bは主極、54は電解液供給口、55は電解液、56はスリット、57は電解液通路、58は補助陽極、60は補助陽極槽、Wはアルミニウム板である。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm
2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。電気量(C/dm
2)はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で185C/dm
2であった。
【0366】
(D−e)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板に、カセイソーダ濃度27質量%及びアルミニウムイオン濃度2.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度50℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。なお、アルミニウム溶解量は、0.5g/m
2であった。
【0367】
(D−f)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、硫酸水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、硫酸水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる硫酸水溶液は、硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液を用いた。その液温は、30℃であった。
【0368】
(D−g)塩酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理
塩酸電解60Hzの交流電圧を用いて、連続的に電気化学的粗面化処理を行った。電解液は、塩酸6.2g/Lの水溶液に塩化アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した、液温35℃の電解液を用いた。交流電源波形は
図3に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は
図4に示すものを使用した。電流密度は電流のピーク値で25A/dm
2であり、塩酸電解における電気量(C/dm
2)はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で63C/dm
2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0369】
(D−h)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度60℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。アルミニウム溶解量は、0.1g/m
2であった。
【0370】
(D−i)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、硫酸水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、硫酸水溶液をアルミニウム板にスプレーにて4秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる硫酸水溶液は、具体的には、陽極酸化処理工程で発生した廃液(硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液)を用いた。その液温は、35℃であった。
【0371】
(D−j)陽極酸化処理
図1に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。表Kに示す「第1陽極酸化処理」欄の条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
【0372】
【表16】
【0373】
(D−k)ポアワイド処理
上記陽極酸化処理したアルミニウム板を、温度40℃、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液に3秒間浸漬し、ポアワイド処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0374】
(D−l)親水化処理
非画像部の親水性を確保するため、2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて50℃で7秒間にわたって得られたアルミニウム板をディップしてシリケート処理を施した。Siの付着量は8.5mg/m
2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0375】
<処理(F):支持体9の作製>
(F−a)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、5g/m
2であった。
【0376】
(F−b)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて吹き付けて、3秒間デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる酸性水溶液は、硫酸150g/Lの水溶液を用いた。その液温は30℃であった。
【0377】
(F−c)電気化学的粗面化処理
次に、塩酸濃度14g/L、アルミニウムイオン濃度13g/L、及び、硫酸濃度3g/Lの電解液を用い、交流電流を用いて電気化学的粗面化処理を行った。電解液の液温は30℃であった。アルミニウムイオン濃度は塩化アルミニウムを添加して調整した。
交流電流の波形は正と負の波形が対称な正弦波であり、周波数は50Hz、交流電流1周期におけるアノード反応時間とカソード反応時間は1:1、電流密度は交流電流波形のピーク電流値で75A/dm
2であった。また、電気量はアルミニウム板がアノード反応に預かる電気量の総和で450C/dm
2であり、電解処理は112.5C/dm
2ずつ4秒間の通電間隔を開けて4回に分けて行った。アルミニウム板の対極にはカーボン電極を用いた。その後、水洗処理を行った。
【0378】
(F−d)アルカリエッチング処理
電気化学的粗面化処理後のアルミニウム板を、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度45℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。電気化学的粗面化処理が施された面のアルミニウムの溶解量は0.2g/m
2であった。その後、水洗処理を行った。
【0379】
(F−e)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて吹き付けて、3秒間デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる酸性水溶液としては、硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液を用いた。その液温は、35℃であった。
【0380】
(F−f)第1段階の陽極酸化処理
図1に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第1段階の陽極酸化処理を行った。表Lに示す「第1陽極酸化処理」欄の条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
【0381】
【表17】
【0382】
(F−g)第2段階の陽極酸化処理
図1に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第2段階の陽極酸化処理を行った。表Mに示す「第2陽極酸化処理」欄の条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
【0383】
【表18】
【0384】
<処理(G):支持体10の作製>
(G−a)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、5g/m
2であった。
【0385】
(G−b)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて吹き付けて、3秒間デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる酸性水溶液は、硫酸150g/Lの水溶液を用いた。その液温は30℃であった。
