(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転テーブルの異なる位置は、前記回転テーブルの半径方向において、前記基板の中心位置、内側の所定位置、外側の所定位置を含む請求項2に記載の基板反り監視装置。
前記演算手段は、前記複数の基板のうち少なくとも1つの基板の反り量が所定の閾値を超えていると判定したときには、アラーム信号を発する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板反り監視装置。
前記演算手段は、前記複数の基板載置領域のうち少なくとも1つの基板載置領域から受光した前記反射光が、前記基板からではなく前記回転テーブルから反射されたときの計測値であると判定したときには、前記少なくとも1つの基板載置領域から前記基板が脱離したと判定し、アラーム信号を発する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板反り監視装置。
複数の光学式変位計を用いて、前記基板の異なる位置について、前記反射光の計測値を参照値として記憶する工程、前記基板の表面プロファイルを計測する工程及び前記基板の形状を算出する工程を実施する請求項10に記載の基板反り監視方法。
前記基板の反り量を算出する工程において、前記複数の基板のうち少なくとも1つの基板の反り量が所定の閾値を超えていると判定したときには、前記回転テーブルを減速又は停止させる請求項10乃至12のいずれか一項に記載の基板反り監視方法。
前記基板の反り量を算出する工程において、前記複数の基板載置領域のうち少なくとも1つの基板載置領域から受光した前記反射光が、前記基板からではなく前記回転テーブルから反射されたときの計測値であると判定したときには、前記少なくとも1つの基板載置領域から前記基板が脱離したと判定し、前記回転テーブルの回転を停止させる請求項10乃至13のいずれか一項に記載の基板反り監視方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る基板反り監視装置及びこれを用いた基板処理装置の一例を示した構成図である。また、
図2は、本発明の実施形態に係る基板反り監視装置が適用される基板処理装置の内部構造の斜視図であり、
図3は、本発明の実施形態に係る基板反り監視装置が適用される基板処理装置の内部構造の上面図である。
【0012】
なお、基板処理装置は、回転テーブルを回転させながら基板の処理を行う装置であれば、種々の基板処理装置が適用可能であるが、本実施形態においては、基板処理装置が成膜装置として構成された例を挙げて説明する。
【0013】
図1から
図3までを参照すると、成膜装置は、ほぼ円形の平面形状を有する扁平なチャンバ1と、このチャンバ1内に設けられ、チャンバ1の中心に回転中心を有する回転テーブル2と、を備えている。チャンバ1は、処理対象となる基板を収容し、基板に成膜処理を行うための処理容器である。
図1に示すように、チャンバ1は、有底の円筒形状を有する容器本体12と、容器本体12の上面に対して、例えばOリングなどのシール部材13を介して気密に着脱可能に配置される天板11とを有している。
【0014】
天板1の一部には、窓16が形成されている。窓16には、例えば、石英ガラスが設けられ、チャンバ1の外部から内部が視認可能に構成される。
【0015】
また、チャンバ1は、真空ポンプ640に接続された排気口610を有し、真空排気可能な真空容器として構成されてもよい。
【0016】
回転テーブル2は、基板を載置するための載置台である。回転テーブル2は、表面に円形窪み状の凹部24を有し、凹部24上に基板を支持する。
図1においては、凹部24上に半導体ウエハWが基板として載置された状態が示されている。基板は、必ずしも半導体ウエハWには限定されないが、以下、基板として半導体ウエハW(以下「ウエハ」という。)が用いられた例を挙げて説明する。
【0017】
また、モータ23には、エンコーダ25が設けられており、回転軸22の回転角度を検出できるように構成されている。本実施形態に係る基板反り監視装置においては、回転テーブル2上の各々の凹部24に載置された各々のウエハWの反り状態を総て監視するため、凹部24とウエハの対応及びそれらの位置特定手段として、エンコーダ25を用いている。
【0018】
天板11の窓16の上方には、レーザ変位計110が設けられる。レーザ変位計110は、回転テーブル2の凹部24上に存在するウエハWの表面プロファイルを計測するための手段である。レーザ変位計110は、レーザ照射部111とレーザ受光部112とを備え、レーザ照射部111からウエハWの上面にレーザを照射し、反射したレーザをレーザ受光部112が受光することにより、レーザ変位計110とウエハWとの間の距離を測定する。よって、回転テーブル2を回転させてウエハWが回転方向に沿って移動したときには、レーザ照射位置におけるウエハWの表面プロファイルを計測することができる。即ち、ウエハWの表面の凹凸に応じてレーザ変位計110とウエハWとの間の距離が変化するため、ウエハWの表面の凹凸の変化、つまり表面プロファイルを計測することができる。例えば、ウエハWの中心にレーザを照射するようにすれば、ウエハWの中心を通るラインの表面プロファイルを計測することができる。
【0019】
なお、本実施形態においては、レーザ光を照射光とし、レーザ変位計110を用いた例を挙げて説明するが、変位計は、非接触式の光学的変位計であれば、種々の変位計を用いることができる。例えば、LED光を用いたLED変位計を用いてもよいし、光源をランプ光とし、ランプ光を用いて変位を検出可能な変位計を用いるようにしてもよい。また、変位計として、共焦点式変位計を用いてもよい。このように、本実施形態に係る基板反り監視装置は、非接触式の光学的変位計であれば、種々の変位計を用いることができる。但し、以下の実施形態では、説明の容易のため、レーザ変位計110を用いた例について説明する。
【0020】
演算部120は、レーザ変位計110で計測したウエハWの表面プロファイル情報に基づいて、凹部24上のウエハWの反り量を算出する手段である。演算部120は、用途に応じて、適切な演算処理手段が選択されてよい。例えば、演算部120は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、メモリを有し、プログラムによって動作するマイクロコンピュータや、特定の用途のために設計、製造される集積回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の演算処理手段として構成されてもよい。
