(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
物体側から像側へ向かって順に、変倍の際に像面に対して固定されている正の屈折力を有する第1レンズ群と、変倍の際に光軸に沿って移動する負の屈折力を有する第2レンズ群と、変倍の際に光軸に沿って移動する負の屈折力を有する第3レンズ群と、変倍の際に光軸に沿って移動する少なくとも1つのレンズ群と、変倍の際に像面に対して固定されている後群とからなり、
変倍の際に隣り合うレンズ群の間隔が全て変化し、
前記第2レンズ群が1枚の負レンズからなり、
変倍の際に前記第2レンズ群が最も像側に位置するズーム位置は広角端と望遠端との間のズーム位置であり、
望遠端における前記第1レンズ群の最も像側のレンズ面と前記第2レンズ群の最も物体側のレンズ面との光軸上の距離をDb12、
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、
前記第2レンズ群の焦点距離をf2、
前記第3レンズ群の焦点距離をf3とした場合、
0.004<Db12/f1<0.8 (1)
0.001<f3/f2<0.375 (3)
で表される条件式(1)及び(3)を満足するズームレンズ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記カメラに用いるズームレンズは、高解像でありながら、小型化及び軽量化が図られ、さらに高倍率を有することも求められている。これらの要求レベルは年々高くなっている。
【0005】
特許文献1に記載のレンズ系は、倍率が低く、高倍率化しようとすると主変倍群である第3レンズ群の移動量の確保が難しく、高倍率化が困難である。特許文献2に記載のレンズ系も近年の高倍率の要求に十分応えるためには、さらなる高倍率化が必要である。特許文献2に記載のレンズ系は、高性能を維持したまま高倍率化しようとすると、ズーム全域での像面湾曲の抑制が難しく、また、望遠側で第1レンズ群と第2レンズ群とが離れすぎてしまい望遠側の球面収差の変動を好適に抑制することが難しく、高倍率化が困難である。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑みなされたものである。本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、高解像かつ高倍率でありながら、小型化及び軽量化が図られ、良好な性能を有するズームレンズ、及びこのズームレンズを備えた撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
第1の態様に係るズームレンズは、物体側から像側へ向かって順に、変倍の際に像面に対して固定されている正の屈折力を有する第1レンズ群と、変倍の際に光軸に沿って移動する負の屈折力を有する第2レンズ群と、変倍の際に光軸に沿って移動する負の屈折力を有する第3レンズ群と、変倍の際に光軸に沿って移動する少なくとも1つのレンズ群と、変倍の際に像面に対して固定されている後群とからなり、変倍の際に隣り合うレンズ群の間隔が全て変化し、第2レンズ群が1枚の負レンズからなり、変倍の際に第2レンズ群が最も像側に位置するズーム位置は広角端と望遠端との間のズーム位置であり、望遠端における第1レンズ群の最も像側のレンズ面と第2レンズ群の最も物体側のレンズ面との光軸上の距離をDb12、第1レンズ群の焦点距離をf1とした場合、
0.004<Db12/f1<0.8 (1)
で表される条件式(1)を満足する。
【0008】
第2の態様に係るズームレンズは、第1の態様に係るズームレンズにおいて、望遠端における第2レンズ群の横倍率をβ2tとした場合、
0.1<1/β2t<1 (2A)
で表される条件式(2A)を満足する。
【0009】
第3の態様に係るズームレンズは、物体側から像側へ向かって順に、変倍の際に像面に対して固定されている正の屈折力を有する第1レンズ群と、変倍の際に光軸に沿って移動する負の屈折力を有する第2レンズ群と、変倍の際に光軸に沿って移動する負の屈折力を有する第3レンズ群と、変倍の際に光軸に沿って移動する少なくとも1つのレンズ群と、変倍の際に像面に対して固定されている後群とからなり、変倍の際に隣り合うレンズ群の間隔が全て変化し、望遠端における第1レンズ群の最も像側のレンズ面と第2レンズ群の最も物体側のレンズ面との光軸上の距離をDb12、第1レンズ群の焦点距離をf1、望遠端における第2レンズ群の横倍率をβ2tとした場合、
0.004<Db12/f1<0.8 (1)
0.62<1/β2t<1 (2B)
で表される条件式(1)及び(2B)を満足する。
【0010】
第4の態様に係るズームレンズは、第1の態様から第3の態様に係るズームレンズのいずれか1つにおいて、第2レンズ群の焦点距離をf2、第3レンズ群の焦点距離をf3とした場合、
0.001<f3/f2<0.375 (3)
で表される条件式(3)を満足する。
【0011】
第5の態様に係るズームレンズは、第1の態様から第4の態様に係るズームレンズのいずれか1つにおいて、広角端における第1レンズ群の最も像側のレンズ面と第3レンズ群の最も物体側のレンズ面との光軸上の距離をDb13、広角端における第3レンズ群の位置と望遠端における第3レンズ群の位置との光軸方向の差をD3wtとした場合、
0.01<Db13/D3wt<0.12 (4)
で表される条件式(4)を満足する。
【0012】
第6の態様に係るズームレンズは、第1の態様から第5の態様に係るズームレンズのいずれか1つにおいて、第1レンズ群の焦点距離をf1、第2レンズ群の焦点距離をf2とした場合、
−0.4<f1/f2<−0.01 (5)
で表される条件式(5)を満足する。
【0013】
第7の態様に係るズームレンズは、第1の態様から第6の態様に係るズームレンズのいずれか1つにおいて、第2レンズ群に含まれる全てのレンズのd線における屈折率の平均値をNave、第2レンズ群に含まれる全てのレンズのd線基準のアッベ数の平均値をνaveとした場合、
1.8<Nave+0.006×νave<2.1 (6)
で表される条件式(6)を満足する。
【0014】
第8の態様に係るズームレンズは、第1の態様から第7の態様に係るズームレンズのいずれか1つにおいて、望遠端におけるズームレンズの焦点距離をft、第1レンズ群の焦点距離をf1とした場合、
