(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記貫通孔の光の進行方向における長さをL、前記貫通孔の光の進行方向と略直交する方向における一辺の長さ若しくは一辺に相当する値、または直径若しくは直径に相当する値をDとすると、
2D ≦ L
の関係を有することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
前記囲み部材の入射側の端面の各貫通孔の周囲領域が、前記レンズアレイの出射側の面と接していることを特徴とすることを特徴とする請求項1または2に記載の光源装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。各図面中、同一の機能を有する対応する部材には、同一符号を付している。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態を分けて示す場合があるが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態では前述の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態ごとには逐次言及しないものとする。
【0013】
(1つの実施形態に係る光源装置)
はじめに、
図1、
図2、
図3A及び
図3Bを参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る光源装置の説明を行う。ここで、
図1は、本発明の1つの実施形態に係る光源装置の概要を示す模式的な側面断面図である。
図2は、囲み部材が装着されていない状態の光源装置の一例を示す模式的な斜視図である。
図3Aは、囲み部材が装着されていない状態の光源装置の一例の内部構造を模式的に示す側面断面図である。
図3Bは、
図3Aに示す光源装置の内部構造を直交方向から見た側面断面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る光源装置10は、複数の半導体レーザ4と、半導体レーザ4に対応した複数のコリメートレンズ8を有するレンズアレイ6とを備える。光源装置10は、更に、各々のコリメートレンズ8から出射された光の光路を囲む内壁64で構成された複数の貫通孔62を有する囲み部材60を備える。半導体レーザ4から出射され、コリメートレンズ8から貫通孔62内を進む光が、
図1の点線で模式的に示されている。レンズアレイ6の外形の一例が、
図2に示されている。
【0015】
図1では簡略化して示してあるが、
図3に示すように、光源装置10は、側壁部12C及び基板部12Dを有するパッケージ12を備えている。複数の半導体レーザ4は基板部12Dに載置され、側壁部12Cで囲まれている。パッケージ12の出射側の端面12Aが、レンズアレイ6の入射側の外縁面6Bに接しており、パッケージ12及びレンズアレイ6により、外気から遮断された内部空間が形成されている。複数の半導体レーザ4は、このパッケージ12の内部空間に収容されている。
【0016】
更に、
図3に示す光源装置10では、内部空間の気密性を更に高めるため、レンズアレイ6と隣接する領域に、透光性部材14を備えた本体部12Eが配置されている。ただし、本体部12Eが備えられていなくても、パッケージ12の出射側の端面12A及びレンズアレイ6の入射側の外縁面6Bの接触により、十分に外気から遮断された内部空間を形成することができる。
【0017】
本実施形態では、パッケージ12の出射側の端面12A及びレンズアレイ6の入射側の外縁面6Bの間が、接着剤で接合されている。更に、レンズアレイ6の出射側の外縁面6A及び囲み部材60の入射側の端面60Aの間が、接着剤で接合されている。この入射側の端面60Aは入射側の端面の全面を意味し、後述する囲み部材60のフランジ部66の入射側の外縁面66Aだけでなく、各貫通孔62の周囲の端面(
図1の矢印T参照)も含む。
【0018】
適用する接着剤として、例えば、エポキシ系の紫外線照射硬化タイプが好ましく、アクリル系の紫外線照射硬化タイプの接着剤が更に好ましい。
なお、
図2に示すように、更に金具70を用いて、パッケージ12及びレンズアレイ6を固定することもできるし、金具を用いて、囲み部材60もパッケージ12及びレンズアレイ6に固定することもできる。
【0019】
