特許第6940785号(P6940785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6940785
(24)【登録日】2021年9月7日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02257 20210101AFI20210916BHJP
   H01S 5/02208 20210101ALI20210916BHJP
   H01S 5/02218 20210101ALI20210916BHJP
【FI】
   H01S5/02257
   H01S5/02208
   H01S5/02218
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-103961(P2019-103961)
(22)【出願日】2019年6月3日
(62)【分割の表示】特願2015-14905(P2015-14905)の分割
【原出願日】2015年1月29日
(65)【公開番号】特開2019-165246(P2019-165246A)
(43)【公開日】2019年9月26日
【審査請求日】2019年6月3日
(31)【優先権主張番号】特願2014-80595(P2014-80595)
(32)【優先日】2014年4月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119301
【弁理士】
【氏名又は名称】蟹田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】杉山 卓史
【審査官】 大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−199357(JP,A)
【文献】 特開2011−014587(JP,A)
【文献】 特開2014−022650(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0250544(US,A1)
【文献】 特開2009−272576(JP,A)
【文献】 特開2012−052061(JP,A)
【文献】 特開2008−305936(JP,A)
【文献】 特開2013−207049(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/105647(WO,A1)
【文献】 特開2010−165834(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/179732(WO,A1)
【文献】 特開2013−183057(JP,A)
【文献】 特開2012−226986(JP,A)
【文献】 特開2012−134355(JP,A)
【文献】 特開2010−087181(JP,A)
【文献】 特開2009−289976(JP,A)
【文献】 特開2009−260053(JP,A)
【文献】 特開2008−258438(JP,A)
【文献】 特開2008−235744(JP,A)
【文献】 特開2008−153617(JP,A)
【文献】 特開2006−261286(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/013899(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0085923(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/049875(WO,A1)
【文献】 特許第6540050(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 − 5/50
H01L 33/00 − 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光色が青色系または紫色系の半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子の側方を囲う支持体と、
セラミックで構成され、第1貫通孔を有する第1部材と、
金属材料で構成され、第2貫通孔を有する第2部材と、
前記半導体レーザ素子からの光とは異なる波長の光を発し、蛍光体を含有した焼結体の波長変換部材を下層に、赤色系の蛍光体を含有するガラスの波長変換部材を上層に設けた多層構造である波長変換部材と、
を備え、
前記第2部材は、前記第1部材よりも前記半導体レーザ素子の側に設けられており、かつ、前記半導体レーザ素子よりも上方において前記第2部材の下面が前記支持体の上面に支持され、
前記波長変換部材の下面は前記支持体よりも上方に位置し、
前記波長変換部材は、前記第1貫通孔と同一の形状であって、下面が前記第2部材の上面によって支持され、側面が前記第1貫通孔の内側に設けられ、さらに、前記第2貫通孔を塞ぐ発光装置。
【請求項2】
前記波長変換部材の側面が、前記第1部材と接触している請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記支持体が金属材料で構成されている請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記半導体レーザ素子の発光ピーク波長は、420nm〜470nmである請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記波長変換部材は、粒状の光散乱部材をさらに含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
さらに、前記支持体の下面が固定され、かつ、前記半導体レーザ素子が上に配置される上面を有するステムを備える請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記半導体レーザ素子が載置されるヒートシンクを備え、
