(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945327
(24)【登録日】2021年9月16日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】二重管型ノズル、食品混合装置、食品混合方法、およびチーズ類の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23C 19/09 20060101AFI20210927BHJP
B01F 3/12 20060101ALI20210927BHJP
B01F 5/00 20060101ALI20210927BHJP
B01F 15/02 20060101ALI20210927BHJP
B01F 3/18 20060101ALI20210927BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20210927BHJP
【FI】
A23C19/09
B01F3/12
B01F5/00 C
B01F15/02 A
B01F3/18
B01F5/00 B
A23L5/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-76653(P2017-76653)
(22)【出願日】2017年4月7日
(65)【公開番号】特開2018-174754(P2018-174754A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】711002926
【氏名又は名称】雪印メグミルク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】福島 海
(72)【発明者】
【氏名】郷田 雅之
【審査官】
茅根 文子
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3062496(JP,U)
【文献】
特開平10−042791(JP,A)
【文献】
米国特許第05753282(US,A)
【文献】
特開平04−053478(JP,A)
【文献】
特開2002−102751(JP,A)
【文献】
実開昭54−008767(JP,U)
【文献】
特開平04−267844(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第105831372(CN,A)
【文献】
特開平09−118394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C 1/00−23/00
A01J 1/00−99/00
A23G 1/00− 9/52
A23L 2/00−35/00
A21D 2/00−17/00
B01F 1/00− 5/26
B01F 15/00−15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品流出用の二重管型ノズルであって、
第1食品が通過する外管と、
前記外管内に配置され、第2食品が通過する内管とを備え、
前記外管は、前記第1食品が流出する外管側流出口と、当該外管の管壁を貫通し、当該外管内に前記第1食品を流入させる流入口とを備え、
前記内管は、当該内管の下流側端部に前記第2食品が流出する内管側流出口を備え、前記下流側端部が前記外管側流出口から突出し、
前記内管の前記下流側端部は、前記外管の前記流入口側よりも、前記外管を挟んだ前記流入口の反対側の方が前記外管側流出口からの突出長が長く形成されていることを特徴とする二重管型ノズル。
【請求項2】
食品流出用の二重管型ノズルであって、
第1食品が通過する外管と、
前記外管内に配置され、第2食品が通過する内管とを備え、
前記外管は、前記第1食品が流出する外管側流出口と、当該外管の管壁を貫通し、当該外管内に前記第1食品を流入させる流入口とを備え、
前記内管は、当該内管の下流側端部に前記第2食品が流出する内管側流出口を備え、前記下流側端部が前記外管側流出口から突出し、その軸中心が前記外管の軸中心よりも前記流入口側となるように配置されていることを特徴とする二重管型ノズル。
【請求項3】
食品流出用の二重管型ノズルであって、
第1食品が通過する外管と、
前記外管内に配置され、第2食品が通過する内管と、
前記第2食品を分散させる分散部とを備え、
前記外管は、前記第1食品が流出する外管側流出口を備え、
前記内管は、当該内管の下流側端部に前記第2食品が流出する内管側流出口を備え、前記下流側端部が前記外管側流出口から突出していることを特徴とする二重管型ノズル。
【請求項4】
前記第2食品を分散させる分散部を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二重管型ノズル。
【請求項5】
前記外管および前記内管の各々の内部を開放する複数の部材に分解可能に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の二重管型ノズル。
