(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945336
(24)【登録日】2021年9月16日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】ウエハ検査装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20210927BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
H01L21/66 B
H01L21/02 D
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-85424(P2017-85424)
(22)【出願日】2017年4月24日
(65)【公開番号】特開2018-186128(P2018-186128A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2019年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】秋山 収司
(72)【発明者】
【氏名】保坂 広樹
【審査官】
今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−027818(JP,A)
【文献】
特開2015−144155(JP,A)
【文献】
特開2011−075351(JP,A)
【文献】
特開2007−109759(JP,A)
【文献】
特開2014−075420(JP,A)
【文献】
特開平10−291607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向及び横方向に配列された複数の検査部を有するウエハ検査装置であって、
横方向に配列された複数の検査部を含む循環領域の長手方向の両端部に、前記循環領域内の空気を循環させる一対の空気循環手段が配設されており、
前記空気循環手段は、前記循環領域内に清浄空気を吹き出すファンフィルタユニットを含む、
ウエハ検査装置。
【請求項2】
前記一対の空気循環手段は、前記循環領域ごとに配設されている、
請求項1に記載のウエハ検査装置。
【請求項3】
前記一対の空気循環手段は、高さ方向を回転軸とした回転方向に空気の循環経路を形成する、
請求項1又は2に記載のウエハ検査装置。
【請求項4】
前記一対の空気循環手段のうち、一方の空気循環手段の前記ファンフィルタユニットと他方の空気循環手段の前記ファンフィルタユニットとが対角線上に位置する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のウエハ検査装置。
【請求項5】
前記空気循環手段は、前記循環領域内から空気を吸引する吸引ファンを含み、
前記一対の空気循環手段のうち、一方の空気循環手段の前記吸引ファンと他方の空気循環手段の前記吸引ファンとが対角線上に位置する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のウエハ検査装置。
【請求項6】
前記空気循環手段は、前記循環領域を開閉自在に密封する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のウエハ検査装置。
【請求項7】
前記循環領域内に前記循環領域の空気の露点を低下させる乾燥空気を供給する乾燥空気供給手段を有する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のウエハ検査装置。
【請求項8】
前記循環領域は、−40度以下の露点温度に維持することができる、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のウエハ検査装置。
【請求項9】
前記空気循環手段の動作を制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記検査部の動作状態に応じて、前記空気循環手段から前記循環領域に吹き出される前記空気の風量を制御する、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のウエハ検査装置。
【請求項10】
前記循環領域には露点センサが設けられており、
前記制御手段は、前記露点センサの検出値に基づいて、前記空気循環手段から前記循環領域に吹き出される前記空気の風量を制御する、
請求項9に記載のウエハ検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、クリーンルームや半導体製造装置の内部といった清浄度が要求される箇所にファンフィルタユニット(FFU)を設置し、内部環境を清浄化することが行われている。また、プローバ装置等の検査装置においても、低温検査の要求により、検査部の内部の空気を、FFUを介して循環させる技術が利用されるようになってきている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近年、検査工程のスループット向上の観点から、高さ方向及び横方向に複数の検査部が配列されたウエハ検査装置が開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−144155号公報
【特許文献2】特開2014−075420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、高さ方向及び横方向に複数の検査部が配列されたウエハ検査装置においては、検査部ごとにFFUを設置しようとすると多くの設置スペースが必要となる。また、FFUごとに制御系等を用意する必要があるため煩雑になる。
【0006】
