特許第6939717号(P6939717)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6939717環状アミノオルガノキシシラン化合物およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6939717
(24)【登録日】2021年9月6日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】環状アミノオルガノキシシラン化合物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/18 20060101AFI20210909BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20210909BHJP
【FI】
   C07F7/18 WCSP
   !C07B61/00 300
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-116813(P2018-116813)
(22)【出願日】2018年6月20日
(65)【公開番号】特開2019-218299(P2019-218299A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2020年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】殿村 洋一
【審査官】 高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−072077(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2017−0067690(KR,A)
【文献】 特開2014−001152(JP,A)
【文献】 特開昭64−061488(JP,A)
【文献】 特開2011−162500(JP,A)
【文献】 特開2014−111617(JP,A)
【文献】 特開2016−088854(JP,A)
【文献】 特開2016−079115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 7/18
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される環状アミノオルガノキシシラン化合物。
【化1】
(式中、R1は、置換または非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基を表し、R2〜R5は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基を表し、R6〜R8は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基を表し、R9およびR10は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1〜20の2価炭化水素基を表し、mは、0、1または2であり、nは、0または1である。)
【請求項2】
下記一般式(2)
【化2】
(式中、R2〜R5は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基を表し、R9およびR10は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を含んでいてもよい、置換または非置換の炭素数1〜20の2価炭化水素基を表し、mは、0、1または2であり、nは、0または1である。)
で示されるアミノオルガノキシシラン化合物と、下記一般式(3)
【化3】
(式中、R1は、置換または非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基を表し、R6〜R8は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基を表す。)
で示されるエポキシ化合物とを反応させて得られる反応混合物を蒸留する、下記一般式(1)で示される環状アミノオルガノキシシラン化合物の製造方法。
【化4】
(式中、R1〜R10、mおよびnは、上記と同じ意味を表す。)
【請求項3】
塩基性触媒または酸性触媒の存在下で反応混合物を蒸留する請求項2記載の環状アミノオルガノキシシラン化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状アミノオルガノキシシラン化合物およびその製造方法に関し、さらに詳述すると、シランカップリング剤、表面処理剤、樹脂添加剤、塗料添加剤、接着剤等として有用な環状アミノオルガノキシシラン化合物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アミノ基を有するシラン化合物は、シランカップリング剤、表面処理剤、樹脂添加剤、塗料添加剤、接着剤等として有用であり、このようなアミノ基を有するシラン化合物としては、例えばアミノプロピルトリメトキシシラン等の1級アミノ基を有するオルガノキシシラン化合物、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等の2級アミノ基を有するオルガノキシシラン化合物、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン等の3級アミノ基を有するオルガノキシシラン化合物等が知られている。
【0003】
しかし、これらのシラン化合物は、1分子あたり、アミノ基とオルガノキシシリル基とをそれぞれ1つずつしか有していないため、シランカップリング剤、表面処理剤、樹脂添加剤、塗料添加剤、接着剤等として使用した場合、官能基導入による効果の発現が少ない場合がある。
【0004】
上記問題を解決するため、分子内オルガノキシシリル基を有する3級アミノシラン化合物(特許文献1,3参照)や、分子内オルガノキシシリル基を有する2級アミノシラン化合物(特許文献2参照)等が提案されている。
これらの化合物は、空気中の水分と反応することにより、元々有しているアミノ基に加えて水酸基が生成し、上記官能基導入による効果が高くなる。また、分子内オルガノキシ基部分は、空気中の水分と反応した際に、メタノールやエタノール等の低沸アルコールを生成しないため、環境負荷が少ない化合物としても有用である。
さらに、オルガノキシシリル基を複数有する化合物としては、オルガノキシシリル基を2つ、2級アミノ基を1つ有するビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンが提案されており、添加により架橋ネットワークを形成できることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−120925号公報
【特許文献2】特開2010−285406号公報
【特許文献3】特開2014−001152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、引用文献1〜3の化合物は、いずれも1分子あたりの官能基として、アミノ基を1つ、空気中の水分と反応して生成する水酸基を1つおよびオルガノキシシリル基を1つしか有していない。また、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンの場合には、官能基としてオルガノキシシリル基を2つ、アミノ基を1つ有しているが、近年、シランカップリング剤、表面処理剤、樹脂添加剤、塗料添加剤、接着剤等において、その使用目的の多様化に伴い、より添加効果の高いシラン化合物が求められてきており、引用文献1〜3の化合物やビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンを用いた場合では、添加効果が低い場合があり、必ずしも十分な添加効果が得られてはいなかった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、シランカップリング剤、表面処理剤、樹脂添加剤、塗料添加剤、接着剤等として用いた場合に、より添加効果が高く、使用時に低沸アルコール発生の少ないシラン化合物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、特定の環状アミノオルガノキシシラン化合物が、シランカップリング剤、表面処理剤、樹脂添加剤、塗料添加剤、接着剤等として用いた場合に、より添加効果が高く、かつ使用時に低沸アルコールの発生がより少なくなることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、
