(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3状態は、加熱された前記成膜対象に前記還元ガスと前記キャリアガスとを供給すること、または、前記還元ガスと前記キャリアガスとから生成されたプラズマを前記成膜対象に供給することによって、前記水素を含む活性種を前記成膜対象に供給する
請求項1に記載の薄膜の形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
図1から
図8を参照して、薄膜の形成方法を炭化アルミニウム膜の形成方法として具体化した第1実施形態を説明する。以下では、炭化アルミニウム膜の形成方法を実施するALD装置の概略構成、炭化アルミニウム膜の形成方法、および、試験例を順に説明する。
【0018】
[ALD装置の概略構成]
図1を参照してALD装置の概略構成を説明する。以下に説明するALD装置は、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition)を用いた炭化アルミニウム膜の形成方法を実施するための装置である。
【0019】
図1が示すように、ALD装置10は、箱状を有した真空槽11を有し、真空槽11には、真空槽11から突き出すとともに、真空槽11に各種ガスを導入するための導入部12が接続されている。真空槽11の内部には、成膜対象Sを支持する支持部13が位置し、支持部13は、例えばステージである。成膜対象Sは、炭化アルミニウム膜が形成される表面Saを含んでいる。表面Saは、例えば凹凸面である。
【0020】
支持部13の内部には、加熱部14が位置している。加熱部14は、支持部13に支持された成膜対象Sの温度を例えば200℃以上500℃以下の所定の温度に加熱し、より好ましくは、330℃以上430℃以下に含まれる所定の温度に加熱する。
【0021】
真空槽11の内部であって、支持部13と対向する位置には、導入部12に接続される拡散部15が位置している。拡散部15は導入部12を介して真空槽11に供給されるガスを真空槽11の内部に拡散させる。拡散部15は、例えばシャワープレートである。
【0022】
真空槽11には、真空槽11の内部を排気する排気部16が接続されている。排気部16は、真空槽11の内部を所定の圧力にまで排気する。排気部16は、例えば排気ポンプおよびバルブを含んでいる。
【0023】
導入部12には、第1配管21と第2配管22とが接続されている。第1配管21には、第1キャリアガス供給部23および貯蔵部24が接続されている。第1キャリアガス供給部23は、キャリアガスを所定の流量で第1配管21に流すマスフローコントローラであり、第1キャリアガス供給部23は、第1配管21にキャリアガスを流すことによって、貯蔵部24にキャリアガスを供給する。キャリアガスは、例えばアルゴン(Ar)ガスである。
【0024】
貯蔵部24は、炭化アルミニウム膜を形成するための成膜材料Mを貯蔵している。成膜材料Mは、アルミニウムと炭素とを含んでいる。成膜材料Mは、Al(C
xH
2x+1)
3、Al(C
xH
2x+1)
2H、および、Al(C
xH
2x+1)
2Clから構成される群から選択されるいずれか1つである。3つの一般式のそれぞれにおいて、Xは1以上の整数である。なお、ALD装置10では、成膜材料Mが加熱または冷却され、これによって気化された成膜材料Mのガスを真空槽11に輸送して、炭化アルミニウム膜を成膜する。
【0025】
上述した一般式のうち、Al(C
xH
2x+1)
3が第1一般式であり、Al(C
xH
2x+1)
2Hが第2一般式であり、Al(C
xH
2x+1)
2Clが第3一般式である。第1一般式には、例えば、トリメチルアルミニウム(TMA)(Al(CH
3)
3)、トリエチルアルミニウム(TEA)(Al(C
2H
5)
3)、トリプロピルアルミニウム(TPA)(Al(C
3H
7)
3)、および、トリブチルアルミニウム(TBA)(Al(C
4H
9)
3)が含まれる。
【0026】
第2一般式には、水素化ジメチルアルミニウム(DMAH)(Al(CH
3)
2H)、水素化ジエチルアルミニウム(DEAH)(Al(C
2H
5)
2H)、水素化ジプロピルアルミニウム(DPAH)(Al(C
3H
7)
2H)、および、水素化ジブチルアルミニウム(DBAH)(Al(C
4H
9)
2H)が含まれる。
【0027】
第3一般式には、塩化ジメチルアルミニウム(Al(CH
3)
2Cl)、塩化ジエチルアルミニウム(Al(C
2H
5)
2Cl)、塩化ジプロピルアルミニウム(Al(C
3H
7)
2Cl)、および、塩化ジブチルアルミニウム(Al(C
4H
9)
2Cl)が含まれる。
【0028】