【0386】
(G−c)電気化学的粗面化処理
次に、塩酸濃度14g/L、アルミニウムイオン濃度13g/L、及び、硫酸濃度3g/Lの電解液を用い、交流電流を用いて電気化学的粗面化処理を行った。電解液の液温は30℃であった。アルミニウムイオン濃度は塩化アルミニウムを添加して調整した。
交流電流の波形は正と負の波形が対称な正弦波であり、周波数は50Hz、交流電流1周期におけるアノード反応時間とカソード反応時間は1:1、電流密度は交流電流波形のピーク電流値で75A/dm
2であった。また、電気量はアルミニウム板がアノード反応に預かる電気量の総和で450C/dm
2であり、電解処理は112.5C/dm
2ずつ4秒間の通電間隔を開けて4回に分けて行った。アルミニウム板の対極にはカーボン電極を用いた。その後、水洗処理を行った。
【0387】
(G−d)アルカリエッチング処理
電気化学的粗面化処理後のアルミニウム板を、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度45℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。電気化学的粗面化処理が施された面のアルミニウムの溶解量は0.2g/m
2であった。その後、水洗処理を行った。
【0388】
(G−e)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて吹き付けて、3秒間デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる酸性水溶液としては、硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液を用いた。その液温は、35℃であった。
【0389】
(G−f)第1段階の陽極酸化処理
図1に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第1段階の陽極酸化処理を行った。表Nに示す「第1陽極酸化処理」欄の条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
【0390】
【表19】
【0391】
(G−g)ポアワイド処理
上記陽極酸化処理したアルミニウム板を、温度40℃、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液に表Oに示す時間条件にて浸漬し、ポアワイド処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0392】
【表20】
【0393】
(G−h)第2段階の陽極酸化処理
図1に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第2段階の陽極酸化処理を行った。表Pに示す「第2陽極酸化処理」欄の条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
【0394】
【表21】
【0395】
<処理(H):支持体11の作製>
(H−a)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、5g/m
2であった。
【0396】
(H−b)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて吹き付けて、3秒間デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる酸性水溶液は、硫酸150g/Lの水溶液を用いた。その液温は30℃であった。
【0397】
(H−c)電気化学的粗面化処理
次に、塩酸濃度14g/L、アルミニウムイオン濃度13g/L、及び、硫酸濃度3g/Lの電解液を用い、交流電流を用いて電気化学的粗面化処理を行った。電解液の液温は30℃であった。アルミニウムイオン濃度は塩化アルミニウムを添加して調整した。
交流電流の波形は正と負の波形が対称な正弦波であり、周波数は50Hz、交流電流1周期におけるアノード反応時間とカソード反応時間は1:1、電流密度は交流電流波形のピーク電流値で75A/dm
2であった。また、電気量はアルミニウム板がアノード反応に預かる電気量の総和で450C/dm
2であり、電解処理は112.5C/dm
2ずつ4秒間の通電間隔を開けて4回に分けて行った。アルミニウム板の対極にはカーボン電極を用いた。その後、水洗処理を行った。
【0398】
(H−d)アルカリエッチング処理
電気化学的粗面化処理後のアルミニウム板を、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度45℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。電気化学的粗面化処理が施された面のアルミニウムの溶解量は0.2g/m
2であった。その後、水洗処理を行った。
【0399】
(H−e)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて吹き付けて、3秒間デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる酸性水溶液としては、硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液を用いた。その液温は、35℃であった。
【0400】
(H−f)第1段階の陽極酸化処理
図1に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第1段階の陽極酸化処理を行った。表Qに示す「第1陽極酸化処理」欄の条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
【0401】
【表22】
【0402】
(H−g)第2段階の陽極酸化処理
図1に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第2段階の陽極酸化処理を行った。表Rに示す「第2陽極酸化処理」欄の条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
【0403】
【表23】
【0404】
<処理(I):支持体12の作製>
(I−a)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、5g/m
2であった。
【0405】
(I−b)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて吹き付けて、3秒間デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる酸性水溶液は、硫酸150g/Lの水溶液を用いた。その液温は30℃であった。
【0406】
(I−c)電気化学的粗面化処理
次に、塩酸濃度14g/L、アルミニウムイオン濃度13g/L、及び、硫酸濃度3g/Lの電解液を用い、交流電流を用いて電気化学的粗面化処理を行った。電解液の液温は30℃であった。アルミニウムイオン濃度は塩化アルミニウムを添加して調整した。
交流電流の波形は正と負の波形が対称な正弦波であり、周波数は50Hz、交流電流1周期におけるアノード反応時間とカソード反応時間は1:1、電流密度は交流電流波形のピーク電流値で75A/dm
2であった。また、電気量はアルミニウム板がアノード反応に預かる電気量の総和で450C/dm
2であり、電解処理は112.5C/dm
2ずつ4秒間の通電間隔を開けて4回に分けて行った。アルミニウム板の対極にはカーボン電極を用いた。その後、水洗処理を行った。
【0407】
(I−d)アルカリエッチング処理
電気化学的粗面化処理後のアルミニウム板を、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度45℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。電気化学的粗面化処理が施された面のアルミニウムの溶解量は0.2g/m
2であった。その後、水洗処理を行った。
【0408】
(I−e)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて吹き付けて、3秒間デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる酸性水溶液としては、硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液を用いた。その液温は、35℃であった。
