特許第6943480号(P6943480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6943480
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年9月29日
(54)【発明の名称】触覚センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/14 20060101AFI20210916BHJP
   G01L 1/00 20060101ALI20210916BHJP
   G01L 5/164 20200101ALI20210916BHJP
【FI】
   G01L1/14 B
   G01L1/00 F
   G01L5/164
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-540978(P2019-540978)
(86)(22)【出願日】2018年9月5日
(86)【国際出願番号】JP2018032870
(87)【国際公開番号】WO2019049888
(87)【国際公開日】20190314
【審査請求日】2021年7月21日
(31)【優先権主張番号】特願2017-170627(P2017-170627)
(32)【優先日】2017年9月5日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業「触れ合いデータを収集する子供アンドロイド高機能化」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】石原 尚
(72)【発明者】
【氏名】川節 拓実
(72)【発明者】
【氏名】堀井 隆斗
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/130610(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/029575(WO,A1)
【文献】 特許第2913025(JP,B2)
【文献】 特許第4480645(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
本件特許出願に対応する国際特許出願PCT/JP2018/032870の国際調査報告及び国際予備審査報告の調査結果が利用された。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に形成された第1柔軟層と、
前記第1柔軟層の透磁率よりも高い透磁率を有して磁化されていない粒子が分散され、前記第1柔軟層により支持されるように形成された第2柔軟層と、
前記基材に形成されて、前記第2柔軟層に作用する外力による前記粒子の変位に基づいてインダクタンスが変化する一つ以上のコイルと、
前記コイルのインダクタンスの変化を計測する計測回路とを備え、
前記コイルが複数個配置され、
前記基材に垂直な方向から見て前記第2柔軟層の一部が各コイルの一部と重なるように、前記第2柔軟層が前記第1柔軟層に埋め込まれたことを特徴とする触覚センサ。
【請求項2】
前記粒子が、Fe系粉末、Ni系粉末、及びCo系粉末のうちの少なくとも一つを含む請求項1に記載の触覚センサ。
【請求項3】
前記粒子が、鉄粉を含む請求項2に記載の触覚センサ。
【請求項4】
前記コイルが、平面コイルとソレノイドコイルとの少なくとも一方を含む請求項1に記載の触覚センサ。
【請求項5】
前記基材が、フレキシブル基板である請求項1に記載の触覚センサ。
【請求項6】
前記第2柔軟層が、エラストマ又は弾性発泡体を含む請求項1に記載の触覚センサ。
【請求項7】
前記コイルが、2行2列に配置された4個のコイルであるか、又は、三角形の頂点位置に配置された3個のコイルであり、
前記第2柔軟層が円盤状に形成される請求項1に記載の触覚センサ。
【請求項8】
前記粒子の変位が、前記基材に垂直な方向に沿った粒子の変位と、前記基材の表面の方向に沿った粒子の変位とを含む請求項1に記載の触覚センサ。
【請求項9】
前記第1柔軟層の厚み及び剛性が、前記触覚センサの感度及び測定幅を調整するように設定される請求項1に記載の触覚センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉厚柔軟素材の変形を検知するインダクタンス計測式触覚センサに関する。
【背景技術】
【0002】
肉厚柔軟素材に変形検知機能を与える場合、変形検知機能の耐久性と感度との両立が課題となる。例えば、肉厚柔軟素材の中に配線、センサ素子を埋め込むと、肉厚柔軟素材の大変形時に配線、センサ素子が容易に破壊されてしまう。しかしながら、配線、センサ素子の容易な破壊を回避するために配線、センサ素子を肉厚柔軟素材の底面に配置すると、肉厚柔軟素材の表面部における微小な変形に対するセンサ素子の感度が損なわれる。
【0003】