なお、成膜材料Mとして第3一般式に含まれる物質を用いたときには、炭化アルミニウム膜に塩素が含まれ得る。炭化アルミニウム膜における塩素の濃度は5原子%以下であることが好ましく、1原子%以下であることがより好ましい。炭化アルミニウム膜における塩素の濃度は、炭化アルミニウム膜を形成するときの成膜対象Sの温度によって制御することが可能である。そのため、第3一般式に含まれる物質を成膜材料Mとして用いるときには、炭化アルミニウム膜における塩素の濃度が5原子%以下となるような成膜対象Sの温度で炭化アルミニウム膜を形成することが好ましい。
【0029】
成膜材料Mは、上述した物質のうち、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、水素化ジメチルアルミニウム、および、水素化ジエチルアルミニウムから構成される群から選択されるいずれか1つであることが好ましい。
【0030】
貯蔵部24は、温調部25によって覆われている。温調部25は、貯蔵部24の内部に貯蔵された成膜材料Mの温度を所定の温度に調節する。これにより、温調部25は、貯蔵部24内における成膜材料Mの蒸気圧を所定の値に調節する。
【0031】
第1キャリアガス供給部23から貯蔵部24にアルゴンガスが供給されると、貯蔵部24内の成膜材料Mが発泡されることによって、成膜材料Mが、アルゴンガスとともに第1配管21を通じて導入部12に供給される。
【0032】
第2配管22は、導入部12から離れた位置にて2本に分岐し、一方に第2キャリアガス供給部26が接続し、他方に還元ガス供給部27が接続している。第2キャリアガス供給部26は、キャリアガスを所定の流量で第2配管22に流すマスフローコントローラであり、還元ガス供給部27は、所定の流量で還元ガスを第2配管22に流すマスフローコントローラである。キャリアガスは、上述したように、例えばアルゴンガスである。還元ガスは水素を含むガスであり、例えば水素(H
2)ガスである。導入部12には、第2配管22を通じてアルゴンガスと水素ガスとが供給される。
【0033】
こうしたALD装置10では、成膜材料Mと水素ガスとが成膜対象Sの表面に交互に供給される。これにより、所定の温度に加熱された成膜対象Sの表面Saに付着した成膜材料Mが、成膜対象Sの表面Saにおいて水素ガスによって還元される。結果として、成膜対象Sの表面Saに炭化アルミニウム(AlC)膜が形成される。
【0034】
[炭化アルミニウム膜の形成方法]
図2および
図3を参照して炭化アルミニウム膜の形成方法を説明する。
炭化アルミニウム膜の形成方法は、第1工程と第2工程とを含んでいる。第1工程は、成膜対象Sの温度を200℃以上とするとともに、アルミニウムと炭素とを含む成膜材料Mと成膜材料Mのキャリアガスとを成膜対象Sに供給して成膜対象Sに成膜材料Mを付着させる第1状態から、成膜材料Mを供給することを第1状態から除いた第2状態に変える工程である。第2工程は、成膜対象Sの温度を200℃以上とするとともに、水素ガスと水素ガスのキャリアガスとを成膜対象Sに供給して成膜材料Mを還元する第3状態から、水素ガスを供給することを第3状態から除いた第4状態に変える工程である。
【0035】
すなわち、第2工程のうち、第3状態は、加熱した成膜対象Sに還元ガスの一例である水素ガスと水素ガスのキャリアガスとを供給することによって、還元ガスの励起により生じた水素を含む活性種と還元ガスのキャリアガスとを成膜対象Sに供給して成膜材料を還元する状態である。成膜対象Sに供給される活性種は、例えば水素を含むイオン、または、水素を含むラジカルなどである。
【0036】
成膜材料Mは、上述したように、Al(C
xH
2x+1)
3、Al(C
xH
2x+1)
2H、および、Al(C
xH
2x+1)
2Clから構成される群から選択されるいずれか1つである。炭化アルミニウム膜の形成方法では、第1工程と第2工程とを交互に繰り返すことによって、成膜対象Sの表面Saにアルミニウム原子の含有率が20原子%以上である炭化アルミニウム膜を形成する。
【0037】
こうした炭化アルミニウム膜の形成方法によれば、成膜対象Sの表面Saにアルミニウム原子の含有量が20原子%以上である炭化アルミニウム膜を形成することができる。
より詳しくは、
図2が示すように、炭化アルミニウム膜の形成方法では、タイミングt1にて、成膜材料Mを含むアルゴンガスが第1配管21を通じて真空槽11に供給され、かつ、アルゴンガスが第2配管22を通じて真空槽11に供給される。第1配管21を通じて供給されるアルゴンガス、および、第2配管22を通じて供給されるアルゴンガスの両方が、成膜材料Mのキャリアガスとして機能する。第1配管21から供給されるアルゴンガスの流量は、所定の流量Favであり、第2配管22から供給されるアルゴンガスの流量は、所定の流量である第1流量Fa1である。第1流量Fa1は、第1キャリアガス供給部23によるアルゴンガスの流量Favよりも大きい。
【0038】
