特許第6937604号(P6937604)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937604
(24)【登録日】2021年9月2日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】タングステン膜を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/14 20060101AFI20210909BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20210909BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20210909BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20210909BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20210909BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20210909BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   C23C16/14
   C23C16/455
   H01L21/285 C
   H01L21/285 301
   H01L21/28 301R
   H01L21/88 R
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-87176(P2017-87176)
(22)【出願日】2017年4月26日
(65)【公開番号】特開2018-184637(P2018-184637A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2019年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】前川 浩治
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 崇
(72)【発明者】
【氏名】青山 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】有馬 進
(72)【発明者】
【氏名】松本 淳志
(72)【発明者】
【氏名】柴田 直樹
【審査官】 宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−080891(JP,A)
【文献】 特表2011−526966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/14
C23C 16/455
H01L 21/285
H01L 21/28
H01L 21/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングステン膜を形成する方法であって、
基板上に金属を含む不連続膜を形成する工程と、
前記不連続膜がその上に形成された前記基板上にタングステン膜を形成する工程と、
を含み、
前記不連続膜は窒化チタンを含み、前記基板の表面の複数の箇所に形成された前記金属を含む核又はアイランドである、方法。
【請求項2】
不連続膜を形成する前記工程は、キャリアガス共に、前記金属を含有する第1の原料ガスと窒化ガスとを前記基板に交互に供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の原料ガスは、四塩化チタンガスである、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記窒化ガスは、アンモニアガスである、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記キャリアガスは、窒素ガスである、請求項2〜4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
タングステン膜を形成する前記工程は、キャリアガス共に、タングステンを含有する第2の原料ガスと還元ガスとを、前記不連続膜がその上に形成された前記基板に交互に供給することを含む、請求項1〜の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の原料ガスは、六フッ化タングステンガスである、請求項に記載の方法。
【請求項8】
タングステン膜を形成する前記工程において用いられる前記還元ガスは、水素ガスである、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
タングステン膜を形成する前記工程において用いられる前記キャリアガスは、希ガスである、請求項6〜8の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、タングステン膜を形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスといった電子デバイスの製造においては、基板上に金属膜の形成が行われる。金属膜は、例えば配線層として用いられる。このような金属膜としてはタングステン膜が知られている。