パッケージ12の基板部12Dには、各半導体レーザ4に対応した立上ミラー16が載置されている。半導体レーザ4から基板部12Dの上面に対して略平行な方向に出射された光は、立上ミラー16により、基板部12Dの上面に対して略垂直な方向に反射され、本体部12Eの透光性部材14を透過して、レンズアレイ6の入射面LAへ入射する。入射面LAへ入射した光は、レンズアレイ6により平行光となり、平行光がレンズアレイ6の出射面LBから出射される。
半導体レーザ4、立上ミラー16及び透光性部材14の何れも、レンズアレイ6及びパッケージ12で形成された外気から遮断された内部空間の中に配置されているので、塵埃等が付着して光学特性が低下することを抑制できる。
【0020】
半導体レーザ4への配線については、リード18が、パッケージ12の側壁部12Cを貫通するように、パッケージ12の外側から内部に延びており、中継部56を介したワイヤ54による配線で、リード18と各半導体レーザ4とが電気的に繋がっている。
【0021】
本実施形態では、20個の半導体レーザ4を備え、各半導体レーザ4に対応する20個の立上ミラー16が、4×5のマトリックス状に配置され、各立上ミラー16で反射された光の光軸にレンズ中心が位置するように、レンズアレイ6の各コリメートレンズ8が配置されている。本実施形態に係るレンズアレイ6は、20個のコリメートレンズ8が4×5のマトリックス状に配置されて一体的に形成されている。
ただし、これに限られるものではなく、例えば、10個(2x5)の半導体レーザ及びそれに対応した10個の立上ミラーが実装され、これに対応した10個のコリメートレンズを有するレンズアレイを用いることもできるし、その他の任意の数の半導体レーザ、立上ミラー、コリメートレンズを有する光源装置を用いることができる。
【0022】
半導体レーザ4として、本実施形態では、青色半導体レーザが用いられている。青色半導体レーザの出射光は、例えば、370〜500ナノメートルの帯域のうちの特定の波長をピークとする光であり、特に、420〜500ナノメートルの波長帯域のうちの特定の波長をピークとする光であることが好ましい。
ただしこれに限られるものではなく、例えば、発振波長が紫外から緑色領域の任意の波長域の窒化物半導体レーザを用いることも考えられるし、赤色や赤外のGaAs系半導体レーザ半導体レーザを用いることも考えられる。
【0023】
本実施形態に係る囲み部材60では、内壁64が格子状に形成された板状部材により形成され、これにより複数の貫通孔62を形成している。囲み部材60が、格子状に形成された板状部材によるシンプルな構造を有するので、低い製造コストで囲み部材60を形成することができる。特に、囲み部材60が金属材料から構成されている場合には、耐熱性に優れ、熱伝導率も高いので放熱にも有効である。各コリメートレンズ8から出射された光は平行光であり、内壁64で囲まれた空間内を直進するが、仮に光が内壁64に当たったとしても、囲み部材60が反射率の高い金属材料から構成されているので、光の減衰を抑えることができる。
【0024】
仮に、金属製の囲み部材60を光源装置10のパッケージ12と直接接触するように繋げば、囲み部材60の外表面を冷却面とするヒートシンクとして機能させることもできる。更に、囲み部材60の外表面に冷却面積を増やすフィン等を付けることもできる。
【0025】
ただし、囲み部材は、上記の板状部材が格子状に形成されたものだけでなく、例えば、金属ブロックに各コリメートレンズに対応した複数の貫通孔があけられたものや、複数の円形パイプが一体的に繋がった形状のものもあり得る。
【0026】
以上のように、本実施形態に係る囲み部材60は、各々のコリメートレンズ8から出射された光の光路を囲む内壁64で構成された複数の貫通孔62を有する。よって、外気は、囲み部材60の出射側の端面60Bから内壁64で囲まれた貫通孔62内を流れた後、はじめてコリメートレンズ8に達することになる。よって、外気が直接コリメートレンズ8表面に当たることはない。
【0027】
半導体レーザ4から高光密度の短波長の光がレンズを透過する場合、光エネルギーが高くなって、空気中の塵埃等がレンズ外表面に吸着する可能性がある(所謂光集塵効果)。しかし、本実施形態では上記の囲み部材60を備えた構造によって、所謂光集塵効果によりレンズアレイ6に塵埃等が付着することを効果的に抑制できる。特に、複数の貫通孔62を有する1つの囲み部材60を取り付ければよいので、個々のコリメートレンズ8を筒状の部材で覆うような場合に比べて、製造コストや組み立て工数を低減できる。