タイミングt2にて、真空槽11への成膜材料Mを含むアルゴンガスの供給が停止され、第2配管22を通じたアルゴンガスの供給のみが継続される。このとき、第2配管22から供給されるアルゴンガスの流量は、第1流量Fa1に保たれる。
【0039】
タイミングt3にて、第2配管22を通じた水素ガスの供給が開始される。水素ガスは、第2配管22を流れるアルゴンガスとともに、真空槽11に供給される。すなわち、第2配管22を流れるアルゴンガスは、水素ガスのキャリアガスとして機能する。このとき、水素ガスの流量は所定の流量Fhであり、第2配管22から供給されるアルゴンガスの流量は、第1流量Fa1に保たれる。第1流量Fa1は、水素ガスの流量Fhよりも大きい。
【0040】
タイミングt4にて、水素ガスの供給が停止され、第2配管22を通じたアルゴンガスの供給のみが継続される。このとき、第2配管22から供給されるアルゴンガスの流量は、第1流量Fa1よりも大きい第2流量Fa2に変更される。そして、タイミングt5にて、第2配管22を通じたアルゴンガスの供給が停止される。
【0041】
つまり、タイミングt1からタイミングt2までの間が第1状態であり、タイミングt2からタイミングt3までの間が第2状態であり、タイミングt1からタイミングt3までの間が第1工程である。また、タイミングt3からタイミングt4までの間が第3状態であり、タイミングt4からタイミングt5までの間が第4状態であり、タイミングt3からタイミングt5までの間が第2工程である。
【0042】
タイミングt1からタイミングt5までの間が1サイクルであり、炭化アルミニウム膜の形成方法では、成膜対象Sに形成する炭化アルミニウム膜の厚さに応じて、こうしたサイクルが、数十サイクルから数百サイクルにわたって繰り返される。なお、複数のサイクルが繰り返されるときには、(n−1)回目のサイクルにおけるタイミングt5と、n回目のサイクルにおけるタイミングt1とが同時であり、第2配管22を通じたアルゴンガスの供給は、全てのサイクルが行われるまで継続される。
【0043】
タイミングt1からタイミングt2までの間は例えば5秒であり、タイミングt2からタイミングt3までの間は例えば15秒であり、タイミングt3からタイミングt4までの間は例えば4秒であり、タイミングt4からタイミングt5までの間は例えば12秒である。
【0044】
成膜材料Mとともに真空槽11に供給されるアルゴンガスの流量Favは、例えば100sccmであり、水素ガスの流量Fhは、例えば500sccmである。第2配管22を通じて供給されるアルゴンガスの流量のうち、第1流量Fa1は例えば3400sccmであり、第2流量Fa2は例えば3800sccmである。
【0045】
成膜材料Mは、水素化ジメチルアルミニウム、および、水素化ジエチルアルミニウムから構成される群から選択されるいずれか1つであることが好ましい。
炭化アルミニウム膜は、炭化アルミニウム膜における炭素原子の含有率が多いほど、炭化アルミニウム膜の比抵抗値が高くなる傾向を有する。そのため、炭化アルミニウム膜に含まれる炭素原子は、所定の範囲を超えないことが好ましい。この点で、水素化ジメチルアルミニウム、および、水素化ジエチルアルミニウムが成膜材料Mとして用いられれば、トリメチルアルミニウムおよびトリエチルアルミニウムに対して炭化水素基の数が少ないため、トリメチルアルミニウムおよびトリエチルアルミニウムが用いられる場合と比べて、成膜材料Mが含む炭素の数が過剰になりにくくなる。
【0046】
つまり、成膜材料Mが水素を含むため、成膜材料Mが水素に代えて炭化水素基を含むよりも、成膜対象Sの表面Saに形成された炭化アルミニウム膜において炭素原子が過剰に含まれにくくなる。そのため、炭化アルミニウム膜の有する比抵抗値が低くなりやすい。
【0047】
炭化アルミニウム膜の形成方法では、炭化アルミニウム膜におけるアルミニウム原子の含有率が20原子%以上であるように炭化アルミニウム膜を形成することが好ましく、より好ましくはアルミニウム原子の含有率は30原子%以上であり、さらに好ましくは50原子%以上である。炭化アルミニウム膜の形成方法では、成膜対象Sが配置される真空槽11内の圧力を50Pa以上1000Pa以下とし、かつ、成膜対象Sの温度を200℃以上500℃以下とすることによって、アルミニウム原子の含有率が50原子%以上であるように、炭化アルミニウム膜を形成する。
【0048】
すなわち、炭化アルミニウム膜におけるアルミニウム原子の含有量を20原子%以上とする上では、タイミングt1からタイミングt5までの間における真空槽11内の圧力が、50Pa以上1000Pa以下であることが好ましく、成膜対象Sの温度が200℃以上500℃以下であることが好ましい。また、炭化アルミニウム膜におけるアルミニウム原子の含有率を50原子%以上とする上では、タイミングt1からタイミングt5までの間における真空槽11内の圧力が、100Pa以上500Pa以下であることが好ましく、成膜対象Sの温度が330℃以上430℃以下であることが好ましい。
