(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エロージョン低減剤が、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、ケイ酸カリウム、水酸化第四級アンモニウム、第一級アミン化合物、第二級アミン化合物、第三級アミン化合物、アルコールアミン、ポリアクリル酸、クエン酸、酢酸、炭酸、トリス、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、及びピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)、タウリン、酢酸、グルタミン酸、アクリル酸、マロン酸、プロパン酸、アミノ酸(グリシン、ビシン、トリシン、セリン、プロリン、システイン等)、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クレアチニン、アスパラギン、ピロリドン、モルホリン、ピペラジン、ピリジン、尿酸、イタコン酸、2−オキソグルタル酸、ピコリン酸、コリン、ピリジンカルボン酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、ポリアミノカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸酸、エチレングリコール-ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸、イミノ二酢酸、これらの酸性化合物の塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のタングステン化学機械研磨(CMP)研磨組成物。
前記少なくとも1種の酸化剤が、過酸化水素、過酸化尿素、ペルオキシギ酸、過酢酸、プロパンペルオキソ酸、置換又は非置換ブタンペルオキソ酸、ヒドロペルオキシ−アセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、アンモニウムペルオキシモノサルフェートからなる群から選択されるペルオキシ化合物;及び亜硝酸第二鉄、KClO4、KBrO4、KMnO4からなる群から選択される非ペルオキシ化合物である、請求項1に記載のタングステン化学機械研磨(CMP)研磨組成物。
【発明を実施するための形態】
【0025】
半導体デバイスウェハ作製工程における導電性金属特徴の形成は、ウェハをパターン化することと、誘電体材料においてライントレンチ又はビアをエッチングすることと、導電性金属により該ビア又はライントレンチを充填することと、次いで化学機械平坦化(CMP)工程を実施して、余剰の金属を除去し、非常に平坦な表面を与えることとを含む。研磨されたウェハの平坦性を規定する重要なCMPパラメータは、ディッシング及びエロージョンである。
【0026】
ディッシングは、フィールドレベルに対する個々のライン又はビアにおけるくぼみを指す。ディッシングは、主に、より大きい特徴(典型的には1ミクロン(μm)超)及び低いパターン化密度領域に関して重要な問題である。
【0027】
エロージョンは、フィールドレベルに対する金属構造のアレイのくぼみである。エロージョンは、一般に、10ミクロン以下の特徴サイズ、及び50%以上のパターン化金属密度を有する狭い金属構造の高密度アレイに関してより問題である。
【0028】
図1は、CMP後に観察されたディッシング及びエロージョンのトポグラフィーの描写を示す(Elbelら、J.Electrochem Soc.,Col.145、No.5、1998年5月、第1659−1664頁)。
【0029】
本発明は、半導体デバイス、基材、又は膜を含有するタングステンの化学機械平坦化(CMP)において使用することのできるスラリーに関する。本発明のCMPスラリーは、高い除去速度、良好なコロイド安定性、及び非常に低い腐食を与えつつ、タングステン構造のエロージョンを低減するという独特の結果を与える。
【0030】
タングステン膜は、純粋にタングステンであることができ、または合金元素を含有することができる。
【0031】
本発明の配合物は、パターン化構造において用いられる種々の誘電体に好適であることができる。誘電体材料の例としては、以下に制限されるものではないが、熱酸化物、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、高密度プラズマ(HDP)酸化物、高アスペクト比プロセス(HARP)膜、フッ素化酸化物膜、ドープ酸化物膜、有機シリケートガラス(OSG)低K誘電体膜、スピンオンガラス(SOG)、ポリマー膜、流動性化学気相堆積(CVD)、窒化ケイ素、炭化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、シリコンオキシナイトライド、シリコンオキシカーバイドナイトライドが挙げられる。
【0032】
本発明の配合物は、誘電体材料の研磨に特に有用であり、それは、3又はそれより小さいpHを有するスラリーで高いブランケット除去速度を示す。
【0033】
好ましくは、同様のCMP加工条件下で、pH7のCMPスラリーにて研磨される場合、配合物がその他の点では同様である場合にブランケット誘電体膜がpH3にてCMPスラリー配合物で研磨される場合と比較して、ブランケット誘電体除去速度は少なくとも2倍低く、より好ましくは少なくとも3倍低く、最も好ましくは少なくとも4倍低い。本発明の配合物は、TEOS及びHDP等の酸化ケイ素を含む誘電体に特に好適である。
【0034】
典型的なバルクタングステン金属CMP応用において、金属は、誘電体材料と比較してはるかに高い速度にて研磨される。誘電体材料の除去速度が低いほど、2つの金属特徴間の誘電体がエロージョンに対して強い耐性を与えるため、アレイエロージョンは低くなる。結果として、非常に低い誘電体研磨速度、好ましくは50Å/分未満、より好ましくは25Å/分未満、最も好ましくは10Å/分未満の研磨速度を与える配合物を使用することが望ましいことが多い。タングステン研磨スラリーに関して、より低い誘電体ブランケット速度は、低い研磨材粒子濃度と、3より高い、好ましくは5より高い、より好ましくは6より高いスラリーpHとの組み合わせにより用いることができる。
【0035】
しかし、酸化ケイ素誘電体ブランケット膜研磨速度が非常に低いとしても、ラインアレイのエロージョンは、依然として数百Åのオーダーで非常に高くなる可能性がある。
【0036】
任意の特定の理論に束縛されるものではないが、エロージョンは、スラリーの局所的なpHを低下させる研磨のタングステン副生成物の生成によるものであり、これにより、酸化ケイ素誘電体研磨速度が増加すると考えられる。可能性がある副生成物の1種は、表面から除去されたタングステンの溶解により形成されるタングステン酸である。酸であるタングステン酸は、研磨が進行するにつれてスラリーのpHを下げる。結果として、エロージョンの低減に非常に効果的な研磨組成物は、パターン化ウェハの研磨中の局所的なpHレベルを維持し、スラリーの酸性化を抑制することができるものであり、その結果、誘電体研磨速度が低く維持される。エロージョンの低減に特に有用な添加剤は、したがってタングステン研磨副生成物の存在下において4超、好ましくは5超、より好ましくは6超の値にてpHを維持するのに十分な能力を有する。
【0037】
300mmのタングステンウェハが100ml/分の流速でスラリーを用いて研磨される場合、3700オングストローム/分の典型的な除去速度下で、0.5gmのタングステンが除去されると算出することができる。したがって、100gmのスラリーに0.5gmのタングステン粉末を溶解させることにより、ウェハが研磨時に出会うのと同様のpHを作り出すことができる。
【0038】
本発明は、研磨材と、1種又はそれより多くの酸化剤とを含み、0.5質量%のタングステン(W)の添加後に、スラリーのpHが2〜14、好ましくは4〜12、より好ましくは6〜11である、タングステン表面を研磨するCMPスラリーを開示する。質量パーセントは、研磨スラリーに対するものである。pHは、W粉末の添加の1時間後に測定される。タングステン粉末をスラリーに溶解させた場合、タングステン膜が研磨され、タングステン副生成物を生み出す場合の研磨条件中のスラリーのpHと同様のpH条件を生み出すようである。
【0039】
ある種の好ましい実施態様において、CMPスラリーは、研磨材粒子と、1種又はそれより多くの酸化剤と、活性化剤と、pH調節剤と、水とを含み、スラリーのpHは、0.0001質量%〜2質量%のタングステン(W)、たとえばW粉末又はW化合物又はタングステン研磨副生成物の添加後に好ましくは4超、好ましくは5超、より好ましくは6超である。質量パーセントは研磨スラリーに対するものである。pHは、W粉末の添加後の安定したpHである。
【0040】
例として、pHがタングステン粉末の添加の1時間後に測定される場合、0.5gmタングステン粉末を、0.5gmのタングステン粉末対100gmの研磨スラリーの比で、室温にて100gmの研磨スラリーに溶解させる。