【請求項6】
前記外管は、前記外管側流出口を構成する軸方向の一端の開口と、前記軸方向の他端の開口と、当該外管の管壁を貫通し、当該外管内に前記第1食品を流入させる流入口とを備え、
前記外管に着脱可能に設けられ、前記他端の開口を閉塞する蓋体を備えていることを特徴とする請求項5に記載の二重管型ノズル。
【請求項7】
第1食品と第2食品とを混合させる食品混合装置であって、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の二重管型ノズルと、
前記二重管型ノズルの外管に接続され、前記外管内に前記第1食品を供給する第1食品供給部と、
前記二重管型ノズルの内管に接続され、前記内管内に前記第2食品を供給する第2食品供給部と、
前記二重管型ノズルに対向する位置に配置され、前記二重管型ノズルから流出した前記第1食品および前記第2食品を収容する収容部とを備えていることを特徴とする食品混合装置。
【請求項8】
第1食品と第2食品とを混合させる食品混合方法であって、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の二重管型ノズルの外管内に前記第1食品を供給するとともに、前記二重管型ノズルの内管内に前記第2食品を供給し、前記二重管型ノズルから前記第1食品および前記第2食品を流出させる工程と、
前記二重管型ノズルから流出した前記第1食品および前記第2食品の合流物を収容する工程と、
前記合流物を混合する工程とを備えていることを特徴とする食品混合方法。
【請求項9】
内部に固形食品が散在するチーズ類の製造方法であって、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の二重管型ノズルの外管内に溶融チーズを供給するとともに、前記二重管型ノズルの内管内に前記固形食品を供給し、前記二重管型ノズルから前記溶融チーズおよび前記固形食品を流出させる工程と、
前記二重管型ノズルから流出した前記溶融チーズおよび前記固形食品の合流物を収容する工程と、
前記合流物を混合する工程と、
混合された混合物を冷却して固化させる工程とを備えていることを特徴とするチーズ類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品流出用の二重管型ノズル、食品混合装置、食品混合方法、およびチーズ類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品流出用のノズルとして、内管および外管の二重管構造を有する二重管型ノズルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−85706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の二重管型ノズルでは、
図10に示すように、外管8の流出口(以下、外管側流出口ということがある)81が、内管9の流出口(以下、内管側流出口ということがある)91と同一平面上に位置している。この場合、外管側流出口81の内管9側に遮るものがなく、外管側流出口81から流出した食品に当該流出口81の大きさ以上に広がろうとする力が発生する。このため、例えば、流動性食品が外管8から流出し、固形食品が内管9から流出する場合、流動性食品が外管側流出口81から内管9側に広がって内管側流出口91を濡らしてしまい、そこに内管9から流出した固形食品が付着して堆積することがある。その他、例えば、流動性食品が外管8から流出し、当該食品よりも粘度の高い食品が内管9から流出する場合、同様の理由により、内管9から流出した食品が内管側流出口91に堆積することがある。すなわち、内管9から流出した食品が内管側流出口91で堆積してしまい、内管側流出口91を閉塞してしまうという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、内管から流出する食品が内管側流出口を閉塞してしまうことを防止できる二重管型ノズルおよび当該二重管型ノズルを備えた食品混合装置、ならびに当該二重管型ノズルを使用した食品混合方法およびチーズ類の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の二重管型ノズルは、食品流出用の二重管型ノズルであって、第1食品が通過する外管と、前記外管内に配置され、第2食品が通過する内管とを備え、前記外管は、前記第1食品が流出する外管側流出口を備え、前記内管は、当該内管の下流側端部に前記第2食品が流出する内管側流出口を備え、前記下流側端部が前記外管側流出口から突出していることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、内管の下流側端部が外管側流出口から突出しているので、第1食品が内管の下流側端部によって外管側流出口よりも下流側に案内される。このため、第1食品が内管側に広がることを防止できるので、第2食品が内管側流出口で堆積してしまうことを防止でき、第2食品が内管側流出口を閉塞してしまうことを防止できる。