【0049】
上述したように、成膜対象Sの表面Saは、凹凸面である。成膜対象Sの表面Saに対して成膜材料Mと成膜材料Mを還元する水素ガスとを交互に供給することによって、成膜対象Sの表面Saにおける反応により炭化アルミニウム膜を形成する。すなわち、ALD法によって、成膜対象Sの表面Saに炭化アルミニウム膜が形成される。そのため、表面Saが凹凸面であっても、表面Saにおける互いに異なる複数の部位間において、炭化アルミニウム膜の厚さに差が生じることが抑えられる。
【0050】
また、炭化アルミニウム膜の形成方法では、第1工程および第2工程よりも前に、成膜対象の表面として導電性を有する前記表面を形成する形成工程を含むことが好ましい。
これにより、導電性を有した表面Saに炭化アルミニウム膜を形成することによって、絶縁性を有した表面に炭化アルミニウム膜を形成する場合と比べて、成膜対象Sの表面Saに炭化アルミニウム膜が形成されるまでに必要とされる時間を短くすることができる。
【0051】
すなわち、
図3が示すように、炭化アルミニウム膜の形成方法は、形成工程(ステップS11)、第1工程(ステップS12)、および、第2工程(ステップS13)を含んでいる。このうち、形成工程は、導電性を有した表面Saを形成するための工程であり、例えば、絶縁性を有する基板の表面に、導電性を有する膜であって、炭化アルミニウム膜とは異なる膜を形成する工程である。導電性を有する膜は、例えば、窒化チタン(TiN)膜、および、炭化チタンアルミニウム(TiAlC)膜などである。
【0052】
第1工程および第2工程は、上述したように炭化アルミニウム膜を形成するための工程である。炭化アルミニウム膜の形成工程では、第1工程と第2工程とが、交互にn回繰り返されるまで(ステップS14:NO)、第1工程と第2工程とが順に繰り返される。第1工程と第2工程とがn回繰り返されると(ステップS14:YES)、炭化アルミニウム膜の形成工程は、一旦終了される。
【0053】
[試験例]
図4から
図8を参照して試験例を説明する。
[成膜対象の表面]
[試験例1]
シリコン基板と、シリコン基板の表面に形成した熱酸化膜、すなわちシリコン酸化膜とから構成される成膜対象を準備した。言い換えれば、絶縁性を有した酸化シリコンから形成される表面を含む成膜対象を準備した。成膜対象の表面に、以下の条件で炭化アルミニウム膜を形成した。
【0054】
・成膜材料 トリエチルアルミニウム
・キャリアガス アルゴンガス
・真空槽の圧力 380Pa以上400Pa以下
・成膜対象の温度 400℃
また、上述したタイミングt1からタイミングt2までの間を第1期間とし、タイミングt2からタイミングt3までの間を第2期間とし、タイミングt3からタイミングt4までの間を第3期間とし、タイミングt4からタイミングt5までの期間を第4期間とするとき、各期間を以下の時間にわたって継続した。
【0055】
・第1期間 5秒
・第2期間 15秒
・第3期間 4秒
・第4期間 12秒
第1期間において、第1キャリアガス供給部から37℃に加熱したトリエチルアルミニウムを内蔵した貯蔵部に供給するアルゴンガスの流量を100sccmに設定した。第2期間において、第1キャリアガス供給部から貯蔵部をバイパスするように第1配管に供給するアルゴンガスの流量を300sccmに設定するとともに、第1配管における排気用のバルブを開放した。第3期間において、還元ガス供給部から真空槽に供給する水素ガスの流量を500sccmに設定した。第2キャリアガス供給部から真空槽に供給するアルゴンガスの流量を、第1期間から第3期間までにわたって3400sccmに設定し、第4期間において3800sccmに設定した。
【0056】
そして、第1期間から第4期間までを100サイクルにわたって繰り返すことによって、成膜対象の表面に炭化アルミニウム膜を形成した。これにより、試験例1のウエハを得た。
【0057】
[試験例2]
シリコン基板、熱酸化膜、および、炭化チタンアルミニウム膜から構成される成膜対象を準備した。言い換えれば、導電性を有した炭化チタンアルミニウムから形成される表面を含む成膜対象を準備した。なお、炭化チタンアルミニウム膜は、ALD法を用いて形成し、サイクル数を10に設定した。そして、試験例1と同じ条件で、成膜対象の表面に炭化アルミニウム膜を形成した。これにより、試験例2のウエハを得た。
【0058】
[試験例3]
シリコン基板、熱酸化膜、および、炭化チタンアルミニウム膜から構成される成膜対象を準備し、これにより試験例3のウエハを得た。なお、試験例3の成膜対象における炭化チタンアルミニウム膜は、サイクル数を20に設定した以外は、試験例2と同様の条件で形成した。