前記ヒートシンクは前記ステムの上面に固定される請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第2部材よりも、前記第1部材の方が、前記半導体レーザ素子からの光に対する反射率が高い請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体発光素子(半導体レーザ素子)を覆うキャップ本体(キャップ)の貫通孔に波長変換物質含有の光透過体(波長変換部材)を配置する半導体発光装置(発光装置)が提案された(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−153617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の発光装置よりも光学特性の安定性と放熱性とに優れた発光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子を覆い前記半導体レーザ素子からの光を通過させるための貫通孔を備えたキャップと、前記キャップの貫通孔内に設けられ前記半導体レーザ素子からの光とは異なる波長の光を発する波長変換部材と、を備えた発光装置であって、前記キャップは、セラミックで構成された第1部材と、金属材料で構成された第2部材と、を備え、前記貫通孔は、前記第1部材を貫通する第1貫通孔と前記第2部材を貫通する第2貫通孔とを有し、前記波長変換部材は、前記第2部材に設けられている、ことを特徴とする発光装置。
【発明の効果】
【0006】
光学特性の安定性と放熱性とに優れた発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る発光装置の模式図(波長変換部材の下面が第2部材に接触する形態例)であり、(a)は全体図、(b)は(a)中のAで示した箇所を拡大した図である。
図2】実施形態1に係る発光装置の模式図(波長変換部材の下面と第2部材との間に金属部材が介在する形態例)であり、(a)は全体図、(b)は(a)中の破線で囲んだ部分を拡大した図である。
図3】実施形態1に係る発光装置の模式図(波長変換部材の側面と第1部材とが離間する形態例)であり、(a)は全体図、(b)は(a)中の破線で囲んだ部分を拡大した図である。
図4】実施形態2に係る発光装置の模式図(波長変換部材の側面が第2部材に接触する形態例)であり、(a)は全体図、(b)は(a)中の破線で囲んだ部分を拡大した図である。
図5】実施形態2に係る発光装置の模式図(波長変換部材の側面と第2部材との間に金属部材が介在する形態例)であり、(a)は全体図、(b)は(a)中の破線で囲んだ部分を拡大した図である。
図6】貫通孔の平面視における形状の一例を示す模式図であり、(a)は貫通孔の形状が平面視において円形状である場合の一例を示し、(b)は貫通孔の形状が平面視において矩形状である場合の一例を示す。
図7】波長変換部材が多層構造である場合の一例を示す模式図であり、(a)は実施形態2に係る発光装置の全体図、(b)は(a)中の破線で囲んだ部分を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態1に係る発光装置100]
図1から図3に示すように、実施形態1に係る発光装置100は、半導体レーザ素子10と、半導体レーザ素子10を覆い半導体レーザ素子10からの光を通過させるための貫通孔30aを備えたキャップ30と、キャップ30の貫通孔30a内に設けられ半導体レーザ素子10からの光とは異なる波長の光を発する波長変換部材40と、を備えた発光装置であって、キャップ30は、セラミックで構成された第1部材31と、金属材料で構成された第2部材32と、を備え、貫通孔30aは、第1部材31を貫通する第1貫通孔31aと第2部材32を貫通する第2貫通孔32aとを有し、波長変換部材40は、第2部材32に設けられている発光装置である。以下、順に説明する。
【0009】
(半導体レーザ素子10)
半導体レーザ素子10としては、レーザダイオードなどを用いることができる。レーザダイオードとしては、例えば300nm〜600nmの範囲、好ましくは420nm〜470nmの範囲に発光ピーク波長を有するものを用いることができる。300nm〜600nmの範囲に発光ピーク波長を有するレーザダイオードを半導体レーザ素子10として用いる場合には、例えば酸化アルミニウム(Al)をセラミックとして用い銅を金属材料として用いることにより、セラミックの反射率を金属材料の反射率よりも高くすることできる。さらに、420nm〜470nmの範囲に発光ピーク波長を有するレーザダイオードを半導体レーザ素子10として用いる場合には、300nm〜600nmの範囲に発光ピーク波長がある場合と同様の効果があることに加えて、YAG系蛍光体などを波長変換部材40として用いて半導体レーザ素子10からの光(例:青色系、紫色系など)と波長変換部材40(例:YAG系蛍光体など)からの光とを組み合わせることで白色光を容易に取り出すことができるという効果がある。
【0010】
半導体レーザ素子10はヒートシンク20上に載置されている。ヒートシンク20としては、熱伝導性に優れた部材、例えば、銅、アルミニウム、真鍮などを用いることが好ましい。ヒートシンク20は板状のステム21に固定されている。半導体レーザ素子10はワイヤーなどの導電部材を介してリード22に接続されている。
【0011】
(キャップ30)
キャップ30は、半導体レーザ素子10を覆い半導体レーザ素子10からの光を通過させるための貫通孔30aを備えている。半導体レーザ素子10から出射した光はキャップ30が備える貫通孔30aを通過してキャップ30の外部に取り出される。貫通孔30aの形状は特に限定されないが、例えば、図6(a)や図6(b)に示すように、平面視において円形状や矩形状などにすることができる。
【0012】