この問題に対して、肉厚柔軟素材の中に磁石を配置し、肉厚柔軟素材の変形に伴う磁石の移動を、肉厚柔軟素材の底面に配置した磁気検知センサ素子によって遠隔で検出する仕組みとすることで、耐久性と感度との両立を図る触覚センサが知られている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、特許文献1のように磁石をそのまま肉厚柔軟素材の中に配置した場合には肉厚柔軟素材に対する触感が損なわれる。この問題を回避するため、微細粒子とした磁石を肉厚柔軟素材の表面に分散させる触覚センサが知られている(特許文献2)。
【0005】
また、鉄粉粒子が分散された磁性エラストマ(肉厚柔軟素材)をフレームに固定し、上記フレームを挟んで磁性エラストマの反対側にコイルを配置した触覚センサが知られている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-153826号公報(2011年08月11日公開)
【特許文献2】特開2015-202821号公報(2015年11月16日公開)
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「磁性エラストマを利用した磁気式触覚センサ」堀井他、日本機械学会ロボティックス・メカトロニクス講演会講演論文集 公知日 2014年5月21日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の上述のような触覚センサは、肉厚柔軟素材の中に磁石が存在するため、以下の問題がある。
【0009】
まず、磁石となる素材の磁化方向を触覚センサの表面形状に沿って揃える製造工程が触覚センサの高感度化には必須であるため、曲面形状等の複雑な形状をした触覚センサの製造が困難である。
【0010】
また、触覚センサの外に漏れる磁束の量が多いため、磁気に弱い対象に触覚センサを接触させることが困難である。また、触覚センサ表面付近にあって表面には触れていない金属が存在すると、漏れる磁束の量に応じて磁場が変化してしまうため、触覚センサの応答が変化してしまう。
【0011】
そして、磁気の変化を計測するセンサを用いているため、地磁気中でセンサ自体の傾きが変化する状況や、磁場を発する磁石や電気モータが近くに存在する状況での使用に難がある。
【0012】
また、非特許文献1に記載の触覚センサは、磁性エラストマに分散された粒子が外力により圧縮され、粒子同士が近づいて密度が高まることによるインダクタンスの変化を検出するので、外力に対するインダクタンスの変化が微小であり、触覚センサの感度が極めて低いという問題がある。
【0013】
本発明の一態様は、複雑な形状を容易に実現することができ、磁気に弱い対象に対しても接触させることができ、かつ外部磁場の存在する環境中でも使用可能な感度の高い触覚センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る触覚センサは、基材上に形成された第1柔軟層と、前記第1柔軟層の透磁率よりも高い透磁率を有して磁化されていない粒子が分散され、前記第1柔軟層により支持されるように形成された第2柔軟層と、前記基材に形成されて、前記第2柔軟層に作用する外力による前記粒子の変位に基づいてインダクタンスが変化する一つ以上のコイルと、前記コイルのインダクタンスの変化を計測する計測回路とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、複雑な形状を容易に実現することができ、磁気に弱い対象に対しても接触させることができ、かつ外部磁場の存在する環境中でも使用可能な感度の高い触覚センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は実施形態1に係る触覚センサの断面図であり、(b)はその下面図であり、(c)は上記触覚センサに設けられたコイルのインダクタンスを説明するための図である。
図2】(a)は上記触覚センサの動作原理を示す断面図であり、(b)は上記触覚センサの外観を示す斜視図であり、(c)は上記触覚センサに設けられた基板、コイル、非磁性柔軟層、及び磁性柔軟層を示す斜視図である。
図3】(a)は上記触覚センサの試作品の外観を示す斜視図であり、(b)は上記触覚センサに設けられた基板を示す平面図であり、(c)は上記基板に設けられたコイルの平面図であり、(d)は上記基板に設けられたコイルを示す斜視図である。
図4】上記触覚センサの実験装置を示す斜視図である。
図5】上記触覚センサに押し込まれた圧子の押込み深さと経過時間との間の関係を示すグラフである。
図6】上記触覚センサへの押下力と上記コイルのインダクタンスとの間の関係を示すグラフである。
図7】実施形態2に係る触覚センサの断面図である。
図8】(a)は上記触覚センサの外観を示す斜視図であり、(b)は上記触覚センサに設けられた基板、コイル、非磁性柔軟層、及び磁性柔軟層を示す斜視図である。
図9】上記触覚センサに設けられたコイルと磁性柔軟層との間の関係を模式的に示す平面図である。