【0041】
CMPスラリーは、任意選択的に、界面活性剤;安定化剤及び不動態化剤;分散剤;キレート剤;膜形成性腐食防止剤:ディッシング低減剤及び研磨増進剤を含むことができる。
【0042】
ある種の好ましい実施態様において、4psiの下向き力及び100RPMのテーブル速度におけるタングステンブランケット膜の研磨速度は1000Å/分超、より好ましくは2000Å/分超、最も好ましくは3000Å/分超である。
【0043】
ある種の好ましい実施態様において、パターン化ウェハ上で測定された9X1ミクロンアレイ(1ミクロン幅の誘電体ラインで分離された9ミクロン幅のタングステンライン幅)のエロージョンは、渦電流測定又は光学終点検出等の好適な方法を用いることによりパターンウェハ研磨終点が検出された後、ウェハをさらに30秒間研磨した場合、500Å未満、好ましくは400Å未満、より好ましくは300Å未満である。
【0044】
研磨材
CMPスラリー中で使用される研磨材は、活性剤含有粒子(すなわち、活性剤コーティングを有する研磨材);又は活性化剤を含有しない粒子であることができる。
【0045】
研磨材は、概して研磨材粒子の形態であり、典型的には1種の材料、又は異種材料の組み合わせの多くの研磨材粒子の形態である。
【0046】
概して、好適な研磨材粒子は、多かれ少なかれ球状であり、個々の粒子サイズは異なることができるが、約30〜約300ナノメートル(nm)の有効直径を有する。
【0047】
粒子サイズを、以下に制限されるものではないが、静的光散乱、動的光散乱、流体力学的流体分画、沈降分析、電気センシングゾーン分析、及び動的イメージ分析、ディスク遠心分離分析などの任意の好適な技術により測定することができる。粒子のサイズ及び分布の測定に関する好ましい方法は、動的光散乱である。
【0048】
凝集した、または塊状の粒子の形態の研磨材は、好ましくは個々の研磨材粒子の形態までさらに処理される。
【0049】
スラリーは、1種より多くの研磨材を有することができ、異なる種類の研磨材について異なるサイズを有することが有利である場合がある。
【0050】
研磨材は、金属酸化物、金属酸化物若しくは半金属酸化物、又は金属酸化物若しくは半金属酸化物の化学的混合物であることができる。
【0051】
好適な金属酸化物研磨材としては、以下に制限されるものではないが、アルミナ、セリア、ゲルマニア、シリカ、スピネル、チタニア、タングステンの酸化物若しくは窒化物、ジルコニア、又は1種若しくはそれより多くの他の無機物若しくは元素でドープされた上記のうちのいずれか、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。金属酸化物研磨材を、ゾル−ゲル、熱水、加水分解、プラズマ、火成、エアロゲル、ヒューミング、及び沈降法、並びにこれらの任意の組み合わせなどの任意の種々の方法により製造することができる。
【0052】
沈降金属酸化物及び半金属酸化物を、金属塩と酸又は他の沈降剤の反応による既知のプロセスにより得ることができる。火成金属酸化物及び/又は半金属酸化物粒子は、酸素/水素炎中での好適な揮発性出発物質の加水分解により得られる。例は、四塩化ケイ素からの火成二酸化ケイ素である。酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、二酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化ゲルマニウム、及び酸化バナジウム、並びにこれらの化学的混合物及び物理的混合物の火成酸化物が好適である。
【0053】
研磨材は、混合酸化物、たとえば2種の分子種SiO
2及びAl
2O
3からなることができる。アルミナコートシリカを含む研磨材も有用であることができる。
【0054】
1つの好ましい実施態様において、金属酸化物研磨材は、沈降又はヒュームド研磨材であり、好ましくはヒュームド研磨材である。例として、ヒュームド金属酸化物研磨材は、ヒュームドシリカ若しくはヒュームドアルミナ、又はヒュームドシリカ/アルミナであることができる。
【0055】
シリカは、好ましい研磨材である。シリカは、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、シリカヒュームド、火成シリカ、1種又はそれより多くの調節剤でドープされたシリカ、又は任意の他のシリカ系化合物のいずれかであることができる。
【0056】
代替的な実施態様において、シリカを、例えばゾル−ゲル法、熱水法、プラズマ法、ヒューミング法、沈降法、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される方法により製造することができる。
【0057】
1つの実施態様におけるシリカは、有利には、約2〜約300ナノメートル、例えば約30〜約250ナノメートル、好ましくは50nm〜180nmの粒子サイズである。
【0058】
研磨材粒子を、金属不純物を除去するイオン交換等の好適な方法を用いて精製することができ、それは、コロイド安定性の向上に役立つ場合がある。代わりに、高純度研磨材粒子が用いられる。
【0059】
概して、上記の研磨材を、単独又は別のものとの組み合わせで用いることができる。異なるサイズを有する2種又はそれより多くの研磨材粒子を組み合わせて、良好な性能を得ることもできる。
【0060】
本発明のほとんどの実施態様において、研磨材は、コロイダルシリカ;ヒュームドシリカ;アルミナ;チタニア;セリア;ジルコニア;活性化剤含有粒子、複合粒子、及び格子ドープされた無機酸化物粒子からなる群から選択される表面修飾粒子;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0061】
研磨材の濃度は、0.001質量%〜30質量%の範囲であることができ、好ましいのは約0.01質量%〜約10質量%であり、より好ましいのは約0.1〜2質量%である。質量パーセントは、組成物に対するものである。
【0062】
酸化物エロージョンの低減
本発明のCMPスラリーは、タングステン研磨についてのエロージョンを低減することができる添加剤−エロージョン低減剤を含むことができる。
【0063】
好適な添加剤としては、CMPスラリーに添加された際に、タングステン研磨の副生成物の存在下において4超、好ましくは5超、より好ましくは6超のスラリーpHを維持する化学品が挙げられる。
【0064】
または、スラリーのpHは、0.0001質量%〜2質量%のタングステン(W)、たとえばW粉末又はW残留物の添加後に好ましくは3超、好ましくは4超、より好ましくは6超である。質量パーセントは、研磨スラリーに対するものである。pHは、W粉末の添加後の安定したpHである。
【0065】
例として、pHがタングステン粉末の添加の1時間後に測定される場合、0.5gmのタングステン粉末を、0.5gmのタングステン粉末対100gmの研磨スラリーの比で、室温にて100gmの研磨スラリーに溶解させる。
【0066】
ある種の好ましい実施態様において、エロージョン低減剤は、3超、好ましくは4超、より好ましくは5超のpKaを有する少なくとも1つの官能基を有する化学品である。
【0067】
幾つかのより好ましい実施態様において、エロージョン低減剤は、3超、好ましくは4超、より好ましくは5超のpKaを有する2つ又はそれより多くの官能基を有する化学品である。
【0068】
エロージョン低減剤の例としては、以下に制限されるものではないが、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、ケイ酸カリウム、水酸化第四級アンモニウム、第一級アミン化合物、第二級アミン化合物、第三級アミン化合物、アルコールアミン、ポリアクリル酸、クエン酸、酢酸、炭酸、トリス、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、及びピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)、タウリン、酢酸、グルタミン酸、アクリル酸、マロン酸、プロパン酸、アミノ酸(グリシン、ビシン、トリシン、セリン、プロリン、システイン等)、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クレアチニン、アスパラギン、ピロリドン、モルホリン、ピペラジン、ピリジン、尿酸、イタコン酸、2−オキソグルタル酸、ピコリン酸、コリン、ピリジンカルボン酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、ニトリロ三酢酸等のポリアミノカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸酸、エチレングリコール-ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸、イミノ二酢酸が挙げられる。酸性化合物の塩も用いることができる。