【0021】
なお、演算部120は、ウエハWの表面プロファイルだけではなく、レーザ変位計110で計測した所定の参照面からの計測値を参照値として用いてウエハWの反り量を算出するが、この点の詳細については後述する。
【0022】
また、演算部120は、エンコーダ25からの信号を受信し、ウエハWの反り量が所定の閾値を超えていることが検出されたときに、どの凹部24上のどのウエハWの反り量が閾値を超えているのかの特定も行う。演算部120は、ウエハWの反り量が閾値を超えていると判定したら、アラーム信号を制御部100に出力する。
【0023】
記憶部130は、レーザ変位計110が計測した参照面の計測値を記憶するための記憶手段である。記憶部130は、演算部120と独立して示しているが、演算部120内に組み込まれて設けられていてもよい。つまり、上述の演算部120内のメモリを記憶部130として機能させてもよい。
【0024】
演算部120は、記憶部130に記憶された参照面の計測値を参照値として用いて、ウエハWの反り量を算出する。なお、その演算処理の詳細については後述する。
【0025】
また、本実施形態に係る基板反り監視装置は、ウエハ処理中におけるウエハWの反りを常時監視し、ウエハWの反り量が所定の閾値を超えた段階で回転テーブル2の回転を減速又は停止させてウエハWの脱離を防ぐことを主たる目的としているが、ウエハWが凹部24から脱離してしまった状態も検出することができる。つまり、レーザ変位計110によるウエハWの表面プロファイルの計測時において、ウエハWが凹部24内に存在しない場合には、レーザが回転テーブル2の凹部24の底面に照射されるため、明らかにウエハWにレーザを照射したときとは異なる情報を得ることができる。よって、ウエハWが脱離してしまった場合も、本実施形態に係る基板反り監視装置で検出することができる。なお、この点の詳細についても後述する。
【0026】
なお、レーザ変位計110、演算部120、記憶部130及びエンコーダ25で、本実施形態に係る基板反り監視装置150を構成する。
【0027】
制御部100は、成膜装置全体を制御するための制御手段であり、コンピュータからなる演算処理手段として構成されてよい。制御部100は、演算部120からアラーム信号を受信したら、回転テーブル2の回転を減速又は停止させる制御を行う。これにより、凹部24上のウエハWの反り量が増加し、脱離のおそれがある場合に、速やかに回転テーブル2の回転を減速又は停止させ、ウエハWがチャンバ1の内部を破損したり、他のウエハWを破損したりすることを事前に食い止めることができる。
【0028】
なお、ウエハWの凹部24からの脱離が検出された場合には、制御部100は、回転テーブル2を停止させる制御を行う。脱離が発生してしまった場合には、迅速に回転テーブル2の回転を停止してチャンバ1内の破損を一刻も早く食い止めることが求められるからである。
【0029】
制御部100のメモリ内には、制御部100の制御の下に、基板反り監視装置150からのアラーム信号に基づく回転テーブル2の回転の減速又は停止も含めて、所定の成膜方法を成膜装置に実施させるプログラムが格納されている。このプログラムは、回転テーブル2の減速及び回転停止処理も含めて、所定の成膜方法を実行するようにステップ群が組まれており、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスクなどの媒体102に記憶されており、所定の読み取り装置により記憶部101へ読み込まれ、制御部100内にインストールされる。
【0030】
次に、
図2〜
図5を用いて、成膜装置の構成についてより詳細に説明する。
【0031】
図2及び
図3に示すように、回転テーブル2の表面には、回転方向(周方向)に沿って複数(図示の例では5枚)の基板である半導体ウエハWを載置するための円形状の凹部24が設けられている。なお
図3には便宜上1個の凹部24だけにウエハWを示す。この凹部24は、ウエハWの直径よりも僅かに例えば4mm大きい内径と、ウエハWの厚さにほぼ等しいか、又はウエハWの厚さよりも深い深さとを有している。したがって、ウエハWが凹部24に収容されると、ウエハWの表面と回転テーブル2の表面(ウエハWが載置されない領域)とが同じ高さになるか、ウエハWの表面が回転テーブル2の表面よりも低くなる。凹部24の深さは、ウエハWの厚さよりも深い場合であっても、あまり深くすると成膜に影響が出てしまうので、ウエハWの厚さの3倍程度の深さまでとすることが好ましい。凹部24の底面には、ウエハWの裏面を支えてウエハWを昇降させるための例えば3本の昇降ピンが貫通する貫通孔(いずれも図示せず)が形成されている。
【0032】
図2及び
図3は、チャンバ1内の構造を説明する図であり、説明の便宜上、天板11の図示を省略している。
図2及び
図3に示すように、回転テーブル2の上方には、各々例えば石英からなる反応ガスノズル31、反応ガスノズル32及び分離ガスノズル41,42がチャンバ1の周方向(回転テーブル2の回転方向(
図3の矢印A))に互いに間隔をおいて配置されている。図示の例では、後述の搬送口15から時計回り(回転テーブル2の回転方向)に、分離ガスノズル41、反応ガスノズル31、分離ガスノズル42、及び反応ガスノズル32がこの順番で配列されている。これらのノズル31、32、41、42は、各ノズル31、32、41、42の基端部であるガス導入ポート31a、32a、41a、42a(
図3)を容器本体12の外周壁に固定することにより、チャンバ1の外周壁からチャンバ1内に導入され、容器本体12の半径方向に沿って回転テーブル2に対して水平に伸びるように取り付けられている。
【0033】
反応ガスノズル31は、不図示の配管及び流量制御器などを介して、第1の反応ガスの供給源(図示せず)に接続される。反応ガスノズル32は、不図示の配管及び流量制御器などを介して、第2の反応ガスの供給源(図示せず)に接続される。分離ガスノズル41、42は、いずれも不図示の配管及び流量制御バルブなどを介して、分離ガスとして、例えば窒素(N
2)ガスの供給源(図示せず)に接続される。なお、プラズマを用いる場合には、分離ガスにはアルゴン(Ar)が用いられる場合が多い。このように、分離ガスは、用途に応じて適切な不活性ガス又は希ガスを用いることができる。
【0034】
反応ガスノズル31、32には、回転テーブル2に向かって開口する複数のガス吐出孔33が、反応ガスノズル31、32の長さ方向に沿って、例えば10mmの間隔で配列されている。反応ガスノズル31の下方領域は、第1の反応ガスをウエハWに吸着させるための第1の処理領域P1となる。反応ガスノズル32の下方領域は、第1の処理領域P1においてウエハWに吸着された第1の反応ガスと第2の反応ガスとが反応する第2の処理領域P2となる。