キャップ30は、セラミックで構成された第1部材31と、金属材料で構成された第2部材32と、を備えている。セラミックで構成された第1部材31を用いることで、酸化や硫化などによる反射率の低下を抑制して、安定した光学特性を得ることができる。また、金属材料で構成された第2部材32を用いることで、波長変換部材40で生じた熱をキャップ30の外部へ効率的に放熱することができる。第1部材31と第2部材32とは多層構造であってもよい。
【0013】
セラミックとしては、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)などを用いることができる。金属材料としては、熱伝導率が100W・m−1・K−1以上である部材(例:銅、アルミニウム、真鍮)を用いることができる。第1部材31には、実質的にセラミックのみで構成されているという程度にセラミック以外の部材が含まれていてもよい。同様に、第2部材32には、実質的に金属材料のみで構成されているという程度に金属材料以外の部材が含まれていてもよい。
【0014】
半導体レーザ素子10からの光に対するセラミックの反射率は、金属材料の反射率より低くてもよいが、高いことが好ましい。例えば、半導体レーザ素子10からの光に対するセラミックの反射率は、半導体レーザ素子10からの光に対する金属材料の反射率の好ましくは160%以上であり、より好ましくは170%以上であり、さらに好ましくは180%以上である。セラミックの半導体レーザ素子10からの光に対する反射率は、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
【0015】
貫通孔30aは、第1部材31を貫通する第1貫通孔31aと第2部材32を貫通する第2貫通孔32aとを有している。第1貫通孔31aと第2貫通孔32aの形状は特に限定されないが、例えば、第2部材32を第1部材31より半導体レーザ素子10側に設け、第2貫通孔32aの開口径を第1貫通孔31aの開口径より小さくすることが好ましい。このようにすれば、貫通孔30a内において第2貫通孔32aの内壁面が第1貫通孔31aの内壁面よりも内側に位置し第2部材32が貫通孔30a内において突き出すため、波長変換部材40の下面を第2部材32の上面により支持することができる。したがって、波長変換部材40を貫通孔30aに設けることが容易になるとともに、波長変換部材40を比較的大きな接触面積で第2部材32に接触させることが可能となる。なお、波長変換部材40の下面は、第2部材32の上面により直接支持されてもよいし(図1、3参照)、金属部材50を介して支持されてもよい(図2参照)。金属部材50としては、Au−Snなどの共晶接合材を用いることができる。このような材料を金属部材50として用いることで、放熱性を損なうことなく波長変換部材40と第2部材32とを接合することができる。
【0016】
第1貫通孔31aと第2貫通孔32aは、半導体レーザ素子10側からキャップ30外に向かって開口径が大きくなるように形成してもよい(図3参照)。このようにすれば、第1貫通孔31aや第2貫通孔32aの傾斜した内壁面により、キャップ30外に向かって効率良く光を反射することができるため、より一層、安定した光学特性を維持することができる。
【0017】
キャップ30は、第2部材32の下面の外周を支持する円筒状の支持体33を備えていてもよい。支持体33は例えばステム21上に固定される。支持体33は、放熱性の観点から、金属で形成されていることが好ましい。第2部材32と支持体33は、例えば、YAGレーザ溶接などによって固定することができる。半導体レーザ素子10とキャップ30の貫通孔30aとの間には、半導体レーザ素子10からの光を集光するレンズなどの部材を設けてもよい。
【0018】
(波長変換部材40)
波長変換部材40は、キャップ30の貫通孔30a内に設けられ半導体レーザ素子10からの光とは異なる波長の光を発する。波長変換部材40としては、例えば、半導体レーザ素子10からの光により励起される蛍光体60を含有した焼結体、透光性樹脂、あるいはガラスなどを用いることができる。この場合は、波長変換部材40に入射した半導体レーザ素子10からの光により、焼結体中または透光性樹脂中の蛍光体60が励起され、この励起された蛍光体60から半導体レーザ素子10からの光とは異なる波長の光が発せられる。
【0019】
焼結体は、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)などのセラミックを用いることが好ましい。セラミックを用いることで蛍光体60の発熱による波長変換部材40の変形などを抑制できるため安定した光学特性を得ることができる。
【0020】
蛍光体60としては、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG系蛍光体)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(LAG系蛍光体)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(TAG系蛍光体)、サイアロン系蛍光体などを単独または組み合わせて用いることができる。
【0021】
波長変換部材40は、例えば、酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)などの粒状の光散乱部材を含有していてもよい。このようにすれば、半導体レーザ素子10からの光を波長変換部材40中で散乱させることができるため、発光装置100から取り出される光の色ムラを抑制することができる。
【0022】
波長変換部材40の形状は特に限定されないが、例えば、円柱状、四角柱状、円錐台形状などにすることができる。
【0023】
波長変換部材40は、第2部材32に設けられている。波長変換部材40が第2部材32に設けられている形態の一例としては、例えば、波長変換部材40が第2部材32に接触している形態(図1、3参照)や、波長変換部材40が第2部材32に接触する金属部材50に接触している形態(図2参照)を挙げることができる。波長変換部材40が第2部材32に設けられていることにより、波長変換部材40で生じた熱が第2部材32を介してキャップ30の外側へ効率的に放熱される。
