特許第6943951号(P6943951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー・ケム・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6943951-3Dプリンティング用組成物 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6943951
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】3Dプリンティング用組成物
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/00 20060101AFI20210927BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20210927BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20210927BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20210927BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20210927BHJP
   B22F 10/16 20210101ALI20210927BHJP
【FI】
   B22F1/00 Y
   B29C64/106
   B33Y70/00
   B33Y80/00
   B33Y10/00
   B22F10/16
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-512628(P2019-512628)
(86)(22)【出願日】2017年11月21日
(65)【公表番号】特表2019-536890(P2019-536890A)
(43)【公表日】2019年12月19日
(86)【国際出願番号】KR2017013240
(87)【国際公開番号】WO2018093230
(87)【国際公開日】20180524
【審査請求日】2019年3月4日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0155255
(32)【優先日】2016年11月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】セ・ボム・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ギュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】サン・ボム・アン
【審査官】 池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−096646(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/194678(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/178545(WO,A1)
【文献】 特開2008−066298(JP,A)
【文献】 特開2016−088004(JP,A)
【文献】 特開2008−231405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00
B29C 64/106
B33Y 70/00
B33Y 80/00
B33Y 10/00
B22F 10/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の磁区を有し、外部磁場がない時は磁区が不規則に配列され、外部交流磁場によって磁化される磁性体粒子と、前記磁性体粒子に結合した気体含有粒子と、を含み、気体含有粒子の密度は、0.01g/cm〜1.02g/cmである、3Dプリンティング用組成物。
【請求項2】
磁性体粒子が気体含有粒子を包み込むか、気体含有粒子が磁性体粒子を包み込んで磁性体複合体を形成している、請求項1に記載の3Dプリンティング用組成物。
【請求項3】
磁性体粒子は純鉄、酸化鉄、フェライト、鉄合金、コバルト合金、ニッケル合金またはマンガン合金を含む、請求項1に記載の3Dプリンティング用組成物。
【請求項4】
磁性体粒子は、保磁力が1〜200kOeの範囲内にある、請求項1に記載の3Dプリンティング用組成物。
【請求項5】
磁性体粒子は、25℃で飽和磁化値が20〜150emu/gの範囲内にある、請求項1に記載の3Dプリンティング用組成物。
【請求項6】
磁性体粒子の平均粒径は、20〜300nmの範囲内にある、請求項1に記載の3Dプリンティング用組成物。
【請求項7】
磁区の平均大きさは、10〜50nmの範囲内にある、請求項1に記載の3Dプリンティング用組成物。
【請求項8】
気体含有粒子は、中空型の粒子である、請求項1に記載の3Dプリンティング用組成物。
【請求項9】
気体含有粒子は、無機物、有機物または有機−無機複合物を含む、請求項1に記載の3Dプリンティング用組成物。
【請求項10】
気体含有粒子の平均大きさは、10nm〜100μmの範囲内である、請求項1に記載の3Dプリンティング用組成物。
【請求項11】
気体含有粒子は、磁性体粒子100重量部に対して80〜200重量部で含まれる、請求項1に記載の3Dプリンティング用組成物。