1<ft/f1<5 (7)
で表される条件式(7)を満足する。
【0015】
第9の態様に係るズームレンズは、第1の態様から第8の態様に係るズームレンズのいずれか1つにおいて、後群の横倍率をβrとした場合、
−5<βr<−1 (8)
で表される条件式(8)を満足する。
【0016】
第10の態様に係るズームレンズは、第1の態様から第9の態様に係るズームレンズのいずれか1つにおいて、広角端における第3レンズ群から後群までの合成横倍率をβ3rw、望遠端における第3レンズ群から後群までの合成横倍率をβ3rtとした場合、
5<β3rt/β3rw<150 (9)
で表される条件式(9)を満足する。
【0017】
第11の態様に係るズームレンズは、第1の態様から第10の態様に係るズームレンズのいずれか1つにおいて、広角端から望遠端への変倍の際に、第3レンズ群が常に物体側から像側へ移動する。
【0018】
第12の態様に係るズームレンズは、第1の態様から第11の態様に係るズームレンズのいずれか1つにおいて、後群の物体側に隣接して配置されたレンズ群が負の屈折力を有する。
【0019】
第13の態様に係るズームレンズは、第1の態様から第12の態様に係るズームレンズのいずれか1つにおいて、後群が、光軸と交差する方向に移動することによって像ぶれ補正を行う防振群を含む。
【0020】
第14の態様に係るズームレンズは、第1の態様から第13の態様に係るズームレンズのいずれか1つにおいて、
0.005<Db12/f1<0.55 (1−1)
で表される条件式(1−1)を満足する。
【0021】
第15の態様に係るズームレンズは、第2の態様に係るズームレンズにおいて、
0.52<1/β2t<0.99 (2A−1)
で表される条件式(2A−1)を満足する。
【0022】
第16の態様に係るズームレンズは、第3の態様に係るズームレンズにおいて、
0.66<1/β2t<0.99 (2B−1)
で表される条件式(2B−1)を満足する。
【0023】
第17の態様に係るズームレンズは、第4の態様に係るズームレンズにおいて、
0.005<f3/f2<0.24 (3−1)
で表される条件式(3−1)を満足する。
【0024】
第18の態様に係るズームレンズは、第5の態様に係るズームレンズにおいて、
0.02<Db13/D3wt<0.085 (4−1)
で表される条件式(4−1)を満足する。
【0025】
第19の態様に係るズームレンズは、第1の態様から第18の態様に係るズームレンズのいずれか1つのズームレンズにおいて、変倍の際に隣り合うレンズ群の間隔が変化する5つ又は6つのレンズ群からなる。
【0026】
第20の態様に係る撮像装置は、第1の態様から第19の態様に係るズームレンズのいずれか1つのズームレンズを備える。
【0027】
なお、上記の第1及び第3の態様に係るズームレンズの「変倍の際に光軸に沿って移動する少なくとも1つのレンズ群」は、「第2レンズ群」及び「第3レンズ群」のいずれとも異なるレンズ群である。
【0028】
なお、本明細書の「〜からなり」、「〜からなる」は、挙げられた構成要素以外に、実質的に屈折力を有さないレンズ、並びに、絞り、フィルタ、及びカバーガラス等のレンズ以外の光学要素、並びに、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、及び手振れ補正機構等の機構部分、等が含まれていてもよいことを意図する。
【0029】
なお、本明細書の「正の屈折力を有する〜群」は、群全体として正の屈折力を有することを意味する。同様に「負の屈折力を有する〜群」は、群全体として負の屈折力を有することを意味する。「正の屈折力を有するレンズ」と「正レンズ」とは同義である。「負の屈折力を有するレンズ」と「負レンズ」とは同義である。「レンズ群」は、複数のレンズからなる構成に限らず、1枚のみのレンズからなる構成としてもよい。また、「1つのレンズ群」は、変倍の際に隣り合う群との光軸方向の間隔が変化するレンズ群を「1つのレンズ群」とする。すなわち、変倍の際に変化する間隔でレンズ群を区切った場合に1区切りに含まれるレンズ群を1つのレンズ群とする。
【0030】
複合非球面レンズ(球面レンズと、その球面レンズ上に形成された非球面形状の膜とが一体的に構成されて、全体として1つの非球面レンズとして機能するレンズ)は、接合レンズとは見なさず、1枚のレンズとして扱う。非球面を含むレンズに関する、屈折力の符号、及びレンズ面の面形状は、特に断りが無い限り、近軸領域で考えることにする。
【0031】
条件式の「焦点距離」及び「横倍率」は、近軸領域における値を用いる。条件式の値は全て、無限遠物体に合焦した状態でd線を基準とした場合の値である。本明細書に記載の「d線」、「C線」、「F線」、及び「g線」は輝線であり、d線の波長は587.56nm(ナノメートル)、C線の波長は656.27nm(ナノメートル)、F線の波長は486.13nm(ナノメートル)、g線の波長は435.84nm(ナノメートル)である。あるレンズのg線とF線間の部分分散比θgFとは、g線、F線、及びC線に対するそのレンズの屈折率をそれぞれNg、NF、及びNCとした場合に、θgF=(Ng−NF)/(NF−NC)で定義される。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一実施形態によれば、高解像かつ高倍率でありながら、小型化及び軽量化が図られ、良好な性能を有するズームレンズ、及びこのズームレンズを備えた撮像装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本開示のズームレンズの実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るズームレンズの構成を示す断面図である。
図1に示す例は後述の実施例1のズームレンズに対応している。
図1では、「WIDE」と付した上段に広角端状態を示し、「TELE」と付した下段に望遠端状態を示している。
図1では、左側が物体側、右側が像側であり、無限遠物体に合焦した状態を示す。
【0035】
なお、