【0035】
図2及び
図3を参照すると、チャンバ1内には2つの凸状部4が設けられている。凸状部4は、分離ガスノズル41、42とともに分離領域Dを構成するため、後述のとおり、回転テーブル2に向かって突出するように天板11の裏面に取り付けられている。また、凸状部4は、頂部が円弧状に切断された扇型の平面形状を有し、本実施形態においては、内円弧が突出部5(後述)に連結し、外円弧が、チャンバ1の容器本体12の内周面に沿うように配置されている。
【0036】
図4は、反応ガスノズル31から反応ガスノズル32まで回転テーブル2の同心円に沿ったチャンバ1の断面を示している。図示のとおり、天板11の裏面に凸状部4が取り付けられているため、チャンバ1内には、凸状部4の下面である平坦な低い天井面44(第1の天井面)と、この天井面44の周方向両側に位置する、天井面44よりも高い天井面45(第2の天井面)とが存在する。天井面44は、頂部が円弧状に切断された扇型の平面形状を有している。また、図示のとおり、凸状部4には周方向中央において、半径方向に伸びるように形成された溝部43が形成され、分離ガスノズル42が溝部43内に収容されている。もう一つの凸状部4にも同様に溝部43が形成され、ここに分離ガスノズル41が収容されている。また、高い天井面45の下方の空間に反応ガスノズル31、32がそれぞれ設けられている。これらの反応ガスノズル31、32は、天井面45から離間してウエハWの近傍に設けられている。なお、説明の便宜上、
図4に示すように、反応ガスノズル31が設けられる、高い天井面45の下方の空間を参照符号481で表し、反応ガスノズル32が設けられる、高い天井面45の下方の空間を参照符号482で表す。
【0037】
また、凸状部4の溝部43に収容される分離ガスノズル41、42には、回転テーブル2に向かって開口する複数のガス吐出孔42h(
図4参照)が、分離ガスノズル41、42の長さ方向に沿って、例えば10mmの間隔で配列されている。
【0038】
天井面44は、狭い空間である分離空間Hを回転テーブル2に対して形成している。分離ガスノズル42の吐出孔42hからN
2ガスが供給されると、このN
2ガスは、分離空間Hを通して空間481及び空間482へ向かって流れる。このとき、分離空間Hの容積は空間481及び482の容積よりも小さいため、N
2ガスにより分離空間Hの圧力を空間481及び482の圧力に比べて高くすることができる。すなわち、空間481及び482の間に圧力の高い分離空間Hが形成される。また、分離空間Hから空間481及び482へ流れ出るN
2ガスが、第1の領域P1からの第1の反応ガスと、第2の領域P2からの第2の反応ガスとに対するカウンターフローとして働く。したがって、第1の領域P1からの第1の反応ガスと、第2の領域P2からの第2の反応ガスとが分離空間Hにより分離される。よって、チャンバ1内において第1の反応ガスと第2の反応ガスとが混合し、反応することが抑制される。
【0039】
なお、回転テーブル2の上面に対する天井面44の高さh1は、成膜時のチャンバ1内の圧力、回転テーブル2の回転速度、供給する分離ガス(N
2ガス)の供給量などを考慮し、分離空間Hの圧力を空間481及び482の圧力に比べて高くするのに適した高さに設定することが好ましい。
【0040】
一方、天板11の下面には、回転テーブル2を固定するコア部21の外周を囲む突出部5(
図2及び
図3)が設けられている。この突出部5は、本実施形態においては、凸状部4における回転中心側の部位と連続しており、その下面が天井面44と同じ高さに形成されている。
【0041】
先に参照した
図1は、
図3のI−I'線に沿った断面図であり、天井面45が設けられている領域を示している。一方、
図5は、天井面44が設けられている領域を示す断面図である。
図5に示すように、扇型の凸状部4の周縁部(チャンバ1の外縁側の部位)には、回転テーブル2の外端面に対向するようにL字型に屈曲する屈曲部46が形成されている。この屈曲部46は、凸状部4と同様に、分離領域Dの両側から反応ガスが侵入することを抑制して、両反応ガスの混合を抑制する。扇型の凸状部4は天板11に設けられ、天板11が容器本体12から取り外せるようになっていることから、屈曲部46の外周面と容器本体12との間には僅かに隙間がある。屈曲部46の内周面と回転テーブル2の外端面との隙間、及び屈曲部46の外周面と容器本体12との隙間は、例えば回転テーブル2の上面に対する天井面44の高さと同様の寸法に設定されている。
【0042】
容器本体12の内周壁は、分離領域Dにおいては
図4に示すように屈曲部46の外周面と接近して垂直面に形成されているが、分離領域D以外の部位においては、
図1に示すように例えば回転テーブル2の外端面と対向する部位から底部14に亘って外方側に窪んでいる。以下、説明の便宜上、概ね矩形の断面形状を有する窪んだ部分を排気領域と記す。具体的には、第1の処理領域P1に連通する排気領域を第1の排気領域E1と記し、第2の処理領域P2に連通する領域を第2の排気領域E2と記す。これらの第1の排気領域E1及び第2の排気領域E2の底部には、
図1から
図3に示すように、それぞれ、第1の排気口610及び第2の排気口620が形成されている。第1の排気口610及び第2の排気口620は、
図1に示すように各々排気管630を介して真空排気手段である例えば真空ポンプ640に接続されている。なお、
図1に示されるように、真空ポンプ640の上流側に圧力制御器650が設けられている。
【0043】
回転テーブル2とチャンバ1の底部14との間の空間には、
図1及び
図4に示すように加熱手段であるヒータユニット7が設けられ、回転テーブル2を介して回転テーブル2上のウエハWが、プロセスレシピで決められた温度(例えば450℃)に加熱される。回転テーブル2の周縁付近の下方側には、回転テーブル2の上方空間から排気領域E1、E2に至るまでの雰囲気とヒータユニット7が置かれている雰囲気とを区画して回転テーブル2の下方領域へのガスの侵入を抑えるために、リング状のカバー部材71が設けられている(
図5)。このカバー部材71は、回転テーブル2の外縁部及び外縁部よりも外周側を下方側から臨むように設けられた内側部材71aと、この内側部材71aとチャンバ1の内壁面との間に設けられた外側部材71bと、を備えている。外側部材71bは、分離領域Dにおいて凸状部4の外縁部に形成された屈曲部46の下方にて、屈曲部46と近接して設けられ、内側部材71aは、回転テーブル2の外縁部下方(及び外縁部よりも僅かに外側の部分の下方)において、ヒータユニット7を全周に亘って取り囲んでいる。