【0008】
本発明の二重管型ノズルにおいて、前記外管は、当該外管の管壁を貫通し、当該外管内に前記第1食品を流入させる流入口を備え、前記内管の前記下流側端部は、前記外管の前記流入口側よりも、前記外管を挟んだ前記流入口の反対側の方が前記外管側流出口からの突出長が長く形成されていることが好ましい。
【0009】
本発明によれば、第1食品の流入口が外管の管壁を貫通して設けられ、内管の下流側端部が外管の流入口側よりも流入口の反対側で突出長が長く形成されている。このため、第1食品は、流入口の反対側でより長く内管に案内されて真っ直ぐ流れ、流入口側では流入口の反対側の方向に曲がって流れる。その結果、第1食品は、内管の外径よりも小さな内径の筒状の流路を形成しながら流出するので、第1食品によって第2食品を漏れなく取り込むことができる。
【0010】
本発明の二重管型ノズルにおいて、前記外管は、当該外管の管壁を貫通し、当該外管内に前記第1食品を流入させる流入口を備え、前記内管は、その軸中心が前記外管の軸中心よりも前記流入口側となるように配置されていることが好ましい。
【0011】
ここで、外管と同軸に内管を配置した場合、外管側流出口から流出する第1食品の流量は、流入口側の方が流入口の反対側に比べて多くなる。
本発明によれば、内管の軸中心が外管の軸中心よりも流入口側となるように配置されているため、外管側流出口から流出する第1食品の流量を流入口側と流入口の反対側とで略同じにすることができる。このため、外管側流出口から流出した第1食品を真っ直ぐ流出させることができるので、第1食品によって第2食品を漏れなく取り込むことができる。
【0012】
本発明の二重管型ノズルは、前記第2食品を分散させる分散部を備えていることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、第2食品が分散部によって分散され、第1食品に接触する機会が増えるため、第2食品を第1食品内に効率よく取り込むことができる。
【0014】
本発明の二重管型ノズルは、前記外管および前記内管の各々の内部を開放する複数の部材に分解可能に構成されていることが好ましい。
【0015】
本発明によれば、分解により外管および内管の内部を開放することができるので、二重管型ノズル内を容易に洗浄することができる。
【0016】
本発明の二重管型ノズルにおいて、前記外管は、前記外管側流出口を構成する軸方向の一端の開口と、前記軸方向の他端の開口と、当該外管の管壁を貫通し、当該外管内に前記第1食品を流入させる流入口とを備え、前記外管に着脱可能に設けられ、前記他端の開口を閉塞する蓋体を備えていることが好ましい。
【0017】
本発明によれば、外管の開口を閉塞する蓋体が外管に着脱可能に設けられているため、蓋体を取り外せば二重管型ノズルの内部を解放することができるので、二重管型ノズル内を容易に洗浄することができる。
【0018】
本発明の食品混合装置は、第1食品と第2食品とを混合させる食品混合装置であって、前述した本発明の二重管型ノズルと、前記二重管型ノズルの外管に接続され、前記外管内に前記第1食品を供給する第1食品供給部と、前記二重管型ノズルの内管に接続され、前記内管内に前記第2食品を供給する第2食品供給部と、前記二重管型ノズルに対向する位置に配置され、前記二重管型ノズルから流出した前記第1食品および前記第2食品を収容する収容部とを備えていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、食品混合装置が前述した二重管型ノズルを備えているため、第2食品が内管側流出口を閉塞してしまうことを防止しつつ、第2食品を第1食品内に取り込むことができる。
【0020】
本発明の食品混合方法は、第1食品と第2食品とを混合させる食品混合方法であって、前述した本発明の二重管型ノズルの外管内に前記第1食品を供給するとともに、前記二重管型ノズルの内管内に前記第2食品を供給し、前記二重管型ノズルから前記第1食品および前記第2食品を流出させる工程と、前記二重管型ノズルから流出した前記第1食品および前記第2食品の合流物を収容する工程と、前記合流物を混合する工程とを備えていることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、前述した食品混合装置と同様の効果が得られる。
【0022】
本発明のチーズ類の製造方法は、内部に固形食品が散在するチーズ類の製造方法であって、前述した本発明の二重管型ノズルの外管内に溶融チーズを供給するとともに、前記二重管型ノズルの内管内に前記固形食品を供給し、前記二重管型ノズルから前記溶融チーズおよび前記固形食品を流出させる工程と、前記二重管型ノズルから流出した前記溶融チーズおよび前記固形食品の混合物を収容する工程と、前記合流物を混合する工程と、混合された混合物を冷却して固化させる工程とを備えていることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、前述した二重管型ノズルで溶融チーズと固形食品とを流出させるため、固形食品が内管側流出口を閉塞してしまうことを防止しつつ、固形食品を溶融チーズ内に取り込むことができ、内部に固形食品が散在したチーズ類を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る食品混合装置の模式図。
