(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6944565
(24)【登録日】2021年9月14日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】RFプラズマ電界を使用したEUV光学部品のアクティブ洗浄装置および方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20210927BHJP
G02B 17/00 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G02B17/00 Z
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-66317(P2020-66317)
(22)【出願日】2020年4月1日
(62)【分割の表示】特願2016-551259(P2016-551259)の分割
【原出願日】2015年3月5日
(65)【公開番号】特開2020-122973(P2020-122973A)
(43)【公開日】2020年8月13日
【審査請求日】2020年4月23日
(31)【優先権主張番号】14/218,707
(32)【優先日】2014年3月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】エルショフ,アレクサンダー イーゴレヴィッチ
【審査官】
今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−518480(JP,A)
【文献】
特開2006−165588(JP,A)
【文献】
特表2008−508722(JP,A)
【文献】
特表2010−532554(JP,A)
【文献】
特表2011−519156(JP,A)
【文献】
特表2010−534946(JP,A)
【文献】
特表2012−513653(JP,A)
【文献】
特開2007−096297(JP,A)
【文献】
特開2010−123929(JP,A)
【文献】
特開2012−169580(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0034349(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027、21/30
G03F 7/20−7/24、9/00−9/02
H05G 1/00−2/00
H05H 1/00−1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形であり、かつ中央開口を有し、極端紫外線生成プラズマからの放射の焦点を合わせるように配置された反射性の導電性表面を有する極端紫外線光学要素と、
前記導電性表面に隣接して配置された導電性部材であって、前記中央開口を除く前記導電性表面の直径全体に沿って線状に広がる導電性部材と、を備え、
前記導電性表面と前記導電性部材とは、RF出力が前記導電性部材に供給されると、前記導電性表面の少なくとも一部分から汚染物質を取り除くことが可能なプラズマが生成されるように互いに配置される、装置。
【請求項2】
前記導電性部材に電気的に接続された電源をさらに備え、前記電源は、無線周波数駆動回路を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記導電性部材は、プレート状である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記導電性部材は、前記導電性表面の形状に合致する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記導電性表面はオブスキュレーション領域を有し、前記導電性部材は、前記オブスキュレーション領域内に位置決めされる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
極端紫外線光学要素は、電気絶縁性表面と導電性表面とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記極端紫外線光学要素の導電性表面の背後のエリアをシールドするシールドをさらに備え、前記シールドは、前記導電性表面が前記シールドと前記導電性部材との間に置かれるように位置決めされる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記シールドは、電気的に接地接続される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記導電性部材は少なくとも1つのプレートを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記導電性部材は少なくとも1つのプレートを有する、請求項3に記載の装置。
【請求項11】
極端紫外線生成モジュールであって、
RF駆動回路と
コレクタミラーの反射性の導電性表面を含むRF電極であって、前記導電性表面が極端紫外線生成プラズマからの放射の焦点を合わせるように配置され、前記導電性表面が円形でありかつ中央開口を有する、RF電極と、