【0059】
[評価]
試験例1から試験例3のウエハの各々について、XRF((株)リガク製、AZX400)を用いてアルミニウム原子の強度を測定した。
【0060】
図4が示すように、試験例1における強度は2.21kcpsであり、試験例2における強度は32.89kcpsであり、試験例3における強度は11.40kcpsであることが認められた。つまり、試験例1の炭化アルミニウム膜に由来するアルミニウム原子の強度は、2.21kcpsであることが認められた。また、試験例2の炭化アルミニウム膜に由来するアルミニウム原子の強度は、試験例2の強度から試験例3の強度を引いた強度以上であるため、21.49kcps以上32.89kcps未満であることが認められた。
【0061】
こうした結果から、試験例2における炭化アルミニウム膜の成膜量は、試験例1における炭化アルミニウム膜の成膜量よりも大きいと言える。そのため、成膜対象の表面が導電性を有する表面であれば、絶縁性を有する表面と比べて、炭化アルミニウム膜の成膜量を大きくすること、言い換えれば、表面に炭化アルミニウム膜が形成されるまでの時間を短くすることができると言える。
【0062】
[アルミニウム原子の含有率]
[試験例4]
以下の点を変更した以外は、試験例2と同じ条件で試験例4のウエハを作成した。すなわち、成膜材料の温度を46.5℃に設定し、シリコン基板、熱酸化膜、および、窒化チタン膜から構成された成膜対象を準備し、炭化アルミニウム膜を形成した後に、炭化アルミニウム膜の上に窒化チタン膜を形成した。
【0063】
[評価]
上述した試験例4のウエハにおいて、XPS法を用いてウエハの厚さ方向における原子濃度(原子%)を測定した。
【0064】
図5が示すように、スパッタ時間が15分から30分までの間では、アルミニウム原子の濃度と炭素原子の濃度がほぼ一定に保たれているため、スパッタ時間が15分から30分までの間における原子濃度を炭化アルミニウム膜の原子濃度として見なすことができる。
【0065】
炭化アルミニウム膜では、アルミニウム原子の濃度において、最大値が56.36原子%であり、最小値が53.68原子%であり、平均値が54.84原子%であることが認められた。また、炭化アルミニウム膜では、炭素原子の濃度において、最大値が43.11原子%であり、最小値が41.50原子%であり、平均値が42.17原子%であることが認められた。このように、炭化アルミニウム膜におけるアルミニウム原子の数と、炭素原子の数とは、54.84:42.17、すなわち約4:3であり、試験例4の成膜方法によれば、化学量論的な組成を有した炭化アルミニウム膜の形成が可能であることが認められた。
【0066】
このように、試験例4のウエハを形成するための炭化アルミニウム膜の形成方法によれば、アルミニウム原子の含有率が20原子%以上であり、かつ、50原子%以上である炭化アルミニウム膜を形成することが可能であることが認められた。
【0067】
[段差被覆性]
図6から
図8を参照して、炭化アルミニウム膜の厚さにおける均一性について説明する。なお、
図6から
図8は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて試験例5のウエハの一部を撮像したTEM画像である。
【0068】
[試験例5]
以下の点を変更した以外は、試験例2と同じ条件で試験例5のウエハを作成した。
すなわち、
図6が示すように、直径が130nmから180nmであり、深さが500nmである複数の凹部Hをシリコン基板に形成し、次いで、窒化シリコン膜を形成した。そして、窒化シリコン膜上に窒化チタン膜を形成することによって成膜対象を準備した。炭化アルミニウム膜を成膜対象の表面に形成した後に、炭化アルミニウム膜の上に窒化チタン膜を形成した。なお、以下に参照する
図7は、
図6における領域Aを撮像したTEM画像であり、
図8は、
図6における領域Bを撮像したTEM画像である。
【0069】
[評価]
図7が示すように、炭化アルミニウム膜のうち、領域Aに含まれる部分において厚さTを測定したところ、最小値が4.79nmであり、最大値が5.04nmであり、これらから算出される平均値が、4.92nmであることが認められた。
【0070】
図8が示すように、凹部Hの底部に形成された炭化アルミニウム膜の一部であって、領域Bに含まれる部分において厚さTを測定したところ、最小値が4.02nmであり、最大値が4.53nmであり、これらから算出される平均値が、4.28nmであることが認められた。
【0071】
すなわち、成膜対象の表面における段差被覆性を100%とするとき、凹部Hの底部における段差被覆性が、87.0%であることが認められた。このように、炭化アルミニウム膜の形成方法によれば、段差被覆性の高い炭化アルミニウム膜を形成することが可能であることが認められた。言い換えれば、炭化アルミニウム膜の形成方法によれば、成膜対象の表面が段差面であっても、膜厚における均一性が高い炭化アルミニウム膜を形成することが可能であることが認められた。