【0044】
ヒータユニット7が配置されている空間よりも回転中心寄りの部位における底部14は、回転テーブル2の下面の中心部付近におけるコア部21に接近するように上方側に突出して突出部12aをなしている。この突出部12aとコア部21との間は狭い空間になっており、また底部14を貫通する回転軸22の貫通穴の内周面と回転軸22との隙間が狭くなっていて、これら狭い空間はケース体20に連通している。そしてケース体20にはパージガスであるN
2ガスを狭い空間内に供給してパージするためのパージガス供給管72が設けられている。またチャンバ1の底部14には、ヒータユニット7の下方において周方向に所定の角度間隔で、ヒータユニット7の配置空間をパージするための複数のパージガス供給管73が設けられている(
図5には一つのパージガス供給管73を示す)。また、ヒータユニット7と回転テーブル2との間には、ヒータユニット7が設けられた領域へのガスの侵入を抑えるために、外側部材71bの内周壁(内側部材71aの上面)から突出部12aの上端部との間を周方向に亘って覆う蓋部材7aが設けられている。蓋部材7aは例えば石英で作製することができる。
【0045】
また、チャンバ1の天板11の中心部には分離ガス供給管51が接続されていて、天板11とコア部21との間の空間52に分離ガスであるN
2ガスを供給するように構成されている。この空間52に供給された分離ガスは、突出部5と回転テーブル2との狭い隙間50を介して回転テーブル2の凹部24側の表面に沿って周縁に向けて吐出される。空間50は分離ガスにより空間481及び空間482よりも高い圧力に維持され得る。したがって、空間50により、第1の処理領域P1に供給される第1の反応ガスと第2の処理領域P2に供給される第2の反応ガスとが、中心領域Cを通って混合することが抑制される。すなわち、空間50(又は中心領域C)は分離空間H(又は分離領域D)と同様に機能することができる。
【0046】
さらに、チャンバ1の側壁には、
図2、
図3に示すように、外部の搬送アーム10と回転テーブル2との間で基板であるウエハWの受け渡しを行うための搬送口15が形成されている。この搬送口15は図示しないゲートバルブにより開閉される。また回転テーブル2におけるウエハ載置領域である凹部24はこの搬送口15に臨む位置にて搬送アーム10との間でウエハWの受け渡しが行われることから、回転テーブル2の下方側において受け渡し位置に対応する部位に、凹部24を貫通してウエハWを裏面から持ち上げるための受け渡し用の昇降ピン及びその昇降機構(いずれも図示せず)が設けられている。
【0047】
次に、上述の基板処理装置を用いた基板処理方法について簡単に説明する。なお、上述のように、上述の基板処理装置は成膜装置として構成されているので、基板を成膜処理する例について説明する。
【0048】
まず、ウエハWをチャンバ1内に搬入する。ウエハW等の基板の搬入に際しては、先ず、ゲートバルブGを開放する。そして、サセプタ2を間欠的に回転させながら、搬送アーム10により搬送口15を介して回転テーブル2上に載置する。
【0049】
次に、基板反り監視装置150が、レーザ変位計110を用いて所定の参照面にレーザを照射し、反射レーザを受光してその計測値を記憶部130に記憶する。ここで、所定の参照面は、例えば回転テーブル2の上面であってもよいし、チャンバ1内の所定位置又は所定部品の表面であってもよいし、又はチャンバ1外に存在する他の面であってもよい。なお、この点の詳細については後述する。
【0050】
次いで、ゲートバルブGを閉じて、真空ポンプ640及び圧力制御器650によりチャンバ1内を所定の圧力にした状態で、サセプタ2を回転させながら、ヒータユニット7によりウエハWを所定の温度に加熱する。この時、分離ガスノズル41、42からは、分離ガス、例えば、N
2ガスが供給される。
【0051】
続いて、第1の反応ガスノズル31からは第1の反応ガスを供給し、第2の反応ガスノズル32からは第2の反応ガスを供給する。また、
図2及び
図3には示されていないが、プラズマ改質処理を行う場合には、プラズマ処理用ガスノズルから、所定の流量でプラズマ処理用ガスを供給する。
【0052】
ここで、第1の反応ガス、第2の反応ガスは、用途に応じて種々のガスを用いてよいが、第1の処理ガスノズル31からは原料ガス、第2の処理ガスノズル32からは酸化ガス又は窒化ガスを供給する。また、プラズマ処理を行う場合、図示しないプラズマ処理用ガスノズルからは、第2の処理ガスノズルから供給された酸化ガス又は窒化ガスと類似した酸化ガス又は窒化ガスと、希ガスを含む混合ガスからなるプラズマ処理用ガスを供給する。
【0053】
ここでは、成膜しようとする膜がシリコン酸化膜であり、第1の反応ガスがSi含有ガス、第2の処理ガスが酸素ガスからなる場合を例に挙げて説明する。
【0054】
ウエハWの表面では、サセプタ2の回転によって第1の処理領域P1においてSi含有ガスが吸着し、次いで、第2の処理領域P2においてウエハW上に吸着したSi含有ガスが、酸素ガスによって酸化される。これにより、薄膜成分であるシリコン酸化膜の分子層が1層又は複数層形成されて反応生成物が形成される。また、ウエハWが分離領域Dを通過した際には、N
2等の分離ガスが供給されてウエハWがパージされる。回転テーブル2を回転させることにより、シリコン酸化膜の分子層がウエハWの表面上に堆積し、シリコン酸化膜が成膜される。このように、成膜処理を行うためには回転テーブル2の回転が必要であるが、上述のように、ヒータユニット7により回転テーブル2は加熱されているため、回転テーブル2の回転中にウエハWに反りが発生し、反り量が大きくなるとウエハWが凹部24から離脱するおそれがある。
【0055】
そこで、本実施形態に係る基板反り監視装置150及び基板反り監視方法では、回転テーブル2が回転して基板処理を行っているときに、ウエハWの反り量を含むウエハWの反りの状態を常時監視し、脱離のおそれがある場合に回転テーブル2を減速又は停止させ、基板処理中のウエハWの凹部24からの脱離を防止する。
【0056】
以下、かかる基板反り監視装置150及び基板反り監視方法の内容についてより詳細に説明する。なお、上述のように、基板反り監視装置150及び基板反り監視方法に用いられる変位計は、非接触式の光学的変位計であれば、種々の変位計を用いることができ、LED変位計、ランプ光を用いた変位計、共焦点式変位計等を用いることができるが、以下の実施形態では、説明の容易のため、レーザ光(以下、単に「レーザ」と呼ぶ。)を用いたレーザ変位計110を用いた例を挙げて説明する。他の変位計を用いる場合には、レーザ変位計110を他の変位計に置き換えて用いればよい。