前記導電性表面の一部分に隣接して配置された導電性部材であって、前記RF駆動回路と電気的に接続され、前記中央開口を除く前記導電性表面の直径全体に沿って線状に広がる導電性部材と、を備え、
前記導電性表面と前記導電性部材とは、RF出力が前記導電性部材に供給されると、前記導電性表面の少なくとも一部分から汚染物質を取り除くことが可能なプラズマが生成されるように互いに配置される、極端紫外線生成モジュール。
【請求項12】
極端紫外線光源における導電性ミラー表面の洗浄方法であって、前記導電性ミラー表面は極端紫外線生成プラズマからの放射の焦点を合わせるように配置され、円形でありかつ中央開口を有し、前記方法は、
前記中央開口を除く前記導電性ミラー表面の直径全体に沿って線状に広がる導電性部材を提供するステップ、
前記導電性部材にRF出力を供給するステップと、
前記導電性部材からの前記RF出力を前記導電性ミラー表面に結合させて、前記導電性ミラー表面に容量結合RFプラズマを生成することで前記導電性ミラー表面を洗浄するステップと、を含む、方法。
【請求項13】
放射ビームを生成するための照明システムと、
前記放射ビームにパターンを付与するパターニングデバイスを前記放射ビームの経路内で支持するための支持構造と、
基板を支持するための支持テーブルと、
前記パターンを前記基板上に投影するように適合された投影システムと、を備え、
前記照明システムは、中央開口を有する円形の導電性表面を有し、極端紫外線生成プラズマからの放射の焦点を合わせるように配置された極端紫外線光学要素と、前記導電性表面に隣接して配置され、前記中央開口を除く前記導電性表面の直径全体に沿って線状に広がる導電性部材とを備え、前記導電性表面と前記導電性部材とは、RF出力が前記導電性部材に供給されると、前記導電性表面の少なくとも一部分から汚染物質を取り除くことが可能なプラズマが生成されるように互いに配置される、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001] 本出願は、2014年3月18日に出願された米国特許出願第14/218,707号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示は、ターゲット材料から作り出され、かつ、例えば、リソグラフィスキャナ/ステッパによるEUV光源チャンバ外での利用のためにEUV光学部品によって集光されて中間領域に誘導される、プラズマからのEUV光を提供する極端紫外線(「EUV」)光源に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィは、半導体装置の製造において使用される。リソグラフィでは、「フォトレジスト」と呼ばれる光感受性材料でシリコン等のウェーハ基板をコーティングする。フォトレジストがマスクから反射された光で露光されることによりマスクの像を再現することができ、このマスク像を使用してウェーハ上にパターンが画定される。ウェーハとマスクとが照明されると、フォトレジストは化学反応を起こし、その後、現像されてウェーハ上にマスクの複製されたパターンを形成する。
【0004】
[0004] およそ50nm以下の波長を有する電磁放射線(軟X線とも呼ばれる)等の極端紫外線(「EUV」)光であって、約11nm〜約15nmの範囲の波長、例えば、13.5nmの波長の光を含むEUV光は、これをフォトリソグラフィープロセスに用いてシリコンウェーハ等の基板内に極めて小さいフィーチャを形成することができる。ここで、「光」との用語は、スペクトルの可視部分にあるかどうかを問わない電磁放射線を包含するものとして使用されることが本明細書およびその他の箇所で理解されるだろう。
【0005】
[0005] EUV光は、所望の波長で効率よく放射する小さな高温プラズマを用いて生成することができる。そのようなプラズマは、真空チャンバ内で、通常、ターゲット材料を通してパルス放電を駆動させるか(放電生成プラズマまたは「DPP」)、または、ターゲット材料上にパルスレーザビームの焦点を合わせる(レーザ生成プラズマまたは「LPP」)ことによって作り出すことができる。ターゲット材料は、スペクトルのEUV部分に1以上の輝線を有する少なくとも1種の元素、例えば、キセノン、リチウムまたはスズを含むことが好ましい。プラズマによって生成された光は、その後、近傍のミラー等のEUV光学部品によって集光され、下流へと送られリソグラフィツールの残りの部分へと向けられる。
【0006】
[0006] 高温プラズマは、例えば、放電源の電極や、レーザ生成プラズマにおけるガス供給システムコンポーネント等の近傍にある物質を腐食しやすい。腐食された物質がEUV光学部品を覆うことにより、反射率の低下が生じ、リソグラフィに使用可能な光の量が減少する場合がある。また、未気化のターゲット材料というデブリによってEUV光学部品の表面が汚染される可能性もある。そのため、EUV光学部品の表面を洗浄することが必要になる。公知のEUV光学部品洗浄技術としては、高周波RF電界により発生するプラズマ、すなわち、RFプラズマを使用するものがある。しかし、プラズマ洗浄を実際に実施する場合、大きな技術的問題が生じる。現実のLPP放射源の空間的制約により、EUV集光角の望ましくない低下や、RFプラズマを作り出すために新たに導入されるコンポーネントから散乱するデブリといった、放射源のその他の機能に対するマイナスの影響を引き起こすことなくプラズマ洗浄を実施することは極めて難しい。