【請求項12】
分散剤をさらに含む、請求項1に記載の3Dプリンティング用組成物。
【請求項13】
熱硬化性樹脂をさらに含む、請求項1に記載の3Dプリンティング用組成物。
【請求項14】
磁性体粒子が磁性体クラスタを形成する、請求項1に記載の3Dプリンティング用組成物。
【請求項15】
磁性体粒子は、磁化反転によって振動する、請求項1に記載の3Dプリンティング用組成物。
【請求項16】
請求項1に記載された3Dプリンティング用組成物を塗布して立体形状を形成する段階を含む、3Dプリンティング方法。
【請求項17】
請求項1に記載された3Dプリンティング用組成物の硬化物を含む、立体形状。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2016年11月21日付韓国特許出願第10−2016−0155255号に基づいた優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
[技術分野]
本出願は、3Dプリンティング用組成物、これを利用した3Dプリンティング方法およびこれを含む立体形状に関するものである。
【背景技術】
【0003】
本出願は、3次元プリンティングに適用され得る磁性体複合体およびこれを含むインク組成物に関するものである。3次元プリンターは、物理的客体を3D形状に形成するように構成される3次元プリンティングメカニズムを有する。このような3次元プリンターに物理的客体を3D形状に形成させるようにする3次元プリンティング用インクとして、3Dプリンティング用組成物と関連した研究が続いている。
【0004】
既存の3Dプリンティング方法は、所望のパターンや立体形状の具現を熱または光などで樹脂組成物を硬化させる方法で進行した。しかし、これらの方法のうち熱硬化タイプの場合は、高分子フィラメントを熱溶融させて押出して指定された地点に一滴ずつ落としながら一層ずつ積層する形態を完成する方法であって、比較的製造工程は簡単であるものの、精密でない形状および熱を供給する装備による不均一な硬化の問題点、組成物の有機/無機複合物質間の相分離および加熱/冷却による熱収縮などの問題点を有している。また、光硬化タイプの場合は、精密な表現は可能であるものの、装備の大きさ、保管および硬化後の低い硬度などの問題点を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、3Dプリンターのインクとして用いられる組成物に関するものであって、3次元の立体形状の精密な形成および立体形状の均一な硬化物性を具現し得る組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は3Dプリンティング用組成物に関するものである。前記3Dプリンティング用組成物は、例えば、3次元物理的客体をプリンティングして立体形状を形成することに適用され得る。また、前記組成物は電子装置をシーリングすることに適用され得る。例えば、前記組成物は、マイクロ電子装置、例えば、マイクロバッテリーをカプセル化することに適用され得る。
【0007】
例示的な3Dプリンティング用組成物は、磁性体粒子および気体含有粒子を含むことができる。前記磁性体粒子および気体含有粒子は磁性体複合体を形成することができる。例えば、磁性体粒子が気体含有粒子を包み込んだり、気体含有粒子が磁性体粒子を包み込んで磁性体複合体を形成することができる。本出願は、3Dプリンティング用組成物が前記磁性体複合体を含むことによって、後述するように、磁性体粒子の振動熱で組成物を硬化させることができ、気体含有粒子によって均一な硬化を可能にする。前記磁性体粒子は2以上の磁区(Multi−Magnetic Domains)を有することができる。また、前記磁性体粒子は外部磁場がない時は磁区が不規則に配列され、外部交流磁場によって磁化され得る。前記において、磁区が不規則に配列されるとは、磁区に存在する磁性方向がそれぞれ異なり、整列されていない状態を意味し得、この場合、常温で磁化のnet値が0であって、磁性がない状態であり得る。しかし、外部交流磁場が印加される場合、磁区の磁性方向が整列され、これによって磁性体粒子が磁化され得る。前記磁性体粒子は超常磁性粒子(super−paramagnetic particle)であり得るが、これに限定されるものではない。本出願に係る3Dプリンティング方法は、前記組成物を立体的に塗布して立体形状を形成させ、磁場の印加を通じて前記磁性体粒子から振動熱を発生させ、これによって、3Dプリンティング用組成物全体を均一に硬化させることができる。
【0008】
既存の3Dプリンティング方法のうち、金属や伝導性物質(炭素、カーボンナノチューブ)を添加して電磁誘導やマイクロ波を照射して熱を発生する技術を利用して樹脂を硬化または焼結させる方法もあるが、電磁誘導の場合は接触面と内部との温度差が発生して硬化後の樹脂の物理的特性に問題が発生する可能性があり、マイクロ波の場合は工程中の取り換え作業時に人体に被爆の危険性がある。
【0009】
