(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本明細書についてさらに詳細に説明する。
本明細書は、前記化学式1で表される化合物を提供する。
本明細書に係る前記化学式1で表される化合物の構造は、硬化が可能な硬化基を含むので、これを含むコーティング組成物およびその硬化物からなる有機物層の上部に正孔輸送層または発光層などの他の層を成膜する場合、溶媒が制限されず多様な溶媒を使用できるという利点がある。また、化学式1の化合物は、電子豊富なアリールアミン基およびフルオレン基を有していて、効率的な正孔の注入および輸送が可能な利点がある。また、前記化学式1の化合物は、非対称分子構造に起因する双極子モーメント(dipole moment)を有するので、効率的な正孔の輸送が可能であり、これによる高い溶解度は溶液工程に使用される溶媒を多様に使用できるという利点がある。
【0020】
本明細書において、置換基の例示は以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0021】
本明細書において、
【化4】
は、連結される部位を意味する。
【0022】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子の置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定せず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一または異なっていてもよい。
【0023】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;ニトリル基;アルキル基;フルオロアルキル基;シクロアルキル基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アラルキル基;アリール基;およびN、O、S、Se、およびSi原子のうちの1つ以上を含むヘテロアリール基からなる群より選択された1または2以上の置換基で置換されているか、前記例示された置換基のうちの2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、もしくはいずれの置換基も有しないことを意味する。
【0024】
本明細書において、アルキル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1〜50のものが好ましく、1〜30がさらに好ましい。具体例としては、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、1−メチル−ブチル、1−エチル−ブチル、ペンチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n−オクチル、tert−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、1−エチル−プロピル、1,1−ジメチル−プロピル、イソヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本明細書において、フルオロアルキル基は特に限定されないが、炭素数1〜5のものが好ましく、1〜3がさらに好ましい、具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、炭素数3〜60のものが好ましく、3〜30がさらに好ましい。具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3−メチルシクロペンチル、2,3−ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、2,3−ジメチルシクロヘキシル、3,4,5−トリメチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本明細書において、前記アルコキシ基は、直鎖、分枝鎖もしくは環鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1〜30のものが好ましい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、i−プロピルオキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、3,3−ジメチルブチルオキシ、2−エチルブチルオキシ、n−オクチルオキシ、n−ノニルオキシ、n−デシルオキシ、ベンジルオキシ、p−メチルベンジルオキシなどになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本明細書において、アリールオキシ基、アリールチオキシ基、アリールスルホキシ基、N−アリールアルキルアミン基、N−アリールヘテロアリールアミン基、およびアリールホスフィン基中のアリール基は、前述したアリール基の例示と同じである。具体的には、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、p−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、3,5−ジメチル−フェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、p−tert−ブチルフェノキシ基、3−ビフェニルオキシ基、4−ビフェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチル−1−ナフチルオキシ基、5−メチル−2−ナフチルオキシ基、1−アントリルオキシ基、2−アントリルオキシ基、9−アントリルオキシ基、1−フェナントリルオキシ基、3−フェナントリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基などがあり、アリールチオキシ基としては、フェニルチオキシ基、2−メチルフェニルチオキシ基、4−tert−ブチルフェニルチオキシ基などがあり、アリールスルホキシ基としては、ベンゼンスルホキシ基、p−トルエンスルホキシ基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本明細書において、アラルキル基は、アルキル基にアリール基が置換されたものを意味し、アラルキル基は特に限定されないが、炭素数7〜30のものが好ましく、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルオクチル基、フェニルヘキシル基などがあるが、これらに限定されるものではない。本明細書において、アリール基が単環式アリール基の場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数6〜50のものが好ましく、6〜30がさらに好ましい。具体的には、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0030】
前記アリール基が多環式アリール基の場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数10〜50のものが好ましく、10〜30がさらに好ましい。具体的には、多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、トリフェニル基、クリセニル基、フルオレニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において、ヘテロ環基は、異種原子として、N、O、S、Si、およびSeのうちの1つ以上を含むものであって、炭素数は特に限定されないが、炭素数2〜60のものが好ましく、2〜30のものがさらに好ましい。ヘテロ環基の例としては、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジン基、ビピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基、アクリジン基、ピリダジン基、ピラジン基、キノリン基、キナゾリン基、キノキサリン基、フタラジン基(phthalazine)、プテリジン基(pteridine)、ピリドピリミジン基(pyrido pyrimidine)、ピリドピラジン基(pyrido pyrazine)、ピラジノピラジン基(pyrazino pyrazine)、イソキノリン基、インドール基、ピリドインドール基(pyrido indole)、インデノピリミジン(5H−indeno pyrimidine)、カルバゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンズイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾフラン基、フェナントロリン基(phenanthroline)、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、およびチアジアゾリル基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0032】
本明細書において、ヘテロアリール基は、芳香族であることを除けば、前記ヘテロ環基の例示の中から選択されるが、これらのみに限定されるものではない。
【0033】
本明細書において、アルキレン基は、アルキル基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除けば、前述したアルキル基の説明が適用可能である。
【0034】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除けば、前述したアリール基の説明が適用可能である。
【0035】