【0072】
以上説明したように、薄膜の形成方法における第1実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)成膜対象Sの表面Saに20原子%以上のアルミニウム原子を含む炭化アルミニウム膜を形成することができる。
【0073】
(2)成膜材料Mが水素を含むことによって、成膜材料Mが水素に代えて炭化水素基を含むよりも、成膜対象Sの表面Saに形成された炭化アルミニウム膜において炭素原子が過剰に含まれにくくなる。そのため、炭化アルミニウム膜の有する比抵抗値が低くなりやすい。
【0074】
(3)炭化アルミニウム膜が含むアルミニウム原子が所定の量だけ必要とされる場合に、炭化アルミニウム膜としてより低いアルミニウム原子の濃度を有する膜を形成する場合と比べて、炭化アルミニウム膜の厚さがより薄くとも、所定量のアルミニウム原子を炭化アルミニウム膜が含むことができる。
【0075】
(4)表面Saに対して成膜材料Mと成膜材料Mを還元する水素ガスとを交互に供給することによって炭化アルミニウム膜を形成するため、表面Saが凹凸面であっても、表面Saにおける互いに異なる複数の部位間において、炭化アルミニウム膜の厚さに差が生じることが抑えられる。
【0076】
(5)導電性を有した表面Saに炭化アルミニウム膜を形成することによって、絶縁性を有した表面に炭化アルミニウム膜を形成する場合と比べて、成膜対象Sの表面Saに炭化アルミニウム膜が形成されるまでに必要とされる時間を短くすることができる。
【0077】
なお、上述した第1実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・第2工程では、成膜対象Sの加熱を行うことに代えて、還元ガスと還元ガスのキャリアガスとからプラズマを生成することによって、成膜対象Sに水素を含む活性種を供給してもよい。この場合には、ALD装置10は、還元ガスとキャリアガスとからプラズマを生成するためのプラズマ生成部を備えていればよい。なお、第2工程では、成膜対象Sの加熱とプラズマの生成との両方を行うことによって、成膜対象Sに対して活性種を供給してもよい。
【0078】
・成膜対象Sの表面Saを形成する材料は、上述した窒化チタンおよび炭化チタンアルミニウムに限らず、これらに準じた導電性を有する材料であってもよい。こうした構成であっても、成膜対象Sの表面Saが絶縁性を有する構成と比べて、炭化アルミニウム膜が形成されるまでに要する時間を短くすることは可能である。
【0079】
・成膜対象Sの表面Saは導電性を有していなくてもよい。すなわち、炭化アルミニウム膜の形成方法は、炭化アルミニウム膜を形成するよりも前の工程として、導電性を有する成膜対象Sの表面Saを形成する工程を含んでいなくてもよい。こうした構成であっても、成膜対象Sの表面Saに炭化アルミニウム膜を形成することは可能である。
【0080】
・成膜対象Sには、表面Saとして凹凸面を含む成膜対象に限らず、表面Saとして平坦面を含む成膜対象が用いられてもよい。こうした構成であっても、成膜対象Sの表面Saに炭化アルミニウム膜を形成することは可能である。
【0081】
・炭化アルミニウム膜に含まれるアルミニウム原子の濃度は、20原子%以上であれば、50原子%よりも小さくてもよい。炭化アルミニウム膜に含まれるアルミニウム原子の濃度が50原子%よりも小さい場合であっても、成膜対象Sの表面Saに対して炭化アルミニウム膜を形成することは可能である。
【0082】
・試験例では、成膜材料Mとしてトリエチルアルミニウムを用いた例を説明した。これに限らず、成膜材料Mが、上述したAl(C
xH
2x+1)
3、Al(C
xH
2x+1)
2H、および、Al(C
xH
2x+1)
2Clに含まれるトリメチルアルミニウム以外のいずれかの物質であっても、トリエチルアルミニウムを用いた場合と同様に、炭化アルミニウム膜を形成することが可能である。
【0083】
・キャリアガスは、上述したアルゴンガスに限らず、例えば他の希ガスなどであってもよい。すなわち、キャリアガスは、成膜材料Mおよび還元ガスと反応することなく、これらを真空槽11に供給することのできるガスであればよい。
【0084】
・水素を含む還元ガスは、上述した水素ガスに限らず、ヒドラジン(H
2NNH
2)、および、ヒドラジンが有する水素原子をアルキル基(C
nH
2n+1)で置換した有機ヒドラジンでもよい。有機ヒドラジンのうち、1つの水素原子をアルキル基に置換した有機ヒドラジンには、例えば、モノメチルヒドラジン(N
2H
3(CH
3))、および、ターシャルブチルヒドラジン(N
2H
3(C
4H
9))が挙げられる。