【0007】
[0007] 上記に鑑み、本出願人は、レーザ生成プラズマEUV光源の光学部品を洗浄するためのシステムおよび方法を開示する。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 以下は、1つまたは複数の実施形態の簡単な概要であって、当該実施形態の基本的な理解をもたらすための概要である。この概要は、想定される全ての実施形態を幅広く概説するものではなく、全ての実施形態の主たる要素または決定的要素を特定することを意図しておらず、いかなる実施形態についてもその範囲を描写することを意図していない。以降に提示されるより詳細な説明の導入部として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略的に提示することのみを目的としている。
【0009】
[0009] 一態様によれば、導電性表面と、この導電性表面に隣接して配置され、かつこの導電性表面と電気的に結合された導電性部材とを有するEUV光学要素であって、RF出力が導電性部材に供給されると、導電性表面の少なくとも一部分から汚染物質を取り除くことが可能なプラズマが生成されるように導電性表面と導電性部材とが互いに配置されたEUV光学要素が提供される。導電性部材は、導電性表面にRFエネルギーを結合することができるように導電性表面に対して十分近接しており、導電性表面に物理的に接触していてもよい。導電性部材には、無線周波数駆動回路を含む電源が電気的に接続され得る。
【0010】
[0010] 導電性部材はプレート状であってよく、導電性表面の形状に合致するような形状であってよい。導電性表面は中央開口を有する円形であってよく、この場合、導電性部材は、中央開口を除く導電性表面の直径にわたって広がり得る。また、導電性表面は、オブスキュレーション領域を有してよく、この場合、導電性部材はオブスキュレーション領域内に位置決めされてよい。
【0011】
[0011] 上記の装置はさらにシールドを含んでよく、このシールドは、導電性表面がシールドと導電性部材との間に置かれるように位置決めされる。このシールドは電気的に接地接続されてよい。
【0012】
[0012] 別の態様によれば、円形であり、かつ中央開口を有する、極端紫外線光学要素の導電性ミラー表面と、このミラー表面に隣接して配置され、かつミラー表面に電気的に結合された電極プレートであって、ミラー表面の隣接部分の形状に合致し、かつ中央開口を除くミラー表面にわたって広がり、ミラー表面の上記隣接部分はミラー表面のオブスキュレーション領域である、電極プレートとが提供される。
【0013】
[0013] 別の態様によれば、RF駆動回路と、EUV生成プラズマからの放射の焦点を合わせるように配置されたコレクタミラーの導電性表面を含むRF電極と、導電性表面の一部分に近接して配置された導電性部材であって、RF駆動回路と電気的に接続され、導電性表面にRFエネルギーを結合させるように配置された導電性部材と、を備える極端紫外線生成モジュールが提供される。
【0014】
[0014] 別の態様によれば、EUV光源における導電性ミラー表面の洗浄方法が提供され、この導電性表面には導電性部材が取り付けられており、該方法は、導電性部材にRF出力を供給するステップと、導電性部材からのRF出力を導電性ミラー表面に結合させて、導電性ミラー表面に容量結合RFプラズマを生成することで導電性ミラー表面を洗浄するステップと、を含む。
【0015】
[0015] 別の態様によれば、放射ビームを生成するための照明システムと、放射ビームにパターンを付与するパターニングデバイスを放射ビームの経路内で支持するための支持構造と、基板を支持するための支持テーブルと、基板上に上記パターンを投影するように適合された投影システムと、を備える装置が提供され、この照明システムは、導電性表面と、この導電性表面に隣接して配置され、かつこの導電性表面と電気的に結合された導電性部材とを有するEUV光学要素を備え、導電性表面と導電性部材とは、RF出力が導電性部材に供給されると、導電性表面の少なくとも一部分から汚染物質を取り除くことが可能なプラズマが生成されるように互いに配置される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】[0016]
図1は、本発明の一実施形態に係るリソグラフィシステムを示す。
【
図2】[0017]
図2は、
図1のリソグラフィシステムにおいて使用することができるような放射源の一実施形態を示す。
【
図3】[0018]
図3は、
図2の放射源において使用することができるようなEUV光学部品の一実施形態を示す。
【
図4】[0019]
図4も、