【0057】
[第1の実施形態]
図6は、本発明の第1の実施形態に係る基板反り監視装置150の基本原理を説明するための図である。
図6において、凹部24上にウエハWが載置され、右側のレーザ変位計110のレーザ照射部111からはレーザがウエハWに照射され、レーザ受光部112においてウエハWからの反射レーザを受光している。また、左側のレーザ変位計110のレーザ照射部111からはレーザが回転テーブル2の凹部24が形成されていない表面に照射され、レーザ受光部112において回転テーブル2の表面からの反射レーザを受光している。レーザ変位計111は、反射レーザを受光できれば、対象物の材質に関わらず対象物との間の距離、即ち対象物の高さを計測することができる。よって、石英からなる回転テーブル2の表面高さも、シリコン等の半導体からなるウエハWの表面高さも正確に測定することができ、その高さを検出することができる。ここで、レーザ受光部112は、レーザ光の受光を検出できれば、種々の受光素子を用いることができる。レーザ受光部112は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ、CCD(Charge Coupled Device)等から構成されていてもよい。
【0058】
なお、上述のように、回転テーブル2は、一般的には石英で構成されており、ほぼ透明であるため、ウエハWにレーザを照射した場合よりも反射レーザの受光量は小さくなるが、受光量に関係無く高さ位置を検出することができる。よって、ウエハWが脱離した場合には、凹部24にはウエハWが存在しない状態であるので、ウエハWが存在する場合と明らかに高さの計測値が異なる。よって、この高さの計測値の相違から、ウエハWの脱離を検出することができる。凹部24の位置は、エンコーダ25により把握することができるので、どの凹部24からウエハWが脱離したかは、容易に検出することができる。
【0059】
また、例えば、回転テーブル2の表面を参照面に設定し、ウエハWの表面にレーザを照射したときの計測値と回転テーブル2の表面にレーザを照射したときの計測値との差分を算出すれば、ウエハWの回転テーブル2の表面に対する高さの変位量を算出することができる。つまり、回転テーブル2の平坦面の表面を基準とし、ウエハWの表面高さが基準面よりもどの位高いか又は低いのかを算出することができる。回転テーブル2の表面は、加工精度、設置状況等の影響により、総ての領域において完全に水平な平坦面として構成されている訳ではなく、局所的に微細な傾斜(偏芯)がある面である場合が多い。よって、ウエハWの近傍の回転テーブル2の表面を参照面とすれば、そのような各々の凹部24付近の局所的な傾斜(偏芯)を反映させた面を個別に参照面とすることができ、凹部24上のウエハWの参照面からの反り量を正確に把握することができる。特に、各々の凹部24の近傍の回転テーブル2の表面を参照面とし、凹部24毎に個別の参照面を設定すれば、非常に正確にウエハWの反り量を把握することができる。
【0060】
但し、凹部24近傍の回転テーブル2の表面を参照面とすることは必須ではなく、チャンバ1内外の種々の面を参照面とすることができる。例えば、ウエハW面内の別の点や、1回転前の同一点を参照面としてもよい。
【0061】
図7は、レーザ変位計110を複数配置した例を示した図である。
図7(a)は、3個のレーザ変位計110を配置した例を示した図である。
図7(a)に破線で示すように、レーザ変位計110は、回転テーブル2の半径方向における所定位置(1点)についてしか表面プロファイルを測定することができない。よって、ウエハWの全体的な表面プロファイルを把握するためには、回転テーブル2の中心からの距離が異なり、ウエハWが通過する複数の位置にレーザを照射可能な構成とすることが好ましい。
【0062】
図7(a)においては、ウエハWの中心が通過する位置、回転テーブル2の中心付近のウエハWの内側端部が通過する位置、回転テーブル2の周縁部付近のウエハWの外側端部が通過する位置に設けた例が示されている。レーザ変位計110の個数及び配置位置は、用途に応じて種々変更することができるが、3個のレーザ変位計110を用いる場合には、
図7(a)に示されるように、ウエハWの中心、内側、外側の表面プロファイルを計測可能な位置に各々を配置することが好ましい。例えば、5個のレーザ変位計110を用いる場合には、中心と内側のレーザ変位計110同士の間の位置と、中心と外側のレーザ変位計110同士の間の位置に更にレーザ変位計110を設けてもよい。このように、レーザ変位計110の個数及び配置位置は、用途に応じて種々の構成とすることができる。
【0063】
図7(b)は、
図7(a)の半径方向に沿った面におけるレーザ変位計110の側面図である。
図7(b)に示されるように、半径方向においてウエハWの中心、内側、外側と異なる箇所にレーザ変位計110を設け、各々上方からウエハWにレーザを照射している。このような構成とすることにより、ウエハWの中心は反り上がっておらず、中心側と外側の両端のみが反り上がっている場合でも、中心側と外側に設けられたレーザ変位計110により両端の反りを監視することができる。
【0064】
図7(c)は、ウエハWの監視が可能な範囲を説明するための図である。レーザ変位計110は、回転テーブル2及びウエハWの上方からレーザを照射し、レーザ変位計110と照射対象物との間の距離を計測できるため、ウエハWが凹部24内には収まっているが反りは発生している状態、つまり凹部24内の反り状態も監視することができる。側面からレーザを照射する構成であると、ウエハWの反り量が凹部24の深さ以上であり、ウエハWの一部が回転テーブル2の表面よりも高くなった状態にならないと監視できない場合もあり得るが、本実施形態に係る基板反り監視装置150では、ウエハWの上面からレーザを照射し、表面プロファイルを計測するので、ウエハWが凹部24内で反っている状態も監視することができる。
【0065】
図8は、本実施形態に係る基板反り監視装置150及び基板反り監視方法の一例における参照面の計測について説明するための図である。
図8において、3個のレーザ変位計110a、110b、110cがそれぞれ回転テーブル2の中心側、中間、外側に設けられた例が示されている。複数のレーザ変位計110a、110b、110cは、このように回転テーブル2の半径方向に沿って1列に配置してもよい。
【0066】
図8において、参照面を回転テーブル2の表面に設定したと仮定すると、