図10】(a)は上記磁性柔軟層のZ軸方向の変位と上記コイルのインダクタンスの変化との間の関係を示すグラフであり、(b)は上記磁性柔軟層に加わった垂直力と上記コイルのインダクタンスの変化との間の関係を示すグラフである。
図11】上記触覚センサに設けられたコイルと+X方向に移動する磁性柔軟層との間の関係を模式的に示す平面図である。
図12】(a)は上記磁性柔軟層のX軸方向の変位と上記コイルのインダクタンスの変化との間の関係を示すグラフであり、(b)は上記磁性柔軟層に加わったX軸方向の剪断力と上記コイルのインダクタンスの変化との間の関係を示すグラフである。
図13】上記触覚センサに設けられたコイルと+Y方向に移動する磁性柔軟層との間の関係を模式的に示す平面図である。
図14】(a)は上記磁性柔軟層のY軸方向の変位と上記コイルのインダクタンスの変化との間の関係を示すグラフであり、(b)は上記磁性柔軟層に加わったY軸方向の剪断力と上記コイルのインダクタンスの変化との間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0018】
〔実施形態1〕
図1(a)は実施形態1に係る触覚センサ1の断面図であり、(b)はその下面図であり、(c)は触覚センサ1に設けられたコイル5のインダクタンスを説明するための図である。
【0019】
触覚センサ1は、基板2(基材)上に形成された非磁性柔軟層3(第1柔軟層)を備える。非磁性柔軟層3により支持されるように磁性柔軟層4(第2柔軟層)が形成される。磁性柔軟層4には、非磁性柔軟層3の透磁率よりも高い透磁率を有して磁化されていない粒子が分散される。ただし、基板2と非磁性柔軟層3の間には、磁性柔軟層4よりも透磁率の低い非柔軟素材を挟み込み、この非柔軟素材を基板2の保護面としてもよい。
【0020】
磁性柔軟層4に作用する外力による粒子の変位に基づいてインダクタンスが変化するコイル5が基板2に形成される。
【0021】
触覚センサ1には、コイル5のインダクタンスの変化を計測するインダクタンス計測回路6(計測回路)が設けられる。
【0022】
磁性柔軟層4に分散される粒子は、Fe系粉末、Ni系粉末、及びCo系粉末のうちの少なくとも一つを含む。ここでは上記粒子が、高い透磁率を有し、比較的容易に入手可能な鉄粉である例を説明する。粒子の形状は、特に限定的ではなく、球状、扁平状、針状、柱状、線状、および不定形のいずれであっても良い。
【0023】
基板2に形成されるコイル5は、渦巻きコイル又は螺旋コイルである。図1(a)(b)は渦巻きコイルの例を示している。
【0024】
基板2は、フレキシブル基板であることが好ましいが、剛性を有する基板であってもよい。また、基板2は、伸縮性を有する基板であってもよく、ゴム状の基板であってもよい。そして、基板2は、導電性の低い素材であれば、硬さや厚さ、表面性状、形状、形態は問わない。例えば、基板2は、木、繊維、樹脂、ガラス、ゴム、セラミックなどにより構成されてもよい。
【0025】
磁性柔軟層4は、非磁性柔軟層3の透磁率よりも高い透磁率を有して磁化されていない粒子を含み、また、容易に変形可能な弾性体の素材であればよい。例えばエラストマ、弾性発泡体等の柔軟素材により磁性柔軟層4を構成することができる。
【0026】
非磁性柔軟層3は、磁性柔軟層4を安定に支えることができ、且つ、容易に変形可能な素材であればよく、例えばエラストマ、弾性発泡体を用いることができ、これらのいずれでもよい。もし、非磁性柔軟層3が磁性柔軟層4により密閉されるように構成される場合は、非磁性柔軟層3は気体、液体、例えば、空気、水であってもよい。
【0027】
コイル5は,磁性柔軟層4の弾性変形に基づく接近によりそのインダクタンスが変化するコイルであれば良い。このコイル5には,例えばチップインダクタ、パワーインダクタなど一般の回路部品用コイルを用いることができ、これらのいずれでも良い。さらに、コイル5は、必ずしも基板2から磁性柔軟層4に向かって螺旋状に巻かれた螺旋コイルである必要はなく、基板2の表面上で渦巻くように配線を実装した平面コイル(渦巻きコイル)でもよい。このため、例えばフレキシブル基板などのように薄い柔軟シート上にも平面コイルのコイル5を実装することができる。コイル5の形状は、特に限定的ではなく、円形、四角形、三角形、および不定形のいずれであっても良く、コイル5として動作するインダクタンスを持つ閉回路がコイル5により形成されていれば良い。また、コイル5の直径、厚み、巻き数も特に限定的では無い。
【0028】
触覚センサ1は、磁性柔軟層4に加わった外力の大きさ、又は、外力による磁性柔軟層4の変位自体を、コイル5に接続されたインダクタンス計測回路6により計測可能な電気信号に変換する。
【0029】
ここでインダクタンスとは、下記(式1)に示すように、あるコイルに電流Iを流した際に発生する磁束φを決定するコイル固有の値を意味する。
【0030】
(磁束φ)=(インダクタンスL)×(電流I) …(式1)、