図2の放射源において使用することができるようなEUV光学部品の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0020] 以下、図面を参照して様々な実施形態について説明する。これらの図面において、同じ参照番号は、全体を通して、同じ要素を意味するように使用される。以下の記述では、1つまたは複数の実施形態の十分な理解を促すために数多くの詳細な事項が説明を目的として記載される。ただし、いくつかの場合、または全ての場合において、以下に記載されるいずれの実施形態も、以下に記載される特定の詳細な設計事項を採用することなく実施できることが明らかであろう。また場合により、1つまたは複数の実施形態の説明の便宜上、周知の構造および装置がブロック図の形式で示されることもある。
【0018】
[0021]
図1は、本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置を概略的に示している。
このリソグラフィ装置は、放射ビームBを調整するように構成された照明システム(照明システム)ILを備える。また、このリソグラフィ装置は、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されたサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折または反射投影レンズシステム)PSと、を含む。
【0019】
[0022] 照明システムILとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0020】
[0023] サポート構造MTは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造MTは、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造MTは、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造MTは、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。
【0021】
[0024]
図1を参照すると、照明システムILは、放射源SOから放射ビームを受ける。放射源SOおよび照明システムILは、必要ならばビームデリバリシステムとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0022】
[0025] 照明システムILは、放射ビームの角強度分布を調節するためのアジャスタを含むことができる。一般に、照明システムの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、照明システムILは、インテグレータおよびコンデンサといった様々な他のコンポーネントを含むことができる。照明システムを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0023】
[0026] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイスMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサIF1を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。
【0024】
[0027]
図2は、
図1のリソグラフィ装置において使用することができるような放射源SOの一実施形態をより詳細に示している。この放射源SOは、プラズマ形成部位または照射領域28で形成されるプラズマからEUV放射を発生させる。プラズマは、液滴ジェネレータ90によって発生した、Sn、In、Gdまたはその他の好適な材料の液滴にレーザビームを誘導することによって作り出される。レーザビームが液滴を気化させることでプラズマが生成される。すでに述べたように、このタイプの放射源は、レーザ生成プラズマ放射源またはLPP放射源と呼ばれることもある。LPP光源SOは、光パルス列を生成し、これら光パルスをチャンバ26内に供給するためのシステム22を含んでよい。以下で詳細に示す通り、各光パルスは、システム22からビーム経路に沿って進み、チャンバ26内に入って照射領域28にあるそれぞれのターゲット液滴を照明するものであってよい。なお、本明細書において使用される「照射領域」とは、放射源材料の照射を起こすための領域であり、実際に照射が生じていない場合であっても照射領域と呼ぶことに留意されたい。
【0025】
[0028]
図2に示すシステムSOで好適に使用されるレーザとしては、例えば、DCまたはRF励起によって9.3μmまたは10.6μmの放射を生成する、比較的高出力(例えば、10kW以上)かつ高パルス繰り返し数(例えば、50kHz以上)で動作するパルスガス放電CO
2レーザ装置などのパルスレーザ装置が挙げられる。特定の一実施において、上記レーザは、複数の増幅段を有する発振器−増幅器構成(例えば、主発振器/出力増幅器(MOPA))または出力発振器/出力増幅器(POPA))を有し、比較的低エネルギーかつ高繰り返し数、例えば、100kHzでの動作が可能なQスイッチ式発振器によって開始されるシードパルスを有する軸流RFポンプ式CO
