特許第6948011号(P6948011)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 旭硝子株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6948011-機能部材の貼着方法 図000002
  • 特許6948011-機能部材の貼着方法 図000003
  • 特許6948011-機能部材の貼着方法 図000004
  • 特許6948011-機能部材の貼着方法 図000005
  • 特許6948011-機能部材の貼着方法 図000006
  • 特許6948011-機能部材の貼着方法 図000007
  • 特許6948011-機能部材の貼着方法 図000008
  • 特許6948011-機能部材の貼着方法 図000009
  • 特許6948011-機能部材の貼着方法 図000010
  • 特許6948011-機能部材の貼着方法 図000011
  • 特許6948011-機能部材の貼着方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948011
(24)【登録日】2021年9月22日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】機能部材の貼着方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/28 20060101AFI20210930BHJP
   C03C 27/06 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   E06B7/28 Z
   C03C27/06 101D
   C03C27/06 101J
   C03C27/06 101Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-221497(P2017-221497)
(22)【出願日】2017年11月17日
(65)【公開番号】特開2019-90290(P2019-90290A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2020年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 晃
(72)【発明者】
【氏名】福田 光夫
(72)【発明者】
【氏名】小川 まゆ
(72)【発明者】
【氏名】松村 正広
(72)【発明者】
【氏名】岡 賢太郎
【審査官】 芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−187514(JP,A)
【文献】 特開2016−80754(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/070530(WO,A1)
【文献】 特開2016−50442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00− 7/36
E06B 3/54− 3/88
C03C 27/00−29/00
G09F 9/00
H01Q 1/12− 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板とサッシとを有する既存のガラス窓に、前記ガラス板よりも面積の小さい機能部材を貼着する機能部材の貼着方法において、
前記ガラス窓に載置部材を着脱自在に取り付ける載置部材の取り付け工程と、
接着部材を有する前記機能部材を前記載置部材に載置して、前記接着部材を介して前記機能部材を前記ガラス板に貼着する機能部材の貼着工程と、
を有する機能部材の貼着方法。
【請求項2】
前記取り付け工程において、前記載置部材は前記ガラス板に吸着部材を介して着脱自在に取り付けられる、請求項1に記載の機能部材の貼着方法。
【請求項3】
前記取り付け工程において、前記載置部材は前記サッシに着脱自在に取り付けられる、請求項1に記載の機能部材の貼着方法。
【請求項4】
前記貼着工程の後に、前記載置部材を前記ガラス窓から取り外す載置部材の取り外し工程を備える、請求項1、2又は3に記載の機能部材の貼着方法。
【請求項5】
前記貼着工程と前記取り外し工程との間に、前記機能部材と前記ガラス板との間の間隙にシーリング材を打設するシーリング材の打設工程を有する、請求項4に記載の機能部材の貼着方法。
【請求項6】