図1では、ズームレンズが撮像装置に適用されることを想定して、ズームレンズと像面Simとの間に入射面と出射面が平行の光学部材PPが配置された例を示している。光学部材PPは、各種フィルタ、プリズム、及び/又はカバーガラス等を想定した部材である。各種フィルタとは例えば、ローパスフィルタ、赤外線カットフィルタ、および特定の波長域をカットするフィルタ等である。光学部材PPは屈折力を有しない部材であり、光学部材PPを省略した構成も可能である。
【0036】
本発明の第1の実施形態に係るズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ向かって順に、変倍の際に像面Simに対して固定されている正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、変倍の際に光軸Zに沿って移動する負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、変倍の際に光軸Zに沿って移動する負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、変倍の際に光軸Zに沿って移動する少なくとも1つのレンズ群と、変倍の際に像面Simに対して固定されている後群Grとからなる。変倍の際に隣り合うレンズ群の間隔が全て変化する。
【0037】
図1に示す例のズームレンズは、物体側から像側へ向かって順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5と、第6レンズ群G6とからなる。第6レンズ群G6の最も物体側には開口絞りStが配置されている。なお、
図1に示す開口絞りStは形状を示すものではなく、光軸方向の位置を示すものである。
図1に示す例では、第6レンズ群G6が後群Grに対応する。変倍の際に、第1レンズ群G1と第6レンズ群G6とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とは、隣り合うレンズ群の間隔を変化させて光軸方向に移動する。
図1では、変倍の際に移動する各レンズ群の下に広角端から望遠端へ変倍する際の各レンズ群の移動軌跡を模式的に矢印で示しており、変倍の際に像面Simに対して固定されている各レンズ群の下には接地記号を示している。
【0038】
図1に示す例では、第1レンズ群G1は5枚のレンズからなり、第2レンズ群G2は1枚のレンズからなり、第3レンズ群G3は4枚のレンズからなり、第4レンズ群G4は2枚のレンズからなり、第5レンズ群G5は2枚のレンズからなり、第6レンズ群G6は開口絞りStと10枚のレンズからなる。ただし、本開示のズームレンズにおいては、ズームレンズを構成するレンズ群の数、各レンズ群を構成するレンズの枚数、及び開口絞りStの位置は、
図1に示す例と異なるものとすることも可能である。
【0039】
最も物体側の第1レンズ群G1を正の屈折力を有するレンズ群とすることによって、レンズ系全長の短縮が可能となり、小型化に有利となる。
【0040】
第2レンズ群G2を負の屈折力を有するレンズ群として変倍の際に移動させることによって、広角端から中間ズーム位置までの像面湾曲、及び中間ズーム位置から望遠端までの球面収差を補正することができ、これによって、広角端から中間ズーム位置までの像面湾曲の変動、及び中間ズーム位置から望遠端までの球面収差の変動を抑制することができる。
【0041】
第3レンズ群G3を負の屈折力を有するレンズ群とすることによって、第3レンズ群G3を主な変倍作用を担う主変倍群とすることができる。
【0042】
第3レンズ群G3の像側に、変倍の際に光軸Zに沿って移動する少なくとも1つのレンズ群を配置することによって、変倍の際の像位置の変動を抑えるとともに、変倍の際の像面湾曲の変動を抑えることができる。
【0043】
最も像側の後群Grは主に結像作用を担うことができる。最も物体側の第1レンズ群G1と最も像側の後群Grとを変倍の際に像面Simに対して固定された構成にすることによって、変倍の際にレンズ系全長を不変にすることができる。
【0044】
第1の実施形態のズームレンズでは、第2レンズ群G2は1枚の負レンズからなる。第2レンズ群G2を構成するレンズの枚数を1枚とすることによって、主変倍群である第3レンズ群G3の移動スペースを広く確保することができるため高倍率化に有利となる。
【0045】
また、第1の実施形態のズームレンズでは、変倍の際に第2レンズ群G2が最も像側に位置するズーム位置は、広角端でもなく、望遠端でもなく、広角端と望遠端との間のズーム位置となるように構成される。望遠端へ向かう変倍の際に、第2レンズ群G2が第1レンズ群G1に近づくことによって、第1レンズ群G1で発生した球面収差を補正することができ、また、広角端へ向かう変倍の際に、像面湾曲を抑制することができるので、高倍率化に有利となる。
【0046】
図2に、
図1に示すズームレンズの各状態における構成を示す断面図を示す。
図2では、「WIDE」と付した上段に広角端状態を示し、「MIDDLE」と付した中段に第2レンズ群G2が最も像側に位置するズーム位置の状態を示し、「TELE」と付した下段に望遠端状態を示している。また、
図2では、広角端状態における軸上光束wa及び最大画角の光束wb、第2レンズ群G2が最も像側に位置するズーム位置の状態における軸上光束ma及び最大画角の光束mb、望遠端状態における軸上光束ta及び最大画角の光束tbも合わせて示している。
【0047】
また、第1の実施形態のズームレンズは、望遠端における第1レンズ群G1の最も像側のレンズ面と第2レンズ群G2の最も物体側のレンズ面との光軸上の距離をDb12、第1レンズ群G1の焦点距離をf1とした場合、下記条件式(1)を満足する。条件式(1)の下限以下とならないようにすることによって、第2レンズ群G2の広角端から望遠端までの移動量が小さくなりすぎないようにすることができ、広角側の像面湾曲の変動、及び望遠側の球面収差の変動をバランス良く抑制することが容易になる。また、第1レンズ群G1の屈折力が弱くなりすぎないようにすることができ、レンズ系の小型化及び軽量化に有利となる。さらに、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とが干渉しないようにすることができる。条件式(1)の上限以上とならないようにすることによって、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が大きくなりすぎないようにすることができるので、高倍率化した場合でも望遠側の球面収差の変動を抑制する効果を確保することができる。また、第1レンズ群G1の屈折力が強くなりすぎないようにすることができ、第1レンズ群G1で発生する球面収差を抑制できる。なお、下記条件式(1−1)を満足する構成とすれば、より良好な特性とすることができ、下記条件式(1−2)を満足する構成とすれば、さらにより良好な特性とすることができる。