2レーザとすることができる。発振器を出た後、レーザパルスは、照射領域28に達する前に増幅、整形および/または集束され得る。連続ポンプ式CO
2増幅器をシステムSOに使用することもできる。例えば、1台の発振器と3台の増幅器(O−PA1−PA2−PA3構成)を有する好適なCO
2レーザ装置が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2008年10月21日発行の米国特許第7,439,530号に開示されている。また、上記レーザは、液滴が光共振器の1つのミラーとして機能する、いわゆる「自己ターゲット式」レーザシステムとして構成されてもよい。いくつかの「自己ターゲット式」配置では発振器が不要となる場合がある。「自己ターゲット式」レーザシステムは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2009年2月17日発行の米国特許第7,491,954号に開示され、同特許においてクレームされている。
【0026】
[0029] 用途に応じて、その他のタイプのレーザ、例えば、高出力かつ高パルス繰り返し数で動作するエキシマレーザまたはフッ素分子レーザ等が好適となる場合もある。その他の例としては、例えば、ファイバー状、ロッド状、スラブ状またはディスク状の活性媒体を有する固体レーザや、例えば、1つの発振器チャンバと1つ以上の(並列または直列に配置された)増幅チャンバといった、1つ以上のチャンバを有するその他のレーザアーキテクチャ、主発振器/出力発振器(MOPO)配置、主発振器/出力リング増幅器(MOPRA)配置が挙げられ、また、1以上のエキシマ、フッ素分子またはCO
2の増幅器または発振器チャンバにシードを与える固体レーザが好適となる場合もある。その他の設計が好適である場合もある。
【0027】
[0030]
図2にさらに示されるように、EUV光源SOは、チャンバ26内部の照射領域28にターゲット材料の液滴を供給するターゲット材料供給システム24を含んでよく、この照射領域28において、液滴は、例えば、ゼロ、1またはそれ以上のプレパルスとその後に続く1またはそれ以上の主パルスといった、1またはそれ以上の光パルスと相互作用し、最終的にプラズマを生成してEUV発光を発生させる。スズ、リチウム、キセノン等のEUV発光元素は、液体の液滴および/または液体の液滴に含まれる固体粒子の形態であってよい。例えば、スズ元素は、純スズとして使用されても、SnBr
4、SnBr
2、SnH
4等のスズ化合物として使用されても、スズ−ガリウム合金、スズ−インジウム合金、スズ−インジウム−ガリウム合金等のスズ合金として使用されても、これらの組み合わせとして使用されてもよい。使用する材料によって、ターゲット材料は、室温または室温に近い温度を含む様々な温度で(スズ合金、SnBr
4等)、または高温で(純スズ等)、または室温より低い温度(SnH
4等)で照射領域28に置かれ、場合によっては、ターゲット材料は比較的揮発性の材料、例えば、SnBr
4とすることができる。LPP・EUV光源におけるこれらの材料の使用についての詳細は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2008年12月16日発行の米国特許第7,465,946号に書かれている。場合によっては、ターゲット材料が照射領域28に向かう方向に、または照射領域28から離れる方向に誘導されるように、ターゲット材料に電荷がかけられる。
【0028】
[0031] 続けて
図2を参照すると、光源SOは、EUV光学部品30のような、1つまたは複数のEUV光学要素をさらに含んでよい。EUV光学部品30は、例えば、多層ミラー(MLM)、すなわち、Mo/Si多層膜でコーティングされたSiC基板の各界面に追加の薄膜バリア層を堆積させて熱誘導層間拡散を効果的に防止したものとして実現される、法線入射リフレクタの形態のコレクタミラーであってよい。その他の基板材料、例えば、AlまたはSiを使用することもできる。EUV光学部品30は、レーザ光を通過させて照射領域28に到達させるための開口35を有する長楕円形であってよい。EUV光学部品30は、例えば、照射領域28に第1の焦点を持つとともに、いわゆる中間点40(中間焦点40とも呼ばれる)に第2の焦点を持つ楕円形状であってもよく、EUV光はEUV光源SOから出力され、例えば、上述のような集積回路リソグラフィツールに入力され得る。
【0029】
[0032] すでに述べたように、EUV光学部品の表面は、時間の経過とともに、LPPプロセスからの残留物、例えば、コンポーネントのプラズマ浸食による生成物、未気化のターゲット材料、およびその他の可能性のある汚染物質源などによって覆われるようになる。そのため、EUV光学部品30を、好ましくはその場で洗浄するための手段を設ける必要がある。RFプラズマを使用してEUV光学部品30の表面から汚染物質をエッチング処理することが知られているが、実際には、RFプラズマを作り出すための追加のコンポーネントを導入することは既に概説したような追加の問題を引き起こす。したがって、追加のコンポーネントを最小限に抑えてプラズマ洗浄を実現できることが望ましい。本発明では、EUV光学部品30自体の導電性表面を、容量結合RFプラズマを発生させるシステムのための電極として使用することでこれを達成している。