【0069】
2種又はそれより多くの化合物を共に用いてエロージョン低減を最大化することができる。
【0070】
ある種の好ましい実施態様において、pKa>4である少なくとも1つの官能基を有する有機酸と共に、塩基を用いることができる。
【0071】
好ましい添加剤は、4又はそれより高いpKaを有する少なくとも1つのカルボン酸基を有する有機酸である。幾つかのより好ましい実施態様において、添加剤は、少なくとも2つのカルボン酸基を有し、少なくとも1つのカルボン酸基が4又はそれより高いpKaを有する有機酸を含む。
【0072】
エロージョン低減剤は、≧0.01質量%、≧0.05質量%、又は≧0.1質量%の濃度、たとえば0.01質量%〜5質量%、0.05質量%〜2質量%、又は0.1質量%〜1質量%の濃度で存在することができる。
【0073】
ディッシング低減又はタングステン腐食防止のための添加剤
スラリー配合物は、タングステン特徴の場合にディッシングを低減するか、CMP中にタングステンエッチング及び腐食を低減する添加剤を含むことができる。
【0074】
スラリー中で用いられる添加剤としては、以下に制限されるものではないが、サルコシネート、関連カルボン酸化合物、及び炭化水素置換サルコシネート;ポリエチレンオキシド(PEO)等のエチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマー、及びエトキシル化界面活性剤、窒素−水素結合を有さない窒素含有複素環、スルフィド、オキサゾリジン又は1つの化合物における官能基の混合物、アルキルアンモニウムイオンを形成する3つ又はそれより多くの炭素原子を有する窒素含有化合物、3つ又はそれより多くの炭素原子を有するアミノアルキル、少なくとも1つの窒素含有複素環、又は3級若しくは4級窒素原子の繰り返し基を含むポリマー腐食防止剤、ポリカチオン性アミン化合物、シクロデキストリン化合物、ポリエチレンイミン化合物、グリコール酸、キトサン、糖アルコール、多糖類、アルギン酸化合物、ホスホニウム化合物、スルホン酸ポリマーが挙げられる。
【0075】
これらの添加剤の量は、1ppm〜10000ppm、より好ましくは10ppm〜1000ppm、最も好ましくは50〜500ppmの範囲である。
【0076】
酸化剤
本発明のCMPスラリーは、材料の化学的エッチングのための酸化剤を含む。CMPスラリーの酸化剤は、基材と接触し、金属表面で標的材料の化学的除去を助ける流体組成物中に存在する。酸化剤成分は、したがって組成物の材料除去速度を向上させるか増加させると考えられる。好ましくは、組成物中の酸化剤の量は、化学除去プロセスを助けるのに十分であり、一方で、ハンドリング、環境、又はコスト等の類似するか関連する問題を最小化するように可能な限り低い。
【0077】
有利には、本発明の1つの実施態様において、酸化剤は、少なくとも1種の活性化剤に曝露された際に、少なくとも選択された構造上で増加したエッチング速度を与えるフリーラジカルを生成する成分である。以下に記載されるフリーラジカルは、ほとんどの金属を酸化し、表面が他の酸化剤からの酸化をより受けやすくなるようにする。しかし、酸化剤は、以下で議論される「化合物生成性フリーラジカル」とは区別して記載される。なぜならば、幾つかの酸化剤は、活性化剤に曝露された際に容易にはフリーラジカルを形成しないからであり、幾つかの実施態様において、基材上で見つけることができる種々の金属の組み合わせに対し、釣り合ったエッチング又は優先的なエッチング速度を与える1種又はそれより多くの酸化剤を有することが有利である。
【0078】
当分野で知られているように、幾つかの酸化剤は、他の成分に対するよりある種の成分に対してより好適である。本発明の幾つかの実施態様において、当分野で知られているように、別の材料に対して、ある材料に対するCMP系の選択性は最大化される。しかし、本発明のある種の実施態様において、酸化剤の組み合わせは、導体及びバリアの組み合わせに関して、(単独のエッチング速度に対して)実質的に同様のCMP速度を与えるように選択される。
【0079】
1つの実施態様において、酸化剤は、無機又は有機パー化合物である。
【0080】
パー化合物は、過塩素酸等の酸化の最高状態で元素を含有する化合物;又は過酢酸及び過クロム酸等の少なくとも1つのペルオキシ基(−O−O−)を含有する化合物として一般に定義される。
【0081】
少なくとも1つのペルオキシ基を含有する好適なパー化合物としては、以下に制限されるものではないが、過酢酸又はその塩、過炭酸塩、及び過酸化ベンゾイル、過酸化尿素、及び/又はジ−t−ブチルペルオキシド等の有機過酸化物が挙げられる。
【0082】
少なくとも1つのペルオキシ基を含有する好適なパー化合物としては、ペルオキシドが挙げられる。本開示で用いられる用語「ペルオキシド」は、R−O−O−R’(式中、R及びR’は各々独立に、H、C
1〜C
6直鎖又は分岐鎖アルキル、アルカノール、カルボン酸、ケトン(例えば)、又はアミンであり、上記の各々は、独立に1つ又はそれより多くのそれ自体OH又はC
1〜C
5アルキルにより置換されることができるベンジル基により置換されることができる(例えば過酸化ベンゾイル)。)並びにこれらの塩及び付加物を包含する。この用語は、したがって過酸化水素、ペルオキシギ酸、過酢酸、プロパンペルオキソ酸、置換又は非置換ブタンペルオキソ酸、ヒドロペルオキシ−アセトアルデヒド等の一般的な例を含む。また、この用語に包含されるのは、ペルオキシドの一般的な複合体、例えば過酸化尿素である。
【0083】
少なくとも1つのペルオキシ基を含有する好適なパー化合物としては、パーサルフェートが挙げられる。本開示で用いられる用語「パーサルフェート」は、モノパーサルフェート、ジ−パーサルフェート、並びにこれらの酸及び塩及び付加物を包含する。含まれるのは、例えばペルオキシジサルフェート、ペルオキシモノ硫酸、及び/又はペルオキシモノサルフェート、カロ酸であり、例えばカリウムペルオキシモノサルフェート等の塩が挙げられるが、好ましくはアンモニウムペルオキシモノサルフェート等の非金属塩である。
【0084】
少なくとも1つのペルオキシ基を含有する好適なパー化合物としては、上記で規定されるパーホスフェートが挙げられ、ペルオキシジホスフェートが挙げられる。
【0085】
また、オゾンは、単独又は1種又はそれより多くの好適な酸化剤との組み合わせでの好適な酸化剤である。
【0086】
ペルオキシ基を含有しない好適なパー化合物としては、以下に制限されるものではないが、過ヨウ素酸及び/又は任意の過ヨウ素酸塩(以下「過ヨウ素酸塩」)、過塩素酸及び/又は任意の過塩素酸塩(以下「過塩素酸塩」)、過臭素酸及び/又は任意の過臭素酸塩(以下「過臭素酸塩」)、並びに過ホウ素酸及び/又は任意の過ホウ素酸塩(以下「過ホウ素酸塩」)が挙げられる。
【0087】
また、他の酸化剤は、本発明の組成物の好適な成分である。ヨウ素酸塩は、有用な酸化剤である。
【0088】
2種及びそれより多くの酸化剤を組み合わせて、相乗的な性能の利益を得ることもできる。
【0089】
酸化剤濃度は、0.01質量%〜30質量%の範囲であることができ、一方で、酸化剤のより好ましい量は、約0.5質量%〜約10質量%である。質量パーセントは、組成物に対するものである。
【0090】
本発明のほとんどの実施態様において、酸化剤は、過酸化水素、過酸化尿素、ペルオキシギ酸、過酢酸、プロパンペルオキソ酸、置換または非置換ブタンペルオキソ酸、ヒドロペルオキシ−アセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、アンモニウムペルオキシモノサルフェートからなる群から選択されるペルオキシ化合物;及び亜硝酸第二鉄、KClO
4、KBrO
4、KMnO
4からなる群から選択される非ペルオキシ化合物かならる群から選択される。
【0091】
活性化剤
活性化剤又は触媒は、流体中に存在する少なくとも1種のフリーラジカル生成性化合物によるフリーラジカルの形成を促進する材料である。活性化剤が金属イオン又は金属含有化合物である場合、それは、流体と接触する固体の表面に紐づく薄層中に存在する。活性化剤が金属を含有しない物質である場合、それを流体に溶解させることができる。活性化剤は、所望の促進に十分な量で存在することが好ましい。
【0092】
例えば、参照により組み込まれる米国特許第7014669号、第6362104号、第5958288号、第8241375号、第7887115号、第6930054号、米国特許出願第2014/315386号、第2016/280962号、及び韓国公報第1020110036294号の活性化剤又は触媒をこの能力において用いることができる。
【0093】
活性化剤は、スラリー中に存在することができ、または研磨パッド上に存在することができ、または酸化剤を含有するスラリーが、パッドとウェハ基材との間を通る前に活性化剤と接触する場所に存在することができる。
【0094】