【0003】
タングステン膜を形成する方法は、下記の特許文献1〜3に記載されている。特許文献1及び2に記載された方法では、タングステン又は窒化チタンから形成された下地膜に対してプラズマ処理が適用される。そして、プラズマ処理により改質された下地膜の表面上にタングステン膜が形成される。特許文献3に記載された方法では、窒化チタンから形成された下地膜上に初期のタングステン膜が形成される。そして、初期のタングステン膜上に主タングステン膜が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−182961号公報
【特許文献2】特開2014−67866号公報
【特許文献3】特開2016−186094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、タングステン膜は例えば配線層として用いられる。したがって、タングステン膜の抵抗は低いことが要求される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様においては、タングステン膜を形成する方法が提供される。この方法は、基板上に金属を含む不連続膜を形成する工程と、不連続膜がその上に形成された基板上にタングステン膜を形成する工程と、を含む。
【0007】
不連続膜は、基板の表面の複数の箇所に形成された金属の核又はアイランドから構成される。換言すると、不連続膜は、基板上にドット状に形成された活性点を提供する。このような不連続膜がその上に形成された基板上にタングステン膜(連続膜)が形成されると、当該タングステン膜の結晶粒のサイズが大きくなる。したがって、一態様に係る方法によれば、低い抵抗を有するタングステン膜が提供される。
【0008】
一実施形態において、不連続膜は窒化チタンを含む。一実施形態において、不連続膜を形成する工程は、キャリアガス共に、金属を含有する第1の原料ガスと窒化ガスとを基板に交互に供給することを含む。一実施形態において、第1の原料ガスは、四塩化チタンガスであってもよい。一実施形態において、窒化ガスは、アンモニアガスであってもよい。一実施形態において、キャリアガスは、窒素ガスであってもよい。キャリアガスとして窒素ガスが用いられると、第1の原料ガスの供給と窒化ガスの供給を含む各シーケンスにおいて基板上に堆積する窒化チタンの粒子のサイズが少なくなる。したがって、上述した不連続膜が容易に形成され得る。
【0009】
一実施形態において、タングステン膜を形成する工程は、キャリアガス共に、タングステンを含有する第2の原料ガスと還元ガスとを、不連続膜がその上に形成された基板に交互に供給することを含む。一実施形態において、第2の原料ガスは、六フッ化タングステンガスであってもよい。一実施形態において、タングステン膜の形成に用いられる還元ガスは、水素ガスであってもよい。一実施形態において、タングステン膜の形成に用いられるキャリアガスは、希ガスであってもよい。キャリアガスとして窒素ガスが用いられる場合に比して、キャリアガスとして希ガスが用いられる場合には、タングステン膜中のタングステンの結晶粒のサイズが大きくなる。したがって、キャリアガスとして希ガスが用いられると、より低い抵抗を有するタングステン膜が形成される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、低い抵抗を有するタングステン膜を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る、タングステン膜を形成する方法を示す流れ図である。
図2図1に示す方法が適用され得る例示の基板の一部を拡大して示す断面図である。
図3図3の(a)は、図1に示す方法の工程ST1の実行後の例示の基板の一部を拡大して示す断面図であり、図3の(b)は、図1に示す方法の工程ST2の実行後の例示の基板の一部を拡大して示す断面図である。
図4図1に示す方法の工程ST1の一実施形態を示す流れ図である。
図5図1に示す方法の工程ST2の一実施形態を示す流れ図である。
図6図1に示す方法の実行において用いることが可能な例示の処理システムを示す図である。
図7図1に示す方法の実行において用いることが可能な例示の成膜装置を示す図である。
図8図1に示す方法の実行において用いることが可能な別の例示の成膜装置を示す図である。
図9】第1の実験の結果を示すグラフである。
図10】第2の実験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0013】
図1は、一実施形態に係る、タングステン膜を形成する方法を示す流れ図である。図1に示す方法MTは、基板上にタングステン膜を形成するために実行される。方法MTにより形成されるタングステン膜は、例えば配線層として用いられる。
【0014】
図2は、図1に示す方法が適用され得る例示の基板の一部を拡大して示す断面図である。図2に示す基板100は、下地層102及び絶縁層104を有している。絶縁層104は下地層102上に設けられている。絶縁層104は、酸化シリコンといった絶縁材料から形成されている。絶縁層104には、開口が形成されている。開口は、ホール又は溝であり得る。