本明細書において、ヘテロアリーレン基は、ヘテロアリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除けば、前述したヘテロアリール基の説明が適用可能である。
【0036】
本明細書の一実施態様において、前記Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0037】
本明細書の一実施態様において、前記Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基である。
【0038】
本明細書の一実施態様において、前記Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基である。
【0039】
本明細書の一実施態様において、前記Ar1およびAr2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;置換もしくは非置換のフェナントレン基;置換もしくは非置換のフルオレン基;置換もしくは非置換のスピロビフルオレン基;または置換もしくは非置換のジベンゾフラン基である。
【0040】
本明細書の一実施態様において、前記Ar1は、置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;置換もしくは非置換のフェナントレン基;置換もしくは非置換のフルオレン基;置換もしくは非置換のスピロビフルオレン基;または置換もしくは非置換のジベンゾフラン基である。
【0041】
本明細書の一実施態様において、前記Ar1は、置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;置換もしくは非置換のフェナントレン基;置換もしくは非置換のフルオレン基;置換もしくは非置換のスピロビフルオレン基;または置換もしくは非置換のジベンゾフラン基であり、前記Ar1の定義において、「置換もしくは非置換の」は、重水素、ハロゲン基、フルオロアルキル基、アルキル基、アラルキル基、アリールオキシ基、およびアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換であることを意味する。
【0042】
本明細書の一実施態様において、前記Ar1は、置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;置換もしくは非置換のフェナントレン基;置換もしくは非置換のフルオレン基;置換もしくは非置換のスピロビフルオレン基;または置換もしくは非置換のジベンゾフラン基であり、前記Ar1の定義において、「置換もしくは非置換の」は、重水素、F、トリフルオロメチル基、メチル基、ブチル基、フェニルプロパニル基、エチルヘキシルオキシ基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、およびフェニル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換であることを意味する。
【0043】
本明細書の一実施態様において、前記Ar2は、置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;または置換もしくは非置換のナフチル基である。
【0044】
本明細書の一実施態様において、前記Ar2は、置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;または置換もしくは非置換のナフチル基であり、前記Ar2の定義において、「置換もしくは非置換の」は、重水素、アルキル基、アルコキシ基、およびアリールオキシ基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換であることを意味する。
【0045】
本明細書の一実施態様において、前記Ar2は、置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;または置換もしくは非置換のナフチル基であり、前記Ar2の定義において、「置換もしくは非置換の」は、重水素、メチル基、ブチル基、エチルヘキシルオキシ基、およびフェノキシ基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換であることを意味する。
【0046】
本明細書の一実施態様において、前記R1〜R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0047】
本明細書の一実施態様において、前記r1〜r3は、それぞれ1〜3であり、r4は、1〜4であり、前記r1〜r4がそれぞれ2以上の時、2以上のR1〜R4は、それぞれ互いに同一または異なる。
【0048】
本明細書の一実施態様において、前記R1〜R4は、水素である。
【0049】
本明細書の一実施態様において、前記X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、
【化5】
である。
【0050】
本明細書の一実施態様において、前記a1は、0または1であり、a2は、0〜2の整数である。
【0051】
本明細書の一実施態様において、前記a2が0の時、前記L2は、置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のアラルキル基である。
【0052】
本明細書の一実施態様において、前記a2が0の時、前記L2は、置換もしくは非置換のアリール基;またはアラルキル基である。
【0053】
本明細書の一実施態様において、前記a2が0の時、前記L2は、重水素、ハロゲン基、アルキル基、またはアルコキシ基で置換もしくは非置換のフェニル基;重水素、ハロゲン基、アルキル基、またはアルコキシ基で置換もしくは非置換のフルオレン基;または重水素、ハロゲン基、アルキル基、またはアルコキシ基で置換もしくは非置換のベンジル基である。
【0054】
本明細書の一実施態様において、前記a2が1の時、前記L2は、直接結合;または置換もしくは非置換のアリーレン基である。
【0055】
本明細書の一実施態様において、前記a2が1の時、前記L2は、直接結合;または置換もしくは非置換のフェニレン基である。
【0056】
本明細書の一実施態様において、前記a2が1の時、前記L2は、直接結合;またはフェニレン基である。
【0057】
本明細書の一実施態様において、前記a2が2の時、前記L2は、3価の置換もしくは非置換のアリール基である。
【0058】
本明細書の一実施態様において、前記a2が2の時、前記L2は、3価の置換もしくは非置換のフェニル基である。
【0059】
本明細書の一実施態様において、前記L1およびL3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアリーレン基である。
【0060】
本明細書の一実施態様において、前記L1およびL3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のフェニレン基である。
【0061】
本明細書の一実施態様において、前記L1は、置換もしくは非置換のフェニレン基;置換もしくは非置換のナフチレン基;または置換もしくは非置換の2価のフルオレン基である。
【0062】
本明細書の一実施態様において、前記L1は、置換もしくは非置換のフェニレン基;または置換もしくは非置換の2価のフルオレン基である。
【0063】
本明細書の一実施態様において、前記L1は、アルキル基で置換もしくは非置換のフェニレン基;アルキル基で置換もしくは非置換のナフチレン基;またはアルキル基で置換もしくは非置換の2価のフルオレン基である。
【0064】
本明細書の一実施態様において、前記L1は、アルキル基で置換もしくは非置換のフェニレン基;またはアルキル基で置換もしくは非置換の2価のフルオレン基である。
【0065】
本明細書の一実施態様において、前記L1は、フェニレン基;ナフチレン基;または2価のジメチルフルオレン基である。
【0066】
本明細書の一実施態様において、前記nが1の場合、前記L3は、置換もしくは非置換のフェニレン基である。
【0067】
本明細書の一実施態様において、前記nが1の場合、前記L3は、メチル基で置換もしくは非置換のフェニレン基である。
【0068】
本明細書の一実施態様において、前記nが1の場合、前記L3は、2つのメチル基で置換されたフェニレン基である。
【0069】
本明細書の一実施態様において、前記nが1の場合、前記L3は、アルキル基で置換もしくは非置換のフェニレン基である。
【0070】
本明細書の一実施態様において、前記nが2の場合、1つのL3は、フェニレン基であり、他のL3は、オクチレン基;またはヘキシレン基である。
【0071】
本明細書の一実施態様において、0≦a1+a2≦2である。
【0072】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1は、下記化学式2で表されてもよい。
【化6】
前記化学式2において、
L1〜L3、Ar1、Ar2、R1〜R4、r1〜r4、X1、X2、m、n、a1およびa2に関する定義は、前記化学式1で定義したものと同じである。
【0073】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物は、下記の化合物の中から選択されるいずれか1つである。
【0080】
本明細書の一実施態様に係る化合物は、後述する製造方法で製造できる。後述する製造例では代表的な例示を記載するが、必要に応じて、置換基を追加または除外してもよいし、置換基の位置を変更することができる。また、当技術分野で知られている技術に基づいて、出発物質、反応物質、反応条件などを変更することができる。
【0082】
本明細書は、前記化合物を含むコーティング組成物を提供する。
【0083】
本明細書の一実施態様によれば、前記コーティング組成物は、溶媒をさらに含んでもよい。