活性化剤は、1種又はそれより多くの異なる形態で存在することができる。活性化剤の異なる形態の例としては、以下に制限されるものではないが、(i)スラリー中の溶解性活性化剤化合物、(ii)活性化剤化合物により修飾された表面を有する粒子、(iii)粒子コア及び表面の両方に含まれる活性化剤を含む粒子、(iv)表面にさらされた活性化剤を含むコア−シェル複合粒子が挙げられる。
【0095】
1つの実施態様において、活性化剤は、活性化剤としてフェントン反応に有用であることが知られている任意の金属含有化合物であり、この場合酸化剤はペルオキシド、特に過酸化水素である。銅、マンガン、コバルト、及びセリウムなどの遷移金属、並びにより伝統的な鉄及び銅は、この反応を触媒することができる。
【0096】
1つの重要な実施態様において、活性化剤は、周期表の4(b)族、5(b)族、又は6(b)族の金属以外の金属を有する金属含有化合物を含む。1つの実施態様において、1(b)族又は8族の金属の化合物が好ましい金属含有活性化剤である。
【0097】
金属含有活性化剤化合物は、スラリーにおける溶解性化合物の形態で用いることができる。本発明のpH範囲に関して好適な活性化剤化合物としては、以下に制限されるものではないが、シュウ酸アンモニウム鉄(III)三水和物、三塩基性クエン酸鉄(III)一水和物、鉄(III)アセチルアセトネート及びエチレンジアミン四酢酸、鉄(III)ナトリウム塩水和物が挙げられる。また、溶解性活性化剤は、複数の酸化状態を有するAg、Co、Cr、Cu、Fe、Mo、Mn、Nb、Ni、Os、Pd、Ru、Sn、Ti、V、及びこれらの混合物の金属化合物であることができる。本発明のほとんどの実施態様において、活性化剤は遷移金属を含むが、遷移金属ではない。特に有用な溶解性活性化剤化合物は、7超のpHのスラリーに溶解し、安定である化合物である。硝酸第二鉄等の活性化剤化合物の幾つかは、アルカリ性pHにおいて安定でなく、沈殿する傾向にある。クエン酸、グルコン酸、シュウ酸、エチレンジアミン四酢酸等の強い化学配位子を有する化合物は、アルカリ性pHにおいて一般に安定であり、したがって本発明のスラリー形成により好適である。
【0098】
スラリー中の溶解性活性化剤化合物の量は、約0.0005質量%〜約10質量%、好ましくは0.001質量%〜2質量%、より好ましくは0.01質量%〜1質量%、最も好ましくは0.05質量%〜0.5質量%の範囲である。
【0099】
別の重要な実施態様において、活性化剤は、フリーラジカルを生成する化合物と反応することができる任意の遷移金属含有化合物を含み、固体と結合している。すなわち、本発明の活性化剤は、流体に溶解しない。活性化剤は、粒子と結合することができる。粒子は研磨材であることができ、またはそれは、活性化剤の担体であることができる。幾つかの好ましい実施態様において、活性化剤を、分子種、小さい粒子として、又は単層若しくは部分的な層として研磨材の表面に化学的又は物理的に吸着させることができる。幾つかの他の実施態様において、活性化剤は、共形成された研磨材であることができ、そこでは活性化剤は、別の酸化剤と均一に混合されて、金属酸化物上に支持された活性化剤の混和物を含有する固体粒子を形成する。
【0100】
活性化剤と結合した鉄は特に有用であり、最も好ましい活性化剤である。シリカと結合した鉄は、最も好ましい系である。多くのOH基を有するシリカは、鉄と多重に結合することができ、多くの共有及び/又はイオン性結合により、鉄とシリカとの強固な結合を維持する。さらに、吸収され、吸着され、またはコーティングされたシリカ上への鉄の複数の結合により、鉄のシリカ表面からの解離の傾向なく、酸化状態間の容易な遷移が可能となる。驚くべきことに、シリカと結合した鉄は、高いpH値、例えばpH5〜pH7、幾つかの場合では最大pH12にて用いることができる。
【0101】
鉄は、塩、例えば第二鉄塩、第一鉄塩の形態、幾つかの形態では酸化第二鉄、幾つかの形態ではメタリック金属で研磨材と結合することができる。一般に、メタリック金属は、酸化剤の存在下で第二鉄又は第一鉄の形態に変換される。鉄のさらなる利点は、それが、環境的に安全であり、大きな廃棄の問題を有さないことである。
【0102】
鉄活性化剤を含む系、すなわちスラリーに含まれる固体粒子上にコーティングされた鉄を有するスラリーは、活性化剤鉄の量が約2〜500ppm全活性化剤鉄、好ましくは3〜100ppm全活性化剤鉄、また、低い鉄の実施態様については約4〜20ppm全活性化剤鉄である場合、良好なフリーラジカル活性を示す。
【0103】
粒子構造から逃れることのできるフリーラジカルを発生させることができない、例えば粒子マトリクス内の鉄などの流体と接触していない鉄は、用語活性化剤鉄に含まれない。
【0104】
例えばマトリクス内に組み込まれているため、酸化状態間の変化が妨げられる、フリーラジカルの形成を活性化することができない鉄は、活性化剤鉄に含まれない。
【0105】
最後に、キレート化されているか、さもなければフリーラジカルを生成する化合物との反応に利用可能でない鉄は、活性化剤鉄として含まれない。
【0106】
例示的なスラリーは、約10ppm〜約300ppm全活性化剤鉄を有し、そのほとんどは、研磨材上に吸収され、吸着され、またはコーティングされる。
【0107】
活性化剤化合物を含む粒子を、0.01質量%〜2質量%、好ましくは0.05質量%〜1質量%、最も好ましくは0.07質量%〜0.5質量%の濃度範囲でCMPスラリー中で用いることができる。
【0108】
活性化剤は、金属を含有しない化合物であることができる。ヨウ素は、例えば過酸化水素と共にフリーラジカルを形成するのに有用である。ヨウ素は、所望のフリーラジカル活性を生み出すのに十分な量で存在することができる。幾つかの実施態様において、ヨウ素は、約1ppm〜約5000ppm、好ましくは約10ppm〜約1000ppmの範囲の量で存在することができる。非金属活性化剤は、金属含有活性化剤と相乗的に組み合わせられることが多い。
【0109】
活性化剤は、酸化チタン(及び活性化剤として用いられる光)等の光活性化活性化剤であることもできる。参照により本開示に組み込まれる米国特許第6362104号の光活性化材料を、この性能において用いることができる。
【0110】
スラリー中の活性化剤の量は、約0.0005質量%〜約10質量%、好ましくは0.001質量%〜2質量%、より好ましくは0.01質量%〜1質量%、最も好ましくは0.05質量%〜0.5質量%の範囲である。
【0111】
pH調節剤
組成物のpHは、約pH1〜約pH14、好ましくは約pH5〜約pH12、より好ましくは約pH7〜約pH11程度が望ましい。
【0112】
組成物のpHを、適切な酸、塩基、アミン、又はこれらの任意の組み合わせ等の適切なpH調節剤を用いて調節することができる。好ましくは、望ましくない金属成分が組成物中に導入されないように、組成物中で用いられるpH調節剤は金属イオンを含有しない。好適なpH調節剤としては、アミン、水酸化アンモニウム、硝酸、リン酸、硫酸、有機酸、及び/又はこれらの塩、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0113】
pH調節剤の量は、0.0001質量%〜5質量%の範囲である。
【0114】
促進剤
上記のように、基材と接触する流体に溶解する、複数の酸化状態を有する金属は、酸化剤として働くことができるものの、本発明の最も好ましい実施態様は、複数の酸化状態を有する金属を実質的に有さない。
【0115】
幾つかの実施態様において、溶液に溶解した少量のAl、Ag、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Mo、Mn、Nb、Nd、Ni、Os、Pd、Pt、Rh、Ru、Sc、Sm、Ta、Ti、V、又はWの化合物は有用である。これらは、米国特許第5958288号において議論され、その開示は参照により本開示に組み込まれる。溶液中の金属イオンは、基材、特に金属基材に対してある程度の親和性を有する酸化剤として働くと考えられる。これらが、流体中で他の酸化剤により酸化されることができる場合、2種間で幾らかの相乗作用がある。しかし、ほとんどの場合において、促進剤は、フリーラジカルの作用を促進しないと考えられる。参照により本開示に組み込まれる米国特許第5863838号に記載される化合物等の触媒又は基材への曝露時に促進剤を形成する化合物も有用である。
【0116】
本発明の幾つかの実施態様において、基材と接触する流体組成物は、少量の、本開示で促進剤と呼ばれる金属イオン酸化剤を有する。銅、アルミニウム、セリウム、及び鉄の溶解性化合物又は塩は、CMP溶液中で酸化剤又は促進剤として用いられる。用いられる場合、好ましい金属含有酸化剤促進剤は、溶解性セリウム塩又はアルミニウム塩である。
【0117】
スラリー中の促進剤の量は、約0.0001質量%〜約1.0質量%、好ましくは0.0005質量%〜0.5質量%、より好ましくは0.0025質量%〜0.1質量%の範囲である。
【0118】
キレート剤
