(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6938761
(24)【登録日】2021年9月3日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】バッフルを有するガス供給部材
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20210909BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20210909BHJP
F27D 7/02 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
H01L21/31 F
H01L21/205
F27D7/02 Z
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-504012(P2020-504012)
(86)(22)【出願日】2018年7月30日
(65)【公表番号】特表2020-529727(P2020-529727A)
(43)【公表日】2020年10月8日
(86)【国際出願番号】US2018044293
(87)【国際公開番号】WO2019027863
(87)【国際公開日】20190207
【審査請求日】2020年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シャー, カルティーク
(72)【発明者】
【氏名】パーンデー, ビスワス クマール
(72)【発明者】
【氏名】プラダン, カイラシュ
(72)【発明者】
【氏名】タラバルジュラ, サイラジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ, レネ
(72)【発明者】
【氏名】ショウノ, エリック キハラ
(72)【発明者】
【氏名】ボッティニ, フィリップ エー.
(72)【発明者】
【氏名】カーティス, ロジャー
【審査官】
長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−272889(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3107055(JP,U)
【文献】
特表2001−509647(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0168947(US,A1)
【文献】
特開2014−074190(JP,A)
【文献】
特開2006−100792(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2006−0117613(KR,A)
【文献】
実開昭64−052230(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/205
F27D 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス供給部材であって、
第1の側面と、
前記第1の側面の反対の第2の側面と、
第1の開口部を画定する内面であって、前記第1の開口部は前記第1の側面と前記第2の側面との間に延在する、内面と、
前記第1の側面に直交する第3の側面であって、
前記第2の側面を部分的に画定する面を有する第1の延在部であって、前記第1の延在部を通って前記面に延在する第1の複数の孔を含む、第1の延在部
を含む第3の側面と、
前記第3の側面の反対の第4の側面であって、
前記第2の側面を部分的に画定する面を有する突出部
を含む第4の側面と、
前記内面に隣接して配置されたバッフルであって、
前記内面から延在する第1の部分と、
前記第1の部分に取り付けられた第2の部分であって、前記第1の部分に直交し、前記第3の側面に平行する、第2の部分と
を含むバッフルと、
前記第1の側面と前記第2の側面との間、且つ前記第4の側面に形成された凹部であって、前記第4の側面の中心に位置し、前記第1の開口部に向かって延伸する凹部と、
前記第1の側面内に形成され、前記凹部から前記第1の開口部に延伸する垂直のスリットであって、前記第4の側面に垂直なスリットと、
前記第3の側面内に形成されたくぼみであって、前記第1の延在部に隣接し、かつ前記第1の延在部の長さに沿って延伸するくぼみと、
前記くぼみの内部に形成された、細長い凹部と、