以上のように、製造容易な構造でコリメートレンズへの塵埃等の付着を抑制可能な光源装置を提供できる。
【0028】
囲み部材60の入射側の端面60Aがレンズアレイ6の外縁面6Aと全周にわたって接していれば、必ずしも、個々の貫通孔62の入射側の端部(
図1の矢印T参照)で、囲み部材60及びレンズアレイ6が接していなくてもよい。個々の貫通孔62の入射側の端部で、レンズアレイ6と多少隙間があっても、塵埃等が付着することを抑制できる。この場合、囲み部材60やレンズアレイ6の寸法精度を緩和させて製造コストを低減でき、囲み部材60の取り付けも容易になる。
【0029】
もちろん、囲み部材60の入射側の端面60Aの各貫通孔62の周囲領域(
図1の矢印T参照)が、レンズアレイ6の出射側の面(
図1の矢印S参照)と接しているように形成することもできる。この場合には、レンズアレイに塵埃等が付着することを更に効果的に抑制できる。
【0030】
図1に示すように、囲み部材60の貫通孔62の光の進行方向における長さをL、貫通孔62の光の進行方向と略直交する方向における一辺の長さ若しくは一辺に相当する値、または直径若しくは直径に相当する値をDとすると、実際の防塵性能に基づき、L及びDに関する下記の関係を知見した。
D ≦ L の関係を有することが好ましく、2D ≦ L の関係を有することがより好ましく、3D ≦ L の関係を有することが更に好ましい。
【0031】
ここで、貫通孔62が略正方形の断面形状を有する場合は、正方形の一辺がDに相当する。貫通孔62が略長方形やその他の多角形の断面形状を有する場合には、断面積を算出して、この断面積を有する正方形とした場合の一辺の長さを求めて、その値を一辺に相当する値Dとすることができる。貫通孔62が円形の断面形状を有する場合には、円の直径がDに相当する。貫通孔62が、楕円等の曲線で囲まれたその他の形状を有する場合には、断面積を算出して、この断面積を有する円とした場合の直径を求めて、その値を直径に相当する値Dとすることができる。
【0032】
D及びLが上記のような関係式を有する場合には、外気に含まれる塵埃等がコリメートレンズ8の表面へ到達するのを効果的に抑制できる。
なお、Dに比べてLの寸法が大きい方が、塵埃等がコリメートレンズ8に付着しにくい傾向を示すが、Lの寸法が著しく大きい場合には、製造コストが上昇したり、小型化が困難になる可能性もある。よって、用途や使用環境により、上記の相反する事象を考慮しながら、最適なLの寸法を定めることが好ましい。
【0033】
本実施形態では、パッケージ12、レンズアレイ6及び囲み部材60がそれぞれ接着剤で接合されているが、これに限られるものではなく、接続部材(例えば、ネジ、ボルトナット)による締付力で、パッケージ12、レンズアレイ6及び囲み部材60を固定することもできる。その場合、囲み部材60及びレンズアレイ6の間と、レンズアレイ6及びパッケージ12の間とにシール部材を備え、接続部材による締付力でシール部材を圧縮させて、気密な状態で各部材を接合することができる。この場合、仮に各部材を接合する接着層に剥離等が生じたとしても、レンズアレイ6や囲み部材60が脱落する危険性を回避できる。
【0034】
(1つの実施形態に係る光学エンジン)
次に、
図4、
図5A及び
図5Bを参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る光学エンジンの概要を説明する。ここで、
図4は、本発明の1つの実施形態に係る光学エンジンの概要を示す模式的な斜視図である。
図5Aは、
図4の矢視V−V断面図(斜視図)である。
図5Bは、
図5Aに示す光学エンジンの光源装置領域を拡大して示した模式的な断面図(斜視図)である。
【0035】
本実施形態に係る光学エンジン2は、上記の光源装置10に加えて、筐体30を備える。そして、囲み部材60が筐体30の内部に配置されるように、弾性を有するシール部材20を介して、光源装置10及び筐体30が接続されている。
囲み部材60が筐体30の内部に配置されているので、塵埃等がコリメートレンズ8に付着するのを更に効果的に抑制できる。
【0036】
<筐体、シール部材>
図5Bに示すように、本実施形態に係る光学エンジン2は、レンズアレイ6から出射された光が通過する開口32を備える筐体30と、光源装置10の囲み部材60及び筐体30の間を接続する弾性を有するシール部材20とを備える。シール部材20は、囲み部材60が挿入される開口を備えており、開口を囲むように配置された弾性材からなる外縁部で構成されている。