1. 下記一般式(1)で示される環状アミノオルガノキシシラン化合物、
【化1】
(式中、R1は、置換または非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基を表し、R2〜R5は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基を表し、R6〜R8は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基を表し、R9およびR10は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を含んでいてもよい、置換または非置換の炭素数1〜20の2価炭化水素基を表し、mは、0、1または2であり、nは、0または1である。)
2. 下記一般式(2)
【化2】
(式中、R2〜R5、R9、R10、mおよびnは、前記と同じ意味を表す。)
で示されるアミノオルガノキシシラン化合物と、下記一般式(3)
【化3】
(式中、R1、R6〜R8は、前記と同じ意味を表す。)
で示されるエポキシ化合物とを反応させて得られる反応混合物を蒸留する1の環状アミノオルガノキシシラン化合物の製造方法、
3. 塩基性触媒または酸性触媒の存在下で反応混合物を蒸留する2の環状アミノオルガノキシシラン化合物の製造方法
を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の環状アミノオルガノキシシラン化合物は、従来から知られている化合物と比較して添加効果が高くなるため、シランカップリング剤、表面処理剤、樹脂添加剤、塗料添加剤、接着剤等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1で得られた化合物の1H−NMRスペクトル図である。
図2】実施例1で得られた化合物のIRスペクトル図である。
図3】実施例2で得られた化合物の1H−NMRスペクトル図である。
図4】実施例2で得られた化合物のIRスペクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係る環状アミノオルガノキシシラン化合物は、下記一般式(1)で示される。
【0013】
【化4】
【0014】
上記式(1)において、R1は、置換または非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基を表し、R2〜R5は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基を表し、R6〜R8は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基を表し、R9およびR10は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を含んでいてもよい、置換または非置換の炭素数1〜20の2価炭化水素基を表し、mは、0、1または2、好ましくは0であり、nは、0または1、好ましくは0である。
【0015】
ここで、R1の炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル基等の直鎖状のアルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、テキシル、2−エチルヘキシル基等の分岐鎖状のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基;ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル基等のアルケニル基;フェニル、トリル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられ、特に原料の入手容易性、生成物の有用性の観点から、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基;アリル基、ブテニル基、ペンテニル基等の炭素数2〜5のアルケニル基が好ましい。
【0016】
2〜R8の炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の1価炭化水素基としては、上記R1で例示した基と同様の基が挙げられ、この場合も、特に原料の入手容易性、生成物の有用性の観点から、R2〜R5としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基等の炭素数2〜5のアルケニル基が好ましく、R6〜R8としては、水素原子が好ましい。
なお、上記R1〜R5の1価炭化水素基は、その水素原子の一部または全部がその他の置換基で置換されていてもよく、そのような置換基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;シアノ基;アミノ基;炭素数2〜10のアシル基;トリクロロシリル基;それぞれ各アルキル基、各アルコキシ基が炭素数1〜5であるトリアルキルシリル基、ジアルキルモノクロロシリル基、モノアルキルジクロロシリル基、トリアルコキシシリル基、ジアルキルモノアルコキシシリル基もしくはモノアルキルジアルコキシシリル基が挙げられる。これらの置換基は、2種以上組み合わせて用いることもでき、置換位置および置換基数も特に限定されるものではない。
【0017】
9およびR10の炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5のヘテロ原子を含んでもよい2価炭化水素基のヘテロ原子としては、O、S、NH等が挙げられる。
上記2価炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチレン、エチレン、メチルエチレン(プロピレン)、トリメチレン、メチルトリメチレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、デカメチレン、イソブチレン基等のアルキレン基;フェニレン、メチルフェニレン基等のアリーレン基;エチレンフェニレン、エチレンフェニレンメチレン基等のアラルキレン基;2−オキサプロピレン、2−オキサペンチレン基等のオキサアルキレン基等が挙げられ、特に原料の入手容易性、生成物の有用性の観点から、R9としては、メチレン、エチレン、トリメチレン基等の炭素数1〜3のアルキレン基が好ましく、R10としては、メチレン、エチレン、トリメチレン基等の炭素数1〜3のアルキレン基;2−オキサプロピレン基が好ましい。
【0018】
なお、上記2価炭化水素基は、その水素原子の一部または全部がその他の置換基で置換されていてもよく、そのような置換基の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;シアノ基;アミノ基;炭素数2〜10のアシル基;トリクロロシリル基;それぞれ各アルキル基、各アルコキシ基が炭素数1〜5であるトリアルキルシリル基、ジアルキルモノクロロシリル基、モノアルキルジクロロシリル基、トリアルコキシシリル基、ジアルキルモノアルコキシシリル基もしくはモノアルキルジアルコキシシリル基が挙げられる。これらの置換基は、2種以上組み合わせて用いることもでき、置換位置および置換基数も特に限定されるものではない。
【0019】