【0084】
本明細書の一実施態様において、前記コーティング組成物は、液状であってもよい。前記「液状」は、常温および常圧で液体状態であることを意味する。
【0085】
本明細書の一実施態様において、前記溶媒は、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテートなどのエステル系溶媒;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオールなどの多価アルコールおよびその誘導体;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;およびN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒;メチルベンゾエート、ブチルベンゾエート、3−フェノキシベンゾエートなどのベンゾエート系溶媒;テトラリンなどの溶媒が例示されるが、本明細書の一実施態様に係る化合物を溶解または分散させることが可能な溶媒であれば可能であり、これらに限定されるものではない。
【0086】
もう一つの実施態様において、前記溶媒は、1種単独で使用するか、または2種以上の溶媒を混合して使用することができる。
【0087】
もう一つの実施態様において、前記溶媒の沸点は、好ましくは、40℃〜250℃、さらに好ましくは60℃〜230℃であるが、これに限定されるものではない。
【0088】
もう一つの実施態様において、前記単独あるいは混合溶媒の粘度は、好ましくは1CP〜10CP、さらに好ましくは3CP〜8CPであるが、これに限定されるものではない。
【0089】
もう一つの実施態様において、前記コーティング組成物の濃度は、好ましくは0.1wt/v%〜20wt/v%、さらに好ましくは0.5wt/v%〜5wt/v%であるが、これに限定されるものではない。
【0090】
本明細書の一実施態様において、前記コーティング組成物は、熱重合開始剤および光重合開始剤からなる群より選択される1種または2種以上の添加剤をさらに含んでもよい。
【0091】
前記熱重合開始剤は、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルオキシ)−ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミル(cumyl)パーオキサイド、ジ−tブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−(ジt−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、1,1−ジt−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジt−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリックアシッドn−ブチルエステル、2,2−ビス(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジt−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジt−ブチルパーオキシトリメチルアジペートなどの過酸化物、あるいはアゾビスイソブチルニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキシルニトリルなどのアゾ系があるが、これに限定されるものではない。
【0092】
前記光重合開始剤は、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニルエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼンなどのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤があり、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0093】
また、光重合促進効果を有するものを単独または前記光重合開始剤と併用してもよい。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0094】
本明細書はまた、前記コーティング組成物を用いて形成された有機発光素子を提供する。
【0095】
本明細書の一実施態様において、第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記コーティング組成物およびその硬化物を含むものである有機発光素子を提供する。
【0096】
本明細書の一実施態様において、前記第1電極は、カソードであり、前記第2電極は、アノードである。
【0097】
もう一つの実施態様において、前記第1電極は、アノードであり、前記第2電極は、カソードである。
【0098】
本明細書の一実施態様において、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層は、正孔輸送層、正孔注入層、または正孔輸送および正孔注入を同時に行う層である。
【0099】
本明細書の一実施態様において、前記コーティング組成物またはその硬化物を含む有機物層は、発光層である。
【0100】
本明細書の一実施態様において、前記コーティング組成物は、下記化学式11で表される陰イオン基;および下記化学式12で表される陽イオン基を含むイオン性化合物をさらに含んでもよい。
【0101】
【化9】
前記化学式11において、
R101〜R120のうちの少なくとも1つは、F;シアノ基;または置換もしくは非置換のフルオロアルキル基であり、
残りのR101〜R120のうちの少なくとも1つは、硬化基であり、
残りのR101〜R120は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ニトロ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
【化10】
前記化学式12において、
R121〜R130は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;重水素;ニトロ基;ハロゲン基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であるか、硬化基である。
【0102】
本明細書において、「硬化基」とは、熱および/または光に露出させることにより、化合物間に架橋をさせる反応性置換基を意味することができる。架橋は、熱処理または光照射によって炭素−炭素多重結合、環状構造の分解とともに生成されたラジカルが連結されながら生成される。
【0103】
本明細書の一実施態様において、前記硬化基は、下記の構造の中から選択されるいずれか1つである。
【化11】
前記構造において、
L11は、直接結合;−O−;−S−;置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
kは、1または2であり、
前記kが2の場合、前記L11は、互いに同一または異なり、
R131は、置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0104】
本明細書の一実施態様において、前記化学式11の硬化基は、ビニル基である。
【0105】
本明細書の一実施態様において、前記化学式11のR103、R108、R113およびR118は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、ビニル基またはFである。
【0106】
本明細書の一実施態様において、前記化学式11のR103、R108、R113およびR118のうちの少なくとも1つは、硬化基である。
【0107】
本明細書の一実施態様において、前記化学式11のR103、R108、R113およびR118のうちの少なくとも1つは、ビニル基である。
【0108】
本明細書の一実施態様において、前記化学式11のR103、R108、R113およびR118のうちの少なくとも1つは、ビニル基であり、残りは、Fである。
【0109】
本明細書の一実施態様において、前記化学式11で表される陰イオン基は、下記の構造の中から選択されるいずれか1つである。
【化12A】
【化12B】
【化12C】
【0110】
本明細書の一実施態様において、前記化学式12で表される陽イオン基は、下記の構造の中から選択されるいずれか1つである。
【化13】
【0111】
本明細書の一実施態様において、前記有機発光素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、電子注入および輸送層、電子阻止層、並びに正孔阻止層からなる群より選択される1層または2層以上をさらに含んでもよい。
【0112】
もう一つの実施態様において、有機発光素子は、基板上に、アノード、1層以上の有機物層、およびカソードが順次に積層された構造(normal type)の有機発光素子であってもよい。
【0113】
もう一つの実施態様において、有機発光素子は、基板上に、カソード、1層以上の有機物層、およびアノードが順次に積層された逆方向構造(inverted type)の有機発光素子であってもよい。
【0114】
本明細書の有機発光素子の有機物層は、単層構造からなってもよいが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなってもよい。例えば、本明細書の有機発光素子は、有機物層として、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有することができる。しかし、有機発光素子の構造はこれに限定されず、より少数の有機層を含むことができる。
【0115】
例えば、本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の構造は、