従って、インダクタンスLの大きなコイルは、より大きな磁束φを発生させる。
【0031】
図1(c)に示すように、コイル5がソレノイドコイル(螺旋コイル)であり、巻き数N、長さl、断面積Sのコイル5に透磁率μのコアが使用されている場合、コイル5のインダクタンスLは、下記(式2)により決定される。
L=μNS/l …(式2)、
従って、インダクタンスLは、コイル5のコアの透磁率μに応じて変化する。
【0032】
図2(a)は触覚センサ1の動作原理を示す断面図であり、(b)は触覚センサ1の外観を示す図であり、(c)は触覚センサ1に設けられた基板2、コイル5、非磁性柔軟層3、及び磁性柔軟層4を示す斜視図である。
【0033】
渦巻き状に形成されたコイル5に向かって磁性柔軟層4を押し下げる外力が加わると、図2(a)に示すように、磁性柔軟層4がコイル5に近づくように弾性変形する。このため、磁性柔軟層4とコイル5との間の位置関係が変化する。コイル5のインダクタンス値は、コイル5の周辺の物質の透磁率の空間分布によって変化する。従って、コイル5のインダクタンス値をインダクタンス計測回路6により計測すると、磁性柔軟層4に外力が加わったことを検出することができる。
【0034】
また、磁性柔軟層4に加わる外力又は外力により生じる磁性柔軟層4の変位とコイル5のインダクタンス値との間の関係を把握しておけば、磁性柔軟層4に加えられた外力の大きさ又は磁性柔軟層4の変位を、インダクタンス計測回路6により計測されたコイル5のインダクタンス値により推定することができる。
【0035】
図3(a)は触覚センサ1の試作品の外観を示す斜視図であり、(b)は触覚センサ1に設けられた基板2を示す平面図であり、(c)は基板2に設けられたコイル5の平面図であり、(d)は基板2に設けられたコイル5を示す斜視図である。
【0036】
触覚センサ1の試作品の例示的な寸法は以下のとおりである。触覚センサ1の試作品は、例えば横寸法X1=150mm、縦寸法Y1=150mmの略直方体形状を有する。触覚センサ1の裏面に例えば横寸法X2=60mm、縦寸法Y2=60mmの基板2が設けられる。基板2に渦巻き状のコイル5が形成される。コイル5は、図3(d)に示すように、例えば厚みT=1.6mmの基板2の表面及び裏面に2層に形成される。コイル5は、図3(c)に示すように、例えば直径D=20mm、巻き数N=34、線幅W=0.1mm、線間幅P=0.1mmで構成される。
【0037】
基板2の上に形成される非磁性柔軟層3は、エラストマにより構成され、例えば縦150mm、横150mm、厚さ10mmの寸法を有し、材料はEcoflex30が使用される。
【0038】
非磁性柔軟層3の上に形成される磁性柔軟層4は、エラストマにより構成され、例えば縦150mm、横150mm、厚さ2mmの寸法を有し、材料はEcoflex30が使用される。磁性柔軟層4は鉄粉含有比が例えば体積比20%である。含有鉄粉は粒子径が例えば300μmである。但し、これらの寸法に限定されるものではない。
【0039】
図4は触覚センサ1の実験装置を示す斜視図である。触覚センサ1に押込み方向の外力を加えたときのコイル5のインダクタンスを測定する実験装置を構築した。
【0040】
この実験装置は、触覚センサ1を搭載する3軸ステージ11と、3軸ステージ11に搭載された触覚センサ1に押込み方向の外力を加えるためのプラスチック製円柱形状で例えば直径10mmの圧子7と、圧子7により触覚センサ1に加えられた外力を測定する3軸フォーストルクセンサ8と、3軸フォーストルクセンサ8により測定された外力を表す信号をAD変換してコンピュータ10に供給するAD変換器9と、触覚センサ1に設けられたコイル5のインダクタンスを測定するインダクタンス計測回路6とを備える。
【0041】
図5は触覚センサ1に押し込まれた圧子7の押込み深さと経過時間との間の関係を示すグラフである。
【0042】
直径10mmの圧子7によりコイル5の中心に対応する磁性柔軟層4の表面を押下した。図5に示すように、押下開始後6秒間は押込み深さを0mmから6mmまで直線的に増加させた。そして、6秒から16秒まで押込み深さ6mmを保持した。次に、16秒から22秒まで、押込み深さを6mmから0mmまで直線的に減少させた。
【0043】
図6は触覚センサ1への押下力とコイル5のインダクタンスとの間の関係を示すグラフである。図6に示される曲線C1は、図5に示す実験を10回試行したときに計測されたコイル5のインダクタンスの平均値を表す。領域R1は、上記コイル5のインダクタンスの標準偏差2σ区間の領域を表す。
【0044】
押下力に対するインダクタンスを示す曲線C1は、図6に示すように、ヒステリシスがあるものの、単調増加することが確認された。そして、そのインダクタンスの応答レベルに対するノイズが非常に小さく、信号ノイズ比(SN比)が53dB程度(信号とノイズとの比が約1000)であることが確認された。また、コイル5のインダクタンスの標準偏差2σ区間の領域R1がセンサ応答に比べて非常に狭いことが確認された。