【0015】
以下、方法MTを、当該方法MTが基板100に対して適用される場合を例にとって、説明する。なお、方法MTはその上にタングステン膜を形成することが必要な任意の基板に対して適用され得る。以下の説明では、図1に加えて図3の(a)及び図3の(b)を参照する。図3の(a)は、図1に示す方法の工程ST1の実行後の例示の基板の一部を拡大して示す断面図であり、図3の(b)は、図1に示す方法の工程ST2の実行後の例示の基板の一部を拡大して示す断面図である。
【0016】
図1に示すように、方法MTは、工程ST1及び工程ST2を含んでいる。工程ST1では、金属の不連続膜106が基板100上に形成される。工程ST1では、チャンバ内に収容された基板100に対する成膜処理により、不連続膜106が形成される。不連続膜106は、基板100の表面の複数の箇所に形成された金属の核又はアイランドから構成される。換言すると、不連続膜106は、基板100上にドット状に形成された活性点を提供する。不連続膜106は、例えば、窒化チタンといったチタン含有物質、又は、窒化タングステンといったタングステン含有物質から形成される。
【0017】
図4は、図1に示す方法の工程ST1の一実施形態を示す流れ図である。図4に示す工程ST1では、キャリアガスと共に、第1の原料ガスと窒化ガスとが交互に基板100に対して供給される。図4に示す工程ST1は、工程ST11及び工程ST13を含む。図4に示す工程ST1は、工程ST11と工程ST13との間で実行される工程ST12、及び、工程ST13と工程ST11との間で実行される工程ST14を更に含んでいてもよい。図4に示す工程ST1では、工程ST11〜工程ST14を含むシーケンスが所定回数(所定サイクル数)実行される。
【0018】
図4に示す工程ST1は、基板100がチャンバ内に収容された状態で実行される。工程ST11では、基板100に対して第1の原料ガス及びキャリアガスが供給される。第1の原料ガスは、金属を含有する。第1の原料ガス中の金属は、例えばチタン又はタングステンであり得る。不連続膜106が金属としてチタンを含む場合には、第1の原料ガスは例えば四塩化チタン(TiCl)ガスであり得る。不連続膜106が金属としてタングステンを含む場合には、第1の原料ガスは例えば六フッ化タングステン(WF)ガス又は六塩化タングステン(WCl)ガスであり得る。キャリアガスは、不活性ガスである。キャリアガスは、一実施形態では、窒素(N)ガスである。キャリアガスは、アルゴンガスといった希ガスであってもよい。この工程ST11により、第1の原料ガス中の金属を含有する第1の原料が基板100の表面上に堆積する。
【0019】
工程ST11における処理条件の範囲を以下に例示する。
工程ST11における第1の原料ガスの流量:20sccm〜200sccm
工程ST11におけるキャリアガスの流量:1000sccm〜18000sccm
工程ST11における基板の温度:300℃〜550℃
工程ST11におけるチャンバの圧力:250Pa〜1250Pa
各サイクルにおける工程ST11の処理時間:0.05秒〜5秒
【0020】
続く工程ST12では、チャンバのパージが実行される。即ち、チャンバ内のガスが第1の原料ガスからパージガスに置換される。工程ST12で用いられるパージガスは、不活性ガスである。工程ST12で用いられるパージガスは、工程ST11で用いられるキャリアガスと同一のガスであり得る。即ち、工程ST11と工程ST12では、連続して同一のキャリアガスがチャンバに供給され得る。なお、工程ST1の実行中に、即ち、工程ST11〜工程ST14にわたって、同一のキャリアガスがチャンバに供給されてもよい。
【0021】
続く工程ST13では、キャリアガスと共に窒化ガスが基板100に対して供給される。窒化ガスは例えばアンモニア(NH)ガスであり得る。キャリアガスは、一実施形態では、窒素(N)ガスである。キャリアガスは、アルゴンガスといった希ガスであってもよい。この工程ST13により、基板100上に存在する第1の原料中の金属が窒化される。
【0022】
工程ST13における処理条件の範囲を以下に例示する。
工程ST13における窒化ガスの流量:1000sccm〜9000sccm
工程ST13におけるキャリアガスの流量:1000sccm〜18000sccm
工程ST13における基板の温度:300℃〜550℃
工程ST13におけるチャンバの圧力:100Pa〜1250Pa
各サイクルにおける工程ST13の処理時間:0.05秒〜5秒
【0023】
続く工程ST14では、チャンバのパージが実行される。即ち、チャンバ内のガスが窒化ガスからパージガスに置換される。工程ST14で用いられるパージガスは、不活性ガスである。工程ST14で用いられるパージガスは、工程ST13で用いられるキャリアガスと同一のガスであり得る。
【0024】