本出願は、電磁誘導加熱を通じての磁性体粒子の磁化反転(Magnetization Reversal)によって振動熱を発生させ、これによって、発生する熱で後述する熱硬化性樹脂などを硬化させることができる。従来の電磁誘導によって熱を発生させる技術は、エディカレント(eddy current)により熱を発生させるものであって、これは金属や磁性体のヒステリシス損失(hysteresis loss)によって熱が発生するものであった。しかし、本出願の場合、磁性体の粒子が小さくなってナノサイズになるにつれて、磁性体自体のヒステリシス損失が小さくなり、飽和磁化値(saturation magnetization value)のみが存在する。このため、本出願はエディカレントではない磁性体間の振動による熱を発生させることができる。すなわち、本出願は外部磁場下で磁性体粒子の保磁力(coercive force)によって磁性体自体が振動するようになり、この時、発生する熱を利用して樹脂を硬化させることができ、組成物の中から硬化が進行するので優れた物性を有することができる。したがって、本出願は均一かつ安定した硬化を具現することができる。
【0010】
前述した通り、前記磁性体粒子は2以上の磁区を含むことができる。本明細書で用語「磁区(Magnetic Domain)」とは、一般的に磁性体の内部に磁化の方向が互いに異なるように分けられた領域を意味する。本出願で2以上の磁区を有する磁性体粒子は、外部交流磁場によって磁区が強く磁化されて振動熱を発生させ、磁場をなくすと本来の状態の磁区に戻り、したがって、ヒステリシス損失の残留磁化が低い磁性体粒子を提供することができる。
【0011】
一つの例示において、前記磁性体粒子の素材は特に制限されない。前記磁性体としては、純鉄、酸化鉄、フェライト、鉄合金、コバルト合金、ニッケル合金またはマンガン合金を含むことができる。前記磁性体粒子の形状は、球型、楕円体、四面体、六面体、三角柱、四角柱、円柱、楕円柱、多角柱または無定形の形状であり得る。本出願の一実施例によると、前記磁性体粒子は球型であり得る。また、磁性体粒子の密度は本出願の目的を考慮して適宜選択され得る。例えば前記粒子の密度は、1g/cm〜10g/cm、1.5g/cm〜8.5g/cmまたは3g/cm〜7g/cmであり得る。 本出願は前記密度範囲で、磁性体粒子が前述した気体含有粒子と結合して、3Dプリンティング時に均一な分布で分散して均一な硬化を具現することができる。
【0012】
一つの例示において、前記磁性体粒子は保磁力が1〜200kOe、10〜150kOe、20〜120kOe、30〜100kOe、40〜95kOeまたは50〜95kOeの範囲内にあり得る。本明細書で用語「保磁力」とは、磁性体の磁化を0に減少させるために必要な臨界磁場の強度を意味し得る。より具体的には、外部磁場によって磁化された磁性体は磁場を除去してもある程度磁化された状態を維持し、このように磁化された磁性体に逆方向の磁場をかけて磁化度を0にし得る磁場の強度を保磁力という。磁性体の保磁力は、軟磁性体または硬磁性体を区分する基準となり得、本出願の磁性体粒子は軟磁性体であり得る。本出願は、磁性体粒子の保磁力を前記範囲で制御することによって磁性体の磁化反転をより容易に具現し、本出願で目的とする程度の振動熱を発生させることによって樹脂を均一に硬化し、これによって目的とする程度の硬化物性を満足させることができる。
【0013】
一つの例示において、本出願で測定する物性値について、測定値が温度によって変動する値である場合、その測定温度は常温、例えば、25℃であり得る。
【0014】
また、一つの例示において、磁性体粒子は25℃で飽和磁化値が、20〜150 emu/g、30〜130emu/g、40〜100emu/g、50〜90emu/gまたは60〜85emu/gの範囲内にあり得る。本出願は磁性体粒子の飽和磁化値を相対的に大きく制御することができ、これを通じてエディカレントではない磁性体粒子間の振動による熱を発生させることによって、樹脂の均一な硬化で硬化物性を満足させることができる。本出願で磁性体粒子の物性の測定は、VSM(Vibrating Sample Magnetometer)の値で算出することができる。VSMは、Hall probeによって印加した印加磁場を記録し、試料の磁化値はファラデー法則によって試料に振動を加える時に得られる起電力を記録して試料の磁化値を測定する装置である。ファラデー(Faraday)法則は、棒磁石のN極をコイル側に向けてコイル側に押すと検流計が動いてコイルに電流が流れることが分かる。このような結果で現れる電流を誘導電流といい、誘導起電力によって作られたという。VSMは、このような基本作動原理によって、試料に振動を加える時に発生する誘導起電力をsearch coilで検出してこの起電力によって試料の磁化値を測定する方法である。材料の磁気的特性を磁場、温度、時間の関数で簡単に測定することができ、最大2テスラの磁力と2K〜1273K温度範囲の速い測定が可能である。
【0015】
本出願の具体例において、磁性体粒子の平均粒径が20nm〜300nm、30nm〜250nm、40nm〜230nmまたは45nm〜220nmの範囲内にあり得る。また、前記磁性体粒子の磁区の平均大きさは、10〜50nmまたは20〜30nmの範囲内であり得る。本出願は前記粒径範囲内で、磁性体粒子の磁区の数および保磁力の大きさが適正範囲に制御されることによって、前記組成物の中で組成物の均一な硬化を進行させ得る熱を発生させることができる。本出願は粒子の大きさを20nm以上に制御することによって、低い保磁力と多数の磁区を通じて硬化時に十分な振動熱を発生させることができ、300nm以下に制御することによって、磁性体自体のヒステリシス損失を小さくしつつ、飽和磁化値(saturation magnetization value)のみが存在するようにし、これによって、均一かつ安定した硬化を具現することができる。
