特許第6948152号(P6948152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6948152-軟骨形成促進用組成物 図000009
  • 特許6948152-軟骨形成促進用組成物 図000010
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948152
(24)【登録日】2021年9月22日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】軟骨形成促進用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/17 20060101AFI20210930BHJP
   A61K 38/01 20060101ALI20210930BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20210930BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20210930BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20210930BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210930BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20210930BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20210930BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20210930BHJP
   A23L 33/18 20160101ALI20210930BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20210930BHJP
   A23L 2/66 20060101ALI20210930BHJP
   A23L 33/19 20160101ALN20210930BHJP
【FI】
   A61K38/17ZNA
   A61K38/01
   A61P19/02
   A61P19/00
   A61P19/08
   A61P43/00 111
   A61K8/64
   A61Q19/00
   A61Q19/10
   A23L33/18
   A23L2/00 F
   A23L2/00 J
   !A23L33/19
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-92907(P2017-92907)
(22)【出願日】2017年5月9日
(65)【公開番号】特開2018-188395(P2018-188395A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2020年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】711002926
【氏名又は名称】雪印メグミルク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野義彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】宮本彩加
(72)【発明者】
【氏名】内田俊昭
【審査官】 佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0155226(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/164992(WO,A1)
【文献】 Biomaterials, 2014, Vol.35, pp.2607-2616
【文献】 Molecular Therapy, 2017.11, Vol.25, No.11, pp.2502-2512
【文献】 日本組織細胞化学会総会プログラムおよび抄録集, 2005, Vol.46, p.78, IB-27欄
【文献】 小児歯科学雑誌, 2006, Vol.44, No.2, p.201, P-1-04欄
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00−38/58
A61K 8/00− 8/99
A23L 33/00−33/29
A23L 2/00− 2/84
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
E−カドヘリン及び/又はE−カドヘリン分解物を有効成分とする軟骨形成促進用組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のE−カドヘリン及び/又はE−カドヘリン分解物を配合した軟骨形成促進用サプリメント。
【請求項3】
請求項1に記載のE−カドヘリン及び/又はE−カドヘリン分解物を配合した軟骨形成促進用飲食品。
【請求項4】
請求項1に記載のE−カドヘリン及び/又はE−カドヘリン分解物を配合した軟骨形成促進用化粧料。
【請求項5】
E−カドヘリン及び/又はE−カドヘリン分解物を含む、関節痛の改善用組成物であって、E−カドヘリン及び/又はE−カドヘリン分解物を1日あたり10.0μg以上経口摂取するためのものである、前記組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節機能低下等を防止するのに有用な軟骨形成促進用組成物、軟骨形成促進用サプリメント、飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
変形性関節症(Osteoarthritis、OA)は骨粗鬆症と並び高齢者の日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)を低下させることから、根治的な治療方法の確立が望まれている。関節軟骨組織は、軟骨細胞が産生するコラーゲンやヒアルロン酸、プロテオグリカンから構成され、網目構造を取るコラーゲン繊維間にプロテオグリカンやヒアルロン酸が存在することで、多量の水分を保持している。つまり、関節軟骨は、コラーゲンならびにプロテオグリカンによりそのクッション性を保持している。
【0003】
関節周囲の血行が悪くなり酸素の供給が低下すると、軟骨細胞によるプロテオグリカンなどの産生が低下することや、死滅した軟骨細胞が滑膜を刺激、炎症を起こし、関節に痛みが生じることとなる。さらに、炎症時のサイトカインの放出により、さらに軟骨細胞死を誘導し、痛みの症状が激化する。このため、OAの対症療法としては、痛み止めや抗炎症製剤の投与、高分子ヒアルロン酸(ヒアルロン酸ナトリウム)の関節腔内への注入等があげられ、また、対症療法以外の方法としては、近年、軟骨細胞の分化促進または軟骨細胞の肥大化の抑制、軟骨細胞によるコラーゲン、プロテオグリカンの転写、合成促進などのアプローチが取られ始めている。
【0004】
軟骨形成においては、Sox9という転写因子の機能が重要であることが知られており、Sox9遺伝子を欠失させた遺伝子改変マウスの解析から、Sox9が軟骨形成のあらゆる段階で必須であることが示されていることから、軟骨形成促進に関しては、Sox9の活性促進が重要であると考えられている(非特許文献1および非特許文献2)。
【0005】
2009年のROADプロジェクト調査結果によると、日本の患者数は、膝については2500万人、腰椎については3800万人と報告されており、その男女の内訳は、膝は男性860万人、女性1670万人、腰椎は男性1890万人、女性1900万人であるが、この数は年々増加している。
そのような背景から、OAの予防や治療等に関する発明が開示されている。特許文献1には乳由来塩基性タンパク質を含む軟骨形成促進剤が開示されている。特許文献2には変形性関節症を治療するためのPEDF-由来のポリペプチドの使用が開示されている。特許文献3には軟骨細胞とTGF-βを用いた軟骨再生が開示されているが、軟骨形成を促進する新たな食品等が依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第WO2013/164992号
【特許文献2】特表2015-530392号公報
【特許文献3】特表2005−519698号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Haruhiko Akiyama, Chaboissier MC, Martin JF, Schedl A, de Crombrugghe B: The transcription factor Sox9 has essential roles in successive steps of the chondrocyte differentiation pathway and is required for expression of Sox5 and Sox6. Genes Dev. 16(21), 2813-28, 2002.