前記機能部材は、アンテナユニット又はディスプレイである、請求項1から5のいずれか1項に記載の機能部材の貼着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能部材の貼着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のガラス窓のガラス板にスペーサ付きガラス板をブチルゴムによって接着(貼着)することにより、既存のガラス窓を複層ガラス窓に構成する提案が特許文献1、2などに開示されている。
【0003】
このようなスペーサ付きガラス板は、その底部をセッティングブロック上に載置した後、スペーサ付きガラス板をガラス窓のガラス板に向けて押し付けることにより、ブチルゴムによってガラス板に貼着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−140766号公報
【特許文献2】特開2012−148966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に開示された複層ガラス窓は、ガラス窓のガラス板の面積(ガラス板の主面の面積。以下、同じ)と略等しい面積を有するスペーサ付きガラス板を取り扱うものなので、スペーサ付きガラス板の底部をセッティングブロック上に載置することで、スペーサ付きガラス板をガラス窓のガラス板に安定して貼着することができる。
【0006】
しかしながら、ガラス窓のガラス板よりも面積の小さい小型部材をガラス板に貼着する場合、特に、小型部材をガラス板の高所の位置に貼着する場合、既述のセッティングブロックを用いることができないので不安定な施工となる。
【0007】
近年、ガラス窓のガラス板にアンテナ機能(電磁波の送受信などの機能)を備えた小型のアンテナユニット、又は画像を表示する小型のディスプレイなどの機能部材を貼着することにより、既存のガラス窓のガラス板をアンテナ用又はディスプレイ用の支持部材として有効利用することが望まれている。
【0008】
このような機能部材は、電磁波の送受信の感度の関係で、又は表示画像を見易くする関係で、ガラス板の高所の位置に貼着されることが一般に考えられる。しかしながら、従来では、このような機能部材を、ガラス窓のガラス板の高所の位置に安定して貼着する方法がなく、よって、ガラス窓のガラス板の高所の位置に機能部材を安定して貼着することができる機能部材の貼着方法が望まれていた。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ガラス窓のガラス板よりも面積の小さい機能部材を、ガラス板の高所の位置に安定して貼着することができる機能部材の貼着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態は、本発明の目的を達成するために、ガラス板とサッシとを有する既存のガラス窓に、ガラス板よりも面積の小さい機能部材を貼着する機能部材の貼着方法において、ガラス窓に載置部材を着脱自在に取り付ける載置部材の取り付け工程と、接着部材を有する機能部材を載置部材に載置して、接着部材を介して機能部材をガラス板に貼着する機能部材の貼着工程と、を有する機能部材の貼着方法を提供する。
【0011】
本発明の一形態は、取り付け工程において、載置部材はガラス板に吸着部材を介して着脱自在に取り付けられることが好ましい。
【0012】
本発明の一形態は、取り付け工程において、載置部材はサッシに着脱自在に取り付けられることが好ましい。
【0013】
本発明の一形態は、貼着工程の後に、載置部材をガラス窓から取り外す載置部材の取り外し工程を備えることが好ましい。
【0014】
本発明の一形態は、貼着工程と取り外し工程との間に、機能部材とガラス板との間の間隙にシーリング材を打設するシーリング材の打設工程を有することが好ましい。
【0015】
本発明の一形態は、機能部材は、アンテナユニット又はディスプレイであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ガラス窓のガラス板よりも面積の小さい機能部材を、ガラス板の高所の位置に安定して貼着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ガラス窓のガラス板にアンテナユニットが貼着されたガラス窓の全体斜視図
図2】アンテナユニットの正面斜視図
図3】アンテナユニットの背面斜視図
図4】実施形態のアンテナユニットの貼着方法を示したフローチャート
図5】載置部材がガラス板に取り付けられたガラス窓の全体斜視図
図6】載置部材を利用してアンテナユニットをガラス板に取り付ける様子を示したガラス窓の要部拡大斜視図
図7】コーキングガンを使用してシーリング材を打設している様子を示した斜視図