続く工程ST15では、停止条件が満たされるか否かが判定される。停止条件は、工程ST11〜工程ST14を含むシーケンスの実行回数が所定回数(所定サイクル数)に達している場合に満たされる。所定回数は、例えば、5回以上20回以下であり得る。停止条件が満たされない場合には、再び工程ST11が実行される。停止条件が満たされる場合には、工程ST1の実行が終了する。工程ST1の実行が終了すると、図3の(a)に示すように、不連続膜106が基板100上に形成される。以下、不連続膜106がその上に形成された基板100を、基板100aという。
【0025】
方法MTでは、次いで、工程ST2が実行される。工程ST2では、基板100a、即ち、不連続膜106がその上に形成された基板100上にタングステン膜108が形成される。工程ST2では、基板100aに対して、チャンバ内において成膜処理が実行される。これにより、タングステン膜108が形成される。工程ST2において利用されるチャンバは、工程ST1において利用されるチャンバと同一であってもよく、異なっていてもよい。工程ST2において形成されるタングステン膜108は、タングステンから形成された連続膜である。即ち、タングステン膜108は、基板100aの表面を覆うように形成される。
【0026】
図5は、図1に示す方法の工程ST2の一実施形態を示す流れ図である。図5に示す工程ST2では、キャリアガスと共に、第2の原料ガスと還元ガスが基板100aに対して交互に供給される。図5に示す工程ST2は、工程ST21及び工程ST23を含む。図5に示す工程ST2は、工程ST21と工程ST23との間で実行される工程ST22、及び、工程ST23と工程ST21との間で実行される工程ST24を更に含んでいてもよい。図5に示す工程ST2では、工程ST21〜工程ST24を含むシーケンスが所定回数(所定サイクル数)実行される。
【0027】
図5に示す工程ST2は、基板100aがチャンバ内に収容された状態で実行される。工程ST21では、基板100aに対して第2の原料ガス及びキャリアガスが供給される。第2の原料ガスは、タングステンを含有する。第2の原料ガスは例えば六フッ化タングステン(WF)ガス又は六塩化タングステン(WCl)ガスであり得る。キャリアガスは、不活性ガスである。キャリアガスは、一実施形態では、希ガス、例えばアルゴンガスである。キャリアガスは、窒素ガス(Nガス)であってもよい。この工程ST21により、第2の原料ガス中のタングステンを含有する第2の原料が、基板100a上に堆積する。
【0028】
工程ST21における処理条件の範囲を以下に例示する。
工程ST21における第2の原料ガスの流量:50sccm〜450sccm
工程ST21におけるキャリアガスの流量:1000sccm〜9000sccm
工程ST21における基板の温度:300℃〜550℃
工程ST21におけるチャンバの圧力:100Pa〜1250Pa
各サイクルにおける工程ST21の処理時間:0.05秒〜5秒
【0029】
続く工程ST22では、チャンバのパージが実行される。即ち、チャンバ内のガスが第2の原料ガスからパージガスに置換される。工程ST22で用いられるパージガスは、不活性ガスである。工程ST22で用いられるパージガスは、工程ST21で用いられるキャリアガスと同一のガスであり得る。即ち、工程ST21と工程ST22では、連続して同一のキャリアガスがチャンバに供給され得る。なお、工程ST2の実行中に、即ち、工程ST21〜工程ST24にわたって、同一のキャリアガスがチャンバに供給されてもよい。
【0030】
続く工程ST23では、キャリアガスと共に還元ガスが基板100aに対して供給される。還元ガスは例えば水素(H)ガスであり得る。還元ガスは、第2の原料からタングステン以外の元素(例えば、フッ素)を取り除くことができれば、任意の還元ガスであってもよい。キャリアガスは、一実施形態では、希ガス、例えばアルゴンガスである。キャリアガスは、窒素(N)ガスであってもよい。この工程ST23により、第2の原料中のタングステン以外の元素が取り除かれ、基板100a上にタングステン膜が形成される。
【0031】
工程ST23における処理条件の範囲を以下に例示する。
工程ST23における還元ガスの流量:500sccm〜9000sccm
工程ST23におけるキャリアガスの流量:1000sccm〜9000sccm
工程ST23における基板の温度:300℃〜550℃
工程ST23におけるチャンバの圧力:100Pa〜1250Pa
各サイクルにおける工程ST23の処理時間:0.05秒〜5秒
【0032】
続く工程ST24では、チャンバのパージが実行される。即ち、チャンバ内のガスが還元ガスからパージガスに置換される。工程ST24で用いられるパージガスは、不活性ガスである。工程ST24で用いられるパージガスは、工程ST23で用いられるキャリアガスと同一のガスであり得る。
【0033】
続く工程ST25では、停止条件が満たされるか否かが判定される。停止条件は、工程ST21〜工程ST24を含むシーケンスの実行回数が所定回数(所定サイクル数)に達している場合に満たされる。所定回数は、形成するタングステン膜108の膜厚に依存するが、例えば、30回以上3000回以下であり得る。停止条件が満たされない場合には、再び工程ST21が実行される。停止条件が満たされる場合には、工程ST2の実行が終了する。工程ST2の実行が終了すると、基板100a上にタングステン膜108が形成され、図3の(b)に示す基板100bが得られる。
【0034】