0.004<Db12/f1<0.8 (1)
0.005<Db12/f1<0.55 (1−1)
0.006<Db12/f1<0.32 (1−2)
【0048】
第1の実施形態に係るズームレンズでは、望遠端における第2レンズ群G2の横倍率をβ2tとした場合、下記条件式(2A)を満足することが好ましい。条件式(2A)の下限以下とならないようにすることによって、望遠端における第2レンズ群G2の横倍率が大きくなりすぎるのを抑制することができ、望遠端における第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の合成焦点距離が長くなりすぎるのを抑制することができる。これによって、第3レンズ群G3の負の屈折力を確保することが容易となり、高倍率化する際に主変倍群である第3レンズ群G3のズームストロークを抑制することが容易となり、高倍率化と小型化の両立に有利となる。条件式(2A)の上限以上とならないようにすることによって、第2レンズ群G2の負の屈折力が弱くなりすぎないようにすることができ、第2レンズ群G2の負レンズの収差補正効果を確保することができる。なお、下記条件式(2A−1)を満足する構成とすれば、より良好な特性とすることができ、下記条件式(2A−2)を満足する構成とすれば、さらにより良好な特性とすることができる。
0.1<1/β2t<1 (2A)
0.52<1/β2t<0.99 (2A−1)
0.7<1/β2t<0.98 (2A−2)
【0049】
次に、本発明の第2の実施形態に係るズームレンズについて説明する。本発明の第2の実施形態に係るズームレンズは、本発明の第1の実施形態に係るズームレンズと一部共通の構成を有している。本発明の第2の実施形態に係るズームレンズの構成を示す断面図は
図1に示したものと同じである。
【0050】
本発明の第2の実施形態に係るズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ向かって順に、変倍の際に像面Simに対して固定されている正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、変倍の際に光軸Zに沿って移動する負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、変倍の際に光軸Zに沿って移動する負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、変倍の際に光軸Zに沿って移動する少なくとも1つのレンズ群と、変倍の際に像面Simに対して固定されている後群Grとからなる。変倍の際に隣り合うレンズ群の間隔が全て変化する。また、本発明の第2の実施形態に係るズームレンズは、望遠端における第1レンズ群G1の最も像側のレンズ面と第2レンズ群G2の最も物体側のレンズ面との光軸上の距離をDb12、第1レンズ群G1の焦点距離をf1とした場合、下記条件式(1)を満足する。
0.004<Db12/f1<0.8 (1)
【0051】
上記の第2の実施形態に係るズームレンズの構成は、第1の実施形態に係るズームレンズの構成と共通であり、各構成の作用効果は、第1の実施形態に係るズームレンズの説明で述べたものと同じであるので重複説明を省略する。また、第2の実施形態においても、条件式(1−1)を満足する構成とすれば、より良好な特性とすることができ、条件式(1−2)を満足する構成とすれば、さらにより良好な特性とすることができる。
【0052】
さらに、本発明の第2の実施形態に係るズームレンズは、望遠端における第2レンズ群G2の横倍率をβ2tとした場合、下記条件式(2B)を満足する構成を有する。条件式(2B)の下限以下とならないようにすることによって、望遠端における第2レンズ群G2の横倍率を抑制することができ、望遠端における第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の合成焦点距離が長くならないようにすることが容易となる。条件式(2B)の下限以下とならないようにすることによって、条件式(2A)の下限以下とならないようにした場合よりもさらに、高倍率化する際に主変倍群である第3レンズ群G3のズームストロークをより抑制することができ、高倍率化と小型化の両立がより有利となる。条件式(2B)の上限以上とならないようにすることによって、第2レンズ群G2の負の屈折力が弱くなりすぎないようにすることができ、第2レンズ群G2の負レンズの収差補正効果を確保することができる。なお、下記条件式(2B−1)を満足する構成とすれば、より良好な特性とすることができ、下記条件式(2B−2)を満足する構成とすれば、さらにより良好な特性とすることができる。
0.62<1/β2t<1 (2B)
0.66<1/β2t<0.99 (2B−1)
0.7<1/β2t<0.98 (2B−2)
【0053】
なお、第1の実施形態に係るズームレンズは、第2レンズ群G2が1枚の負レンズからなるという構成、及び、変倍の際に第2レンズ群G2が最も像側に位置するズーム位置が広角端と望遠端との間のズーム位置であるという構成を有しているが、第2の実施形態に係るズームレンズは、これらの構成を必須要件としていない。しかし、第2の実施形態に係るズームレンズは、第1の実施形態に係るズームレンズと共通の構成、及び、β2tを条件式(2B)の範囲とする構成を有することによって、第1の実施形態に係るズームレンズと同様に、高倍率化と小型化の両立に有利となり、また、良好な性能を有することができる。
【0054】