【0409】
(I−f)第1段階の陽極酸化処理
図1に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第1段階の陽極酸化処理を行った。表Sに示す「第1陽極酸化処理」欄の条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
【0410】
【表24】
【0411】
(I−g)ポアワイド処理
上記陽極酸化処理したアルミニウム板を、温度40℃、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液に表Tに示す時間条件にて浸漬し、ポアワイド処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0412】
【表25】
【0413】
(I−h)第2段階の陽極酸化処理
図1に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第2段階の陽極酸化処理を行った。表Uに示す「第2陽極酸化処理」欄の条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
【0414】
【表26】
【0415】
<支持体13の作製>
−アルミニウム板−
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.005質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はアルミニウムと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理及びろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1,200mmの鋳塊をDC鋳造法で作製した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム板を得た。このアルミニウム板を幅1,030mmにした後、以下に示す表面処理に供した。
【0416】
−表面処理−
表面処理は、以下の(b)〜(j)の各種処理を連続的に行うことにより行った。
なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
【0417】
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m
2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0418】
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
【0419】
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。交流電源波形は
図3に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電解槽は
図4に示すものを使用した。電流密度は電流のピーク値で30A/dm
2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm
2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0420】
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.25g/m
2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0421】
(f)デスマット処理
温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
【0422】
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸2.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は
図3に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電解槽は
図4に示すものを使用した。電流密度は電流のピーク値で25A/dm
2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm
2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0423】
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.1g/m
2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0424】
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
【0425】
(j)陽極酸化処理
図1に示す構造の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行い、支持体13を得た。第一及び第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度170g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度38℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m
2であった。
【0426】
<支持体14の作製>
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A 1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm
3)を用いアルミニウム板表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。アルミニウム板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に60℃で20質量%硝酸水溶液に20秒間浸漬し、水洗した。砂目立て表面のエッチング量は約3g/m
2であった。
【0427】
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。電解液は硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温は50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm
2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dm
2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0428】
続いて、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dm
2の条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板に、15質量%硫酸水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dm
2で2.5g/m
2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥した。
次に、100℃の水蒸気を1.033×10
5Paの圧力で上記陽極酸化皮膜に8秒間吹き付けて、封孔処理を行った。更に、アルミニウム支持体を、純水にポリビニルホスホン酸(PCAS社製)を0.4質量%溶解させた53℃の処理液に10秒浸漬し、ニップロールにて余剰の処理液を完全に除去し、支持体14を作製した。
【0429】
<支持体15の製造>
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム板(アルミニウム合金板)に対し、下記の処理を施し、支持体15を製造した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラで液切りを行った。
<処理J:支持体15の作製>
(J−a)機械的粗面化処理(ブラシグレイン法)
図2に示したような装置を使って、パミスの懸濁液(比重1.1g/cm
3)を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転する束植ブラシにより機械的粗面化処理を行った。