溶解していない金属を含有する実施態様が望ましい場合、流体は、キレート剤を有することができる。キレート剤は、流体中に溶解した形態で存在する、複数の酸化状態を有する金属を本質的に捕捉し、分離することができる。溶解した金属がキレート化形態である場合、これは、基材からそれを本質的に分離し、このことは、促進剤としてのその効率性を阻害するが、金属イオン汚染を防止する。このことは、酸化剤のスラリーのポットライフを延ばすことができるが、低濃度において、キレート剤は、フリーラジカルの有効性を効果的に阻害しないであろう。
【0119】
したがって、キレート剤を少量だけ用いるのがよい。キレート剤は、概して有機酸部分を含有し、それは、フリーラジカルクエンチャーとして働くことができる。これは、系の性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0120】
本発明のほとんどの実施態様において、キレート剤としては、以下に制限されるものではないが、有機カルボン酸、有機スルホン酸、及び有機リン酸が挙げられる。
【0121】
概して、キレート剤の質量で、3%未満、好ましくは1%未満、例えば0.5%未満が好ましい。
【0123】
組成物は、1種又はそれより多くの種々の任意選択の添加剤をさらに含むことができる。好適な任意選択の添加剤としては、安定化剤が挙げられる。これらの任意選択の添加剤は、一般に沈降、(粒子の沈降、集合(aggregation)又は凝集(agglomeration)などを含む)凝集、及び分解に対する組成物の安定性を手助けし、または促進するように用いられる。安定化剤を用いて、フリーラジカルを生成する化合物を含む1種又は複数種の酸化剤のポットライフを、活性化剤材料を分離することにより、フリーラジカルをクエンチすることにより、又はフリーラジカルを形成する化合物を別の方法で安定化することにより、延ばすことができる。
【0124】
幾つかの材料は、過酸化水素を安定化するのに有用である。金属汚染の1つの例外は、スズ等の選択された安定化金属の存在である。本発明の幾つかの実施態様において、スズは少量、典型的には約25ppm未満、例えば約3〜約20ppmで存在することができる。同様に、亜鉛を安定化剤として用いることが多い。本発明の幾つかの実施態様において、亜鉛は、少量、典型的には約20ppm未満、例えば約1〜約20ppmで存在することができる。別の好ましい実施態様において、基材に接触する流体組成物は、スズ及び亜鉛を除いて、500ppm未満、例えば100ppm未満の複数の酸化状態を有する溶解した金属を有する。本発明のほとんどの好ましい商業的な実施態様において、基材に接触する流体組成物は、スズ及び亜鉛を除いて、9ppm未満、例えば2ppm未満の複数の酸化状態を有する溶解した金属を有する。本発明の幾つかの好ましい実施態様において、基材に接触する流体組成物は、スズ及び亜鉛を除いて、50ppm未満、好ましくは20ppm未満、より好ましくは10ppm未満の溶解した全金属を有する。
【0125】
溶液中の金属が、概して推奨されないため、塩形態、例えば過硫酸塩で典型的に存在する金属を含有しない酸化剤は、酸形態、及び/又は過硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩形態であることが好ましい。
【0126】
他の安定化剤としては、フリーラジカルクエンチャーが挙げられる。議論されるように、これらは、生成されたフリーラジカルの有用性を損なう。したがって、存在する場合、これらは少量で存在することが好ましい。ほとんどの酸化防止剤、すなわち、ビタミンB、ビタミンC、クエン酸などは、フリーラジカルクエンチャーである。ほとんどの有機酸は、フリーラジカルクエンチャーであるが、効果的であり、他の有益な安定化特性を有する3種は、ホスホン酸、結合剤シュウ酸、及び非ラジカル捕捉封鎖剤没食子酸である。
【0127】
加えて、カーボネートとホスフェートは、活性化剤上に結合し、流体のアクセスを妨げると考えられる。カーボネートは、それを用いてスラリーを安定化することができるため、特に有用であるが、少量の酸は、安定化イオンを迅速に除去する可能性がある。吸収された活性化剤に有用な安定化剤は、シリカ粒子上に膜を形成する膜形成剤であることができる。
【0128】
好適な安定化剤としては、アジピン酸、フタル酸、クエン酸、マロン酸、オルトフタル酸等の有機酸;及びリン酸;置換又は非置換ホスホン酸、すなわちホスホネート化合物;ニトリル;及び活性化材料に結合し、したがって酸化剤を劣化させる反応を低減するもの等の他の配位子;及び上記の剤の任意の組み合わせが挙げられる。本開示で用いられる酸安定化剤は、酸安定化剤及びその共役塩基の両方を指す。すなわち、種々の酸安定化剤を、その共役形態で用いることもできる。例として、本開示では、アジピン酸安定化剤は、アジピン酸、及び/又はその共役塩基を包含し、カルボン酸安定化剤は、カルボン酸及び/又はその共役塩基、カルボキシレートを包含し、上記の酸安定化剤も同様である。単独又は1種又はそれより多くの他の安定化剤との組み合わせで用いられる好適な安定化剤は、過酸化水素等の酸化剤が、CMPスラリーに混合された際に分解する速度を低下させる。
【0129】
一方で、組成物中の安定化剤の存在は、活性化剤の効き目を損なう場合がある。量を、CMP系の有効性に最も低い悪影響で、要求される安定性を満たすように調節するのがよい。概して。これらの任意選択の添加剤のいずれも、組成物を実質的に安定化するのに十分な量で存在するのがよい。必要量は、選択された特定の添加剤、及び研磨材成分の表面の性質等のCMP組成物の特定の構成に依存して変化する。使用する添加剤が少なすぎる場合、添加剤は、組成物の安定性にほとんど又は全く影響しないであろう。一方で、使用する添加剤が多すぎる場合、添加剤は、組成物中での望ましくない泡及び/又は凝集物の形成に寄与する場合がある。概して、これらの任意選択の添加剤の好適な量は、組成物に対して約0.001〜約2質量パーセント、好ましくは約0.001〜約1質量%の範囲である。これらの任意選択の添加剤は、組成物に直接的に添加されることができ、または組成物の研磨材成分の表面に適用されることができる。
【0130】
固体表面に結合した活性化剤化合物を含むある種の実施態様において、安定化剤化合物は、それがスラリーに添加された際に、酸化剤の劣化を防止することを要求しない場合がある。
【0132】
界面活性剤がCMPスラリーに添加される場合、したがってそれはアニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性イオン性界面活性剤、若しくは酸塩基両性界面活性剤、又は2種若しくはそれより多くの界面活性剤の組み合わせであることができ、これらを用いることができる。
【0133】
1000未満〜30000超の範囲の分子量を有する種々のアニオン性及びカチオン性界面活性剤は、分散剤として考えられる。含まれるのは、ラウリルサルフェート、アルキルポリホスフェート、ドデシルベンゼンスルホネート、ジイソプロピルナフタレンスルホネート、ジオクチルスルホスクシネート、エトキシル化及び硫酸化ラウリルアルコール、及びエトキシル化及び硫酸化フェノールである。
【0134】
種々のカチオン性界面活性剤としては、ポリエチレンイミン、エトキシル化脂肪族アミン、及びステアリルベンジルジメチルアンモニウム塩化物又は硝酸塩が挙げられる。本発明において企図される代わりの分散剤としては、ポリエチレングリコール、レシチン、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレン、イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、アルキルアリールスルホネートのアミン塩、ポリアクリレート及び関連の塩、ポリメタクリレートが挙げられる。
【0135】
概して、CMPスラリー中で用いることができる界面活性剤は、スラリーの効果的な安定化を達成するのに十分であるのがよく、選択された特定の界面活性剤、及び金属酸化物研磨材の表面の性質に依存して典型的には変化する。例えば、使用される選択された界面活性剤が十分でない場合、それは、CMPスラリーの安定化にほとんど又は全く影響しない。一方で、CMPスラリー中の界面活性剤が多すぎると、スラリー中に望ましくない泡及び/又は凝集物をもたらす場合がある。
【0136】
界面活性剤の添加が、ウェハのウェハ内の不均一性(WIWNU)を低減するのに有用である場合があり、これにより、ウェハの表面を改善し、ウェハ欠陥を低減することも見いだされている。
【0137】
組成物に対する多くの好適な界面活性剤添加剤がある一方、好ましい界面活性剤添加剤としては、ドデシルサルフェートナトリウム塩、ナトリウムラウリルサルフェート、ドデシルサルフェートアンモニウム塩、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。好適な市販で入手可能な界面活性剤としては、Union Carbideにより製造されたTRITON DF16