【0045】
以上のように実施形態1によれば、非磁性柔軟層3により支持されるように形成された磁性柔軟層4に、非磁性柔軟層3の透磁率よりも高い透磁率を有して磁化されていない粒子が分散される。このため、強磁場の中に磁性柔軟層4を配置して磁石となる素材を磁化させる製造工程が不要になる。この結果、曲面形状等の複雑な形状をした触覚センサの製造が容易になる。
【0046】
また、触覚センサ1の外に漏れる磁束の量が少ないため、磁気に弱い対象に触覚センサ1を接触させることができるようになる。また、触覚センサの表面付近にあって触れていない金属によって触覚センサの応答が変化してしまうという問題も軽減される。
【0047】
そして、磁気を計測する方式ではないため、地磁気中で触覚センサ自体が傾いたり、磁気を発生させる磁石や電気モータなどが近くに存在する状況で触覚センサの応答が変化してしまうという問題も解決される。
【0048】
実施形態1に係る触覚センサ1は、磁性柔軟層4に粒子を分散させる構成であるため、表面の磁性柔軟層4に電流が流れず、従って、安全性が高い。
【0049】
実施形態1によれば、外力により歪が生じる磁性柔軟層4及び非磁性柔軟層3には、配線、電気素子等の固形物が存在しない。このため、外力により大変形が生じても配線、電気素子等の破壊が生じない。そして、外力が加わる触覚センサ1の底部の基板2に配置されるのは、コイル5と、コイル5をインダクタンス計測回路6に接続する配線のみである。さらに、コイル5と外力が加わる磁性柔軟層4との間に非磁性柔軟層3が配置される。従って、触覚センサ1の外力に対する耐久性が高い。
【0050】
さらに、触覚センサ1の表面に形成される磁性柔軟層4は、柔軟であるため、接触対象の形状に馴染む性質を有する。
【0051】
また、触覚センサ1の表面付近に固形物が存在しないため、触覚センサ1が接触対象を傷つける恐れが少ない。
【0052】
そして、磁性柔軟層4、非磁性柔軟層3を含む柔軟部分が傷んだ場合であっても、コイル5を含む基板2の回路部分に何ら変更を加えることなく、柔軟部分を新しいものと交換可能である。柔軟部分の交換に際して位置決めも不要である。
【0053】
触覚センサ1は、小さな外力で変形する柔軟層(磁性柔軟層4、非磁性柔軟層3)の変形を検知する方式であり、最表面の変形を検知する方式であるため、高い検知感度を実現することができる。
【0054】
コイル5は、平面コイル(渦巻きコイル)である場合、導電性インクの基板への印刷により形成することが可能であるため、触覚センサ1は大量生産が容易になる。
【0055】
非磁性柔軟層3の厚みを減らすことにより、又は、非磁性柔軟層3の剛性を下げることにより触覚センサ1の感度を高めることができる。このように、非磁性柔軟層3の材料特性を調整することにより、触覚センサ1の感度を調整することができる。これにより、磁性柔軟層4の粒子の含有量を増やしたり、より高いインダクタンスのコイル5を採用したり、より強い電流をコイル5に流したりすることなく、非磁性柔軟層3の材料特性を調整するだけで、触覚センサ1の感度を調整することができる。
【0056】
非磁性柔軟層3の厚みを増やすことにより、又は、非磁性柔軟層3の剛性を上げることにより触覚センサ1の測定幅を広げることができる。このように、非磁性柔軟層3の材料特性を調整することにより、触覚センサ1の測定幅を調整することができる。
【0057】
さらに、非磁性柔軟層3は、必ずしも単一の材料(層)で構成されている必要はなく、例えば剛性の異なる複数の層が表面に垂直の方向に折り重なった構成となっていてもよい。このような構成とすることで、感度と測定幅の調整がより容易になる。
【0058】
非特許文献1に記載の触覚センサは、磁性エラストマが外力で圧縮されることによるインダクタンスの変化を検出するが、実施形態1に係る触覚センサ1は、磁性エラストマ(磁性柔軟層4)が外力で変位することによるインダクタンスの変化を検出する点で相違する。非特許文献1では、磁性エラストマに分散された粒子が外力により圧縮され、粒子同士が近づいて密度が高まることによるインダクタンスの変化を検出するが、実施形態1に係る触覚センサ1は、磁性エラストマ(磁性柔軟層4)が変位し、磁性エラストマに分散された粒子が全体として一方向に変位してコイル5に近づいたり離れたりすることによるインダクタンスの変化を検出する点で異なる。非特許文献1の磁性エラストマはフレームに固定されており、コイルはフレームを挟んで磁性エラストマの反対側に配置されるので、外力が作用しても磁性エラストマは圧縮されるだけであって変位するわけではない。これに対して、実施形態1に係る触覚センサ1の磁性エラストマ(磁性柔軟層4)に分散された粒子は、外力の作用により変位し、これによりコイル5のインダクタンスが変化する点で、非特許文献1の磁性エラストマと相違する。この結果、実施形態1に係る触覚センサ1は、コイル5のインダクタンスの変化が大きくなり、非特許文献1の触覚センサよりも感度を高くすることができる。