上述した不連続膜106がその上に形成された基板100(基板100a)上にタングステン膜108が形成されると、当該タングステン膜108の結晶粒のサイズが大きくなる。したがって、方法MTによれば、低い抵抗を有するタングステン膜108が提供される。
【0035】
方法MTの工程ST1の一実施形態では、工程ST11〜工程ST14を含むシーケンスの所定回数の実行により、不連続膜106が形成される。これにより、ドット状の不連続膜106の形成、即ち、不連続膜106の膜厚の制御が容易となる。
【0036】
上述したように、工程ST1の一実施形態では、キャリアガスとして窒素ガスが用いられ得る。工程ST1においてキャリアガスとして窒素ガスが用いられると、工程ST11〜工程ST14を含むシーケンスの各々において基板100上に堆積する窒化チタンの粒子のサイズが少なくなる。したがって、上述した不連続膜106が容易に形成され得る。
【0037】
上述したように、工程ST2の一実施形態では、キャリアガスとして希ガスが用いられる。工程ST2においてキャリアガスとして希ガス、例えばアルゴンガスが用いられると、タングステン膜108中のタングステンの結晶粒のサイズが大きくなる。したがって、キャリアガスとして希ガスが用いられると、より低い抵抗を有するタングステン膜108が形成される。
【0038】
以下、方法MTの実行において用いることが可能な処理システムについて説明する。図6は、図1に示す方法の実行において用いることが可能な例示の処理システムを示す図である。方法MTは、図6に示す処理システムを用いて実行され得る。図6に示す処理システム1は、台2a、2b,2c,2d、容器4a,4b,4c,4d、ローダーモジュールLM、アライナAN、ロードロックモジュールLL1,LL2、搬送モジュールTM、プロセスモジュールPM1,PM2,PM3,PM4を備えている。なお、処理システム1の台の個数、容器の個数、ロードロックモジュールの個数は、1個以上の任意の個数であり得る。また、処理システム1のプロセスモジュールの個数は、2個以上の任意の個数であり得る。
【0039】
台2a、2b,2c,2dは、ローダーモジュールLMの一縁に沿って配列されている。容器4a,4b,4c,4dはそれぞれ、台2a、2b,2c,2d上に配置されている。容器4a,4b,4c,4dは、その内部に基板Wを収容するように構成されている。容器4a,4b,4c,4dの各々は、FOUP(Front−Opening Unified Pod)と称される容器であり得る。
【0040】
ローダーモジュールLMは、その内部にチャンバLCを提供している。チャンバLCの圧力は、大気圧に設定される。ローダーモジュールLMは、搬送装置TU1を備えている。搬送装置TU1は、例えば多関節ロボットである。搬送装置TU1は、容器4a,4b,4c,4dの各々とアライナANとの間、アライナANとロードロックモジュールLL1,LL2の各々との間、容器4a,4b,4c,4dの各々とロードロックモジュールLL1,LL2の各々との間で、チャンバLCを介して、基板Wを搬送するように構成されている。アライナANは、ローダーモジュールLMに接続されている。アライナANは、その内部において基板Wの位置を較正する。
【0041】
ロードロックモジュールLL1,LL2は、ローダーモジュールLMと搬送モジュールTMの間に設けられている。ロードロックモジュールLL1,LL2の各々は、予備減圧室を提供している。ロードロックモジュールLL1,LL2の各々の予備減圧室とチャンバLCとの間にはゲートバルブが設けられている。
【0042】
搬送モジュールTMは、その内部にチャンバTCを提供している。チャンバTCは、減圧可能に構成されている。チャンバTCとロードロックモジュールLL1,LL2の各々の間にはゲートバルブが設けられている。搬送モジュールTMは、搬送装置TU2を有している。搬送装置TU2は、例えば多関節ロボットである。搬送装置TU2は、ロードロックモジュールLL1,LL2の各々とプロセスモジュールPM1,PM2,PM3,PM4の各々の間、プロセスモジュールPM1,PM2,PM3,PM4のうち任意の二つのプロセスモジュールの間で、チャンバTCを介して、基板Wを搬送するように構成されている。
【0043】
プロセスモジュールPM1,PM2,PM3,PM4の各々は、専用の基板処理を実行する装置である。プロセスモジュールPM1,PM2,PM3,PM4の各々のチャンバは、ゲートバルブを介してチャンバTCに接続されている。プロセスモジュールPM1,PM2,PM3,PM4のうち二つのプロセスモジュールは、方法MTの工程ST1及び工程ST2においてそれぞれ用いることができる成膜装置である。方法MTの実行時には、当該二つのプロセスモジュールのうち一方のプロセスモジュールを用いて工程ST1が実行される。工程ST1の実行後には、当該一方のプロセスモジュールのチャンバからチャンバTCを介して、当該二つのプロセスモジュールのうち他方のプロセスモジュールに基板Wが搬送される。そして、当該他方のプロセスモジュールを用いて工程ST2が実行される。即ち、処理システム1によれば、方法MTを減圧環境下のみにおいて方法MTの工程ST1から工程ST2を実行することが可能である。
【0044】