図1に例示されている。
【0116】
前記
図1には、基板101上に、アノード201、正孔注入層301、正孔輸送層401、発光層501、電子注入および輸送層601、並びにカソード701が順次に積層された有機発光素子の構造が例示されている。
【0117】
前記
図1は、有機発光素子を例示したものであり、これに限定されない。
【0118】
前記有機発光素子が複数の有機物層を含む場合、前記有機物層は、同一の物質または異なる物質で形成される。
【0119】
本明細書の有機発光素子は、有機物層のうちの1層以上がコーティング組成物を用いて形成されることを除けば、当技術分野で知られている材料および方法で製造できる。
【0120】
例えば、本明細書の有機発光素子は、基板上にアノード、有機物層、およびカソードを順次に積層させて製造することができる。この時、スパッタリング法(sputtering)や電子ビーム蒸発法(e−beam evaporation)などのPVD(Physical Vapor Deposition)方法を利用して、基板上に金属または導電性を有する金属酸化物またはこれらの合金を蒸着させてアノードを形成し、その上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層を含む有機物層を形成した後、その上にカソードとして使用可能な物質を蒸着させて製造できる。このような方法以外にも、基板上に、カソード物質から有機物層およびアノード物質を順に蒸着させて有機発光素子を製造することができる。
【0121】
本明細書はまた、前記コーティング組成物を用いて形成された有機発光素子の製造方法を提供する。
【0122】
具体的には、本明細書の一実施態様において、基板を用意するステップと、前記基板上にカソードまたはアノードを形成するステップと、前記カソードまたはアノード上に1層以上の有機物層を形成するステップと、前記有機物層上にアノードまたはカソードを形成するステップとを含み、前記有機物層を形成するステップは、前記コーティング組成物を用いて1層以上の有機物層を形成するステップを含むものである有機発光素子の製造方法を提供する。
【0123】
本明細書の一実施態様において、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層は、スピンコーティングまたはインクジェッティングを利用して形成される。
【0124】
他の実施態様において、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層は、印刷法によって形成される。
【0125】
本明細書の態様において、前記印刷法は、例えば、インクジェットプリンティング、ノズルプリンティング、オフセットプリンティング、転写プリンティング、またはスクリーンプリンティングなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0126】
本明細書の一実施態様に係るコーティング組成物は、構造的な特性から溶液工程が好適で印刷法によって形成可能なため、素子の製造時に時間および費用的に経済的な効果がある。
【0127】
本明細書の一実施態様において、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層を形成するステップは、前記カソードまたはアノード上に前記コーティング組成物をコーティングするステップと、前記コーティングされたコーティング組成物を熱処理または光処理するステップとを含む。
【0128】
本明細書の一実施態様において、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層を熱処理する時間は、好ましくは1時間以内、さらに好ましくは30分以内である。
【0129】
本明細書の一実施態様において、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層を熱処理する雰囲気は、好ましくは、アルゴン、窒素などの不活性気体である。
【0130】
前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層を形成するステップにおいて、前記熱処理または光処理ステップを含む場合には、コーティング組成物に含まれた複数のフルオレン基が架橋を形成して薄膜化された構造が含まれた有機物層を提供することができる。この場合、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層の表面上に蒸着された溶媒によって溶解するか、形態学的に影響を受けたり、分解するのを防止することができる。
【0131】
したがって、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層が熱処理または光処理ステップを含んで形成された場合には、溶媒に対する抵抗性が増加して溶液蒸着および架橋方法を繰り返し行って多層を形成することができ、安定性が増加して素子の寿命特性を増加させることができる。
【0132】
本明細書の一実施態様において、前記化合物を含むコーティング組成物は、高分子結合剤に混合して分散させたコーティング組成物を用いることができる。
【0133】
本明細書の一実施態様において、高分子結合剤としては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好ましく用いられる。高分子結合剤としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)およびその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどが例示される。
【0134】
また、本明細書の一実施態様に係る化合物は、有機物層に化合物単独で含んでもよく、他のモノマーと混合したコーティング組成物を用いて共重合体として含ませることができる。さらに、他の高分子と混合したコーティング組成物を用いて共重合体、または混合物を含むことができる。
【0135】
前記アノード物質としては、通常、有機物層への正孔注入が円滑となるように仕事関数の大きい物質が好ましい。本明細書で使用可能なアノード物質の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などの金属、またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO
2:Sbなどの金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンなどの導電性高分子などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0136】
前記カソード物質としては、通常、有機物層への電子注入が容易となるように仕事関数の小さい物質であることが好ましい。カソード物質の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛などの金属、またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO
2/Alなどの多層構造の物質などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0137】
前記正孔注入層は、電極から正孔を注入する層で、正孔注入物質としては、正孔を輸送する能力を有し、アノードからの正孔注入効果、発光層または発光材料に対して優れた正孔注入効果を有し、発光層で生成された励起子の電子注入層または電子注入材料への移動を防止し、また、薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。正孔注入物質のHOMO(highest occupied molecular orbital)がアノード物質の仕事関数と周辺の有機物層のHOMOとの間であることが好ましい。正孔注入物質の具体例としては、金属ポルフィリン(porphyrin)、オリゴチオフェン、アリールアミン系の有機物、ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン系の有機物、キナクリドン(quinacridone)系の有機物、ペリレン(perylene)系の有機物、アントラキノンおよびポリアニリンとポリチオフェン系の導電性高分子などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0138】
前記正孔輸送層は、正孔注入層から正孔を受け取って発光層まで正孔を輸送する層で、正孔輸送物質としては、アノードや正孔注入層から正孔輸送を受けて発光層に移し得る物質で、正孔に対する移動性の大きい物質が好適である。具体例としては、アリールアミン系の有機物、導電性高分子、および共役部分と非共役部分が共にあるブロック共重合体などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0139】
前記発光物質としては、正孔輸送層と電子輸送層から正孔と電子の輸送をそれぞれ受けて結合させることにより可視光線領域の光を発し得る物質であって、蛍光や燐光に対する量子効率の良い物質が好ましい。具体例としては、8−ヒドロキシ−キノリンアルミニウム錯体(Alq
3);カルバゾール系化合物;二量体化スチリル(dimerized styryl)化合物;BAlq;10−ヒドロキシベンゾキノリン−金属化合物;ベンゾキサゾール、ベンズチアゾール、およびベンズイミダゾール系の化合物;ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)系の高分子;スピロ(spiro)化合物;ポリフルオレン;またはルブレンなどがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0140】