なお、第1の実施形態に係るズームレンズが有する上記構成を第2の実施形態に係るズームレンズが有するように構成してもよい。すなわち、第2の実施形態に係るズームレンズにおいて、第2レンズ群G2が1枚の負レンズからなるように構成してもよい。また、第2の実施形態のズームレンズにおいて、変倍の際に第2レンズ群G2が最も像側に位置するズーム位置は、広角端と望遠端との間のズーム位置となるように構成してもよい。これらの構成の作用効果は、第1の実施形態に係るズームレンズの説明で述べたものと同じである。
【0055】
以下、本発明の第1及び第2の実施形態に係るズームレンズにおける好ましい構成及び可能な構成について説明する。第2レンズ群G2の焦点距離をf2、第3レンズ群G3の焦点距離をf3とした場合、下記条件式(3)を満足することが好ましい。条件式(3)の下限以下とならないようにすることによって、第3レンズ群G3の屈折力を抑制し、変倍の際の球面収差の変動を抑制することができる。また、条件式(3)の下限以下とならないようにすることによって、第2レンズ群G2の屈折力を確保でき、広角側の像面湾曲と望遠側の球面収差とをバランス良く補正することが容易になる。条件式(3)の上限以上とならないようにすることによって、第3レンズ群G3の屈折力を確保でき、高倍率化、及び小型化に有利となる。なお、下記条件式(3−1)を満足する構成とすれば、より良好な特性とすることができ、下記条件式(3−2)を満足する構成とすれば、さらにより良好な特性とすることができる。
0.001<f3/f2<0.375 (3)
0.005<f3/f2<0.24 (3−1)
0.009<f3/f2<0.12 (3−2)
【0056】
また、広角端における第1レンズ群G1の最も像側のレンズ面と第3レンズ群G3の最も物体側のレンズ面との光軸上の距離をDb13、広角端における第3レンズ群G3の位置と望遠端における第3レンズ群G3の位置との光軸方向の差をD3wtとした場合、下記条件式(4)を満足することが好ましい。条件式(4)の下限以下とならないようにすることによって、広角端における第1レンズ群G1と第3レンズ群G3との距離が小さくなりすぎないようにすることができ、第2レンズ群G2のレンズの厚みが薄くなるのを抑制することができる。これによって、例えば、温度変化時のレンズの変形の抑制、加工時のレンズの面精度の高精度化、及び/又は組立時のレンズの変形の抑制が可能となる。条件式(4)の上限以上とならないようにすることによって、第3レンズ群G3の広角端から望遠端までのズームストロークを確保することができ、高倍率化に有利となる。なお、下記条件式(4−1)を満足する構成とすれば、より良好な特性とすることができ、下記条件式(4−2)を満足する構成とすれば、さらにより良好な特性とすることができる。
0.01<Db13/D3wt<0.12 (4)
0.02<Db13/D3wt<0.085 (4−1)
0.028<Db13/D3wt<0.05 (4−2)
【0057】
第1レンズ群G1の焦点距離をf1、第2レンズ群G2の焦点距離をf2とした場合、下記条件式(5)を満足することが好ましい。条件式(5)の下限以下とならないようにすることによって、第2レンズ群G2の屈折力が強くなりすぎないようにすることができ、広角側における結像領域周辺部の像面湾曲を良好に補正できる。条件式(5)の上限以上とならないようにすることによって、第2レンズ群G2の屈折力が弱くなりすぎないようにすることができ、望遠側における球面収差を良好に補正できる。なお、下記条件式(5−1)を満足する構成とすれば、より良好な特性とすることができ、下記条件式(5−2)を満足する構成とすれば、さらにより良好な特性とすることができる。
−0.4<f1/f2<−0.01 (5)
−0.38<f1/f2<−0.03 (5−1)
−0.35<f1/f2<−0.05 (5−2)
【0058】
第2レンズ群G2に含まれる全てのレンズのd線における屈折率の平均値をNave、第2レンズ群G2に含まれる全てのレンズのd線基準のアッベ数の平均値をνaveとした場合、下記条件式(6)を満足することが好ましい。なお、第2レンズ群G2が1枚のレンズからなる場合は、このレンズのd線における屈折率、d線基準のアッベ数がそれぞれNave、νaveである。条件式(6)の下限以下とならないようにすることによって、小型化及び高倍率化を達成しつつ、望遠側の色収差を良好に補正できる。条件式(6)の上限以上とならないようにすることによって、第2レンズ群G2のレンズが低分散かつ高屈折率になりすぎるのを抑制することができる。本開示のズームレンズにおいては、変倍の際に第2レンズ群G2を移動させることによって、像面湾曲及び球面収差等の変倍の際に変動する収差を補正可能である。その際、第2レンズ群G2単体で収差補正されたものとするのではなく、第2レンズ群G2単体では収差が残っているようにし、第2レンズ群G2の収差と変倍の際に変動する収差とが打ち消しあうように構成することが効果的である。条件式(6)の上限以上とならないようにすることによって、第2レンズ群G2単体では適度に収差が残っている状態にし、第2レンズ群の収差補正効果を確保することができる。なお、下記条件式(6−1)を満足する構成とすれば、より良好な特性とすることができ、下記条件式(6−2)を満足する構成とすれば、さらにより良好な特性とすることができる。
1.8<Nave+0.006×νave<2.1 (6)
1.88<Nave+0.006×νave<2.05 (6−1)
1.96<Nave+0.006×νave<2.03 (6−2)
【0059】
望遠端におけるズームレンズの焦点距離をft、第1レンズ群G1の焦点距離をf1とした場合、下記条件式(7)を満足することが好ましい。条件式(7)の下限以下とならないようにすることによって、第1レンズ群G1の屈折力が弱くなりすぎないようにすることができ、レンズ系の小型化及び軽量化に有利となる。条件式(7)の上限以上とならないようにすることによって、第1レンズ群G1の屈折力が強くなりすぎないようにすることができ、物体側から主変倍群である第3レンズ群G3へ入射する軸上光線の入射角度を緩めることができるため、球面収差の発生を抑制することができる。なお、下記条件式(7−1)を満足する構成とすれば、より良好な特性とすることができ、下記条件式(7−2)を満足する構成とすれば、さらにより良好な特性とすることができる。
1<ft/f1<5 (7)
1.7<ft/f1<4.2 (7−1)