処理システム1は、制御部MCを更に備え得る。制御部MCは、方法MTの実行において、処理システム1の各部を制御するように構成されている。制御部MCは、プロセッサ(例えばCPU)、及び、メモリといった記憶装置、制御信号の入出力インタフェイスを備えたコンピュータ装置であり得る。記憶装置には、制御プログラム及びレシピデータが記憶されている。プロセッサが制御プログラム及びレシピデータに従って動作することにより、処理システム1の各部に制御信号が送出される。このような制御部MCの動作により、方法MTが実行され得る。
【0045】
以下、方法MTの工程ST1の実行において用いることが可能な成膜装置について説明する。図7は、図1に示す方法の実行において用いることが可能な例示の成膜装置を示す図である。方法MTの工程ST1は、図7に示す成膜装置10Aを用いて実行することが可能である。
【0046】
成膜装置10Aは、チャンバ本体12を備えている。チャンバ本体12は、その内部空間をチャンバ12cとして提供している。チャンバ本体12は、主部14及び天部16を有している。主部14は、チャンバ本体12の側壁を構成している。主部14は、略円筒形状を有しており、鉛直方向に延びている。主部14は、例えばアルミニウムといった金属から形成されている。この主部14の内壁面には、耐腐食性の皮膜が形成されている。
【0047】
主部14、即ちチャンバ本体12の側壁には、チャンバ12cへの基板100の搬入及びチャンバ12cからの基板100の搬出のための開口14pが形成されている。この開口14pは、ゲートバルブ18によって開閉可能になっている。主部14の下端部は開口しており、当該下端部にはベローズ20の一端(上端)が結合している。ベローズ20の他端(下端)は蓋体22に結合している。蓋体22は、略板状の部材である。ベローズ20及び蓋体22は、チャンバ12cの気密を確保するよう、主部14の下端部の開口を封止している。また、主部14の上端部は開口しており、当該上端部には、天部16が結合されている。天部16は、チャンバ12cの気密を確保するよう、主部14の上端部の開口を封止している。天部16は、例えばアルミニウムといった金属から形成されている。天部16の内壁面には、耐腐食性の皮膜が形成されている。
【0048】
チャンバ12c内には、ステージ24が設けられている。ステージ24は、略円盤形状を有している。ステージ24の上面には基板100が載置される。ステージ24の内部には、ヒータ24hが設けられている。ヒータ24hは、ヒータ電源26に電気的に接続されている。ヒータ電源26は、チャンバ本体12の外側に設けられている。
【0049】
ステージ24には、軸体28の一端(上端)が結合されている。軸体28はステージ24の下方に延びている。軸体28の他端(下端)は蓋体22に結合されている。蓋体22には、チャンバ本体12の外側に設けられた駆動装置30が結合されている。駆動装置30は、蓋体22及び軸体28を介してステージ24を上下動させるよう構成されている。駆動装置30は、ステージ24を上下動させるために、例えばモータ及び当該モータに結合された駆動軸を有し得る。
【0050】
ステージ24には、リング部材32が取り付けられている。リング部材32の上側部分は円形の開口を画成している。リング部材32は、その上側部分によりステージ24上に載置された基板100を囲むように設けられている。主部14、即ちチャンバ本体12の側壁には、筒体34が取り付けられている。筒体34は、略円筒形状を有しており、チャンバ12c内、且つ、リング部材32の外側に設けられている。筒体34は、当該筒体34とリング部材32との間に僅かな間隙が介在するように、当該リング部材32と同軸に設けられている。
【0051】
天部16は、チャンバ12cをその上方から画成する壁面16fを含んでいる。壁面16fは、ステージ24の上方において延在しており、ステージ24の上面に対面している。この成膜装置10Aは、上述したステージ24の上下動により、ステージ24の上面と壁面16fとの間のギャップ長を変更することが可能であるように構成されている。
【0052】
天部16内にはガス拡散室16aが形成されている。また、天部16には、複数のガス吐出孔16bが形成されている。複数のガス吐出孔16bは、ガス拡散室16aに供給されたガスをチャンバ12cに吐出する孔であり、ガス拡散室16aから壁面16fまで延びている。さらに、天部16には、ガスライン16cが形成されている。ガスライン16cは、ガス拡散室16aに接続している。このガスライン16cには、ガス供給系40が接続されている。
【0053】
ガス供給系40は、流量制御器41f,42f,45f,46f、及び、バルブ41v,42v,45v,46vを含んでいる。流量制御器41f,42f,45f,46fの各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。
【0054】
流量制御器41fの入力にはガスソース41sが接続されている。ガスソース41sは、上述した第1の原料ガスのソースである。流量制御器41fの出力は、バルブ41vを介してガスライン16cに接続されている。流量制御器42fの入力にはガスソース42sが接続されている。ガスソース42sは、上述した窒化ガスのソースである。流量制御器42fの出力は、バルブ42vを介してガスライン16cに接続されている。