図8の状態で各々のレーザ変位計110a〜110cが回転テーブル2の上面にレーザを照射し、反射レーザを受光して計測値を取得する。これにより、3個のレーザ変位計110a〜110cが各々参照値を取得する。このような参照値の計測は、上述のように、ウエハWを複数の凹部24上に載置してから行うようにしてもよい。
【0067】
図9は、回転テーブル2の回転により、ウエハWが3個のレーザ変位計110a〜110cの真下に移動し、3個のレーザ変位計110a〜110cがウエハWの表面にレーザを照射可能となった状態を示した図である。この状態において、レーザ変位計110a〜110cは、ウエハWの表面にレーザを照射することができ、ウエハWの表面プロファイルを計測することができる。なお、
図9の破線に示されるように、3個のレーザ変位計110a〜110cがウエハWにレーザを照射できる長さは、各位置により異なる。つまり、レーザ変位計110bは、ウエハWの表面の中心を通過する最も長い軌跡(距離)においてウエハWの表面プロファイルを取得することが可能である。また、内側のレーザ変位計110aは、距離的には最も短い距離だけウエハWの表面プロファイルを計測し、外側のレーザ変位計110cは、内側のレーザ変位計110aよりは長く、中間のレーザ変位計110bよりは短い距離の表面プロファイルを計測する。
【0068】
図10は、
図8及び
図9で示した3個のレーザ変位計110a〜110cを用いて計測したウエハWの表面プロファイルの例を示した図である。
図10(a)、(b)、(c)が各々レーザ変位計110a、110b、110cが計測した表面プロファイルに対応している。
【0069】
なお、
図10においては、参照面を回転テーブル2の表面とし、回転テーブル2の表面からの反射レーザの計測値は検出範囲外となるように設定されている。つまり、既に参照面の計測値が考慮された状態の計測値が示されている。よって、
図10(a)〜(c)において、プラスの計測値が示されている箇所はウエハWの表面プロファイルを計測した領域であることを示し、計測値がゼロの箇所は回転テーブル2にレーザが照射されていた領域を示している。
【0070】
また、
図10(a)〜(c)において、横軸が回転角度、縦軸が計測値となっているが、回転角度は、
図10(a)に示される計測距離の短い内側のレーザ変位計100aの計測結果よりも、
図10(c)に示される計測距離の長い外側のレーザ変位計100cの方の計測結果の方が小さくなっている。これは、計測のサンプリング周期が回転角度に同期しており、ウエハWの外側の方が内側よりも計測範囲となる回転角度が小さいためである。但し、ウエハWの反りの監視において、ウエハWの外側の位置における回転角度が小さいことは特に問題とはならず、取得データ量としては十分であり、ウエハWの反りの監視は十分可能である。
【0071】
なお、回転テーブル2の回転速度が高くなった場合であっても、サンプリング周期の変更によりモニタの点数を任意に変更可能であるため、十分に対応可能である。
【0072】
図11は、周方向においてウエハWに反りが生じている場合の表面プロファイルの計測値を説明するための図である。
図11の最も左側の計測値の波形は、ウエハWに周方向に沿った反りが発生した場合のレーザ変位計110bにおける計測値を示した図である。レーザ変位計110bの計測値はウエハWの中間位置における表面プロファイルを示しているので、
図11に示されるように、反った波形が計測された場合には、ウエハWの表面にも反りが発生している。
図11の例では、回転テーブル2の周方向に沿ったウエハWの両端部が反り上がった状態となっている。
【0073】
また、
図11において、凹部24の底面を示す計測値と、凹部24の上面(回転テーブル2の平坦面)の高さを示す計測値が各々破線B、Tで示されている。
図11の例においては、最も左側の計測値は、凹部24の上面よりも高くなっているので、ウエハWに大きな反りが発生している状態を意味する。このような計測値の波形が検出された場合には、回転テーブル2を速やかに減速又は停止させることが好ましい。
【0074】
なお、他の計測値は、総て凹部24の上面Tよりも低くなっているので、ウエハWに大きな反りは発生していない状態と言える。このような波形の場合には、そのまま回転テーブル2の回転を継続し、基板処理を継続すればよい。
【0075】
図12は、参照値を用いてウエハWの反り量を算出する工程について説明するための図である。
図12において、ウエハA〜Eの表面プロファイルの計測値が示されているが、ウエハA〜Eは、計測値の絶対値としては、バラツキがある計測値となっている。しかしながら、参照値として、参照値A〜Eが各々設定されており、参照値A〜Eは総て異なる計測値が設定されている。上述のように、回転テーブル2の表面を参照値に設定した場合、回転テーブル2の回転により、ウエハWにレーザを照射する前に必ず隣接する凹部24間の回転テーブル2の上面にもレーザが照射されるため、そのタイミングで参照面を随時更新することができ、回転テーブル2の偏芯等を補正しつつウエハWの反りを監視することができる。回転テーブル2が石英で構成されている場合には、
図6で説明したように、レーザは透過し、計測値は非常に小さい値となる。
【0076】
図12に示されるように、参照値A〜Eは、ウエハA〜E毎に異なる高さの計測値となっている。このような場合であっても、ウエハA〜Eの計測値と参照値A〜Eの差分を各々算出すれば、正確なウエハA〜Eの各反り量を算出することができる。
図12において、ウエハA〜Eの計測値の絶対値はバラツキがあるが、参照値A〜EもウエハA〜Eと類似したバラツキ傾向があるため、ウエハA〜Eの計測値と参照値A〜Eとの差分を算出すれば、全体的に揃った計測値を有する反り量を算出することができる。
【0077】
このように、本実施形態に係る基板反り監視装置150及び基板反り監視方法においては、ウエハWの表面プロファイルをリアルタイムに計測するとともに、反り量の算出に必要な参照値もリアルタイムに更新できるため、回転テーブル2の偏芯や局所的な傾きの相違等も反映させて正確な反り量の算出を行うことができる。ここで、算出される反り量は、必ずしも反り量の正確な値でなくてよく、回転テーブル2の減速又は停止の必要性を判断することが可能な、参照値を基準とする相対的な計測値であれば十分である。
【0078】