2.4<ft/f1<3.4 (7−2)
【0060】
後群Grの横倍率をβrとした場合、下記条件式(8)を満足することが好ましい。条件式(8)の下限以下とならないようにすることによって、収差が大きく拡大されるのを抑制し、変倍の際の諸収差の変動を抑制することができる。条件式(8)の上限よりβrが大きくなり、かつβrが負の場合は、βrは縮小倍率となり、後群Grの物体のサイズより後群Grの像のサイズの方が小さくなる。条件式(8)の上限以上とならないようにすることによって、レンズ系全体の大型化を抑制しつつ高倍率化を図ることに有利となる。なお、下記条件式(8−1)を満足する構成とすれば、より良好な特性とすることができ、下記条件式(8−2)を満足する構成とすれば、さらにより良好な特性とすることができる。
−5<βr<−1 (8)
−3.6<βr<−1 (8−1)
−2.2<βr<−1 (8−2)
【0061】
広角端における第3レンズ群G3から後群Grまでの合成横倍率をβ3rw、望遠端における第3レンズ群G3から後群Grまでの合成横倍率をβ3rtとした場合、下記条件式(9)を満足することが好ましい。条件式(9)の下限以下とならないようにすることによって、第3レンズ群G3以降のレンズ群の横倍率の変倍の際の変動が小さくなりすぎないようにすることができ、高倍率化に有利となる。条件式(9)の上限以上とならないようにすることによって、第3レンズ群G3以降のレンズ群の横倍率の変倍の際の変動が大きくなりすぎないようにすることができ、球面収差の変倍の際の変動を良好に抑制できる。なお、下記条件式(9−1)を満足する構成とすれば、より良好な特性とすることができ、下記条件式(9−2)を満足する構成とすれば、さらにより良好な特性とすることができる。
5<β3rt/β3rw<150 (9)
21<β3rt/β3rw<105 (9−1)
37<β3rt/β3rw<60 (9−2)
【0062】
広角端から望遠端への変倍の際に、第3レンズ群G3が常に物体側から像側へ移動することが好ましい。このようにした場合は、望遠側でも第3レンズ群G3による変倍効果を確保でき、望遠側での倍率低下を抑制することができる。
【0063】
また、後群Grの物体側に隣接して配置されたレンズ群は負の屈折力を有することが好ましい。このようにした場合は、後群Grの物体側に隣接して配置されたレンズ群が変倍の際の像位置の変動を補正する際に、望遠側で像側に移動することができるので、第3レンズ群G3のズームストロークを確保することが容易となり、小型化及び高倍率化に有利となる。
【0064】
なお、後群Grは、光軸Zと交差する方向に移動することによって像ぶれ補正を行う防振群を含むことが好ましい。後群Grは変倍の際に像面Simに対して固定されているため、変倍の際でも後群Grにおける主光線の光路は不変である。後群Grが防振群を含むことによって、ズーム全域で像ぶれ補正時の性能を良好に確保できる。
図1に示す例では、後群Grは開口絞りStと10枚のレンズとからなり、後群Grの物体側から4番目のレンズと5番目のレンズとが防振群を構成している。
図1では防振群に対応するレンズの下に括弧と上下方向の両矢印を示している。
【0065】
ズームレンズは、変倍の際に隣り合うレンズ群の光軸方向の間隔が変化する5つ又は6つのレンズ群からなるように構成することができる。このようにした場合は、小型化を図りながら高解像かつ高倍率のレンズ系を実現することが容易となる。
【0066】
上述した好ましい構成及び可能な構成は、任意の組合せが可能であり、要求される仕様に応じて適宜選択的に採用されることが好ましい。本開示の技術によれば、高解像かつ高倍率でありながら、小型化及び軽量化が図られ、良好な性能を有するズームレンズを実現することが可能である。なお、ここでいう「高倍率」とは20倍以上を意味する。
【0067】
次に、本発明のズームレンズの数値実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1のズームレンズの構成を示す断面図は
図1に示しており、その図示方法と構成は上述したとおりであるので、ここでは重複説明を一部省略する。実施例1のズームレンズは、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5と、正の屈折力を有する第6レンズ群G6とからなる。第6レンズ群G6が後群Grに対応する。変倍の際に、第1レンズ群G1と第6レンズ群G6とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とは、隣り合うレンズ群の間隔を変化させて光軸方向に移動する。防振群は第6レンズ群G6の物体側から4番目のレンズと5番目のレンズとからなる。
【0068】
実施例1のズームレンズの基本レンズデータを表1A及び表1Bに、諸元と可変面間隔を表2に、非球面係数を表3に示す。なお、表1A及び表1Bは1つの表の長大化を避けるため基本レンズデータを2つの表に分けて表示したものである。表1A及び表1Bにおいて、Snの欄には最も物体側の面を第1面とし像側に向かうに従い1つずつ番号を増加させた場合の面番号を示し、Rの欄には各面の曲率半径を示し、Dの欄には各面とその像側に隣接する面との光軸上の面間隔を示す。また、Ndの欄には各構成要素のd線に対する屈折率を示し、νdの欄には各構成要素のd線基準のアッベ数を示し、θgFの欄には各構成要素のg線とF線間の部分分散比を示す。
【0069】
表1A及び表1Bでは、物体側に凸面を向けた形状の面の曲率半径の符号を正、像側に凸面を向けた形状の面の曲率半径の符号を負としている。表1Bには開口絞りSt及び光学部材PPも示しており、開口絞りStに相当する面の面番号の欄には面番号と(St)という語句を記載している。表1BのDの最下欄の値は表中の最も像側の面と像面Simとの間隔である。表1A及び表1Bでは、可変面間隔についてはDD[ ]という記号を用い、[ ]の中にこの間隔の物体側の面番号を付してDの欄に記入している。
【0070】
表2に、ズームの倍率Zr、焦点距離f、FナンバーFNo.、最大全画角2ω、及び可変面間隔の値をd線基準で示す。2ωの欄の(°)は単位が度であることを意味する。表2では、広角端状態、第2レンズ群G2が最も像側に位置するズーム位置の状態、及び望遠端状態の各値をそれぞれWIDE、MIDDLE、及びTELEと表記した欄に示している。