【0055】
流量制御器45fの入力にはガスソース45sが接続されている。ガスソース45sは、キャリアガスとして用いられ得る窒素ガスのソースである。流量制御器45fの出力は、バルブ45vを介してガスライン16cに接続されている。流量制御器46fの入力にはガスソース46sが接続されている。ガスソース46sは、キャリアガスとして用いられ得る希ガス(例えば、アルゴンガス)のソースである。流量制御器46fの出力は、バルブ46vを介してガスライン16cに接続されている。なお、成膜装置10Aは、ガスソース46sからの希ガスを利用しなくてもよく、バルブ46v及び流量制御器46fを備えていなくてもよい。
【0056】
ガス供給系40は、ガスソース41s,42s,45s,46sのうち選択された一以上のガスソースからのガスの流量を制御し、流量が制御されたガスをガス拡散室16aに供給することができる。ガス拡散室16aに供給されたガスは、基板100に向けて複数のガス吐出孔16bから吐出される。
【0057】
主部14、即ちチャンバ本体12の側壁は、当該主部14の中心軸線に対して周方向に延在する溝14gを画成している。主部14の一部分であって溝14gを画成する当該一部分には、排気口14eが形成されている。排気口14eには、圧力調整弁50を介して排気装置52が接続されている。排気装置52は、ターボ分子ポンプ又はドライポンプといった真空ポンプであり得る。
【0058】
チャンバ12c内には、一以上のバッフル部材が設けられている。図7に示す例では、三つのバッフル部材54,56,58がチャンバ12c内に設けられている。三つのバッフル部材54,56,58は、鉛直方向に延びる略円筒形状を有している。三つのバッフル部材54,56,58は、排気口14eに対してチャンバ12cの中心側において同軸に設けられている。バッフル部材54の上端は天部16に結合している。バッフル部材54の下端は、当該バッフル部材54の下端とリング部材32との間に間隙を提供するよう、リング部材32と対面している。バッフル部材56及びバッフル部材58は、溝14g内に配置されている。バッフル部材56はバッフル部材54の外側に設けられており、バッフル部材58はバッフル部材56の外側に設けられている。バッフル部材56及び58の各々には、複数の貫通孔が形成されている。バッフル部材56及び58の各々に形成された複数の貫通孔は、主部14の中心軸線に対して周方向に配列されている。
【0059】
成膜装置10Aでは、複数のガス吐出孔16bから吐出されたガスが基板100に対して供給され、バッフル部材54とリング部材32との間の間隙、バッフル部材56の複数の貫通孔、及び、バッフル部材58の複数の貫通孔を介して、排気口14eから排出される。
【0060】
以下、方法MTの工程ST2の実行において用いることが可能な別の成膜装置について説明する。図8は、図1に示す方法の実行において用いることが可能な別の例示の成膜装置を示す図である。方法MTの工程ST2は、図8に示す成膜装置10Bを用いて実行することが可能である。成膜装置10Bは、ガスソース41s,42sからのガスを利用せず、且つ、バルブ41v,42v及び流量制御器41f,42fに代えて、バルブ43v,44v及び流量制御器43f、44fを備えている点で、成膜装置10Aとは異なっている。即ち、成膜装置10Bは、しない。
【0061】
流量制御器43f,44fの各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。流量制御器43fの入力にはガスソース43sが接続されている。ガスソース43sは、上述した第2の原料ガスのソースである。流量制御器43fの出力は、バルブ43vを介してガスライン16cに接続されている。流量制御器44fの入力にはガスソース44sが接続されている。ガスソース44sは、上述した還元ガスのソースである。流量制御器44fの出力は、バルブ44vを介してガスライン16cに接続されている。なお、成膜装置10Bは、ガスソース45sからの窒素ガスを利用しなくてもよく、バルブ45v及び流量制御器45fを備えていなくてもよい。
【0062】
なお、方法MTの工程ST1及び工程ST2は、単一の成膜装置を用いて実行することが可能である。例えば、ガスソース43s,44sからのガスをチャンバ12cに供給するために、バルブ43v,44v及び流量制御器43f、44fを更に備えた成膜装置10Aを用いて、方法MTの工程ST1及び工程ST2を実行することが可能である。
【0063】
以下、工程ST1中の工程ST11〜工程ST14を含むシーケンスの実行回数(サイクル数)とタングステン膜108の比抵抗の関係を調査するために行った第1の実験について説明する。第1の実験では、処理システム1の成膜装置10Aを用いて、平坦な表面を有する複数の基板に対して図4に示した工程ST1を実行し、次いで、処理システム1の成膜装置10Bを用いて図5に示した工程ST2を実行して、当該複数の基板上にタングステン膜を形成した。第1の実験においては、複数の基板それぞれに対して実行した工程ST1中のシーケンスの実行回数(サイクル数)は互いに異なっていた。以下に、第1の実験における工程ST11、工程ST13、工程ST21、及び、工程ST23の条件を示す。なお、工程ST21〜工程ST24を含むシーケンスの実行回数(サイクル数)は、500回であった。