前記発光層は、ホスト材料およびドーパント材料を含むことができる。ホスト材料は、縮合芳香族環誘導体またはヘテロ環含有化合物などがある。具体的には、縮合芳香族環誘導体としては、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、ナフタレン誘導体、ペンタセン誘導体、フェナントレン化合物、フルオランテン化合物などがあり、ヘテロ環含有化合物としては、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ラダー型フラン化合物、ピリミジン誘導体などがあるが、これらに限定されない。
【0141】
ドーパント材料としては、芳香族アミン誘導体、スチリルアミン化合物、ホウ素錯体、フルオランテン化合物、金属錯体などがある。具体的には、芳香族アミン誘導体としては、置換もしくは非置換のアリールアミン基を有する縮合芳香族環誘導体であって、アリールアミン基を有するピレン、アントラセン、クリセン、ペリフランテンなどがあり、スチリルアミン化合物としては、置換もしくは非置換のアリールアミンに少なくとも1つのアリールビニル基が置換されている化合物で、アリール基、シリル基、アルキル基、シクロアルキル基、およびアリールアミン基からなる群より1または2以上選択される置換基が置換もしくは非置換である。具体的には、スチリルアミン、スチリルジアミン、スチリルトリアミン、スチリルテトラアミンなどがあるが、これらに限定されない。また、金属錯体としては、イリジウム錯体、白金錯体などがあるが、これらに限定されない。
【0142】
前記電子輸送層は、電子注入層から電子を受け取って発光層まで電子を輸送する層で、電子輸送物質としては、カソードから電子注入をきちんと受けて発光層に移し得る物質であって、電子の移動度の大きい物質が好適である。具体例としては、8−ヒドロキシキノリンのAl錯体;Alq
3を含む錯体;有機ラジカル化合物;またはヒドロキシフラボン−金属錯体などがあるが、これらのみに限定されるものではない。電子輸送層は、従来技術により使用されているような、任意の所望するカソード物質と共に使用可能である。特に、適切なカソード物質の例は、低い仕事関数を有し、アルミニウム層またはシルバー層が後に続く通常の物質である。具体的には、セシウム、バリウム、カルシウム、イッテルビウム、およびサマリウムであり、各場合、アルミニウム層またはシルバー層が後に続く。
【0143】
前記電子注入層は、電極から電子を注入する層で、電子を輸送する能力を有し、カソードからの電子注入効果、発光層または発光材料に対して優れた電子注入効果を有し、発光層で生成された励起子の正孔注入層への移動を防止し、また、薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。具体的には、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントロンなどとそれらの誘導体、金属錯体化合物および含窒素5員環誘導体などがあるが、これらに限定されない。
【0144】
前記金属錯体化合物としては、8−ヒドロキシキノリナトリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナト)亜鉛、ビス(8−ヒドロキシキノリナト)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナト)マンガン、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリナト)クロロガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナト)(o−クレゾラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナト)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナト)(2−ナフトラート)ガリウムなどがあるが、これらに限定されない。
【0145】
前記正孔阻止層は、正孔のカソード到達を阻止する層で、一般的に、正孔注入層と同一の条件で形成される。具体的には、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、アルミニウム錯体(aluminum complex)などがあるが、これらに限定されない。
【0146】
本明細書に係る有機発光素子は、使用される材料によって、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であってもよい。
【0147】
本明細書の一実施態様において、前記化合物は、有機発光素子以外にも、有機太陽電池または有機トランジスタに含まれる。
【実施例】
【0148】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本明細書に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本明細書の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0149】
<製造例>
<製造例1−1>−化合物1の製造
中間体I−1の製造
【化14】
3−ブロモ−9−フェニル−9H−カルバゾール(16.11g、50.0mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン(10.95g、50.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.73g、1.5mmol)、そしてK
2CO
3(20.23g、100.0mmol)が入ったフラスコに、800mlのTHF/H
2O(v/v=3/1)を入れて、N
2、80℃で16時間回した。反応終了後、反応液を冷やした後、抽出フラスコで有機層を抽出し、MgSO
4で乾燥した後、有機溶媒を真空回転濃縮機を用いて除去した後、残留物をカラム精製して、I−1を10.2g(収率51%、HPLC純度99.4%)得た。
【0150】
中間体I−2の製造
【化15】
I−1(3.2g、10.0mmol)、ブロモベンゼン(1.57g、10.0mmol)、そしてソジウムtert−ブトキシド[sodium tert−butoxide](2.4g、25.0mmol)が入ったフラスコに、トルエン[Toluene]を入れた。反応物の入ったフラスコを90℃のオイルバス[oil bath]に浸した後、Pd(PtBu
3)
2(153mg、0.3mmol)を入れて1時間回した。水を入れて反応を中止させ、ジクロロメタン[dichloromethane(DCM)]で抽出した後、MgSO
4で有機層を乾燥した。有機溶媒を真空回転濃縮機を用いて除去した後、残留物をカラム精製して、I−2を2.99g(収率73%、HPLC純度99.6%)得た。
【0151】
中間体A−1の製造
【化16】
2−ブロモ−9H−フルオレン−9−オン(25.9g、100mmol)を無水テトラヒドロフラン(THF)に溶かした。フェニルマグネシウムブロミド(Phenylmagnesiumbromide)(3M in THF、48ml、144mmol)を入れて20分間撹拌させた。NH
4Cl(aq)で反応を中止させ、水層を分離した後、エチルアセテート[ethylacetate(EA)]で抽出した。MgSO
4を用いて有機層を乾燥させ、真空回転濃縮機を用いて有機溶媒を除去した。残留物をDCMに溶かした後、トリエチルシラン[triethylsilane](23.3ml、145mmol)とトリフルオロ酢酸[trifluoroacetic acid]11.7mlを入れて、RTで一晩撹拌した。真空回転濃縮機で有機溶媒を除去し、silica filterした。さらに有機溶媒を真空回転濃縮機で除去し、ジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶して、A−1を20.6g(収率61%)得た。
【0152】
中間体A−2の製造
【化17】
A−1(20.6g、61mmol)とフェノール(17.2g、183mmol)を入れて、メタンスルホン酸[Methanesulfonic acid]82ml(304mmol)に溶かした。ディーン・スターク装置(Dean−stark apparatus)を設けて還流(reflux)させた。この後、飽和NaHCO
3水溶液で反応を中止させ、エチルアセテート(ethyl acetate)で有機層を抽出した。MgSO
4で有機層を乾燥させた後、溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(column chromatography)で精製して、中間体化合物A−2(21g、収率84%)を得た。
【0153】
中間体A−3の製造
【化18】
A−2(21g、51.0mmol)、4−ブロモベンズアルデヒド(11.1g、60mmol)、K
2CO
3(30.4g、150.0mmol)を入れて、無水ピリジン100ml(0.25M)に溶かした。この後、Copper(II) oxide(8.1g、100mmol)をゆっくり添加し、120℃に昇温して還流し、反応を進行させた。反応が終わると、飽和NaHCO
3水溶液で反応を中止させ、エチルアセテートで有機層を抽出した。MgSO
4で有機層を乾燥させた後、溶媒を除去して得られたクルード(crude)をジクロロメタン(dichloromethane)に溶かしてエタノール(ethanol)に沈殿をとることにより、固体の中間体化合物A−3(20.6g、収率78%)を得た。
【0154】
中間体Aの製造
【化19】