図2において、1はアルミニウム板、2及び4はローラ状ブラシ(本実施例において、束植ブラシ)、3は研磨スラリー液、5、6、7及び8は支持ローラである。
機械的粗面化処理では、研磨材のメジアン径(μm)を30μm、ブラシ本数を4本、ブラシの回転数(rpm)を250rpmとした。束植ブラシの材質は6・10ナイロンで、ブラシ毛の直径0.3mm、毛長50mmであった。ブラシは、φ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。束植ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は、300mmであった。束植ブラシはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、束植ブラシをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して10kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。
【0430】
(J−b)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、10g/m
2であった。
【0431】
(J−c)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる酸性水溶液は、次工程の電気化学的粗面化処理に用いた硝酸の廃液を用いた。その液温は35℃であった。
【0432】
(J−d)硝酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理
硝酸電解60Hzの交流電圧を用いて、連続的に電気化学的粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.4g/Lの水溶液に硝酸アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した、液温35℃の電解液を用いた。交流電源波形は
図3に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は
図4に示すものを使用した。電流密度は電流のピーク値で30A/dm
2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。電気量(C/dm
2)はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で185C/dm
2であった。
【0433】
(J−e)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板に、カセイソーダ濃度27質量%及びアルミニウムイオン濃度2.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度50℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。なお、アルミニウム溶解量は、3.5g/m
2であった。
【0434】
(J−f)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、硫酸水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、硫酸水溶液をアルミニウム板にスプレーにて3秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる硫酸水溶液は、硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液を用いた。その液温は、30℃であった。
【0435】
(J−g)塩酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理
塩酸電解60Hzの交流電圧を用いて、連続的に電気化学的粗面化処理を行った。電解液は、塩酸6.2g/Lの水溶液に塩化アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した、液温35℃の電解液を用いた。交流電源波形は
図3に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は
図4に示すものを使用した。電流密度は電流のピーク値で25A/dm
2であり、塩酸電解における電気量(C/dm
2)はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で63C/dm
2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0436】
(J−h)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度60℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。アルミニウム溶解量は、0.2g/m
2であった。
【0437】
(J−i)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、硫酸水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、硫酸水溶液をアルミニウム板にスプレーにて4秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる硫酸水溶液は、具体的には、陽極酸化処理工程で発生した廃液(硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液)を用いた。その液温は、35℃であった。
【0438】
(J−j)第1段階の陽極酸化処理
図1に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第1段階の陽極酸化処理を行った。表Vに示す「第1陽極酸化処理」欄の条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
【0439】
【表27】
【0440】
(J−k)ポアワイド処理
上記陽極酸化処理したアルミニウム板を、温度40℃、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液に表Wに示す時間条件にて浸漬し、ポアワイド処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0441】
【表28】
【0442】
(J−l)第2段階の陽極酸化処理
図1に示す構造の直流電解による陽極酸化装置を用いて第2段階の陽極酸化処理を行った。表Xに示す「第2陽極酸化処理」欄の条件にて陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
【0443】
【表29】
【0444】
(J−m)親水化処理
非画像部の親水性を確保するため、2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて50℃で7秒間にわたって得られたアルミニウム板をディップしてシリケート処理を施した。Siの付着量は8.5mg/m
2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0445】
支持体4〜15について、上記で得られた陽極酸化皮膜のアルミニウム板側とは反対側の表面におけるマイクロポアの平均径を表Yにまとめて示す。
【0446】
なお、マイクロポアの平均径は、表面を倍率15万倍のFE−SEMでN=4枚観察し、得られた4枚の画像において、400×600nm
2の範囲に存在するマイクロポアの径(直径)を測定し、平均した値である。
なお、マイクロポアの形状が円状でない場合は、円相当径を用いる。「円相当径」とは、開口部の形状を、開口部の投影面積と同じ投影面積をもつ円と想定したときの円の直径である。
【0447】
【表30】
【0448】
〔実施例49〕
<バックコート層の形成>
(バックコート層塗布液(49)の調製)
・三菱ケミカル製、BR-605(アクリル樹脂) 11.072g
・クニミネ工業(株)製、スメクトン−SEN(平板粒子) 0.500g
・根上工業製、アクリル粒子 アートパールJ−6PF 0.975g
・花王(株)製、レオドールTW-S106V(ポリオキシエチレン(6)ソルビタンモノステアレート) 0.250g