【
図2】第1実施形態に係る二重管型ノズルの下方からの斜視図。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る二重管型ノズルの下方からの斜視図。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る二重管型ノズルの下方からの斜視図。
【
図9】本発明の第4実施形態に係る二重管型ノズルの下方からの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて本発明の各実施形態について説明する。
なお、第2実施形態以降において、第1実施形態と同じ構成部材および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0026】
[第1実施形態]
図1において、食品混合装置1は、第1食品と第2食品とを混合させる装置である。ここで、第1食品としては、溶融チーズ、ヨーグルト、ゼリー等の流動性を有する食品が例示される。また、第2食品としては、ナッツ、アーモンド、粒コショー、果肉等の固形食品が例示される。本実施形態の場合、食品混合装置1は、第1食品としての溶融チーズと、第2食品としてのナッツとを混合させる装置であって、チーズ類の製造装置でもある。
【0027】
食品混合装置1は、第1食品供給部2、第2食品供給部3、二重管型ノズル(以下、単にノズルということがある)4、収容部5、混合部6、および熱処理部7を備えている。
【0028】
第1食品供給部2は、ホッパ21と、ホッパ21に接続したポンプ22と、ポンプ22とノズル4とを接続する供給管23と、供給管23に接続した流量計24とを備えている。
ホッパ21は、溶融チーズを貯留可能に構成されている。ホッパ21は、溶融チーズをポンプ22に導入するシュート21Aを備えている。
ポンプ22は、シュート21A内に収容されたスクリュー22Aと、スクリュー22Aをその軸回りに回転させるモータ22Bとを備え、スクリュー22Aの回転によって溶融チーズを供給管23内に送出する。
【0029】
第2食品供給部3は、ホッパ31と、ホッパ31に接続したポンプ32と、ポンプ32に接続された供給管33と、重量測定用の図示しないロードセルとを備えている。
ホッパ31は、ナッツを貯留可能に構成されている。
ポンプ32は、ホッパ31のシュート31Aおよび供給管33内に収容されたスクリュー32Aと、スクリュー32Aをその軸回りに回転させるモータ32Bとを備え、スクリュー32Aの回転によってナッツを供給管33内に送出する。
供給管33は、下流側に向かって内径が小さくなる縮径部が設けられた漏斗部33Aを備えている。
【0030】
ノズル4は、
図2から
図4にも示すように、外管41および内管42の二重管構造を有している。ノズル4は、本体40と蓋体43とに分解可能に構成され、分解により外管41および内管42の各々の内部を開放できるようになっている。
【0031】
本体40は、外管41と、外管41内に外管41に沿って配置された内管42とを備えている。外管41および内管42は、互いの中心軸が同軸となるように配置されている。外管41には、供給管23が接続され、内管42には、供給管33の漏斗部33Aの下流側端部が挿入されている。
【0032】
外管41は、軸方向の一端である下流端の開口からなる外管側流出口41Aと、軸方向の他端である上流端の開口41Bと、当該外管41の管壁41Cを貫通し、当該外管41内に溶融チーズを流入させる流入口41Dと、流入口41Dから延設され、供給管23に接続される接続管部41Eとを備えている。
【0033】
内管42は、下流端の開口からなる内管側流出口42Aを備えている。内管42は、外管41よりも長く形成されており、下流側端部42Bが外管側流出口41Aを通って当該外管側流出口41Aから突出している。内管42の直径は、5〜30mmが好ましい。また、下流側端部42Bの突出長D1(
図4参照)は、2〜20mmが好まく、外管側流出口41Aにおける下流側端部42Bと外管41との間隔G(
図4参照)は、2〜10mmが好ましい。
【0034】
蓋体43は、中央部に貫通孔43Aが形成された円板状に形成されている。蓋体43は、外管41に着脱可能に設けられ、外管41の上流端の開口41Bを閉塞する。蓋体43は、溶融チーズが漏れ出さないように外管41に取り付けられており、例えば、ヘルールパッキンを介して外管41に取り付けられたり、蓋体43をユニオンとして外管41にねじ込まれたり、ボルト締めによって外管41に取り付けられたりする。貫通孔43Aの内径は、内管42の上流端の内径と同じ大きさとされ、貫通孔43Aおよび内管42内に、供給管33の漏斗部33Aの下流側端部が挿入される。