そこで、本発明では、高さ方向及び横方向に複数の検査部が配列されたウエハ検査装置において、省スペース且つ効果的に検査部の内部の清浄度を維持することが可能なウエハ検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るウエハ検査装置は、高さ方向及び横方向に配列された複数の検査部を有するウエハ検査装置であって、横方向に配列された複数の検査部を含む循環領域の長手方向の両端部に、前記循環領域内の空気を循環させる一対の空気循環手段が配設されて
おり、前記空気循環手段は、前記循環領域内に清浄空気を吹き出すファンフィルタユニットを含む。
【発明の効果】
【0008】
開示のウエハ検査装置によれば、高さ方向及び横方向に複数の検査部が配列されたウエハ検査装置において、省スペース且つ効果的に検査部の内部の清浄度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るウエハ検査装置の一例を示す概略断面図
【
図2】
図1における一点鎖線A−Aにおいて切断した断面図
【
図4】メンテナンス時の空気循環手段の状態の一例を示す図
【
図5】メンテナンス時の空気循環手段の状態の別の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0011】
〔ウエハ検査装置〕
本発明の実施形態に係るウエハ検査装置は、高さ方向及び横方向に複数の検査部を搭載し、これらの検査部が独立で同時にウエハを検査し、高速なロット処理が可能なウエハ一括テストシステムである。また、横方向に配列された複数の検査部を含む循環領域の長手方向の両端部に一対の空気循環手段を配設することで、循環領域内の空気を循環させ、省スペース且つ効果的に検査部の内部の清浄度を維持する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るウエハ検査装置の一例を示す概略断面図である。
図2は、
図1における一点鎖線A−Aにおいて切断した断面図である。
【0013】
図1及び
図2に示されるように、ウエハ検査装置10は、検査室11を備える。検査室11は、検査領域12と、搬出入領域13と、搬送領域14とを有する。なお、検査領域12及び搬送領域14が循環領域Pを構成する。
【0014】
検査領域12は、ウエハWに形成された各半導体デバイスの電気特性の検査を行う領域であり、複数の検査部を有する。検査領域12には、複数の検査部に対応して、複数のウエハ検査用のインターフェースとしてのテスタ15が配置される。具体的に、検査領域12は水平に配列された複数のテスタ15からなるテスタ列の多段構造、例えば3段構造を有し、テスタ列の各々に対応して1つのテスタ側カメラ16が配置される。各テスタ側カメラ16は対応するテスタ列に沿って水平に移動し、テスタ列を構成する各テスタ15の前に位置して搬送ステージ18が搬送するウエハW等の位置を確認する。
【0015】
搬出入領域13は、検査室11に対するウエハWの搬出入を行う領域である。搬出入領域13は、複数の収容空間17に区画されている。各収容空間17には、複数のウエハWを収容する容器であるFOUPを受け入れるポート17a、ウエハWの位置合わせを行うアライナ17b、プローブカードが搬出入されるローダ17c、ウエハ検査装置10の各部の動作を制御するコントローラ17dが配置される。コントローラ17dは、制御手段の一例である。
【0016】
搬送領域14は、検査領域12及び搬出入領域13の間に設けられた領域である。搬送領域14には、搬送領域14だけでなく検査領域12や搬出入領域13へも移動自在な搬送ステージ18が配置される。搬送ステージ18は、搬出入領域13のポート17aからウエハWを受け取り各テスタ15へ搬送すると共に、半導体デバイスの電気特性の検査が終了したウエハWを各テスタ15からポート17aへ搬送する。
【0017】
循環領域Pの長手方向(図中のX方向)の両端部には、循環領域P内の空気を循環させる一対の空気循環手段20が配設されている。一対の空気循環手段20は、
図2に示されるように、高さ方向に複数形成された循環領域Pごとに配設されている。図示の例では、高さ方向に3つの循環領域Pが形成されており、それぞれの循環領域Pに一対の空気循環手段20が配設されている。
【0018】
図3は、空気循環手段20の一例を示す図である。
図3に示されるように、一対の空気循環手段20は、循環領域Pの長手方向の一端に設けられた空気循環手段20aと、循環領域Pの長手方向の他端に設けられた空気循環手段20bと、を含む。空気循環手段20aは、ファンフィルタユニット(FFU)21a、吸引ファン22a、ダクト23a、及びブラケット24aを有する。空気循環手段20bは、FFU21b、吸引ファン22b、ダクト23b、及びブラケット24bを有する。
【0019】
FFU21a,21bは、それぞれダクト23a,23bからの空気を通過させて防塵するフィルタと、フィルタで防塵された清浄空気を循環領域P内に吹き出す吹出ファンとを含む。FFU21a及びFFU21bは、循環領域Pの対角線上に位置するように設けられている。FFU21a,21bは、コントローラ17dにより、吹出ファンの回転数が制御されることで、循環領域P内に吹き出す清浄空気の風量が調整される。循環領域P内に吹き出す清浄空気の風量は、例えば循環領域Pの大きさ等に応じて定められる。また、コントローラ17dは、複数の検査部の動作状態に応じて、FFU21a,21bから循環領域P内に吹き出す清浄空気の風量を自動的に制御してもよい。
【0020】
吸引ファン22a,22bは、循環領域P内から空気を吸引する。吸引ファン22a,22bにより循環領域P内から吸引された空気は、それぞれダクト23a,23bに送られる。吸引ファン22a,22bを設けることで、循環領域P内の空気をダクト23a,23b内に効率よく送ることができるので、循環領域P内の空気を効率よく循環させることができる。なお、FFU21a,21bのみで循環領域P内の空気を効率よく循環させることができれば、吸引ファン22a,22bを設けなくてもよい。
【0021】