前記細長い凹部の内部に形成され、前記細長い凹部と前記第1の開口部との間に延伸する第2の複数の孔であって、前記バッフルにガスを供給するため前記バッフルと流体連結する第2の複数の孔と、
を備えるガス供給部材。
【請求項2】
前記第3の側面から前記第1の開口部の下に延在し、前記第2の側面を部分的に画定する第1の角面を更に備える、請求項1に記載のガス供給部材。
【請求項3】
前記突出部の面から前記第1の開口部の方に延在し、前記第2の側面を部分的に画定する第2の角面を更に備える、請求項2に記載のガス供給部材。
【請求項4】
前記第1の角面と前記第2の角面との間に接続面を更に備える、請求項3に記載のガス供給部材。
【請求項5】
前記凹部は第1の丸い角と第2の丸い角とを含む、請求項3に記載のガス供給部材。
【請求項6】
前記第1の複数の孔は各々、前記第1の角面を通って延在する、請求項3に記載のガス供給部材。
【請求項7】
前記突出部は前記第2の側面に延在する第2の複数の孔を有する、請求項1に記載のガス供給部材。
【請求項8】
ガス供給部材であって、
第1の側面と、
前記第1の側面の反対の第2の側面と、
第1の開口部を画定する内面であって、前記第1の開口部は前記第1の側面と前記第2の側面との間に延在する、内面と、
前記第1の側面に直交する第3の側面であって、
前記第2の側面を部分的に画定する面を有する第1の延在部であって、前記第1の延在部を通って前記面に延在する第1の複数の孔を含む、第1の延在部
を含む第3の側面と、
前記第3の側面の反対の第4の側面であって、
前記第2の側面を部分的に画定する面を有する突出部
を含む第4の側面と、
前記内面に隣接して配置されたバッフルであって、
前記内面から延在する第1の部分と、
前記第1の部分に取り付けられた第2の部分であって、前記第1の部分に直交し且つ前記第3の側面に平行する、第2の部分と、
前記第1の部分と前記第1の側面との間に形成され、第2の開口部を有する空洞と
を含むバッフルと、
前記第3の側面内に形成されたくぼみであって、前記第1の延在部に隣接し且つ前記第1の延在部の長さに沿って延伸するくぼみと、
前記くぼみの内部に形成された、細長い凹部と、
前記細長い凹部の内部に形成され、前記細長い凹部と前記第1の開口部との間に延伸する第2の複数の孔であって、前記バッフルにガスを供給するため前記バッフルと流体連結する第2の複数の孔と、
を備える、ガス供給部材。
【請求項9】
前記第2の部分に配置された縁部を更に備える、請求項8に記載のガス供給部材。
【請求項10】
他の凹部を更に備え、前記他の凹部は前記第4の側面に形成され、前記他の凹部は前記第3の側面に対して直角であり且つ第1の丸い角と第2の丸い角とを含む、請求項8に記載のガス供給部材。
【請求項11】
前記第3の側面から前記第1の開口部の下に延在し、前記第2の側面を部分的に画定する第1の角面を更に備える、請求項9に記載のガス供給部材。
【請求項12】
前記突出部の面から前記第1の開口部の方に延在し、前記第2の側面を部分的に画定する第2の角面を更に備える、請求項11に記載のガス供給部材。
【請求項13】
接続面を更に備え、前記接続面は前記第1の角面と前記第2の角面との間にある、請求項12に記載のガス供給部材。
【請求項14】
前記第1の複数の孔は各々、前記第1の角面を通って延在する、請求項12に記載のガス供給部材。
【請求項15】
前記第1の側面と前記第2の側面との間、且つ前記第4の側面に形成された凹部であって、前記第4の側面の中心に位置し、前記第1の開口部に向かって延伸する凹部と、
前記第1の側面内に形成され、前記凹部から前記第1の開口部に延伸する垂直のスリットであって、前記第4の側面に垂直なスリットと
をさらに備える、請求項8に記載のガス供給部材。
【請求項16】
前記バッフルが、
前記内面から延伸する第1の部分と、
前記第1の部分に取り付けられ、前記第1の部分に直交し、前記第3の側面に平行である、第2の部分と、
前記第1の部分と前記第2の側面との間に形成された第2の開口部と
を備える、