【0016】
本出願の磁性体粒子は電磁誘導加熱を通じて熱を発生し得るものであれば、その素材は特に制限されない。一つの例示において、磁性体粒子は下記の化学式1を満足することができる。
【0017】
[化学式1]
MX
【0018】
前記化学式1において、Mは金属または金属酸化物であり、XはFe、Mn、Co、NiまたはZnを含み、|a×c|=|b×d|を満足し、前記cはXの陽イオン電荷であり、前記dは酸素の陰イオン電荷である。一つの例示において、MはFe、Mn、Mg、Ca、Zn、Cu、Co、Sr、Si、Ni、Ba、Cs、K、Ra、Rb、Be、Li、Y、Bまたはこれらの酸化物であり得る。例えば、XがFeである場合、cは+3であり、dは−2であり得る。また、例えば、XがFeである場合、これはFeOFeで表現され得るため、cはそれぞれ+2および+3であり、dは−2であり得る。本出願の磁性体粒子は前記化学式1を満足する限り特に制限されず、例えば、MFeであり得る。
【0019】
一つの例示において、本出願の3Dプリンティング組成物は、磁性体粒子を前記化学式1の化合物を単独で含むか、化学式1の化合物の混合物または化学式1の化合物に無機物がドープされた化合物を含むことができる。前記無機物は、1価〜3価の陽イオン金属またはこれらの酸化物を含むことができ、2種以上の複数の陽イオン金属を使うことができる。
【0020】
一つの例示において、前記磁性体粒子は粒子の表面に表面処理されたものを含むことができる。すなわち、本出願の組成物は前記磁性体粒子の表面に、金属、金属酸化物、有機物または無機物で表面処理された粒子を含むことができる。本出願は前記表面処理を通じて、空気中の酸化によって前記磁性体粒子が磁性体の保磁力(coercive force)を喪失することを防止することができる。また、表面処理は、後述するフィラー、分散剤有機溶媒などとの相溶性を増加させ、組成物の分散性を改善させることができる。一つの例示において、前記表面処理は表面にカルボキシ基を有する磁性体粒子にメチルメタクリレ−ト(MMA)モノマーを付けて表面にポリメチルメタクリレ−ト(PMMA)の高分子を形成することができる。また、磁性体粒子の表面を酸処理して表面の酸化膜を除去し、表面処理することができ、シリカ粒子をコーティングする方法を通じても表面処理が可能である。
【0021】
本出願の具体例において、気体含有粒子は中空型の粒子であり得る。前記気体含有粒子は粒子内に一つ以上の孔隙を含み、前記孔隙に前記気体が充填されている構造を有し得る。前記気体含有粒子は無機物、有機物または有機−無機複合物を含むことができる。具体的には、前記気体含有粒子として無機粒子は、シリケート 、シリカ、チタニウムおよび鉄からなる群から選択される1種以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。また、前記気体含有粒子として、有機粒子としてはリポソーム、高分子およびヒドロゲルからなる群から選択される1種以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0022】
本明細書で気体含有粒子は、気泡(Bubble)が液体または固体の中に入っている形態を意味し得るが、これに限定されるものではなく、粒子の中に孔が存在する形態はいずれも含まれ得る。前記気体を含有する物質としては、ガラス(例えば、Soda−lime−borosilicate glass)、高分子、界面活性剤、脂質、蛋白質(例えばアルブミン)、シリカ、セラミックまたは金属(例えば、チタニウム酸化物)、炭素物質(例えば、グラフェン)またはこれらの組合物を例示することができる。前記気泡は前記物質で構成されたマイクロ気泡またはナノ気泡であり得る。前記気体含有粒子の前記気体としては、空気、窒素、二酸化炭素、メタンガス、パーフルオロカーボンなどを含むことができる。
【0023】
前記気体含有粒子の形状は、球型、楕円体、四面体、六面体、三角柱、四角柱、円柱、楕円柱、多角柱または無定形の形状であり得る。本出願の一実施例によると、前記気体含有粒子は球型であり得る。
【0024】
前記気体含有粒子の密度は本出願の目的を考慮して適宜選択され得る。例えば前記気体含有粒子の密度は、0.01g/cm〜1.02g/cm、0.1g/cm〜0.95g/cmまたは0.2g/cm〜0.8g/cmの範囲であり得る。一つの例示において、本出願での密度は、特定の密度を有する溶媒に前記粒子を分散させて密度を類推する方法を使うことができる。本出願は、前記気体含有粒子の密度を前記範囲内に調節することによって、前述した磁性体粒子に結合して複合体の密度を下げ、長期間の間分散安定性を有する組成物を提供することができ、同時に優れた3Dプリンティング性能を具現することができる。
【0025】
前記気体含有粒子の平均大きさは、本出願の目的を考慮して適宜選択され得る。例えば、前記気体含有粒子の平均大きさは、10nm〜100μm、50nm〜90μm、100nm〜50μm、200nm〜30μmまたは500nm〜25μmであり得る。また、前記複合体の平均大きさは本出願の目的を考慮して適宜選択され得る。例えば前記複合体の平均大きさは、10nm〜1000μm、50nm〜900μm、100nm〜500μm、200nm〜300μmまたは500nm〜250μmであり得る。本出願は前記の大きさ範囲を制御することによって、適切な分散性、均一な硬化度および優れた3Dプリンティング性能を具現することができる。