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(28.58g、80mmol)を無水テトラヒドロフラン[anhydrous THF]100mlを入れて、氷浴(ice bath)を用いて0℃で30分間撹拌をした後、ポタシウム−tert−ブトキシド(potassium tert−butoxide)(9.0g、80mmol)を一度に入れて、氷浴で20分間追加的に撹拌させる。中間体化合物A−3(20.6g、39.8mmol)を70mlのテトラヒドロフラン[THF]に溶かした後、滴下漏斗[dropping funnel]を用いて次第に混合物[mixture]に添加した。この後、THF15mlでフラスコと漏斗を洗いながらすべて入れた。水80mlを入れて反応を終了させ、エチルアセテートで有機層を抽出した。抽出した有機層をMgSO
4を用いて水分を除去し、有機溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィーで精製して、中間体化合物A(19.2g、37.3mmol)を得た。
【0155】
化合物1の製造
【化20】
I−2(2.99g、7.28mmol)とA(3.86g、7.5mmol)、NaOt−Bu(2.16g、22.5mmol)、Pd(PtBu
3)
2(112mg、0.22mmol)を、80mlのトルエンに入れて、80℃、N
2雰囲気で0.5時間回した。水を入れて反応を中止させ、ジエチルエーテルで抽出を進行させた後、MgSO
4で有機層を乾燥し、有機溶媒を真空回転濃縮機を用いて除去した後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製を進行させた。こうして米色の化合物1(4.24g、5.0mmol)を得た。得られた化合物はLCMSを用いて確認をした。
MS:844.4
【0156】
中間体II−1の製造
【化21】
3,6−ジブロモ−9−フェニル−9H−カルバゾール(20.05g、50mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンズアルデヒド(11.60g、50mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.73g、1.5mmol)、そしてK
2CO
3(20.23g、100.0mmol)が入ったフラスコに、900mlのTHF/H
2O(v/v=3/1)を入れて、N
2、80℃で5時間回した。反応終了後、反応液を冷やした後、抽出フラスコで有機層を抽出し、MgSO
4で乾燥した後、有機溶媒を真空回転濃縮機を用いて除去した後、残留物をカラム精製して、II−1を10.0g(収率47%、HPLC純度98.9%)得た。
【0157】
中間体II−2の製造
【化22】
A−3の代わりにII−1を用いたことを除き、中間体Aの製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体II−2(9.04g、収率90.6%)を得た。
【0158】
中間体II−3の製造
【化23】
3−ブロモ−9−フェニル−9H−カルバゾールの代わりにII−2を用いたことを除き、中間体I−1の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体II−3(6.02g、収率64.8%)を得た。
【0159】
中間体II−4の製造
【化24】
I−1の代わりにII−3を、ブロモベンゼンの代わりに4−ブロモ−1,1’−ビフェニルを用いたことを除き、中間体I−2の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体II−4(1.78g、収率87.8%)を得た。
【0160】
化合物6の製造
【化25】
I−2の代わりにII−4を用いたことを除き、化合物1の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、化合物6(2.79g、収率90.3%)を得た。得られた化合物はLCMSを用いて確認をした。
MS:1022.6
【0161】
中間体III−1の製造
【化26】
3−ブロモ−9−フェニル−9H−カルバゾールの代わりに3−ブロモ−9−(4−ビニルフェニル)−9H−カルバゾールを用いたことを除き、中間体I−1の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体III−1(4.58g、収率50.8%)を得た。
【0162】
中間体III−2の製造
【化27】
II−3の代わりにIII−1を用いたことを除き、中間体II−4の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体III−2(2.6g、収率83.2%)を得た。
【0163】
中間体B−1の製造
【化28】
フェニルマグネシウムブロミドの代わりに(4−(tert−ブチル)フェニル)マグネシウムブロミドを用いたことを除き、中間体A−1の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体B−1(9.3g、収率79%)を得た。
【0164】
中間体B−2の製造
【化29】
A−1の代わりにB−1を用いたことを除き、中間体A−2の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体B−2(9.0g、収率81%)を得た。
【0165】
中間体B−3の製造
【化30】
A−2の代わりにB−2を用いたことを除き、中間体A−3の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体B−3(8.15g、収率74%)を得た。
【0166】
中間体Bの製造
【化31】
A−3の代わりにB−3を用いたことを除き、中間体Aの製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体B(7.32g、収率92%)を得た。
【0167】
化合物14の製造
【化32】
I−2の代わりにIII−2を、中間体Aの代わりに中間体Bを用いたことを除き、化合物1の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、化合物14(2.15g、収率83%)を得た。得られた化合物はLCMSを用いて確認をした。
MS:1002.9
【0168】
中間体IV−1の製造
【化33】
4−ブロモ−1,1’−ビフェニルの代わりに2−ブロモナフタレンを用いたことを除き、中間体II−4の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体IV−1(1.68g、収率87%)を得た。
【0169】
化合物25の製造
【化34】
I−2の代わりにIV−1を用いたことを除き、化合物1の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、化合物25(2.65g、収率89%)を得た。得られた化合物はLCMSを用いて確認をした。
MS:998.2
【0170】
中間体V−1の製造
【化35】
4−ブロモ−1,1’−ビフェニルの代わりに2−ブロモ−1,1’−ビフェニルを用いたことを除き、中間体III−2の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体V−1(2.44g、収率78%)を得た。
【0171】
化合物57の製造
【化36】
III−2の代わりにV−1を用いたことを除き、化合物14の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、化合物57(3.38g、収率71%)を得た。得られた化合物はLCMSを用いて確認をした。
MS:1003.6
【0172】
中間体VI−1の製造
【化37】
4−ブロモ−1,1’−ビフェニルの代わりに4−ブロモ−4’−オクチル−1,1’−ビフェニルを用いたことを除き、中間体II−4の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体VI−1(1.66g、収率69%)を得た。
【0173】
化合物83の製造
【化38】
I−2の代わりにVI−1を用いたことを除き、化合物1の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、化合物83(1.96g、収率73%)を得た。得られた化合物はLCMSを用いて確認をした。
MS:1136.4
【0174】
中間体VII−1の製造
【化39】
4−ブロモ−1,1’−ビフェニルの代わりに2−ブロモ−9,9−ジメチル−9H−フルオレンを用いたことを除き、中間体II−4の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体VII−1(1.90g、収率88%)を得た。
【0175】
化合物87の製造
【化40】
III−2の代わりにVII−1を用いたことを除き、化合物14の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、化合物87(2.74g、収率81%)を得た。得られた化合物はLCMSを用いて確認をした。
MS:1119.8
【0176】
中間体VIII−1の製造
【化41】
3,6−ジブロモ−9−フェニル−9H−カルバゾールの代わりに3−ブロモ−9−(4−ビニルフェニル)−9H−カルバゾールを用いたことを除き、中間体III−1の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体VIII−1(7.06g、収率63%)を得た。
【0177】
中間体VIII−2の製造
【化42】
A−3の代わりにVIII−1を用いたことを除き、中間体Aの製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体VIII−2(6.61g、収率94%)を得た。
【0178】
中間体VIII−3の製造
【化43】
VIII−2(6.61g、17.8mmol)を200mlのDMFに溶かし、常温、N