請求項8に記載のガス供給部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本書に記載の実施形態は概して、流体の均一な流れを提供するガス供給部材に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]基板上で集積回路を製造するための処理システムは、基板を処理チャンバの中へ搬送するロードロックチャンバを有しうる。チャンバ間のアクセスは、スリットバルブを通して得られる。スリットバルブは、基板が通過しうる処理チャンバの開口部を含む。あるチャンバの側面のスリットバルブ用の実際の開口部は通常、処理チャンバのスリットバルブと一致しない一般的な長方形の孔である。したがって、スリットバルブ挿入部がアダプタとして機能するように挿入される。処理中は、スリットバルブドアがスリットバルブ挿入部の開口部を覆っている。スリットバルブは、ガス注入部及びトンネルと流体接続している。トンネルは、処理ガスがガス注入部を通って高速で処理チャンバに入ってきたときに、ガス流を基板の方へ案内する。ガス流の推進力により、堆積が行われる基板へ処理ガスが運ばれる。ガスはガス注入部からトンネルへ、そして基板の方へ流れる。
【0003】
[0003]処理条件の変動は、ガス流経路、したがって堆積の均一性に影響を与える可能性がある。ガス流路に影響する上記処理条件の1つは、スリットバルブドアの角度及び/又はスリットバルブの開閉サイクル中にドアが汚れた又は汚染されたときのスリットバルブドアの形状の変化である。ガスがスリットバルブドアと接触するときの流れの変化は、基板上の堆積に影響を与える。堆積の変動は、均一性に影響を与える。
【0004】
[0004]したがって、スリットバルブ挿入部の形状又は条件にかかわらず、均一なガス流経路を提供することができる改善されたガス供給部材が必要である。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本書に記載の実施形態は概して、流体の均一な流れを提供するガス供給部材に関する。一実施形態では、ガス供給部材は、第1の側面と、第1の側面の反対の第2の側面と、第1の開口部を画定する第1の内面と、第1の側面に直交する第3の側面と、第3の側面の反対の第4の側面と、開口部を画定する内面に隣接して配置されたバッフルとを含む。第1の開口部は、第1の側面と第2の側面との間に延在する。第3の側面は第1の延在部を含む。第1の延在部は第2の側面を部分的に画定する面を有し、第1の延在部は第1の延在部を通って面に延在する第1の複数の孔を含む。第4の側面は突出部を含む。突出部は、第2の側面を部分的に画定する面を有する。バッファは、内面から延在する第1の部分と、第1の部分に取り付けられた第2の部分とを含む。第2の部分は、第1の部分に直交し、第3の側面に平行する。
【0006】
[0006]別の実施形態では、ガス供給部材が開示される。ガス供給部材は、第1の側面と、第1の側面の反対の第2の側面と、第1の開口部を画定する第1の内面と、第1の側面に直交する第3の側面と、第3の側面の反対の第4の側面と、開口部を画定する内面に隣接して配置されたバッフルとを含む。第1の開口部は、第1の側面と第2の側面との間に延在する。第3の側面は、第1の延在部を含む。第1の延在部は第2の側面を部分的に画定する面を有し、第1の延在部は第1の延在部を通って面に延在する第1の複数の孔を含む。第4の側面は、突出部を含む。突出部は、第2の側面を部分的に画定する面を有する。バッフルは、内面から延在する第1の部分と、第1の部分に取り付けられた第2の部分と、空洞とを含む。第2の部分は、第1の部分に直交し且つ前記第3の側面に平行する。空洞は、第1の部分と第1の側面との間に形成される。
【0007】
[0007]別の実施形態では、ガス供給部材が開示される。ガス供給部材は、第1の側面と、第1の側面の反対の第2の側面と、第1の開口部を画定する第1の内面と、第1の側面に直交する第3の側面と、第3の側面の反対の第4の側面と、開口部を画定する内面に隣接して配置されたバッフルとを含む。第1の開口部は、第1の側面と第2の側面との間に延在する。第3の側面は、第1の延在部を含む。第1の延在部は第2の側面を部分的に画定する面を有し、第1の延在部は第1の延在部を通って面に延在する第1の複数の孔を含む。第4の側面は、突出部を含む。突出部は、第2の側面を部分的に画定する面を有する。バッフルは、内面から延在する第1の部分と、第1の部分に取り付けられた第2の部分と、空洞とを含む。第2の部分は、第1の部分に直交し且つ第3の側面に平行する。空洞は、第1の部分と第2の側面との間に形成される。
【0008】
[0008]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを示すものであり、したがって、範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本書に記載の一実施形態に係るガス供給部材を示す前面図である。