【0026】
本出願の具体例において、前記複合体の密度は本出願の目的を考慮して適宜選択され得る。例えば前記複合体の密度は、0.1g/cm〜10g/cm、0.5g/cm〜8g/cm、1.5g/cm〜7g/cmまたは3.5g/cm〜5.5g/cmであり得る。前記複合体の密度が前記範囲内である場合、組成物内で長期間の間分散安定性を確保することができ、優れた3Dプリンティング性能を具現することができる。
【0027】
前記磁性体粒子および気体含有粒子は、それらの表面が互いに物理的または化学的に結合されてもよい。前記磁性体粒子および気体含有粒子は、当業界に公知の粒子間の結合方法を通じて結合され得、その方法は特に限定されない。本出願の一実施例によると、前記磁性体粒子と前記気体含有粒子は、酸塩基反応、静電気的な引力、共有結合または親水性乃至疏水性の相互間の作用によってそれらの表面が互いに結合されてもよい。本出願の一実施例によると、酸塩基反応を利用することができ、具体的には、前記磁性体粒子を酸基および塩基のうちいずれか一つの置換基で表面処理し、前記気体含有粒子に他の一つの置換基で表面処理した後、水溶液の中で反応を通じて結合することができる。
【0028】
一つの例示において、気体含有粒子は磁性体粒子100重量部に対して80〜200重量部、90〜180重量部、100重量部〜170重量部または110〜160重量部で含まれ得る。本出願は前記含量範囲で、インク組成物の中で均一な分散性を有するようにし、前記範囲内で優れた3Dプリンティング性能を具現することができる。
【0029】
また、一つの例示において、3Dプリンティング組成物は、前記磁性体粒子が均一に分散され得るように分散剤をさらに含むことができる。ここで使用できる分散剤としては、例えば、磁性体粒子の表面と親和力があり、後述する樹脂と相溶性がよい界面活性剤、例えば、非イオン性界面活性剤などを使用することができる。また、分散剤として、酸または塩基性基が含まれたタイプ、重量平均分子量1万以上の高分子量のアクリル系高分子タイプ、無機系ソーダ系タイプ、金属塩系タイプの分散剤などが例示され得、本出願の組成物は1種以上の分散剤を含むことができる。前記分散剤は後述する熱硬化性樹脂100重量部対比0.01〜10重量部、0.1〜8重量部または0.15〜5重量部で含まれ得る。
【0030】
また、一つの例示において、3Dプリンティング用組成物は分散媒をさらに含むことができる。前記分散媒としては、無機溶媒または有機溶媒を使うことができる。前記無機溶媒としては、水などを例示することができる。前記有機溶媒としては、ヘキサン、エタノール、シリコンオイルまたはポリジメチルシロキサンなどを例示することができる。前記分散媒中の前記複合体の含量は、本出願の目的または前記組成物の応用分野を考慮して適宜選択され得る。例えば前記分散媒中の前記複合体の含量は、0.1 wt%〜90 wt%、0.5〜80 wt%、1〜70 wt%、3〜55 wt%、4〜30wt%、4.5〜15wt%または4.8〜9wt%であり得る。前記分散媒の密度は、本出願の目的を考慮して適宜選択され得る。一つの例示において、前記分散媒の密度は、例えば0.5g/cm〜2g/cm、0.8g/cm〜1.8g/cmまたは1.2g/cm〜1.5g/cmであり得る。分散媒の密度が前記範囲内である場合、複合体の分散安定性の確保にさらに有利であり得る。
【0031】
本出願の具体例において、3Dプリンティング用組成物は磁性体クラスタを形成することができる。ナノ粒子サイズの磁性体粒子はナノクラスタを形成することによって、磁性体間の凝集を防止し、分散性を向上し、これによって、振動熱によって効果的に組成物を硬化させることができる。
【0032】
一つの例示において、本出願の3Dプリンティング組成物は硬化性化合物を含むことができる。前記硬化性化合物は熱硬化性樹脂であり得る。用語「熱硬化性樹脂」とは、適切な熱の印加または熟成(aging)工程を通じて、硬化され得る樹脂を意味する。
【0033】
本出願で熱硬化性樹脂の具体的な種類は、前述した特性を有するものであれば、特に制限されない。一つの例示において、熱硬化性樹脂は少なくとも一つ以上の熱硬化性官能基を含むことができる。例えば、硬化して接着特性を示し得るものとして、エポキシ基、グリシジル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、カルボキシ基またはアミド基のような熱硬化可能な官能基を一つ以上含むことができる。また、前記のような樹脂の具体的な種類には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、エステル樹脂、イミド樹脂またはエポキシ樹脂などが含まれ得るが、これに制限されるものではない。
【0034】
本出願では前記熱硬化性樹脂として、芳香族または脂肪族;または直鎖状または分枝鎖状のエポキシ樹脂を使うことができる。本出願の一具現例では2個以上の官能基を含有するものとして、エポキシ当量が180g/eq〜1,000g/eqであるエポキシ樹脂を使うことができる。前記範囲のエポキシ当量を有するエポキシ樹脂を使用することによって、硬化物の接着性能およびガラス転移温度などの特性を効果的に維持することができる。このようなエポキシ樹脂の例には、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、4館能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタンエポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂またはジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂の一種または二種以上の混合を挙げることができる。