【0071】
表1Bでは、非球面の面番号には*印を付しており、非球面の曲率半径の欄には近軸の曲率半径の数値を記載している。表3において、Snの欄には非球面の面番号を示し、KA及びAm(mは3以上の整数)の欄には各非球面についての非球面係数の数値を示す。表3の非球面係数の数値の「E±n」(n:整数)は「×10
±n」を意味する。KA及びAmは下式で表される非球面式における非球面係数である。
Zd=C×h
2/{1+(1−KA×C
2×h
2)
1/2}+ΣAm×h
m
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に
下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からレンズ面までの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
KA、Am:非球面係数
であり、非球面式のΣはmに関する総和を意味する。
【0072】
各表のデータにおいて、角度の単位としては度を用い、長さの単位としてはmm(ミリメートル)を用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。また、以下に示す各表では所定の桁でまるめた数値を記載している。
【0077】
図12に、実施例1のズームレンズの無限遠物体に合焦した状態の各収差図を示す。
図12では左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差、及び倍率色収差を示す。
図12ではWIDEと付した上段に広角端状態のものを示し、MIDDLEと付した中段に第2レンズ群G2が最も像側に位置するズーム位置の状態のものを示し、TELEと付した下段に望遠端状態のものを示す。球面収差図では、d線、C線、F線、及びg線における収差をそれぞれ実線、長破線、短破線、及び二点鎖線で示す。非点収差図では、サジタル方向のd線における収差を実線で示し、タンジェンシャル方向のd線における収差を短破線で示す。歪曲収差図ではd線における収差を実線で示す。倍率色収差図では、C線、F線、及びg線における収差をそれぞれ長破線、短破線、及び二点鎖線で示す。球面収差図のFNo.はFナンバーを意味し、その他の収差図のωは半画角を意味する。
【0078】
上記の実施例1に関する各データの記号、意味、記載方法、及び図示方法は、特に断りが無い限り以下の実施例においても同様であるので、以下では重複説明を省略する。
【0079】
[実施例2]
実施例2のズームレンズの構成を示す断面図を
図3に示す。実施例2のズームレンズは、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とからなる。第5レンズ群G5が後群Grに対応する。変倍の際に、第1レンズ群G1と第5レンズ群G5とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4とは、隣り合うレンズ群の間隔を変化させて光軸方向に移動する。防振群は第5レンズ群G5の物体側から6番目のレンズからなる。
【0080】
実施例2のズームレンズの基本レンズデータを表4A及び表4Bに、諸元と可変面間隔を表5に、無限遠物体に合焦した状態の各収差図を
図13に示す。
【0084】
[実施例3]
実施例3のズームレンズの構成を示す断面図を
図4に示す。実施例3のズームレンズは、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5と、正の屈折力を有する第6レンズ群G6とからなる。第6レンズ群G6が後群Grに対応する。変倍の際に、第1レンズ群G1と第6レンズ群G6とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とは、隣り合うレンズ群の間隔を変化させて光軸方向に移動する。防振群は第6レンズ群G6の物体側から6番目のレンズと7番目のレンズとからなる。
【0085】
実施例3のズームレンズの基本レンズデータを表6A及び表6Bに、諸元と可変面間隔を表7に、無限遠物体に合焦した状態の各収差図を
図14に示す。
【0089】
[実施例4]
実施例4のズームレンズの構成を示す断面図を
図5に示す。実施例4のズームレンズは、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5と、正の屈折力を有する第6レンズ群G6とからなる。第6レンズ群G6が後群Grに対応する。変倍の際に、第1レンズ群G1と第6レンズ群G6とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とは、隣り合うレンズ群の間隔を変化させて光軸方向に移動する。防振群は第6レンズ群G6の物体側から5番目のレンズと6番目のレンズとからなる。
【0090】
実施例4のズームレンズの基本レンズデータを表8A及び表8Bに、諸元と可変面間隔を表9に、非球面係数を表10に、無限遠物体に合焦した状態の各収差図を
図15に示す。
【0095】
[実施例5]
実施例5のズームレンズの構成を示す断面図を
図6に示す。実施例5のズームレンズは、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5と、正の屈折力を有する第6レンズ群G6とからなる。第6レンズ群G6が後群Grに対応する。変倍の際に、第1レンズ群G1と第6レンズ群G6とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とは、隣り合うレンズ群の間隔を変化させて光軸方向に移動する。防振群は第6レンズ群G6の物体側から6番目のレンズと7番目のレンズとからなる。
【0096】
実施例5のズームレンズの基本レンズデータを表11A及び表11Bに、諸元と可変面間隔を表12に、無限遠物体に合焦した状態の各収差図を
図16に示す。
【0100】
[実施例6]
実施例6のズームレンズの構成を示す断面図を