【
図1B】本書に記載の一実施形態に係るガス供給部材を示す裏面図である。
【
図2A】本書に記載の実施形態に係るガス流モデルを示す図である。
【
図2B】本書に記載の実施形態に係るガス流モデルを示す図である。
【
図2C】本書に記載の実施形態に係るガス流モデルを示す図である。
【
図2D】本書に記載の実施形態に係るガス流モデルを示す図である。
【
図2E】本書に記載の実施形態に係るガス流モデルを示す図である。
【
図2F】本書に記載の実施形態に係るガス流モデルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0012]理解を助けるため、可能な場合は図面に共通の同一要素を記号表示するのに同一の参照番号が使われている。追加の記載なしに他の実施形態に一実施形態の要素及び特徴を有益に組み込むことは可能であると考えられる。
【0011】
[0013]本書に記載の実施形態は概して、ガス供給部材に関する。一実施形態では、ガス供給部材は、第1の側面と、第1の側面の反対の第2の側面と、開口部を画定する第1の内面と、第1の側面に直交する第3の側面と、第3の側面の反対の第4の側面と、内面に隣接するバッフルとを含む。開口部は、第1の側面と第2の側面との間に延在する。第3の側面は、第2の側面を部分的に画定する面を有する第1の延在部と、第1の延在部を通って面に延在する第1の複数の孔とを含む。第4の側面は、第2の側面を部分的に画定する面を有する突出部を含む。バッフルは、内面から延在する接続壁と、接続壁に接続されたダイバータ壁とを含む。バリアを設けることによって、バッフルは、より均一な堆積のために処理ガスを基板の方へ案内する。ある場合には、基板は、回転自在な基板支持体を特徴とする処理チャンバに配置され、この処理チャンバではガスは基板を横切って流れるように案内される。
【0012】
[0014]
図1Aに、本書に記載の一実施形態に係るガス供給部材100の前面図を示す。一実施形態では、ガス供給部材100はスリットバルブ挿入部である。ガス供給部材100は、炉、温度制御チャンバ、又は化学気相堆積(CVD)チャンバ及び/又は処理等のいずれかの好適な処理又は処理チャンバで使用されうる。使用されうる好適なチャンバの1つは、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なVANTAGE(登録商標)RADOX(商標)RTPチャンバである。別の好適なチャンバは、これもまたカリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なPRODUCER(登録商標)CVDチャンバであってよい。ガス供給部材100は、中に形成された基板用の通路を有する処理チャンバの中へ挿入されるアダプタである。ガス供給部材100は、本体105に開口部120、開口部120にバッフル140、本体105からの延在部145、及びくぼみ155を有する。
【0013】
[0015]本体105は、前面150、裏面110、上面165、及び底面170も含む。前面150は、裏面110の反対である。上面165は、前面150に直交しうる。
図1Aの実装態様では、上面165は底面170よりも広い幅を有する。別の実装態様では、上面165は、底面170よりも狭い幅を有しうる。更に別の実装態様では、上面165は、底面170と同じ幅を有しうる。底面170は、上面165の反対であり、前面150に直交しうる。ガス供給部材100が処理システムに取り付けられると、前面150は通常、処理チャンバの内部に面する。
【0014】
[0016]前面150に開口部120が形成される。ある実施形態では、ガス供給部材100はスリットバルブ挿入部である。上記実施形態では、開口部120は、スリットバルブドアが引き込まれているときは、移送チャンバと処理チャンバとの間の開口部である。つまり、スリットバルブドアが引き込まれているときは、基板が開口部120を通過して処理チャンバへ入ることができるということである。上記の場合、開口部120は、様々な基板サイズ、例えば60mm、100mm、200mm、300mm用に作られていてよい。他の実施形態では、ガス供給部材100は、スリットバルブとは関連していないガス供給導管の挿入部である。
【0015】