上記一般式(1)で示される環状アミノオルガノキシシラン化合物の具体例としては、2,2−ジメトキシ−6−メトキシメチル−4−(トリメトキシシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2−メトキシ−2−メチル−6−メトキシメチル−4−(ジメトキシメチルシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,−ジメチル−6−メトキシメチル−4−(メトキシジメチルシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジエトキシ−6−メトキシメチル−4−(トリエトキシシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2−エトキシ−2−メチル−6−メトキシメチル−4−(ジエトキシメチルシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,−ジメチル−6−メトキシメチル−4−(エトキシジメチルシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−8−メトキシメチル−6−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−メトキシメチル−6−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−メトキシメチル−6−(3−メトキシジメチルシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−メトキシメチル−6−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−メトキシメチル−6−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−メトキシメチル−6−(3−エトキシジメチルシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−6−アリロキシメチル−4−(トリメトキシシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2−メトキシ−2−メチル−6−アリロキシメチル−4−(ジメトキシメチルシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,−ジメチル−6−アリロキシメチル−4−(メトキシジメチルシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジエトキシ−6−アリロキシメチル−4−(トリエトキシシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2−エトキシ−2−メチル−6−アリロキシメチル−4−(ジエトキシメチルシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,−ジメチル−6−アリロキシメチル−4−(エトキシジメチルシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−8−アリロキシメチル−6−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−アリロキシメチル−6−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−アリロキシメチル−6−(3−メトキシジメチルシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−アリロキシメチル−6−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−アリロキシメチル−6−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−アリロキシメチル−6−(3−エトキシジメチルシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−6−ブトキシメチル−4−(トリメトキシシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2−メトキシ−2−メチル−6−ブトキシメチル−4−(ジメトキシメチルシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,−ジメチル−6−ブトキシメチル−4−(メトキシジメチルシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジエトキシ−6−ブトキシメチル−4−(トリエトキシシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2−エトキシ−2−メチル−6−ブトキシメチル−4−(ジエトキシメチルシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,−ジメチル−6−ブトキシメチル−4−(エトキシジメチルシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−8−ブトキシメチル−6−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−ブトキシメチル−6−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−ブトキシメチル−6−(3−メトキシジメチルシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−ブトキシメチル−6−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−ブトキシメチル−6−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−ブトキシメチル−6−(3−エトキシジメチルシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−6−フェノキシメチル−4−(トリメトキシシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2−メトキシ−2−メチル−6−フェノキシメチル−4−(ジメトキシメチルシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,−ジメチル−6−フェノキシメチル−4−(メトキシジメチルシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジエトキシ−6−フェノキシメチル−4−(トリエトキシシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2−エトキシ−2−メチル−6−フェノキシメチル−4−(ジエトキシメチルシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,−ジメチル−6−フェノキシメチル−4−(エトキシジメチルシリルメチル)−1−オキサ−4−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−8−フェノキシメチル−6−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−フェノキシメチル−6−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−フェノキシメチル−6−(3−メトキシジメチルシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−フェノキシメチル−6−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2−エトキシ−2−メチル−8−フェノキシメチル−6−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメチル−8−フェノキシメチル−6−(3−エトキシジメチルシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタン等が挙げられる。