【0059】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0060】
図7は実施形態2に係る触覚センサ1Aの断面図である。図8(a)は触覚センサ1Aの外観を示す斜視図であり、(b)は触覚センサ1Aに設けられた基板2、コイル5A・5B・5C・5D、非磁性柔軟層3、及び磁性柔軟層4Aを示す斜視図である。図9は触覚センサ1Aに設けられたコイル5A・5B・5C・5Dと磁性柔軟層4Aとの間の関係を模式的に示す平面図である。
【0061】
磁性柔軟層(磁性エラストマ、MRE)4Aを空間的に局所配置し、複数個のコイル5A・5B・5C・5Dのインダクタンスの変化を計測すると、3次元方向の外力を推定可能な触覚センサ1Aを構築することができる。
【0062】
2行2列に配置された4個のコイル5A・5B・5C・5Dが基板2に形成される。基板2に垂直な方向から見て、円盤状に形成された磁性柔軟層4Aの一部が各コイル5A・5B・5C・5Dの一部と重なるように、磁性柔軟層4Aが非磁性柔軟層3に埋め込まれる。なお、基板2に垂直な方向から見て磁性柔軟層4Aの一部が各コイルの一部と重なるように複数のコイルを基板2に形成すればよく、例えば、三角形の頂点位置に配置された3個のコイルを基板2に形成してもよい。
【0063】
コイル5A・5B・5C・5Dの各インダクタンスは、円盤状の磁性柔軟層4Aと各コイル5A・5B・5C・5Dとの間の距離に応じて増減し、且つ、基板2に垂直な方向から見た磁性柔軟層4Aと各コイル5A・5B・5C・5Dとの重なり度合いに応じて増減する。従って、コイル5A・5B・5C・5Dの各インダクタンスをインダクタンス計測回路6で計測することにより、3次元方向の接触力が加わった磁性柔軟層4Aの3次元変位を推定することができる。
【0064】
各コイル5A・5B・5C・5D、磁性柔軟層4Aの例示的な寸法は以下のとおりである。各コイル5A・5B・5C・5Dは、例えば、直径D1=10mmで構成される。コイル5A・5D間、及び、コイル5B・5C間の距離d1=15mmであり、コイル5A・5B間、及び、コイル5C・5D間の距離d2=15mmである。磁性柔軟層4Aの直径は例えば16mmであり、厚みは例えば3mmである。
【0065】
図10(a)は磁性柔軟層4AのZ軸方向の変位とコイル5A・5B・5C・5Dのインダクタンスの変化との間の関係を示すグラフであり、(b)は磁性柔軟層4Aに加わった垂直力とコイル5A・5B・5C・5Dのインダクタンスの変化との間の関係を示すグラフである。
【0066】
非磁性柔軟層3に埋め込まれた磁性柔軟層4Aに、基板2に垂直なZ方向に沿った垂直力を加えると、磁性柔軟層4AがZ方向に移動する。+Z方向に磁性柔軟層4Aが移動すると、全てのコイル5A・5B・5C・5Dのインダクタンスが増加し、−Z方向に磁性柔軟層4Aが移動すると、全てのコイル5A・5B・5C・5Dのインダクタンスが減少すると予想される。
【0067】
図10(a)(b)に示すように、+Z方向に沿った垂直力が作用した磁性柔軟層4Aが+Z方向に変位すると、全てのコイル5A・5B・5C・5Dのインダクタンスが増加することが確認された。
【0068】
図11は触覚センサ1Aに設けられたコイル5A・5B・5C・5Dと+X方向に移動する磁性柔軟層4Aとの間の関係を模式的に示す平面図である。図12(a)は磁性柔軟層4AのX軸方向の変位とコイル5A・5B・5C・5Dのインダクタンスの変化との間の関係を示すグラフであり、(b)は磁性柔軟層4Aに加わったX軸方向の剪断力とコイル5A・5B・5C・5Dのインダクタンスの変化との間の関係を示すグラフである。
【0069】
非磁性柔軟層3に埋め込まれた磁性柔軟層4Aに、基板2に平行なX方向に沿った剪断力を加えると、磁性柔軟層4AがX方向に移動する。+X方向に磁性柔軟層4Aが移動すると、コイル5A・5Dのインダクタンスが増加し、コイル5B・5Cのインダクタンスが減少すると予想される。そして、−X方向に磁性柔軟層4Aが移動すると、コイル5A・5Dのインダクタンスが減少し、コイル5B・5Cのインダクタンスが増加すると予想される。
【0070】
図12(a)(b)に示すように、X方向に沿った剪断力、X方向に沿った磁性柔軟層4Aの変位に対して、コイル5A・5Dのインダクタンスの変化傾向が一致し、コイル5B・5Cのインダクタンスの変化傾向が一致することが確認された。
【0071】
図13は触覚センサ1Aに設けられたコイル5A・5B・5C・5Dと+Y方向に移動する磁性柔軟層4Aとの間の関係を模式的に示す平面図である。図14(a)は磁性柔軟層4AのY軸方向の変位とコイル5A・5B・5C・5Dのインダクタンスの変化との間の関係を示すグラフであり、(b)は磁性柔軟層4Aに加わったY軸方向の剪断力とコイル5A・5B・5C・5Dのインダクタンスの変化との間の関係を示すグラフである。
【0072】