[0017]本体105は、丸い角と、中央に位置する凹部160とを含む。例えば、凹部160は、底面170に対して直角の方向に開口部120の方に延在する底面170に形成される。凹部160は、垂直間隙又はスリット164を含む。凹部160は、開口部120に隣接する丸い角162、163を有する。丸い角162と丸い角163との間は垂直スリット164である。垂直スリットは、凹部160から開口部120に延在する。垂直スリット164は、丸い角162、163の各々からおおよそ等距離に配置される。垂直スリット164は、底面170に対して直角である。延在部145は、凹部160に対向して配置されうる。延在部145は、本体105の上面165に配置される。延在部145は、前面150に面した斜面又は湾曲面と、裏面115に面した斜面146とを有する。延在部145の基部は、本体105の上面165に取り付けられる。延在部は、基部に対向するエッジ147を含む。基部における延在部145の厚さは、エッジ147における厚さよりも大きい。延在部145は、複数の孔130を含む。孔130は、
図1Bに示すように、裏面110に延在する。
【0016】
[0018]くぼみ155は、本体105の上面165の延在部145に隣接する。くぼみ155は、細長い凹部156を含む。細長い凹部156の底部は複数の孔158である。動作中に、処理ガスは、凹部156と嵌合するガス注入部(図示せず)から複数の孔158を通過する。細長い凹部156は、上面165の長さに沿って延在する。複数の孔158は、バッフル140と流体連結している。バッフル140は、開口部120に隣接して配置される。バッフル140は、ガス供給部材100の長さに延在する。一実装態様では、バッフル140の一部が、ガス供給部材100の上面165から下に延在する。その部分は
図1では見ることができないが、以下に更に記載される
図2A〜2Fに概略的に示されている。つまり、バッフル140は、上面165と開口部120との間に配置される。動作中に、バッフルは、
図2Aに示すように、ガス入口とトンネルに流体接続されている。バッフル140は、トンネルの中に延在する棚であってよい。バッフル140は、接続壁であってよく、上面165に直交して延在する第1の部分と、ダイバータ壁であってよい第2の部分とを含む。第2の部分は第1の部分に接続され、ガス供給部材100の上面165に平行して延在する。動作中にガスがガス入口からトンネルへ流れるときに、トンネルに配置されたバッフル140によりガス速度及び推進力が基板に到達する前に弱まる。具体的には、入口からのガス流が、バッフル140の第2の部分と接触する。バッフルはガス流を一方向に、スリットバルブドアの方へ案内する。バッフル140は、ガス入口とトンネルとの間のバリアである。
【0017】
[0019]
図1Bに、本書に記載の一実施形態に係るガス供給部材100の裏面図を示す。開口部120により、
図1Aに示す開口部158を隠すバッフル140が露出する。ガス供給部材100の裏面110は、挿入されると移送チャンバの内部に面する。裏角面115は、下向きの角度で移送チャンバの内部の方に面し、スリットバルブドアが処理チャンバの床からある角度で押し上げられ、裏角面115と気密シールを形成してスリットバルブを閉じうるスリットバルブドアシートを形成する。裏傾斜面125は下向きに傾斜し、スリットバルブドアが裏角面115と接触することを可能にする。裏傾斜面125及び裏角面115は、本体105から外向きに突出して鋭角を形成する。裏傾斜面125は垂直面135に隣接する。裏角面115は、ガス供給部材100の上面165に隣接して配置された複数の孔130を有する。垂直面135は、ガス供給部材100の底面170の近傍に複数の孔132を有する。ガス供給部材100は孔130、132を貫通するファスナ(例:ねじ又はボルト)を用いて処理チャンバに取り付けられる。底面170は、垂直棚172を含む。複数の孔132は垂直棚172に配置される。ガス供給部材100がスリットバルブと関連していない場合、ガス供給部材100の裏面110は、ガス供給源又は処理システムの外面に面しうる。
【0018】
[0020]
図2A〜
図2Fは、本書に記載の実施形態に係るガス流の特徴の概略図である。いずれの場合にも、ガス流導管200が示されている。ガス流導管200(
図1A又は
図2Aに図示せず)は、ガス流導管200からトンネル206(例えば、
図1A及び
図1Bに示す開口部120)へガス流を提供する、ガス流導管200とトンネル206に、またそれらの間に設けられたガス入口204(例えば、
図1Aに示す複数の孔158)に連結される。トンネル206は、ガス入口204に隣接してトンネル206の中へ突出した一又は複数のバッフル240、250、260、270、280、及び290(それぞれ