筐体30の材質として、樹脂材料、金属材料をはじめとする任意の材料を採用することができる。シール部材20の材質として、弾性を有する任意のゴム材料や樹脂材料を採用することができる。
【0037】
本実施形態では、囲み部材60の入射側の端部の周囲にフランジ部66が形成されている。フランジ部66の入射側の外縁面66Aは、レンズアレイ6の出射側の外縁面6Aと全周にわたって接している。フランジ部66の出射側の外縁面66Bは、シール部材20の第1面22と全周にわたって接している。そして、シール部材の第1面22とは反対側に位置する第2面24は、筐体30の入射側の開口の周囲34と全周にわたって接している。このような配置において、シール部材20が圧縮された状態で囲み部材60のフランジ部66及び筐体30の間に配置されている。
【0038】
更に詳細に述べれば、接続部材の締結力(詳細は後述する)により、囲み部材60のフランジ部66の出射側の外縁面66Bがシール部材20の第1面22に押し付けられる。これにより、圧縮されたシール部材20の弾性力で、シール部材20の第2面24が筐体30の開口の周囲34に押し付けられる。よって、囲み部材60及びシール部材20の間、並びにシール部材20及び筐体30の間を気密に接続することができ、その結果、シール部材20を介して、囲み部材60及び筐体30の間を気密に接続することができる。
【0039】
筐体30の内部には、光源装置10のレンズアレイ6から出射され、囲み部材60の貫通孔62を通過した光が、透過または反射する光学部材が収納されている。例えば、光学エンジン2を時分割式のプロジェクタに用いる場合であれば、蛍光体ホイールに集光するような集光レンズを含む光学部材を筐体30の内部に配置することが考えられる。このとき、シール部材20等により筐体30の内部を外気から遮断された状態に保つことができる。
【0040】
一般的に、光源に青色半導体レーザを用いた場合のように、高光密度の短波長の光がコリメートレンズ8を透過する場合、光エネルギーが高くなって、所謂光集塵効果で、空気中の塵埃等がレンズ外表面に吸着する可能性がある。この場合には、光学エンジンの光学的性能が低下する可能性がある。しかし、本実施形態に係る光学エンジン2では、圧縮された弾性を有するシール部材20により、囲み部材60及び筐体30を気密に接続できるので、高温になった場合であっても、レンズアレイ6に塵埃等が付着することを効果的に抑制できる。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る光学エンジン2では、囲み部材60の入射側の端部の周囲にフランジ部66が形成され、シール部材20の第1面22がフランジ部66の出射側の端面(外縁面66B)と全周にわたって接し、シール部材20の第1面22とは反対側に位置する第2面24が筐体30の入射側の開口の周囲34と全周にわたって接しており、シール部材20が圧縮された状態でフランジ部66及び筐体30の間に配置されている。
これにより、圧縮された弾性を有するシール部材20により、囲み部材60のフランジ部66と筐体30とをシール状態で接続できるので、高温になっても所謂光集塵効果によりレンズアレイ6に塵埃等の付着が付着することを効果的に抑制できる。
【0042】
仮に、パッケージ12及びレンズアレイ6、またはレンズアレイ6及び囲み部材60の線膨張係数の違いにより、温度変化によりパッケージ12及びレンズアレイ6の間、またはレンズアレイ6及び囲み部材60の間の接着が剥離したとしても、本実施形態では、圧縮されたシール部材20の弾性力により、レンズアレイ6や囲み部材60の位置を確実に保持することができる。つまり、本実施形態では、シール部材20の弾性力により、レンズアレイ6や囲み部材60の脱落を抑制するとともに、防塵構造とすることができる。
【0043】
更に、複数の貫通孔62を有する囲み部材60のフランジ部66の出射側の外縁面66Bのみをシール部材20でシールするので、個々の貫通孔62の周囲をシールするのに比べ、製造コストや組み立て工数を大幅に低減できる。更に、個々の貫通孔62の間にシール部材を配置する必要がないので、少ない面積でより多くの貫通孔62、延いてはコリメートレンズ8を配置でき、小型で高出な光学エンジン2を実現できる。以上のように、本実施形態では、コリメートレンズ8への塵埃等の付着を抑制可能な小型で高出な光学エンジンを提供できる。