非磁性柔軟層3に埋め込まれた磁性柔軟層4Aに、基板2に平行なY方向に沿った剪断力を加えると、磁性柔軟層4AがY方向に移動する。+Y方向に磁性柔軟層4Aが移動すると、コイル5A・5Bのインダクタンスが増加し、コイル5C・5Dのインダクタンスが減少すると予想される。そして、−Y方向に磁性柔軟層4Aが移動すると、コイル5A・5Bのインダクタンスが減少し、コイル5C・5Dのインダクタンスが増加すると予想される。
【0073】
図14(a)(b)に示すように、Y方向に沿った剪断力、Y方向に沿った磁性柔軟層4Aの変位に対して、コイル5A・5Bのインダクタンスの変化傾向が一致し、コイル5C・5Dのインダクタンスの変化傾向が一致することが確認された。
【0074】
以上のように実施形態2によれば、実施形態1の効果に加えて、以下の効果を奏する。即ち、基板2に垂直な方向から見て円盤状に形成された磁性柔軟層4Aの一部が各コイル5A・5B・5C・5Dの一部と重なるように、磁性柔軟層4Aが非磁性柔軟層3に埋め込まれることにより、複数個のコイル5A・5B・5C・5Dのインダクタンスの変化を計測して3次元方向の外力を推定することができる触覚センサ1Aを提供することができる。
【0075】
実施形態1及び2に係る触覚センサ1・1Aは、例えば以下の用途に適用することができる。
【0076】
まず、ロボット用皮膚センサとして、様々な部位における要求感度や想定外力に合わせて柔軟層(磁性柔軟層4・4A、非磁性柔軟層3)の硬度や厚みを調整して効果的に触覚センサ1・1Aを用いることができる。
【0077】
例えば、ロボットの指先であれば、高い感度が必要であるものの衝撃分散性は要求されないため、柔軟層(磁性柔軟層4・4A、非磁性柔軟層3)を薄くすればよい。大きな衝撃や負荷に耐える必要があるロボットの足裏であれば、柔軟層(磁性柔軟層4・4A、非磁性柔軟層3)の硬度と厚みを増せばよい。高い衝撃分散性が求められるロボットの臀部には、柔軟層(磁性柔軟層4・4A、非磁性柔軟層3)の硬度を下げ、厚みを増せば良い。
【0078】
また、コイル5の面方向の幅(線間幅P、線幅W)を変えることで、部位ごとに適した触覚センサ1・1Aの空間解像度を容易に実現し、不要なセンサチャンネル数を省くことができる。例えば、高い空間解像度が求められるロボットの指先では狭い幅のコイル5とし、ロボットの背中や臀部では広い幅のコイル5とすればよい。
【0079】
さらに、介護ロボットやペットロボットのような人が触れ合うロボットの表面に触覚センサ1・1Aを用いる場合には、安全かつ感度の良い触覚表面とすることができる。これと同時に、柔軟層(磁性柔軟層4・4A、非磁性柔軟層3)の硬度や厚みの分布を変えたり、柔軟層中に繊維や柔軟管を配置することによって、触覚センサ1・1Aのさわり心地を動物の皮膚に近づけるなどの工夫を凝らすことができる。
【0080】
安全性と衛生性とが求められる、人の体や臓器に触れる医療器具の先端に設けられる接触センサとしての活用にも触覚センサ1・1Aは適している。例えば、内視鏡や腹腔鏡手術の際に、手術対象部の組織の硬さを測ったり、手術中に過度な負荷を人体に与えていないかを把握するといったことが触覚センサ1・1Aにより可能になる。このような用途においては、使用した後に表面の柔軟層(磁性柔軟層4・4A、非磁性柔軟層3)を新品に交換するだけで衛生性が保たれる。触覚センサ1・1Aのコイル部分や柔軟層には人体を傷つける恐れのある突起物や大電流回路がないため、強く押し付けても安全である。
【0081】
乱暴に扱われ得る玩具に触覚センサ1・1Aを搭載すると、玩具の柔らかい感触と安全性とを損なわずに触覚機能を玩具に追加し、エンターテインメント性や教育効果などの玩具の付加価値を高めることができる。例えば、握ることでストレスを解消するような弾力感のあるボールに触覚センサ1・1Aを搭載し、握られた強さに応じて音や光の演出を行うことで、ストレス解消効果の増加が期待できる。また、子供が遊ぶ人形の柔らかい部分にこの触覚センサ1・1Aを搭載すれば、強く握ったり乱暴に扱った際に、「痛いよ」と人形に言わせるような機能が追加できる。
【0082】
マッサージチェアや操縦席シート、枕など、心地よさが必要な人との接触面に触覚センサ1・1Aを搭載することで、心地よさを損なわず、人の接触状態を検知し、より快適な状態へと誘導することが可能になる。例えば、接触状態の記録と、人の心地よさの評価とを対応付けてデータを蓄積することで、心地よくない状態になってしまっている場合に、どうすれば心地よい状態になるか(もう少し右に寄るとよい、など)を人にアドバイスする機能がマッサージチェア等に搭載できる。
【0083】
筋肉トレーニング機器や美顔器などの健康器具に、接触状態を加味した動作調整機能を搭載し、効果を高める用途で触覚センサ1・1Aを使用できる。例えば、体の一部に押し当てた状態で振動したり電気刺激を与えることで筋肉トレーニング効果や美顔効果を与える機器の接触面に触覚センサ1・1Aを搭載し、強く接触している箇所とそうでない箇所で、振動や刺激の量を変えることが可能になる。
【0084】