【0035】
収容部5は、ノズル4の外管側流出口41Aおよび内管側流出口42Aに対向する位置に配置されている。収容部5は、ホッパ51と、ホッパ51に接続したポンプ52と、ポンプ52に接続された送出管53とを備えている。
ホッパ51は、ノズル4の下方に配置され、外管側流出口41Aから流出した溶融チーズと、内管側流出口42Aから流出したナッツとを収容する。
ポンプ52は、ホッパ51内に収容された溶融チーズとナッツとの合流物を送出管53を介して混合部6に送出する。
【0036】
混合部6は、ダイナミックミキサやスタティックミキサ等の図示しないインライン型の混合機を備えている。混合部6には、熱処理部7が接続されている。
【0037】
熱処理部7は、ヒーターや二重管型加熱機等の図示しない加熱器を備えている。
【0038】
次に、食品混合装置1で溶融チーズとナッツとを混合させ、チーズ類を製造する方法について、
図1を参照して説明する。
先ず、ホッパ21内に溶融チーズを収容するとともに、ホッパ31内にナッツを収容する。溶融チーズは、予め溶融させたものをホッパ21内に収容してもよいし、ホッパ21内でヒーター等の加熱器によって溶融してもよい。
【0039】
その後、ポンプ22、32、52を駆動し、流量計24および図示しないロードセルの検出結果に基づいて、ホッパ21からノズル4の外管41内に溶融チーズを供給するとともに、ノズル4の内管42内にナッツを供給する。すると、外管側流出口41Aから溶融チーズが内管42の形状に応じた筒状の流路を形成しながら流出し、内管側流出口42Aから溶融チーズの筒状の流路内に向けてナッツが流出する。この際、内管42の下流側端部42Bが外管側流出口41Aから突出していることで、
図4にも示すように、溶融チーズが内管42によって外管側流出口41Aよりも下方に案内されて落下する。このため、溶融チーズが内管42側に広がることを防止できるので、ナッツが内管側流出口42Aで堆積してしまうことを防止でき、ナッツが内管側流出口42Aを閉塞してしまうことを防止できる。
【0040】
また、溶融チーズがナッツを包み込みながらホッパ51内に落下するので、ナッツが溶融チーズとともにホッパ51内の合流物に潜り込んで、溶融チーズとナッツとがホッパ51内で合流する。ホッパ51内の合流物は、ポンプ52によって混合部6に送出され、混合部6にて分散混合後、熱処理部7で加熱殺菌される。殺菌された混合物は、図示しない冷却器で冷却されて固化し、内部にナッツが散在したチーズ類が製造される。
【0041】
本実施形態によれば、内管42の下流側端部42Bが外管側流出口41Aから突出しているので、溶融チーズが内管42の下流側端部42Bによって外管側流出口41Aよりも下流側に案内される。このため、溶融チーズが内管42側に広がることを防止できるので、ナッツが内管側流出口42Aで堆積してしまうことを防止でき、ナッツが内管側流出口42Aを閉塞してしまうことを防止できる。
【0042】
また、分解により外管41および内管42の内部を開放することができるので、ノズル4内を容易に洗浄することができる。具体的には、外管41の開口41Bを閉塞する蓋体43が外管41に着脱可能に設けられているため、蓋体43を取り外せばノズル4内部を解放することができるので、ノズル4内を容易に洗浄することができる。
【0043】
また、食品混合装置1がノズル4を備えているため、ナッツが内管側流出口42Aを閉塞してしまうことを防止しつつ、ナッツを溶融チーズ内に取り込むことができ、内部にナッツが散在したチーズ類を製造することができる。
【0044】
[第2実施形態]
本実施形態では、
図5および
図6に示すように、ノズル4Aの内管45の下流側端部45Bの形状が、第1実施形態と相違する。
内管45の下流側端部45Bは、外管41を挟んだ流入口41Dの反対側が軸方向に対して下方に傾斜した先端形状を有しており、流入口41D側よりも流入口41Dの反対側の方が外管側流出口41Aからの突出長が長く形成されている。下流側端部45Bにおける流入口41D側の突出長D2と、流入口41Dの反対側の突出長D3との差DL(
図6参照)は、5〜20mmが好ましい。
【0045】
ここで、流入口41Dが外管41の管壁41Cに設けられている場合、溶融チーズの流速や粘度、外管41や内管45の寸法等によっては、外管側流出口41Aから流出した溶融チーズが、全体的に流入口41Dの反対側に曲がりながら落下することがある。これは、流入口41Dから流入した溶融チーズが、外管41内を下方に流れるだけでなく、流入口41Dの反対側に向かって流れることが1つの要因と考えられる。この場合、外管側流出口41Aから流出する溶融チーズの流量は、流入口41D側の方が流入口41Dの反対側に比べて多くなることも解っている。
【0046】
本実施形態では、内管45の下流側端部45Bは、外管41の流入口41D側よりも、流入口41Dの反対側の方が外管側流出口41Aからの突出長が長く形成されている。このため、溶融チーズは、