【0035】
本出願では、好ましくは、分子構造内に環状構造を含むエポキシ樹脂を使用することができ、より好ましくは、芳香族基(例えば、フェニル基)を含むエポキシ樹脂を使うことができる。エポキシ樹脂が芳香族基を含む場合、硬化物が優れた熱的および化学的安定性を有することができる。本出願で使用できる芳香族基含有エポキシ樹脂の具体的な例としては、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、クレゾール系エポキシ樹脂、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ザイロック系エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂およびアルキル変性トリフェノールメタンエポキシ樹脂などの一種または二種以上の混合であり得るが、これに制限されるものではない。
【0036】
本出願の具体例において、複合体は前記熱硬化性樹脂100重量部に対して0.01〜25重量部、0.1〜20重量部、1〜15重量部、3〜13重量部または5〜12重量部で含まれ得る。本明細書では、特に規定しない限り、単位「重量部」は、各成分間の重量比率を意味する。前記重量比率で複合体の含量を制御することによって、本出願は3Dプリンティング時に十分な熱を通じて組成物を硬化することができ、組成物を相分離することなく均一に硬化させることができる。
【0037】
前記において、前述した通り、3Dプリンティング用組成物は熱硬化剤をさらに含むことができる。例えば、熱硬化性樹脂と反応して、架橋構造などを形成できる硬化剤をさらに含むことができる。
【0038】
硬化剤は、その樹脂に含まれる官能基の種類に応じて適切な種類が選択および使用され得る。
【0039】
一つの例示において、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化剤としては、この分野で公知にされているエポキシ樹脂の硬化剤として、例えば、アミン硬化剤、イミダゾール硬化剤、フェノール硬化剤、リン硬化剤または酸無水物硬化剤などの一種または二種以上を使うことができるが、これに制限されるものではない。
【0040】
一つの例示において、前記硬化剤としては、常温で固相であり、融点または分解温度が80℃以上であるイミダゾール化合物を使うことができる。このような化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールまたは1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールなどが例示され得るが、これに制限されるものではない、
【0041】
硬化剤の含量は、組成物の組成、例えば、熱硬化性樹脂の種類や比率に応じて選択され得る。例えば、硬化剤は、熱硬化性樹脂100重量部に対し、1重量部〜20重量部、1重量部〜10重量部または1重量部〜8重量部で含まれ得る。ところが、前記重量比率は、熱硬化性樹脂の官能基の種類および比率、または具現しようとする架橋密度などによって変更され得る。
【0042】
本出願の具体例において、3Dプリンティング組成物はフィラーをさらに含むことができる。前記フィラーは、有機フィラー、無機フィラーまたはこれらの混合物であり得る。本出願で使用できるフィラーの具体的な種類は特に制限されず、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ガラス繊維、シリカ、合成ゴム、TiO、有機/無機顔料、クレー、またはタルクなどの一種または二種以上の混合を使うことができる。前記フィラーは、熱硬化性樹脂100重量部対比1〜100重量部、10〜80重量部または20〜60重量部で含まれ得る。本出願は前記フィラーを使うことによって、組成物が硬化した後の機械的物性(剛性、強化)を確保することができ、ナノサイズの磁性体と有機物質との分散性および接合性を改善させることができる。
【0043】
本出願の具体例において、本出願の3Dプリンティング用組成物は熱可塑性樹脂を含むことができる。前記熱可塑性樹脂は例えば、アクリル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、スチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性エラストマー、ポリオキシアルキレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリウレタン、セルロース樹脂、ポリアセタール樹脂またはポリアミド樹脂を含むことができる。
【0044】