【0044】
図5Bから明らかなように、本実施形態では、シール部材20が第2面24の内側に凸部28Bを有し、開口内面32A及び凸部28Bにより、シール部材20が筐体30の開口32と嵌合している。同様に、シール部材20の第1面22は、囲み部材60のフランジ部66を受ける段差部28Aを有しており、囲み部材60のフランジ部66及び段差部28Aにより、シール部材20が光源装置10と嵌合している。
このような嵌合構造により、光源装置10の筐体30に対する位置決めを容易に確実に行うことができる。なお、段差部28A及び凸部28Bには直接圧縮力は加わらないので、シール部材20に圧縮力を加えた場合であっても、確実に嵌合構造を維持することができる。
【0045】
<ヒートシンク>
本実施形態に係る光学エンジン2は、更にヒートシンク40を備える。ヒートシンク40の取付面42は、光源装置10のパッケージ12の出射側と反対側の端面12Bに接している。本実施形態に係るヒートシンク40は、複数のフィン44を有する櫛形のアルミ製ヒートシンクであり、光学エンジン2を効果的に冷却することができる。ただし、ヒートシンクは、これに限られるものではなく、既知の任意の材料、構造を有する任意のヒートシンクを用いることができる。
更に、本実施形態では、ヒートシンク40及び筐体30を繋げる接続部材により、ヒートシンク40、パッケージ12、レンズアレイ6、囲み部材60,シール部材20及び筐体30が固定されている。
【0046】
このような固定構造では、ヒートシンク40と筐体30とを繋げる接続部材の締結力により、ヒートシンク40及びパッケージ12を強く接触させて冷却性能を向上させるとともに、シール部材20を圧縮させて、シール性やレンズアレイ6及び囲み部材60の保持能力を高めることができる。
【0047】
<取付構造>
次に、
図6を参照しながら、上記の接続部材によるヒートシンク40、パッケージ12、レンズアレイ6、囲み部材60、シール部材20及び筐体30を固定する取付構造について説明する。
図6は、
図4に示す光学エンジンにおいて、スペーサ及び接続部材を用いた光学エンジンの取付構造の一例を模式的に示す側面断面図である。なお、シール部材20の段差部28Aの部分は、省略して示してある。
【0048】
ヒートシンク40を出射方向に見た平面視において、パッケージ12、レンズアレイ6、囲み部材60及びシール部材20の外形よりも外側の4箇所に、接続部材52が挿入される領域が設けられている。この部分では、フィン44が形成されておらず、接続部材52のヘッド部が接する締結面46が形成されている。締結面46には、接続部材52の軸部が挿入可能な貫通穴が設けられている。同じ平面視で、筐体30の貫通穴と対応する位置に、接続部材52のネジ部がネジ込まれるネジ穴が設けられている。
【0049】
本実施形態では、ヒートシンク40の取付面42及び筐体30の開口の周囲34の間に、中空の円筒状のスペーサ50が配置されている。ヒートシンク40の締結面46に設けられた穴から挿入された接続部材52の軸部は、スペーサ50の中を通って、筐体30に設けられたネジ穴にネジ込まれている。これにより、接続部材52によるヒートシンク40、パッケージ12、レンズアレイ6、囲み部材60、シール部材20及び筐体30を固定する取付構造が形成されている。
【0050】
このとき、スペーサ50により、ヒートシンク40の取付面42及び筐体30の開口の周囲34の間の距離を画定することができる。その結果、スペーサ50により、囲み部材60のフランジ部66の出射側の外縁面66Bと筐体30の開口の周囲34との間の距離Wを画定することができる。
これにより、スペーサ50の長さに応じて、最適な距離Wで光学エンジン2の主要構成部材を固定することができる。特に、シール部材20が最適な圧縮力を発揮するように、シール部材20の圧縮量を確実に設定することができる。最適な距離Wは、シール部材20が十分な弾性力を発生し、かつ圧縮荷重を取り除けば元に戻る弾性変形領域にある距離であることが好ましい。最適な距離Wは、シール部材20の材料特性に応じて適宜定めることができる。
【0051】
以上のように、スペーサ50により弾性を有するシール部材20を最適な一定の圧縮率で圧縮して取り付けることができるので、パッケージ12、レンズアレイ6、囲み部材60及び筐体30の間シール性、及びレンズアレイ6や囲み部材60の保持能力を確実に高めることができる。