なお、ウエハWの表面プロファイルはリアルタイムに計測する必要があるが、反り量の算出に用いる参照値は、必ずしもリアルタイムに計測しなくてもよい。例えば、回転テーブル2を回転させる前に、回転テーブル2等の参照面にレーザを照射して予め参照値を取得して記憶部130に記憶させておき、記憶した参照値を用いてウエハWの反り量の算出をリアルタイムに行うようにしてもよい。回転テーブル2の偏芯は経時変化する訳ではないので、各凹部24に対応した凹部24付近の回転テーブル24の高さを計測しておけば、その高さ自体は時間の経過とともに大きく変化するものではないからである。回転テーブル2の表面ではなく、ウエハWの面内の所定位置を参照面にする場合も、最初にウエハWが反っていない状態で各凹部24に載置されたウエハWの高さを計測して記憶部130に記憶しておけば、回転テーブル2の表面を参照面とする場合と同様にしてウエハWの反り量を算出することができる。
【0079】
即ち、回転テーブル2の偏芯等を考慮して参照面の高さ位置を一度取得しておけば、その後はウエハWの高さをリアルタイムに取得することにより、正確なウエハWの反り量をリアルタイムで取得することができる。このような、各凹部24の高さの相違を考慮して参照面を設定することができれば、参照面は、回転テーブル2やウエハWの表面以外とすることも可能である。
【0080】
また、逆に、参照面の高さを示す参照値をリアルタイムに更新するには、所定の参照面の高さをリアルタイムに計測するとともに、記憶部130に記憶されている参照値をリアルタイムに更新すればよい。
【0081】
このように、本実施形態に係る基板反り監視装置150及び基板反り監視方法においては、用途に応じて柔軟に参照面を設定し、ウエハWの反り量をリアルタイムに計測することができる。
【0082】
また、本実施形態に係る基板反り監視装置150及び基板反り監視方法においては、常に最新のデータを用いてウエハWの反り量を監視することができる。よって、ウエハWの表面プロファイル及び反り量の変化を経時的に監視してデータを蓄積することができ、ウエハWの表面プロファイル及び反り量の変化のトレンドから、ウエハWの反り量が所定の許容値(閾値)を超えるタイミングを予測することができる。
【0083】
また、上述のように、参照面は、用途に応じて種々の面を設定することができ、回転テーブル2の表面に限られないため、種々の基板処理装置に本実施形態に係る基板反り監視装置150及び基板反り監視方法を適用することができる。
【0084】
図13は、3個のレーザ変位計を用いた場合のより詳細な表面プロファイルの計測値の実測例を示した図である。
図13(a)、(b)、(c)は、
図8及び
図9におけるレーザ変位計110a、110b、110cの計測値にそれぞれ相当する。これらの実測値は、ヒータユニット7の温度を620℃、チャンバ1内の圧力を8.0Torr、回転テーブル2の回転速度を180rpmに設定して測定した値であり、高温、高圧、高速回転のプロセス条件である。
【0085】
図13において、横軸が回転角度、縦軸が計測値を示しているが、検出する回転角度については、
図10で説明した通り、ウエハWの表面プロファイルの回転角度については、中間のレーザ変位計100bの回転角度が最も大きく、内側のレーザ変位計100aの回転角度が次に大きく、外側のレーザ変位計100cの回転角度が最も小さくなっている。
【0086】
このうち、
図13(b)及び
図13(a)の計測結果についてより詳細に説明する。
【0087】
図14は、
図13(b)の計測結果の拡大図である。
図14においては、5個の凹部24に第1〜第5の番号を付し、その傾向について説明する。
図14に示される通り、第1〜第5の凹部24の計測値において、第1〜3の凹部24の計測値が高く、第4、5の凹部24の計測値が低い計測値を示している。これは、回転テーブル2の傾き(偏芯)が影響しているためだと考えられる。
図14に示されるように、最も低い第5の凹部24の計測値と最も高い第1の凹部24の計測値は3目盛近くの計測値の差となっている。このような場合、回転テーブル2の偏芯量に合せてウエハWの表面プロファイルを計測するようにすれば、全体が揃った値で、正確に反り量を算出することができる。例えば、計測値の高い第1〜3の凹部24には各々に応じた高い参照値を設定し、計測値の低い第4、5の凹部24には各々に応じた低い参照値を設定し、それらの差分を各々算出するようにすれば、相対的な値ではあるが、各々正確な反り量を算出することができる。
【0088】
例えば、回転テーブル2の表面の計測値をカットして計測値として反映させない設定としている場合には、そのような参照値を新たに設定してもよい。その場合であっても、回転テーブル2の表面の計測値の局所的な相違を参照値に反映させるようにすれば、回転テーブル2の表面を参照面としつつ、より効果的な参照値を第1〜5の凹部24に各々設定することができる。
【0089】
図15は、
図13(a)の計測結果の拡大図である。
図15においては、5個の凹部24に第1〜第5の番号を付し、計測値のノイズをカットする方法について説明する。
【0090】
図15において、第1〜5の凹部24のレーザ変位計100aによる計測値が示されており、第5の凹部24ではウエハWの反りが検出されている。一方、第4の凹部24では、計測値自体は低いが、測定開始時においてノイズが発生しており、第1の凹部24の計測値に近い大きさを有する瞬間的な計測値が観測されている。第4の凹部24におけるノイズは、ウエハWのエッジにレーザを照射した場合に発生するノイズである。
【0091】
図16は、表面プロファイル計測におけるノイズの発生原因を説明するための図である。
図16(a)に示されるように、ウエハWのエッジ部にレーザ変位計100aからレーザが照射された場合にノイズが発生する。
【0092】
図16(b)は、
図16(a)のエッジ部の拡大図である。
図16(b)に示される通り、ウエハWのエッジにはベベル部Wbが形成されており、丸みを帯びた表面形状を有するため、ベベル部Wbに照射されたレーザは乱反射し、実際の高さとは異なる位置に対応するCMOSの画素に反射レーザが受光され、実際の高さよりも高い位置に対応する反射レーザが検出される場合もある。原則として、総てのウエハWのエッジ部にベベル部Wbが形成されているので、このようなノイズが発生した場合、ウエハWの反り量の正確な算出を妨げるおそれがある。
【0093】
図17は、
図15及び
図16で説明したノイズを除去するための方法の一例を示した図である。
図17において、横軸が回転角度、縦軸が計測値の有無を示している。
図17(a)、(b)、(c)は、
図8及び
図9に示したレーザ変位計110a、110b、110cの計測値にそれぞれ対応する。
【0094】