・2−ブタノン 74.123g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.720g
・メタノール 4.360g
上記成分を混合、撹拌して、バックコート層塗布液(49)を調製した。
【0449】
支持体1のバックコート層側(非印刷面側)の表面に、上記組成のバックコート層塗布液(49)をバー塗布し、100℃で120秒間乾燥し、厚さ1.2μmのバックコート層を形成した。
【0450】
<下塗り層の形成>
支持体1の他方(印刷面側)の表面に、上記組成の下塗り層塗布液(1)を乾燥塗布量が20mg/m
2になるよう塗布して、下塗り層を形成した。
【0451】
<画像記録層の形成>
バックコート層及び下塗り層を有する上記支持体の下塗り層上に、上記組成の画像記録層塗布液(2)をバー塗布した後、70℃で60秒オーブン乾燥し、乾燥塗布量0.6g/m
2の画像記録層(ポリマー含有層1)を形成して、平版印刷用原版を作成した。
【0452】
〔実施例50〜58〕
実施例49の支持体を表2のように変更した以外は実施例49と同様にしてバックコート層、下塗り層及び画像記録層を形成して、平版印刷版原版を作製した。
【0453】
〔実施例59〕
<バックコート層の形成>
支持体2のバックコート層側(非印刷面側)の表面に、実施例49のバックコート層塗布液(49)をバー塗布し、100℃で120秒間乾燥し、厚さ1.2μmのバックコート層を形成した。
【0454】
<画像記録層の形成>
下記熱可塑性ポリマー粒子、赤外線吸収剤及びポリアクリル酸を含有する画像記録層水系塗布液を調製し、pHを3.6に調整した後、支持体2の印刷面側の表面上に塗布し、50℃で1分間乾燥して画像記録層を形成して作製した。各成分の乾燥後の塗布量を以下に示す。
【0455】
熱可塑性ポリマー粒子: 0.7g/m
2
赤外線吸収剤 IR−01: 1.20×10−4g/m
2
ポリアクリル酸: 0.09g/m
2【0456】
画像記録層塗布液に用いた熱可塑性ポリマー粒子、赤外線吸収剤IR−01、ポリアクリル酸は上記に示す通りである。
【0457】
〔実施例60〕
<バックコート層の形成>
支持体3のバックコート層側(非印刷面側)の表面に、実施例49のバックコート層塗布液(49)をバー塗布し、100℃で120秒間乾燥し、厚さ1.2μmのバックコート層を形成した。
【0458】
<下塗り層の形成>
支持体3の印刷面側の表面に、下塗り層塗布液(1)を乾燥塗布量が20mg/m
2になるよう塗布して、下塗り層を形成した。
【0459】
下塗り層上に、上記組成の画像記録層塗布液(3)をバー塗布した後、100℃で60秒オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m
2の画像記録層を形成した。
【0460】
<保護層の形成>
画像記録層上に、上記組成の保護層塗布液(1)をバー塗布した後、120℃で60秒オーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/m
2の保護層を形成して平版印刷版原版を作製した。
【0461】
〔実施例61〕
<バックコート層の形成>
支持体3のバックコート層側(非印刷面側)の表面に、実施例49のバックコート層塗布液(49)をバー塗布し、100℃で120秒間乾燥し、厚さ1.2μmのバックコート層を形成した。
<下塗り層の形成>
実施例61の作製に用いたバックコート層を有する支持体3の印刷面側の表面に、上記組成の下塗り層塗布液(2)をワイヤーバーにて塗布し、90℃で30秒間乾燥した。塗布量は10mg/m
2であった。
【0462】
<画像記録層の形成>
上記組成の画像記録層塗布液(4)を、下塗り層上にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間行った。乾燥後の被覆量は1.4g/m
2であった。
【0463】
<保護層の形成>
画像記録層上に、上記組成の保護層塗布液(2)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で75秒間乾燥させたて保護層を形成した。乾燥後の塗布量は1.6g/m
2であった。かくして実施例61の平版印刷版原版を作製した。
【0464】
〔実施例62〕
<バックコート層の形成>
支持体3のバックコート層側(非印刷面側)の表面に、実施例49のバックコート層塗布液(49)をバー塗布し、100℃で120秒間乾燥し、厚さ1.2μmのバックコート層を形成した。
<下塗り層の形成>
実施例62の作製に用いたバックコート層を有する支持体3の印刷面側の表面に、上記組成の下塗り層塗布液(3)をバーコーターで塗布し、80℃で15秒間乾燥し、乾燥後の塗布量が18mg/m
2の下塗り層を形成した。
【0465】
<画像記録層の形成>
下塗り層上に、下記組成の下層塗布液を乾燥後の塗布量が0.85g/m
2になるようバーコーターで塗布し、160℃で44秒間乾燥し、直ちに17〜20℃の冷風で支持体の温度が35℃になるまで冷却して下層を形成した。その後、下記組成の上層塗布液を乾燥後の塗布量が0.22g/m
2になるようにバーコーターで塗布し、148℃で25秒間乾燥し、更に20〜26℃の風で徐冷して上層を形成した。かくして実施例62の平版印刷版原版を作製した。
【0466】
(下層塗布液)
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル 2.1g
(36/34/30質量%:質量平均分子量50000、
酸価2.65)
・m,p−クレゾールノボラック 0.1g
(m/p比=6/4、質量平均分子量4500、
未反応クレゾール0.8質量%含有、Tg:75℃)
・シアニン染料A(下記構造) 0.13g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.13g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.19g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸
に変えた染料 0.078g
・フッ素系界面活性剤B(下記構造) 0.007g
・メチルエチルケトン 25.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.0g
・γ−ブチロラクトン 13.0g
【0467】
【化27】
【0468】
【化28】
【0469】
(上層塗布液)
・フェノール/m−クレゾール/p−クレゾールノボラック 0.35g
(モル比=5/3/2、質量平均分子量:5000、
未反応クレゾール:1.2質量%含有、Tg:70℃)
・アクリル系樹脂C(下記構造) 0.042g
・シアニン染料A(上記構造) 0.019g
・アンモニウム化合物D(下記構造) 0.004g
・スルホニウム化合物G(下記構造) 0.032g
・フッ素系界面活性剤B(上記構造) 0.0045g
・フッ素系界面活性剤E(下記構造) 0.0033g
・フッ素系ポリマーF(下記構造) 0.018g
・メチルエチルケトン 10.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 20.0g
【0470】
【化29】
【0471】
〔実施例63〕
<バックコート層の形成>
支持体3のバックコート層側(非印刷面側)の表面に、実施例49のバックコート層塗布液(49)をバー塗布し、100℃で120秒間乾燥し、厚さ1.2μmのバックコート層を形成した。
【0472】
<下塗り層の形成>
実施例63の作製に用いたバックコート層を有する支持体3の印刷面側の表面に、上記組成の下塗り層塗布液(4)をバーコーターで塗布し、80℃で15秒間乾燥し、乾燥後の塗布量が18mg/m
2の下塗り層を形成した。
【0473】
<非感光性層の形成>
下塗り層の上に、上記組成の非感光性層塗布液(1)をバー塗布し、100℃で60秒間乾燥し、乾燥後の塗布量が1.0mg/m
2の非感光性層を形成した。
<親水性層の形成>
非感光性層の上に、上記組成の親水性層塗布液(1)をバー塗布し、125℃で75秒間乾燥し、乾燥後の塗布量が1.6mg/m
2の非感光性層を形成した。かくして実施例63の印刷用捨て版原版を作製した。
【0474】
〔実施例64〕
実施例60の作製において、画像記録層塗布液(3)から赤外線吸収剤(1)と重合開始剤(1)を除く以外は同様にして、実施例64の印刷用捨て版原版を作製した。
【0475】
〔実施例65〕
<バックコート層の形成>
支持体13のバックコート層側(非印刷面側)の表面に、実施例49のバックコート層塗布液(49)をバー塗布し、100℃で120秒間乾燥し、厚さ1.2μmのバックコート層を形成した。