図2A〜
図2Fに示す)を特徴とする。トンネル206は、処理ガスを処理チャンバ(図示せず)に配置された基板へ案内する。
【0019】
[0021]トンネル206は、処理チャンバに近接する第1の端部208と、第1の端部208の反対の第2の端部210とを有する。
図2Aの実装態様では、バッフル240はトンネル206の壁205と共に、第1の端部208の方に、スリットバルブドア又は裏面の方に面する開口部246を画定する。壁205は、トンネル206の内面212を画定する。バッフル240は、第1の部分242と、第1の部分242に直交する第2の部分244とを有する。第1の部分242と第2の部分244は、ガス入口204の直接真向かいにあるトンネル206の中に延在する。第1の部分242は、壁205に取り付けられ、壁205からトンネル206の中に延在する。第2の部分244は、その遠位端において第1の部分242に取り付けられ、
図2Aの実施形態では、トンネル206に沿ってトンネル206の第1の端部208の方に延在する。
【0020】
[0022]ガスがガス入口204から入ると、ガスはバッフル240と接触する。ガスの一部は、バッフル240の第1の部分242の方へ流れうる。しかしながら、バッフルは1つの開口部246を有するため、ガスはバッフル240と接触し、混合し、そして開口部246を通って第1の端部208の方へ続けて流れる。スリットバルブドア(図示せず)との交差点に形成された第1の端部208にぶつかった後、ガスは、トンネル206の第2の端部210の方へ、そしてトンネル206の向こうの基板へ続けて流れる。トンネル206は、堆積のためにガスの流れを基板へ案内する。バリアを設けることによって、バッフル240は、トンネル全体でより均一で終始一貫した流速を提供し、より小さいエリアでの処理ガスの混合を提供し、処理ガスをトンネル206の方へ案内し、処理ガスのより均一な堆積を提供する。堆積の均一性が改善することで、非均一な流れを招くことなく高いガス流速を使用することができるため、堆積速度に有益な影響も有する。
【0021】
[0023]ガス入口204からガスが入ると、ガスはバッフル260と接触する。ガスの一部は、バッフル260の第1の部分262の方へ流れうる。しかしながら、バッフルは1つの開口部266を有するため、ガスはバッフル260と接触し、混合し始め、その後開口部266の方へ続けて流れ、第1の端部208にぶつかった後、ガスはトンネル206の方へ流れる。トンネル206は、堆積のために、ガスの流れを基板へ案内する。
【0022】
[0024]別の実装態様では、バッフル260は、テクスチャ表面を含みうる。ある実装態様では、第2の部分264は、テクスチャ加工されていてよい。別の実装態様では、第3の部分268、第2の部分264、及び第1の部分262は、テクスチャ加工されていてよい。テクスチャ表面は、約25ミクロンと約100ミクロンの間の小さい突起部を含みうる。小さい突起部のサイズ及び形状は均一であってよい、あるいはランダムに又はいずれかのパターンにしたがって変動していてよい。小さい突起部は、円形、四角形、長方形、又は他のいずれかの形状寸法であってよい。動作中、ガス流が第2の部分264に接触すると、小さい突起部により第2の部分264に沿ってガスの分散が増加しうる。
【0023】
[0025]
図2Bの実装態様では、バッフル250は、処理チャンバに面する開口部256を有する。バッフル250は、壁205に接続され、壁205からトンネル206の中に延在する第1の部分252と、その遠位端において第1の部分252に取り付けられ、ガス入口204の直接真向かいにあるトンネル206に沿って第1の部分252に直交して延在する第2の部分254とを有する。第2の部分254は、
図2Bの実施形態では、トンネル206の第2の端部210の方に延在する。
【0024】
[0026]ガスがガス入口204から入ると、ガスはバッフル250と接触する。ガスの一部は、バッフル250の第1の部分252の方へ流れうる。第1の部分252は、スリットバルブドアに隣接していてよい。つまり、開口部256は、ガス供給部材の前面の方へ面するということである。しかしながら、バッフルは1つの開口部256を有するため、ガスはバッフル250と接触し、混合し始め、そして開口部256を通ってトンネル206の方へ続けて流れる。トンネル206は、堆積のためにガスの流れを基板へ案内する。バッフル250は、バッフル240と同様に、堆積の均一性及び速度において利点を有する。