【非特許文献2】Haruhiko Akiyama, H. Scott Stadler, James F. Martin, Takahiro M. Ishii, Philip A. Beachy , Takashi Nakamura , and Benoit de Crombrugghe. Misexpression of Sox9 in mouse limb bud mesenchyme induces polydactyly and rescues hypodactyly mice. Matrix Biology, 26, 224-233, 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、これまでにない軟骨形成促進用組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、そのような物質を配合した軟骨形成促進用飲食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の態様を含むものである。
(1)E-カドヘリン及び/又はE-カドヘリン分解物を有効成分とする軟骨形成促進用組成物。
(2)前記E-カドヘリン分解物が、E-カドヘリンをタンパク質分解酵素で分解して得られたものであることを特徴とする(1)記載の軟骨形成促進用組成物。
(3)前記タンパク質分解酵素が、トリプシン、パンクレアチン、キモトリプシン、ペプシン、パパイン、カリクレイン、カテプシン、サーモライシン、V8プロテアーゼから選択されるいずれか1種以上であることを特徴とする(2)記載の軟骨形成促進用組成物。(4)前記E-カドヘリン分解物が、分子量500以上、8000以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の軟骨形成促進用組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のE-カドヘリン及び/またはE-カドヘリン分解物を配合した軟骨形生促進用飲食品。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、E-カドヘリン及び/またはE-カドヘリン分解物を有効成分とする軟骨形生産促進剤、及び軟骨形生促進用飲食品が提供される。本発明の軟骨形生産促進剤、及び軟骨形生促進用飲食品は、軟骨形成を促進させる作用を有し、関節炎や関節機能障害の予防や治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は軟骨細胞分化制御因子であるSox9のmRNAの発現へ及ぼすE-カドヘリンが濃度変化の影響を示す。
図2図2は軟骨細胞分化制御因子であるSox9のmRNAの発現へ及ぼすE-カドヘリンの作用時間変化の影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らは、上述の課題を解決するために、広く食品素材に含まれている軟骨形成促進作用を示す物質について、鋭意、探索を進めたところ、120kDaの膜貫通型の細胞接着分子であるE-カドヘリンあるいはそのE-カドヘリンを分解して得られるE-カドヘリン分解物が、軟骨細胞分化制御因子であるSox9のmRNAの発現を促進することにより軟骨形成を促進させることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明の軟骨形成促進用組成物の特徴は、E-カドヘリン及び/またはE-カドヘリン分解物を有効成分とすることにある。本発明のE-カドヘリンはどのような由来のものであっても使用可能である。たとえば、ヒト及びウシ由来のE-カドヘリンはすでにその遺伝子配列が明らかになっており、遺伝子組換えによる生産が可能であるが、本発明では、遺伝子工学的手法により生産されたE-カドヘリンも使用可能であり、細胞培養の培養液から回収した細胞由来のものも使用可能である。また、E-カドヘリンはウシ初乳中に含有
されており、乳から回収したものであっても良く、生乳や粉乳、脱脂乳、還元乳等から、加熱処理、加塩処理、エタノール処理、イオン交換クロマトグラフィーやゲル濾過クロマトグラフィー等の各種クロマト処理、限外濾過処理等によって取得することも可能である。 さらに、E-カドヘリン分解物はE-カドヘリンと同様のアミノ酸組成を有しており、E-カドヘリンをタンパク質分解酵素で処理して分子量500以上、8000以下として得ることができる。タンパク質分解酵素としては、トリプシン、パンクレアチン、キモトリプシン、ペプシン、パパイン、カリクレイン、カテプシン、サーモライシン、V8プロテアーゼをあげることが出来る。また、これらタンパク質分解酵素を1種以上使用してもよい。
【0014】
本発明の軟骨形成促進用組成物は、経口投与あるいは塗布することにより、軟骨形成促進効果を発揮する。本発明の軟骨形成促進用組成物を経口投与するに際しては、有効成分であるE-カドヘリンをそのままの状態で用いることもできるが、常法に従い、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤等に製剤化して用いることもできる。