【0020】
本発明の上記一般式(1)で示される環状アミノオルガノキシシラン化合物の製造方法としては、例えば、下記一般式(2)で示されるアミノオルガノキシシラン化合物(以下、化合物(2)と略記する。)と、下記一般式(3)で示されるエポキシ化合物(以下、化合物(3)と略記する。)とを反応させて得られる反応混合物を蒸留する方法が挙げられる。
【0021】
【化5】
(式中、R1〜R10、m、nは、上記と同じ意味を表す。)
【0022】
より具体的には、下記スキームに示されるように、第1段階で、化合物(2)と化合物(3)とが反応して水酸基を有するアミノオルガノキシシラン化合物が生成し、第2段階で、この水酸基を有するアミノオルガノキシシラン化合物を含有する反応液を蒸留する工程において、分子内脱アルコール環化により目的とする環状アミノオルガノキシシラン化合物が生成するものと考えられる。
【0023】
【化6】
【0024】
上記化合物(2)の具体例としては、ビス(トリメトキシリルメチル)アミン、ビス(ジメトキシメチルシリルメチル)アミン、ビス(メトキシジメチルシリルメチル)アミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)アミン、ビス(ジエトキシメチルシリルメチル)アミン、ビス(エトキシジメチルシリルメチル)アミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(3−メトキシジメチルシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(3−エトキシジメチルシリルプロピル)アミン等が挙げられる。
上記化合物(3)の具体例としては、グリシジルメチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、グリシジルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0025】
上記化合物(2)と化合物(3)との配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、化合物(2)1モルに対して化合物(3)0.2〜5.0モルが好ましく、0.5〜2.0モルがより好ましい。
【0026】
上記第1段階の反応は無触媒でも進行するが、反応速度を向上させる目的で塩基性触媒または酸触媒を用いることもできる。
塩基性触媒の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液、ナトリウムエトキシドのエタノール溶液等が挙げられる。
一方、酸性触媒の具体例としては、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸化合物およびこれらの塩等が挙げられる。
触媒の使用量は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、化合物(2)1モルに対して0.0001〜0.2モルが好ましく、0.001〜0.1モルがより好ましい。
【0027】
なお、上記第1段階の反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒等が挙げられ、これらの溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
上記第2段階の蒸留方法は、通常の蒸留方法を用いることができるが、脱アルコール反応の反応速度を促進させるために、または反応液中に存在する分子間で脱アルコール縮合した高分子化合物をクラッキングして目的とする環状アミノオルガノキシシラン化合物へと変換するために、塩基性触媒または酸性触媒の存在下で蒸留を行うことが好ましい。
この場合の塩基性触媒および酸性触媒としても、上記と同様のものを用いることができる。
触媒の使用量は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、化合物(3)1モルに対して0.0001〜0.2モルが好ましく、0.001〜0.1モルがより好ましい。
【0029】
なお、第2段階では、第1段階で得られた反応液をそのまま蒸留しても、当該反応液にさらに溶媒を添加して蒸留してもよい。
また、この場合の溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、デカン、トリデカン、オクタデカン、エイコサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ドデシルベンゼン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジフェニルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−デカノール、1−オクタデカノール、2−ヘキシル−1−デカノール、オレイルアルコール、1−ドコサノール等のアルコール系溶媒等が挙げられ、これらの溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【実施例】
【0030】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、1H−NMRスペクトルは、600MHz、重クロロホルム溶媒により、IRスペクトルは、D−ATRにより測定した。
【0031】
[実施例1]
撹拌機、還流器、滴下ロートおよび温度計を備えたフラスコに、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン102.5g(0.3mol)、メタノール19.2gを仕込み、60℃に加熱した。内温が安定した後、グリシジルメチルエーテル29.1g(0.33mol)を1時間かけて滴下し、その温度で2時間撹拌した。
撹拌終了後、反応液に28質量%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液0.6gを添加して蒸留し、沸点174−176℃/0.3kPaの留分83.6gを得た。
【0032】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。1H−NMRスペクトルを図1に、IRスペクトルを図2に示す。
質量スペクトル
m/z 397,366,248,160,121,91
これらの結果から、得られた化合物が2,2−ジメトキシ−8−メトキシメチル−6−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタンであることが確認された。
【0033】
[実施例2]
撹拌機、還流器、滴下ロートおよび温度計を備えたフラスコに、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン136.6g(0.4mol)、メタノール25.6gを仕込み、60℃に加熱した。内温が安定した後、ブチルグリシジルエーテル57.3g(0.44mol)を1時間かけて滴下し、その温度で2時間撹拌した。
撹拌終了後、反応液に28質量%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液0.8gを添加して蒸留し、沸点179−182℃/0.2kPaの留分146.7gを得た。
【0034】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。1H−NMRスペクトルを図3に、IRスペクトルを図4に示す。
質量スペクトル
m/z 439,408,366,290,160,121,91
これらの結果から、得られた化合物が2,2−ジメトキシ−8−ブトキシメチル−6−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−オキサ−6−アザ−2−シラシクロオクタンであることが確認された。
図1
図2
図3
図4