【0030】
[0033] そのような構成を
図3に示す。同図は、本発明の現時点での好適な一実施形態に係るEUV光学部品30の平面図である。
図3の実施形態では、EUV光学部品30の一例としてコレクタミラーが使用されているが、本発明の原理はその他の種類のEUV光学部品にも同様に適用可能であることが当業者であれば理解されるだろう。EUV光学部品30は中央開口35を有し、レーザ放射はこの開口を通過して照射領域28(
図3においては不図示)まで進む。
図3は、EUV光学部品30のオブスキュレーション領域38も示している。
図3の実施形態において、EUV光学部品30の導電性表面は、EUV光学部品30の表面の汚染物質を洗浄することとなる容量結合RFプラズマ生成のための電極として使用される。
【0031】
[0034] そのため、
図3に示す実施形態は、EUV光学部品30の導電性表面にRF出力を結合させるための導電性部材も含む。
図3の例では、電極プレートがそのような導電性部材となっている。なお、要素42は電極プレートと呼ばれるが、ここで使用される「プレート」との用語は、その形状にかかわらず1片の導電材料を広く意味していることに留意されたい。電極プレート42は、EUV光学部品30の表面のうちオブスキュレーション領域38の部分に位置していることが好ましい。中央開口35は、主たるEUV生成プラズマを生成するレーザビームが通過できるように開放されていなければならないため、電極プレート42は、かかる中央開口35を除いたオブスキュレーション領域38にわたって広がることが好ましい。
【0032】
[0035] この配置において、EUV光学部品30自体の表面が、容量結合プラズマを生成するための電源電極として使用される。
図4に示すように、EUV30の表面へのRF出力は、RF供給路45を通じて供給される。
図4はまた、RF電源50およびRFマッチング回路52も示している。EUV光学部品が多層コレクタミラーとして実施される場合、RF供給路45は開口47を通ってコレクタ基板内に入る。
図4にはそのような開口が2つ示されているが、任意の好適な数の開口を使用してよい。
【0033】
[0036]
各RF供給路45は、それぞれの開口47を通って電極プレート42に接続される。電極プレート42は、Mo、Cu、またはAlといった好適な導電材料からなることが好ましい。また、電極プレート42は、EUV30の表面の形状に合致することが好ましく、EUV光学部品30の表面に接触することが好ましい。ただし、電極プレート42は、EUV光学部品30の導電性表面に実際に触れている必要はないことに留意されたい。電極プレート42は、EUV光学部品30の表面にRF出力を結合できるようにEUV光学部品30の導電性表面に十分近接していればよい。
【0034】
[0037] 電極プレート42は、中央開口35を除く、EUV光学部品30の直径全体にわたって広がることが好ましい。電極プレート42の厚さは、好ましくは、約1mm〜約20mmの範囲である。電極プレート42の幅は、好ましくは、約1mm〜40mmの範囲である。その他の寸法の電極プレート42も可能である。すでに述べたように、電極プレート42は、EUV光学部品30の水平オブスキュレーション領域全体に位置していることが好ましい。
【0035】
[0038] 使用時、電極プレート42は、RF出力の良好な導体であるEUV光学部品30の表面にRFエネルギーを結合する。すると、EUV光学部品30の表面は、その表面全体にRF出力を分配することで、ターゲット材料デブリのような汚染物質を表面から洗浄する。RF出力電源は、約100W〜約1000Wの範囲の出力量を供給することが好ましい。
【0036】
[0039]
図4にはシールド部材49も示されている。シールド部材49は、接地された「暗」シールドであって、EUV光学部品30の背後のエリア、すなわち、EUV光学部品の照射領域28に対向しない側でプラズマにぶつかることを避けるために設けられたシールドである。
【0037】
[0040] 上述の説明は、1つまたは複数の実施形態の例示を含んでいる。当然のことながら、上述の実施形態を説明するために、それぞれの部品やそれぞれの方法の考えられ得る全ての組み合わせについて説明することは不可能であるが、当業者であれば、さまざまな実施形態の数多くの別の組み合わせや置き換えが可能であることが認識されるだろう。したがって、説明された実施形態は、添付の特許請求の範囲の精神とその範囲に該当するそのような全ての改変、修正および変更を包含することが意図される。さらに、「含む(includes)」との用語は、詳細な説明または請求項において使用される限り、「備える(comprising)」との用語が請求項における移行語として使用される場合の解釈と同様に、包括的な意味であることが意図されている。また、記載された態様および/または実施形態の各要素は、単数形で記載されている場合であっても、単数形との限定が明示されていない限り複数形も想定される。さらに、別段の記載がない限り、いずれの態様および/または実施形態も、その全部または一部が、他の任意の態様および/または実施形態の全部または一部とともに使用され得る。