図17(a)、(b)、(c)に示されるように、ウエハWの表面プロファイルを計測する際、ウエハWのエッジ部に相当する計測値は、マスクをかけて記録しないようにする。つまり、ウエハWのエッジ部に相当する計測値は破棄し、表面プロファイルの計測値データとして用いないようにする。このような処理は、演算部120において行えばよく、記録として採用せず除外するだけなので、容易に行うことができる。よって、記録される表面プロファイルのデータは、ノイズが除去された信頼性の高いデータのみとなるので、ウエハWの表面プロファイルを適切に把握及び記録することが可能となる。
【0095】
図18は、本発明の第1の実施形態に係る基板反り監視方法の処理フローを説明するための図である。なお、今までに説明した構成要素については、同一の参照符号を付してその説明を省略する。また、3個のレーザ変位計100a〜100cを用いた場合を例に挙げて説明する。
【0096】
ステップS100では、レーザ変位計100a〜100cの初期化が行われる。必要に応じて、キャリブレーション等を行う。
【0097】
ステップS110では、回転テーブル2の上面が参照面として選択され、回転テーブル2の表面にレーザを照射し、計測値が取得される。具体的には、
図8で示した状態とされ、隣接する凹部24同士の間の回転テーブル2の表面にレーザが照射され、計測が行われる。なお、取得した計測値は、参照値として記憶部130に記憶される。
【0098】
ステップS120では、回転テーブル2を間欠的に低速回転させ、各凹部24において、ウエハWの反りが収まったか否かの検出が行われる。チャンバ1内は高温であるため、ウエハWをチャンバ1内に搬入し、凹部24上に載置すると、ウエハWに反りが生じる場合が多い。その、最初の段階における反りの検出をステップS120において行う。各ウエハWの反りが収まり、回転テーブル2を回転させてもよい状態となったら、ステップS120を終了する。
【0099】
なお、ステップS110、S120のいずれか又はそれらの前後において、チャンバ1の真空排気、ヒータユニット7の加熱、分離ガスの供給、反応ガスの供給等、基板処理に必要な準備も基板処理の内容に応じて行われる。
【0100】
ステップS130では、回転テーブル2の回転を開始し、ウエハWの反りの常時監視を行う。具体的には、レーザ変位計110a〜110cにより各位置におけるウエハWの表面プロファイルの計測が継続的に行われる。その際、ステップS110で取得した参照面の計測値を参照値として用い、反り量の算出を必要に応じて行う。また、必要に応じて、ウエハWのエッジ部ではマスクをかけて表面プロファイルデータから削除する。
【0101】
ステップS140では、算出した反り量が所定の閾値を超えていないかを判定する。このような判定は、演算部120で行う。なお、閾値は、反り量が閾値を超えると脱離の可能性が出てくるというレベルに設定し、脱離はまだ発生しないレベルに設定する。これにより、脱離の発生予防が可能となる。また、このような判定は、複数のウエハWの総てについて行う。複数のウエハWのうち、1枚でも閾値を超えたら、反り量が閾値を超えたと判定する。そして、算出した反り量が閾値を超えている場合には、ステップS160に進む。なお、反り量が閾値を超えているウエハWは、エンコーダ25により特定される。
【0102】
ステップS160では、回転テーブル2の回転の減速又は停止が行われる。反り量が所定の閾値を超えている場合には、ウエハWが凹部24から脱離する可能性が出てくるので、回転テーブル2の回転を減速させるか、停止させる。減速とするか停止とするかは、ステップS140において閾値を2段階に設定してもよいし、他の要素との総合判断により決めてもよい。
【0103】
ステップS160を実行したら、処理フローを終了する。その後は、ウエハWをチャンバ1から搬出し、他のロットの処理を継続する、原因を突き止める等の次の処理が行われる。
【0104】
ステップS140で、算出したウエハWの反り量が閾値を超えていない場合には、ステップS150に進む。
【0105】
ステップS150では、ウエハWの脱離が検出されたか否かを判定する。ウエハWの脱離は、ウエハWが凹部24上に存在せず、回転テーブル2が露出しているか否かに基づいて行われる。回転テーブル2が石英の場合には、凹部24上のレーザの計測値が極めて小さい値となっている時に該当する。このような判断は、演算部120が行う。ステップS150において、凹部24からのウエハWの脱離が検出された場合には、ステップS170に進む。
【0106】
ステップS170では、回転テーブル2の回転が停止される。脱離の場合は、回転テーブル2の減速ではなく、速やかに回転テーブル2を停止させ、チャンバ1の内部及びウエハWの損傷を最小限に留めるようにする。
【0107】
ステップS170を実行したら、本処理フローは終了し、チャンバ1及びウエハWの損傷を確認する等の必要な措置が施される。
【0108】
ステップS150において、ウエハWの脱離が検出されなかった場合には、ステップS130に戻り、常時監視が継続される。その後も、ステップS130、S140、S150の処理フローが継続的に繰り返される。
【0109】
なお、ステップS130〜S150は、基板処理を行いながら、基板処理と並行して行われる。ステップS160、S170の回転テーブル2の減速、停止は、基板処理の終了を意味する。
【0110】
このように、本実施形態に係る基板反り監視方法によれば、ウエハWの脱離の可能性が高まった段階で対処ができるので、ウエハWの脱離の発生を効果的に防止することができる。
【0111】
図19は、第1の実施形態に係る基板反り監視装置のレーザ変位計110、110a〜110cの向きを説明するための図である。
図19に示されるように、第1の実施形態においては、レーザ変位計110、110a〜110cのレーザヘッドの取り付け角度は、回転テーブル2の外側から内側へ投受光となるように設置している。これにより、ノイズの影響を防ぎ、ウエハWの端部まで表面プロファイルの計測が可能となる。
【0112】
[第2の実施形態]
図20は、第2の実施形態に係る基板反り監視装置の一例を示した図である。第2の実施形態に係る基板反り監視装置151では、レーザ変位計110dを、回転テーブル2の回転方向から±10°の範囲となるように、回転方向に沿って配置する。これにより、ウエハWのベベル部Wbの乱反射の受光を抑制し、安定的な反射レーザの受光が可能となる。
【0113】
他の構成要素及び基板反り監視方法については、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0114】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。