【0052】
(1つの実施形態に係るプロジェクタ)
次に、
図7を参照しながら、上述の実施形態で示した光源装置10や光学エンジン2を、いわゆる1チップ方式のDLPプロジェクタにおける光学エンジンとして用いる場合を説明する。
図7は、本発明の1つの実施形態に係るプロジェクタの概要を示す模式図あって、プロジェクタを上から見た模式的な平面図である。
【0053】
図7において、光学エンジン2の筐体内に配置された光学系の集光レンズにより集光された光が、蛍光体ホイール110に所定のスポット径となるように照射される。蛍光体ホイール110は、光を透過させる透明な円板状の部材で構成されており、回転軸を中心に回転する。また、蛍光体ホイール110の中心は、駆動モータ130の駆動軸に固定されている。ここで、蛍光体ホイール110の材料は、光の透過率が高い材料であればよく、例えば、ガラス、透明セラミックス、樹脂、サファイアや窒化ガリウムなどの結晶基板などを使用することができる。また、蛍光体ホイール110は光を反射させる反射型であってもよく、反射型に適した光学系とすればよい。
【0054】
蛍光体層は、光源の青色半導体レーザから出射された光によって励起され、青色半導体レーザから出射された光の波長帯域とは異なる波長帯域の蛍光を発生する。言い換えると、蛍光体層は、青色半導体レーザから出射された光の波長を変換することができる。蛍光体層は、例えば550〜780ナノメートルの波長帯域の蛍光(赤色光)を発生する。蛍光体層の具体的な材料の一例としては、YAG、(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu、CaAlSiN
3:Eu、SrAlSiN
3:Eu、K
2SiF
6:Mnを挙げることができる。ただし、これに限られるものではない。
【0055】
蛍光体ホイール110を回転させる駆動モータ130は、ブラシレス直流モータであり、蛍光体ホイール110の表面に対して駆動軸が直交するように固定されている。駆動モータ130は、再生する動画のフレームレート(1秒当たりのフレーム数。単位は[fps])に基づく回転速度で、蛍光体ホイール110を回転させる。例えば、60[fps]の動画を再生する場合、蛍光体ホイールの回転速度を毎秒60回転の整数倍に設定することが好ましい。
【0056】
蛍光体ホイール110から出射された光は、光学系120を介して、光空間変調器であるDMD(Digital Micromirror Device)素子(光変調手段)140に入射する。そして、DMD素子140で反射され、投射手段である投射レンズ150によって、DMD素子によって形成された画像を所定の大きさに拡大してスクリーンSCに投射する。
【0057】
DMD素子は、スクリーンに投影される画像の各画素に相当する微細なミラーをマトリックス状に配列したものであり、各ミラーの角度を変化させてスクリーンSCへ出射する光を、マイクロ秒単位でオン/オフすることができる。ここで、ミラーの角度を、光学エンジン2から出射された光が、投射レンズ150へ反射するようにした場合がオンの状態であり、投射レンズ150へ反射しないようにした場合がオフの状態である。
【0058】
また、DMD素子の各ミラーをオンにしている時間とオフにしている時間の比率によって、投射レンズ150へ入射する光の階調を変化させることにより、投影する画像の画像データに基づいた階調表示が可能になる。これにより、蛍光体ホイール110から順次出射される赤色光、緑色光、及び青色光の各々に対して、個々のミラーで階調制御を行うことにより、スクリーンSCにカラー画像(動画も含む)を投影することができる。つまり、蛍光体ホイール110から出射された複数の波長帯域の光を、DMD素子(光変調手段)140により順次変調して画像を形成し、投射レンズ(投射手段)150でその画像を拡大して投射することができる。
【0059】
本実施形態によれば、コリメートレンズへの塵埃等の付着を抑制可能な小型で高出な光学エンジン2を用いることにより、高い光学性能を有する小型で高出なプロジェクタを提供できる。なお、本実施形態では、光変調手段としてDMD素子を用いているが、これに限られるものではなく、用途に応じて、その他任意の光変調素子を用いることができる。
【0060】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。