<下塗り層の形成>
実施例65の作製に用いたバックコート層を有する支持体13の印刷面側の表面に、下記組成の下塗り層塗布液(65)を乾燥塗布量が20mg/m
2になるよう塗布して、下塗り層を形成した。
【0476】
(下塗り層塗布液(65))
・下塗り層用化合物(2)(下記構造):0.18部
・エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム:0.10部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル:0.03部
・水:61.39部
【0477】
【化30】
【0478】
上記下塗り層用化合物(2)における各構成単位の括弧の右下の数値は、質量比を表し、エチレンオキシ単位の括弧の右下の数値は、繰り返し数を表す。
【0479】
<画像記録層の形成>
下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(65)をバー塗布し、100℃で60秒間オーブン乾燥し、厚さ1μmの画像記録層3を形成した。
画像記録層塗布液(65)は、下記感光液(2)及びミクロゲル液(2)を塗布直前に混合し撹拌することにより得た。
【0480】
<感光液(2)>
・バインダーポリマー(2)(下記構造、Mw:50,000、n(エチレンオキサイド(EO)繰り返し単位数):4):0.480部
・赤外線吸収剤(1)(上記):0.030部
・ボレート化合物(テトラフェニルホウ酸ナトリウム):0.014部
・重合開始剤(1)(上記):0.234部
・重合性化合物(トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、NKエステルA−9300、新中村化学工業(株)製):0.192部
・低分子親水性化合物(1)(トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート):0.052部
・アニオン界面活性剤1(上記):0.099部
・感脂化剤 ホスホニウム化合物(1)(下記構造):0.12部
・感脂化剤 アンモニウム基含有ポリマー(下記構造、還元比粘度44ml/g):0.035部
・感脂化剤 ベンジルジメチルオクチルアンモニウム・PF
6塩:0.032部
・着色剤 エチルバイオレット(下記構造):0.030部
・フッ素系界面活性剤(1)(上記):0.02部
・2−ブタノン:1.091部
・1−メトキシ−2−プロパノール:8.609部
【0481】
【化31】
【0482】
上記バインダーポリマー(2)及びアンモニウム基含有ポリマーの各構成単位の括弧の右下の数字は、モル比を表す。Meはメチル基を表す。
【0483】
【化32】
【0484】
【化33】
【0485】
<ミクロゲル液(2)>
・ミクロゲル(2):1.580部
・蒸留水:1.455部
【0486】
(ミクロゲル(2)の調製)
上記ミクロゲル液(2)に用いたミクロゲル(2)の調製法を以下に示す。
【0487】
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナートとの付加体(三井化学ポリウレタン(株)製、タケネートD−110N)10部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー・ジャパン(株)製、SR399)5.54部及びパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1部を酢酸エチル17部に溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液40部を調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25部に添加し、室温(25℃、以下同様)で30分撹拌後、50℃で3時間撹拌した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、上記ミクロゲル(2)を調製した。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
【0488】
<保護層の形成>
上記画像記録層上に、更に下記組成の保護層塗布液(65)をバー塗布した後、120℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/m
2の保護層を形成して平版印刷版原版を得た。
【0489】
<保護層用塗布液(65)>
・無機質層状化合物分散液(1)(上記で得たもの):1.5部
・親水性ポリマー(1)(固形分)〔下記構造、Mw:3万〕:0.55部
・ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製CKS50、スルホン酸変性、けん化度99モル%以上、重合度300)6質量%水溶液:0.10部
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−405、けん化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液:0.03部
・界面活性剤(ラピゾールA−80、商品名:日油(株)製)80質量%水溶液:0.011部
・イオン交換水:6.0部
【0490】
【化34】
【0491】
なお、上記親水性ポリマー(1)の各構成単位の括弧の右下の数字はモル比を表す。
【0492】
〔実施例66〕
<バックコート層の形成>
支持体14のバックコート層側(非印刷面側)の表面に、実施例49のバックコート層塗布液(49)をバー塗布し、100℃で120秒間乾燥し、厚さ1.2μmのバックコート層を形成した。
【0493】
<画像記録層の形成>
実施例66の作製に用いたバックコート層を有する支持体14の印刷面側の表面に、下記組成の画像記録層塗布液(66)をバー塗布し、120℃で40秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m
2の画像記録層を形成した。
【0494】
<画像記録層塗布液(66)>
・バインダーポリマー(4)(下記構造):4.09質量部
・SR399:2.66質量部
・NK−Ester A−DPH:2.66質量部
・CD9053:0.53質量部
・ビス−t−ブチルフェニルヨードニウム テトラフェニルボレート:0.96質量部
・Fluor N2900:0.11質量部
・Pigment 1(下記構造):0.73質量部
・赤外線吸収剤(4)(下記構造):0.27質量部
・ホスマーPE(ユニケミカル(株)社製):0.55質量部
・イオン交換水:13.77質量部
・1−メトキシ−2−プロパノール:48.18質量部
・2−ブチロラクトン:13.77質量部
・2−ブタノン:61.94質量部
【0495】
【化35】
【0496】
【化36】
【0497】
【化37】
【0498】
Pigment 1は上記成分(顔料、ポリマー及び分散剤)からなる混合物である。Disperbyk 167はByk Chemie社より入手可能な分散剤である。
【0499】
SR−399:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(Sartomer社製)
NK−Ester A−DPH:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学(株)製)
CD9053:酸変性アクリレート(三官能)(Sartomer社製)
Fluor N2900:界面活性剤 Cytnoix社より入手可能)
ホスマーPE(ユニケミカル(株)社製):下記構造
【0500】
【化38】
【0501】
<保護層の形成>
画像記録層上に、下記組成の保護層塗布液(66)をバー塗布し、120℃で60秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量0.5g/m
2の保護層を形成して、平版印刷版原版を得た。
【0502】
(保護層塗布液(66))
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製、PVA−405、ケン化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液:66.33質量部
・界面活性剤(Masurf 1520、Pilot Chemical社製):0.02質量部
・イオン交換水:8.65質量部
【0503】
〔実施例67〕
<バックコート層の形成>