【0015】
本発明において、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の経口剤は、例えば、澱粉、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等の賦形剤を用いて常法によって製剤化することが可能である。この種の製剤には、前記賦形剤の他に、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、着色料、香料等を適宜使用してもよい。
【0016】
結合剤としては、例えば、澱粉、デキストリン、アラビアガム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、結晶性セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドンが挙げられ、崩壊剤としては、例えば、澱粉、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶性セルロース等が挙げられる。また、界面活性剤としては、大豆レシチン、蔗糖脂肪酸エステル等、滑沢剤としては、タルク、ロウ、蔗糖脂肪酸エステル、水素添加植物油等、流動性促進剤としては無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。
【0017】
さらには、これらのE-カドヘリンをそのままあるいは製剤化した後、これをサプリメント、栄養剤や飲食品等に配合することも可能である。なお、E-カドヘリンは、比較的熱に対して安定であるので、E-カドヘリンを含む原料を通常行われるような条件で加熱殺菌することも可能である。
【0018】
本発明の軟骨形成促進用組成物を塗布するに際しては、その使用目的に応じて、通常用いられる公知の成分に配合することによって、液剤、固形剤、半固形剤等の各種剤形に調製することが可能で、好ましい組成物として軟膏、ゲル、クリーム、スプレー剤、貼付剤、ローション、粉末等が挙げられる。例えば、本発明の軟骨形成促進用組成物をワセリン等の炭化水素、ステアリルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル等の高級脂肪酸低級アルキルエステル、ラノリン等の動物性油脂、グリセリン等の多価アルコール、グリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸、ポリエチレングリコール等の界面活性剤、無機塩、ロウ、樹脂、水及び、要すればパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸ブチル等の保存料に混合することによって、軟骨形成促進用化粧料や医薬品を製造することができる。
【0019】
本発明の軟骨形成促進用組成物の投与による有効量は、成人一人当たり一日10μg以上である。この必要量を確保できるよう飲食品に配合するか、あるいは、医薬として投与すれば良い。なお、投与は必要に応じて一日数回に分けて行うことも可能である。
【0020】
本発明の軟骨形成促進用組成物の塗布による有効量は、剤形により異なるが、適用する組成物全量を基準として、好ましくは、0.001〜2重量%となるように、E-カドヘリンを配合すれば良い。ただし、入浴剤のように使用時に希釈されるものは、さらに配合量を増やすことができる。
【0021】
(評価方法)
Thermo Fisher Scientic社より購入したCDH1(E−カドヘリン) Recombinant Human Protein を試料Aとし、軟骨細胞分化制御因子であるSox9のmRNA発現へ及ぼす影響について、マウスEC由来間葉系細胞であるATDC5を用いた細胞実験及びリアルタイムPCR法を用いて確認した。
【実施例】
【0022】
(実施例品1)
Sセファロース3,000gを充填したカラムを脱イオン水で充分洗浄し、脱脂乳10,000Lを通液して、脱イオン水で充分洗浄した後、0.1〜1.0Mの塩化ナトリウムの直線濃度勾配で溶出した。その後、E−カドヘリンを含む溶出画分を再度フェニルSセファロース疎水性カラムクロマトグラフィーで分画した。さらに、この画分をHPLCシステムにてC4およびC8逆相クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーで順次処理し、E−カドヘリン2500mgを得た。なお、このようにして得られたE−カドヘリンは、そのまま軟骨形成促進剤として使用可能である。
【0023】
[試験例1]