前記においてスチレン樹脂としては、例えば、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート ブロック共重合体(ASA)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン系単独重合体またはこれらの混合物が例示され得る。前記オレフィン樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂またはこれらの混合物が例示され得る。前記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、エーテル系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマーまたはこれらの混合物などを使うことができる。そのうちオレフィン系熱可塑性エラストマーとしてポリブタジエン樹脂またはポリイソブチレン樹脂などが使用され得る。前記ポリオキシアルキレン樹脂としては、例えば、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリオキシエチレン系樹脂またはこれらの混合物などが例示され得る。前記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂またはこれらの混合物などが例示され得る。前記ポリ塩化ビニル樹脂としては、例えば、ポリビニリデンクロリドなどが例示され得る。また、炭化水素樹脂の混合物が含まれ得るが、例えば、ヘキサトリアコタン(hexatriacotane)またはパラフィンなどが例示され得る。前記ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロンなどが例示され得る。前記アクリレート樹脂としては、例えば、ポリブチル(メタ)アクリレートなどが例示され得る。前記シリコン樹脂としては、例えば、ポリジメチルシロキサンなどが例示され得る。また、前記フッ素樹脂としては、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、ポリフルオリン化ビニリデン、ポリフルオリン化ビニル、ポリフルオリン化エチレンプロピレンまたはこれらの混合物などが例示され得る。
【0045】
前記羅列した樹脂は、例えば、マレイン酸無水物などとグラフトして使用してもよく、羅列された他の樹脂乃至は樹脂を製造するための単量体と共重合して使用してもよく、その他の化合物によって変性させて使用してもよい。前記他の化合物の例としては、カルボキシル−末端ブタジエン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
【0046】
本出願に係る3Dプリンティング用組成物には、前述した構成の他にも前述した発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、用途、熱硬化性樹脂の種類および後述する3Dプリンティング工程に応じて多様な添加剤が含まれ得る。例えば、樹脂組成物は、カップリング剤、架橋剤、硬化性物質、粘着付与剤、紫外線安定剤または酸化防止剤などを目的とする物性に応じて適正範囲の含量で含むことができる。ここで硬化性物質は、前述した組成物を構成する成分の他に、別途に含まれる熱硬化性官能基および/または活性エネルギー線硬化性官能基を有する物質を意味し得る。
【0047】
本出願はさらに、3Dプリンティング方法に関するものである。例示的な3Dプリンティング方法は、前述した組成物を立体的に塗布して、立体形状を形成する段階を含むことができる。本出願に係る3Dプリンティング方法は、前記組成物を立体的に塗布して立体形状を形成させた後、磁場の印加段階を通じて前記磁性体粒子から振動熱を発生させ、これによって、前記組成物を均一に硬化させることができる。
【0048】
前記磁場を印加する段階は特に制限されず、通常の技術者によって公知の方法で遂行され得る。例えば、磁場を印加する段階は、100kHz〜1GHzの周波数で50A〜500A、80A〜450Aまたは120A〜430Aの電流で20秒〜60分、30秒〜30分または30秒〜200秒間磁場を印加することができる。
【0049】
一つの例示において、磁場を印加する段階は、少なくとも2段階以上のマルチプロファイル方式を含むことができる。前記マルチプロファイル方式は、100kHz〜1GHzの周波数で進行され得る。具体的には、前記マルチプロファイル方式は、10A〜80Aの電流で20秒〜10分の間磁場を印加する第1段階、80A〜130Aの電流で20秒〜10分の間磁場を印加する第2段階および150A〜500Aの電流で5秒〜5分の間磁場を印加する第3段階を含むことができる。
【0050】
また、磁場を印加する段階は、プロファイルの傾きに差をあたえる方式で進められてもよい。例えば、前記マルチプロファイル方式の場合、階段式に磁場の強度を調節して印加する方式であるが、前記傾きに差を与えることは100〜200Aで磁場を時間を開けて順次的に上がるようにする方式であって、急激な発熱を防止し、硬化する樹脂の特性に応じて急激な熱を加えると、熱分解が起きて硬化物の特性が低下することを防止することができる。
【0051】
一方、熱硬化は前記の通りに磁場の印加で進めることができ、磁場を印加した後、40℃〜100℃で30分〜24時間の間さらに熱を加えることを含むことができる。また、前記に限定されず、磁場の印加と共に熱を加えてもよい。
【0052】
本出願はさらに、3次元立体形状に関するものである。前記立体形状は前述した3Dプリンティング用組成物の硬化物を含むことができる。
【0053】