支持体2のバックコート層側(非印刷面側)の表面に、実施例49のバックコート層塗布液(49)をバー塗布し、100℃で120秒間乾燥し、厚さ1.2μmのバックコート層を形成した。
【0504】
<画像記録層の形成>
実施例67の作製に用いたバックコート層を有する支持体2の印刷面側の表面に、下記組成の画像記録層塗布液(67)をバー塗布し、90℃で60秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m
2の画像記録層を形成した。
【0505】
<画像記録層塗布液(67)>
・バインダーポリマー(4)(上記):0.23質量部
・ウレタンメタクリレートオリゴマー(グリセロールジメチルアクリレート、グリセロールモノメチルアクリレート、プロピレングリコールメタクリレート、及び、ヘキサメチレンジイソシアネートの反応により形成):0.38質量部
・エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業(株)製:NKエステルBPE500):0.06質量部
・重合開始剤(5)(下記構造):0.07質量部
・増感色素(5)(下記構造):0.04質量部
・連鎖移動剤(メルカプトベンゾチアゾール):0.005質量部
・顔料(へリオゲンブルー7565のポリマー分散物):0.038質量部
・界面活性剤(BYK社製:BYK307):0.002質量部
・フェノキシエタノール:10.35質量部
・アセトン:1.15質量部
【0506】
【化39】
【0507】
【化40】
【0508】
<保護層の形成>
画像記録層上に、下記組成の保護層塗布液(67)をバー塗布し、125℃で70秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.8g/m
2の保護層を形成した。
【0509】
(保護層塗布液(67))
・PVA−1(ゴーセランL−3266、日本合成化学(株)製):0.61質量部
・PVA−2(ニチゴー G−ポリマー AZF8035、日本合成化学(株)製):0.32質量部
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製):0.002質量部
・水:13質量部
【0510】
〔実施例68〕
<バックコート層の形成>
支持体15のバックコート層側(非印刷面側)の表面に、実施例49のバックコート層塗布液(49)をバー塗布し、100℃で120秒間乾燥し、厚さ1.2μmのバックコート層を形成した。
<下塗り層の形成>
実施例68の作製に用いたバックコート層を有する支持体15の印刷面側の表面に、下記組成の下塗り層塗布液(68)を乾燥塗布量が26mg/m
2になるよう塗布して、下塗り層を形成した。
【0511】
(下塗り層塗布液(68))
・下塗り層用化合物(2)(下記構造):0.13質量部
・ヒドロキシエチルイミノ二酢酸:0.05質量部
・エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム:0.05質量部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル:0.03質量部
・水:61.39質量部
【0512】
【化41】
【0513】
上記下塗り層用化合物(2)における各構成単位の括弧の右下の数値は、質量比を表し、エチレンオキシ単位の括弧の右下の数値は、繰り返し数を表す。
【0514】
<画像記録層の形成>
下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(68)をバー塗布した後、100℃で60秒オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.2g/m
2の画像記録層を形成した。
画像記録層塗布液(68)は下記感光液(3)及びミクロゲル液(4)を塗布直前に混合し撹拌することにより得た。
(画像記録層塗布液(68))
(感光液(3))
・バインダーポリマー(6) 23質量% 1−メトキシ−2−プロパノール溶液(下記構造、Mw:35,000、n(エチレンオキサイド(EO)繰り返し単位数):0.3755部
・バインダーポリマー(7) 23質量% 1−メトキシ−2−プロパノール溶液(下記構造、Mw:35,000、n(エチレンオキサイド(EO)繰り返し単位数):0.3755部
・赤外線吸収剤(1)(下記構造):0.0278部
・ボレート化合物(1)(テトラフェニルホウ酸ナトリウム):0.015部
・重合開始剤(1)(下記構造):0.2348部
・重合性化合物(1)(トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、NKエステルA−9300 40% 2−ブタノン溶液、新中村化学工業(株))製):0.2875部
・低分子親水性化合物(1)
(トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート):0.0287部
・低分子親水性化合物(2)(トリメチルグリシン):0.0147部
・アニオン性界面活性剤1 30質量%水溶液(下記構造):0.25部
・紫外線吸収剤(1)(TINUVIN405、BASF(株)社製)(下記構造):0.04部
・フッ素系界面活性剤(1)(下記構造):0.004部
・ホスホニウム化合物(1)(下記構造):0.020部
・2−ブタノン:5.346部
・1−メトキシ−2−プロパノール:3.128部
・メタノール:0.964部
・純水:0.036部
【0515】
(ミクロゲル液(4))
・ミクロゲル(4)(固形分濃度21.8質量%):2.243部
・1−メトキシ−2−プロパノール:0.600部
【0516】
(ミクロゲル(4)の作製)
上記ミクロゲル液に用いたミクロゲル(1)の調製法を以下に示す。
【0517】
<多価イソシアネート化合物(1)の調製>
イソホロンジイソシアネート17.78部(80モル当量)と下記多価フェノール化合物(1)7.35部(20モル当量)との酢酸エチル(25.31部)懸濁溶液に、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)(ネオスタン U−600、日東化成(株)製)0.043部を加えて撹拌した。発熱が収まった時点で反応温度を50℃に設定し、3時間撹拌して多価イソシアネート化合物(1)の酢酸エチル溶液(50質量%)を得た。
【0518】
【化42】
【0519】
<ミクロゲル(4)の調製>
下記油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を45℃で4時間撹拌後、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン−オクチル酸塩(U−CAT SA102、サンアプロ(株)製)の10質量%水溶液5.20部を加え、室温で30分撹拌し、45℃で24時間静置した。蒸留水で、固形分濃度を21.8質量%になるように調整し、ミクロゲル(4)の水分散液を得た。動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500((株)堀場製作所製)を用いて、光散乱法により体積平均粒径を測定したところ、0.28μmであった。
【0520】
(油相成分)
(成分1)酢酸エチル:12.0部
(成分2)トリメチロールプロパン(6モル)とキシレンジイソシアネート(18モル)を付加させ、これにメチル片末端ポリオキシエチレン(1モル、オキシエチレン単位の繰返し数:90)を付加させた付加体(50質量%酢酸エチル溶液、三井化学(株)製):3.76部
(成分3)多価イソシアネート化合物(1)(50質量%酢酸エチル溶液として):15.0部
(成分4)ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(SR−399、サートマー社製)の65質量%酢酸エチル溶液:11.54部
(成分5)スルホン酸塩型界面活性剤(パイオニンA−41−C、竹本油脂(株)製)の10%酢酸エチル溶液:4.42部
【0521】
(水相成分)
蒸留水:46.87部
【0522】
<バインダーポリマー(6)の合成>