図8】サッシに取り付けられた載置部材によってアンテナユニットをガラス板に貼着する様子を示した斜視図
図9図8のa−a線から見たガラス窓の断面図
図10】載置部材によってディスプレイをガラス板に貼着する様子を示した斜視図
図11】基板の左右縁部に沿ってシーリング材を打設する場合の好適な載置部材の形態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に従って本発明に係る機能部材の貼着方法の好ましい実施形態を説明する。
【0019】
図1は、実施形態に係る機能部材の貼着方法により、既存のガラス窓10のガラス板12に機能部材であるアンテナユニット14が貼着されたガラス窓10の斜視図である。また、図1は、建物の室内側から見たガラス窓10の斜視図である。なお、以下に説明する図面において、水平方向を符号XY方向で示し、鉛直(上下)方向を符号Z方向で示す。
【0020】
ガラス窓10は、矩形状のガラス板12と、ガラス板12の上下及び左右の縁部に取り付けられた金属製のサッシ16とを有する。ガラス板12は、単板のガラス板であってもよく、複層ガラス又は合わせガラスであってもよい。サッシ16は、上枠16A、下枠16B、左枠16C及び右枠16Dによって枠状に構成された既知のものである。
【0021】
アンテナユニット14は、ガラス板12よりも面積が小さくガラス板12の高所の位置に貼着される。なお、ガラス板12に対するアンテナユニット14の貼着位置は、高所に限定されるものではなく低所であってもよいが、実施形態の機能部材の貼着方法は、ガラス板12の高所の位置にアンテナユニット14を貼着する場合に特に有利となる。ガラス板12の高所及び低所とは、特にその位置を厳密に規定するものではなく大まかなものである。例えば、ガラス板12の高さ方向の中間位置を境にして上側を高所、下側を低所と規定することができる。また、作業者の手の届く位置(換言すれば作業可能な位置)を境にして上側を高所、下側を低所と規定することもできる。更に、特許文献1、2に開示されたセッティングブロックを使用した場合の貼着可能な位置を境にして上側を高所、下側を低所と言うこともできる。以下、アンテナユニット14の構成について説明する。
【0022】
図2は、図1の室内側から見たアンテナユニット14の正面斜視図であり、図3は、図1の室外側から見たアンテナユニット14の背面斜視図である。アンテナユニット14は、図3の背面側をガラス板12に対向させた姿勢でガラス板12に貼着される(図1参照)。
【0023】
図2及び図3に示すように、アンテナユニット14は、アンテナ18と、アンテナ18が形成される平板状の基板20と、基板20に取り付けられた接着部材22、22とを有する。このアンテナユニット14は、接着部材22、22によってガラス板12に貼着される。
【0024】
図3に示すようにアンテナ18は、基板20の背面に金属材料を印刷することにより基板20に形成される。アンテナ18を形成する金属材料としては、金又は銀などの導電性材料を用いることができる。また、アンテナ18は、光透過性を有することが好ましい。光透過性を有するアンテナ18であれば、意匠性がよく、また、平均日射吸収率を低下させることができるので好ましい。このアンテナ18には、不図示の導線が接続されている。
【0025】
アンテナユニット14が接着部材22によってガラス板12に貼着されると、基板20は、ガラス板12に対して平行に設けられる。基板20は、平面視において、矩形に形成されている。基板20を形成する材料は、アンテナ18に求められるパワー又は指向性などのアンテナ性能に応じて選択され、例えば、ガラス、樹脂又は金属を用いることができる。基板20は、樹脂などで光透過性を有するように形成されていてもよい。光透過性を有する基板20であれば、基板20を通してガラス板12を室内側から見ることができるので、ガラス板12から見える視界がアンテナユニット14で遮られることを低減することができる。なお、基板20の厚さは、アンテナ18の配置される場所に応じて任意に設定されるものである。
【0026】
接着部材22、22は、基板20の背面に設けられる。これらの接着部材22、22は、基板20の左縁部20C及び右縁部20Dに沿って上下方向に配置されるとともに、基板20の背面から外方に突出して設けられている。このような構成の接着部材22、22によって、アンテナユニット14が接着部材22、22を介してガラス板12に貼着される。
【0027】