本出願はまた、マイクロ電子装置に関するものである。例示的なマイクロ電子装置は前述した組成物を含有する硬化物を含むことができる。前記硬化物はシーリング材に適用され得るが、これに限定されるものではない。例えば、前記マイクロ電子装置は、マイクロバッテリ、バイオセンサーまたはアクチュエータなどを含むことができる。また、本出願は前述した組成物をシーリング材などに利用するディスプレイ装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0054】
本出願は、3次元の立体形状の精密な形成および立体形状の均一な硬化物性を具現することができる組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】本発明の実施例および比較例で製造した3Dプリンティング用組成物を示す写真。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明に従う実施例および本発明に従わない比較例を通じて本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲は下記に提示された実施例によって制限されるものではない。
【0057】
実施例1
磁性体粒子(Fe粒子、Multi−Magnetic Domains、平均粒径約100nm:Field Emission Scanning Electron Microscopeで測定(DLS利用))0.2gを希釈した塩酸を通じて処理し、前記磁性体粒子の表面に反応基を活性化させて表面に正電荷を形成する。ポリアクリル酸水溶液に前記酸処理した磁性体粒子を分散させて約120W超音波で15分間処理する。表面がアミン基で置換されたガラス気泡粒子(平均粒径約18μm)0.3gと前記磁性体粒子を前記水溶液上で反応させて、前記ガラス気泡粒子の表面に磁性体粒子が包み込むように磁性体粒子−ガラス気泡粒子複合体を製造する。
【0058】
前記とは別途に、エポキシ樹脂としてKUKDO化学のKSR−177および硬化剤として四国化成C11ZAのイミダゾール系硬化剤を各90:5(KSR−177:C11ZA)の重量比率で混合した。前記混合物に先立って準備した磁性体複合体を固形分5wt%となるように分散させて3Dプリンティング用組成物を製造した。
【0059】
供給装置でノズルを通過して、前記製造された組成物を支持台上に積層した後、すぐに外部交流磁場発生装置で100Aの電流値で180秒間磁場を印加した。磁場の印加は、ソレノイドコイル(3turns、OD 50mm、ID 35mm)の中に組成物をサンプルバイアルに入れて磁場発生装置(Ambrell社Easyheat)の電流値および時間を調節して磁場を印加した。前記磁場の印加を通じて発生する振動熱で前記樹脂組成物を硬化させて、パターンまたは立体形状を形成した。
【0060】
実施例2
磁性体粒子として、MnOFe粒子(Multi−Magnetic Domains、平均粒径約100nm:Field Emission Scanning Electron Microscopeで測定(DLS利用))を使用したことを除いては実施例1と同じ方法で3Dプリンティング用組成物を製造し、立体形状を形成させた。
【0061】
比較例1
磁性体粒子として、強磁性体 (Hard Type)のFe粒子(Single−Magnetic Domain、平均粒径約100nm)、ビスフェノール系エポキシ樹脂および硬化剤をそれぞれ5:95:5の重量比率で混合して樹脂組成物を製造した。
【0062】
供給装置でノズルを通過して、前記製造された組成物を支持台上に積層した後、すぐに外部交流磁場発生装置で100Aの電流値で180秒間磁場を印加した。磁場の印加は、ソレノイドコイル(3turns、OD 50mm、ID 35mm)の中に組成物をサンプルバイアルに入れて磁場発生装置(Ambrell社Easyheat)の電流値および時間を調節して磁場を印加した。前記磁場の印加を通じて発生する振動熱で前記樹脂組成物を熱硬化させてパターンまたは立体形状を形成した。
【0063】
実験例1−磁性体粒子の保磁力および飽和磁化値(Ms)の測定
常温で乾燥した磁性体粒子を振動試片磁力計(SQUID−Vibrating Sample Magnetometer、韓国基礎科学支援研究院測定)に入れて外部磁場を±1teslaでのH−Sカーブ(VSMカーブ)を利用して保磁力および飽和磁化値Msを測定した。
【0064】
実験例2−組成物の硬化後の温度測定
実施例および比較例で製造した立体形状に対して磁場の印加直後にサーモカプラーを差し込んで立体形状内部の温度を確認する。
【0065】
実験例3−硬化度の測定(肉眼触感)
実施例および比較例で組成物を硬化した後、冷却後裏返した時に硬化物が流れるかどうかを確認した後、金属スパチュラで硬化物の押圧の程度を確認して硬化を確認した。前記において、流れ性があって硬化物が押される場合、硬化していないということを確認することができる。
【0066】
実験例4−硬化前の分散性の確認
実施例1で製造した磁性体複合体および比較例1での磁性体粒子を、それぞれPDMS(ポリジメチルシロキサン)内で分散させた時、分散直後、30分後および2時間後を観察したのであり、その結果をそれぞれ左側から順に(分散直後、30分後、2時間後)図1に図示した。図1において、左側の瓶が比較例1による結果であり、右側の瓶が実施例1による結果である。図1のように、比較例1による磁性体粒子の場合、明確に相分離が起きることを確認することができた。
【0067】
【表1】
図1