2雰囲気で15分間撹拌した後、50mlのDMFにn−ブロモスクシンイミド(3.11g、17.5mmol)を溶解しゆっくり滴加して16時間撹拌した。水を250ml入れて反応を終了し、落ちた沈殿物を濾過し、60℃で20時間乾燥して、純度95%のVIII−3(5.54g、12.3mmol)を得た。
【0179】
中間体VIII−4の製造
【化44】
3−ブロモ−9−フェニル−9H−カルバゾールの代わりに中間体VI1I−3を用いたことを除き、中間体I−1の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体VIII−4(3.81g、収率67%)を得た。
【0180】
中間体VIII−5の製造
【化45】
中間体I−1の代わりに中間体VI1I−4を、ブロモベンゼンの代わりに3−ブロモジベンゾ[b,d]フランを用いたことを除き、中間体I−2の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体VIII−5(4.30g、収率83%)を得た。
【0181】
中間体C−1の製造
【化46】
フェニルマグネシウムブロミドの代わりに(2,5−ジメチルフェニル)マグネシウムブロミドを用いたことを除き、中間体A−1の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体C−1(3.14g、収率86%)を得た。
【0182】
中間体C−2の製造
【化47】
A−1の代わりにC−1を用いたことを除き、中間体A−2の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体C−2(3.04g、収率81%)を得た。
【0183】
中間体C−3の製造
【化48】
A−2の代わりにC−2を用いたことを除き、中間体A−3の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体C−3(2.89g、収率77%)を得た。
【0184】
中間体Cの製造
【化49】
A−3の代わりにC−3を用いたことを除き、中間体Aの製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体C(2.53g、収率88%)を得た。
【0185】
化合物96の製造
【化50】
中間体I−2の代わりに中間体VIII−5を、中間体Aの代わりに中間体Cを用いたことを除き、化合物1の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、化合物96(2.91g、収率89%)を得た。得られた化合物はLCMSを用いて確認をした。
MS:1092.4
【0186】
中間体D−1の製造
【化51】
フェノールの代わりに2,6−キシレノールを用いたことを除き、中間体A−2の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体D−1(5.45g、収率61.7%)を得た。
【0187】
中間体D−2の製造
【化52】
中間体A−2の代わりに中間体D−1を用いたことを除き、中間体A−3の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体D−2(4.74g、収率70.3%)を得た。
【0188】
中間体Dの製造
【化53】
中間体A−3の代わりに中間体D−2を用いたことを除き、中間体Aの製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体D(4.35g、8.0mmol)を得た。
【0189】
化合物107の製造
【化54】
中間体Aの代わりに中間体Dを用いたことを除き、化合物6の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、化合物107(6.51g、収率77.4%)を得た。得られた化合物はLCMSを用いて確認をした。
MS:1050.5
【0190】
中間体E−1の製造
【化55】
500mLの一口丸底フラスコ(1−neck RBF)に、A−1(10g、29.7mmol)を入れて、ジクロロメタン(dichloromethane)150mlを入れて溶かす。トリエチルシラン(Triethylsilane)(7.8ml、50mmol)とトリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid)(3.5ml、12mmol)を滴加した後、24時間撹拌した。シリカゲル(Silica gel)を投下して吸着させた後、ヘキサン(hexane)でカラムして、中間体E−1(8.2g、収率85.8%)を得た。
【0191】
中間体E−2の製造
【化56】
250mLの一口丸底フラスコ(1−neck RBF)に、E−1(8.2g、25.5mmol)と4−(4−(8−ブロモオクチル)フェノキシ)ベンズアルデヒド[4−(4−(8−bromooctyl)phenoxy)benzaldehyde](10.9g、28.0mmol)、テトラブチルアンモニウム臭化物(Tetrabutylammonium bromide)(0.64g、2mmol)を入れて、トルエン(toluene)100mlを加えて溶かす。約50℃に昇温した後、脱気(degassing)を約30分間行った後、15wt%NaOHを25ml入れて、60℃で約18時間反応した。塩化アンモニウム(Ammonium chloride)を入れて反応を終結した後、水を加えてEAを用いて有機層を抽出した。得られた有機層をMgSO
4でドライし濃縮した後、MC(methylene chloride)とエタノール(ethanol)を用いて再結晶して、E−2(7.7g、収率48.3%)を得た。
【0192】
中間体Eの製造
【化57】
中間体A−3の代わりに中間体E−2を用いたことを除き、中間体Aの製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体E(7.1g、11.3mmol)を得た。
【0193】
中間体IX−1の製造
【化58】
3−ブロモ−9−フェニル−9H−カルバゾール(6.96g、20.0mmol)、2,2’−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2,7−ジイル)ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)(10.71g、24.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(693mg、0.6mmol)、そしてK
2CO
3(10.11g、50.0mmol)が入ったフラスコに、500mlのテトラヒドロフラン(THF)/H
2O(v/v=3/1)を入れて、N
2、80℃で16時間回した。反応終了後、反応液を冷やした後、抽出フラスコで有機層を抽出し、MgSO
4で乾燥した後、有機溶媒を真空回転濃縮機を用いて除去した後、残留物をカラム精製して、中間体IX−1(5.11g、収率43.5%)を得た。
【0194】
中間体IX−2の製造
【化59】
3−ブロモ−9−フェニル−9H−カルバゾールの代わりにIX−1を用い、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリンの代わりに4−ブロモアニリンを用いたことを除き、中間体III−1の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体IX−2(2.9g、収率60.4%)を得た。
【0195】
中間体IX−3の製造
【化60】
I−1の代わりにIX−2を用い、ブロモベンゼンの代わりに1−ブロモ−4−フルオロベンゼンを用いたことを除き、中間体I−2の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体IX−3(2.84g、収率83.5%)を得た。
【0196】
化合物18の製造
【化61】
中間体I−2の代わりに中間体IX−3を、中間体Aの代わりに中間体Eを用いたことを除き、化合物1の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、化合物18(4.18g、収率79.7%)を得た。得られた化合物はLCMSを用いて確認をした。
MS:1193.6
【0197】
中間体X−1の製造
【化62】
3−ブロモ−9−フェニル−9H−カルバゾールの代わりに3−ブロモ−9−(4−ビニルフェニル)−9H−カルバゾールを用い、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリンの代わりに6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−yl)ナフタレン−2−アミンを用いたことを除き、中間体III−1の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体X−1(4.34g、収率52.9%)を得た。
【0198】
中間体X−2の製造
【化63】
3−ブロモ−9−フェニル−9H−カルバゾールの代わりにX−1を用い、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリンの代わりに4−ブロモアニリンを用いたことを除き、中間体III−1の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、中間体X−2(3.17g、収率59.3%)を得た。
【0199】
化合物23の製造
【化64】
中間体I−2の代わりに中間体X−2を用いたことを除き、化合物1の製造と同一の当量と合成および精製方法を活用して、化合物23(4.89g、収率83.1%)を得た。得られた化合物はLCMSを用いて確認をした。
MS:939.2
【0200】
<実施例>
実施例1.