接着部材22の材料としては、アンテナユニット14をガラス板12に固定できる材料であれば特に限定されず、例えば、接着剤又は弾性系シールを用いることができる。接着剤又は弾性系シール材の材料としては、例えば、シリコーン系樹脂、ポリサルファイド系樹脂又はアクリル系樹脂などの公知の樹脂を用いることができる。また、接着部材22は、アルミニウムなどの金属で形成したスペーサを用いてもよい。スペーサは接着剤等によりアンテナユニット14をガラス板12に固定する。スペーサにより、耐久性が向上する。
【0028】
なお、基板20の背面に設けられる接着部材22、22に関し、図2及び図3では、左縁部20C及び右縁部20Dに沿って上下方向に配置した例を示したが、接着部材22の配置位置はこれに限定されるものではない。例えば、基板20の上縁部20A及び下縁部20Bに沿って水平方向に接着部材22、22を配置してもよく、基板20の上縁部20A、下縁部20B、左縁部20C及び右縁部20Dのうちの任意の3つ又は全てに沿って接着部材22、22…を配置してもよい。基板20の隅部にのみ2つ乃至4つの接着部材22、22…を配置してもよい。また、接着部材22の形状は、図2及び図3のような短冊形状のものに限定されるものではなく、例えば、円形状又は短冊形状を除く矩形状であってもよい。
【0029】
また、接着部材22の配置位置及び形状は、ガラス板12と基板20との間に空間Sを形成することができるものが好ましい。空間Sを形成する目的は、基板20に対向する位置にあるガラス板12の表面温度の局所的な上昇を抑制するためである。すなわち、ガラス板12の室外側の主面に日光が照射されると、ガラス板12が加熱される。このとき、アンテナユニット14の付近で空気が滞留すると、アンテナユニット14の温度が上昇するため、基板20に対向する位置にあるガラス板12の表面の温度は、ガラス板12の他の表面の温度よりも上昇し易い傾向にある。ガラス板12と基板20との間に空間Sが形成されれば、この温度上昇を抑制することができる。
【0030】
次に、ガラス板12にアンテナユニット14を貼着する実施形態のアンテナユニット14の貼着方法について説明する。
【0031】
図4は、実施形態のアンテナユニット14の貼着方法を示したフローチャートである。図5及び図6は、図4のフローチャートに対応するアンテナユニット14の貼着工程を示した説明図である。
【0032】
まず、実施形態の貼着方法を実施する上で準備する装置及び部材について説明すると、図5に示すように、一対の載置部材24、24及び真空ポンプ26を準備する。また、必要に応じて不図示の脚立、水準器、ライナ、マスキングテープ及びコーキングガン30(図7参照)を準備する。
【0033】
載置部材24は、アンテナユニット14が載置される部材であり、一例としてL字形状に構成される。載置部材24は、アンテナユニット14の基板20の下縁部20Bが載置される載置面24Aと、基板20の左縁部20C及び右縁部20Dに接触されてガラス板12に対するアンテナユニット14の水平方向の位置を位置決めする位置決め面24Bとを有する。また、載置部材24の背面には、吸着部材である複数の吸着パッド28が上下に並設されており、これらの吸着パッド28は、チューブ29を介して真空ポンプ26に接続されている。
【0034】
このような構成によって載置部材24、24は、真空ポンプ26を駆動することにより、吸着パッド28を介してガラス板12に強固に固定される。また、載置部材24、24は、真空ポンプ26を停止したり吸着パッド28を大気開放させたりして吸着パッド28の吸引力を低下させることにより、ガラス板12から取り外される。これにより、載置部材24は、ガラス板12に着脱自在に取り付けられる。載置部材24を構成する材料としては、軽量で且つ強度を備えた材料であることが好ましく、一例としてアクリル又はポリ塩化ビニル等のプラスチックを挙げることができる。
【0035】
実施形態のアンテナユニット14の貼着方法は、図4に示すように、取り付け工程(S14)、貼着工程(S20)、打設工程(S30)、取り外し工程(S40)を経る。
【0036】
〔Sステップ10:取り付け工程〕
図5は、図4の取り付け工程(S10)に対応する図面であり、載置部材24、24がガラス板12に取り付けられたガラス窓10の全体斜視図である。
【0037】
図5に示すように、吸着パッド28(図6参照)を介して載置部材24、24をガラス板12の所望の位置に吸着させる。このとき、載置部材24、24の位置決め面24B、24B間の水平方向の離間距離がアンテナユニット14の幅寸法A(図6参照)と等しくなるように、水平方向における載置部材24、24の配置位置を調整する。また、載置部材24、24の載置面24A、24Aが同一の水平面上に位置するように、鉛直方向における載置部材24、24の位置を調整する。このような載置部材24、24の位置調整は、既述の水準器などを使用して行うことが好ましい。