図6に示すように、流入口41Dの反対側でより長く内管45に案内されて真っ直ぐ落下し、流入口41D側では流入口41Dの反対側に曲がりながら落下する。その結果、溶融チーズは、内管45の外径よりも小さな内径の筒状の流路を形成しながら落下するので、内管側流出口45Aから流出したナッツが溶融チーズに接触する機会が増え、ナッツを溶融チーズ内に効率よく取り込むことができる。
【0047】
本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、溶融チーズが内管45の外径よりも小さな内径の筒状の流路を形成しながら流出するので、ナッツを溶融チーズ内に効率よく取り込むことができる。
【0048】
[第3実施形態]
本実施形態では、
図7および
図8に示すように、ノズル4Bの内管42が外管41内で流入口41D側に寄って配置された点が、第1実施形態と相違する。
内管42は、その軸中心が外管41の軸中心よりも流入口41D側となるように配置されている。そのため、外管側流出口41Aにおける外管41と内管42との間隔G1、G2(
図8参照)は、流入口41D側で狭く、流入口41Dの反対側で広くなっている。
【0049】
ここで、外管41内の中央に、つまり外管41と同軸に内管42を配置した場合、前記のように、外管側流出口41Aから流出する溶融チーズの流量は、流入口41D側の方が流入口41Dの反対側に比べて多くなる。
これに対し、本実施形態のように、外管41内で内管42を流入口41D側に配置すれば、外管側流出口41Aから流出する溶融チーズの流量を流入口41D側と流入口41Dの反対側とで略同じにすることができる。このため、外管側流出口41Aから流出した溶融チーズを真っ直ぐ落下させることができるので、溶融チーズによってナッツを漏れなく取り込むことができる。
【0050】
本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、外管側流出口41Aから流出する溶融チーズの流量を流入口41D側と流入口41Dの反対側とで略同じにすることができ、溶融チーズを真っ直ぐ落下させることができるので、溶融チーズによってナッツを漏れなく取り込むことができる。
【0051】
[第4実施形態]
本実施形態では、
図9に示すように、ノズル4Cが分散部44を備えた点が、第1実施形態と相違する。
分散部44は、略円錐形状に形成された案内部44Aと、案内部44Aの底部から放射状に延設された放射部44Bとを備えている。分散部44は、内管側流出口42A内に設けられ、放射部44Bの先端部が内管42の内壁に支持されている。
【0052】
以上のノズル4Bでは、内管42を通過したナッツが分散部44に当たって内管側流出口42Aから流出する。この際、ナッツは、案内部44Aによって内管42の軸中心側から管壁側に案内されて分散する上、放射部44Bによってさらに分散する。
【0053】
本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、ナッツが分散部44によって分散され、溶融チーズに接触する機会が増えるため、ナッツを溶融チーズ内に効率よく取り込むことができる。
【0054】
[変形例]
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、食品混合装置1は、収容部5に代えて、収容部としての容器を備えてもよい。この場合、容器に収容された合流物を容器から混合部6に流し込んでもよい。
熱処理部7は、第1食品を加熱殺菌しない場合なくてもよい。
【0055】
供給管33は、漏斗部33Aを備えていなくてもよい。
供給管33とノズル4との接続方法は、前記実施形態のものに限られず、例えば、ヘルールパッキンやユニオンを介して、ノズル4に供給管33を取り付けてもよい。
【0056】
ノズル4、4A、4Bは、分散部44を備えていてもよい。
外管41および内管42は、直線形状に限られず、曲線形状を有してもよい。
外管41の流入口41Dは、上流端の開口41Bで構成されてもよい。この場合、第1食品は、第2食品と同様に上方から管内に流れ込み、下方に流出する。
分散部44は、第2食品が当たって流れも向きが変わるものであれば、前記実施形態の形状に限られず、例えば、格子形状に形成されてもよい。また、案内部44Aは、三角錐や四角錐等の多角錐形状や、球形状に形成されてもよいし、案内部44Aを設けなくてもよい。また、放射部44Bの数は、前記実施形態のものに限られず、3つ以下でもよいし、5つ以上でもよい。
内管45は、内管42と同様に、外管41内で流入口41D側に寄って配置されてもよい。
【0057】
第1食品は、固形食品でもよく、第2食品は、流動性を有する食品でもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…食品混合装置、2…第1食品供給部、3…第2食品供給部、4…二重管型ノズル、5…収容部、41…外管、41A…外管側流出口(一端の開口)、41B…他端の開口、41C…管壁、41D…流入口、42…内管、42A…内管側流出口、42B…下流側端部、43…蓋体、44…分散部。