【0025】
[0027]
図2Cの実装態様では、バッフル260は、
図2Aの実装態様と同様に、スリットバルブドア又は裏面に面する開口部266を有する。バッフル260は、壁205、第2の部分264、及び第3の部分268に取り付けられた第1の部分262を有する。第2の部分264は、第1の部分262と直交し、ガス入口204の直接真向かいにあるトンネル206の中に延在する。第3の部分268は、縁部、小さい突起部、円形隆起部、又は任意の形状の延在部であってよい。第3の部分268は、第1の部分262に平行していてよい。第3の部分268は、第2の部分264の遠位端から壁205の方に延在する。第3の部分268は、任意の角度で第2の部分264から延在しうる。一実装態様では、第3の部分268は、90度を超える角度で第2の部分264から延在する。別の実装態様では、第3の部分268は湾曲している。第3の部分268は、
図2Cでは、開口部266と隣接して図示されている。別の実装態様では、第3の部分268は、第2の部分264のどこにでも配置されうる。例えば、第3の部分268は、第2の部分264の中央に配置されうる。別の実装態様では、第3の部分268は、ガス入口204と開口部266との間に配置されうる。更に別の実装態様では、第3の部分268は、ガス入口204と第1の部分262との間に配置されうる。
【0026】
[0028]
図2Dの実装態様では、バッフル270は、
図2Aのバッフル240と実質的に同様のものである。第2の部分274は、トンネル206の内面212に配置された延在部278と対向し、トンネル206の中に延在する。延在部278は、四角形、円形、長方形、三角形、又は他の任意の幾何学形状であってよい。
図2Dの実装態様では、延在部278は単一体である。延在部278は、トンネル206の一部として3D印刷又は機械加工されうる、あるいは、トンネル206に取り付けられた別体であってよい。別の実装態様では、
図2Eに示すように、1を超える延在部278が使用されうる。例えば、2つの延在部278をトンネル206の内面212からの2つの突起部として形成することができる。
図2Eに示すように、2を超える突起部をトンネル206の内面212に配置することが可能である。延在部278は、テクスチャ表面を有しうる。一実装態様では、延在部278はトンネル206の第1の端部208とバッフル270との間に配置されうる。別の実装態様では、延在部278は、バッフル270と重なっていてよい。延在部278は、トンネル206の内面212に沿って配置されうる。
【0027】
[0029]
図2Eの実装態様では、バッフル280は、縁部288と、縁部288に隣接した突起部289とを含む。突起部289は、バッフル280の第2の部分284に取り付けられた別体であってよい。突起部289はまた、バッフル280の1つの連続体として機械加工又は3D印刷もされうる。突起部289は、四角形、円形、長方形、三角形、又は他の任意の幾何学形状であってよい。
図2Eの実装態様では、単一の突起部289が図示されている。別の実装態様では、バッフル280の第2の部分284は、1を超える突起部289を含みうる。
図2Fの実装態様では、2つの突起部289が図示されている。バッフル290は、1〜20の突起部を含みうる。各突起部289は、テクスチャ表面も含みうる。突起部289は、バッフル290の第2の突起部294に沿ったどこにでも間隔を置いて配置されうる。例えば、第1の突起部289はバッフル290の第1の部分に隣接していてよく、第2の突起部289はトンネル206の第1の端部208に隣接していてよい。
図2Eの実装態様では、突起部289及び縁部288がバッフルの第2の部分284に配置され、延在部278がトンネル206の内面212に配置されて、突起部289、縁部288、及び延在部278で鋸歯構成が形成される。つまり、縁部288は、第1の延在部278と第2の延在部278との間に配置されるということである。トンネル206の内面212及びバッフル280にはそれぞれ、任意の数の延在部278と突起部289が含まれうる。
【0028】
[0030]バリアを設けることによって、バッフルは、トンネル全体でより均一で終始一貫した流速を提供し、より小さいエリアでの処理ガスの混合を提供し、処理ガスをトンネルの方へ案内し、処理ガスのより均一な堆積を提供する。
【0029】
[0031]以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。