図7に示す。実施例6のズームレンズは、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5とからなる。第5レンズ群G5が後群Grに対応する。変倍の際に、第1レンズ群G1と第5レンズ群G5とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4とは、隣り合うレンズ群の間隔を変化させて光軸方向に移動する。防振群は第5レンズ群G5の物体側から6番目のレンズと7番目のレンズとからなる。
【0101】
実施例6のズームレンズの基本レンズデータを表13A及び表13Bに、諸元と可変面間隔を表14に、非球面係数を表15に、無限遠物体に合焦した状態の各収差図を
図17に示す。
【0106】
[実施例7]
実施例7のズームレンズの構成を示す断面図を
図8に示す。実施例7のズームレンズは、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5と、正の屈折力を有する第6レンズ群G6とからなる。第6レンズ群G6が後群Grに対応する。変倍の際に、第1レンズ群G1と第6レンズ群G6とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とは、隣り合うレンズ群の間隔を変化させて光軸方向に移動する。防振群は第6レンズ群G6の物体側から6番目のレンズと7番目のレンズとからなる。
【0107】
実施例7のズームレンズの基本レンズデータを表16A及び表16Bに、諸元と可変面間隔を表17に、無限遠物体に合焦した状態の各収差図を
図18に示す。
【0111】
[実施例8]
実施例8のズームレンズの構成を示す断面図を
図9に示す。実施例8のズームレンズは、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5と、正の屈折力を有する第6レンズ群G6とからなる。第6レンズ群G6が後群Grに対応する。変倍の際に、第1レンズ群G1と第6レンズ群G6とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とは、隣り合うレンズ群の間隔を変化させて光軸方向に移動する。防振群は第6レンズ群G6の物体側から7番目のレンズと8番目のレンズとからなる。
【0112】
実施例8のズームレンズの基本レンズデータを表18A及び表18Bに、諸元と可変面間隔を表19に、無限遠物体に合焦した状態の各収差図を
図19に示す。
【0116】
[実施例9]
実施例9のズームレンズの構成を示す断面図を
図10に示す。実施例9のズームレンズは、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5と、正の屈折力を有する第6レンズ群G6とからなる。第6レンズ群G6が後群Grに対応する。変倍の際に、第1レンズ群G1と第6レンズ群G6とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とは、隣り合うレンズ群の間隔を変化させて光軸方向に移動する。防振群は第6レンズ群G6の物体側から7番目のレンズと8番目のレンズとからなる。
【0117】
実施例9のズームレンズの基本レンズデータを表20A及び表20Bに、諸元と可変面間隔を表21に、無限遠物体に合焦した状態の各収差図を
図20に示す。
【0121】
[実施例10]
実施例10のズームレンズの構成を示す断面図を
図11に示す。実施例10のズームレンズは、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5と、正の屈折力を有する第6レンズ群G6とからなる。第6レンズ群G6が後群Grに対応する。変倍の際に、第1レンズ群G1と第6レンズ群G6とは像面Simに対して固定されており、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とは、隣り合うレンズ群の間隔を変化させて光軸方向に移動する。防振群は第6レンズ群G6の物体側から6番目のレンズと7番目のレンズとからなる。
【0122】
実施例10のズームレンズの基本レンズデータを表22A及び表22Bに、諸元と可変面間隔を表23に、無限遠物体に合焦した状態の各収差図を
図21に示す。
【0126】
表24に実施例1〜10のズームレンズの条件式(1)、(2A)、(2B)、(3)〜(9)の対応値を示す。実施例1〜10はd線を基準波長としている。表24にはd線基準での値を示す。
【0128】
以上のデータからわかるように、実施例1〜10のズームレンズは、小型化及び軽量化が図られ、40倍以上の高倍率を有し、諸収差が良好に補正された高解像の光学系を実現している。
【0129】
次に、本発明の実施形態に係る撮像装置について説明する。
図22に、本発明の実施形態の撮像装置の一例として、本発明の実施形態に係るズームレンズ1を用いた撮像装置100の概略構成図を示す。撮像装置100としては、例えば、放送用カメラ、映画撮影用カメラ、ビデオカメラ、及び監視用カメラ等を挙げることができる。
【0130】
撮像装置100は、ズームレンズ1と、ズームレンズ1の像側に配置されたフィルタ2と、フィルタ2の像側に配置された撮像素子3とを備えている。なお、
図22では、ズームレンズ1が備える複数のレンズを概略的に図示している。
【0131】
撮像素子3はズームレンズ1により形成される光学像を電気信号に変換するものであり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いることができる。撮像素子3は、その撮像面がズームレンズ1の像面に一致するように配置される。
【0132】
撮像装置100はまた、撮像素子3からの出力信号を演算処理する信号処理部5と、信号処理部5により形成された像を表示する表示部6と、ズームレンズ1の変倍を制御する変倍制御部7とを備える。なお、
図22では1つの撮像素子3のみ図示しているが、3つの撮像素子を有するいわゆる3板方式の撮像装置としてもよい。
【0133】
以上、実施形態及び実施例を挙げて本開示の技術を説明したが、本開示の技術は上記実施形態及び実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、及び非球面係数等は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。