ITO(indium tin oxide)が1500Åの厚さに薄膜蒸着されたガラス基板を、洗剤を溶かした蒸留水に入れて超音波洗浄した。ITOを30分間洗浄した後、蒸留水で2回繰り返し超音波洗浄を10分間進行させた。蒸留水洗浄が終わった後、イソプロピルアルコール、アセトンの溶剤で超音波洗浄をそれぞれ30分ずつし乾燥させた後、前記基板をグローブボックスに輸送させた。
【0201】
このように用意されたITO透明電極上に、前記化合物1(20mg)、化学式D−1(1mg)、およびトルエン(1mg)を混合したコーティング組成物をスピンコーティングして300Åの厚さの正孔注入層を形成し、空気中にてホットプレートで1時間コーティング組成物を硬化させた。この後、真空蒸着機に搬送した後、前記正孔注入層上に下記のa−NPDを真空蒸着して正孔輸送層を形成した。
【0202】
a−NPDを40nmの厚さに蒸着した後、前記正孔輸送層上に下記のAlq
3を50nmに真空蒸着して発光層を形成した。前記発光層上にBCPを35nmの厚さに真空蒸着して電子注入および輸送層を形成した。前記電子注入および輸送層上に、0.5nmの厚さにLiFと100nmの厚さにアルミニウムを蒸着してカソードを形成した。
【0203】
前記の過程で、有機物の蒸着速度は0.4〜0.7Å/secを維持し、カソードのLiFは0.3Å/sec、アルミニウムは2Å/secの蒸着速度を維持し、蒸着時の真空度は2×10
−7〜3×10
−5torrを維持した。
【0204】
【化65】
【0205】
【化66】
【0206】
【化67】
【0207】
実施例2.
前記実施例1において、化合物1の代わりに化合物6を用いたことを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0208】
実施例3.
前記実施例1において、化合物1の代わりに化合物14を用いたことを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0209】
実施例4.
前記実施例1において、化合物1の代わりに化合物25を用いたことを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0210】
実施例5.
前記実施例1において、化合物1の代わりに化合物57を用いたことを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0211】
実施例6.
前記実施例1において、化合物1の代わりに化合物83を用いたことを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0212】
実施例7.
前記実施例1において、化合物1の代わりに化合物87を用いたことを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0213】
実施例8.
前記実施例1において、化合物1の代わりに化合物96を用いたことを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0214】
実施例9.
前記実施例1において、化合物1の代わりに化合物6、化学式D−1の代わりに化学式D−2を用いたことを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0215】
実施例10.
前記実施例9において、化合物6の代わりに化合物57を用いたことを除けば、前記実施例9と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0216】
実施例11.
前記実施例9において、化合物6の代わりに化合物83を用いたことを除けば、前記実施例9と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0217】
実施例12.
前記実施例1において、化合物1の代わりに化合物6、化学式D−1の代わりに化学式D−3を用いたことを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0218】
実施例13.
前記実施例12において、化合物6の代わりに化合物14を用いたことを除けば、前記実施例12と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0219】
実施例14.
前記実施例12において、化合物6の代わりに化合物83を用いたことを除けば、前記実施例12と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0220】
実施例15.
前記実施例12において、化合物6の代わりに化合物87を用いたことを除けば、前記実施例12と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0221】
実施例16.
前記実施例12において、化合物6の代わりに化合物96を用いたことを除けば、前記実施例12と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0222】
実施例17.
前記実施例12において、化合物6の代わりに化合物107を用いたことを除けば、前記実施例12と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0223】
実施例18.
前記実施例12において、化合物6の代わりに化合物18を用いたことを除けば、前記実施例12と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0224】
実施例19.
前記実施例12において、化合物6の代わりに化合物23を用いたことを除けば、前記実施例12と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0225】
比較例1.
前記実施例1において、化合物1の代わりに下記の化合物V−1を用いたことを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【化68】
【0226】
比較例2.
前記実施例1において、化合物1の代わりに下記の化合物V−2を用いたことを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【化69】
【0227】
比較例3.
前記実施例1において、化合物1の代わりに下記の化合物V−3を用いたことを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【化70】
【0228】
前記実施例1〜19および比較例1〜3で製造した有機発光素子を、10mA/cm
2の電流密度で駆動電圧、電流効率、量子効率(QE)および輝度値を測定し、10mA/cm
2の電流密度で初期輝度対比90%になる時間(T90)を測定した。その結果を下記表1に示した。
【0229】
【表1】
【0230】
前記表1の結果から、本願の化合物を用いて有機発光素子を製造した実施例1〜19が、比較例1〜3で製造された有機発光素子より、駆動電圧が低く、電流効率および量子効率に優れ、寿命特性にも優れていることを確認することができる。