Thermo Fisher Scientic社より購入したCDH1(E−カドヘリン) Recombinant Human Protein を試料Aとし、軟骨細胞分化制御因子であるSox9のmRNA発現へ及ぼすCDH1の濃度変化の影響について、マウスEC由来間葉系細胞であるATDC5を用いた細胞実験及びリアルタイムPCR法を用いて確認した。
具体的には、ATDC5細胞を24穴プレートに0.5×10cells/wellになる様に播種し、DMEM/F12培地(シグマ社製)にて37℃、5%CO環境下にて7日間培養した。7日間の培養期間のうち最終の4時間について、CDH1をそれぞれ10nM、50nM、100nMになるようにDMEM/F12培地に溶解したものを細胞に添加した後、total RNAを回収しcDNAを合成した。
培養した細胞にRNA抽出剤であるISOGEN(ニッポンジーン社製)を0.5ml添加し5分間静置した後、ピペッティングにて可溶化させた細胞液を1.5ml容チューブに回収した。細胞液に0.1mlのクロロホルムを添加し、十分に攪拌した後、二層に分離した上層(水層)を新たな1.5ml容チューブに回収した。回収液に0.25mlの2−プロピルアルコールを添加し、10分間静置後、15,000rpm、4℃にて15分間遠心し、total RNAの沈殿物を得た。得られた沈殿物は、70%エタノールにて洗浄した後、DEPC水に溶解しRNA液とした。1μg分のRNAから商品名「Takara PrimeScriptTM RT reagent Kit」を用いてcDNAを合成した。得られたcDNAをテンプレートとして、SYBR Green (Takara SYBR Prime Ex Taq II)を使用したリアルタイムPCRを行った。反応条件は、95℃、30秒の初期変性後、95℃、5秒の変性、57℃、15秒のアニーリング、72℃、20秒の伸張であり、合計40サイクル反応させた。プライマーは表1に記載のSox9遺伝子発現確認用プライマーを使用した。結果を図1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
図1に示すように、CDH1をATDC5細胞に添加した時に、遺伝子のSox9発現量は、CDH1の濃度に依存して有意に亢進した。また、カドヘリンファミリーの一つでCDH1とのアミノ酸相同性が47%であるCDH2(N−カドヘリン)や、ラクトフェリン(LF)、ラクトパーオキシターゼ(LPO)に比較してより高いSox9のmRNA発現亢進効果を有することが明らかとなった。
【0026】
試料Aによる軟骨分化制御因子のmRNA発現への作用時間による影響についてリアルタイムPCR方法を用いて検討した。方法は試験例1に記載の方法に準じた。すなわち、試料Aを2時間から48時間までATDC5細胞に添加した後、totalRNAを回収しcDNAを合成し、リアルタイムPCRを行った。対照区は、CDH1を投与せず、4時間から24時間まで培養したATDC5細胞からtotalRNAを回収し、cDNAを合成してリアルタイムPCRを行った。結果を図2に示す。
【0027】
図2に示すように、CDH1によるSox9のmRNA発現は、CDH1をATDC5細胞に作用させてから4時間で有意に上昇し、24時間までほぼ一定に有意に亢進した。
【0028】
(実施例1)
表2に示す配合の軟骨形成促進用飲料を常法により製造した。製造した飲料の風味は良好で沈殿等の問題もなかった。
【0029】
【表2】
【0030】
(実施例2)
表3に示す配合のドウを常法により作製し、成形した後、焙焼して軟骨形成促進用ビスケットを製造した。
【0031】
【表3】
【0032】
(実施例3)
表4に示す配合の軟骨形成促進用組成物を常法により製造した。
【表4】
【0033】
(実施例4)
表5に示す配合の化粧水を常法により製造した。
【表5】
【0034】
(実施例5)
表6に示す配合のクリームを常法により製造した。
【表6】
(実施例6)
E−カドヘリン300mgを精製水30mLに溶かした後、1N塩酸にてpH2〜3に調整し、37℃に保持してペプシンを3mg添加し、一晩反応させた。1N水酸化ナトリウムにてpH7.3に調整し、凍結乾燥してE−カドヘリン分解物300mgを得た。
【0035】
[試験例2]
変形性関節炎による軽度の痛みを有する患者20名を対象に、実施例1の飲料を1日1回100g飲用し、1年間の臨床試験を行った。関節の疼痛および機能の評価を、疼痛に対するビジュアルアナログスケール(VAS)、及び、関節炎の関節における疼痛、機能、および硬直に関するWestern Ontario and McMaster Universities(WOMAC)指標にて変形性関節症の評価を行った。結果を表7に示す。
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、関節機能低下等を防止するのに有用な軟骨形成促進用組成物、軟骨形成促進用サプリメント、飲食品及び軟骨形成促進用化粧料に関する。
図1
図2
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]