【0038】
この後、真空ポンプ26を駆動して載置部材24、24を、吸着パッド28を介してガラス板12に強固に固定する。以上で取り付け工程が終了する。
【0039】
なお、ガラス板12に対する載置部材24の取り付け位置が、作業者の手の届く位置よりも高い場合には、既述の脚立を使用して載置部材24をガラス板12に取り付けることが好ましい。
【0040】
〔Sステップ20:貼着工程〕
図6は、図4の貼着工程(S20)に対応する図面であり、載置部材24を利用してアンテナユニット14をガラス板12に取り付ける様子を示したガラス窓10の要部拡大斜視図である。
【0041】
図6に示すように、基板20の下縁部20Bを載置部材24、24の載置面24A、24Aに載置し、且つ基板20の左縁部20C及び右縁部20Dを載置部材24、24の位置決め面24B、24Bに接触させて、アンテナユニット14を載置部材24、24に対して位置決めする。これにより、アンテナユニット14が載置部材24、24を介してガラス板12に位置決めされる。この後、アンテナユニット14をガラス板12に押し付けて、アンテナユニット14をガラス板12に接着部材22、22によって貼着する。以上で貼着工程が終了する。
【0042】
貼着工程においては、載置部材24、24の載置面24A、24Aに基板20の下縁部20Bを載置したときに、アンテナユニット14の水平を水準器にて再度確認することが好ましい。この場合、載置面24Aに水準器を置くことが難しいので、基板20の上縁部20Aに水準器を置いてアンテナユニット14の水平を確認することが好ましい。アンテナユニット14が水平から傾いている場合には、既述したライナを載置面24Aと下縁部20Bとの間に挿入してアンテナユニット14を水平に調整する。これによって、ガラス板12に対する載置部材24、24の取り付け位置を再度調整することなく、アンテナユニット14を水平に調整することができる。
【0043】
〔Sステップ30:打設工程〕
図7は、図4の打設工程(S30)に対応する図面であり、コーキングガン30を使用してシーリング材32を打設している様子を示した要部拡大斜視図である。
【0044】
図7に示すように、打設工程は、既述のマスキングテープ及びコーキングガン30を使用して、基板20とガラス板12との間の間隙Sの一部にシーリング材32を打設する。
【0045】
打設工程によれば、シーリング材32の打設に先立って、基板20の必要箇所をマスキングテープ(不図示)によってマスキングすることが好ましい。この後、基板20の左縁部20C又は右縁部20Dに沿ってシーリング材32を間隙Sの一部に連続的又は間欠的に打設する。この後、シーリング材32が硬化するまで養生し、シーリング材32が硬化した後、マスキングテープを基板20から剥離する。このような打設工程を備えることによって、ガラス板12に対するアンテナユニット14の貼着力を高めることができる。
【0046】
この打設工程は、必要に応じて行われる工程である。つまり、接着部材22による貼着力によってアンテナユニット14がガラス板12に十分に強固に貼着される場合には、実施されない場合がある。また、図7の如くシーリング材32を間隙Sに打設する場合には、左右に配置した接着部材22、22を基板20の左縁部20C及び右縁部20Dから少し内側に配置して、接着部材22、22の外側に位置する間隙Sの全てにシーリング材32を打設することが好ましい。
【0047】
〔Sステップ40:取り外し工程〕
既述の貼着工程又は打設工程が終了すると、ガラス板12から載置部材24、24を取り外す取り外し工程(S40)を実施する。取り外し工程では、真空ポンプ26を停止したり吸着パッド28を大気開放させたりして吸着パッド28の吸引力を低下させて、ガラス板12から載置部材24、24を取り外す。以上で取り外し工程が終了するとともに、アンテナユニット14をガラス板12に貼着する一連の作業が終了する。
【0048】
以上の如く、実施形態のアンテナユニット14の貼着方法によれば、載置部材24、24をガラス板12に取り付ける取り付け工程と、載置部材24、24にアンテナユニット14を載置してアンテナユニット14をガラス板12に貼着する貼着工程とを有しているので、ガラス窓10のガラス板12よりも面積の小さいアンテナユニット14を、ガラス板12の高所の位置に安定して取り付けることができる。
【0049】