三口フラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール:78.0gを秤取り、窒素気流下、70℃に加熱した。この反応容器に、ブレンマーPME−100(メトキシジエチレングリコールモノメタクリレート、日本油脂(株)製):52.1g、メチルメタクリレート:21.8g、メタクリル酸:14.2g、ヘキサキス(3−メルカプトプロピオン酸)ジペンタエリスリトール:2.15g、V−601(2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、和光純薬工業(株)製):0.38g、1−メトキシ−2−プロパノール:54gからなる混合溶液を2時間30分かけて滴下した。滴下終了後、80℃に昇温し、更に2時間反応を続けた。V−601:0.04g、1−メトキシ−2−プロパノール:4gから成る混合溶液を加え、90℃に昇温して2.5時間反応を続けた。反応終了後、室温まで反応液を冷却した。
上記の反応溶液に1−メトキシ−2−プロパノール:137.2g、4−ヒドロキシテトラメチルピペリジン−N−オキシド:0.24g、グリシジルメタクリレート:26.0g、テトラエチルアンモニウムブロミド:3.0gを加えてよく撹拌した後、90℃にて加熱した。
18時間後、室温(25℃)まで反応溶液を冷却した後、1−メトキシ−2−プロパノール:99.4gを加えて希釈した。
こうして得られたバインダーポリマー(6)は、固形分濃度:23質量%、GPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量は3.5万であった。
【0523】
【化43】
【0524】
<バインダーポリマー(7)の合成>
三口フラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール:78.00gを秤取り、窒素気流下、70℃に加熱した。この反応容器に、ブレンマーPME−100(メトキシジエチレングリコールモノメタクリレート、日本油脂(株)製):52.8g、メチルメタクリレート:2.8g、メタクリル酸:25.0g、ヘキサキス(3−メルカプトプロピオン酸)ジペンタエリスリトール:6.4g、V−601(2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、和光純薬工業(株)製):1.1g、1−メトキシ−2−プロパノール:55gからなる混合溶液を2時間30分かけて滴下した。滴下終了後、80℃に昇温し、更に2時間反応を続けた。2時間後、V−601:0.11g、1−メトキシ−2−プロパノール:1gから成る混合溶液を加え、90℃に昇温して2.5時間反応を続けた。反応終了後、室温まで反応液を冷却した。
上記の反応溶液に1−メトキシ−2−プロパノール:177.2g、4−ヒドロキシテトラメチルピペリジン−N−オキシド:0.28g、グリシジルメタクリレート:46.0g、テトラブチルアンモニウムブロミド:3.4gを加えてよく撹拌した後、90℃にて加熱した。
18時間後、室温(25℃)まで反応溶液を冷却した後、4−メトキシフェノールを0.06g、1−メトキシ−2−プロパノール:114.5gを加えて希釈した。
こうして得られたバインダーポリマー(7)は、固形分濃度:23質量%、GPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量は1.5万であった。
【0525】
【化44】
【0526】
【化45】
【0527】
【化46】
【0528】
<保護層の形成>
画像記録層上に、下記組成の保護層用塗布液(68)をバー塗布した後、120℃で60秒オーブン乾燥し、乾燥塗布量0.18g/m
2の保護層を形成して平版印刷版原版を作製した。
【0529】
(保護層用塗布液(68))
・無機層状化合物分散液(1) 2.290部
・ポリビニルアルコール(CKS50、日本合成化学工業(株)製、スルホン酸変性、けん化度99モル%以上、重合度300)6質量%水溶液
1.083部
・界面活性剤(ラピゾールA−80(下記構造)、日油(株)製、80質量%水溶液) 0.015部
・リン酸(85質量%水溶液) 0.032部
・リン酸水素二アンモニウム 0.044部
・純水 4.517部
【0530】
【化47】
【0531】
〔実施例69〕
<バックコート層の形成>
支持体15のバックコート層側(非印刷面側)の表面に、実施例49のバックコート層塗布液(49)をバー塗布し、100℃で120秒間乾燥し、厚さ1.2μmのバックコート層を形成した。
【0532】
<下塗り層の形成>
実施例69の作製に用いたバックコート層を有する支持体15の印刷面側の表面に、上記組成の下塗り層塗布液(68)を乾燥塗布量が26mg/m
2になるよう塗布して、下塗り層を形成した。
【0533】
<画像記録層の形成>
実施例68の画像記録層塗布液(68)のバインダーポリマー(6)とバインダーポリマー(7)の量をそれぞれ0.2891部、0.4574部に変えた以外は、実施例68と同様にして、画像記録層を形成した。
【0534】
<保護層の形成>
画像記録層上に、下記組成の保護層用塗布液(69)をバー塗布した後、120℃で60秒オーブン乾燥し、乾燥塗布量0.18g/m
2の保護層を形成して平版印刷版原版を作製した。
【0535】
(保護層用塗布液(69))
・無機層状化合物分散液(1) 2.212部
・ポリビニルアルコール(ゴーセランL−3266、日本合成化学工業(株)製、
スルホン酸変性、けん化度85モル%)6質量%水溶液 1.440部
・界面活性剤(パイオニンA−32−B(下記構造)、竹本油脂(株)製、
40質量%水溶液) 0.014部
・界面活性剤(サーフィノール465(下記構造)、日信化学(株)製)
0.006部
・リン酸(85質量%水溶液) 0.023部
・リン酸水素二アンモニウム 0.032部
・純水 3.983部
【0536】
【化48】
【0537】
〔実施例70〕
<バックコート層の形成>
バックコート層塗布液(49)中の平板粒子の添加量を表2のように変更した以外は実施例49と同様にしてバックコート層を形成した。
【0538】
<下塗り層の形成>
実施例70の作製に用いたバックコート層を有する支持体15の印刷面側の表面に、上記組成の下塗り層塗布液(68)を乾燥塗布量が26mg/m
2になるよう塗布して、下塗り層を形成した。
【0539】
<画像記録層の形成>
実施例68の画像記録層塗布液(68)のバインダーポリマー(6)とバインダーポリマー(7)の量をそれぞれ0.2891部、0.4574部に変えた以外は、実施例68と同様にして、画像記録層を形成した。
【0540】
<保護層の形成>
画像記録層上に、上記組成の保護層用塗布液(69)をバー塗布した後、120℃で60秒オーブン乾燥し、乾燥塗布量0.18g/m
2の保護層を形成して平版印刷版原版を作製した。
【0541】
〔実施例71〕
<バックコート層の形成>
バックコート層塗布液(49)中の平板粒子の添加量を表2のように変更した以外は実施例49と同様にしてバックコート層を形成した。
【0542】
<下塗り層の形成>
実施例71の作製に用いたバックコート層を有する支持体15の印刷面側の表面に、上記組成の下塗り層塗布液(68)を乾燥塗布量が26mg/m
2になるよう塗布して、下塗り層を形成した。
【0543】
<画像記録層の形成>
実施例68の画像記録層塗布液(68)のバインダーポリマー(6)とバインダーポリマー(7)の量をそれぞれ0.2891部、0.4574部に変えた以外は、実施例68と同様にして、画像記録層を形成した。
【0544】
<保護層の形成>
画像記録層上に、上記組成の保護層用塗布液(69)をバー塗布した後、120℃で60秒オーブン乾燥し、乾燥塗布量0.18g/m
2の保護層を形成して平版印刷版原版を作製した。
【0545】
〔実施例72〕
<バックコート層の形成>
バックコート層塗布液(49)中の平板粒子の添加量を表2のように変更した以外は実施例49と同様にしてバックコート層を形成した。
【0546】
<下塗り層の形成>
実施例72の作製に用いたバックコート層を有する支持体15の印刷面側の表面に、上記組成の下塗り層塗布液(68)を乾燥塗布量が26mg/m
2になるよう塗布して、下塗り層を形成した。
【0547】
<画像記録層の形成>
実施例68の画像記録層塗布液(68)のバインダーポリマー(6)とバインダーポリマー(7)の量をそれぞれ0.2891部、0.4574部に変えた以外は、実施例68と同様にして、画像記録層を形成した。
【0548】
<保護層の形成>
画像記録層上に、上記組成の保護層用塗布液(69)をバー塗布した後、120℃で60秒オーブン乾燥し、乾燥塗布量0.18g/m
2の保護層を形成して平版印刷版原版を作製した。
【0549】
〔印刷用原版の評価〕
各実施例、比較例で得た印刷用原版(平版印刷版原版、印刷用捨て版原版)について、同様に、耐引っ掻き傷性、耐擦り剥がれ性、及び、平板粒子を含有する層の算術平均高さSaの測定について評価を行った。
評価結果を下記表2に示す。
【0550】
【表31】
【0551】
【表32】