ダクト23a,23bは、それぞれ一方の端部がFFU21a,21bに接続され、他方の端部が吸引ファン22a,22bに接続されている。ダクト23a,23bは、それぞれ吸引ファン22a,22bが吸引した空気をFFU21a,21bへ送る。
【0022】
FFU21a,21b及び吸引ファン22a,22bを動作させることにより、
図3の紙面反時計回りの空気の循環経路Rが形成される。即ち、一対の空気循環手段20は、高さ方向(図中のZ方向)を回転軸とした回転方向に空気の循環経路Rを形成する。
【0023】
また、循環領域Pには、空気の露点を低下させる乾燥空気(ドライエア)を、循環領域Pの複数の箇所に供給可能な乾燥空気供給手段30が設けられている。乾燥空気供給手段30は、複数の乾燥空気供給ノズル31を有し、それぞれの乾燥空気供給ノズル31から所定(例えば60L/min)の風量の乾燥空気を循環領域P内に供給可能となっている。乾燥空気供給ノズル31には、複数(例えば5つ)の吐出孔が形成されている。なお、図示の例では、5つの乾燥空気供給ノズル31が循環経路Rに沿って所定の間隔を有して設けられている。
【0024】
また、循環領域Pの内部には、露点センサ40が設けられていてもよい。コントローラ17dは、露点センサ40により検出される検出値に基づいて、FFU21a,21b及び/又は吸引ファン22a,22bを制御することで、循環領域P内に吹き出す清浄空気の風量を調整してもよい。また、コントローラ17dは、露点センサ40により検出される検出値に基づいて、乾燥空気供給手段30から循環領域P内に供給する乾燥空気の風量を調整してもよい。なお、図示の例では、2つの露点センサ40が設けられているが、露点センサ40は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0025】
このようにウエハ検査装置10では、循環領域P内に乾燥空気を供給すると共に、循環領域P内の空気を循環させることで、循環領域P内を低温(例えば−40度以下の露点温度)、且つ清浄な環境(例えばクラス1000、クラス100)に維持することができる。そして、低温且つ清浄な環境に維持された循環領域P内で、各テスタ15がウエハWの各半導体デバイスに電気信号を印加して電気特性を検査する。このとき、搬送ステージ18が一のテスタ15へ向けてウエハWを搬送している間に、他のテスタ15は他のウエハWの各半導体デバイスの電気特性を検査することができる。そのため、ウエハWの検査効率を向上させることができる。
【0026】
図4は、メンテナンス時の空気循環手段20の状態の一例を示す図である。
図4では、一方の空気循環手段20aを開いてメンテナンスを行うときの状態を示している。
図4に示されるように、空気循環手段20aは、循環領域Pを開閉自在に密封する。具体的には、ウエハ検査装置10の動作時等の通常時には、空気循環手段20aは循環領域Pの端部に形成された開口を密封する。一方、ウエハ検査装置10のメンテナンス時には、空気循環手段20aは、高さ方向を回転軸として、FFU21a、吸引ファン22a、及びダクト23aを回転させる。これにより、循環領域Pの端部に形成された開口が開かれる。これにより、容易に循環領域P内のメンテナンスを実施することができる。
【0027】
図5は、メンテナンス時の空気循環手段20の状態の別の例を示す図である。
図5では、他方の空気循環手段20bを開いてメンテナンスを行うときの状態を示している。
図5に示されるように、空気循環手段20bは、循環領域Pを開閉自在に密封する。具体的には、ウエハ検査装置10の動作時等の通常時には、空気循環手段20bは循環領域Pの端部に形成された開口を密封する。一方、ウエハ検査装置10のメンテナンス時には、空気循環手段20bは、吸引ファン22bを回転させることなく、高さ方向を回転軸として、FFU21b、及びダクト23bの一部を回転させる。これにより、循環領域Pの端部に形成された開口の一部が開かれる。これにより、容易に循環領域P内のメンテナンスを実施することができる。
図5の例では、通常時及びメンテナンス時に吸引ファン22bを回転させることがないので、回転半径を小さくすることができる。そのため、循環領域Pの端部の近傍にチラー配管等が設置されている場合であっても、空気循環手段20bがチラー配管等と干渉することを防止することができる。
【0028】
〔実施例〕
次に、本発明の実施形態に係るウエハ検査装置10の効果を確認するための実施例について説明する。
図6は、パーティクル測定点を説明するための図である。
【0029】
実施例では、ウエハ検査装置10の循環領域P内のパーティクル数を、粒子計数器(パーティクルカウンタ)を用いて測定した。具体的には、ウエハ検査装置10を停止させた状態(以下「停止状態」ともいう。)、及びウエハ検査装置10を動作させた状態(以下「動作状態」ともいう。)のそれぞれにおいて、
図6に示されるA,B,C,Dの4箇所のパーティクル数を測定した。動作状態は、ウエハの検査を実行している状態、ウエハを搬送している状態等を含む。
【0030】
停止状態及び動作状態のそれぞれにおいて、A,B,C,Dの箇所でパーティクル数を測定した結果、停止状態では、いずれの箇所においても、クラス100の気中パーティクル濃度限界基準を満たしていた。また、動作状態では、いずれの箇所においても、クラス1000の気中パーティクル濃度限界基準を満たしていた。
【0031】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【0032】
上記の実施形態では、高さ方向に3段、横方向に4つの検査部が配列されたウエハ検査装置10を例に挙げて説明したが、これに限定されず、高さ方向の段数は1段以上であればよく、横方向の数は2つ以上であればよい。
【符号の説明】
【0033】
10 ウエハ検査装置
11 検査室
12 検査領域
13 搬出入領域
14 搬送領域
17d コントローラ
20,20a,20b 空気循環手段
21a,21b FFU
22a,22b 吸引ファン
30 乾燥空気供給手段
31 乾燥空気供給ノズル
40 露点センサ
P 循環領域
R 循環経路