ところで、図4に示した取り付け工程(Sステップ10)は、載置部材24をガラス板12に吸着パッド28を利用して取り付けることにより、載置部材24をガラス窓10に着脱自在に取り付けた例を示したが、載置部材をサッシ16に取り付けることにより、載置部材をガラス窓10に着脱自在に取り付けてもよい。このような載置部材であっても同様の貼着工程(Sステップ20)を実施することができる。以下、その一例を説明する。
【0050】
図8は、サッシ16に着脱自在に取り付けられた載置部材34によって、アンテナユニット14をガラス板12に貼着する様子を示した斜視図である。図9は、図8のa−a線に沿ったガラス窓10の断面図である。
【0051】
図8及び図9に示す載置部材34は、アンテナユニット14が載置される箱状の本体部36と、本体部36を左枠16Cと右枠16Dとの間で支持するネジ棒38とを有する。このネジ棒38は、本体部36の左端部に設けたナット部(不図示)に螺合されるとともに、本体部36の内部に挿入されている。よって、ネジ棒38は、本体部36に対して回転されることにより、本体部36からの突出量が調整される。
【0052】
また、ネジ棒38の左端部には、ゴムなどの弾性部40が設けられ、更に、本体部36の右端部にも同様の弾性部42が設けられている。
【0053】
このように構成された載置部材34によれば、ネジ棒38を回転させつつ本体部36から突出させて、ネジ棒38の弾性部40を左枠16Cに押圧するとともに、本体部36の弾性部42を右枠16Dに押圧する。これにより、本体部36をサッシ16に取り付けることができる。以上で、載置部材34を使用した場合の取り付け工程が終了する。
【0054】
この後、本体部36にアンテナユニット14を載置する。その後、アンテナユニット14をガラス板12に押し付けて、アンテナユニット14をガラス板12に接着部材22、22によって貼着する。以上で貼着工程が終了する。なお、この後に実施される打設工程及び取り外し工程については説明を省略する。
【0055】
一方、上記の実施形態では、機能部材としてアンテナユニット14をガラス板12に貼着する例を説明したが、アンテナユニット14に代えて小型のディスプレイ44(図10参照)をガラス板12に貼着する場合であっても実施形態の貼着方法を適用することができる。
【0056】
図10は、実施形態の貼着方法によって小型のディスプレイ44をガラス板12に貼着する様子を示した斜視図である。
【0057】
このディスプレイ44も背面側に接着部材22、22を有しており、ガラス板12に貼着される際には、載置部材24、24及び真空ポンプ26(図5参照)が同様に使用される。ディスプレイ44の貼着方法は、アンテナユニット14の貼着方法と同一なので、ここでは説明を省略する。したがって、ガラス窓10のガラス板12よりも面積の小さいディスプレイ44であっても、実施形態の貼着方法によって、ガラス板12の高所の位置に安定して取り付けることができる。
【0058】
図11は、基板20の左縁部20C及び右縁部20Cに沿ってシーリング材32を打設する場合の好適な載置部材46の形態を示した説明図である。
【0059】
図11に示す載置部材46も載置部材24(図6参照)と同様に吸着パッド28を有し、この吸着パッド28を介してガラス板12に取り付けられる。この載置部材46は、基板20の下縁部20Bが載置される載置面46Aを有している。このような載置部材46を利用して、基板20の下縁部20Bの中央部を載置部材46に載置することにより、載置部材46に邪魔されることなく、基板20の左縁部20C及び右縁部20Cの下部にシーリング材32を打設することができる。よって、基板20の左縁部20C及び右縁部20Cの全域にシーリング材32を効率よく打設ことができる。
【0060】
以上の如く、上記の実施形態によって本発明を説明したが、本発明の範囲内であれば、多くの手法により変更を行うことができ、実施形態以外の形態を適用することができる。例えば、アンテナユニット14及びディスプレイ44以外の機能部材の貼着に本発明を適用することができ、機能部材以外の小型な部材であっても本発明の貼着方法を適用することができる。また、吸着部材としては、真空ポンプ26を使用した吸着パッド28に限定されず、吸着パッド単体で吸着力を有するものであれば、その吸着パッドを吸着部材として使用することができる。
【符号の説明】
【0061】
10…ガラス窓、12…ガラス板、14…アンテナユニット、16…サッシ、18…アンテナ、20…基板、22…接着部材、24…載置部材、26…真空ポンプ、28…吸着パッド、29…チューブ、30…コーキングガン、32…シーリング材、34…載置部材、36…本体部、38…ネジ棒、40…弾性部、42…弾性部、44…ディスプレイ、46…載置部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11