【0085】
2つの水素原子をアルキル基に置換した有機ヒドラジンには、例えば非対称ジメチルヒドラジン(N
2H
2(CH
3)
2)を挙げることができる。3つの水素原子をアルキル基に置換した有機ヒドラジンには、例えばトリメチルヒドラジン(N
2H(CH
3)
3)を挙げることができる。
【0086】
なお、還元ガスは、上述した水素ガス、ヒドラジン、および、複数の有機ヒドラジンのうち、2つ以上を含んでもよい。
・第1状態、すなわちタイミングt1からタイミングt2までの間は、成膜材料Mとは異なる第2成膜材料を成膜材料Mとともに成膜対象Sに供給してもよい。この場合、成膜材料Mが第1成膜材料の一例である。第2成膜材料はアルミニウムを含む物質であって、1‐メチルピロリジンアラン(H
3Al:N(CH
3)(CH
2)
4)、トリメチルアミン水素化ホウ素アラン(AlH
2(BH
4):N(CH
3)
3)、および、ジメチルi‐プロポキシド((CH
3)
2Al(OC
3H
7))から構成される群から選択されるいずれか1つである。
【0087】
ここで、成膜対象Sの表面Saのうち、成膜材料Mが付着した部分では、成膜材料Mの還元反応により炭化アルミニウムが生じる一方で、第2成膜材料が付着した部分では、第2成膜材料の還元反応によりアルミニウムが生じる。言い換えれば、第2成膜材料が付着した部分では、アルミニウムの濃度がより高くなる。そのため、成膜材料Mのみを用いて炭化アルミニウム膜を形成したときと比べて、炭化アルミニウム膜におけるアルミニウムの原子濃度が高められる。
【0088】
なお、第2成膜材料としてトリメチルアミン水素化ホウ素アランを用いたときには、炭化アルミニウム膜にホウ素が含まれ得る。炭化アルミニウム膜におけるホウ素の濃度は5原子%以下であることが好ましく、1原子%以下であることがより好ましい。炭化アルミニウム膜におけるホウ素の濃度は、上述した塩素の濃度と同様、炭化アルミニウム膜を形成するときの成膜対象Sの温度によって制御することが可能である。そのため、トリメチルアミン水素化ホウ素アランを第2成膜材料として用いるときには、炭化アルミニウム膜におけるホウ素の濃度が5原子%以下となるような成膜対象Sの温度で炭化アルミニウム膜を形成することが好ましい。
【0089】
こうした構成では、第1状態、すなわちタイミングt1からタイミングt2までの間が、成膜対象Sに対して成膜材料Mと第2成膜材料とをキャリアガスとともに供給する状態であり、第2状態、すなわちタイミングt2からタイミングt3までの間が、第1状態から成膜材料Mを供給することと第2成膜材料を供給することとの両方を除いた状態である。
【0090】
こうした構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(6)成膜対象Sの表面Saのうち、第2成膜材料が付着した部分では成膜材料Mが付着した部分に比べてアルミニウムの濃度が高められる。そのため、炭化アルミニウム膜の全体においてアルミニウムの濃度が高められる。
【0091】
・炭化アルミニウム膜を形成するためのサイクルにおいて、上述した第1状態を保つ期間、第2状態を保つ期間、第3状態を保つ期間、および、第4状態を保つ期間は一例である。アルミニウム原子の含有率が20原子%以上である炭化アルミニウム膜を形成することが可能な範囲で、各状態を保つ期間を適宜変更してもよい。なお、第3状態および第4状態を保つ期間を0とした場合、つまり、第3状態および第4状態を省略した場合においても、アルミニウム原子の含有率が20原子%以上である炭化アルミニウム膜を形成することが認められている。そのため、第3状態と第4状態とから構成される第2工程は、割愛されてもよい。ただし、第3状態と第4状態とを含む方法により形成された炭化アルミニウム膜の方が、より高い膜密度を有した炭化アルミニウム膜を形成することができる点、および、より成膜速度が高い点から、薄膜の形成方法において、第3状態および第4状態を所定の期間だけ設けることが好ましい。
【0092】
[第2実施形態]
薄膜の形成方法を炭化アルミニウム膜の形成方法として具体化した第2実施形態を説明する。第2実施形態は、第1実施形態と比べて、炭化アルミニウム膜を形成する期間において、2種類の成膜材料を用いる点が異なっている。そのため、以下では、こうした相違点を詳しく説明し、第1実施形態と共通する事項についての説明を割愛する。
【0093】
[炭化アルミニウム膜の形成方法]
本実施形態の炭化アルミニウム膜の形成方法は、アルミニウムを含む第2成膜材料と第2成膜材料のキャリアガスとを成膜対象Sに供給して成膜対象Sに第2成膜材料を付着させる第5状態から、第2成膜材料を供給することを第5状態から除いた第6状態に変える第3工程をさらに含んでいる。
【0094】