【0064】
<工程ST11の条件>
工程ST11におけるTiClガスの流量:50sccm
工程ST11におけるNガスの流量:6000sccm
工程ST11における基板の温度:460℃
工程ST11におけるチャンバの圧力:400Pa
各サイクルにおける工程ST11の処理時間:0.05秒
<工程ST13の条件>
工程ST13におけるNHガスの流量:2700sccm
工程ST13におけるNガスの流量:6000sccm
工程ST13における基板の温度:460℃
工程ST13におけるチャンバの圧力:400Pa
各サイクルにおける工程ST13の処理時間:0.3秒
<工程ST21の条件>
工程ST21におけるWFガスの流量:180sccm
工程ST21におけるアルゴンガスの流量:6000sccm
工程ST21における基板の温度:450℃
工程ST21におけるチャンバの圧力:500Pa
各サイクルにおける工程ST21の処理時間:0.15秒
<工程ST23の条件>
工程ST23におけるHガスの流量:4500sccm
工程ST23におけるアルゴンガスの流量:6000sccm
工程ST23における基板の温度:450℃
工程ST23におけるチャンバの圧力:500Pa
各サイクルにおける工程ST23の処理時間:0.3秒
【0065】
第1の実験では、複数の基板上にそれぞれ形成されたタングステン膜の比抵抗Rvを測定した。図9は、第1の実験の結果を示すグラフである。図9のグラフにおいて、横軸は、工程ST1中のシーケンスの実行回数(サイクル数)を示しており、左側の縦軸はタングステン膜の比抵抗Rvを示しており、右側の縦軸はタングステン膜の膜厚を示している。図9に示すように、工程ST1中のシーケンスの実行回数(サイクル数)が少ない場合には、形成されたタングステン膜の比抵抗Rvが比較的大きくなった。これは、不連続膜が基板上に形成されておらず、形成されたタングステン膜の結晶粒が小さくなったことに起因するものと推測される。また、工程ST1中のシーケンスの実行回数(サイクル数)が30回以上になると、形成されたタングステン膜の比抵抗Rvが大きくなった。これは、工程ST1において不連続膜ではなく連続膜が形成され、その結果、形成されたタングステン膜の結晶粒が小さくなったことに起因するものと推測される。一方、工程ST1中のシーケンスの実行回数(サイクル数)が5回以上20回以下である場合には、形成されたタングステン膜の比抵抗Rvが小さくなった。これは、工程ST1において不連続膜が形成され、その結果、形成されたタングステン膜の結晶粒が大きくなったからである。故に、不連続膜を基板上に形成した後にタングステン膜を形成することにより、低い抵抗を有するタングステン膜が提供されることが確認された。
【0066】
次に、工程ST1中のシーケンスの実行回数(サイクル数)と形成されるTiN膜の膜厚との関係を調査するために行った第2の実験について説明する。第2の実験では、成膜装置10Aを用いて、平坦な表面を有する複数の基板に対して工程ST1を実行した。複数の基板に対して実行した工程ST1中のシーケンスの実行回数(サイクル数)は互いに異なっていた。以下に、第2の実験における工程ST11及び工程ST13の条件を示す。
【0067】
<工程ST11の条件>
工程ST11におけるTiClガスの流量:50sccm
工程ST11におけるNガスの流量:6000sccm
工程ST11における基板の温度:460℃
工程ST11におけるチャンバの圧力:500Pa
各サイクルにおける工程ST11の処理時間:0.05秒
<工程ST13の条件>
工程ST13におけるNHガスの流量:2700sccm
工程ST13におけるNガスの流量:6000sccm
工程ST13における基板の温度:460℃
工程ST13におけるチャンバの圧力:500Pa
各サイクルにおける工程ST13の処理時間:0.3秒
【0068】
第2の実験では、複数の基板上にそれぞれ形成されたTiN膜の膜厚を測定した。図10は、第2の実験の結果を示すグラフである。図10のグラフにおいて、横軸は、工程ST1中のシーケンスの実行回数(サイクル数)を示しており、縦軸は形成されたTiN膜の膜厚を示している。図10に示すグラフによれば、工程ST1のサイクル数が27回以下であるときに、TiN膜の膜厚は略ゼロになるものと推定される。即ち、工程ST1のサイクル数が27回以下である場合には、TiNの連続膜は形成されず、不連続膜が形成される。したがって、上述したように低い抵抗を有するタングステン膜が形成される場合の工程ST1中のサイクル数である5回以上20回以下のサイクル数では、不連続膜が形成されることが確認された。
【符号の説明】
【0069】
1…処理システム、10A,10B…成膜装置、12…チャンバ本体、12c…チャンバ、16b…ガス吐出孔、24…ステージ、24h…ヒータ、40…ガス供給系、50…圧力調整弁、52…排気装置、100…基板、106…不連続膜、108…タングステン膜、MT…方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10