食品を扱うロボットのエンドエフェクタに取り付ける触覚センサとしても触覚センサ1・1Aは適している。触覚センサ1・1Aの表面の磁性柔軟層4・4Aが柔軟であるため、柔らかい食品を傷つけにくい。触覚センサ1・1Aは表面の洗浄や交換が容易であるため、衛生性も確保できる。触覚センサ1・1Aは表面の素材として、調理器具にも使用されているシリコンゴムが利用できるため、安全適合性も高い。
【0085】
(まとめ)
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る触覚センサは、基材上に形成された第1柔軟層と、前記第1柔軟層の透磁率よりも高い透磁率を有して磁化されていない粒子が分散され、前記第1柔軟層により支持されるように形成された第2柔軟層と、前記基材に形成されて、前記第2柔軟層に作用する外力による前記粒子の変位に基づいてインダクタンスが変化する一つ以上のコイルと、前記コイルのインダクタンスの変化を計測する計測回路とを備えたことを特徴とする。
【0086】
この特徴によれば、第1柔軟層により支持されるように形成された第2柔軟層に、第1柔軟層の透磁率よりも高い透磁率を有して磁化されていない粒子が分散される。この粒子は磁化されていなくてもその変位によって前記コイルのインダクタンスの変化が生じるため、強磁場の中に第2柔軟層を配置して磁石となる素材を磁化させる製造工程が不要になる。この結果、曲面形状等の複雑な形状をした触覚センサの製造が容易になる。
【0087】
そして、触覚センサの外に漏れる磁束の量が少ないため、磁気に弱い対象に触覚センサを接触させることできるようになる。
【0088】
また、磁気の変化を計測するセンサを用いていないため、外部磁場の存在する環境中でも触覚センサが使用可能となる。
【0089】
本発明の一態様に係る触覚センサは、前記粒子が、Fe系粉末、Ni系粉末、及びCo系粉末のうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0090】
上記構成によれば、Fe系粉末、Ni系粉末、及びCo系粉末のうちの少なくとも一つを含む粒子が変位することにより、コイルのインダクタンスが変化する。
【0091】
本発明の一態様に係る触覚センサは、前記粒子が、鉄粉を含むことが好ましい。
【0092】
上記構成によれば、高い透磁率を有し、比較的容易に入手できる粒子を第2柔軟層に分散させる粒子に使用することができる。
【0093】
本発明の一態様に係る触覚センサは、前記コイルが、平面コイルとソレノイドコイルとの少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0094】
上記構成によれば、平面コイル、ソレノイドコイルのインダクタンスが、第2柔軟層に作用する外力による粒子の変位に基づいて変化する。
【0095】
本発明の一態様に係る触覚センサは、前記基材が、フレキシブル基板であることが好ましい。
【0096】
上記構成によれば、ロボットの曲面形状等の複雑な形状をした部位に触覚センサを搭載することができる。
【0097】
本発明の一態様に係る触覚センサは、前記第2柔軟層が、エラストマ又は弾性発泡体を含むことが好ましい。
【0098】
上記構成によれば、容易に変形可能な弾性体の素材により第2柔軟層を構成することができる。
【0099】
本発明の一態様に係る触覚センサは、前記コイルが複数個配置され、前記基材に垂直な方向から見て前記第2柔軟層の一部が各コイルの一部と重なるように、前記第2柔軟層が前記第1柔軟層に埋め込まれることが好ましい。
【0100】
上記構成によれば、3次元方向の外力を推定することができる。
【0101】
本発明の一態様に係る触覚センサは、前記コイルが、2行2列に配置された4個のコイルであるか、又は、三角形の頂点位置に配置された3個のコイルであり、前記第2柔軟層が円盤状に形成されることが好ましい。
【0102】
上記構成によれば、簡単な構成で3次元方向の外力を推定することができる。
【0103】
本発明の一態様に係る触覚センサは、前記粒子の変位が、前記基材に垂直な方向に沿った粒子の変位と、前記基材の表面の方向に沿った粒子の変位とを含むことが好ましい。
【0104】
上記構成によれば、3次元方向の第2柔軟層の変位を推定することができる。
【0105】
本発明の一態様に係る触覚センサは、前記第1柔軟層の厚み及び剛性が、前記触覚センサの感度及び測定幅を調整するように設定されることが好ましい。
【0106】
上記構成によれば、第1柔軟層の材料特性の調整により、触覚センサの感度及び測定幅を調整することができる。
【0107】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0108】
1 触覚センサ
2 基板(基材)
3 非磁性柔軟層(第1柔軟層)
4 磁性柔軟層(第2柔軟層)
5 コイル
6 インダクタンス計測回路(計測回路)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14