第2成膜材料は、1‐メチルピロリジンアラン、トリメチルアミン水素化ホウ素アラン、および、ジメチルアルミニウムi‐プロポキシドから構成される群から選択されるいずれか1つである。第2成膜材料のキャリアガスは、例えばアルゴンガスである。
【0095】
炭化アルミニウム膜の形成方法は、第3工程と上述した第2工程とを交互に繰り返す状態を含んでいる。
より詳しくは、上述したように、炭化アルミニウム膜の形成方法は、複数のサイクルから構成され、全てのサイクルのなかで、一部のサイクルが第1工程と第2工程とから構成される第1サイクルであり、残りのサイクルが第3工程と第2工程とから構成される第2サイクルである。全てのサイクルには、第1サイクルが繰り返される状態と、第2サイクルが繰り返される状態とが含まれている。
【0096】
なお、全てのサイクルにおいて、第2サイクルが繰り返される状態は、最初のサイクルから開始されてもよいし、全てのサイクルにおける途中において開始され、かつ、終了されてもよいし、最後のサイクルを含んでもよい。また、第2サイクルが繰り返される状態が、全てのサイクルのなかに2回以上含まれてもよい。全サイクル数が数十サイクルであるとき、第2サイクルの数は10よりも小さい程度であることが好ましい。第2サイクルが繰り返される間は、第1サイクルの繰り返しによって形成される炭化アルミニウムの膜よりもアルミニウムの濃度が高い膜であるアルミニウムの膜が形成される。
【0097】
第2サイクルにおいて各ガスが供給されるタイミングは、第1サイクルにおいて各ガスが供給されるタイミングと同等とすることができる。すなわち、第2サイクルにおける各ガスの供給されるタイミングは、先に参照した
図2におけるタイミングt1からタイミングt2において、真空槽11に第2成膜材料が供給される以外は、第1サイクルと同等とすることができる。この場合には、タイミングt1からタイミングt2までの間が第5状態であり、タイミングt2からタイミングt3までの間が第6状態である。また、タイミングt3からタイミングt4までの間が上述した第3状態であり、タイミングt4からタイミングt5までの間が上述した第4状態である。
【0098】
以上説明した薄膜の形成方法における第2実施形態によれば、上述した(1)から(5)の効果に加えて、以下に記載の効果を得ることができる。
(7)第1サイクルが繰り返される間は、炭化アルミニウムの膜が形成され、第2サイクルが繰り返される間は、炭化アルミニウムの膜よりもアルミニウムの濃度が高い膜が形成される。そのため、第1サイクルと第2サイクルとが繰り返されることによって形成された炭化アルミニウム膜では、第1サイクルのみが繰り返されることによって形成された炭化アルミニウム膜と比べて、炭化アルミニウム膜におけるアルミニウムの濃度が高められる。
【0099】
なお、上述した第2実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・第2サイクルにおいて第5状態が継続される期間は、第1サイクルにおいて第1状態が継続される期間とは異なる長さであってもよいし、第2サイクルにおいて第6状態が継続される期間は、第1サイクルにおいて第2状態が継続される期間とは異なる長さであってもよい。
【0100】
・第2サイクルにおいて第3状態が継続される期間は、第1サイクルにおいて第3状態が継続される期間とは異なる長さであってもよいし、第2サイクルにおいて第4状態が継続される期間は、第1サイクルにおいて第4状態が継続される期間とは異なる長さであってもよい。
【0101】
・1つの炭化アルミニウム膜を形成する間に、第3工程は1回以上行われればよい。これにより、第3工程が行われた分だけ、第1工程と第2工程とのみによって形成される炭化アルミニウム膜よりもアルミニウムの濃度が高められた炭化アルミニウム膜を形成することはできる。
【0102】
こうした構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(8)第3工程によれば、第1工程が繰り返される間に形成される炭化アルミニウムの膜よりもアルミニウムの濃度が高い膜が形成される。そのため、第1工程の繰り返しのみによって炭化アルミニウム膜が形成される場合と比べて、炭化アルミニウム膜におけるアルミニウムの濃度を高めることができる。
【0103】
・炭化アルミニウム膜の形成方法は、第3工程と第2工程とが交互に繰り返される状態に代えて、第3工程のみが繰り返される状態を含んでもよい。こうした構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
【0104】
(9)第3工程が繰り返される分、炭化アルミニウム膜において、第1工程の繰り返しによって形成される炭化アルミニウム膜よりもアルミニウムの濃度が高い膜が占める割合を大きくすることができ、炭化アルミニウム膜におけるアルミニウムの濃度を高めることができる。