TM、及びAir Products and Chemicalsにより製造されたSUIRFYNOL
TMが挙げられる。
【0138】
界面活性剤は、概して約0.001質量%〜約0.2質量%、好ましくは約0.001〜約0.1質量%の範囲の量で本発明のスラリー中に存在する。
【0139】
バイオサイド
ある種の実施態様において、CMP組成物は、バイオサイドをさらに含む。封入されたCMP研磨組成物におけるバイオサイドの使用は、バクテリア及び他の微生物を、特に、CMP研磨組成物のpH値が中性pH条件に近いかその周辺である場合に、低減し、又は撲滅する。
【0140】
バイオサイドは、約0.0001質量%〜約0.03質量%の範囲である。
【0141】
開示された添加剤は、スラリーに直接的に添加されるか、既知の方法を利用して、金属酸化物研磨材の表面上に処理されることができる。いずれの場合でも、添加剤の量は、研磨スラリー中の所望の濃度を達成するように調節される。
【0142】
本発明のCMPスラリーの成分は、1つの要素のスラリーとして共に混合されることができ、使用の時点で混合されるように、2つ又はそれより多くの要素において提供されることもできる。使用の時点で酸化剤を添加することが好ましい場合がある。
【0143】
ある種の好ましい実施態様において、スラリーは、使用の前に水により希釈され、酸化剤を添加することができるように、濃縮形態で提供されることができる。使用の時点で加えることのできる水が、好ましくはスラリーの2倍の体積、より好ましくはスラリーの3倍超の体積、最も好ましくはスラリーの5倍超の体積であるように、スラリーを濃縮することができる。
【0147】
CMP:化学機械平坦化=化学機械研磨
【0148】
DF:下向き圧力:CMP中に適用される圧力、psi単位
【0153】
PS:研磨ツールのプラテン回転速度、rpm(回転数毎分)
【0155】
TEOS:前駆体としてテトラエチルオルトシリケートを用いる、化学気相堆積(CVD)による酸化ケイ素膜
【0156】
除去速度(RR)=(研磨前の膜厚−研磨後の膜厚)/研磨時間
【0157】
成分の濃度は全て、別段の記載がない限り質量%である。
【0158】
以下に示される例において、CMP実験は、以下に与えられる手順及び実験条件を用いて実施された。
【0159】
実施例において使用されたCMPツールはApplied Materials,3050 Boweres Avenue,Santa Clara,California,95054により製造されたMirra(登録商標)である。Dow Corporationにより供給された研磨パッドIC1010パッドはCMPプロセスのために使用された。
【0160】
タングステン膜TEOS膜又はタングステン含有MIT854パターン化構造でコーティングされた200mm直径シリコンウェハを使用した。ブランケット膜に対する研磨時間は1分であった。シート抵抗測定技術を用いてタングステン除去速度を測定した。TEOS除去は、光学技術を用いて測定した。パターン化ウェハはMirra研磨機上で光学終点技術に基づく時間、研磨された。パターン化ウェハに対する研磨時間は、光学終点技術により特定された終点から30秒であった。KLA Tencor P15プロファイラー(大きい特徴部サイズ)又はAFMツール(小さい特徴部サイズ)により、パターン化ウェハを分析した。
【0161】
研磨は、別段の記載がない限り、4.0psi下向き力、120RPMテーブル速度、及び120ml/minスラリー流速にて実施された。
【0162】
任意の列記されたpH調節剤、たとえば水酸化アンモニウム又は硝酸を用いて、組成物のpHを調節することができた。バイオサイドも必要に応じて用いることができた。
【0163】
組成物中で用いられる活性化剤粒子は、コロイダルシリカ粒子への鉄化合物コーティングプロセスにより製造された。方法は、公開された特許、米国特許第7029508号、米国特許第7014669号、米国特許第7427305号、米国特許第7077880号、及び米国特許第7429338号に記載され、その内容は、その全体が記載されたかのように参照により本開示に組み込まれる。
【0164】
例1
種々のpHを有する基本組成物(又はスラリー)が、表Iに記載の組成のとおり製造された。
【0165】
全ての基本組成物は、0.125質量%のコロイダルシリカ粒子(粒子サイズ約160nm)、0.0945質量%の活性化剤粒子、及び3.5質量%の過酸化水素を含んでいた。コロイダルシリカ研磨材粒子及び活性化剤粒子の粒子サイズは、動的光散乱により測定され、約45nmであった。
【0166】
タングステン及びTEOSブランケット膜、並びにパターン化タングステン膜は、4psiメンブレン及び120RPMテーブル速度にて、120ml/min流速で、Mirra研磨機で研磨された。
【0167】
過酸化水素添加後のpHの関数としてのTEOS除去速度及びTEOSに対するタングステン除去速度選択性は、
図2にプロットされた。
【0168】
TEOS除去がpH>4にて急に減少したことを理解することができる。TEOS除去速度は、スラリーpHが6.28であった場合に極端に低かった(<20オングストローム/min)。
【0169】
係る低い除去速度において、パターン化構造中のTEOSも、非常に低い速度にて研磨されることが予想される。したがって、高密度アレイ構造のエロージョンは、最小限となることが予想される。
【表1】
表2に、表1に列記された組成物1により研磨されたパターン化ウェハ上の異なるパターン化構造で測定されたエロージョントポグラフィーを列記した。
【表2】
【0170】
表2から、パターン密度が増加するにつれて、また、TEOSライン幅が小さくなるにつれて、エロージョンが増加することは明らかである。
【0171】
9X1ミクロンアレイのエロージョンは、非常に高かった。20Å/min未満のブランケットTEOS除去速度に基づいて、1ミクロン幅のTEOSラインがどのように815Åを浸食するのかを理解することは非常に困難である。
【0172】
例2
組成物1の100gmの配合物に、(Alfa Aesar,2 Radcliff Rd,Tewksbury,MA 01876から得た)325メッシュ粒子の0.5gmのタングステン粉末を室温にて加えた。pHは、タングステン粉末の添加の前に測定された。安定したpHも、タングステン粉末の添加後たとえば1時間後に測定された。スラリーは、プロセス全体の間撹拌されていた。タングステン粉末の添加により、pHは6.62から2.54に低下した。
【0173】
これは、溶液中のタングステンがpHを低下させることを明確に示す。
【0174】
したがって、スラリーがpH6.68にて製造された一方で、研磨条件下のスラリーの実際のpHは、それよりはるかに低いであろう。結果として、特に高い金属パターン密度を有するパターン化構造上のTEOSラインは、TEOSブランケット除去速度に基づいて予測することができるものよりはるかに高い除去速度にて研磨されるであろう。
【0175】
例3
組成物は、表3に示されるように製造された。組成物は、例1において用いられたのと同じ基本組成物に種々の添加剤を添加することによって製造された。
【0176】
pHは、水酸化アンモニウム又は硝酸を用いて、過酸化水素(H
2O
2)を添加する前に規定の値に調節された。
【0177】
pHは、次いで過酸化水素の添加後に測定された。
【表3】
【表4】
【0178】
100gmの組成物1に、(Alfa Aesar,2 Radcliff Rd,Tewksbury,MA 01876から得た)325メッシュ粒子の0.5gmのタングステン粉末を室温にて加えた。
【0179】
pHは、次いでタングステン粉末の添加後たとえば1時間後に測定された。
【0180】
ブランケット膜の除去速度及び9X1ミクロンアレイのエロージョンを表4にまとめた。
【0181】
エロージョンが、タングステン粉末の添加後に4を超えるpHを有するスラリーに関して大いに低減されることは、表4から明らかである。
【0182】
図3は、タングステン粉末添加後のスラリーのpHの関数としての9X1ミクロンアレイのエロージョンを示す。それは、タングステン粉末添加後のスラリーpHが増加するにつれて、エロージョンが減少することを明確に示す。
【0183】
例4
研磨組成物は、表5のとおりに製造された。
【0184】
これらの組成物は、0.01質量%濃度にて活性化剤として(Sigma Aldrichから購入した)水溶性鉄化合物を用いた。
【0185】
組成物は、約60nmの粒子サイズを有する0.2質量%のコロイダルシリカ、及び3.5質量%の過酸化水素も含んでいた。
【0186】
配合物のpHは、過酸化水素添加の前に7.7に調節された。
【0187】
スラリーを常に撹拌しながら、100gmのスラリーに、0.5gmのタングステン粉末を加えた。
【0188】
次いで、pHがタングステン粉末添加の1時間後に測定された。
【0189】
表5における結果は、水溶性触媒により、タングステン粉末添加後のpHを、固体触媒と同様に依然として4超に維持することができ、これらの配合物が優れたエロージョン性能も与えることができることを示した。