【0024】
波長変換部材40は、第1部材31に接触していてもよいし(図1、2参照)、接触していなくてもよい(図3参照)。波長変換部材40と第1部材31とが接触する場合の一例としては、例えば、波長変換部材40が第1部材31の第1貫通孔31aと同一の形状(完全に同一の形状である場合のほか、誤差と呼べる程度に形状に違いがある場合を含む。)である場合を挙げることができる。また、波長変換部材40の形状を第1貫通孔31aの形状と同一にすることが製造上難しい場合は、波長変換部材40と第1貫通孔31aの内壁面との隙間を透光性の部材で埋没してもよい。例えば、スパッタ、CVD、蒸着、原子層堆積法、ゾルゲル法などにより形成された酸化アルミニウム(Al)、透光性の樹脂などにより波長変換部材40と第1貫通孔31aの内壁面との隙間を埋没することが好ましい。特に、原子層堆積法、ゾルゲル法により形成することが好ましく、隙間を容易に埋没することができる。このようにすれば、波長変換部材40と第1部材31との密着性が向上することで放熱経路が増加し、放熱性を向上させることができる。
【0025】
第2部材32を貫通する第2貫通孔32aの内壁面には、セラミックで構成された第3部材34を設けてもよい。このようにすれば、波長変換部材40の下面から半導体レーザ素子10側に向かう光(例:波長変換部材40の下面や波長変換部材40の内部で反射された光)をセラミックで構成された第3部材34で反射させ、波長変換部材40に再び入射させることが可能となる。第3部材34としては、半導体レーザ素子10からの光の反射を目的として上記した第1部材31と同一の部材(同一の材料からなるセラミック)を用いることが好ましい。
【0026】
第2部材32の内壁面に第3部材34を設ける場合には、第3部材34を第2部材32の内壁面に嵌合させる段差等の嵌合部Xを第3部材34と第2部材32の内壁面とに設けることが好ましい。このようにすれば、第2部材32の内壁面における第3部材34の位置決めが容易となるとともに、第2部材32の内壁面と第3部材34の密着性を向上させることができる。
【0027】
第3部材34は第2部材32の内壁面に接触していてもよい。
【0028】
以上説明したように、実施形態1に係る発光装置100によれば、キャップ30がセラミックで構成された第1部材31と金属材料で構成された第2部材32とを備え、貫通孔30aが第1部材31を貫通する第1貫通孔31aと第2部材32を貫通する第2貫通孔32aとを有し、波長変換部材40が第2部材32に設けられる。したがって、光学特性の安定性と放熱性とに優れた発光装置を提供することができる。
【0029】
[実施形態2に係る発光装置200]
図4図5に示すように、実施形態2に係る発光装置200は、波長変換部材40の「側面」が第2部材32に設けられている点で、波長変換部材40の「下面」が第2部材32に設けられている実施形態1に係る発光装置100と相違する。実施形態2によっても、実施形態1と同様に、光学特性の安定性と放熱性とに優れた発光装置を提供することができる。
【0030】
図4図5に示すように、波長変換部材40と、第2部材32の第2貫通孔32aと、を同一の形状(完全に同一の形状である場合のほか、誤差と呼べる程度に形状に違いがある場合を含む。)とすることもできる。これにより、波長変換部材40の側面を第2部材32に設けることが容易になる。なお、波長変換部材40の形状を第2貫通孔32aの形状と同一にすることが製造上難しい場合は、波長変換部材40の側面と第2貫通孔32aの内壁面との隙間を透光性の部材で埋没してもよい。例えば、スパッタ、CVD、蒸着、原子層堆積法、ゾルゲル法などにより形成された酸化アルミニウム(Al)、透光性の樹脂などにより波長変換部材40の側面と第2貫通孔32aの内壁面との隙間を埋没し接触させることが好ましい。特に、原子層堆積法、ゾルゲル法により形成することが好ましく、隙間を容易に埋没することができる。このようにすれば、波長変換部材40の側面と第2部材32との密着性が向上し放熱経路が増加するため、放熱性を向上させることができる。
【0031】
波長変換部材40は多層構造であってもよく、例えば、図7に示すように、焼結体からなる波長変換部材40aとガラスからなる波長変換部材40bとが半導体レーザ素子10側から順に設けられた構造であってもよい。この場合、ガラスからなる波長変換部材40bには発光装置200から出射する光を所望の色調に補正することを目的として蛍光体60を含有させてもよく、例えば、赤色系の蛍光体を含有させてもよい。このような構成とすることで、発光装置200の放熱性を維持しつつ発光装置200の色調を調整することができる。なお、図7では、一例として、実施形態2に係る発光装置において波長変換部材40が多層構造とされる形態を示したが、波長変換部材40が多層構造である形態は、実施形態2に限定されるものではなく、波長変換部材40は実施形態1やその他の形態においても多層構造にすることができる。
【0032】
以上、実施形態について説明したが、これらの説明は、一例であり、特許請求の範囲に記載された構成は、これらの説明によって何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0033】
10 半導体レーザ素子
20 ヒートシンク
21 ステム
22 リード
30 キャップ
30a 貫通孔
31 第1部材
31a 第1貫通孔
32 第2部材
32a 第2貫通孔
33 支持体
34 第3部材
40 波長変換部材
40a 波長変換部材
40b 波長変換部材
50 金属部材
60 蛍光体
100 発光装置
200 発光装置
X 段差部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7