【0190】
比較例19及び20は、3.86のpKaを有するグルコン酸を含む。
【表5】
【0191】
pKA<4のグルコン酸が、タングステン粉末添加後に十分に高いpHを与えないことは表5の結果から明らかであり、これらの配合物が、タングステンライン構造のエロージョンに十分な低減を与えないであろうことを示す。
【0192】
上記の例及び実施態様の記載は、特許請求の範囲により規定された本発明を制限するものではなく、例として受け取られるべきである。容易に理解されるように、特許請求の範囲に記載の本発明から逸脱することなく、上記の特徴の種々の変更及び組み合わせを利用することができる。係る変更は、本発明の精神及び範囲からの逸脱とはみなされず、全ての係る変更は、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
本開示は以下も包含する。
[1]
0.001質量%〜30質量%の粒子と;
0.05質量%〜10質量%の少なくとも1種の酸化剤と;
0.0005質量%〜10質量%の活性化剤と;
≧0.01質量%の、4以上(≧)のpKaを有する少なくとも1つの官能基を有するエロージョン低減剤と;
水と;
任意選択的に、
0.0001質量%〜5質量%の、アミン、水酸化アンモニウム、硝酸、リン酸、硫酸、有機酸、これらの塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるpH調節剤;
バイオサイド;
界面活性剤;
安定化剤及び不動態化剤;
分散剤;
キレート剤;
膜形成性腐食防止剤;
ディッシング低減剤;及び
研磨増進剤
のうちの少なくとも1種とを含む、酸化物エロージョン低減のためのタングステン化学機械研磨(CMP)研磨組成物であって、
前記化学機械研磨(CMP)研磨組成物のpHが、100gmの研磨組成物に対する0.5gmのタングステン添加の1時間後に4以上(≧)である、タングステン化学機械研磨(CMP)研磨組成物。
[2]
前記エロージョン低減剤が、≧0.05質量%の濃度を有し、4以上(≧)のpKaを有する少なくとも2つの官能基を有する、上記態様1に記載のタングステン化学機械研磨(CMP)研磨組成物。
[3]
前記エロージョン低減剤が、≧0.05質量%の濃度を有し、前記化学機械研磨(CMP)研磨組成物のpHが、100gmの研磨組成物に対する0.5gmのタングステン添加の1時間後に5以上(≧)である、上記態様1に記載のタングステン化学機械研磨(CMP)研磨組成物。
[4]
前記エロージョン低減剤が、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、ケイ酸カリウム、水酸化第四級アンモニウム、第一級アミン化合物、第二級アミン化合物、第三級アミン化合物、アルコールアミン、ポリアクリル酸、クエン酸、酢酸、炭酸、トリス、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、及びピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)、タウリン、酢酸、グルタミン酸、アクリル酸、マロン酸、プロパン酸、アミノ酸(グリシン、ビシン、トリシン、セリン、プロリン、システイン等)、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クレアチニン、アスパラギン、ピロリドン、モルホリン、ピペラジン、ピリジン、尿酸、イタコン酸、2−オキソグルタル酸、ピコリン酸、コリン、ピリジンカルボン酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、ポリアミノカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸酸、エチレングリコール-ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸、イミノ二酢酸、これらの酸性化合物の塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、上記態様1に記載のタングステン化学機械研磨(CMP)研磨組成物。
[5]
前記研磨材粒子が、コロイダルシリカ;ヒュームドシリカ;アルミナ;チタニア;セリア;ジルコニア;活性化剤含有粒子、複合粒子、及び格子ドープされた無機酸化物粒子からなる群から選択される表面修飾粒子、;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、上記態様1に記載のタングステン化学機械研磨(CMP)研磨組成物。
[6]
前記少なくとも1種の酸化剤が、過酸化水素、過酸化尿素、ペルオキシギ酸、過酢酸、プロパンペルオキソ酸、置換又は非置換ブタンペルオキソ酸、ヒドロペルオキシ−アセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、アンモニウムペルオキシモノサルフェートからなる群から選択されるペルオキシ化合物;及び亜硝酸第二鉄、KClO4、KBrO4、KMnO4からなる群から選択される非ペルオキシ化合物である、上記態様1に記載のタングステン化学機械研磨(CMP)研磨組成物。
[7]
前記活性化剤が、金属イオンコーティング粒子、又は金属イオン溶解性活性化剤である、上記態様1に記載のタングステン化学機械研磨(CMP)研磨組成物。
[8]
コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、複合粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される前記研磨材粒子と;
過酸化水素と;
第二鉄塩、第一鉄塩;メタリック金属が、酸化剤の存在下で第二鉄又は第一鉄の形態に変換される、第二鉄酸化物メタリック金属からなる群から選択される、金属鉄コート粒子、金属鉄溶解性活性化剤、又はこれらの組み合わせと;
水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、又はこれらの組み合わせと;
を含み、
前記化学機械研磨(CMP)研磨組成物のpHが、100gmの研磨組成物に対する0.5gmのタングステン添加の1時間後に5以上(≧)である、上記態様1に記載のタングステン化学機械研磨(CMP)研磨組成物。
[9]
a)半導体基材を与えることと;
b)研磨パッドを与えることと;
c)
0.001質量%〜30質量%の粒子と、
0.05質量%〜10質量%の少なくとも1種の酸化剤と、
0.0005質量%〜10質量%の活性化剤と、
≧0.01質量%の、4以上(≧)のpKaを有する少なくとも1つの官能基を有するエロージョン低減剤と、
水と、
任意選択的に、
0.0001質量%〜5質量%の、アミン、水酸化アンモニウム、硝酸、リン酸、硫酸、有機酸、これらの塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるpH調節剤、
バイオサイド、
界面活性剤、
安定化剤及び不動態化剤、
分散剤、
キレート剤、
膜形成性腐食防止剤、
ディッシング低減剤、及び
研磨増進剤
のうちの少なくとも1種とを含む、化学機械研磨組成物であって、
化学機械研磨(CMP)研磨組成物のpHが、100gmの研磨組成物に対する0.5gmのタングステン添加の1時間後に4以上(≧)である、化学機械研磨組成物を与えることと;
d)前記半導体基材を研磨してW膜を選択的に除去することと
を含む、タングステン(W)膜と少なくとも1種の誘電体材料とを有する半導体基材を化学機械研磨するためのエロージョン酸化物を低減する研磨方法であって、
W膜の少なくとも一部と、前記少なくとも1種の誘電体材料の一部とが、前記研磨パッド及び前記化学機械研磨組成物の両方と接触しており、第一の材料の除去速度対第二の材料の除去速度の比が10より大きい、方法。
[10]
前記誘電体材料が、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、高密度プラズマ(HDP)酸化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、第一の材料の除去速度対第二の材料の除去速度の比が40より大きい、上記態様9に記載の方法。
[11]
前記エロージョン低減剤が、≧0.05質量%の濃度を有し、4以上(≧)のpKaを有する少なくとも2つの官能基を有する、上記態様9に記載の方法。
[12]
前記エロージョン低減剤が、≧0.05質量%の濃度を有し、前記化学機械研磨(CMP)研磨組成物のpHが、100gmの研磨組成物に対する0.5gmのタングステン添加の1時間後に5以上(≧)であり、
前記エロージョン低減剤が、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、ケイ酸カリウム、水酸化第四級アンモニウム、第一級アミン化合物、第二級アミン化合物、第三級アミン化合物、アルコールアミン、ポリアクリル酸、クエン酸、酢酸、炭酸、トリス、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、及びピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)、タウリン、酢酸、グルタミン酸、アクリル酸、マロン酸、プロパン酸、アミノ酸(グリシン、ビシン、トリシン、セリン、プロリン、システイン等)、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クレアチニン、アスパラギン、ピロリドン、モルホリン、ピペラジン、ピリジン、尿酸、イタコン酸、2−オキソグルタル酸、ピコリン酸、コリン、ピリジンカルボン酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、ポリアミノカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸酸、エチレングリコール-ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸、イミノ二酢酸、これらの酸性化合物の塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、上記態様9に記載の方法。
[13]
前記研磨材粒子が、コロイダルシリカ;ヒュームドシリカ;アルミナ;チタニア;セリア;ジルコニア;活性化剤含有粒子、複合粒子、及び格子ドープされた無機酸化物粒子からなる群から選択される表面修飾粒子、;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、上記態様9に記載の方法。
[14]
前記少なくとも1種の酸化剤が、過酸化水素、過酸化尿素、ペルオキシギ酸、過酢酸、プロパンペルオキソ酸、置換又は非置換ブタンペルオキソ酸、ヒドロペルオキシ−アセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、アンモニウムペルオキシモノサルフェートからなる群から選択されるペルオキシ化合物;及び亜硝酸第二鉄、KClO4、KBrO4、KMnO4からなる群から選択される非ペルオキシ化合物である、上記態様9に記載の方法。
[15]
前記活性化剤が、金属イオンコーティング粒子、又は金属イオン溶解性活性化剤である、上記態様9に記載の方法。
[16]
前記化学機械研磨組成物が、
コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、複合粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される前記研磨材粒子と;
過酸化水素と;
第二鉄塩、第一鉄塩;メタリック金属が、酸化剤の存在下で第二鉄又は第一鉄の形態に変換される、第二鉄酸化物メタリック金属からなる群から選択される、金属鉄コート粒子、金属鉄溶解性活性化剤、又はこれらの組み合わせと;
水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、又はこれらの組み合わせと;
を含み、
前記化学機械研磨(CMP)研磨組成物のpHが、100gmの研磨組成物に対する0.5gmのタングステン添加の1時間後に5以上(≧)である、上記態様9に記載の方法。
[17]
半導体基材と;
研磨パッドと;
0.001質量%〜30質量%の粒子と、
0.05質量%〜10質量%の少なくとも1種の酸化剤と、
0.0005質量%〜10質量%の活性化剤と、
≧0.01質量%の、4以上(≧)のpKaを有する少なくとも1つの官能基を有するエロージョン低減剤と、
水と、
任意選択的に、
0.0001質量%〜5質量%の、アミン、水酸化アンモニウム、硝酸、リン酸、硫酸、有機酸、これらの塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるpH調節剤、
バイオサイド、
界面活性剤、
安定化剤及び不動態化剤、
分散剤、
キレート剤、
膜形成性腐食防止剤、
ディッシング低減剤、及び
研磨増進剤
のうちの少なくとも1種とを含む、化学機械研磨組成物であって、
化学機械研磨(CMP)研磨組成物のpHが、100gmの研磨組成物に対する0.5gmのタングステン添加の1時間後に4以上(≧)である、化学機械研磨組成物と
を含む、低減されたエロージョン酸化物で、タングステン(W)膜と、少なくとも1種の誘電体材料とを有する半導体基材を化学機械研磨するための装置であって、
第一の材料の少なくとも一部と、少なくとも1種の誘電体材料の一部とが、前記研磨パッド及び前記化学機械研磨組成物の両方と接触している装置。
[18]
前記誘電体材料が、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、高密度プラズマ(HDP)酸化物からなる群から選択される、上記態様17に記載の装置。
[19]
前記エロージョン低減剤が、≧0.05質量%の濃度を有し、4以上(≧)のpKaを有する少なくとも2つの官能基を有する、上記態様17に記載の装置。
[20]
前記エロージョン低減剤が、≧0.05質量%の濃度を有し、前記化学機械研磨(CMP)研磨組成物のpHが、100gmの研磨組成物に対する0.5gmのタングステン添加の1時間後に5以上(≧)であり、
前記エロージョン低減剤が、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、ケイ酸カリウム、水酸化第四級アンモニウム、第一級アミン化合物、第二級アミン化合物、第三級アミン化合物、アルコールアミン、ポリアクリル酸、クエン酸、酢酸、炭酸、トリス、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、及びピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)、タウリン、酢酸、グルタミン酸、アクリル酸、マロン酸、プロパン酸、アミノ酸(グリシン、ビシン、トリシン、セリン、プロリン、システイン等)、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クレアチニン、アスパラギン、ピロリドン、モルホリン、ピペラジン、ピリジン、尿酸、イタコン酸、2−オキソグルタル酸、ピコリン酸、コリン、ピリジンカルボン酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、ポリアミノカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸酸、エチレングリコール-ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸、イミノ二酢酸、これらの酸性化合物の塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、上記態様17に記載の装置。
[21]
前記研磨材粒子が、コロイダルシリカ;ヒュームドシリカ;アルミナ;チタニア;セリア;ジルコニア;活性化剤含有粒子、複合粒子、及び格子ドープされた無機酸化物粒子からなる群から選択される表面修飾粒子、;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、上記態様17に記載の装置。
[22]
前記少なくとも1種の酸化剤が、過酸化水素、過酸化尿素、ペルオキシギ酸、過酢酸、プロパンペルオキソ酸、置換又は非置換ブタンペルオキソ酸、ヒドロペルオキシ−アセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、アンモニウムペルオキシモノサルフェートからなる群から選択されるペルオキシ化合物;及び亜硝酸第二鉄、KClO4、KBrO4、KMnO4からなる群から選択される非ペルオキシ化合物である、上記態様17に記載の装置。
[23]
前記活性化剤が、金属イオンコーティング粒子、又は金属イオン溶解性活性化剤である、上記態様17に記載の装置。
[24]
前記化学機械研磨組成物が、
コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、複合粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される前記研磨材粒子と;
過酸化水素と;
第二鉄塩、第一鉄塩;メタリック金属が、酸化剤の存在下で第二鉄又は第一鉄の形態に変換される、第二鉄酸化物メタリック金属からなる群から選択される、金属鉄コート粒子、金属鉄溶解性活性化剤、又はこれらの組み合わせと;
水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、又はこれらの組み合わせと;
を含み、
前記化学機械研磨(CMP)研磨組成物のpHが、100gmの研磨組成物に対する0.5gmのタングステン添加の1時間後に5以上(≧)である、上記態様17に記載の装置。